JP3122254B2 - アンチスキッドブレーキ制御装置における車輪速センサの異常検出方法およびこの異常検出方法を用いたアンチスキッドブレーキ制御方法 - Google Patents

アンチスキッドブレーキ制御装置における車輪速センサの異常検出方法およびこの異常検出方法を用いたアンチスキッドブレーキ制御方法

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JP3122254B2
JP3122254B2 JP04276133A JP27613392A JP3122254B2 JP 3122254 B2 JP3122254 B2 JP 3122254B2 JP 04276133 A JP04276133 A JP 04276133A JP 27613392 A JP27613392 A JP 27613392A JP 3122254 B2 JP3122254 B2 JP 3122254B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車輪速センサからの車
輪速度に基づいて車輪ロックを判断し、車輪ロック傾向
時にこの車輪の制動力を調整してロック傾向を解消する
ようにブレーキ力を制御するアンチスキッドブレーキ制
御方法に関し、特に、車輪速センサのセンサーギャップ
の異常を検出するためのアンチスキッドブレーキ制御装
置における車輪速センサの異常検出方法およびこの異常
検出方法を用いたアンチスキッドブレーキ制御方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】アンチスキッドブレーキ制御は、制動時
に車輪がスキッド傾向となったことを検出したとき、そ
の車輪のブレーキ力を弱めてスキッド傾向を解消し、そ
の後再びブレーキ力を大きくすることにより、車両の操
縦を安定させると共に、制動距離ができるだけ短くなる
ようにブレーキ制御を行うものである。
【0003】従来、このアンチスキッドブレーキ制御を
行うアンチスキッドブレーキ制御装置が、例えば特開昭
50ー96773号公報等により提案されている。図6
はこの種の従来のアンチスキッドブレーキ制御装置を備
えた車両制動装置の一般的な例を概略的に示す図であ
る。
【0004】図6に示すように、車両制動装置1は、圧
縮空気を収容するエアタンク2、このエアタンク2内の
圧縮空気の給排を制御するブレーキバルブ3、このブレ
ーキバルブ3を制御するブレーキペダル4、ブレーキバ
ルブ3を通して送られてくる圧縮空気の空気圧により制
動油圧を発生し、本発明のアクチュエータを構成するブ
レーキブースタ5、このブレーキブースタ5によって変
換された油圧が導入されて車輪の制動を行うブレーキシ
リンダ6、アンチスキッドブレーキ制御を行うコントロ
ーラ7、車輪速度を検出してコントローラ7に送る車輪
速センサ8、コントローラ7からの制御信号に基づいて
作動してブレーキブースタ5に対する圧縮空気の給排、
保持等を行うことにより、ブレーキブースタ5に導入さ
れる空気圧を調整するモジュレータ9を備えている。
【0005】制動時、ブレーキペダル4を踏み込んでブ
レーキバルブ3を作動させることにより、ブレーキバル
ブ3の出力圧がモジュレータ9に供給される。これによ
り、モジュレータ9の保持用開閉弁(不図示)が開い
て、ブレーキバルブ3の出力圧がブレーキブースタ5に
供給され、ブレーキブースタ5は制動油圧を発生する。
ブレーキブースタ5で発生した制動油圧は、ブレーキシ
リンダ6に導入され、ブレーキシリンダ6がブレーキを
作動する。
【0006】制動中に、コントローラ7が車輪速センサ
8からの車輪速度信号に基づいて、車輪がロック傾向に
あると判断すると、コントローラ7はロック傾向にある
車輪に対応するモジュレータ9の保持用電磁弁(不図
示)を作動させる。
【0007】これにより、保持用開閉弁(不図示)が閉
じてブレーキ保持状態となる。しかし、まだロック傾向
が解消されないと、次にモジュレータ9の排気用電磁弁
(不図示)が作動される。その結果、排気用開閉弁が開
いて、ブレーキブースタ5に供給された圧縮空気が排気
され、ブレーキ減圧状態となる。
【0008】このブレーキ圧の減圧により、車輪のロッ
ク傾向が解消されると、保持用電磁弁と排気用電磁弁と
が非作動状態に戻されて、排気用開閉弁が閉となると共
に、保持用開閉弁が開となる。これにより、ブレーキ増
圧状態となる。
【0009】このように、コントローラ7が車輪速セン
サ8からの車輪速度に基づいて演算し、車輪がロック傾
向であると判断すると、コントローラ7からの制御信号
に応じてモジュレータ9の保持用電磁弁および排気用電
磁弁が作動し、ブレーキブースタ5の供給空気圧に対し
て、減圧、保持あるいは増圧の制御が適宜繰り返し行わ
れ、その車輪のロック傾向を解消するようにアンチスキ
ッドブレーキ制御が行われる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両制動装
置1のアンチスキッドブレーキ制御装置における車輪速
センサ8は、一般に車輪と一体的に回転する複数の突起
8aを有するセンサロータ8bと、それらの突起8aを
感知して出力を発生するセンサ8cとから構成されてい
る。その場合、新車時には、センサロータ8bとセンサ
8cとのギャップはほぼ0に調整されている。
【0011】また、コントローラ7のセンサ信号取入口
には、ノイズを除去するために一般にローパスフィルタ
等の入力フィルタ(不図示)が設けられており、したが
って車輪速センサ8からの車輪速度信号はこの入力フィ
ルタによってノイズが除去されてコントローラ7に取り
入れられる。このように入力フィルタが設けられた場
合、この入力フィルタの入力感度のため、図7に示すよ
うにセンサ出力特性は、センサの正常時には周波数A0H
z以上でセンサ出力電圧が発生する。すなわち、コント
ローラ7はセンサ出力信号を感知し始める。
【0012】しかしながら、摩耗等によりセンサロータ
8bとセンサ8cとのギャップが広がると、センサ8c
の出力電圧が低下する。このため、センサ出力電圧発生
開始周波数が一点鎖線で示す入力フィルタの入力感度ラ
インに沿ってA1Hzと上がってしまう。そして、センサ
ロータ8bとセンサ8cとのギャップが更に広がること
により、センサ出力電圧発生開始周波数が、アンチスキ
ッドブレーキ制御の下限周波数AL(車輪速度にほぼ等
しいセンサ周波数がこれ以下になるとアンチスキッドブ
レーキ制御を停止する周波数)以上となると、コントロ
ーラ7は車輪がロックしたと誤判断してしまう。
【0013】この誤判断の原因として次のことが考えら
れる。すなわち、図8に示すようにセンサ出力電圧発生
開始周波数がアンチスキッドブレーキ制御の下限周波数
L以上となっている状態で、制動が行われて車輪速度
が低下して行き、センサの出力周波数がセンサ出力電圧
発生開始周波数以下になると、センサの出力電圧は0に
なってしまう。すると、センサ出力電圧発生開始周波数
がアンチスキッドブレーキ制御実施域にあるため、コン
トローラ7はセンサの出力電圧が0になったことにより
車輪がロックしたと誤って判断してしまう。
【0014】このように、コントローラ7は誤判断する
とアンチスキッドブレーキ制御におけるブレーキ圧減圧
のための排気動作を行うように排気信号をモジュレータ
9に出力するので、モジュレータ9は誤って排気動作を
行ってしまう。その結果、車両制動時に停止距離が延び
て、操作性が悪くなるという問題が生じる。
【0015】本発明は、このような問題に鑑みてなされ
たものであって、その目的は、車輪速センサのセンサロ
ータとセンサとのギャップが広がってセンサ出力特性が
劣化することにより車輪速センサが異常になっているこ
とを検出することのできるアンチスキッドブレーキ制御
装置における車輪速センサの異常検出方法を提供するこ
とである。
【0016】本発明の他の目的は、この車輪速センサの
異常により、アンチスキッドブレーキ制御が誤制御する
のを確実に防止することのできる車輪速センサの異常検
出方法を用いたアンチスキッドブレーキ制御方法を提供
することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、請求項1の発明は、車輪速センサからの車輪速度
がアンチスキッドブレーキ制御が開始されるアンチスキ
ッドブレーキ制御下限速度値より高いとき、前記車輪速
度に基づいて制動時の車輪のロックを判断し、車輪がロ
ック傾向にあると判定されると、少なくともその車輪に
対してロック傾向が解消するようにブレーキ力を調整す
るアンチスキッドブレーキ制御装置における車輪速セン
サの異常検出方法において、前記アンチスキッドブレー
キ制御下限速度値より高い第1判定基準速度値を設定
し、車両発進時に車輪速度が徐々に上昇していくとき、
前記車輪速センサにおいて急激に上昇したときの立上り
車輪速度を検出し、この立上り車輪速度が、前記第1判
定基準速度値より高いときは、前記車輪速センサが異常
であると判定することを特徴としている。
【0018】また請求項2の発明は、前記車輪速センサ
が異常であると判定されたときは、アンチスキッドブレ
ーキ制御の誤制御を防止するための所定の処置を行うこ
とを特徴としている。
【0019】更に請求項3の発明は、前記立上り車輪速
度が、前記第1判定基準速度値より大きい第2判定基準
速度値より高いときは、前記アンチスキッドブレーキ制
御の誤制御を防止するための所定の処置として、アンチ
スキッドブレーキ制御を禁止する処置を行うことを特徴
としている。
【0020】更に請求項4の発明は、前輪が非駆動輪で
あるとともに後輪が駆動輪であり、少なくとも前記前輪
が通常時左右の車輪速度のセレクトローでアンチスキッ
ドブレーキ制御が行われている場合、前記前輪の立上り
車輪速度が、前記第1判定基準速度値より大きくかつ前
記第2判定基準速度値以下のときは、前記アンチスキッ
ドブレーキ制御の誤制御を防止するための所定の処置と
して、前記前輪に対して前記前輪左右の車輪速度のセレ
クトハイによりアンチスキッドブレーキ制御を行う処置
を行うとともに、前記後輪の立上り車輪速度が、前記第
1判定基準速度値より大きくかつ前記第2判定基準速度
値以下のときは、前記アンチスキッドブレーキ制御の誤
制御を防止するための所定の処置として、前記後輪のア
ンチスキッドブレーキ制御におけるアンチスキッドブレ
ーキ制御下限車輪速度をこのときの後輪の立上り車輪速
度に変更する処置を行うことを特徴としている。
【0021】更に請求項5の発明は、前記車輪が少なく
とも左右一対の駆動輪からなり、これらの駆動輪に付設
された車輪速センサにより検出された今回の立上り車輪
速度がともに車体速度より所定値以上低下したときは、
前記車輪速センサの異常の判定に用いる前記立上り車輪
速度として、前回の立上り車輪速度を用い、前記車輪速
センサが異常であると判定されたときは、アンチスキッ
ドブレーキ制御の誤制御を防止するための所定の処置を
行うことを特徴としている。
【0022】更に請求項6の発明は、前記立上り車輪速
度が、前記第1判定基準速度値より大きい第2判定基準
速度値より高いときは、前記アンチスキッドブレーキ制
御の誤制御を防止するための所定の処置として、アンチ
スキッドブレーキ制御を禁止する処置を行うことを特徴
としている。
【0023】更に請求項7の発明は、前輪が非駆動輪で
あるとともに後輪が駆動輪であり、少なくとも前記前輪
が通常時左右の車輪速度のセレクトローでアンチスキッ
ドブレーキ制御が行われている場合、前記前輪の立上り
車輪速度が、前記第1判定基準速度値より大きくかつ前
記第2判定基準速度値以下のときは、前記アンチスキッ
ドブレーキ制御の誤制御を防止するための所定の処置と
して、前記前輪に対して前記前輪左右の車輪速度のセレ
クトハイによりアンチスキッドブレーキ制御を行う処置
を行うとともに、前記後輪の立上り車輪速度が、前記第
1判定基準速度値より大きくかつ前記第2判定基準速度
値以下のときは、前記アンチスキッドブレーキ制御の誤
制御を防止するための所定の処置として、前記後輪のア
ンチスキッドブレーキ制御におけるアンチスキッドブレ
ーキ制御下限車輪速度をこのときの後輪の立上り車輪速
度に変更する処置を行うことを特徴としている。
【0024】更に請求項8の発明は、車輪速センサから
の車輪速度がアンチスキッドブレーキ制御が開始される
アンチスキッドブレーキ制御下限速度値より高いとき、
前記車輪速度に基づいて制動時の車輪のロックを判断
し、車輪がロック傾向にあると判定されると、少なくと
もその車輪に対してロック傾向が解消するようにブレー
キ力を調整するアンチスキッドブレーキ制御装置におけ
る車輪速センサの異常検出方法において、前記車輪が少
なくとも左右一対の駆動輪からなり、前記アンチスキッ
ドブレーキ制御下限速度値より高い第1判定基準速度値
を設定し、車両発進時に車輪速度が徐々に上昇していく
とき、前記車輪速センサにおいて急激に上昇したときの
立上り車輪速度を検出し、この立上り車輪速度が、前記
第1判定基準速度値より高いときは、前記車輪速センサ
が異常であると判定するとともに、前記駆動輪に付設さ
れた車輪速センサにより検出された立上り車輪速度がと
もに車体速度より所定値以上低下したときは、この立上
り車輪速度を用いた前記車輪速センサの異常の判定を中
止することを特徴としている。
【0025】
【作用】このように構成された請求項1記載の車輪速セ
ンサの異常検出方法においては、車両発進時に車輪速度
が徐々に上昇していくとき、車輪速センサにおいて急激
に上昇したときの立上り車輪速度が検出された場合であ
って、この立上り車輪速度が第1判定基準速度値より高
いときは、車輪速センサが異常であると判定される。す
なわち、車輪速センサは、アンチスキッドブレーキ制御
の誤制御が生じる程度までに、車輪速センサにおけるセ
ンサとセンサロータとの間のギャップが大きくなってい
ると判定される。
【0026】また、請求項2の発明においては、このよ
うに車輪速センサが異常であると判定されたときは、ア
ンチスキッドブレーキ制御の誤制御を防止するための所
定の処置が行われる。したがって、車輪速センサにおけ
るセンサとセンサロータとの間のギャップが大きくなっ
た場合に、アンチスキッドブレーキ制御の誤制御が確実
に防止される。
【0027】更に請求項3の発明においては、車輪速セ
ンサからの立上り車輪速度が、第1判定基準速度値より
大きい第2判定基準速度値より高いときは、アンチスキ
ッドブレーキ制御の誤制御を防止するための所定の処置
として、アンチスキッドブレーキ制御が禁止される。し
たがって、車輪速センサにおけるセンサとセンサロータ
との間のギャップが異常に大きくなった場合には、アン
チスキッドブレーキ制御を行わないので、誤制御が確実
に防止される。
【0028】更に請求項4の発明においては、前輪が通
常時左右の車輪速度のセレクトローでアンチスキッドブ
レーキ制御が行われている場合、前輪の立上り車輪速度
が、前記第1判定基準速度値より大きくかつ第2判定基
準速度値以下のときは、アンチスキッドブレーキ制御の
誤制御を防止するための所定の処置として、前輪に対し
て前輪左右の車輪速度のセレクトハイによりアンチスキ
ッドブレーキ制御を行う。したがって、前輪左右の車輪
速度の高い方が選択されるので、車輪速センサにおける
センサとセンサロータとの間のギャップが大きくなって
センサ出力電圧が下がった場合に、実際に車輪がロック
傾向にないのにアンチスキッドブレーキ制御が誤って行
われてしまうことはなくなる。
【0029】また、後輪の立上り車輪速度が、第1判定
基準速度値より大きくかつ第2判定基準速度値以下のと
き、アンチスキッドブレーキ制御の誤制御を防止するた
めの所定の処置として、後輪のアンチスキッドブレーキ
制御におけるアンチスキッドブレーキ制御下限車輪速度
をこのときの後輪の立上り車輪速度に変更する。これに
より、アンチスキッドブレーキ制御下限車輪速度が高く
なるので、前述の前輪と同様に車輪速センサにおけるセ
ンサとセンサロータとの間のギャップが大きくなってセ
ンサ出力電圧が下がった場合に、実際に車輪がロック傾
向にないのにアンチスキッドブレーキ制御が誤って行わ
れてしまうことはなくなる。
【0030】更に請求項5の発明においては、左右一対
の駆動輪に付設された車輪速センサにより検出された今
回の立上り車輪速度がともに車体速度より所定値以上低
下したときは、前回の立上り車輪速度を用いて車輪速セ
ンサの異常の判定が行われるようになる。したがって、
急坂下り発進時に駆動輪の振動により今回の立上り車輪
速度が一時的に大きくなったときは、この今回の立上り
車輪速度を用いなく、前回の立上り車輪速度を用いて車
輪速センサの異常の判定が行われるとともに、この異常
の判定結果により、請求項2の発明と同様のアンチスキ
ッドブレーキ制御の処理が行われるようになる。
【0031】更に請求項6の発明は、請求項5の発明と
同様に前回の立上り車輪速度を用いて車輪速センサの異
常の判定が行われるとともに、この異常の判定結果によ
り、請求項3の発明と同様のアンチスキッドブレーキ制
御の処理が行われるようになる。
【0032】更に請求項7の発明は、請求項5の発明と
同様に前回の立上り車輪速度を用いて車輪速センサの異
常の判定が行われるとともに、この異常の判定結果によ
り、請求項4の発明と同様のアンチスキッドブレーキ制
御の処理が行われるようになる。更に請求項8の発明
は、請求項5の発明と同様に前回の立上り車輪速度を用
いて車輪速センサの異常の判定が行われるようになる。
【0033】こうして、本発明においては、車両制動時
に停止距離が誤制御により延びてしまうのが防止される
とともに、アンチスキッドブレーキ制御装置の操作性が
向上する。
【0034】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例について
説明する。図1は、本発明のアンチスキッドブレーキ制
御方法の一実施例を説明する図である。図1の説明図
は、本実施例を図6に示すアンチスキッドブレーキ制御
装置に、すなわち前輪の左右輪を一つのモジュレータで
制御するとともに、後輪の左右輪を個別のモジュレータ
でそれぞれ制御するようなアンチスキッドブレーキ制御
装置に実施した場合について示している。
【0035】本実施例は、センサの正常時にはセンサ出
力電圧発生開始周波数が周波数A0Hzであり、また車輪
速センサ8のギャップの広がりによるセンサ異常時に
は、センサ出力電圧発生開始周波数が周波数A0Hzより
大きい周波数A1Hzであるという図7示すセンサ出力特
性に、注目している。すなわち、センサ異常時におけ
る、発進時に車輪速度が0から急激に上昇したときの周
波数A1Hzに対応した立上り車輪速度V1が、センサ正常
時における、周波数A0Hzに対応した立上り車輪速度V0
よりかなり大きいことに、本実施例は注目している。
【0036】したがって本実施例においては、まず、車
両発進時に車輪速度が0から徐々に上昇していくとき、
車輪速センサ8の出力発生開始周波数Ais、すなわち0
から急激に上昇したときの立上り車輪速度Visを検出す
る。次に、図1に示すように車輪速センサ8が検出した
立上り車輪速度Visが所定値Vaより高いときは、車輪
速センサ8が異常であると判定し、車輪速センサ8が検
出した立上り車輪速度Visが所定値Va以下のときは、
車輪速センサ8が正常であると判定する。この所定値V
aは、アンチスキッドブレーキ制御が開始されるアンチ
スキッドブレーキ制御下限速度値VLより少し大きな値
に設定されている。またこれらの判定は、立上り車輪速
度Visが車体速度より大きいときは行わないようにして
いる。この車体速度は、低摩擦係数路(以下、低μ路と
もいう)での車輪のスリップ、ノイズ等による誤判定を
防止するために、非駆動輪である前輪の車輪速度に基づ
いて算出される。
【0037】更に本実施例においては、車輪速センサ8
が異常であると判定されたときは、次のような処置を行
うようにしている。まず、車輪速センサ8の出力発生開
始周波数Aisが第1設定周波数値Aaより大きく、かつ
第2設定周波数値Ab以下のとき、換言すると車輪速セ
ンサ8が検出した立上り車輪速度Visが第1判定基準速
度値Va(第1設定周波数値Aa)より大きく、かつ第2
判定基準速度値Vb(第2設定周波数値Abが対応する)
以下のときは、異常と判定された車輪速センサ8が前輪
側の場合は、前輪側のセレクトロー制御をセレクトハイ
制御に切り換える。
【0038】また異常と判定された車輪速センサ8が後
輪側の場合は、アンチスキッドブレーキ制御下限周波数
ALを、車輪速センサ8の出力発生開始周波数Ais以上
になるように上昇させる(AL≧Ais;対応するアンチ
スキッドブレーキ制御下限車輪速度については、VL≧
Vis)。実際には、後輪側の車輪速センサ8の出力発生
開始周波数Aisを新たに後輪側のアンチスキッドブレー
キ制御下限周波数ALとして設定する(AL←Ais;対応
するアンチスキッドブレーキ制御下限車輪速度について
は、VL←Vis)。
【0039】次に、車輪速センサ8の出力発生開始周波
数Aisが第2設定周波数値Abより大きいとき、換言す
ると車輪速センサ8が検出した立上り車輪速度Visが第
2判定基準速度値Vbより大きいときは、前輪側及び後
輪側ともアンチスキッドブレーキ制御を禁止するととも
に、警報ランプを点灯して、車輪速センサ8が異常であ
ることを知らせる。なお、この場合前輪側についてはセ
レクトハイによるアンチスキッドブレーキ制御を続ける
ようにしてもよい。
【0040】また、車輪速センサ8の出力発生開始周波
数Aisが第1設定周波数値Aa以下のとき、すなわち車
輪速センサ8が検出した立上り車輪速度Visが第1判定
基準速度値Va以下のときは、車輪速センサ8が正常で
あると判定して、処置を何等行わない。
【0041】次に、本実施例のアンチスキッドブレーキ
制御方法を、図2と図3とに示す立上り車輪速度Visの
検出フローおよび図4に示す車輪速センサ異常時の処置
を示すフローに基づいて説明する。
【0042】図2において、i=1およびi=2は前輪
の左右輪、i=3およびi=4は後輪の左右輪、Vi1は
今回の車輪速度、Vi0は前回の車輪速度、△aは立上り
車輪速度判定の基準値、Visは立上り車輪速度、VLは
アンチスキッドブレーキ制御下限車輪速度である。また
このフローにおいては、時間10ms毎に前後左右輪すべ
てについて、立上り車輪速度Visの検出を実行する。こ
の立上り車輪速度Visの検出は、発進開始より1.5秒
間行う。
【0043】まずスタートして初期化後に、ステップS
1でi=0とし、続いてステップS2でi=i+1とす
る。すなわち、まず左前輪について立上り車輪速度Vis
を検出する。続いてステップS3で車体速度が2km/h以
下であるか否か、すなわち車体速度≦2km/hであるか否
かを判定する。この車体速度は、非駆動輪である前輪の
車輪速度のセレクトハイに基づいて算出する。
【0044】ステップS3で車体速度が2km/h以下であ
る判定されると、ステップS4で時間Ti=0とし、続
いてステップS5で時間Tiが1.5秒経過したか否か、
すなわちTi=1.5秒であるか否かを判定する。時間T
iが1.5秒経過していないと判定されると、図3におい
てステップS6で今回の車輪速度Vi1が、Vi1=0であ
るか否かを判定する。Vi1=0でないと判定されると、
ステップS7でVi1が車体速度以上であるか否か、すな
わちVi1≧車体速度であるか否かを判定する。Vi1が車
体速度以上であると判定されると、ステップS8で今回
の車輪速度Vi1をその車体速度に設定する。これによ
り、低μ路での車輪のスリップ、ノイズ等による誤判定
が防止される。
【0045】次いで、ステップS9で今回の車輪速度V
i1が前回の車輪速度Vi0より大きいか否か、すなわちV
i1>Vi0であるか否かを判定する。これにより車両が加
速状態にあるか否かを判定される。Vi1がVi0より大き
い、すなわち車両が加速状態にあると判定すると、ステ
ップS10でVi1とVi0との差が立上り車輪速度判定の
基準値△a以上であるか否か、すなわちVi1ーVi0≧△
aであるか否かを判定する。Vi1とVi0との差が立上り
車輪速度判定の基準値△a以上であると判定されると、
ステップS11で立上り車輪速度VisをこのVi1に設定
する。すなわち、立上り車輪速度Visが検出される。次
に、ステップS12で時間Tiを0にした後、ステップ
S13でiが4であるか否か、すなわちi=4であるか
否かを判定する。iが4でないと判定されると、ステッ
プS2に戻り、またiが4であると判定されると、ステ
ップS1に戻る。
【0046】ステップS10でVi1とVi0との差が立上
り車輪速度判定の基準値△a以上でないと判定される
と、ステップS14で時間Tiのカウント値をアップし
てステップS13へ移行する。また、ステップS7で、
Vi1が車体速度以上でないと判定されると、ステップS
9へ移行する。更に、ステップS6でVi1=0であると
判定されると、ステップS12に移行する。更に、図2
においてステップS5で時間Tiが1.5秒経過したと判
定されると、ステップS15で図4に示す処理フローに
よる車輪速センサ8の異常時における制御ルーチンに移
行する。更に、ステップS3で車体速度が2km/h以下で
ないと判定されると、ステップS5に移行する。
【0047】図3において、ステップS13でiが4で
ないと判定されるとステップS2に戻るが、このステッ
プS2でi=i+1とする。すなわち、今度は右前輪に
ついて立上り車輪速度Visを検出する。以下、前述と同
様のフローにしたがって処理が行われる。そして、この
右前輪についての立上り車輪速度Visの検出が終了し、
ステップS13でiがいまだ4でないと判定されると、
再びステップS2に戻り、今度は左後輪について立上り
車輪速度Visを検出する。左後輪についての立上り車輪
速度Visの検出が終了すると、同様にして、右後輪につ
いて立上り車輪速度Visを検出する。こうして、前後左
右輪の4輪すべての立上り車輪速度Visが検出される。
【0048】一方、ステップS13でiが4であると判
定されるとステップS1に戻るが、このステップS1で
i=0とする。すなわち、これにより前後左右輪の立上
り車輪速度Visの検出処理が新たに行われる。
【0049】図4に示すように、車輪速センサ8の異常
時における制御ルーチンにおいては、まずステップS1
6でi=0とした後、ステップS17でi=i+1とす
る。すなわち左前輪についての処置を行う。ステップS
18で立上り車輪速度Visが第1判定基準速度値Va以
上であるか否か、すなわちVis≧Vaであるか否かを判
定する。Visが第1判定基準速度値Va以上であると判
定されると、ステップS19で立上り車輪速度Visが第
2判定基準速度値Vb以上であるか否か、すなわちVis
≧Vbであるか否かを判定する。Visが第2判定基準速
度値Vb以上であると判定されると、ステップS20で
左前輪のアンチスキッドブレーキ制御を禁止するととも
に、ステップS21で警報ランプを点灯する。なお本実
施例の場合は、前輪のアンチスキッドブレーキ制御は左
右輪に対して一つのモジュレータで共通に行われるの
で、右前輪のアンチスキッドブレーキ制御も禁止され
る。
【0050】また、ステップS19でVisが第2判定基
準速度値Vb以上でないと判断されると、ステップS2
2でiが2以下であるか否か、すなわちi≦2であるか
否かを判定する。iが2以下であると判定されると、ス
テップ23でiが2であるか否か、すなわちi=2であ
るか否かを判定する。iが2でないと判定されると、ス
テップ24で左前輪のアンチスキッドブレーキ制御をセ
レクトハイ制御に切り換える。なお、前述のステップS
20の処理の場合と同様に、前輪のアンチスキッドブレ
ーキ制御は左右輪に対して一つのモジュレータで共通に
行われるので、右前輪もセレクトハイ制御に切り換えら
れる。そして、ステップS28で、既にマイクロコンピ
ュータに格納されている格納立上り車輪速度Vimを立上
り車輪速度Visに設定し、次にステップS25でiが4
であるか否かを判定する。iが4でないと判定される
と、ステップS17へ戻り、iが4であると判定される
と、制御ルーチンの処理が終了し、新たに立上り車輪速
度Visの検出が行われる。
【0051】ステップS22でiが2以下でないと判定
されると、現在行っている処理が後輪について行われて
いると判定される。このときには、ステップS26でこ
のときの立上り車輪速度Visをアンチスキッドブレーキ
制御下限車輪速度VLに設定した後、ステップS28に
移行する。また、ステップS18でVisが第1判定基準
速度値Va以上でないと判定されると、ステップS28
に移行する。
【0052】ステップS23でiが2であると判定され
ると、ステップS27で左前輪の立上り車輪速度Visが
第1判定基準速度値Va以上であるか否か、すなわちVi
s≧Vaであるか否かを判定する。Visが第1判定基準速
度値Va以上であると判定されると、ステップ26でこ
のときの立上り車輪速度Visをアンチスキッドブレーキ
制御下限車輪速度VLに設定した後、ステップS28に
移行する。すなわち、左右前輪の立上り車輪速度Visが
ともに第1判定基準速度値Va以上のときはアンチスキ
ッドブレーキ制御下限車輪速度VLを、このときの立上
り車輪速度Visに設定する。
【0053】また、ステップS27でVisが第1判定基
準度Va以上でないと判定されると、ステップS24で
セレクトハイ制御に切り換えられた後、ステップ28に
移行する。
【0054】ステップS25でiが4でないと判定され
てステップS17へ戻ると、このステップS17でiを
1だけ増加する。すなわち、今度は右前輪についての車
輪速センサ8の異常時の処理が同様にして行われる。な
お、本実施例においては、前輪の場合アンチスキッドブ
レーキ制御は左右輪に対して一つのモジュレータで共通
に行われるので、ステップS20およびステップS24
制御処理は、左右の前輪について共通に行われる。同様
に、ステップS17でiを1ずつ増加していき、後輪に
ついて左右順次処理が行われる。
【0055】ところで、通常、ドライバは急な下り坂で
車両を発進しかつ走行する場合にはエンジンブレーキや
排気ブレーキをかけて車両を運転するようになる。その
場合、急坂下りの発進時に直ちにエンジンブレーキや排
気ブレーキをかけたとき、駆動輪が大きく振動してしま
うことがある。この駆動輪の大きな振動により、車輪速
センサの出力開始周波数が一時的に大きく変動してしま
うことが考えられる。
【0056】このため、前述の実施例のように車両発進
時の立上り車輪速度によりセンサーギャップを判定する
ようにした場合には、必ずしも高精度にセンサーギャッ
プを判定することができない場合がある。しかし、この
ような急坂下りの発進時においても、センサーギャップ
をより一層高精度に判定することができるようにするこ
とが望ましい。
【0057】図5は、急坂下りの発進時においても、セ
ンサーギャップをより一層高精度に判定することができ
るようにした本発明の他の実施例の一部を示す、図3と
同様の図である。
【0058】本実施例においては、図5に示す一部分が
前述の図3に示す実施例と異なるだけで、大部分は同じ
である。すなわち、前述の図2および図4に示す部分は
本実施例においてもまったく同じである。したがって、
本実施例を説明するにあたり、前述の実施例と異なる部
分を説明し、前述の実施例と同じ部分は説明を省略す
る。また本実施例においては、前輪の左右輪(i=1,
i=2)が非駆動輪であり、後輪の左右輪(i=3,i
=4)が駆動輪であるとして説明する。
【0059】前述の実施例では、前後左右輪の4輪すべ
ての立上り車輪速度Visが検出されてステップS13で
iが4であると判定されるとステップS1に戻るように
なるが、本実施例ではステップS13でiが4であると
判定されてもステップS1には直接戻らない。
【0060】すなわち、ステップS13でiが4である
と判定されると、ステップS29において車体速度から
後左輪の今回の車輪速度V31を減じた値が所定値△b
(例えば3km/h等)より小さいか否か、すなわち(車体
速度 − V31)>△bであるか否かが判定される。この
とき、車体速度は、非駆動輪である前輪の左右輪の車輪
速度のセレクトハイにより決定される。
【0061】(車体速度 − V31)>△bであると判定
されると、ステップS30において車体速度から後右輪
の今回の車輪速度V41を減じた値が所定値△bより小さ
いか否か、すなわち(車体速度 − V41)>△bである
か否かが判定される。(車体速度 − V41)>△bであ
ると判定されると、後輪の左右輪の今回の車輪速度
31,V41は、後輪の左右輪の各車輪速センサのギャッ
プが駆動輪の振動によって一時的にきわめて大きくなっ
たときに検知された車輪速度であるおそれがあると判定
される。一方、このときは、ステップS11において立
上り車輪速度V3s,V4 sは、それぞれこれらの今回の車
輪速度V31,V41に既に設定されている。
【0062】したがって、これらの立上り車輪速度
3s,V4sは正確な値になっていないおそれがあり、こ
れらの立上り車輪速度V3s,V4sを用いてセンサーギャ
ップの大きさを判定すると、誤って判定してしまうおそ
れがある。このため、本実施例においてはこれらの立上
り車輪速度V3s,V4sを用いてセンサーギャップの大き
さの判定を行わないようにしている。
【0063】しかし、このような場合にもアンチスキッ
ドブレーキ制御をより正確に行うようにする必要があ
る。そこで、この場合の処理として、図5に示すように
まずステップS31において i = 1 とした後、ステ
ップS32において立上り車輪速度Visを格納立上り車
輪速度V3mに設定する。
【0064】次に、ステップS33において i = 4
であるか否かを判定し、i = 4でないと判定される
と、ステップ34において i = i+1 とした後ステ
ップS32に移行する。
【0065】次いで、ステップS33において i =
4 であるか否かを判定し、i = 4であると判定され
ると、ステップS34において制御ルーチンが行われ
る。この制御ルーチンでは前述の実施例における図4に
示す制御ルーチンとまったく同じ処理が行われる。
【0066】このように本実施例においては、後輪の左
右輪における立上り車輪速度V3s,V4sが正確な値にな
っていないおそれがあると判断された場合は、既にマイ
クロコンピュータに格納された、それ以前の正確な立上
り車輪速度となっている格納立上り車輪速度Vimを用い
て、センサギャップの異常を判定するとともに、その判
定結果に基づいてアンチスキッドブレーキ制御の処理を
行うようにしている。
【0067】ステップS29で(車体速度 − V31)>
△bでないと判定されたときは、後左輪の車輪速センサ
のセンサーギャップが駆動輪である後左輪の振動に影響
されなく正常であるとして図2に示すステップS1に移
行する。同様にステップS30で(車体速度 − V41
>△bでないと判定されたときは、後右輪の車輪速セン
サのセンサーギャップが駆動輪である後右輪の振動に影
響されなく正常であるとして図2に示すステップS1に
移行する。
【0068】なお、前述の実施例では、前輪のアンチス
キッドブレーキ制御を左右輪に対して一つのモジュレー
タで共通に行うようにしているが、本発明は、前輪のア
ンチスキッドブレーキ制御も後輪の場合と同様に個別に
行われる場合にも適用できる。また後輪のアンチスキッ
ドブレーキ制御が左右輪に対して一つのモジュレータで
共通に行う場合にも適用できる。
【0069】また前述の実施例では、ブレーキブースタ
により空気圧を液圧に変換してブレーキ作動を行う制動
方式に本発明を適用した場合について説明しているが、
本発明は例えばエアブレーキチャンバ等に圧縮空気を供
給してその空気圧によりブレーキ作動を行う制動方式、
あるいは液圧を利用したブレーキ作動を行う制動方式に
も適用できる。
【0070】更に前述の実施例では、モジュレータはブ
レーキブースタへの供給空気圧を直接制御する形式のも
のを適用しているが、本発明は例えばモジュレータがリ
レーバルブを備え、ブレーキバルブの出力空気圧をリレ
ーバルブの指示圧とし、それによりエアタンクの圧縮空
気を制御してブレーキブースタに供給し、そのリレーバ
ルブの指示圧を制御する形式のものにも適用できること
は言うまでもない。
【0071】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のアンチスキッドブレーキ制御装置における車輪速セン
サの異常検出方法によれば、車輪速センサのセンサロー
タとセンサとのギャップが広がることにより、センサ出
力特性が劣化して車輪速センサが異常になった場合に、
このセンサー異常を確実に検出することができる。また
本発明によれば、急坂での発進時に駆動輪が振動するこ
とによるセンサー異常を誤って検出することが確実に防
止することができる。
【0072】一方、本発明のアンチスキッドブレーキ制
御方法によれば、センサー異常を確実に検出することが
できるので、アンチスキッドブレーキ制御が誤制御する
のを確実に防止できる。これにより、車両制動時に停止
距離がアンチスキッドブレーキ制御の誤制御により延び
てしまうのが防止できるとともに、アンチスキッドブレ
ーキ制御装置の操作性が向上する。
【0073】また本発明によれば、急坂での発進時に駆
動輪の振動により、みかけ上のセンサー異常があったと
きも、より正確なアンチスキッドブレーキ制御を行うこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のアンチスキッドブレーキ制御方法の
一実施例を説明する図である。
【図2】 立上り車輪速度Visの検出フローの前半部を
示す図である。
【図3】 立上り車輪速度Visの検出フローの後半部を
示す図である。
【図4】 車輪速センサ異常時の処置を示すフローを示
す図である。
【図5】 本発明の他の実施例を示す、図3と同様の図
である。
【図6】 アンチスキッドブレーキ制御装置を備えたエ
アオーバハイドロリックブレーキ装置の従来の一般的な
例を示す図である。
【図7】 車輪速センサのセンサ出力特性が、車輪速セ
ンサのセンサロータとセンサとの間に生じるギャップに
より劣化することを説明する図である。
【図8】 センサ出力特性が劣化することにより、アン
チスキッドブレーキ制御が誤って行われてしまうことを
説明する図である。
【符号の説明】
1…車両制動装置、2…エアタンク、3…ブレーキバル
ブ、4…ブレーキペダル4、5…ブレーキブースタ、6
…ブレーキシリンダ、7…コントローラ、8…車輪速セ
ンサ、9…モジュレータ、Ais…出力発生開始周波数、
Aa…第1設定周波数値、Ab…第2設定周波数値、AL
…アンチスキッドブレーキ制御下限周波数、Vis…立上
り車輪速度(今回)、Vim…格納立上り車輪速度、VL
…アンチスキッドブレーキ制御下限車輪速度、Va…第
1判定基準速度値、Vb…第2判定基準速度値、Vi1…
今回の車輪速度、Vi0…前回の車輪速度、△a…立上り
車輪速度判定の基準値、△b…所定値

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪速センサからの車輪速度がアンチス
    キッドブレーキ制御が開始されるアンチスキッドブレー
    キ制御下限速度値より高いとき、前記車輪速度に基づい
    て制動時の車輪のロックを判断し、車輪がロック傾向に
    あると判定されると、少なくともその車輪に対してロッ
    ク傾向が解消するようにブレーキ力を調整するアンチス
    キッドブレーキ制御装置における車輪速センサの異常検
    出方法において、 前記アンチスキッドブレーキ制御下限速度値より高い第
    1判定基準速度値を設定し、車両発進時に車輪速度が徐
    々に上昇していくとき、前記車輪速センサにおいて急激
    に上昇したときの立上り車輪速度を検出し、この立上り
    車輪速度が、前記第1判定基準速度値より高いときは、
    前記車輪速センサが異常であると判定することを特徴と
    するアンチスキッドブレーキ制御装置における車輪速セ
    ンサの異常検出方法。
  2. 【請求項2】 前記車輪速センサが異常であると判定さ
    れたときは、アンチスキッドブレーキ制御の誤制御を防
    止するための所定の処置を行うことを特徴とする請求項
    1記載の車輪速センサの異常検出方法を用いたアンチス
    キッドブレーキ制御方法。
  3. 【請求項3】 前記立上り車輪速度が、前記第1判定基
    準速度値より大きい第2判定基準速度値より高いとき
    は、前記アンチスキッドブレーキ制御の誤制御を防止す
    るための所定の処置として、アンチスキッドブレーキ制
    御を禁止する処置を行うことを特徴とする請求項2記載
    のアンチスキッドブレーキ制御方法。
  4. 【請求項4】 前輪が非駆動輪であるとともに後輪が駆
    動輪であり、少なくとも前記前輪が通常時左右の車輪速
    度のセレクトローでアンチスキッドブレーキ制御が行わ
    れている場合、前記前輪の立上り車輪速度が、前記第1
    判定基準速度値より大きくかつ前記第2判定基準速度値
    以下のときは、前記アンチスキッドブレーキ制御の誤制
    御を防止するための所定の処置として、前記前輪に対し
    て前記前輪左右の車輪速度のセレクトハイによりアンチ
    スキッドブレーキ制御を行う処置を行うとともに、前記
    後輪の立上り車輪速度が、前記第1判定基準速度値より
    大きくかつ前記第2判定基準速度値以下のときは、前記
    アンチスキッドブレーキ制御の誤制御を防止するための
    所定の処置として、前記後輪のアンチスキッドブレーキ
    制御におけるアンチスキッドブレーキ制御下限車輪速度
    をこのときの後輪の立上り車輪速度に変更する処置を行
    うことを特徴とする請求項3記載のアンチスキッドブレ
    ーキ制御方法。
  5. 【請求項5】 前記車輪が少なくとも左右一対の駆動輪
    からなり、これらの駆動輪に付設された車輪速センサに
    より検出された今回の立上り車輪速度がともに車体速度
    より所定値以上低下したときは、前記車輪速センサの異
    常の判定に用いる前記立上り車輪速度として、前回の立
    上り車輪速度を用い、前記車輪速センサが異常であると
    判定されたときは、アンチスキッドブレーキ制御の誤制
    御を防止するための所定の処置を行うことを特徴とする
    請求項1記載の車輪速センサの異常検出方法を用いたア
    ンチスキッドブレーキ制御方法。
  6. 【請求項6】 前記立上り車輪速度が、前記第1判定基
    準速度値より大きい第2判定基準速度値より高いとき
    は、前記アンチスキッドブレーキ制御の誤制御を防止す
    るための所定の処置として、アンチスキッドブレーキ制
    御を禁止する処置を行うことを特徴とする請求項5記載
    のアンチスキッドブレーキ制御方法。
  7. 【請求項7】 前輪が非駆動輪であるとともに後輪が駆
    動輪であり、少なくとも前記前輪が通常時左右の車輪速
    度のセレクトローでアンチスキッドブレーキ制御が行わ
    れている場合、前記前輪の立上り車輪速度が、前記第1
    判定基準速度値より大きくかつ前記第2判定基準速度値
    以下のときは、前記アンチスキッドブレーキ制御の誤制
    御を防止するための所定の処置として、前記前輪に対し
    て前記前輪左右の車輪速度のセレクトハイによりアンチ
    スキッドブレーキ制御を行う処置を行うとともに、前記
    後輪の立上り車輪速度が、前記第1判定基準速度値より
    大きくかつ前記第2判定基準速度値以下のときは、前記
    アンチスキッドブレーキ制御の誤制御を防止するための
    所定の処置として、前記後輪のアンチスキッドブレーキ
    制御におけるアンチスキッドブレーキ制御下限車輪速度
    をこのときの後輪の立上り車輪速度に変更する処置を行
    うことを特徴とする請求項6記載のアンチスキッドブレ
    ーキ制御方法。
  8. 【請求項8】 車輪速センサからの車輪速度がアンチス
    キッドブレーキ制御が開始されるアンチスキッドブレー
    キ制御下限速度値より高いとき、前記車輪速度に基づい
    て制動時の車輪のロックを判断し、車輪がロック傾向に
    あると判定されると、少なくともその車輪に対してロッ
    ク傾向が解消するようにブレーキ力を調整するアンチス
    キッドブレーキ制御装置における車輪速センサの異常検
    出方法において、 前記車輪が少なくとも左右一対の駆動輪からなり、前記
    アンチスキッドブレーキ制御下限速度値より高い第1判
    定基準速度値を設定し、車両発進時に車輪速度が徐々に
    上昇していくとき、前記車輪速センサにおいて急激に上
    昇したときの立上り車輪速度を検出し、この立上り車輪
    速度が、前記第1判定基準速度値より高いときは、前記
    車輪速センサが異常であると判定するとともに、 前記駆動輪に付設された車輪速センサにより検出された
    立上り車輪速度がともに車体速度より所定値以上低下し
    たときは、この立上り車輪速度を用いた前記車輪速セン
    サの異常の判定を中止することを特徴とするアンチスキ
    ッドブレーキ制御装置における車輪速センサの異常検出
    方法。
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