JP3125263B2 - 半導体磁器用仮焼粉体の粒径制御方法及び半導体磁器の製造方法 - Google Patents

半導体磁器用仮焼粉体の粒径制御方法及び半導体磁器の製造方法

Info

Publication number
JP3125263B2
JP3125263B2 JP07311665A JP31166595A JP3125263B2 JP 3125263 B2 JP3125263 B2 JP 3125263B2 JP 07311665 A JP07311665 A JP 07311665A JP 31166595 A JP31166595 A JP 31166595A JP 3125263 B2 JP3125263 B2 JP 3125263B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
calcined powder
semiconductor porcelain
semiconductor
compound
particle size
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP07311665A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09132458A (ja
Inventor
喜佳 田中
典之 神津
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiyo Yuden Co Ltd
Original Assignee
Taiyo Yuden Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiyo Yuden Co Ltd filed Critical Taiyo Yuden Co Ltd
Priority to JP07311665A priority Critical patent/JP3125263B2/ja
Publication of JPH09132458A publication Critical patent/JPH09132458A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3125263B2 publication Critical patent/JP3125263B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Inorganic Insulating Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば粒界層型コンデ
ンサ等に用いられる半導体磁器の製造方法及びこれに用
いる仮焼粉体の粒径制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックコンデンサやバリスタ等には
半導体セラミック材料の焼成体である半導体磁器を用い
ることが行われている。例えば半導体磁器コンデンサ
は、半導体セラミック材料に有機バインダーを加えて造
粒し、この造粒物を圧縮成形した後、還元性雰囲気中で
焼成して半導体セラミック焼成体である半導体磁器板を
作成し、その両面に焼付け塗膜等により電極を形成した
ものである。
【0003】この半導体磁器用材料として用いられる例
えばSrTiO3 系半導体セラミック材料は、次のよう
にして製造される。まず、炭酸ストロンチウム(SrC
3 )、酸化チタン(TiO2 )等の誘電体原料粉末を
SrTiO3 となるような比率で配合し、その配合物を
水とともにボールミルにより撹拌混合する。ついで、得
られたスラリーを乾燥させ、それから大気中、950℃
〜1300℃で焼成する、いわゆる仮焼を行なう。次
に、この得られた仮焼粉末に対して、SiO2 、Al2
3 等の焼結助剤及び原子価制御剤を添加し、その配合
物を上記と同様にして撹拌混合する。そしてこの混合物
を用いて上記のように成形体を得てこれを還元雰囲気中
で焼成することにより半導体磁器が得られるが、これを
上記の半導体磁器コンデンサの磁器として使用した場合
には、その静電容量等の電気的特性は、組成、結晶粒径
及び粒界構造により大きく影響される。例えば半導体磁
器の表面に絶縁物を塗布し、これを加熱して結晶粒界に
絶縁物を拡散させ、結晶粒子と絶縁粒界層により構成さ
れた半導体磁器を用いた粒界層型コンデンサは、コンデ
ンサと抵抗体の直列接続回路の複数をマトリックス状に
接続した等価回路で表すことができ、その静電容量
(C)は、粒界絶縁層の比誘電率(ε)、粒界層の厚み
(t)、見掛け誘電率(εr )及び焼成体の結晶粒径
(D)から、C=(εr ・S)/d=K・(S・D・
ε)/(d・t)(Kは定数、dはコンデンサの厚み、
Sはコンデンサの電極表面積である。)により求められ
るので、静電容量は粒界絶縁層の比誘電率と結晶粒径を
制御することによって変えることができ、特に結晶粒径
を制御するこにより静電容量を変化させることができる
点が注目される。結晶粒径を制御するには、従来、Ca
CO3 やAl23 などの粒径制御剤を添加し、半導体
セラミック磁器の素地の組成を変化させる方法が一般的
に用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに粒径制御剤を添加し、粒径を制御する方法は、結晶
粒径を大きくすることができるが、粒径制御剤が焼成体
中に不純物として結晶粒界中に析出するため、その添加
量の変化により粒界絶縁層の比誘電率を低下させたり、
絶縁抵抗を低下させるなどの電気特性の劣化を招くとい
う問題がある。これを防止するためには、粒径制御剤を
高い精度で秤量するとともに、これを均一に分散させる
ことが重要であるがこれを工業的製造工程で実現するこ
とは困難である。これを改善するために、特開平7−5
7957号公報には、セラミック原料粉体に、これと同
一組成を有しかつ平均粒径がこのセラミック原料粉体の
2〜50倍の種結晶を0.1〜20重量の範囲で添加し
て焼結する方法が提案されているが、この方法は、所定
の大きさの種結晶を別に作成する必要があり、工程が多
くなり生産性が良くないという問題や、その工程も面倒
であるという問題がある。これらの問題を解決するため
に、仮焼粉体の平均粒径をいわゆる空気透過法により求
めた値で0.5〜3μmに制御することにより、その仮
焼粉体を用いて得た半導体磁器の素地の結晶粒径を制御
する半導体磁器の製造方法を特願平7−179582号
明細書に示した。この方法は、例えばSrTiO3 系半
導体セラミック材料の場合、好ましくは1030〜12
50℃の範囲内で仮焼温度を変えることにより、Sr/
Ti比が0.993〜0.999においてその仮焼粉体
粒子径を変えることができ、一方仮焼粉体粒子径とその
仮焼粉体を用いて得た半導体磁器の素地の粒径との間に
は相関関係があり、これらにより仮焼粉体粒子径を制御
することにより半導体磁器の結晶粒径を制御できるもの
であるが、仮焼温度に対する仮焼粉体粒子径の変化が大
き過ぎるのみならず、Sr/Ti比の0.993〜0.
999におけるその比に対する仮焼粉体粒子径の変化が
大き過ぎるため、所定の半導体磁器の結晶粒径を得るた
めにはそのコントロールを精度良く行なえないとがあ
り、その改善が望まれていた。
【0005】本発明の第1の目的は、粒径制御剤を多量
に用いることなく、半導体磁器の結晶粒径を制御できる
半導体磁器の製造方法及びそのための仮焼粉体の粒径制
御方法を提供することにある。本発明の第2の目的は、
仮焼粉体粒子径の精度の良い制御方法及びこれにより半
導体磁器の結晶粒径を制御できる半導体磁器の製造方法
を提供することにある。本発明の第3の目的は、別に新
たな工程を設けることなく、通常の工程で製造できる半
導体磁器の製造方法及びそのための仮焼粉体の粒径制御
方法を提供することにある。本発明の第4の目的は、上
記目的を達成する半導体磁器を用いて静電容量等の電気
特性に優れ、性能の安定した電子部品を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、(1)、半導体セラミック原料粉末から
仮焼粉体を得る仮焼工程を有し、半導体磁器の製造に用
いられる仮焼粉体を得る仮焼粉体の粒径制御方法であっ
て、上記仮焼工程を少なくとも上記半導体セラミック原
料粉末に原子価制御剤を添加する工程よりも後に行ない
上記仮焼粉体の平均粒子径を該仮焼粉体の充填層を透過
する空気量から求められる空気透過法により得られた値
で0.5〜3μmに制御する半導体磁器用仮焼粉体の粒
径制御方法を提供するものである。また、本発明は、
(2)、上記(1)の半導体磁器用仮焼粉体の粒径制御
方法により制御された仮焼粉体を用いた成形体の焼成体
からなる半導体磁器を得る工程を有し、該粒径制御によ
り半導体磁器の素地の結晶粒径を制御する半導体磁器の
製造方法、()、半導体セラミック原料粉末がSrT
iO3 系原料粉末であり、原子価制御剤がY化合物及び
Nb化合物の少なくとも1種である上記(2)の半導体
磁器の製造方法、()、原子価制御剤がY化合物であ
り、該Y化合物がY23 に換算してSrTiO3 系原
料粉末に対して0.05〜3.0モル%添加される上記
)の半導体磁器の製造方法、()、原子価制御剤
がY化合物であり、該Y化合物がY23 に換算してS
rTiO3 系原料粉末に対して0.2〜1.0モル%添
加される上記()の半導体磁器の製造方法、()、
原子価制御剤がNb化合物であり、該Nb化合物がNb
25 に換算してSrTiO3 系原料粉末に対して0.
01〜3.0モル%添加される上記()の半導体磁器
の製造方法、()、原子価制御剤がNb化合物であ
り、該Nb化合物がNb25 に換算してSrTiO3
系原料粉末に対して0.05〜1.0モル%添加される
上記()の半導体磁器の製造方法、()、(Sr,
Y)/Ti比が0.993〜0.999である上記
)又は()の半導体磁器の製造方法、()、S
r/(Ti,Nb)比が0.993〜0.999である
上記()又は()の半導体磁器の製造方法、(1
0) 仮焼温度が950〜1300℃である上記(1)
の半導体磁器用仮焼粉体の粒径制御方法、(11)、
焼温度が950〜1300℃である上記()ないし
)のいずれかの半導体磁器の製造方法を提供するも
のである。
【0007】本発明において、半導体セラミック原料粉
末としては、例えばSrTiO3 系半導体セラミック材
料の場合には、炭酸ストロンチウム(SrCO3 )、酸
化チタン(TiO2 )等のSrTiO3 系原料粉末が挙
げられる。SrTiO3 系原料粉末とは、SrTiO3
を主成分としているもので、例えばSrの一部をCa、
Ba等の物質を用いてもかまわなく、また、Tiの一部
をZr等の物質を用いてもかまわない。また、原子価制
御剤としては、例えばY(イットリウム)化合物及びN
b(ニオブ)化合物の少なくとも1種が挙げられるが、
La、Ce、Ta、W等の物質を用いてもかまわない。
Y化合物としては酸化物、水酸化物及びフッ化物、塩化
物等のハロゲン化物などの少なくとも1種が挙げられ、
Nb化合物としては酸化物及びフッ化物、塩化物等のハ
ロゲン化物などの少なくとも1種が挙げられる。Y化合
物及びNb化合物の少なくとも1種としては、例えばY
2 3 及びNb2 5 の少なくとも1種が挙げられる。
SrTiO3 系半導体セラミック材料の場合、前者はS
rに置換し、後者はTiに置換する。SrTiO3 系原
料に対する添加割合としては、Y化合物がY2 3 に換
算してSrTiO3 系原料粉末に対して0.05〜3.
0モル%が好ましい。また、Nb化合物がNb2 5
換算して0.01〜3.0モル%が好ましい。それぞれ
の原子価制御剤が上記値未満ではその添加による仮焼粉
体の粒子系の制御効果が少なく、また、上記値以上であ
ると原子価制御剤の一部がSrTiO3 系原料粉末中に
固溶しきれず、焼結性が悪化(試料をインク中に浸漬し
た後、引き上げ、さらに水洗したものについて目視によ
りインクあとが確認される)する。さらに好ましくは、
Y化合物がY2 3 に換算してSrTiO3 系原料粉末
に対して0.2〜1.0モル%の範囲であり、Nb化合
物がNb2 5 に換算して0.05〜1.0モル%の範
囲であり、これらの範囲で顕著な添加効果(仮焼粉体の
粒子制御効果)が得られる。これらは上述したように、
混合粉砕され、乾燥され、ついで仮焼される。その仮焼
温度は950〜1300℃、さらに好ましくは1030
〜1250℃である。この際、SrTiO3 系原料粉末
に対する上記Y2 3 添加系、Nb2 5 添加系におけ
る仮焼温度1130℃でのそれぞれの原子価制御剤のモ
ル比に対する後に詳述する空気透過法で測定した仮焼粒
子径の変化は、例えば図9、10に示される。これらの
図を見れば、Y2 3 添加系及びNb2 5 添加系の両
方ともに原子価制御剤を増すことにより仮焼粉体粒子径
は小さくなっていることがわかり、特に原子価制御剤を
添加していない系で急激な変化を示した(Sr,Y)/
Ti比又はSr/(Ti,Nb)比(以下、A/B比と
いう)のY、Nbが0の場合のSr/Ti比が0.99
3〜0.999の範囲において効果が大きくなってい
る。このことより、このA/B比範囲において原子価制
御剤のSrTiO3系原料に対する添加が仮焼反応の抑
制に有効であることがわかる。
【0008】次に、SrTiO3 系原料に対する上記Y
2 3 添加系及びNb2 5 添加系において、仮焼温度
1130℃と1230℃におけるA/B比0.998に
おけるそれぞれの原子価制御剤添加量に対する仮焼粉体
粒子径の変化は、図11に示される。これによれば、原
子価制御剤の添加量が増加するのに従って仮焼温度の変
化に対する仮焼粉体粒子径の変化が小さくなっており、
仮焼粉体粒子径と素地結晶粒径との関係は上述の特願平
7−179582号明細書に記載した仮焼温度を変えた
ときの挙動と同様に相関関係がある。原子価制御剤に対
する核生成密度の関係を求めると、図12に示すよう
に、原子価制御剤の添加量を増加することにより核生成
密度を増加することができる。この図12に示す原子価
制御剤添加量と核生成密度の関係、さらに図2、4に示
した仮焼粉体粒子径と素地結晶粒径の関係をまとめる
と、原子価制御剤添加量を増加すると仮焼粉体粒子径は
小さくなり、核生成密度は高くなり、その結果として素
地結晶粒径は小さくなる。これは原子価制御剤を添加し
ない系で仮焼温度を変化したのと同じ効果であり、原子
価制御剤を添加することで仮焼温度の変化に対する仮焼
粉体粒子径の変化を小さくすることができ、仮焼粉体粒
子径の制御に対して有効である。このようにして仮焼粉
体の粒径は制御できるが、その粒径を空気透過法で測定
すると、その操作が簡単で能率的に行えるので、半導体
磁器を工業的生産工程で生産し、その品質を管理する場
合には好ましい。
【0009】この空気透過法は、図6に示すように、本
体管1内に、上端をその内壁で塞ぎ下方を陥入して下端
に膨出部2aを有しその両側に透孔2b、2bを備えた
内管2を設けるととにも、本体管1に、その下端に排水
管3、その中間に側管4、導水管5をそれぞれ設け、排
水管3には排水コック3aを介して排水受3bを連結
し、これからビーカ3cに注水可能にし、上記導水管5
には四方コック5aを介して貯水ビン6を設け、さらに
多孔板7a、濾紙7b、粒径を測定しようとする仮焼粉
体からなる試料層7c、濾紙7dを順次重ねて収容し図
示省略したプランジヤで充填した断面積2cm2 の試料
筒8を設けた装置において、図7に示すように、四方コ
ック5aを開いて貯水ビン6から水を側管4の標線Sに
達するまで入れてそのコックを閉じ、試料筒8を本体管
1にワセリン等を介して嵌合密着させる。つぎに、図8
に示すように排水コック3aを開いて試料層7cを通過
した空気量Qを側管4の液面の変化で読み取る。このと
きの圧力差ΔPを透孔2a、2aと排水受3bの液面と
の間の高さに採り、これらから下記〔数1〕により比表
面積を求め、これからさらに下記〔数2〕により平均粒
子径を求める。なお、この装置は、島津粉体比表面積測
定装置SS−100型((株)島津製作所製)として知
られている。
【0010】
【数1】 (式中、Swは試料の粉体の比表面積(cm2 /g)、
εは試料層7cの空隙率、ρは試料の粉体の密度(g/
cm3 )、ηは空気の粘性係数(g/cm・sec)、
Lは試料層の厚さ(cm)、Qは試料層透過空気量(c
c)、ΔPは試料層の両端の圧力差(g/cm2 )、A
は試料層の断面積(cm2 )、tはQccの空気が試料
層を透過するに要する時間(sec)、Wは試料の粉体
の重量(g)、εは1−(W/(ρAL))を表す。)
【0011】
【数2】 (式中、dmは平均粒子径、ρは試料の粉体の密度(g
/cm3 )、Swは試料の粉体の比表面積(cm2
g)を示す。)
【0012】上記式において、Q、t、ΔP以外は試料
や装置により定まるので、これらに上記装置から求めた
Q、t、ΔPを代入し、試料の平均粒子径が求められ
る。なお、上記〔数1〕はKozeny−Oarman
の式として知られている。
【0013】上記空気透過法により求めた仮焼粉体の平
均粒子径は、0.5μm〜3μmの範囲のものを用いる
ことが好ましく、その平均粒径が0.5μm未満ではこ
の仮焼粉体を用い焼成して得られた半導体磁器の素地の
結晶粒径が小さくなり過ぎ、コンデンサとした場合良い
静電容量等の電気特性が得られず、その平均粒径が3μ
mより大きいものを用いると焼成により焼結性が良くな
い。
【0014】
【発明の実施の形態】以下の実施例で説明する。
【0015】
【実施例】次に本発明の実施例を説明する。 実施例1 原料であるSrCO3 、TIO2 に原子価制御剤として
2 3 、Nb2 5をそれぞれ表1に示した配合比で
加え、さらに水を加えて15時間撹拌し、これを乾燥し
た後に仮焼温度1130℃として仮焼し、得られた仮焼
粉体の粒子径を上記空気透過法により測定した。それぞ
れの配合比で仮焼した仮焼粉体の平均粒子径を表2に示
す。それぞれの仮焼粉体にSiO2 、Al23 等の焼
結助剤を一定量添加し、上記と同様に湿式混合を行い、
10〜15重量%のポリビニルアルコール溶液を有機結
合剤として加えて混練、造粒し、約1トン/cm2 の圧
力で成形を行い、直径8mm、厚さ0.5mmのそれぞ
れの円板成形体を得た。次にそれぞれの円板成形体を脱
脂した後、窒素98.5vol%、水素1.5vol%
の還元雰囲気中で常温から2時間焼成した。得られたそ
れぞれの焼成体の素地を鏡面研磨後化学エッチングし、
その表面を光学顕微鏡200倍で写真撮影した。図1に
その顕微鏡写真の模写図を示す。この写真から、実際の
素地結晶粒径に換算して5μm以上の結晶粒子を粒成長
粒子としてこれらの粒子の長径(例えば図1のD)を測
定し、その平均値を焼結体素地結晶の平均結晶粒径と
し、表2に示した。また、これらの平均結晶粒径と、上
記で求めた対応する仮焼粉体の粒径との関係を図2に示
す。この図より、仮焼粉体の粒径が大きくなるに従って
平均結晶粒径が大きくなっており、仮焼粉体の粒径で焼
成体素地の結晶粒径が制御できることがわかる。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】次に、上記のそれぞれの焼成体の表面に酸
化鉛、酸化ビスマス等の金属酸化物と有機結合剤及び溶
剤からなる金属酸化物含有ペーストを塗布し、大気中1
000〜1200℃の温度で熱処理し、それぞれの焼成
体の素地の結晶粒界を酸化させた後、それぞれの焼成体
の両主面に銀電極材料ペーストを塗布し、焼付けて半導
体磁器コンデンサとしてそれぞれの粒界層型コンデンサ
素子を得た。得られたそれぞれの粒界層型コンデンサ素
子について、静電容量を測定し、電極の単位面積当たり
の取得容量を算出し、その結果を表2に示す。また、そ
れぞれの粒界層型コンデンサ素子についての静電容量
と、それぞれの粒界層型コンデンサ素子を得る際に使用
したそれぞれの仮焼粉体の上記した平均粒径の関係を図
3に示す。図3より、仮焼粉体粒子径が小さくなるに従
い焼成体の静電容量が低くなることがわかり、その焼成
体は粒界絶縁化半導体コンデンサの磁器に用いることに
より、その手法が粒界絶縁化半導体コンデンサの静電容
量調整に有効であることがわかる。また、この手法はそ
の他の例えば半導体磁器の素地の結晶粒径に特性が依存
するようなバリスタ等の電子部品にも有効である。
【0019】実施例2 実施例1において、仮焼温度を1250℃としたこと以
外は同様にしてそれぞれの仮焼粉体を得てその粒子径を
実施例1と同様に空気透過法に測定し、その結果を表3
に示す。このそれぞれ得られた仮焼粉体を用いた以外は
実施例1と同様にしてそれぞれの焼成体を得、その各々
について実施例1と同様に素地結晶の平均結晶粒径を測
定し、その結果を表3に示す。また、これらの平均結晶
粒径と、上記で求めた対応する仮焼粉体の粒径との関係
を図4に示す。これらの結果から、実施例1についてい
えることが同様に言えることがわかる。
【0020】
【表3】
【0021】上記において得られたそれぞれの焼成体に
ついて実施例1と同様に粒界酸化を行い、そのそれぞれ
の焼成体について単位面積当たりの静電容量を測定し、
その値と実施例1で求めた対応する仮焼粉体粒子径の関
係を図5に示す。図5より、図4についていえることと
同様なことが言えることがわかる。上記実施例から、原
子価制御剤の半導体セラミック原料粉末への添加と仮焼
温度の調節により仮焼粉体粒子径を制御する手法により
焼結体素地結晶粒径制御ができることがわかる。
【0022】比較例1 実施例1において、表に示す原料を用い、原子価制御
剤を用いなかった以外は同様にして仮焼粉体を得、さら
にこれを用いた以外は同様にして焼成体を得、これにつ
いても実施例1と同様に測定した結果を表2に示すとと
もに、図2、3に示す。
【0023】比較例2 実施例2において、比較例1と同様の原料を用い、原子
価制御剤を用いなかった以外は同様にして仮焼粉体を
得、さらにこれを用いた以外は同様にして焼成体を得、
これについても実施例1と同様に測定した結果を表3に
示すとともに、図4、5に示す。これら比較例と実施例
を比較すると、仮焼温度に対して仮焼粉体の粒子径は後
者の方が抑制されていることがわかる。上記(1)の発
明において「半導体磁器」を「粒界層型コンデンサ素子
用半導体磁器」とし、各構成要件について上述の限定条
件を付しても良い。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、原子価制御剤を原料粉
末に添加することにより仮焼粉体粒子径を制御し、これ
によりその仮焼粉体を用いて得た焼成体の半導体磁器の
素地結晶粒径を制御するようにしたので、粒径制御剤を
多量に用いることなく、粒径を制御することができる半
導体磁器を別に新たな工程を設けることなく、通常の工
程で製造することができることにより、これを用いて静
電容量等の電気特性を制御し、性能の安定したコンデン
サ等の電子部品を提供することができるとともに、その
製造も容易であり生産性を害するということもない。ま
た、原子価制御剤を用いたので、これを用いない場合に
比べ、仮焼粉体の粒子径の変化は仮焼温度あるいは例え
ばSrTiO3 系材料の場合のSr/Ti比に対して抑
制される結果、仮焼粉体の粒子径をこれらの製造条件に
対して半導体磁器の素地の結晶粒径を制御することがで
き、特性の安定した電子部品を提供することができる。
そして、仮焼粉体の粒径を空気透過法で測定するので、
その操作が簡単で能率的に行なうことができ、半導体磁
器を工業的生産工程で生産し、その品質を管理する場合
には好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の一実施例により得られた焼成体
の顕微鏡写真の模写図である。
【図2】その実施例の結果を示すグラフである。
【図3】その実施例の他の結果を示すグラフである。
【図4】本発明の方法の他の実施例の結果を示すグラフ
である。
【図5】その実施例の他の結果を示すグラフである。
【図6】平均粒径を求める空気透過法に使用する装置の
説明図である。
【図7】その一使用過程を示す説明図である。
【図8】その他の使用過程を示す説明図である。
【図9】原子価制御剤添加系(Y2 3 添加系)におけ
るモル比と仮焼粉体粒子系の関係を示すグラブである。
【図10】原子価制御剤添加系(Nb2 5 添加系)に
おけるモル比と仮焼粉体粒子系の関係を示すグラブであ
る。
【図11】原子価制御剤添加量と仮焼粉体粒子系の関係
を示すグラフである。
【図12】原子価制御剤添加量と核生成密度の関係を示
すグラフである。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/00 C04B 35/46 - 35/499

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体セラミック原料粉末から仮焼粉体
    を得る仮焼工程を有し、半導体磁器の製造に用いられる
    仮焼粉体を得る仮焼粉体の粒径制御方法であって、上記
    仮焼工程を少なくとも上記半導体セラミック原料粉末に
    原子価制御剤を添加する工程よりも後に行ない上記仮焼
    粉体の平均粒子径を該仮焼粉体の充填層を透過する空気
    量から求められる空気透過法により得られた値で0.5
    〜3μmに制御する半導体磁器用仮焼粉体の粒径制御方
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の半導体磁器用仮焼粉体
    の粒径制御方法により制御された仮焼粉体を用いた成形
    体の焼成体からなる半導体磁器を得る工程を有し、該粒
    径制御により半導体磁器の素地の結晶粒径を制御する半
    導体磁器の製造方法。
  3. 【請求項3】 半導体セラミック原料粉末がSrTiO
    3 系原料粉末であり、原子価制御剤がY化合物及びNb
    化合物の少なくとも1種である請求項に記載の半導体
    磁器の製造方法。
  4. 【請求項4】 原子価制御剤がY化合物であり、該Y化
    合物がY23 に換算してSrTiO3 系原料粉末に対
    して0.05〜3.0モル%添加される請求項に記載
    の半導体磁器の製造方法。
  5. 【請求項5】 原子価制御剤がY化合物であり、該Y化
    合物がY23 に換算してSrTiO3 系原料粉末に対
    して0.2〜1.0モル%添加される請求項に記載の
    半導体磁器の製造方法。
  6. 【請求項6】 原子価制御剤がNb化合物であり、該N
    b化合物がNb25 に換算してSrTiO3 系原料粉
    末に対して0.01〜3.0モル%添加される請求項
    に記載の半導体磁器の製造方法。
  7. 【請求項7】 原子価制御剤がNb化合物であり、該N
    b化合物がNb25 に換算してSrTiO3 系原料粉
    末に対して0.05〜1.0モル%添加される請求項
    に記載の半導体磁器の製造方法。
  8. 【請求項8】 (Sr,Y)/Ti比が0.993〜
    0.999である請求項又はに記載の半導体磁器の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 Sr/(Ti,Nb)比が0.993〜
    0.999である請求項又はに記載の半導体磁器の
    製造方法。
  10. 【請求項10】 仮焼温度が950〜1300℃である
    請求項1に記載の半導体磁器用仮焼粉体の粒径制御方
  11. 【請求項11】 仮焼温度が950〜1300℃である
    請求項ないしのいずれかに記載の半導体磁器の製造
    方法。
JP07311665A 1995-11-07 1995-11-07 半導体磁器用仮焼粉体の粒径制御方法及び半導体磁器の製造方法 Expired - Fee Related JP3125263B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP07311665A JP3125263B2 (ja) 1995-11-07 1995-11-07 半導体磁器用仮焼粉体の粒径制御方法及び半導体磁器の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP07311665A JP3125263B2 (ja) 1995-11-07 1995-11-07 半導体磁器用仮焼粉体の粒径制御方法及び半導体磁器の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09132458A JPH09132458A (ja) 1997-05-20
JP3125263B2 true JP3125263B2 (ja) 2001-01-15

Family

ID=18020016

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP07311665A Expired - Fee Related JP3125263B2 (ja) 1995-11-07 1995-11-07 半導体磁器用仮焼粉体の粒径制御方法及び半導体磁器の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3125263B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102022132543A1 (de) 2021-12-15 2023-06-15 H.C. Starck Tungsten Gmbh Verfahren und Apparatur zur Bestimmung des Äquivalentdurchmessers von Pulverpartikeln

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102022132543A1 (de) 2021-12-15 2023-06-15 H.C. Starck Tungsten Gmbh Verfahren und Apparatur zur Bestimmung des Äquivalentdurchmessers von Pulverpartikeln
EP4198491A1 (de) * 2021-12-15 2023-06-21 H.C. Starck Tungsten GmbH Verfahren und apparatur zur bestimmung des äquivalentdurchmessers von pulverpartikeln
WO2023110587A1 (de) 2021-12-15 2023-06-22 H. C. Starck Tungsten GmbH Verfahren und apparatur zur bestimmung des äquivalentdurchmessers von pulverpartikeln

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09132458A (ja) 1997-05-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101489952B (zh) 电介质陶瓷、及陶瓷电子部件、以及叠层陶瓷电容器
JP3435607B2 (ja) 非還元性誘電体磁器組成物
JPH11322415A (ja) チタン酸バリウム粉末、および半導体セラミック、ならびに半導体セラミック素子
JP3125263B2 (ja) 半導体磁器用仮焼粉体の粒径制御方法及び半導体磁器の製造方法
JP3087644B2 (ja) 誘電体磁器組成物
JP3493591B2 (ja) 半導体磁器の製造方法
JP2689439B2 (ja) 粒界絶縁型半導体磁器素体
JP2005194150A (ja) 圧電セラミックス
JPH04188504A (ja) 誘電体磁器組成物
JPS62123064A (ja) 誘電体磁器組成物
JP3385631B2 (ja) 非還元性誘電体磁器組成物
JP3368599B2 (ja) 非還元性誘電体磁器組成物
JP3385630B2 (ja) 非還元性誘電体磁器組成物
JP3321929B2 (ja) 電子部品
CN116092828A (zh) 电介质组合物和电子部件
JP3289378B2 (ja) 高誘電率誘電体磁器組成物
JPH05262556A (ja) 誘電体磁器の製造方法
JPS6317253A (ja) 誘電体磁器組成物
JPS62123060A (ja) 誘電体磁器組成物
JPH07110782B2 (ja) 誘電体磁器組成物
JPS6317254A (ja) 誘電体磁器組成物
JPH07101659B2 (ja) 誘電体磁器組成物および積層コンデンサ素子
JPS6287454A (ja) 誘電体磁器組成物
JPS6317251A (ja) 誘電体磁器組成物
JPH06104587B2 (ja) 誘電体磁器組成物およびその製法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20000919

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081102

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees