JP3125397B2 - 伸びフランジ性に優れた高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

伸びフランジ性に優れた高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

Info

Publication number
JP3125397B2
JP3125397B2 JP03356853A JP35685391A JP3125397B2 JP 3125397 B2 JP3125397 B2 JP 3125397B2 JP 03356853 A JP03356853 A JP 03356853A JP 35685391 A JP35685391 A JP 35685391A JP 3125397 B2 JP3125397 B2 JP 3125397B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
steel sheet
bainite
dip galvanized
galvanized steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP03356853A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05179356A (ja
Inventor
俊介 豊田
浩 木村
雅司 堀
正行 木下
智良 大北
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
JFE Engineering Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Engineering Corp filed Critical JFE Engineering Corp
Priority to JP03356853A priority Critical patent/JP3125397B2/ja
Publication of JPH05179356A publication Critical patent/JPH05179356A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3125397B2 publication Critical patent/JP3125397B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coating With Molten Metal (AREA)
  • Heat Treatment Of Steel (AREA)
  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ロアアームなどの自動
車足廻り部品等に好適に使用される成形性(とくに伸び
フランジ性)・耐食性に優れる高張力合金化溶融亜鉛め
っき熱延鋼板の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境保護の機運が高まる中、
自動車にはCO2ガス排出量低減のために燃費低減が強く
求められている。そのための有力な対策の一つとして車
体の軽量化があり、使用する鋼板を高強度化、薄肉化す
る努力が続けられている。その中でも、ロアアームなど
の自動車足廻り部品に使用される熱延鋼板は、伸びフラ
ンジ成形を主体とする過酷な成形を受けるために、高張
力でかつ優れたプレス成形性、とくに良好な伸びフラン
ジ性を有することが必要とされる。加えて、足廻り部品
は重要保安部品であるため、薄肉化には錆しろの低減に
見合う耐食性の向上が必須となる。また、車体の保証期
間に対する要求も年々長期化しており、この意味でも足
廻り部品への高耐食性鋼板の要求が高まっている。この
ように、加工性が良好で且つ耐食性に優れた熱延高強度
鋼板が強く求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらの要求に対し
て、これまでにも耐食性に優れる高張力合金化溶融亜鉛
めっき熱延鋼板に加工性を付与する技術が特開昭63−
149321号等で提案されている。すなわち、同号の
技術はCGL前の熱延条件を規制し加工性を付与すると
いうものである。
【0004】この方法ではめっき性を劣化させるSiを抑
制することに伴う強度の低下を、P添加によって補って
いるが、P添加は合金化が困難になるという問題があ
る。
【0005】一方、CGLでの加熱温度、冷却速度を限
定することにより高張力合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板
に加工性を付与する技術も特公昭60−49698号に
より提案されている。
【0006】この方法ではプレス成形性を確保するため
にCGL熱履歴を限定し、さらにMoを添加することによ
りフェライト+マルテンサイト組織としている。しか
し、マルテンサイト相を得るために高価な添加元素を必
要としておりコスト的に不利である。また、フェライト
+マルテンサイト組織は良好な強度−延性バランスを示
すが、伸びフランジ性には遊離な組織とは言えない。
【0007】以上のように、高張力合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板に良好な加工性を付与する目的で、CGL熱履歴
を限定し組織を制御する試みがいくつかなされてきた
が、CGLでは亜鉛めっきを施すという制約のために、
その熱履歴には自ずと制限が存在し、十分な加工性を付
与するに至っていない。
【0008】本発明は従来技術の以上の様な問題に鑑み
創案されたもので、良好な加工性、特に高伸びフランジ
性を有する高張力合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板を低コ
ストで、且つ安定して製造することができる方法を提供
せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、CGL前
組織を微細なフェライト+ベイナイト複合組織とする構
成の提案を行ない、この様な構成によって高張力合金化
溶融亜鉛めっき鋼板の加工性を向上させることを示し
た。この方法では強度−伸びフランジ性バランスを示す
(TS×λ)の値が高々50kgf/mm2級鋼では7000kgf/mm2
・%、60kgf/mm2級鋼では7500kgf/mm2・%である。発明
者らはさらにCGL前組織と高張力合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板の加工性との関係を詳細に調査し、CGL前組織
を微細なベイナイト主体の組織とすることにより強度−
伸びフランジ性バランスがさらに向上し、(TS×λ)の
値が50kgf/mm2級鋼では7400kgf/mm2・%以上、60kgf/
mm2級鋼では7700kgf/mm2・%以上となり、合金化溶融亜
鉛めっき処理に伴う加工性の劣化という問題をより有利
に解決することができるということを見い出し、本発明
として提案するものである。
【0010】即ち本発明は、熱延条件を限定しCGL前
組織を調整することにより、合金化溶融亜鉛めっき鋼板
の製造にあたって不可避的に加えられるCGL熱履歴を
経た後に優れた加工性、特に優れた伸びフランジ性を有
する高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法を
提供するものである。
【0011】以下本発明の構成について詳述する。
【0012】即ち、重量%でC:0.04〜0.10%、Si:0.0
05〜0.15%、Mn:1.0〜2.0%、S:0.0002〜0.0010%、S
ol.Al:0.005〜0.050%、N:0.0010〜0.0030%を含有
し、残部Fe及び他の不可避的不純物からなる鋼に対し、
(Ar3+50℃)〜(Ar3+150℃)を仕上げ温度とし、仕
上げ圧延終了後更に0.1〜2sの間に冷却を開始し、50〜2
00℃/sの冷却速度で450℃以下の温度まで冷却し、350
〜450℃の温度で巻取り、鋼板の組織を50%以上のベイ
ナイトを含むベイナイト+フェライト複合組織、あるい
はベイナイト単相組織とし、酸洗後、(Acl+20℃)〜
(Acl+70℃)の(α+γ)2相共存域温度に5s〜1min
加熱均熱し、めっき温度まで冷却し溶融亜鉛めっきを施
し、その後470〜550℃で合金化処理し、冷却し、更に伸
長率0.5〜3.0%の範囲でスキンパスを行う。これらの工
程を経て、極めて微細なフェライト相と低温変態相の複
合組織からなる伸びフランジ性に優れた高張力合金化溶
融亜鉛めっき鋼板が得られることになる。
【0013】又、第2発明では上記構成に加えて添加元
素としてNbを含むもので、上記第1発明の鋼成分を有す
る他、Nb:0.005〜0.030%を含むものである。
【0014】更に、両発明で実施される合金化処理は誘
導加熱炉を用いて行うことが望ましい。
【0015】
【作用】本発明は、熱延条件を限定しCGL前組織を微
細なベイナイト主体のベイナイト+フェライトの複合組
織、あるいは微細なベイナイト単相組織に作り込むこと
によって、CGL後も良好な加工性、特に高伸びフラン
ジ性を有する鋼板を製造することを最大の特徴としてい
る。そこで、本発明を組織形成の観点から説明する。
【0016】仕上げ圧延終了後直ちに冷却を開始し、短
時間に450℃以下まで急冷することはフェライト相の生
成を抑制するために重要である。ついで350〜450℃の温
度で巻取ることによって、微細な50%以上のベイナイト
を含むベイナイト主体のベイナイト+フェライトの複合
組織、あるいは微細なベイナイト単相組織を得ることが
できる。ここで言うベイナイトとは上部及び下部ベイナ
イトと共に、ベイナイテイックフェライト、アシキュラ
ーフェライトをも含むものである。
【0017】熱延後の組織をこのような微細なベイナイ
ト主体のベイナイト+フェライトの複合組織、あるいは
微細なベイナイト単相組織とすることにより、次なるC
GLでのめっき前焼鈍加熱時に微細なオーステナイト相
が生成し、このオーステナイト相は、めっき浴、合金化
炉での熱履歴を経た後、微細な低温変態相を形成し、微
細なフェライト+低温変態相の複合組織を持つ加工性、
特に伸びフランジ性の良好な、合金化溶融亜鉛めっき鋼
板を得ることができる。
【0018】ここで、このときCGL前組織がパーライ
トを含むと再加熱後に微細な低温変態相が得られず、加
工性の良好な合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得ることがで
きない。
【0019】又、CGL前組織を、マルテンサイトイを
含む組織とすると、鋼板の形状制御性が悪くなりCGL
通板時に問題が生じる。
【0020】以下、本発明における構成要件の限定理由
を説明する。
【0021】先ず、本発明における成分範囲の限定理由
につき説明する。
【0022】C:Cはベイナイトを生成させ目標とする強
度を確保するために必須な元素である。本発明で対象と
する50〜60kgf/mm2の強度を得るには、0.04%以上が必
要でありこれを下限とする。一方0.10%を超えると加工
性、溶接性が悪化するのでこれを上限とする。 Si:Siは0.15%を超えるとめっき付着性が悪化するので
極力低減する。一方、製鋼での経済性を考慮して0.005
%を下限とした。 Mn:Mnはベイナイト組織形成に不可欠の元素であり、固
溶強化をもたらし、必要な強度と所望の組織を得るため
には少なくとも1.0%必要でありこれを下限とする。一
方、2.0%を超えると溶接性、加工性が悪化するのでこ
れを上限とする。 S:SはMnとA系介在物を作り伸びフランジ性を低下させ
る不純物元素であるので、極力低減することが望まし
い。S量が0.0010%を超えた場合穴拡げ性は悪化するの
でこれを上限とした。一方製鋼での経済性を考慮して0.
0002%を下限とした。 Al:Alはその脱酸作用で鋼の清浄度を高める効果が期待
できる。添加量がSol.Alで0.005%に満たないとその添
加効果に乏しいのでこれを下限とした。一方Sol.Alで0.
050%を超えて添加してもその効果は飽和し、又めっき
付着性が悪化するのでこれを上限とする。 N:Nは伸びフランジ性を劣化させる不純物であるので、
悪影響が顕著となる0.0030%を上限とした。一方、製鋼
での経済性から0.0010%を下限とする。 Nb:Nbはその炭窒化物を析出させることにより組織の微
細化、析出強化が期待できる。添加量が0.005%に満た
ないとその添加効果に乏しいのでこれを下限とした。一
方、0.030%を超えて添加してもその効果は飽和し、又
延性が悪化するのでこれを上限とした。
【0023】次に、熱延条件及びCGL条件の限定理由
を説明する。
【0024】仕上げ圧延温度:熱延終了後の組織を微細
なベイナイト主体のベイナイト+フェライトの複合組
織、あるいは微細なベイナイト単相組織とするためには
オーステナイト粒径を適切な大きさとすることが必要で
あり、そのためには(Ar3+50℃)〜(Ar3+150℃)の
温度範囲で仕上げ圧延を行う必要がある。即ち、仕上げ
圧延温度が(Ar3+150℃)を超えるとオーステナイト粒
が粗大となり熱延終了後に微細な組織が得られなくな
り、加工性が低下する。一方、仕上げ圧延温度が(Ar3
+50℃)未満ではオーステナイト粒が微細となり、フェ
ライト核生成が促進され、十分な量のベイナイト相が得
られず、加工性が低下する。
【0025】仕上げ圧延終了直後の急冷条件:本発明者
らは、後述する下記表1に示すA鋼を用いて仕上げ圧延
直後の冷却速度と合金化溶融亜鉛めっき鋼板の穴拡げ率
(以下、λ値)の関係を調査(他の条件は本発明条件と
して)し、図1に示す結果を得た。同図から明らかなよ
うに冷却速度が50℃/s以上のときλ値は良好な値を示
す。しかし冷却速度が50℃/s未満であるとλ値は低下
する。これは冷却速度が50℃/sに満たないと、オース
テナイト相からフェライト相が生成し、十分な量のベイ
ナイト相が得られず、CGL後の組織が均質なものにな
らないためと考えられる。また、冷却速度が200℃/sを
超えると操業上巻取温度の制御が困難となる。以上の理
由により、仕上げ圧延直後の冷却速度を50℃/s〜200℃
/sの範囲に限定する。仕上げ圧延終了後の冷却開始は
フェライトの生成を抑制するために2秒以内に行う必要
がある。フェライトの生成を抑制し、均質で十分な量の
ベイナイト組織を得るためには冷却の開始は早い方が良
いが、操業上の制約から下限を0.1sとした。急冷の停
止温度の上限はフェライト及びパーライト相の生成しな
い温度で限定される。450℃より高い温度で急冷を停止
するとフェライト及びパーライト相が生成し、CGL後
の加工性が低下する。また、その下限は巻取温度の下限
温度である。
【0026】巻取温度:適正なCGL前組織、すなわち
微細なベイナイト主体のベイナイト+フェライトの複合
組織、あるいは微細なベイナイト単相組織を得るため
に、巻取温度は350〜450℃としなければならない。巻取
温度が450℃を超えるとパーライト相が生成し、焼鈍時
にこれが焼戻されて粗大なセメンタイト相が生じ伸びフ
ランジ性が低下する。一方、巻取温度が350℃を下回る
とマルテンサイト相が生成し、鋼板の形状制御性が悪化
する。本発明者らは、同じく後記表1に示すA鋼を用い
てCGL前組織のベイナイト分率と合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板のλ値の関係を調査(他の条件は本発明条件とし
て)し、図2に示す結果を得た。同図から明らかなよう
に合金化溶融亜鉛めっき鋼板のλ値はCGL前組織のベ
イナイト分率が50%を超えると著しく向上する。これは
ベイナイト分率の増大に伴い、セメンタイトが均質に分
散し、CGL焼鈍後の低温変態相がより均質微細に分散
し、λ値を向上させるためであると考えられる。従って
鋼板のCGL前組織のベイナイト分率は50%以上に限定
する。
【0027】めっき前焼鈍条件:本発明者らは、同じく
後述する表1に示すA鋼を用いてCGL焼鈍温度と合金
化溶融亜鉛めっき鋼板のTS,El,λ値との関係を調査
(他の条件は本発明条件として)し、図3に示す結果を
得た。同図から明らかなように、焼鈍温度が(Ac1+20
℃)〜(Ac1+70℃)の温度範囲のとき鋼板のTS,El,
λ値は共に良好なレベルとなる。これは、熱延巻取後に
微細なベイナイト主体組織とした鋼板を(Ac1+20℃)
〜(Ac1+70℃)の温度範囲に加熱すると、ベイナイト
相中に微細に分散したセメンタイトから優先的にC濃度
の高い微細なオーステナイト相が形成され、これが冷却
時に微細な低温変態相となり強度−伸びフランジ性バラ
ンスを良好にするためと考えられる。この時、ベイナイ
ト主体の組織の持つ高い伸びフランジ性はCGL焼鈍後
も損なわれない。さらに、熱延ままのベイナイト主体の
組織では低かった全伸びも、CGL焼鈍によって著しく
回復する。一方、加熱温度が(Ac1+20℃)より低いと
全伸びは十分に回復しない。また、加熱温度が(Ac1+7
0℃)を超えると、オーステナイト相中のC濃度が低下
し、またオーステナイト相が粗大化し、CGL後の組織
にパーライト相が形成され強度が低下する。以上の理由
によりめっき前焼鈍温度を(Ac1+20℃)〜(Ac1+70
℃)の範囲に限定する。さらに、(Ac1+20℃)〜(Ac1
+70℃)での加熱時間が5s〜1minのときに鋼板のTS,E
l,λ値は共に最良となる。加熱時間が5sに満たない
と、全伸びは十分に回復しないのでこれを下限とした。
一方、加熱時間が1minを超えるとオーステナイト相が微
細とならず、冷却後に微細な低温変態相が得られず、鋼
板の伸びフランジ性が低下するのでこれを上限とした。
【0028】合金化温度:めっき後の合金化温度は470
〜550℃とする。合金化温度が470℃より低いと短時間に
十分な合金化が進まないためこの温度を下限とする。一
方、合金化温度が550℃を超えると合金化相中のFe%が
高くなり、加工性、耐食性が劣化するためこの温度を上
限とする。
【0029】誘導加熱炉による合金化:図4は、同じく
後述する表1中のA鋼及びE鋼を用いて、合金化をガス
バーナ加熱炉と誘導加熱炉で行い、(他の条件は本発明
条件として)合金化溶融亜鉛めっき鋼板の穴拡げ率(λ
値)を比較したものである。同図から、合金化処理を誘
導加熱炉で行うことによりより優れたλ値が得られるこ
とがわかる。これは、誘導加熱炉では鋼板表面だけを加
熱できるため鋼板の加工性がさらに向上することになる
と考えられる。
【0030】スキンパス伸長率:図5に、同じく後述す
る表1に示された本発明のA鋼を用いて、本発明の熱延
条件及びCGL条件で製造した板厚2.6mmの合金化溶融
亜鉛めっき鋼板にスキンパスを行ったときの穴拡げ率に
及ぼすスキンパス伸長率の影響を示した。この図より、
合金化溶融亜鉛めっきを施した鋼板に伸長率0.5〜3.0%
のスキンパスを施すと、伸びフランジ性がさらに向上す
ることがわかる。このスキンパスによる伸びフランジ性
の改善効果の原因は必ずしも明確でないが、表面粗さの
低下が伸びフランジ成形に良好に作用するためであろう
と考えられる。伸長率が0.5%未満であると伸びフラン
ジ性の改善効果は小さくこれを下限とした。一方、伸長
率が3.0%を超えると伸びフランジは劣化するのでこれ
を上限とした。
【0031】
【実施例】
<実施例1>発明者らは、まず下記表1に示す成分組成
を有する10種の鋼を溶製した。このうち鋼A〜Eが本
発明規定成分を満足する鋼であり、鋼F〜Jは比較鋼で
ある。このA〜Jの鋼を同じく下記表2の条件(本発明
で規定された範囲内)で熱延・酸洗・めっき・合金化・
スキンパスを行い、板厚2.6mmの合金化溶融亜鉛めっき
鋼板を製造した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】これらの鋼板の機械的性質を調べるために
引張試験、穴拡げ試験を行い、その結果を下記表3に示
した。なお、同表では穴拡げ試験で伸びフランジ性を評
価している。
【0035】
【表3】
【0036】ここで、穴拡げ率(λ)とは前記合金化溶
融亜鉛めっき鋼板に直径10mmの円形の穴を打抜き、この
穴に60°円錐ポンチを押し当て穴拡げ加工を行い、穴縁
に亀裂を生じた時点での穴の拡大率のことであり、次式
数1によって計算した。
【0037】
【数1】λ(%)=[(db−di)/di]×100 ここで、diは初期穴径(mm)、dbは亀裂発生時穴径
(mm)をそれぞれ表す。
【0038】上記表3から本発明で規定された成分組成
を有するA〜Eの鋼では、強度−延性バランスを示す
(TS×El)の値が1650kgf/mm2・%以上で且つ強度−伸
びフランジ性バランスを示す(TS×λ)の値が7400kgf
/mm2・%以上の高い値を有する50〜60kgf/mm2級の強度
レベルの伸びフランジ性に優れた合金化溶融亜鉛めっき
鋼板が得られることがわかる。
【0039】これに対して、鋼の組成が本発明から外れ
ている鋼F、I、Jの比較例6、9、10の合金化溶融めっ
き鋼板は、(TS×λ)が5000kgf/mm2・%程度であって
伸びフランジ性が低い。これは微細なフェライトと低温
変態相よりなる最適な複合組織が得られていないためで
ある。又Mn含有量の低い鋼Hの比較例8では、強度が不
足し、伸びフランジ性も劣る。更に、Si含有量の高い鋼
Gの比較例7では、機械特性は良好であるがめっき付着
性が不良となる。
【0040】<実施例2>前記表1のA〜C、E鋼を用
いて下記表4に示すように熱延、焼鈍、合金化、スキン
パスの各条件を種々変化させて板厚2.6mmの合金化溶融
亜鉛めっき鋼板を製造した。得られた鋼板の機械試験値
を合わせて次の表5に示す。
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】同表から明らかなように、本発明で規定さ
れた範囲内の条件で製造された本発明例11〜18では、強
度−延性バランスを示す(TS×El)の値が1650kgf/mm2
・%以上で且つ強度−伸びフランジ性バランスを示す(T
S×λ)の値が7400kgf/mm2・%以上、特に60kgf/mm2
鋼では7700kgf/mm2・%以上の高い値を有する50〜60kgf
/mm2級の強度レベルの伸びフランジ性に優れた合金化
溶融亜鉛めっき鋼板が得られている。一方本発明法の熱
延、焼鈍、合金化、スキンパスの各条件のいずれかを満
足していない比較例19〜24、27、28、30、31では、(TS
×λ)の値は6000kgf/mm2・%以下で、本発明例に比べ
て強度−伸びフランジ性バランスが劣る。また、比較例
25では全伸びが低く、比較例26では強度レベルが低い。
これらの比較例では本発明でいう組織の適正化が達成さ
れていないためであると考えられる。更に比較例29は機
械的特性は良好であるが、合金化が不良であった。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、現行の熱間圧延工程、連続合金化溶融亜鉛めっき工
程に格別な変更を加えることなく、しかも格別に高価な
素材を使用せずに加工性、特に伸びフランジ性に優れた
高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板を低コストで、且つ安
定して製造することができるなど、工業的に非常に有用
な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】仕上げ圧延直後の冷却速度と伸びフランジ性
(穴拡げ率)の関係を示すグラフである。
【図2】CGL前組織のベイナイト分率と伸びフランジ
性(穴拡げ率)の関係を示すグラフである。
【図3】CGL焼鈍温度と引張強度、全伸び、穴拡げ率
との関係を示すグラフである。
【図4】合金化処理の加熱方法と伸びフランジ性(穴拡
げ率)の関係を示すグラフである。
【図5】スキンパス伸長率と伸びフランジ性(穴拡げ
率)の関係を示すグラフである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C23C 2/06 C23C 2/06 2/28 2/28 (72)発明者 木下 正行 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 大北 智良 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−51647(JP,A) 特開 平4−325657(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 9/46 - 9/48 C21D 8/02 C22C 38/00 - 38/60 C23C 2/02,2/06,2/28

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%でC:0.04〜0.10%、Si:0.005〜
    0.15%、Mn:1.0〜2.0%、S:0.0002〜0.0010%、Sol.A
    l:0.005〜0.050%、N:0.0010〜0.0030%を含有し、残
    部Fe及び他の不可避的不純物からなる鋼に対し、(Ar3
    +50℃)〜(Ar3+150℃)を仕上げ温度とし、仕上げ圧
    延終了後更に0.1〜2sの間に冷却を開始し、50〜200℃/
    sの冷却速度で450℃以下の温度まで冷却し、350〜450℃
    の温度で巻取り、鋼板の組織を50%以上のベイナイトを
    含むベイナイト+フェライト複合組織、あるいはベイナ
    イト単相組織とし、酸洗後、(Acl+20℃)〜(Acl+70
    ℃)の(α+γ)2相共存域温度に5s〜1min加熱均熱
    し、めっき温度まで冷却し溶融亜鉛めっきを施し、その
    後470〜550℃で合金化処理し、冷却し、更に伸長率0.5
    〜3.0%の範囲でスキンパスを行うことを特徴とする伸
    びフランジ性に優れた高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項第1項記載の高張力合金化溶融亜
    鉛めっき鋼板の製造方法において、誘導加熱炉を用いて
    前記合金化処理を行うことを特徴とする請求項第1項記
    載の伸びフランジ性に優れた高張力合金化溶融亜鉛めっ
    き鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 重量%でC:0.04〜0.10%、Si:0.005〜
    0.15%、Mn:1.0〜2.0%、S:0.0002〜0.0010%、Sol.A
    l:0.005〜0.050%、N:0.0010〜0.0030%、Nb:0.005
    〜0.030%を含有し、残部Fe及び他の不可避的不純物か
    らなる鋼に対し、(Ar3+50℃)〜(Ar3+150℃)を仕
    上げ温度とし、仕上げ圧延終了後更に0.1〜2sの間に冷
    却を開始し、50〜200℃/sの冷却速度で450℃以下の温
    度まで冷却し、350〜450℃の温度で巻取り、鋼板の組織
    を50%以上のベイナイトを含むベイナイト+フェライト
    複合組織、あるいはベイナイト単相組織とし、酸洗後、
    (Acl+20℃)〜(Acl+70℃)の(α+γ)2相共存域
    温度に5s〜1min加熱均熱し、めっき温度まで冷却し溶融
    亜鉛めっきを施し、その後470〜550℃で合金化処理し、
    冷却し、更に伸長率0.5〜3.0%の範囲でスキンパスを行
    うことを特徴とする伸びフランジ性に優れた高張力合金
    化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項第3項記載の高張力合金化溶融亜
    鉛めっき鋼板の製造方法において、誘導加熱炉を用いて
    前記合金化処理を行なうことを特徴とする請求項第3項
    記載の伸びフランジ性に優れた高張力合金化溶融亜鉛め
    っき鋼板の製造方法。
JP03356853A 1991-12-26 1991-12-26 伸びフランジ性に優れた高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Expired - Fee Related JP3125397B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03356853A JP3125397B2 (ja) 1991-12-26 1991-12-26 伸びフランジ性に優れた高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03356853A JP3125397B2 (ja) 1991-12-26 1991-12-26 伸びフランジ性に優れた高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05179356A JPH05179356A (ja) 1993-07-20
JP3125397B2 true JP3125397B2 (ja) 2001-01-15

Family

ID=18451093

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP03356853A Expired - Fee Related JP3125397B2 (ja) 1991-12-26 1991-12-26 伸びフランジ性に優れた高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3125397B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0683375A (ja) * 1992-09-04 1994-03-25 Alpha Sekkei Kikakushitsu:Kk 拍手音発生方法およびその装置

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TW504519B (en) 1999-11-08 2002-10-01 Kawasaki Steel Co Hot dip galvanized steel plate excellent in balance of strength and ductility and in adhesiveness between steel and plating layer, and method for producing the same
HUE051559T2 (hu) 2013-12-19 2021-03-29 Nippon Steel Corp Acéllemez, melegbevonattal bevonva Zn-Al-Mg-alapú rendszerrel, kitûnõ megmunkálhatósággal és elõállítási módszerrel
CN105543682A (zh) * 2015-12-22 2016-05-04 本钢板材股份有限公司 一种汽车结构用热轧酸洗板
CN108998739B (zh) * 2018-08-01 2020-12-15 首钢集团有限公司 一种具有高扩孔性能的热轧酸洗带钢及其生产方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0683375A (ja) * 1992-09-04 1994-03-25 Alpha Sekkei Kikakushitsu:Kk 拍手音発生方法およびその装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05179356A (ja) 1993-07-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN111748745B (zh) 780MPa级具有较高成形性的冷轧热镀锌双相钢及其制造方法
CN111748746B (zh) 一种780MPa级TRIP型冷轧热镀锌双相钢及其制造方法
JP4730056B2 (ja) 伸びフランジ成形性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法
CN108474074B (zh) 高强度钢板及其制造方法
US11939640B2 (en) Method for producing hot-rolled steel sheet, method for producing cold-rolled full-hard steel sheet, and method for producing heat-treated sheet
JP4998757B2 (ja) 深絞り性に優れた高強度鋼板の製造方法
WO2013065313A1 (ja) 高強度熱延鋼板およびその製造方法
WO2011152017A1 (ja) 曲げ性および溶接性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JP2010001531A (ja) 低降伏比型合金化溶融亜鉛メッキ高強度鋼板の製造方法
JP5251207B2 (ja) 深絞り性に優れた高強度鋼板及びその製造方法
JP4265153B2 (ja) 伸びおよび伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板およびその製造方法
JP4265152B2 (ja) 伸びおよび伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板およびその製造方法
JPH04325657A (ja) 伸びフランジ性の優れた高強度熱延鋼板及びその製造方法
JP2787366B2 (ja) 溶融亜鉛めっき高張力冷延鋼板の製造方法
JP3125397B2 (ja) 伸びフランジ性に優れた高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP4140962B2 (ja) 低降伏比型高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP3912181B2 (ja) 深絞り性と伸びフランジ性に優れた複合組織型高張力溶融亜鉛めっき冷延鋼板およびその製造方法
JPH03294463A (ja) 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP4826694B2 (ja) 薄鋼板の耐疲労特性改善方法
JPH06306533A (ja) 成形性と溶接性に優れた高強度合金化溶融亜鉛メッキ熱延鋼板及びその製造方法
JP2000109965A (ja) 加工性に優れた溶融亜鉛めっき高張力鋼板の製造方法
JP3376590B2 (ja) 伸びフランジ性に優れた高張力合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法
JP3925064B2 (ja) プレス成形性と歪時効硬化特性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JP3967868B2 (ja) 成形性に優れた高強度熱延鋼板及び高強度溶融亜鉛めっき鋼板並びに高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法
JP4301045B2 (ja) 高強度鋼板およびめっき鋼板ならびにそれらの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20001003

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees