JP3125384U - 入浴イス - Google Patents

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智己 永野
克樹 永野
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米商株式会社
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Abstract

【課題】 使用者が浴槽内で無理な力を入れて踏ん張ったりすることなく全身の力を抜いてリラックスすることができる入浴イスのコンパクト化と軽量化などを達成する。
【解決手段】 座板1と、座板1の位置を固定するための定置機構2と、定置機構2を座板1に連結する連結機構5とを備える。連結機構5が関節部6を備えて座板1の傾斜角度が可変となっている。定置機構2は、円板形のゴム板でなる吸盤21と、筐体22と、連結杆23と、操作ハンドル25と、カム7とを有していて、操作ハンドル25の起倒動作を通じて吸盤21を浴槽100の底面に吸着させたりその吸着を解除したりすることができるようになっている。
【選択図】 図1

Description

本考案は入浴イス、特に、入浴中の使用者が力を入れて踏ん張ったりすることなく無理なくその着座姿勢を保つことのできる入浴イスに関する。
従来、この種の入浴イスには、入浴中の人の臀部付近を支える座板とその人の正面に位置している浴槽の内側面との間に筒状の脚部を介在させておき、入浴中の人がその臀部付近を座板に凭せ掛けると、上記脚部が浴槽の内側面に突張ってその人の着座姿勢が保たれるというものがあった(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1によって提案されている入浴イスによると、入洛中の人の体重が座板によって支えられるために、使用者は背中を浴槽の内側面の他の箇所に凭せ掛けておくだけで、無理な力をいれて踏ん張ったりすることなく、全身の力を抜いてリラックスすることができるという利点があるとされている。したがって、このような入浴イスは、健常者が長時間の入浴を楽しみたいというときだけに限らず、身障者が入浴するときの介護用としても有用であると云える。
特許第3793925号公報
しかしながら、特許文献1によって提案されている入浴イスは、使用者の臀部付近が凭せ掛けられる座板と浴槽の内側面との間に長い筒状の脚部が介在されるので、その全体形状がどうしても大形になりやすくて浴槽に設置するときや持ち運びの際の取扱い性が低下するという不都合や、浴槽の中で脚部が入浴中の使用者の邪魔になるといった不都合があった。
本考案は以上の状況の下でなされたものであり、使用者が浴槽内で無理な力をいれて踏ん張ったりすることなく全身の力を抜いてリラックスすることができるものでありながら、特許文献1に示されている筒状の脚部を省略する代わりに浴槽内での当該入浴イスの固定手段として吸盤を用いるということを基本として、その全体形状のコンパクト化を図り、軽量で取扱い性に優れる入浴イスを提供することを目的とする。
また、本考案は、使用者の姿勢や体型に応じた使用状態を適宜選択することのできる入浴イスを提供することを目的とする。
さらに、本考案は、浴槽内での設置箇所の変更などを手軽に行うことのできる入浴イスを提供することを目的とする。
本考案に係る入浴イスは、人体の一部を凭せ掛ける座板と、浴槽の底面に吸着離脱可能な吸盤を備えてその吸盤を浴槽の底面に吸着させることにより上記座板の位置を固定することのできる定置機構と、この定置機構を上記座板に連結する連結機構と、を備えている。
この考案によると、座板を浴槽の底面に定置する手段として、特許文献1によって示されている筒状の脚部に比べてコンパクトに構成することのできる吸盤を備えた定置機構が採用されているので、当該入浴イスの全体形状のコンパクト化を図りやすくなり、軽量化も図りやすくなる。その上、定置機構は、吸盤を浴槽の底面に吸着させることにより座板の位置を固定するというものであるので、使用者が1人で操作することのできる吸盤を着脱する操作を通じて座板の位置を変更することができる。そのため、使用者にとっての使い勝手がよいという利点を備えている。
本考案に係る入浴イスは、上記連結機構が、上記定置機構に対する上記座板の傾斜角度を可変とする関節部を備えていることが望ましい。これによれば、座板の傾斜角度を変えてその座板の向きを使用者の姿勢や体型に合わせることが可能になるので、長時間の入浴を楽しみたい人や身障者にとって特に有益である。
本考案では、上記関節部が、上記定置機構に連結された第1部材及び上記座板に連結された第2部材の2つの部材を相対回動可能に連結している軸体と、2つの上記部材によって形成される角度を固定するためのロック手段とを備える、という構成を採用することが可能であり、これによれば、関節部を小形化して当該入浴イスの全体形状をコンパクトに形成しやすい。
本考案において、上記定置機構は、円板形のゴム板でなる上記吸盤と、この吸盤の外周部に相対摺動自在に載架される環状の座面を有してその吸盤の膨らみ変形を許容する空間を備えた筐体と、上記吸盤の中央部に連結されて上記筐体に具備された孔部を通してその外側へ延び出た連結杆と、上記孔部から突き出た上記連結杆に起倒可能に連結された操作ハンドルと、この操作ハンドルの起倒動作に上記連結杆の昇降動作を連動させることによって、上記吸盤の中央部を初期位置から引き上げてその吸盤を膨らみ変形させる吸盤引上げ作用と膨らみ変形した吸盤を初期形状に復帰変位させる吸盤復帰作用とを行わせるカムと、を備えるものであってもよい。定置機構にこの構成を採用すると、操作ハンドルを起倒動作させることによって吸盤を浴槽の底面に吸着させたりその吸着状態を解除させたりする操作を使用者などが容易に行うことができる。
以上のように、本考案に係る入浴イスは、座板と定置機構とそれら両者を連結している連結機構とからなり、定置機構による座板の位置固定のために吸盤の吸着作用を利用しているので、冒頭に掲げた特許文献1によって提案されている入浴イスに見られる筒状の脚部を設ける必要がなくなって、それだけ当該入浴イスの全体形状がコンパクト化されてその軽量化が図られ、取扱い性も改善される。それにもかかわらず、使用者が無理な力を入れて踏ん張ったりすることなくリラックスした状態で長時間の入浴を楽しむことができるので、健常者にとっては勿論、身障者やその介護者にとっても使用感や使い勝手に優れた入浴イスを提供することが可能になる。
また、連結機構に関節部を具備させたり、ロック機構を具備させたりしたものでは、座板の傾斜角度を使用者の姿勢や体型に合わせて変化させることができるだけでなく、座板の傾斜角度の調整や浴槽内での座板の位置の変更を、使用者や介護者が手間取ることなく短時間で容易に行うことができるという利点もある。
図1は本考案に係る入浴イスAを一部省略して示した平面図、図2は定置機構2の動作状態を示した縦断面図、図3は定置機構2の他の動作状態を示した縦断面図、図4は座板1の傾斜角度可変作用を説明するための概略側面図、図5は使用状態説明図、図6は他の使用状態説明図である。
図1に示した実施形態に係る入浴イスAは、座板1と、座板1を浴槽内の定位置に固定するために用いられる定置機構2と、座板1と定置機構2とを連結している連結機構3とを備えている。
定置機構2は吸盤21を備えていて、この吸盤21を浴槽の底面に吸着させることによって座板1を定位置に固定することができるようになっている。さらに詳細に説明すると、図1〜図3のように、定置機構2は、円板形の厚手のゴム板でなる上記吸盤21の上に、平面視円形で偏平な中空の筐体22を配備し、吸盤21の中央部に連結した連結杆23を上記筐体22の中央部に具備させた孔部24に挿通させてその上方へ突出させてある。この実施形態では、連結杆23が挿通している孔部24を、樹脂成形体でなる筐体22の中央部に取り付けた金属製の口金24aに具備させておくことによって、その孔部24の耐摩耗性や耐久性を高めてある。また、筐体22の孔部24を通してその外側へ延び出た上記連結杆23の端部に操作ハンドル25の基部を連結軸27を介して連結してあり、その連結軸27による連結杆23と操作ハンドル25との連結箇所を支点として、操作ハンドル25を図1及び図2に示した筐体22に重なり合う倒伏姿勢と図3に示した筐体22に対して立ち上がった起立姿勢との間で起倒可能としてある。加えて、図2及び図3に示したように、筐体22にはその外周部に短い筒状の胴部28が備わっていて、その胴部28によって当該筐体22の内部に空間Sを確保させ、さらに、胴部28の下端面を円環状の座面29として形成して、その座面29をゴム板でなる上記吸盤21の外周部に相対摺動自在に載架してある。
この定置機構2には、さらに吸盤21の中央部を引き上げてその吸盤21を膨らみ変形させる吸盤引上げ作用とそのように膨らみ変形した吸盤を初期形状に復帰変位させる吸盤復帰作用とを行わせるカム7が備わっている。図2及び図3のように、図例のカム7は、上記口金24aの上面によって形成されている平坦な第1カム面71と、上記操作ハンドル25の基部に具備させた円弧状の第2カム面72とでなり、第2カム面72の円弧中心位置が上記した連結軸27に対する偏心箇所に定められている。そして、操作ハンドル25が図2に示した倒伏姿勢から図3に示した起立姿勢にまで矢印Xのように引き上げられると、その途中で第2カム面72が連結軸27の周りで回動して第1カム面71に当接した後に第1カム面71と押圧状態で摺動して連結杆23を矢印Yのように引き上げるようになっている。したがって、その逆に、操作ハンドル25が図3に示した起立姿勢から図2に示した倒伏姿勢にまで押し下げられると、その途中で第2カム面72が連結軸27の周りで回動して第1カム面71と押圧状態で摺動した後、その第1カム面71に対する押圧状態が解除される。
一方、上記したように、連結杆23がゴム板でなる吸盤21の中央部に連結されていて、筐体22側の円環状の座面29が吸盤21の外周部に摺動自在に載架されているという構成を採用してあることにより、連結杆23が図3の矢印Yのように引き上げられて上昇すると、それに伴って吸盤21の外周部が上記座面29と摺動してその中央部が引き上げられ、当該吸盤21が図3のように膨らみ変形し(吸盤引上げ作用)てその膨らみ変形が筐体22の内部の空間Sによって許容される。これに対し、吸盤21が図3のように膨らみ変形している状態から図2に示したように連結杆23が引き下げられて下降すると、それまで膨らみ変形していた吸盤21の弾力性によって当該吸盤21が平坦な初期形状に復帰変位する(吸盤復帰作用)。
図1に示されている座板1は表面が平坦な板、又は、使用者の臀部付近を無理なく重ね合わせることのできる表面形状を備えた板状体によって形成されていて、その裏面の横幅方向の中央部が、連結機構5を介して上記した定置機構2の筐体22に連結されている。そして、図例では、連結機構5として、定置機構2に対する座板1の傾斜角度を可変とする関節部6(図4参照、以下同じ)を有する機構を採用してある。すなわち、連結機構5は、定置機構2の筐体22の上面にボルト52によって結合された第1部材51と、座板1の裏面に固着されたアーム状の第2部材53とを備えていて、それらの第1部材51と第2部材53とが関節部6を介して連結されている。そして、関節部6が、第1部材51及び第2部材53の2つの部材を相対回動可能に連結している軸体61と、2つの上記部材によって形成される角度を固定するためのロック手段62とを備えている。この実施形態では、ロック手段62として次の構成を採用している。すなわち、関節部6では、第1部材51及び第2部材53の側面同士を摺動自在に重ね合わせて、その重なり箇所に挿通されている上記軸体61をねじ軸とし、その軸体61に、手による回転操作が可能な蝶ナット63をねじ込むことによって上記ロック手段62を構成してある。したがって、このロック手段62によると、蝶ナット63をねじ込んで第1部材51と第2部材53とを締め付けると、それら2つの部材51,53によって形成される角度が固定されるのに対し、蝶ナット63を緩めると、第1部材51と第2部材53とが軸体61の周りで相対回動可能になってそれら2つの部材51,53によって形成される角度を変更することが可能になる。このようなロック手段62の作用を利用すると、図4に実線で示した座板1の傾斜角度を、同図の一点鎖線や二点鎖線で示したように無段階調節することが可能である。
以上説明した入浴イスAは、たとえば、図5又は図6のように浴槽100の底面110上に設置して使用される。その際、図2又は図3のように、浴槽100の底面110に定置機構2を載置した状態で操作ハンドル25を倒伏姿勢から起立姿勢に引き上げると、上記した吸盤21の膨らみ変形を通じてその吸盤21が底面110に吸着して座板1が定位置に固定され、また、操作ハンドル25を起立姿勢から倒伏姿勢に押し下げると、吸盤21が初期形状に復帰して吸着状態が解除されるので、座板1の位置を自由に変更することか可能である。
また、この入浴イスAの使用状態では、浴槽100の底面110に定置された入浴イスAの座板1に使用者の臀部付近が凭せ掛けられる。このような使用状態を採ると、使用者Mは、座板1によってその臀部付近が支えられているので、無理な力を入れて踏ん張ったりすることなくリラックスした状態で入浴することができる。したがって、身障者であっても、滑って溺れるといった危険を伴わずに安全に入浴することが可能になる。
また、当該入浴イスAの設置位置を変更することによって、図5のように身体の前側に座板1を設置して臀部の前側をその座板1に凭せ掛けたり、図6のように身体の後側に座板1を設置して臀部の後側を座板1に凭せ掛けたりすることを自由に選択することができるために、使用者にとっては必要に応じて都合のよい使い方をすることができるという利点もある。
特に、この実施形態では、連結機構5に関節部6を具備させることによって、座板1の傾斜角度を調節したりその傾斜角度を固定したりする機能を付与してあるので、座板1の傾斜角度を使用者の姿勢や体型に合わせて固定することができるという利便性が得られる。その結果、健常者にとっては勿論、身障者やその介護者にとっても当該入浴イスAを使って楽にかつ安全に入浴することができるようになり、さらに、長時間の入浴に際しても便利である。
この実施形態では、図1〜図3のように、定置機構2の筐体22に門形の把手8を設けてあり、この把手8を手で掴むことができるようにしてある。したがって、片手で掴んだ把手8を押さえた状態で操作ハンドル25を容易に起倒させることができるだけでなく、その把手8を手で掴んで当該入浴イスAを持ち運んだりすることもできる。
本考案に係る入浴イスを一部省略して示した平面図である。 定置機構の動作状態を示した縦断面図である。 定置機構の他の動作状態を示した縦断面図である。 座板の傾斜角度可変作用を説明するための概略側面図である。 使用状態説明図である。 他の使用状態説明図である。
符号の説明
A 入浴イス
1 座板
2 定置機構
5 連結機構
6 関節部
7 カム
21 吸盤
22 筐体
23 連結杆
24 孔部
25 操作ハンドル
29 座面
51 第1部材
53 第2部材
61 軸体
62 ロック手段
100 浴槽
S 空間

Claims (4)

  1. 人体の一部を凭せ掛ける座板と、浴槽の底面に吸着離脱可能な吸盤を備えてその吸盤を浴槽の底面に吸着させることにより上記座板の位置を固定することのできる定置機構と、この定置機構を上記座板に連結する連結機構と、を備えていることを特徴とする入浴イス。
  2. 上記連結機構が、上記定置機構に対する上記座板の傾斜角度を可変とする関節部を備える請求項1に記載した入浴イス。
  3. 上記関節部が、上記定置機構に連結された第1部材及び上記座板に連結された第2部材の2つの部材を相対回動可能に連結している軸体と、2つの上記部材によって形成される角度を固定するためのロック手段とを備える請求項2に記載した入浴イス。
  4. 上記定置機構は、円板形のゴム板でなる上記吸盤と、この吸盤の外周部に相対摺動自在に載架される環状の座面を有してその吸盤の膨らみ変形を許容する空間を備えた筐体と、上記吸盤の中央部に連結されて上記筐体に具備された孔部を通してその外側へ延び出た連結杆と、上記孔部から突き出た上記連結杆に起倒可能に連結された操作ハンドルと、この操作ハンドルの起倒動作に上記連結杆の昇降動作を連動させることによって、上記吸盤の中央部を初期位置から引き上げてその吸盤を膨らみ変形させる吸盤引上げ作用と膨らみ変形した吸盤を初期形状に復帰変位させる吸盤復帰作用とを行わせるカムと、を備える請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載した入浴イス。
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