JP3124028B2 - 還元的にグリコシル化されたn―末端アミノ酸に向けられた抗原を使用するグリコシル化されたタンパクの免疫学的測定法 - Google Patents

還元的にグリコシル化されたn―末端アミノ酸に向けられた抗原を使用するグリコシル化されたタンパクの免疫学的測定法

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 本発明は、グリコシル化されたタンパクを検出及び定
量する方法に関する。更に詳しくは、本発明は、そのア
ミノ末端(N−末端)アミノ酸上でグリコシル化された
タンパクを検出及び定量するための免疫学的測定法に関
する。かかるタンパクの1つは、ヘモグロビンA1C(HbA
1C)であって、本発明は、特にHbA1Cを検出及び定量す
るための免疫学的測定法に向けられている。本発明は、
また、本発明の免疫学的測定法で使用される還元された
グリコシル化N−末端アミノ酸に特異的な抗体及びこれ
ら抗体を作るための免疫原及び方法に関する。
生体内でのタンパクのグリコシル化(「グリケーショ
ン」ともいう)は、酵素的かまたは非酵素的かのいずれ
かで起こり得る。非酵素的なグリコシル化においては、
糖は、タンパクの中の有効なリジン残基のε−アミノ基
または近づき易いアミノ末端(N−末端)アミノ酸のα
−アミノ基と共有結合でカップリングする。
タンパクのグルコースとの非酵素的なグリコシル化は
2段階で進行する。まず、グルコースがリジンまたはN
−末端アミノ酸のアミノ基と結合して、アルジミン化合
物(1種のシッフ塩基)を形成する。この反応は可逆反
応であり、容易に未修飾タンパクとグルコースに解離す
る。次に、アルジミン中間体は、アマドリ転位によって
安定なケトアミン誘導体(1−デオキシフルクトース)
に転化する。最終的に、数週間を要してケトアミン誘導
体のフリーのカルボニルがグリコシル化タンパク及び隣
接タンパクの間に架橋を形成し、得られた凝集塊が高グ
リコシル化生成物と呼ばれる。
非酵素的なグリコシル化は、通常の哺乳類で起こり、
糖尿病患者において広範囲に起こる。糖尿病に苦しむ患
者は通常の方法でグルコースを代謝することができない
ので、血中及び尿中においてグルコースの量が増加す
る。かかるグリコシル化は正常個体においてよりも糖尿
病個体において広範囲に起こるとはいえ、糖尿病個体及
び正常個体において、グルコースは、ヘモグロビン、コ
ラーゲン、アルブミン、水晶体、フィブリノーゲン、リ
ポタンパク、フェリチン、ミエリン、トランスフェリ
ン、及びイムノグロブリンを包む多くのタンパクのアミ
ノ基に非酵素的に結合することが分かってきた。
糖尿病患者におけるグリコシル化タンパクの定量的測
定は2つの理由で臨床的に重要である。第1に、グリコ
シル化タンパク濃度の測定は長期間にわたる血中グルコ
ース濃度のモニタリングを可能にし、かつ、糖尿病患者
の代謝コントロールの評価を可能にする。平均血中グル
コース濃度を決める期間は、所定の被分析タンパクが正
常に血液循環中に存在している期間の長さに大きく拘束
される。通常、トランスフェリン及びヒト血清アルブミ
ンは、短期間から中期間、血液循環中に存在し(トラン
スフェリンの半減期は約8日で、アルブミンの半減期は
約10〜14日である)、そのグリコシル化体の測定は短期
間糖血症から中間期間糖血症を評価する手段を提供す
る。通常、ヘモグロビンは血液循環中に長期間存在し
(ヘモグロビンの半減期は約2〜3ヵ月である)、グリ
コシル化ヘモグロビンの測定は、長期間糖血症を評価す
る手段を提供する。
第2に、非酵素的なグリコシル化は、加速性白内障形
成(水晶体タンパクの増進したグリコシル化生成物によ
る)及び心臓、脳、眼、腎臓、及び抹消の血管を狭くす
る一因であるアテローム発生(動脈血管壁上でのリポタ
ンパクエンラップメントによる)を含む慢性糖尿病合併
症の発生と関わってきた。従って、グリコシル化タンパ
ク及びそれらの増進した生成物の測定は、慢性高血糖症
に包含される病理学的続発症における予後徴候評価法の
一部であるということができる。
ヒトヘモグロビンの主成分(総ヘモグロビンの約80〜
90%)はHbA0である。それは2つのα鎖及び2つのβ鎖
を含む4部分構造を有する。HbA0はそのN−末端アミノ
酸でグリコシル化されない。イオン交換クロマトグラフ
ィーで単離したHbA0試料は、リジンの有効なε−アミノ
基上でグリコシル化されたHbA0分子が小さな割合で含ま
れていることを示している。
HbA1a1、HbA1a2、HbA1b及びHbA1cは、β鎖のN−末端
バリン残基と共有結合している糖残基の存在を除いて
は、HbA0と構造上同一性のあるヒトヘモグロビンの微量
成分である。HbA1a1、HbA1a2及びHbA1cのバリン残基と
結合している糖残基は、それぞれ、フルクトース・ジホ
スフェート、グルコース−6−ホスフェート及び1−デ
オキシフルクトースである。HbA1bにおいてバリンと結
合している糖は知られていない。
正常人においては、総ヘモグロビンの約4〜5%がHb
A1cであるが、糖尿病患者においてはその量は実質的に
高く、一般には約8〜10%であるが時には20%になるこ
ともある。また、その濃度は糖尿病コントロールとの関
連で幅広く変化する。
HbA1cは、臨床上の目的で最も頻繁に測定されるグリ
コシル化タンパクであり、それを測定するため多くの試
験方法が開発されてきた。例えば、ファース(Furt
h)、Analytical Biochemistry,175,347−60(1988);
ピーコック(Peacock)、J.Clin.Pathol.,37,841−51
(1984);ミーデマ(Miedema)及びカスパリー(Caspa
rie)、Ann.Clin.Biochem.,21,2−15(1984);及び米
国特許第4,629,692号を参照のこと。しかしながら、今
では4つの方法だけが臨床的に使用されていると思われ
る:(1)m−アミノフェニルボロネートカラムを使用
するアフィニティークロマトグラフィー法;(2)陽イ
オン交換クロマトグラフィー法;(3)電気泳動法;及
び(4)等電点電気泳動法である。
現在、臨床的に使用されているこの4つの測定技術の
各々は、次の不都合を1つまたはそれ以上有している:
測定サンプル当たり比較的コストが高いこと;測定され
る分析対象物に対する特異性が欠けていること;イオン
強度、pH及び温度の如き条件の僅かな変化に敏感である
こと;標準化が難しいこと;再現性が欠けていること;
時間を消耗し重労働であること;自動化ができないこ
と;及び多くのサンプルを同時に分析するのが困難なこ
とである。米国特許第4,629,692号;ファース;Analytic
al Biochemistry,175,347−60(1988);ピーコック、
J.Clin.Patho.,37,841−51(1984)を参照のこと。
グリコシル化タンパク、特にHbA1cを測定する免疫学
的測定法は知られている。しかしながら、HbA1cの測定
のために臨床的に使用されているものはないと思われ
る。これから、これら多様な免疫学的測定技術、及びそ
れらに使用する抗原及び抗体について議論する。
まず、ヨーロッパ特許出願第201,187号は、精製したH
bA1cを使用するモノクローナル抗体の調製を記載してい
る。特に、該出願は、HbA1cのβ鎖のN−末端バリン残
基のそれの如き、ヘモグロビンのグリコシル化されたア
ミノ基に優先的に結合するモノクローナル抗体の調製を
報告している。特に、その配列がHbA1cのβ鎖のN−末
端の配列と一致しているグリコシル化されたヘプタペプ
チドは、これらモノクローナル抗体のうちの1つのHbA
1cに対する結合を阻害した。これに反して、非グリコシ
ル化ヘプタペプチド及び還元されたグリコシル化ヘプタ
ペプチドはこの結合を阻害しなかった。該特許は、これ
らモノクローナル抗体がHbA1cを定量する公知の免疫学
的測定法において使用できることを教示している。320
のハイブリドーマのうち2つしかHbA1cと優先的に反応
するモノクローナル抗体を産生しないということは注目
すべきであり、このことは、HbA1cに特異的な抗体は、
通常、免疫された動物によって僅かしか産生されないこ
とを示唆している。
米国特許第4,629,692号(ディーン)は、体液中の非
酵素的にグリコシル化された総タンパク及び総タンパク
フラグメントを決定する免疫学的測定法を教示してい
る。該免疫学的測定法は、アマドリ−転位グルコース残
基(即ち、1−デオキシ−D−フルクトシル残基)を選
択的に認識し結合する抗体を使用している。該抗体を調
製するために使用する免疫原は、キャリアー分子と共有
結合しているアマドリ−転位グルコースである。ポリリ
ジンは好ましいキャリアーであり、アマドリ−転位グル
コースは好ましくはリジン残基のε−アミノ基に結合し
ている。免疫原は、生体外で非酵素的にキャリアーをグ
リコシル化することによって調製される。アマドリ−転
位グルコースとキャリアーの間に連結基を使用すること
ができる。好ましい連結基はリジンである。オルニチン
及びヒドロキシルリジンの如きリジン類似物及びアミノ
−機能化されたアミノ酸を含む他の連結基を使用しても
よい。
上記の如くして調製した抗体を、血清の如き体液中の
グリコシル化された総タンパクを定量するため通常の免
疫学的測定法で使用して、血清の如き体液中のグリコシ
ル化総タンパクを定量することができる。HbA1cの如き
特定のグリコシル化タンパクの濃度を決定するには、最
初にそれを他の非酵素的にグリコシル化されたタンパク
から分離しなければならない。例えば、ディーン特許
は、HbA1cはフェニルボロネートアフィニティークロマ
トグラフィーで分離し、次いで、開示された抗体を使用
して定量できると教示している。
米国特許第4,658,022号('022特許)は、タンパクの
線状ペプチド・エピトープに対する抗体の調製を開示し
ている。該線状ペプチド・エピトープは、タンパク配列
の何らかの部分の2〜15のアミノ酸(N−末端、C−末
端または他の部分)を含んでおり、炭水化物の如き非ペ
プチド基で修飾されていてもよい。該線状ペプチド・エ
ピトープは、動物を免疫するために免疫原キャリアーと
カップリングしている。免疫学的測定を行うため、該抗
体を、該抗体の調製に使用した線状ペプチド・エピトー
プを露出するようまたはその露出を増加するよう充分に
変性したタンパクと接触させる。モノクローナル抗体を
使用するのが好ましい。
'022特許及び米国特許第4,647,654号('654特許)
は、上記の系において、免疫原キャリアーとカップリン
グしているヘモグロビンのN−末端配列の少なくとも2
つのアミノ酸、好ましくは5〜15のアミノ酸を含有する
グリコシル化されたペプチドを使用して、抗体を調製す
ることを教示している。'654特許は、抗原性及びカップ
リング特性をできるだけ効率的にする連結基を該ペプチ
ド・エピトープと該キャリアーの間に使用し得ることを
教示している。該連結基は、ヘモグロビンの正常配列に
は見出されていない1またはそれ以上のアミノ酸を含ん
でもよい。両特許は、HbA1c分子がエピトープを露出す
るよう変性されたときに、この方法で、グリコシル化さ
れた合成ペプチド及び対応するHbA1c分子上のエピトー
プに特異的なモノクローナル抗体を産生し得ることを教
示している。これら抗体は、HbA0またはグリコシル化さ
れていないペプチドとは交差反応をしない。使用する免
疫学的測定法はヘモグロビンの変性を除いては通常の方
法である。200のハイブリドーマのうち9しかHbA1cと優
先的に反応するモノクローナル抗体を産生しないという
ことは注目すべきであり、このことはHbA1cに特異的な
抗体は免疫された動物によっては通常は僅かしか産生さ
れないことを示唆している。
米国特許第4,478,744号(メゼイら)は、ペプチド抗
原を使用するタンパクに対する抗体の調製法を教示して
おり、そのアミノ酸配列は該タンパクのアミノ酸配列の
ある部分と一致している。ヘモグロビンに関して、この
特許は、4〜10、好ましくは7のアミノ酸からなるペプ
チドを使用する、グリコシル化されたヘモグロビン、特
にHbA1cに対する抗体の調製法を教示しており、そのア
ミノ酸配列はヘモグロビンのβ鎖のN−末端配列と一致
している。該ペプチドは、免疫原性キャリアータンパク
またはポリペプチドとカップリングする前または後にグ
リコシル化される。該ペプチドキャリアーの結合は、動
物、好ましくは、通常HbA1cを産生しない動物を免疫す
るために使用される。メゼイらは、産生した抗体がHbA
1cに特異的であり、HbA1cを定量するための通常の免疫
学的測定に使用できることを教示している。しかしなが
ら、上で議論した'654特許は、メゼイらの方法で産生し
たポリクローナル・ヒツジ抗血清は、アフィティー精製
された場合でさえ、ELISA測定法においてHbA1cに対する
検出可能な特異性を有さないということを示す実験を記
載している('654特許の実施例8を参照のこと)。ま
た、上で議論したヨーロッパ特許出願第201,187も参照
のこと。
米国特許第4,247,533号(セラミら)及びジャビッド
(Javid)ら,British Journal of Heamatology,38,329
(1978)は、HbA1cに対する抗体の調製法を教示してい
る。該抗体は、動物、好ましくは、通常HbA1cを産生し
ない動物をカラム精製したヒトHbA1cで免疫することに
よって産生される。産生した抗体は、等しくHbA0及びHb
A1cとよく反応し、従って、HbA0で繰り返し吸着され
た。吸着された抗体は、HbA0をそのグリコシル化された
誘導体から明確に区別したが、依然として、ヒトHbA1a
及びHbA1b並びにイヌ及びマウスHbA1cと僅かに交差反応
した。それは、また、NaBH4還元されたHbA1cについて未
還元のHbA1cよりも著しく低い反応性しか示さなかっ
た。また、還元されたグリコシル化バリル−ヒスチジン
を含む一定の還元されたグリコジペプチドは、吸着され
た抗体のHbA1cとの反応を阻害することができなかっ
た。該吸着された抗体は親和性が低く力価も低かった。
この問題を克服するため、特別に変更した放射性免疫学
的測定法(RIA)を採用した。上で議論した'654特許
は、この方法の再現性は未解決であることを教示してい
る('654特許の第2欄第38〜41行参照)。
カーチス(Curtiss)及びウィッツタム(Witztum),
J.Clin.Invest.,72,1427(1983)は、還元されたグリコ
シル化ヒト血漿リポタンパクに結合するが、非グリコシ
ル化または未還元グリコシル化血漿リポタンパクとは反
応しない6マウスのモノクローナル抗体の生成及び特徴
を記載している。該抗体は、グルコース及びナトリウム
シアノボロハイドライドの存在下で還元的にグリコシル
化された同種の低密度リポタンパク(LDL)を3回投与
し、続いて、脾臓細胞を採取する直前に、還元的にグリ
コシル化されたヒトLDLを1回投与してマウスを免疫
し、ハイブリドーマを調製することによって調製され
た。競合阻害RIAにおいて、還元されたグリコシル化LDL
上で、これら抗体によって認識された優性エピトープ
が、グリシトール−リジン、即ち、リジンのε−アミノ
基と共役したグルコースの還元されたヘキソースアルコ
ール型として同定された(グルシトール−リジンは還元
されたグリコシル化LDLに対するそれぞれの抗体の結合
を完全に阻害した)。6つの各抗体は、高密度リポタン
パク、アルブミン、ヘモグロビン及びトランスフェリン
を含む検討した全ての還元されたグリコシル化タンパク
と反応した。該抗体は、また、総血漿タンパク上のグル
シトール−リジン残基及び正常個体及び糖尿病個体の単
離されたリポタンパクを、NaBH4でのタンパクの還元後
に同定及び定量することもできた。
ウィッツタムら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,80,2757(1
983)は、モルモットを同種のグリコシル化されたまた
は還元的にグリコシル化されたLDLで免疫することによ
るポリクローナル抗体の調製を記載している。還元的に
グリコシル化されたLDLでの免疫は、還元的にグリコシ
ル化されたモルモットLDLと反応するが未還元グリコシ
ル化LDLとは反応しない高力価抗血清を産生した。グル
シトール−リジンは、ヘモグロビン、アルブミン及びト
ランスフェリンを含む他の還元的にグリコシル化された
ヒトタンパクと同じく、還元的にグリコシル化されたLD
Lに対するこの抗体の結合の高度に効果的な阻害因子で
あった。還元剤を存在させないでグリコシル化したLDL
も、その抗血清は低力価で低親和性であるけれども、免
疫原性である。還元的にグリコシル化された同種のアル
ブミンも免疫原性であり、この化合物での免疫は、還元
的にグリコシル化されたアルブミンと反応するが未還元
グリコシル化アルブミンまたは還元的にグリコシル化さ
れたLDLとは反応しない抗血清を産生した。全ての抗体
の活性は固相RIAで測定した。
ナカヤマら,Clinica Chimica Acta,158,293−99(198
6)は、モルモットを還元的にグリコシル化されたヒト
アルブミンで免疫することによって得られた抗血清を使
用する、グリコシル化ヒト血清タンパクのためのRIAを
記載している。該抗血清は、未変性ヒト血清アルブミン
のカラム上にアフィニティー吸着され、該吸着された抗
血清は還元的にグリコシル化されたアルブミン及びグル
シトール−リジンを認識したが、非還元的にグリコシル
化されたアルブミン、未変性ヒトアルブミン、リジン、
ソルビトールまたはマンニトールを認識しなかった。該
抗血清は、また、未変性ヒト血清アルブミン及び非還元
的にグリコシル化されたアルブミンを、NaBH4でのタン
パクの還元後に同定及び定量することもできた。
ゴ(Go)ら,Clinical Chimica Acta,163,63−73(198
7)は、還元的にグリコシル化された同種の高密度及び
低密度リポタンパク(HDL及びLDL)を免疫原として使用
して調製したポリクローナル抗血清を使用するグリコシ
ル化タンパクのための酵素結合免疫吸着測定法(ELIS
A)の開発を報告している。該論文は、該抗血清がグル
コース−リジン結合に特異的であること、及びそれが供
与量に依存して、アルブミン、フィブリノーゲン、LD
L、HDL、ポリリジン及びヘモグロビンを含む、試験され
た全ての還元グリコシル化タンパクを認識することを教
示している。該抗血清は、未変性タンパクまたは未還元
グリコシル化タンパクについて親和性を有しなかった。
ELISA測定法は、感度がよく、比較的短い時間で膨大な
数のサンプルを測定できると報告されているが、該論文
は、測定の条件は臨界的であり、記載された実験記録か
ら大きくずれると、感度及び再現性の損失を起こすこと
を教示している。ゴらの66頁を参照のこと。
発明の要旨 本発明は、そのN−末端アミノ酸のα−アミノ基上で
非酵素的にグリコシル化されたHbA1cの如きタンパクに
ついての免疫学的測定法を提供する。Glc−ol−Xに対
する特異性を有する高力価、高親和性抗体を以下に記載
するようにして調製し、免疫学的測定に使用した。式Gl
c−ol−Xにおいて、Xはグリコシル化タンパクのN−
末端アミノ酸であり、以下に詳細に記載した理由によっ
て、Xはリジンを除くほかはいかなるアミノ酸であって
もよい。Glc−olはグリコシル化タンパク上のXに結合
した糖の還元型である。
本発明の一部でもある抗体は、式(Glc−ol−X−
L)n−キャリアーの免疫原で動物を免疫することによ
って調製される。ここで: X及びGlc−olは上記で定義した通りであり、Glc−ol
はXのα−アミノ基に結合しており; Lは結合手または連結基であり; キャリアーは該グリコシル化タンパク以外の免疫原性
化合物であり;そして nは1からキャリアー上の有効な結合部位の数までの
数字である。
免疫学的測定を行うため、測定に付されるグリコシル
化タンパクを抗原と接触させる前に、還元剤と処理しな
ければならない。この処理は、タンパクのグリコシル化
されたN−末端アミノ酸をGlc−ol−X型に転化するの
に必要である。この方法では、本発明の抗体はグリコシ
ル化タンパクを認識し、それと結合するであろう。該抗
体は、非グリコシル化タンパク、リジンのε−アミノ基
上でグリコシル化されたタンパク及び他のN−末端アミ
ノ酸上でグリコシル化されたタンパクの存在下で、選択
的に該グリコシル化タンパクを認識する。しかしなが
ら、試験サンプル中に、同じグリコシル化されたN−末
端アミノ酸を有する複数のタンパクが存在するならば、
興味の対象であるタンパクを確認し分離する幾つかの方
法を使用しなければならない。
本発明は、更に、該抗体を調製するために抗原として
使用される(Glc−ol−X−L)n−キャリアー化合物
及びこの化合物を作る方法を含む。これらの方法は、還
元的にXまたはX−Lをグリコシル化してGlc−ol−X
またはGlc−ol−X−Lを生成することを含む。次い
で、該Glc−ol−X及びGlc−ol−X−Lは免疫原性キャ
リアーと直接カップリングするか、または、該Glc−ol
−Xはそのキャリアーとカップリングする前にLとカッ
プリングしてもよい。
また、本発明は、グリコシル化タンパクを検出または
定量するためのキットを提供する。該キットは、Glc−o
l−Xに向けられた抗体の入った容器を含む。該キット
は、次の1つまたは両方も含む:1)グリコシル化タンパ
クのN−末端アミノ酸上の糖残基を還元するための還元
剤の入った容器、または、2)該抗体に結合したグリコ
シル化タンパクを検出または定量するために有用な標識
成分の入った容器。
図面の簡単な説明 図1〜3:相対蛍光単位(RFU)VS.抗体の希釈度のグラ
フ。グラフのデータは、グルシトール−VGGセファロー
スのカラム上でアフィニティー精製された抗−グルシト
ール−VGG−BSA抗体を利用する直接結合−酵素結合蛍光
測定法(ELFA)を行うことによって得られた。抗原は示
されている通りである。
図4:回帰分析結果の典型的グラフ。一方の軸は、糖尿
病患者由来の赤血球(RBC)の溶解産物中の電気泳動に
よって検出されたHbA1cの量であり、他方の軸は、グル
シトール−VGGセファロースのカラム上でアフィニティ
ー精製された抗−グルシトール−VGG−BSA抗体を利用す
る直接結合−ELFAによって検出された量である。
図5:RFU VS.抗体の希釈度のグラフ。グラフのデータ
は、グルシトール−バリンセファロースのカラム上でア
フィニティー精製された抗−グルシトール−VGG−BSA抗
体を利用するELFAを行うことによって得られた。抗原は
示されている通りである。
図6〜7:RFU VS.抗体の希釈度のグラフ。グラフのデ
ータは、架橋ヒトヘモグラビンでアフィニティー吸着さ
れた抗−グルシトール−VGG−BSA抗体を利用するELFAを
行うことによって得られた。抗原は示されている通りで
ある。
図8:還元されたHbA1cに対するアフィニティー精製さ
れた抗−グルシトール−VGG−BSA抗体の結合の、還元さ
れたHbA1cによる阻害を示すグラフ。該抗体は、グルシ
トール−VGGセファロースのカラム上でアフィニティー
精製された。
図9:還元されたHbA1cに対するアフィニティー精製さ
れた抗−グルシトール−VGG−BSA抗体の結合の、糖尿病
患者由来のRBCの還元された溶解産物による阻害を示す
グラフ。該抗体は、グルシトール−VGGセファロースの
カラム上でアフィニティー精製された。
図10:回帰分析結果のグラフ。一方の軸は、糖尿病患
者由来のRBCの溶解産物中の電気泳動によって検出され
たHbA1cの量であり、他方の軸は、阻害ELFA測定法にお
ける、還元されたHbA1cに対するアフィニティー精製さ
れた抗−グルシトール−VGG−BSAの結合の50%阻害を起
こすのに必要な阻害因子の濃度である。該阻害因子は還
元されたRBC溶解産物であった。該抗体は、グルシトー
ル−VGGセファロースのカラム上でアフィニティー精製
された。
図11:還元されたHbA1cに対するアフィニティー吸着さ
れた抗−グルシトール−VGG−BSA抗体の結合のグルシト
ール−VGGによる阻害を示すグラフ。該抗体は、架橋ヒ
トヘモグロビンでアフィニティー吸着された。
図12:回帰分析結果のグラフ。一方の軸は、糖尿病患
者由来のRBCの溶解産物中の電気泳動によって検出され
たHbA1cの量であり、他方の軸は、DE−52精製抗−グル
シトール−VGG−BSA及び同じ糖尿病患者由来の還元され
た全血溶解産物を利用して、直接結合ELFAによって検出
された吸光度である。
図13:DE−52精製抗−グルシトール−VGG−BSA抗体の
還元されたHbA1cに対する結合の還元された全血溶解産
物による阻害を示す典型的グラフ。
図14:回帰分析結果のグラフ。一方の軸には、糖尿病
患者由来のRBCの溶解産物中の電気泳動によって検出さ
れたHbA1cの量が示されており、他方の軸には、還元さ
れたHbA1cに対するDE−52精製抗−グルシトール−VGG−
BSAの結合の50%阻害を与えるのに必要な同じ糖尿病患
者由来の還元された全血溶解産物の量(該溶解産物中の
総ヘモグロビン濃度として表された)が示されている。
図15:回帰分析結果のグラフ。一方の軸には、糖尿病
患者由来のRBCの溶解産物中のアミノフェニルボロネー
トカラム法によって検出されたHbA1cの量が示されてお
り、他方の軸には、DE−52精製抗−グルシトール−VGG
−BSA抗体を利用して、直接結合ELISAによって同じ患者
由来の全血溶解産物中で検出されたHbA1cの量が示され
ている。
発明の詳細な説明 本発明の抗体の刺激産生(stimulate production)に
使用する免疫原は、免疫原性キャリアーとカップリング
した1またはそれ以上のGlc−ol−X−L残基を含む。
Xは、そのN−末端アミノ酸のα−アミノ基上でグリコ
シル化されたタンパクのN−末端アミノ酸である。X
は、リジン以外のいかなるアミノ酸であってもよく、該
グリコシル化されたタンパクは、N−末端アミノ酸とし
てリジンを有するもの以外で、抗体を産生するのに望ま
しいいかなるタンパクであってもよい。
Xがリジンであってはならない理由は以下の通りであ
る。グリコシル化タンパクは、通常、そのε−アミノ基
上でグリコシル化されたリジン残基を含有する。Glc−o
l−リジンに対して形成された抗体(Glc−olはα−アミ
ノ基上に存在する)は、それらのε−アミノ基に結合し
た糖残基を有するより多くの一般のグリコシル化リジン
と交差反応するであろうと予測される。従って、かかる
抗体は、非特異的に多くの異なるグリコシル化タンパク
と反応するであろう。本発明の目的は、多数のグリコシ
ル化タンパクとのかかる広汎な非特異的な反応を回避す
ることにある。
(Glc−ol−X−L)n−キャリアー中のLは、Glc−
ol−Xをキャリアーに連結している1本の結合手であっ
てもよい。Lが結合手である場合には、Xは、キャリア
ー分子中の適当な基とのカップリング反応に活性なカル
ボキシル、チオールまたはヒドロキシルの如き官能基で
終結していなければならない。
Lは、また、いかなる公知の連結基であってもよい。
例えば、Lは、水素を除く約1〜約20原子からなる脂肪
族鎖であってもよい。通常、該連結基は、キャリアー分
子中の適当な基とのカップリング反応に活性なアミノ、
カルボキシル、チオール、ヒドロキシルまたはマレイミ
ドの如き官能基で終結しているであろう。アミノまたは
カルボキシル誘導体を形成し、通常のペプチド縮合反応
によってそれらをキャリアー中の相応しいカルボキシル
及びアミノ基に連結するのが最も一般的である。
好ましい連結基は、アミノ酸または10未満のアミノ
酸、好ましくは2つのアミノ酸を含有するペプチドであ
る。Xと連結基のアミノ酸の結合は、抗体を産生するの
に望ましいグリコシル化タンパクのN−末端配列と同一
ではない。また、連結基のアミノ酸及び連結基全体は、
比較的非免疫原性であるのが好ましい。この理由のた
め、アミノ酸であるグリシン及びジペプチドであるグリ
シン−グリシンが特に好ましい連結基である。
Lがアミノ酸またはペプチドである場合は、公知のペ
プチド合成法によってXと連結できる。例えば、メリフ
ィールド(Merrifield),JACS,85,2149(1963); ディビス(Davis)ら,Biochemistry International,1
0,394−44(1985);スチュワート(Stewart)及びヤン
グ(Young),Solid Phase Peptide Synthesis(196
9);米国特許第3,941,763号;フィン(Finn)ら,The P
roteins,第3版,第2巻,257−527〔ノイラス(Neurat
h)ら編,1976年〕;及びエリックソン(Erickson)ら,T
he Proteins,第3版,第2巻,257−527〔ノイラス(Neu
rath)ら編,1976年〕に記載されているような固相ペプ
チド合成法が使用できる。これらの方法は、Lがペプチ
ドである場合のその調製にも使用できる。X、ペプチド
である場合のL、またはLがアミノ酸若しくはペプチド
である場合のX−Lに使用することができる好適な合成
ペプチドは、シグマ・ケミカル社,St.Louis,Missour
i.、ペニンスラ(Peninsula)・ラボラトリーズ,Belmon
t,Calfornia、バケム(Bachem)社,Torrance,Calforni
a、及び、ベガ・バイオケミカルズ,Tucson,Arizonaを含
む種々の供給業者から商業的に購入することができる。
Xは、干渉的または非特異的抗体を産生するかも知れ
ないGlc−ol−リジン残基または他のGlc−ol残基の形成
を防止するために、キャリアーとカップリングする前に
還元的にグリコシル化されるのが好ましい。更に、Lが
ε−アミノ基を有するアミノ酸またはペプチドである場
合には、XがLと結合する前にXを還元的にグリコシル
化するのが好ましい。
(単独にまたはLと結合した後に)Xを還元的にグリ
コシル化するには、興味の対象であるグリコシル化タン
パクのN−末端アミノ酸上に見出される糖と同じ糖の過
剰量を、ナトリウムシアノボロハイドライド〔カーチス
及びウィッツタム,Clin.Invest.,72,1427−1438(198
3)及びフリードマン(Friedman)ら,Int.J.Pept.Prote
in Res.,,183−185(1974)を参照〕、ピリジン−ボ
ラン〔ウォン(Wong)ら,Anal.Biochem,139,58−67(19
84)を参照〕、またはナトリウムボロハイドライド〔ミ
ーンズ(Means)及びフィーネイ(Feeney),Biochemist
ry,,2191−2200及びゴら,Proc.Nat'l.Acad.Sci.USA,8
0,2751−2761(1983)を参照〕の如き炭水化物還元剤の
存在下でXまたはX−Lと反応させる。還元的にグリコ
シル化されたXまたはX−Lを炭水化物還元剤及びその
グリコシル化されていない片割れと分離する。これは通
常の手段で行うことができるが、好ましくはモレキュラ
ーシーブ・クロマトグラフィー及び、必要ならイオン交
換クロマトグラフィーを使用して行ってもよい。
好適なキャリアーは、宿主動物中で、該キャリアーと
カップリングしたハプテンに対する抗体の産生を刺激す
ることのできる化合物である。そのようなキャリアーは
従来から存在しており公知である。それらは一般に高分
子量化合物である。殆どの場合、キャリアーはタンパク
またはポリペプチドである。しかし、充分な大きさと免
疫原性を有する、炭水化物、ポリサッカライド、リポポ
リッサッカライド、核酸等の如き他の物質を使用するこ
とができる。
好適な免疫原性キャリアータンパク及びポリペプチド
は、一般に4,000と10,000,000の間の分子量、好ましく
は、15,000より大きい分子量を有するであろう。かかる
好適なキャリアーは、アルブミン(例えば、ウシ血清ア
ルブミン、卵アルブミン、ヒト血清アルブミン)、イム
ノグロブリン、チログロブリン(例えば、ウシチログロ
ブリン)、ヘモシアニン(例えば、キーホールリンペッ
トヘモシアニン)の如きタンパク及び、ポリリジンまた
はポリアラニンリジンの如きポリペプチドを含む。
次いで、Glc−ol−X−Lは該キャリアーとカップリ
ングされる。このカップリングを行う方法はよく知られ
ている。例えば、Glc−ol−X−L残基は、グルタルア
ルデヒド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−
エチルカルボジイミド・塩酸塩(ECDI)の如き水溶性カ
ルボジイミド、N−N−カルボニルジイミダゾール、1
−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水化物、N−ヒドロ
キシコハク酸イミド、n−トリフルオロアセチルイミダ
ゾール シアノーゲンブロマイド、3−(2′−ベンゾ
チアゾリル−ジチオ)プロピオネート コハク酸イミド
エステル、ヒドラジドの如き接合剤、またはアフィニテ
ィーラベリング法でキャリアーとがカップリングするこ
とができる。可能なカップリング剤のリストについて、
Pierce Handbook and General Catalog(1989)も参照
のこと。
通常の免疫原性キャリアー物質及びそれにハプテンを
カップリングする技術についての追加の参照例は:エル
ランガー(Erlanger),Medhods In Enzymology,70,85−
104(1980);マケラ(Makera)及びセッパラ(Seppal
a),Handbook Of Experimental Immunology(Blackwell
1986);パーカー(Parker),Radioimmunoassay of Bi
ologically Active Compounds(Prentice−Hall 197
6);バトラー(Butler),J.Immunol.Meth.,,1−24
(1974);Weinryb及びShroff,Drug.Metab.Rev.,10,271
−83(1979);ブルートン(Broughton)及びストロン
グ(Strong),Clin.Chem.,22,726−32(1976);プレイ
フェアー(Playfair)ら,Br.Med.Bull.,30,24−31(197
4)である。
式(Glc−ol−X−L)n−キャリアーにおいて、n
はキャリアーに結合しているGlc−ol−X−L残基の数
である。キャリアー分子上のかかる残基の数(エピトー
プ密度)は、1からキャリアー分子上の有効なカップリ
ング基の数までの数字であろう。個々のキャリアー上の
エピトープ密度は、キャリアーの分子量、その密度及び
カップリング部位の有効性に依存するだろう。最適なエ
ピトープ密度は、キャリアー分子上の有効なカップリン
グ基の約10%〜50%になる。
Glc−ol−X−L−キャリアーを合成した後、それを
使用して抗体を調製する。抗体を調製する方法は、よく
知られており従来からのものである。例えば、本発明の
抗体は、好適な宿主動物(ウサギ、ヤギ、ウマまたは他
の哺乳類の如きもの)にアジュバントとの混合物として
本発明の免疫原を投与することによって調製することが
できる。免疫原の投与は、好適な力価の抗血清が得られ
るまで継続する。該抗血清を採取し、もし必要であるか
望ましいのであれば、公知の技術を使用して更に精製し
てもよい。例えば、該抗体をアフィニティー精製するか
またはDE−52クロマトグラフィーの如きものによって分
別してもよい。
また、本発明の抗体は、免疫された動物(ラット、ハ
ムスター、マウスまたは他の哺乳類の如きもの)由来の
細胞をエミローマ細胞の如き不滅セルラインと融合させ
ることによる体細胞雑種形成法によって調製することが
できる。融合細胞をクローニングし、該クローニングし
た融合細胞をスクリーニングすることによって適当な特
異性を有するモノクローナル抗体を単離することができ
る。モノクローナル抗体を調製する技術はよく知られて
いる。
従って、本発明で使用するのに好適な抗体は、モノク
ローナル抗体またはポリクローナル抗体であってもよ
く、抗血清またはその精製フラクション(DE−52アフィ
ニティー精製またはアフィニティー吸着した抗体の如き
もの)であってもよく、いかなる公知のアイソタイプま
たはサブクラス(IgG、IgM等の如きもの)であってもよ
く、また抗原と結合できる抗体のフラグメント〔Fab、
A(ab′)またはF(ab′)の如きもの〕であっても
よい。唯一の要件は、最終の抗体試料がGlc−ol−Xエ
ピトープに対する特異性を有し、かつ、測定が望まれる
還元されたグリコシル化タンパク上のこのエピトープに
結合できることである。
本発明の抗体は、生体物質中の非酵素的にグリコシル
化されたタンパクの検出または定量を行ういかなる免疫
学的測定法においても使用することができる。そのよう
な多くの技術は公知である。
唯一の必要な変更は、この免疫学的測定を行うため、
測定されるグリコシル化タンパクが、該タンパクを抗体
と接触させる前に還元剤で処理されなければならないこ
とである。この処理は、該タンパクのグリコシル化され
たN−アミノ酸をGlc−ol−X型に転化させるのに必要
である。このようにして、Glc−ol−Xに特異的な本発
明の抗体は、グリコシル化タンパクを認識し、それと結
合するのであろう。他の特別な条件は必要ではない。特
に、一定の先行測定技術に要求されるような種々の変性
条件で、グリコシル化タンパクを処理する必要がない。
好適な免疫学的測定法には、放射性免疫学的測定法、
酵素免疫学的測定法及び蛍光免疫学的測定法が含まれ
る。該免疫学的測定は、競合結合方式で行ってもよく、
イムノメトリック測定法で行ってもよい。それは、均一
系測定法であっても不均一系測定法であってもよい。好
適な均一系技術は、蛍光消光及び蛍光増強、エネルギー
転移免疫学的測定法、二抗体立体障害免疫学的測定法、
基質−標識免疫学的測定法、補欠分子族団−標識免疫学
的測定法、及び酵素修飾物質−標識免疫学的測定法であ
る。
1つの好ましい免疫学的測定方式は、赤血球(RBC)
溶解産物の如きサンプル中の還元されたグリコシル化タ
ンパクが個体表面上で不動化された直接結合測定法であ
る。好適な固体表面は、よく知られており、ガラス、ポ
リスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロ
ン、ポリアクリルアミド、及びアガロースである。不動
化された抗原は、Glc−ol−X(第一抗体)に特異的な
抗体と接触される。該第一抗体は、不動化された抗原に
結合した抗体が検出または定量できるように標識されて
いてもよい。未結合物質を洗い落とした後に固体表面に
結合している標識の量は、サンプル中に存在する抗原の
量に比例するので、サンプル中の抗原(そのN−末端ア
ミノ酸上がグリコシル化されたタンパク)の量が定量さ
れ得る。また、未結合の第一抗体を洗い落とした後に、
サンプル中に存在する興味の対象であるグリコシル化タ
ンパクを検出及び定量するための手段として、第一抗体
に特異的に結合する標識された第二抗体を添加してもよ
い。
特に好ましい直接結合免疫学的測定法は、実施例10、
13及び15に詳しく記載した測定法である。特に、実施例
13及び15に記載した直接結合測定法は全血の溶解産物を
採用するが、これは該測定を行うのを非常に簡単にす
る。それらは比色検出システムも利用する。かかるシス
テムはグリコシル化タンパクを定量するのに使用できる
が、そのエンドポイントを肉眼で観察することができる
ので、定性分析または半定性分析にも使用することがで
きる。従って、かかる測定法は、医師のオフィス、患者
の自宅または世界の低開発地域の如き、高価な装置を入
手できず及び熟練した実験職員を採用できない環境にお
いて特に価値がある。
第一抗体または第二抗体のいずれかに適した標識は当
該分野でよく知られている。それらには:1)酵素(例え
ば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、リンゴ酸脱
水素酵素、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、δ−5−ステロイ
ドイソメラーゼ、イーストアルコール脱水素酵素、α−
グリセロホスフェート脱水素酵素、トリオースホスフェ
ートイソメラーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラ
ギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダ
ーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グ
ルコース−6−ホスフェート脱水素酵素、グルコアミラ
ーゼ及びアセチルコリンエステラーゼ);2)蛍光体〔フ
ルオレセインイソチオシアネート、ローダニン、フィコ
エリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o
−フタルアルデヒド及びフルオレサミン(fluorescamin
e)の如きもの〕;3)ラジオヌクレオチド(125Iの如き
もの);4)バイオ発光標識(ルシフェリン、ルシフェラ
ーゼ及びエクオリンの如きもの);5)化学発光標識(ル
ミノール、イソルミノール、芳香族アクリジニウムエス
テル、イミダゾール、アクリジニウム塩及びシュウ酸エ
ステルの如きもの);及び6)ビオチンが含まれる。こ
れら標識の結合及び検出は、当該技術分野の熟練者に知
られた標準的技術を使用して行うことができる。
代用できかつ好ましくもある免疫学的測定法は、阻害
測定法である。このタイプの測定法は、RBCまたは全血
溶解産物中の還元されたHbA1cの如き液相還元されたグ
リコシル化タンパクの量を阻害因子として使用し、これ
を変化させるものである。阻害因子は、固体表面(上記
した如きもの)上に不動化された固定量の還元グリコシ
ル化タンパクと混合され、抗−Glc−ol−X抗体(第一
抗体)上の制限された数の有効な結合部位を競う。既知
の阻害因子濃度について得られた第一抗体結合の阻害量
を生体サンプルと比較することによって、該生体サンプ
ル中のグリコシル化タンパクの量を決定することができ
る。この第一抗体は標識してもよく、また、標識した第
二抗体を使用してもよい。該標識は、上記の通りであ
る。特に好ましい阻害測定法は、実施例11に記載した阻
害ELFAである。
サンドイッチ(2捕捉部位)測定法も可能である。こ
の測定法においては、抗−Glc−ol−X抗体は、上記し
た如き固体表面上に不動化される。次いで、測定される
べき還元されたグリコシル化タンパクは、不動化された
抗−Glc−ol−X抗体と接触される。未結合物質を洗い
落とした後、グリコシル化タンパクに対する標識抗体が
添加され、結合した標識抗体の量は、当初のサンプル中
のグリコシル化タンパクの量に比例する。該標識は上記
と同様である。二次標識抗体は、Glc−ol−Xに対する
活性を有しないが、グリコシル化タンパク上の他のエピ
トープに向けられている。従って、この技術は、該グリ
コシル化タンパクが、同じN−末端アミノ酸上でグリコ
シル化されている他のタンパクとの混合物である場合
に、それを検出または定量するのに特に適している。ま
た、標識抗体は、Glc−olに対する抗体であってもよ
く、不動化抗体は、グリコシル化タンパクの他のエピト
ープに向けられていてもよい。
最後に、均一蛍光分極測定法が可能である。かかる測
定法においては、還元されたグリコシル化タンパクは、
蛍光標識低分子量キャリアー分子(3600の分子量を有す
るポリ−L−リジンの如きもの)にカップリングしたGl
c−ol−X−LまたはGlc−ol−Xと、抗−Glc−ol−X
抗体を競う。蛍光分極の量は、試験サンプル中の還元さ
れたグリコシル化タンパクの量に反比例する。
具体的な濃度、温度及びインキュベーションの時間、
並びに、他の測定条件は、使用されるいかなる免疫学的
測定法においても、サンプル中の抗原の濃度、サンプル
の性質等の要因に依存して変化してもよい。当該技術分
野の熟練者は、日常の実地から、各測定のために有効な
及び最善の測定条件を決定できるであろう。本発明で測
定される生体物質は、興味の対象であるグリコシル化タ
ンパクを含有する如何なる体液であってもよい。通常
は、血液、または、RBC溶解産物、血清または血漿の如
き血液成分であろうが、唾液の如き他の適当な体液であ
ってもよい。
また、本発明は、そのN−末端アミノ酸のα−アミノ
基上で非酵素的にグリコシル化されたタンパクを検出ま
たは定量するためのキットも含む。該キットは、本発明
の免疫学的測定法を行うのに役に立つ試薬の入った1ま
たはそれ以上の容器の包装した組み合わせである。該キ
ットの試薬の好適な容器は、ビン、バイアル、試験管及
びマイクロタイタープレートである。
該キットは、Glc−ol−Xに向けられた抗体の入った
容器を含むであろう。抗体は上記したものであり、それ
らがグリコシル化タンパクの検出または定量に使用され
るのであれば、標識されていてもよい。抗体は溶液であ
っても、凍結乾燥されていても、または、上記したよう
な固体表面に結合されていてもよい。
該キットは、更に、グリコシル化タンパクのN−末端
アミノ酸のα−アミノ基上の糖残基を還元するための還
元剤の入った容器を含んでもよい。これら還元剤は公
知、かつ、通常のものであり、上記したものを含むもの
である。
また、該キットは、抗体に結合したグリコシル化タン
パクの量を検出または定量するのに有用な標識成分の入
った容器を含んでもよい。この標識成分は、抗−Glc−o
l−X抗体に特異的な標識抗体であっても、標識された
還元グリコシル化タンパクまたはペプチドであっても、
または、蛍光分極測定法のためのポリ−L−リジンにカ
ップリングしたGlc−ol−XまたはGlc−ol−X−Lの如
き標識Glc−ol−Xまたは標識Glc−ol−X−Lであって
もよい。
最後に、該キットは、緩衝液、酵素基質、希釈剤、ス
タンダード等の如き当該分野で公知の他の物質並びに商
業的及びユーザーの観点から望ましい他の物質を含有し
てもよい。該キットは、また、免疫学的測定を行うため
の試験管及びマイクロタイタープレートの如き容器も含
んでよい。
本発明は、特に、グリコシル化されたヘモグロビンの
ための免疫学的測定法に向けられている。より詳しく
は、それは、HbA1Cの免疫学的測定法に向けられてお
り、本発明は、グルシトール−バリンと特異的に反応す
る、高力価かつ高親和性の抗体を提供する。そのような
抗体を調製するのに好ましい方法及びHbA1Cを検出また
は定量するのに使用できる好ましい免疫学的測定技術の
説明は、以下の実施例に記載されているが、他の免疫
原、抗体産生技術及び免疫学的測定方法も、上記の一般
的用語で説明されている如くして使用することができ
る。
即ち、以下に記載した好ましい態様において、該抗体
は、免疫原グルシトール−バリン−グリシン−グリシン
−BSAで動物を免疫することによって調製できた。得ら
れた抗血清は、1:40,000〜1:100,000の希釈度で存在す
るグルシトール−バリン・エピトープを有する免疫原と
の1/2極大結合(half−maximal binding)で高い力価で
あった。
得られた抗血清のIgGフラクションを調製し、グルシ
トール−バリン−セファロースまたはグルシトール−バ
リン−グリシン−グリシン−セファロースのいずれかを
使用してアフィニティー精製した。得られたアフィニテ
ィー精製した抗体は、実施例10〜12における結果によっ
て示されるように該グルシトール−バリン・エピトープ
を特異的に検出した。特に、アフィニティー精製した抗
体の還元したHbA1Cに対する結合は、還元的にグリコシ
ル化されたHbA1Cによって、還元されたRBC溶解産物によ
て、及びグルシトール−バリン−グリシン−グリシンに
よって、特異的に阻害された。HbA1Cについての抗体の
凡その結合定数(機能的親和力)は、1.5〜3.4nMであ
る。
グルシトール−バリン・エピトープと特異的に反応す
る抗体試料を得るのにアフィニティー精製及び吸着は必
要ではないことも確認された。実施例13〜15を参照のこ
と。
最後に、RBC溶解産物及び全血溶解産物中のHbA1Cの定
量的測定は、標準的技術によって得られた結果と相互に
よく関連している。実施例10、11及び13〜15を参照のこ
と。
実 施 例 実施例1:グルシトール−バリン−グリシン−グリシンの
調製 80mMグルコース(フィッシャー・サイエンティフィッ
ク社,Fair Lawn,NJ,USA)と蒸留水中で調製した12.5mg/
mlの新たに溶解したNaCNBH3(シグマ・ケミカル社,St.L
ouis,MO,USA)との水溶液10ml中に10mgのバリン−グリ
シン−グリシン(VGG)ペプチド(シグマ・ケミカル社,
St.Louis,MO,USA)を溶解させることによって、反応溶
液を調製した。該新たに調製した反応溶液を0.2umアク
ロディスクフィルター(ゲルマン・サインエンス,Ann A
rbor,MI,USA)を使用して無菌ねじ込みキャップ付き15m
lポリスチレン管(コーニング・グラス・ウァークス,Co
rning,NY,USA)中に濾過滅菌した。比較のために、グル
コースを除く全反応原料からなる偽反応を行った。
該滅菌反応液を室温で7〜20日間インキュベートし
た。その後、総容量が40mlのバイオ−ゲルP−2、400
メッシュ(バイオ−ラッド・ラボラトリーズ,Richmond,
CA,USA)を含有する、脱気蒸留水で予め平衡にした1×
50cm低圧エコノ−カラム(バイオ−ラッド・ラボラトリ
ーズ,Richmond,CA,USA)を使用してゲル濾過クロマトグ
ラフィーを行うことによって、還元的にグリコシル化さ
れたVGGペプチドが単離された。分別は、周囲温度で、
カラムに1〜2mlの反応溶液をチャージすることによっ
て行った。カラムを流速4ml/hrで流し、溶離溶媒として
蒸留水を使用して流分1mlずつを捕集した。
続いて、捕集した流分をペプチドにつき、ビシンコニ
ミン酸(BCA)〔スミス(Smith P.K.)ら,Anal.Bioche
m.,150,76−85(1985),レーン(Lane)ら,J.Immunol.
Methods,92,261−270(1986)〕または低UV吸収〔ワド
ル(Waddle),J.Lab.Clin.Med.,48:311−314(1956)〕
を使用して分析した。また、それらについて、フェノー
ル−硫酸〔ディッシェ(Dische)ら,Arch.Biochem.Biop
hys.,22:169(1949)〕を使用して中性ヘキソースも分
析し、2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)
〔フィールズ(Fields),Methods in Enzymology,25b:4
64−468(1972)〕を使用してフリーのアミノ基も分析
した。アミノ酸を含まず(TNBSと反応しない)及びヘキ
ソースを含まない(フェノール−硫酸と反応しない)ペ
プチド含有流分をプールし、凍結乾燥し、蒸留水1mlで
再溶解し、BCA、TNBS及びフェノール−硫酸法で再分析
した。
該濃縮物質は、BCA反応性は維持したが、TNBS及びフ
ェノール−硫酸とは反応しなかった。このことは、該単
離した物質がフリーのグルコースとNaCNBH3を欠いてい
るグルシトール−N−末端−遮断VGGペプチドからなる
ことを示唆している。アミノ酸分析は、グリシンの存在
を示したが、全ての有効なバリン残基が還元的にグリコ
シル化されている場合に期待されるバリンの存在は示さ
なかった。続いて、精製した該物質をタンパクキャリア
ー及びセファロース4B(実施例3〜5を参照)にカップ
リングさせた。
実施例2:グルシトール−ヒトヘモグロビンの調製 VGGについて上に記載したのと同じ方法で、ヒトヘモ
グロビン(シグマケミカル社,St.Louis,MO,USA)をグル
コースで還元的にグリコシル化した。約12〜14Kの平均
分子量を有するスペクトロポア・セルロース透析チュー
ビング(アメリカン・サイエンティフィック・プロダク
ツ,McGaw Park,IL,USA)を使用した、水に対する徹底的
透析によって、NaCNBH3、原料グルコース及び低分子量
反応生成物から還元的にグリコシル化されたヘモグロビ
ンを分離した。
アミノ基修飾の程度は、全有効ヘモグロビンアミノ基
の尺度として、グルコースの不存在下で還元したヒトヘ
モグロビンのコントロール(CNBH3コントロール)を使
用して、フィールズ,Methods in Enzymology,25b:464−
468(1972)〕のTNBS法によって決定した。この方法を
使用して、還元的にグリコシル化されたヘモグロビンが
26%のグルシトールで修飾された有効アミノ基を有する
ことを確認した。そのように調製されたグルシトール−
ヒトヘモグロビンを、抗体特異性の特性表示のための直
接結合−酵素結合蛍光測定法(ELFA)に使用した(実施
例10参照)。
実施例3:グルシトール−バリン−グリシン−グリシン−
ウシ血清アルブミン(グルシトール−VGG−BSA)の調製 実施例1に記載した如くして調製したグルシトール−
バリン−グリシン−グリシン(グルシトール−VGG)
を、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)
カルボジイミド塩酸塩(EDCI)(シグマ・ケミカル社,S
t.Louis,MO,USA)及びN−ヒドロキシスルホコハク酸イ
ミド(スルホ−NHS)〔パース(Pierce)ケミカル社,Ro
ckford,IL,USA〕を使用して、スタロス(Staros)ら,An
al.Biochem.,156,220−222(1986)の方法の変法によっ
て、ウシ血清アルブミン(BSA)(シグマ・ケミカル社,
St.Louis,MO,USA)とカップリングさせた。即ち、全て
の反応原料を氷上で予備冷却した後、スルホ−NHSの10m
g/ml水溶液の228ulをグルシトール−VGGの2.4mg/ml水溶
液の500ulに加え、混合した。次いで、蒸留水中で新た
に調製したEDCIの20mg/ml溶液の1.5mlを加え、即座に混
合し、氷上で15分間反応させた。次いで、5mg/ml水溶液
の1160ulとしてBSAを添加した。この反応溶液を混合
し、カップリング反応を4℃で一夜継続した。次いで、
約12〜14Kの平均分子量を有するスペクトロポア・セル
ロース透析チュービング(アメリカン・サイエンティフ
ィック・プロダクツ,McGaw Park,IL,USA)を使用して、
該反応混合液を4℃で蒸留水に対して徹底的に透析し
た。接合の程度及び抗体の特異性の両方を評価するため
に、ペプチド、またはペプチドとカルボジイミド、また
はペプチドとカルボジイミドとスルホ−NHSを蒸留水で
置換したコントロールを含めた。
実施例1に記載した如くして行った、グルシトール−
VGG−BSA複合体及びBSA複合体コントロール(グルシト
ール−VGG、EDCIまたはスルホ−NHSなし)のTNBSアミノ
基測定は、60の有効BSAアミノ基のうち42%が、接合後
にグルシトール−VGGに置換されたことを示した(即
ち、25のグルシトール−VGGペプチド/BSAキャリアー分
子が存在した)。
実施例4:グルシトール−バリン−グリシン−グリシン−
ウシ・チログロブリン(グルシトール−VGG−チロ)の
調製 同様にして、グルシトール−VGG(実施例1に記載し
た如くして調製した)をウシ・チログロブリン(シグマ
・ケミカル社,St.Louis,MO,USA)とカップリングさせ
た。水溶性カルボジイミドとして等モル量の1−シクロ
ヘキシル−3−(2−モルホリノエチル−カルボジイミ
ド・メト−p−トルエンスルホネート(CMC)をEDCIに
置換した以外は、反応原料のモル比は、上記の実施例3
に記載したグルシトール−VGGのBSAに対するカップリン
グに使用したのと同一であった。
実施例1に記載した如くして行った、グルシトール−
VGG−チロ複合体及びチログロブリン複合体コントロー
ル(グルシトール−VGG、CMCまたはスルホ−NHSなし)
のTNBSアミノ基測定は、194の有効チログロブリンアミ
ノ基のうち26%が、接合後にグルシトール−VGGに置換
されたことを示した。
実施例5:グルシトール−バリン−グリシン−グリシン−
セファロースの調製 254mgのCMCを533ulのグルシトール−VGG(8.67mg/ml
水)に添加することによってグルシトール−VGG−セフ
ァロース免疫吸着剤を調製した。カルボジイミドを混合
して溶解させた後、、該ペプチド−カルボジイミド溶液
を2mlのAH−セファロース4B(ファルマシア・ファイン
・ケミカルズAB,Uppsala,Sweden)(メーカーの説明書
に従って予備洗浄した)に添加し、該混合物を、4ml(1
5×45mm)のねじ込みキャップ・マイクロサンプルバイ
ヤル(アメリカン・サイエンティフィック・プロダク
ツ,McGaw Park,IL,USA)中で室温下で一夜逆転震盪する
ことによって混合した。該免疫吸着剤を使用前に0.02%
NaN3の存在下で4℃で保存した。該免疫吸着剤は、実施
例7に記載した如くしてアフィニティー精製に使用し
た。
実施例6:グルシトール−バリン−セファロースの調製 グルシトール−VGGの代わりに595ulのグルシトール−
バリン(10mg/ml水)を使用した以外は、実施例5に記
載したのと同様にして、グルシトール−バリン−セファ
ロース免疫吸着剤を調製した。該グルシトール−バリン
は、VGGについて実施例1に記載したのと同様にして調
製した。
この免疫吸着剤も、使用前に0.02%NaN3の存在下、4
℃で保存した。該免疫吸着剤は、実施例7に記載した如
くしてアフィニティー精製に使用した。
実施例7:グルシトール−バリン反応性抗体の調製 複数のニュージーランド・ホワイト・雌ウサギ〔ラン
グショウ・ファームス(Langshaw Farms),Augusta,MI,
USA〕をバイタカイチス(Vaitakaitis)ら,Clin.Endo.M
etab.,33,988(1971)の方法によって、実施例3で記載
した如くして調製したグルシトール−VGG−BSA500ugを
含有する完全フロイントアジュバントからなる乳化物2m
lで初回免疫した。後続の免疫をグルシトール−VGG/BSA
200ugを含有するフロイント不完全アジュバントの乳化
物で行った。これら後続の免疫は、初回免疫の後5週間
行い、その後は2〜8週間の間隔をあけて行った。
各免疫の後7〜10日間、ネーレンベルグ(Nerenber
g)ら,J.Immol.Methods.,24,19(1978)の方法によっ
て、耳から採血した。抗体の反応性に関し、3回目の免
疫後全ての採取血液について、実施例10に記載した如く
して行った直接結合−酵素結合蛍光測定法(ELFA)によ
って、各ウサギからの血清サンプルを試験した。得られ
た血清は使用するまで−20℃で凍結して保存した。
望ましい抗体の精製は、リーフ(Reif),Immunochemi
stry,,723(1969)の方法によるDE−52セルロース
(ワットマン社,Springfield Mill Maidstone Kent,Eng
kand)上でのバッチ式イオン交換クロマトグラフィーを
使用して、該血清をIgG分別することによって行った。
続いて、選択された抗血清と共に、該IgGフラクション
を、グルシトール−バリン−セファロース(実施例6に
記載した如くして調製したもの)またはグルシトール−
VGG−セファロース(実施例5に記載した如くして調製
したもの)のいずれかでのアフィニティークロマトグラ
フィーによって更に精製するか、または、グルタルアル
デヒド架橋ヒトヘモグロビンを使用してアフィニティー
吸着した。
抗−グルシトール−VGG−BSAのアフィニティー精製
は、グルシトール−VGG−セファロースまたはグルシト
ール−バリン−セファロースのいずれかの1mlをバイオ
−ラッド・ディスポーザブル・ポリプロピレン・エコノ
−カラム(バイオ−ラッド・ラボラトリーズ,Richmond,
CA,USA)中に加えることによって行った。次いで、該マ
トリックスを、50mlのPBS(0.01Mリン酸ナトリウム、0.
15M NaCl溶液),pH7.3に続いて、3mlのヨウ化カリウム
(KI)を加えたPBS,pH8.0で洗浄し、次いで、50mlのPB
S,pH7.3で洗浄した。続いて、洗浄したマトリックス
を、抗血清のDE−52IgGフラクション14mlと共に、37℃
で2時間、回転しながらインキュベートした。結合しな
かった試料を集め、その後、マトリックスを10mlのPBS,
pH7.3で2回洗浄し、結合した抗体を3mlの2M KI PBS,pH
8.0で溶離させることによって集め、すぐに該溶離物を
4℃で一夜2リッターのPBS,pH7.3で透析した。得られ
た透析アフィニティー精製抗体を直接結合及び阻害ELFA
測定に使用した(実施例10〜11を参照)。
還元されていないヒトヘモグロビンと反応するおそれ
のある抗−グルシトール−VGG−BSA試料中の抗体の除去
を、以下のようにして調製した、変性したグルタルアル
デヒド−不溶化ヒトヘモグロビンで抗血清のDE−52IgG
フラクションをアフィニティー吸着することによって行
った。1M KIを含有する10mlのPBS,pH7.3中に溶解した20
0mgのヒトヘモグロビン(シグマ・ケミカル社,St.Loui
s,MO,USA)を、アブラミース(Avrameas)及びテリンク
(TeryncK),Immunochemistry,,53(1969)の変法を
使用して、最終グルタルアルデヒド濃度0.5%で水中で
架橋した。3日間の反応の後、遠心分離法により不溶性
ヘモグロビンが得られ、コールス−バックナー(Coors
−Buckner)ロート(アメリカン・サイエンティフィッ
ク・プロダクツ,McGaw Park,IL,USA)を使用した減圧濾
過によってワットマンNo.1濾紙(ワットマン社,Springf
ield Mill Maidstone Kent,Engkand)上に集めた。濾紙
上の架橋したヘモグロビンを1リッターのPBS,pH7.3で
洗浄した。次いで、それを500mlの0.05M NH4Clと共に室
温で15分間インキュベートし、減圧濾過によって分離し
た。次に、該不溶化ヘモグロビンを400mlのPBS,pH7.3で
洗浄し、再度、減圧濾過によって分離した。
10mgのグルタルアルデヒド架橋ヒトヘモグロビンを2m
lの抗血清のDE−52フラクションと共に37℃で3.5時間回
転機上で端から端まで混合しながらインキュベートする
ことによって、抗−グルシトール−VGG−BSA IgGフラク
ションから何らかの可能なヘモグロビン反応性抗体を除
去するために、該洗浄した架橋ヘモグロビンを使用し
た。ヘモグロビン吸着した、不溶化ヘモグロビンに結合
しなかったDE−52IgG抗体を、パスツールピペットを使
用して不溶化ヘモグロビン及びそれに結合したあらゆる
物質から分離し、直接結合ELFA測定法において使用した
(実施例10参照)。
実施例8:ヒトヘモグロビンA1C(HbA1C)及びヒトヘモグ
ロビンA0(HbA0)の調製 ヒトHbA1C及びHbA0を地元の血液バンクからの古い血
液から精製した。遠心分離して得た赤血球(RBC)をPB
S,pH7.3で洗浄し、20部の蒸留水で溶血させた。残った
ストロマ及び細胞を遠心分離して除去し、得られた溶解
産物をラウレイ(Lowrey)及びソエルナー(Soeldne
r),Anal.Biochemistry,154,424−430(1986)のイオン
交換−ゲル濾過法の変法かまたはマックドナルド(McDo
nald)ら,J.Biol.Chem.,253,2327−2332(1987)のイオ
ン交換法のいずれかに付した。ラウレイ及びソエルナー
の方法は、カラム容量を増加し(2.5×42cm)、充填し
た溶解産物中の塩濃度を増加し(100mM NaCl)、流速を
落とし(15ml/hr)、そして、充填したヘムタンパクの
容量を減じること(0.5mlの10倍濃縮した溶解産物)に
よって変更した。混合床操作(mixed bed procedure)
によって高純度のHbA1C及びHbA0が得られたが、その再
現性からマックドナルドらの方法が好ましかった。
いずれかの単離技術によって得られたヘモグロビン含
有フラクションを検査及び415nmでの吸光度によって確
認した。種々のヘモグロビンフラクションの純度を、ベ
ックマン344HPLCシステム(ベックマン・インスツルメ
ンツ,Berkeley,Ca)において、4.6×30mMマイクロアナ
ライザーMA7Cカートリッジ(バイオ−ラッド・ラボリト
リーズ,Richmond,CA,USA)を使用する分析陽イオン交換
HPLCによって評価した。ヘモグロビンの分別は、メーカ
ーが添付したプロトコール(バイオ−ラッド・ラボラト
リーズ,Richmond,CA,USA)に従って行った。即ち、20ul
のヘモグロビン含有サンプルを予め20mMビス−トリス,p
H6.0で平衡にしたマイクロアナライザーMA7Cカートリッ
ジに注入し、同じビス−トリス緩衝液系での一次塩勾配
(0から100mM NaCl)を使用することによって、流速1.
5ml/分で6分を要して、ヘモグロビンフラクションを得
た、ヘモグロビン含有フラクションは、ベックマン163
可変波長検出器(ベックマン・インスツルメンツ,Berke
ley,Ca)を使用した415nmでのヘム吸光度によって検出
した。ヘモグロビンフラクションは、415nmでの吸光度
によって検出し、既知量のヒトヘモグロビンA1C(バイ
オ−ラッド・ラボラトリーズ,Richmond,CA,USA)を含有
するスタンダードと比較した。精製したヘモグロビンフ
ラクションは、直接結合または阻害ELFA測定法において
使用する(実施例10〜12を参照)まで4℃で保存した。
実施例9:ヘモグロビン抗原の還元 ヘモグロビン含有サンプル(例えば、精製したヘモグ
ロビン、ヘモグロビン成分または患者からのRBC溶解産
物)中に例え少しでも存在するHbA1Cを検出及び定量で
きるように、ヘモグロビン含有サンプルをまずNaBH4
還元し、サンプル中に存在する全てのHbA1Cのβ鎖のN
−末端上のグルシトール−バリンを形成しなければなら
ない。次いで、サンプル中に存在する還元されたHbA1C
は、抗血清中に、抗血清のDE−52IgGフラクション中
に、及びアフィニティー精製及びアフィニティー吸着し
た物質中に(全て実施例7に記載した如くして調製し
た)存在する抗グルシトール−VGG−BSA抗体と反応する
ことができる。固相吸着ヘモグロビンの還元は、直接結
合ELFAにおけるグルシトール−バリンの検出に必要であ
り、固相及び液相ヘモグロビンの両方の還元は、阻害EL
FA測定に必要である(実施例10〜14参照)。固相吸着ヘ
モグロビン及び液相ヘモグロビンの還元は別々に説明す
る。
予めポリスチレンマイクロタイターウェルに吸着した
ヘモグロビン(実施例10〜14参照)をPBS,pH7.3中の50m
M NaBH4を添加することによって還元した。還元溶液の
容量は、ヘモグロビンのコーティングに使用した容量と
等しかった。4℃で一夜還元した後、該プレートを、ウ
ェルをPBSA(0.15M NaCl、1%BSA、0.1%ツィーン20、
0.02%NaN3,pH7.3を含有する0.01Mリン酸ナトリウム緩
衝液)で満たし、デカンテーションするかまたは吸引す
ることによって洗浄し、残ったNaBH4を除去した。次い
で、該プレートを、PBS,pH7.3中の1%(重量/容量)
卵アルブミンを使用したバックコーティングによって、
実施例10に記載した方法で処理した。
液相ヘモグロビンサンプルの還元は、還元されるヘモ
グロビン溶液の各容量に対して3倍容量の、0.01%BSA,
pH7.3を含有するPBS中の50mM NaBH4(還元溶液)を添加
することによって行った。この還元方法を使用して還元
されなかったヘモグロビンの見掛け濃度は、415nmでの
ヘム吸光度によって測定して0.5〜1.0mg/mlであった。
該ヘモグロビンを還元溶液と共に緩やかに渦を巻かせる
ことによって混合し、次いで、37℃で3時間反応させ、
その後、該還元混合液をPBSAを使用して1:10に希釈し
た。この希釈は、NaBH4濃度を抗体の反応性に干渉しな
いように決定されたレベルの3.37mM NaBH4に低下させ、
この希釈された還元された物質は、阻害ELFAにおける阻
害因子としてすぐにでも利用できた(実施例11参照)。
赤血球(RBC)溶解産物から得られたヘモグロビンのN
aBH4還元は、精製したHbA1CまたはHbA0について上記し
た方法と類似の方法で行った。生理食塩水で洗浄したRB
Cを蒸留水で1:20に希釈することによって溶血した。不
溶性の溶血片を静置または遠心分離することによって除
去し、集めた溶解性上清溶解産物のヘモグロビン濃度を
測定した。固相吸着溶解産物の還元は、HbA1Cについて
上記した如くして行った。液相溶解産物の還元は、未還
元ヘモグロビンの初期濃度を0.5〜1.0mg/mlの代わりに2
mg/mlを使用した点だけ上記の方法と相違した。
全血液溶解産物の使用(実施例13及び14)には、それ
ら実施例において詳細に記載する還元実験方法において
変動させることが必要である。
実施例10:直接結合−酵素結合蛍光測定法(直接結合ELF
A) 200μlの抗原(例えば、グルシトール−VGG−BSA、
グルシトール−VGG−チロ、グルシトール−ヒトヘモグ
ロビン、CNBH3コントロール、HbA1C、HbA0、または、実
施例1〜6及び8〜9で記載した如く調製した糖尿病患
者由来のRBCの溶解産物)をマイクロフルオル(Microfl
uor)“B"ブラック・ポリスチレン・マイクロタイター
・プレート(ダイナテック・ラボラトリーズ,Alexandri
a,VA,USA)のウェルに加えた。該抗原がウェルに吸着で
きるように、該プレートを37℃で2時間インキュベート
した。該抗原に0.1M NaCO3,pH9.8中の5ug/mlタンパクを
コーティング濃度で添加した。
結合しなかった抗原をデカンテーションするかまたは
吸引することによって除去し、予備的還元を必要とする
吸着した抗原(例えば、HbA1C、HbA0及びRBC溶解産物)
について実施例9に記載した如くして、NaBH4還元を行
った。該プレートを、ウェルをPBSAで満たし、デカンテ
ーションするかまたは吸引することによって5回洗浄し
て、残存したNaBH4を除去した。既にグルシトールを持
っている抗原については、この還元及びPBSA洗浄処理を
省略した。
続いて、残ったポリスチレンタンパク結合部位を、1
%卵アルブミン(シグマ・ケミカル社,St.Louis,MO,US
A)及び0.02%ナトリウムアジド,pH7.3を含有するPBSで
ウェルを満たすことによって遮蔽し、37℃で1時間イン
キュベートした。デカンテーションまたは吸引の後、PB
SAで逐次希釈した200ulの抗−グルシトール−VGG−BSA
抗体試料(例えば、抗血清、DE−52IgGフラクション、
アフィニティー精製抗体、またはアフィニティー吸着抗
体、全て実施例7の如くして調製される)をウェルに添
加し、給湿室中で4℃で一夜インキュベートした。
次に、該マイクロタイターウェルを上記の如くPBSAで
5回洗浄し、PBSAで1:2000に希釈したビオチン−標識ヤ
ギ抗ウサギIgG(ベクター・ラボラトリーズ,Burlingam
e,CA,USA)を200ul/ウェル加え、37℃で2時間インキュ
ベートした。PBSAで5回洗浄した後、PBSAで1:2000に希
釈したストレプトアビジン−β−ガラクトシダーゼ〔ベ
セスダ(Bethesda)・リサーチ・ラボラトーリズ,Gaith
ersburg,MD,USA〕を200ul/ウェル加え、37℃で1.5時間
インキュベートした。PBSAでの最終5回洗浄後、PBS,pH
7.5中の0.1mg/ml 4−メチル−ウンベリフェリル−β−
ガラクトピラノシド基質を200ul該マイクロタイターの
ウェルに添加し、365nmの励起波長と450nmの発光波長を
使用して、マイクロフルオル読み取り機(ダイナテック
・インスツルメンツ,Torrance,Ca,USA)で、メチルウン
ベリフェロンの蛍光を相対的蛍光単位(RFU)として測
定した。
抗原を欠くだけで上記と同様の方法で処理したコント
ロールウェル(抗原なしのコントロール)、抗−グルシ
トール−VGG−BSA抗体試料を欠くだけのコントロールウ
ェル(第一抗体なしのコントロール)及び遮蔽処理し及
び基質を添加しただけのコントロールウェル(基質ブラ
ンク)を含めた。抗原なしのコントロール及び第一抗体
なしのコントロールは、抗体の特異的結合及び標識剤に
ついての正確な読み取りに役立つ一方、基質コントロー
ルは非酵素的基質加水分解についての補正を可能にし
た。
RBC溶解産物試料の直接結合測定については、上記の
実験方法を少し変更した。このRBC溶解産物についての
変更とは:あとの遮蔽処理がないことと共に10ug/mlタ
ンパクコーティング濃度を使用すること;5回のPBSA洗浄
の代わりにPBS,pH7.5で3回洗浄すること;ストレプト
アビジン−β−ガラクトシダーゼでの0.5時間のインキ
ュベート以外は、全試薬を周囲温度で1時間インキュベ
ートすること;及び固定飽和濃度(1:100希釈)で抗−
グルシトール−VGG−BSA抗体試料を使用することであっ
た。
代表的な直接結合ELFA結果を図1〜3及び5〜7に示
した。この結果は、次のようにまとめることができる。
グルシトール−VGG−BSAに対して調製し、グルシトー
ル−VGG−セファロースを使用してアフィニティー精製
した抗体は、グルシトール−VGG−BSA及びグルシトール
−VGG−チロを認識した(図1及び3)。これら抗体
は、還元されたグリコシル化天然ヘモグロビン(図3)
及び還元された精製HbA1C(図2)とも反応したが、還
元されたグリコシル化天然ヘモグロビン(図2における
HbA0)及びCNBH3コントロール(図3におけるグルコー
スの不存在化で還元的にグリコシル化したヘモグロビ
ン)とは反応しなかった。使用したHbA0は、イオン交換
クロマトグラフィーによって調製したものであり、NaBH
4処理によって還元された、有効なε−アミノ基上でグ
リコシル化された分子を含有していたものと考えられ
る。
グルシトール−VGG−BSAを使用して調製しグルシトー
ル−バリン−セファロースのカラムでアフィニティー精
製した抗体は、グルシトール−VGG−セファロースで精
製した抗体と同様な特異性を示した(図2を図5と比較
のこと)。同様に、グルシトール−VGG−BSAに対して調
製し、架橋ヒトヘモグロビン(未還元グリコシル化バリ
ン及びリジン残基を含有していたものと考えられる)を
使用してアフィニティー吸着した抗体は、グルシトール
−VGG−セファロースまたはグルシトール−バリン−セ
ファロースでアフィニティー精製した抗体と同様な特異
性を示した。図1〜3及び5〜7を参照のこと。
最後に、糖尿病患者由来のRBC溶解産物を使用した直
接結合ELFAの結果は、標準電気泳動法を使用して別途得
られたHbA1Cの測定と相互によく関連している。典型的
な回帰分析曲線である図4を参照のこと。
該電気泳動法は、グリコシル化ヘモグロビン測定のた
めのシバ−コーニング電気泳動キット(シバ−コーニン
グ,Palo Alto,Ca,カタログNo.470055)を使用して行っ
た。該電気泳動法は、メーカーの説明書に従って行っ
た。
実施例11:阻害酵素結合蛍光測定法(阻害ELFA) 実施例10の直接結合ELFAと2ヵ所変更しただけの同じ
方法で、固相吸着された還元HbA1C抗原を使用して阻害E
LFAを行った。第一に、グルシトール−VGG−セファロー
ス上でアフィニティー精製した抗−グルシトール−VGG
−BSA抗体の一定濃度を使用した。使用した濃度は、固
相吸着したNaBH4−還元HbA1C抗原での直接結合ELFAにお
いて、50%またはそれ未満の最大結合を得るのに必要な
抗体の濃度である。
第二に、固定した濃度の抗体に、HbA1C抗原または糖
尿病患者由来のRBCの溶解産物からなる阻害因子を濃度
を変化させて混合した。この両者は、実施例9に記載し
た如くして予め還元し、次いで、抗体を添加する前にPS
BA中で逐次希釈したものである。37℃で2時間インキュ
ベートした後、HbA1Cでコーティングし、NaBH4で還元
し、PSBAで洗浄し、次いで、実施例9及び10に記載した
如くして、卵アルブミンで遮蔽したウェルに、200ulの
抗体−阻害因子混合液を添加した。阻害結合ELFAにおけ
る抗体−阻害因子混合液の添加は、直接結合ELFAにおけ
る抗−グルシトール−VGG−BSA抗体試料の添加に対応し
ている。
阻害ELFAのためのコントロールは、抗原なしのコント
ロール、第一抗体なしのコントロール、基質ブランク、
及び、阻害因子を欠く以外は液相還元HbA1C阻害因子と
同じく処理した、抗体と希釈した還元混合液からなる、
NaBH4還元の効果のためのコントロールであった。
抗体結合の代表的な阻害は、還元された液相HbA1C
ついては図8に及び還元された糖尿病患者からのRBC溶
解産物サンプルについては図9に示されている。RBC溶
解産物は、電気泳動法によって8.4%HbA1Cを含有するこ
とが予め明らかにされていた。回帰分析は、検討した5
つのサンプルについて、阻害ELFAにおいて50%阻害を得
るのに必要なRBC溶解産物の量と電気泳動法によって決
定された同じサンプル中に存在するHbA1Cの量の間の一
次的関係を証明している(図10参照のこと)。
実施例12:阻害酵素結合蛍光測定法(阻害ELFA) 架橋ヒトヘモグロビンで吸着された抗−グルシトール
−VGG−BSA抗体を抗体として使用し、グルシトール−VG
Gを阻害因子として使用した以外は、実施例11を繰り返
した。結果を11図に示した。それから分かるように、試
験したグルシトール−VGGが高濃度である場合には、グ
ルシトール−VGGは、還元されたHbA1Cに対する抗体の結
合の100%を阻害した。
実施例10〜12からのデータをひとまとめに考えると、
グルシトール−VGG−セファロース若しくはグルシトー
ル−バリン−セファロースでアフィニティー精製した
か、または、架橋ヒトヘモグロビンでアフィニティー吸
着した抗−グルシトール−VGG−BSA抗体は、グルシトー
ル−バリンを特異的に検出していることが明らかであ
る。該アフィニティー精製またはアフィニティー吸着し
た抗体は、依然として高い力価を有している。かくし
て、本発明の方法は、そのN−末端アミノ酸上でグリコ
シル化されたタンパクを検出する免疫学的測定法におい
て有用な、特異性が高く力価の高い抗血清及び抗体試料
を、モノクローナル抗体を調製することなしに得る簡単
な方法を提供するものである。もちろん、望ましいけれ
ば、モノクローナル抗体を使用してもよい。
実施例13:全血溶解産物を使用する直接結合−酵素結合
免疫吸着測定法(ELISA) この実施例は、実施例10に記載した方法の応用である
直接結合測定法を説明する。HbA1C源として全血を利用
し、速可視化比色エンドポイント法(readily visualiz
ed colorimetric endpoint)を採用した。完全な測定は
全部で約3〜4時間で行うことができる。
予めEDTAコートしたバクタイナー(vacutainer)管
(ベクトン・ジキンソン,Rutherford,NJ 07070)中に捕
集した血液1滴を、5.75インチのパスツール型使い捨て
ピペット(サイエンティフィック・プロダクツ,McGaw P
ark,IL,USA)で、12×75mmポリスチレン管(サイエンテ
ィフィック・プロダクツ,McGaw Park,IL,USA)中の蒸留
水1mlに加えた。混合した後、室温で15分間インキュベ
ートすることによって、得られた全血溶解産物で該管を
コートした。吸引によってコーティング溶液を除去し、
PBS中の50mM NaBH41mlを加え、室温で10分間還元を行っ
た。
次いで、該管をPBSで3回洗浄した。管をPBSで満た
し、次いで、洗浄緩衝液を吸引することによって洗浄を
行った。
PBSAで1:100に希釈した、抗−グルシトール−バリン
反応性抗体(アフィニティー精製もアフィニティー吸着
もしていないことを除いては、実施例7に記載した如く
調製したもの、即ち、DE−52精製IgGフラクション)を
加え(各管に1ml)、室温で45分間インキュベートし
た。
PBSで3回洗浄した後、PBSAで1:2000に希釈した、1ml
のビオチン−標識ヤギ抗ウサギIgG(ベクター・ラボラ
トリーズ,Burlingame,CA,USA)を加え、室温で0.5時間
インキュベートした。3回のPBS洗浄後、PBSAで1:2000
に希釈した、1mlのストレプトアビジン−β−ガラクト
シダーゼ(ベセスダ・リサーチ・ラボラトリーズ,Gaith
ersburg,MD,USA)を加え、室温で15分間インキュベート
した。4回のPBS洗浄後、0.1M 2−メルカプトエタノー
ル及び5mM MgCl2を含有する0.1Mリン酸ナトリウム緩衝
液,pH7.3中のo−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピ
ラノシド(ONPG)基質(シグマ・ケミカル社,St.Louis,
MO,USA)4mg/ml溶液の1mlを加え、室温で40分間インキ
ュベートした。既知量のHbA1Cを含有するスタンダード
(バイオ−ラッド・ヘモグロビンA1C・ミニまたは/及
びマイクロ・カラム・テスト・キャリブレータ、バイオ
−ラッド・クリニカル・ディビジョン,Hercules,CA,US
A)を使用し、スタンダードと得られた黄色ニトロフェ
ノール生成物の全血溶解産物と比較することによって、
全血溶解産物中のHbA1Cの相対量を決定した。
糖尿病患者由来の全血溶解産物中のHbA1Cの量を測定
するこの方法を使用して得られた結果は、図12に示した
ように、同じ患者からのRBC溶解産物の電気泳動法によ
って得られたHbA1Cのパーセントと相互によく関連して
いる(相関係数は0.9724である)。該電気泳動測定は、
実施例10に記載した如くして行った。
実施例14:阻害因子として全血溶解産物を使用する阻害
酵素結合蛍光測定法 この実施例は、実施例11に記載した阻害測定方式の応
用を記載したものである。HbA1C源として全血溶解産物
を使用した。
200μlの抗原(11.4%HbA1Cを含有していると測定さ
れたバイオ−ラッド・ヘモグロビンA1Cマイクロカラム
・テスト・スタンダード)を0.1M NaHCO3,pH9.8での総
ヘモグロビンの濃度10mg/mlで、マイクロフルオル“B"
マイクロタイターウェルに加え、37℃で2時間、ウェル
をコートさせた。結合しなかった抗原をデカンテーショ
ンするかまたは吸引することによって除去し、吸着した
抗原をPBS中の50mM NaBH4で該ウェルを満たすことによ
って還元し、37℃で1時間インキュベートした。続い
て、0.1%ツィーン20(シグマ・ケミカル社,St.Louis,M
O,USA)を含有するPBSでウェルを洗浄し、1%卵アルブ
ミン(シグマ・ケミカル社,St.Louis,MO,USA)及び0.02
%ナトリウムアジド,pH7.3を含有するPBSでウェルを満
たし、37℃で1時間インキュベートして、全ての残存ポ
リスチレン・タンパク結合部位を遮蔽した。
コーティング、還元及びバックコーティングの間、実
施例13に記載した如く調製した抗−グルシトール−バリ
ン反応性抗体をNaBH4−還元阻害因子(全血溶解産物ま
たはバイオ−ラッド・ヘモグロビンA1C・キャリブレー
タ、バイオ−ラッド・クリニカル・ディビジョン,Hercu
les,CA,USAからなるスタンダードのいずれか)と共にイ
ンキュベートした。これら阻害因子の還元は、還元溶液
中のNaBH4の濃度が500mMであり、かつ、還元時間が37℃
で1時間であったことを除いては、RBC溶解産物につい
て実施例9に記載した如くして行った。
あとの阻害測定法は、以下を除いては、実施例11に記
載したものと同一であった: (1)0.1%のツィーン20を含有するPBS洗浄を行ったこ
と、及び (2)ビオチン−標識ヤギ抗ウサギIgGでのインキュベ
ーション時間が4℃で一夜であったこと。
阻害因子として糖尿病患者の全血溶解産物を使用した
抗体結合の阻害を示す代表的な投与応答曲線を図13に示
す。ここに記載した阻害方法によって得られた、糖尿病
患者由来の全血溶解産物中のHbA1Cの量の測定結果を、
同じ糖尿病患者由来のRBC溶解産物の電気泳動によって
得られた結果と比較して、回帰分析を行った(電気泳動
は実施例10に記載した如くして行った)。試験した8糖
尿病サンプルのうちの5についての2つの技術を比較し
た回帰分析結果のグラフを図14に示す。これら5サンプ
ルについての相関係数は0.9762であった。該8サンプル
のうちの6、該8サンプルのうちの7及び該8サンプル
のうちの8サンプルの回帰分析によって、それぞれ、相
関係数0.7098、0.4899及び0.0774が得られた。これら3
つのサンプルが何故このようなばらついた結果を与える
のかについては未だ明らかではない。
図13及び図14においては、全血溶解産物のヘモグロビ
ン濃度は、該溶解産物の414nmにおける吸光度を、蒸留
水に溶解して希釈した逐次希釈ヘモグロビンスタンダー
ド(シグマ・ケミカル社,St.Louis,MO,USA)の吸光度と
比較することによって決定した。
実施例15:全血溶解産物を使用する直接結合−酵素結合
免疫吸着測定法(ELISA) HbA1C源として全血溶解産物を使用した直接結合ELISA
をマイクロタイター・プレートを使用して行った。完全
な測定は全部で約3〜4時間で行うことができる。
血液サンプルを蒸留水で1:200に希釈することによっ
て溶解し、続いて、ヘモグロビン濃度を0.1M NaCO3,pH
9.6(コーティング緩衝液)中10μg/mlになるように調
整した。ヘモグロビン濃度は、該溶解産物の414nmにお
ける吸光度を、蒸留水に溶解して希釈した逐次希釈ヘモ
グロビンスタンダード(シグマ・ケミカル社,St.Louis,
MO,USA)の吸光度と比較することによって決定した。既
知量のヘモグロビンA1Cを含有するスタンダード(バイ
オ−ラッド・ヘモグロビンA1C・ミニ及び/またはマイ
クロカラム・テスト・キャリブレータ、バイオ−ラッド
・クリニカル・ディビジョン,Hercules,CA,USA)は、コ
ーティング緩衝液で10μg/mlに希釈した。
200μlの抗原(即ち、希釈した糖尿病患者全血溶解
産物または既知量のヘモグロビンA1Cを含有する希釈し
たスタンダード)をイムロン2プレート(ダイナテック
・ラボラトリーズ,Chantilly,VA,USA)のウェルに加え
た。該抗原がウェルの固体表面に吸着できるように、該
プレートを37℃で1時間インキュベートした。コーティ
ング緩衝液中10μg/mlのコーティング濃度で該抗原を添
加した。
後の処理は、以下を除いては、実施例10に記載した直
接結合ELFAにおいて使用したのと同様であった: 1.PBS,pH7.3中の50mM NaBH4での還元を室温で0.5時間行
ったこと; 2.抗−グルシトール−バリン−抗体(実施例13に記載し
た如く調製した)でのインキュベーションを、抗体の1/
20希釈液を使用して、37℃で45分間行ったこと; 3.ビオチン−標識ヤギ抗ウサギIgGでのインキュベーシ
ョンを、抗体の1/2000希釈液を使用して、37℃で45分間
行ったこと; 4.ストレプトアビジン−β−ガラクトシダーゼでのイン
キュベーションを室温で20分間行ったこと; 5.試薬を添加した間の全ての洗浄を、0.1%ツィーン20,
pH7.3を含有するPBSを使用して3回行ったこと; 6.基質が、a)0.1M 2−メルカプトエタノール及び5mM
MgCl2を含有する0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液,pH7.3
(比色用基質緩衝液)中における1mg/ml濃度のo−ニト
ロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(ONPG)(シ
グマ・ケミカル社,St.Louis,MO,USA)であるか、また
は、b)比色用基質緩衝液中における0.6mg/ml濃度のク
ロロフェノール レッド−β−D−ガラクトピラノシド
(CPRG)(ベーリンガー・マンハイム・バイオケミカル
ズ,IN,USA)であったこと;及び 7.ONPG基質と40分間反応した後、405nmで吸光度を測定
したこと。CPRGについては、反応時間が9分で570nmで
吸光度を測定したこと。
図15は、直接結合ELISAを使用して糖尿病患者由来の
全血溶解産物中のHbA1Cを測定することによって得られ
た結果を、アミノフェニルボロネート・システム〔Glyc
−Aff−Ghb,イソラボ(Isolab)社,Akron,OH,USA〕を使
用して得られた結果との比較を示す。これは、メーカー
の説明書に従って行い、同じ糖尿病患者由来のRBC溶解
産物中のHbA1Cを測定した。直接結合ELISAを使用して得
られたHbA1Cのパーセンテージとイソラボ・アミノフェ
ニルボロネート・カラム・システムを使用して得られた
HbA1Cのパーセンテージは、ONPG(相関係数=0.9708)
及びCPRG(相関係数=0.9712)基質の両方について同じ
であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−172064(JP,A) 特開 昭63−277967(JP,A) J.Clin.Invest.,72 (4)(1983)p1427−38 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/53 C07K 16/18 CA(STN)

Claims (36)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式: (Glc−ol−X−L)−キャリアー を有する免疫原として有用な化合物。 ここで、 Xは、そのN−末端アミノ酸のα−アミノ基上で非酵素
    的にグリコシル化されたタンパク質の、リジンを除くN
    −末端アミノ酸であり; Lは、結合手または連結基であり; Glc−olは、該グリコシル化されたタンパク質上のXに
    結合した糖の還元型であって、Glc−olはXのα−アミ
    ノ基に結合しており; キャリアーは該グリコシル化されたタンパク質以外の免
    疫原性化合物であり;そして nは1から該キャリアー上の有効な結合部位の数までで
    ある。
  2. 【請求項2】Glc−olがグルシトールである、請求項1
    記載の化合物。
  3. 【請求項3】Xがバリンである、請求項1記載の化合
    物。
  4. 【請求項4】Lがグリシン−グリシンである、請求項1
    記載の化合物。
  5. 【請求項5】キャリアーが、ウシ血清アルブミンまたは
    ウシチログロブリンである、請求項1記載の化合物。
  6. 【請求項6】Xがバリンであり、Lがグリシン−グリシ
    ンである、請求項2記載の化合物。
  7. 【請求項7】キャリアーが、ウシ血清アルブミンまたは
    ウシチログロブリンである、請求項6記載の化合物。
  8. 【請求項8】N−末端アミノ酸のα−アミノ基上で非酵
    素的にグリコシル化されたタンパク質のN−末端アミノ
    酸上の糖を還元した後に、そのタンパク質と反応性であ
    る抗体を調製する方法であって、請求項1記載の化合物
    で動物を免疫することを含む方法。
  9. 【請求項9】タンパク質がグルコースまたはその誘導体
    でグリコシル化される、請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】グリコシル化されたタンパク質がヘモグ
    ロビンである、請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】グリコシル化されたタンパク質がHbA1c
    であり、Glc−olがグルシトールであり、Xがバリンで
    ある、請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】Lがグリシン−グリシンである、請求項
    11記載の方法。
  13. 【請求項13】キャリアーが、ウシ血清アルブミンまた
    はウシチログロブリンである、請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】Xがバリンである、請求項8記載の方
    法。
  15. 【請求項15】Lがグリシン−グリシンである、請求項
    8記載の方法。
  16. 【請求項16】そのN−末端アミノ酸のα−アミノ基上
    で非酵素的にグリコシル化されたタンパク質の免疫学的
    測定法であって: 該グリコシル化されたタンパク質を含有するサンプルを
    用意すること; 該N−末端アミノ酸上の糖残基を還元するために、該グ
    リコシル化されたタンパク質を還元剤と反応させるこ
    と; 該還元されたグリコシル化タンパク質をGlc−ol−Xに
    向けられた抗体と反応させること、ここで、Xは、該グ
    リコシル化されたタンパク質の、リジンを除くN−末端
    アミノ酸であり、Glc−olは、該グリコシル化されたタ
    ンパク質上のXに結合した糖の還元型である;及び 該抗体に結合した該還元されたグリコシル化タンパク質
    を検出または定量すること、 を含む免疫学的測定法。
  17. 【請求項17】Xがバリンである、請求項16記載の方
    法。
  18. 【請求項18】タンパク質が、グルコースまたはその誘
    導体でグリコシル化される、請求項16記載の方法。
  19. 【請求項19】グリコシル化されたタンパク質がヘモグ
    ロビンである、請求項18記載の方法。
  20. 【請求項20】グリコシル化されたタンパク質がHbA1c
    であり、Glc−olがグルシトールであり、Xがバリンで
    ある、請求項19記載の方法。
  21. 【請求項21】サンプルが、HbA1cを放出するように溶
    血された全血である、請求項20記載の方法。
  22. 【請求項22】HbA1cが比色的に検出または定量され
    る、請求項21記載の方法。
  23. 【請求項23】更に、該放出されたHbA1cで固体表面を
    コーティングする処理を含む、請求項21記載の方法。
  24. 【請求項24】還元されたHbA1cが比色的に検出または
    定量される、請求項23記載の方法。
  25. 【請求項25】そのN−末端アミノ酸のα−アミノ基上
    で非酵素的にグリコシル化されたタンパク質を検出また
    は定量するためのキットであって: Glc−ol−Xに向けられた第一抗体の入った容器、ここ
    で、Xは該グリコシル化されたタンパク質の、リジンを
    除くN−末端アミノ酸であり、Glc−olは、該グリコシ
    ル化されたタンパク質上のXに結合した糖の還元型であ
    る、 を含むキット。
  26. 【請求項26】更に、グリコシル化されたタンパク質の
    N−末端アミノ酸のα−アミノ基上の糖残基を還元する
    ための還元剤の入った容器を含む、請求項25記載のキッ
    ト。
  27. 【請求項27】更に、抗体に結合した還元されたグリコ
    シル化タンパク質を検出または定量するのに有用な標識
    成分の入った容器を含む、請求項26記載のキット。
  28. 【請求項28】標識成分が、第一抗体に反応性である第
    二抗体である、請求項27記載のキット。
  29. 【請求項29】更に、抗体に結合した還元されたグリコ
    シル化タンパク質を検出または定量するのに有用な標識
    成分の入った容器を含む、請求項25記載のキット。
  30. 【請求項30】標識成分が、第一抗体に反応性である第
    二抗体である、請求項29記載のキット。
  31. 【請求項31】Glc−ol−Xに向けられた抗体であっ
    て、Xは、そのN−末端アミノ酸のα−アミノ基上で非
    酵素的にグリコシル化されたタンパク質の、リジンを除
    くN−末端アミノ酸であり、Glc−olが該グリコシル化
    されたタンパク質のN−末端α−アミノ基に結合した糖
    残基の還元型である抗体。
  32. 【請求項32】グリシトール−バリンに向けられた、請
    求項31記載の抗体。
  33. 【請求項33】請求項1記載の免疫原を調製する方法で
    あって: 還元的にXをグリコシル化して、Glc−ol−Xを生成す
    ること; 連結基を使用する場合には、Glc−ol−XをLにカップ
    リングすること; 及び Glc−ol−XまたはGlc−ol−X−Lを免疫原性キャリア
    ーにカップリングすること、を含む方法。
  34. 【請求項34】Glc−olがグルシトールであり、Xがバ
    リンであり、Lがグリシン−グリシンである、請求項33
    記載の方法。
  35. 【請求項35】請求項1記載の免疫原を調製する方法で
    あって: XをLにカップリングして、X−Lを生成すること; 還元的にX−Lをグリコシル化して、Glc−ol−X−L
    を生成すること; Glc−ol−X−Lを免疫原性キャリアーにカップリング
    すること、 を含む方法。
  36. 【請求項36】Glc−olがグルシトールであり、Xがバ
    リンであり、Lがグリシン−グリシンである、請求項35
    記載の方法。
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