JP3121577U - 偏心磁性体コイルシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】金属面の影響を反対に利用し、金属面に垂直な磁界を発生させることができ、タグやセンサの中心部で感度が低下する現象を無くし、この中心部でも垂直な磁界が得られ、感度が低下する現象を防止できる偏心磁性体コイルシステムの提供。
【解決手段】 磁性体6に沿ってコイル2を巻く場合、該磁性体6の中心部に巻くのではなく、片側に偏心して巻くことを特徴とする偏心磁性体コイルシステム。
【選択図】図1
【解決手段】 磁性体6に沿ってコイル2を巻く場合、該磁性体6の中心部に巻くのではなく、片側に偏心して巻くことを特徴とする偏心磁性体コイルシステム。
【選択図】図1
Description
本考案は偏心磁性体コイルシステムに関し、RFIDタグやセンサに用いる場合、金属面にも強く、かつコイルの軸方向と直角な方向に磁界を発生させる所謂垂直磁界の使用を可能にさせる磁性体にコイルを巻く場合の重要な技術に関する。
非接触ICカード並びにコイルを用いたRFIDタグやこれと共に用いるリーダライタR/W用センサは高周波等の振動電磁界を用いており金属体や金属面に近づくと、ミラー効果により磁界や電界が打ち消され、感度が著しく劣化する。
オンメタルタグと称し、RFIDタグと金属面の間に磁路を作るために磁性体シートを挿入したものもあるが、コイルの中心軸が金属面と直角なため大部分の磁界が中心部で衝突し打ち消され、金属面と直角な方向即ち垂直な方向に磁界が現れにくい。
一方、角形コイルを金属面に対して横にし、ミラー効果を有効に利用し、6dBの感度の上昇を得る方法が提案されている(特許文献1参照。)。
この方法は、金属面を逆に利用しているので、有効な技術ではあるが一つ問題点を抱えていた。
それは、カードやセンサ側には枠形のコイルを用いている場合が一般的であるので、タグやセンサ側に特許文献1の技術を適用する場合、中心部に不感地帯が発生することであった。
特開2003−317052号公報
金属面の影響を反対に利用し、金属面に垂直な磁界を発生させることができ、タグやセンサの中心部で感度が低下する現象を無くし、この中心部でも垂直な磁界が得られ、感度が低下する現象を防止できれば、使用目的に合致することができる。
このようなタグやセンサを実現する偏心磁性体コイルシステムを提供することが、本考案の目的である。
本考案は、上述の目的を達成するために、以下(1)〜(8)の構成を備える。
(1)磁性体に沿ってコイルを巻く場合、該磁性体の中心部に巻くのではなく、片側に偏心して巻くことを特徴とする偏心磁性体コイルシステム。
(2)前項(1)記載の偏心磁性体コイルシステムにおいて、磁性体が角形であることを特徴とする偏心磁性体コイルシステム。
(3)前項(1)記載の偏心磁性体コイルシステムにおいて、磁性体が扁平であることを特徴とする偏心磁性体コイルシステム。
(4)前項(1)記載の偏心磁性体コイルシステムにおいて、磁性体のコイルが巻かれていない部分がある一定の大きさであることを特徴とする偏心磁性体コイルシステム。
(5)前項(1)記載の偏心磁性体コイルシステムにおいて、磁性体のコイルが巻かれていない部分が主として垂直磁界による通信の役割を行うことを特徴とする偏心磁性体コイルシステム。
(6)前項(1)記載の偏心磁性体コイルシステムにおいて、磁性体の片面に金属面を設置することを特徴とする偏心磁性体コイルシステム。
(7)前項(1)記載の偏心磁性体コイルシステムにおいて、磁性体が薄板で構成されていることを特徴とする偏心磁性体コイルシステム。
(8)前項(1)ないし(7)のいずれか記載の偏心磁性体コイルシステムにおいて、センサとして使用する場合、プラスチックカバーを被せ、金属面に直接取り付けられることを特徴とする偏心磁性体コイルシステム。
本考案により、一般的に利用されているコイル状タグやセンサに対応して発生する面に垂直な磁界をとらえる相手のタグやセンサが金属面に存在するとき、感度が低下することが解決されるばかりでなく、センサやタグの中心部においても感度が低下したり、零点が発生することを克服することができた。
特許文献1にも記載されているように、金属面の影響を克服し、感度を向上させているものの両端の磁極でほぼ平等な磁界が発生するため、両端においては垂直磁界が発生するが、中心部では水平の磁界のみとなり、垂直磁界は存在しない。このため、対向するカードやタグセンサには電圧や電流が誘起されない。
これらの問題点を解決するため、片端に磁路による突起を設けた方式が特願2005−265273「垂直磁界センサシステム」等に紹介されているが、突起を発生させたり、厚みを生じたりするため、使途によっては好ましくない場合もあった。
垂直方向に磁路を持つ上記の方法は、垂直磁界を励振し易いが、もともとコイル電流により発生する垂直磁界を片極のみ垂直磁界Hvを発生させ易いように、コイル端より長い磁路を確保している。
この方法により磁界分布は不均一(アンバランス)となり、零点が発生し難くなる上、一番都合がよいのは、センサ並びにタグとして用いた場合、この中心部に垂直磁界が発生するため、センサやタグの中心部にカードやセンサを持っていった場合でも零点がなく、安心してセンシングできることに成功した。
以下、本考案を実施するための最良の形態を実施例により詳しく説明する。
図9は、従来の技術によるタグあるいはセンサの実施例である。
角形磁性体6をコアとし、これにコイル2を巻き、電流Iにより磁界H(Hh,Hv)が励振される。磁性体6の軸方向に沿ってコイル2はほぼ左右対称となるように巻かれているので、磁極やコイル端から発生した磁界は水平あるいは斜めに、一部は垂直に立ち上がる。従って、両端には垂直磁界Hvと水平磁界Hhが存在する。このため外部コイルCoには両端まで起電力が発生し、電流iを流すことができる。
前記特許文献1の記述でも説明したとおり、金属のミラー効果により、下方にもイメージを得て金属板M上では2倍の磁束(6dB)を得ることができる。この点までは利点であるのであるが、磁性体の両極の中間では、磁界が水平Hhとなり、金属面やタグに水平なコイルCoには鎖交する磁束がなく、電流が流れない。垂直コイルCvには磁束が鎖交するので、このような磁界Hhをとらえるのは垂直コイルCvでなければならない。この領域をAゾーンとする。中心部のAゾーンから何らかの磁極に寄ることにより、垂直磁界Hvの影響で誘起電圧や電流iを発生させることができるが、タグやセンサとして用いた場合、この中心部に感度零の部分が発生するので紛らわしいし、使いづらい。
図1は、本考案の動作原理を示す説明図である。
図9と比較して分る通り、コイル2は磁性体6の右あるいは左に寄せて巻いてある。このためタグやセンサの中心部は垂直磁界Hvの領域となり、水平磁界Hh、垂直磁界Hvが混在する領域は端に追いやられてしまう。また磁性体表面6Fが大きく取れるため垂直磁界Hvが発生し易くなっている。即ち領域Bを広く取ることができる。磁性体6の長さを更に長くして、磁性体表面6Fを大きく取ろうとすると、水平磁界Hhと垂直磁界Hvの混在する領域になるので、適当な長さにすることが望ましい。この長さは磁性体の厚みや透磁率,巻数,周波数等によって異なり、ある程度これらを適宜選ぶことにより、使用目的を達することができる。
このように、垂直磁界が磁性体の中心部で発生でき、かつこの範囲が広く取れるので、センサやタグとして用いることが好適にできる。かつ金属面を利用しているので、金属面が無いときよりも6dBの感度上昇が得られるので、金属面上で使用するには好適である。
図2は、図9で説明した例を垂直磁界Hvと水平磁界Hhと水平垂直混在磁界Hh+Hvの領域に分け、磁性体6も両極にコイル2の巻いていない部分を多くとった場合の例を示したものである。コイル2は太く示してあるが、実際はこのように太くないので、磁性体6が金属面Mとこのように隙間が生ずることはない。
先にも述べたように、中心部のコイル2の上方は水平磁界Hhが主とした磁界の領域Aとなる。隣の垂直磁界Hvが主とした磁界が得られるのは領域Bである。更に端部に近い領域Cでは水平磁界Hhと垂直磁界Hvが混在し、どちらの磁界も使用することができる。
最も金属面Mに近い磁極の端部では、金属面Mに沿う強い磁界HhDが存在する領域Dがあり、この水平磁界HhDが最も強い。
領域Bと領域Cの垂直磁界Hvも金属面Mによるコイル2のミラー効果により2倍に増強された磁界の一部であるから、垂直磁界でも減ぜられることなく強い磁界を得ることができる。
然し乍ら、このタイプではコイルの両側に同等逆方向の磁界が発生するので、中心部に置かれる対抗するループコイルCoには誘起電圧が発生しないので、どちらかにずらさなければならない。
図3は、解決手段を示す。図3は、コイル2が磁性体6の片端に巻かれているため、中心部が磁性体のみの領域Bであるため垂直磁界Hvのみの存在となり、センサに応用した場合には、中心部でカードをかざしても零点(零領域)Aが存在しないので紛らわしくない。
タグに応用した場合でも、タグの中心部に対向するコイルCoを持ってきても不感地帯がない。
図4は、タグとして構成した場合の例である。
コイル2は角形磁性体6の片端に巻かれている。この下方コイルの下(コイルと磁性体6との間に入れてもインダクタンスのずれには効力がある)に金属板MBを最初から設置している。コイルの両端は絶縁体膜の上部に導かれ、電極7に接続されている。この電極7にフリップチップあるいはワイヤボンディング方式でIC3がボンディングされる。チップ3と磁性体を含むコイルとは共振
が取れるようにLとC1が定められている。例を挙げると、チップのキャパシティが22PF近くでコイルのインダクタンスが約6.3μヘンリーとなっており、13.56MHzで共振が取れるようになっている。
チップ3を載せ、ワイヤボンディングやフリップチップ方式で結線した後、固定と保護のため、チップとボンディング部にポッティング8をして、覆っている。
図5は、センサの場合の説明図である。
磁性体6の右端に巻かれたコイル2の電流Iにより、垂直磁界Hvが磁性体表面6Fに現れる。
コイル2が巻かれた磁性体6の金属面M側には、金属板等の金属面MBが貼られている。
コイル2の両端は、端子Po,Po′に接続される。両端子Po,Po′には並列コンデンサC2が接続されていて、並列共振を行っている。
コイル2は送信と受信双方を兼ねているので、例えばP1側の端子を入力即ち送信端子とすると、P2側の端子は出力即ち受信端子となり、夫々がキャパシティC1とC2でセパレーションされている。
センサの上方に置かれたタグまたはカードのコイルにはセンサによる磁界Hvにより電流iが流れ、IC3に電力を供給している。
図6はもう一つのタグの応用例である。
磁性体6は積層構造になっており、非磁性体の誘電体とで積層構造となっている。これをコアとし、この片端に印刷によるコイルが巻かれており、これに更に非磁性体の絶縁層INSがあり、更にコイルの両端より貫通孔を通してリード線と接続され端子7までリード線Lで接続されている。
端子7には、IC3がボンディングあるいはフリップチップ方式でボンディングされている。ICとボンディングを保護するために、図4と同じようにポッティングを施すのがよい。
図7は、センサの実用例を示す。
図7(a)は、図5の構成のような磁性体板をフレキシブルあるいは薄型のプリント基板PCBに載せ、更にLEDの表示を載せた場合を示す。LEDは赤(レッド)と緑(グリーン)が普通で、これと合成させたり、橙色(オレンジ)や黄色(イエロー)の3色を用いる場合もある。(a)の(イ)は、入出力を別々に出し、4本の線で送受信機に接続する例であるが、(ロ)は、送受共通にし、送受信機の基板の所で送信機と受信機に分かれるようにする場合である。
図7(b)は、図7(a)を横から見た場合で、磁性体6と基板PCBとが一体となり、コイル2の両端は基板のリード線に接続され、更にコンデンサC1,C2,C3が接続されている。基板の後方には、コネクタCnが取り付けられ、後方から給電や受電が行われるようにしている。コイル2は横に巻いているが、磁性体6に縦に巻いてもよい。
図7(c)は、図(a)(b)のセンサアンテナ部SAをプラスチックケースCovに収容し、更に鉄壁MWにスクリューSCで取り付けた場合を示す。鉄壁MWにはケーブルを通す最小限の穴5〜10mmφ程度の穴を開ければ済み、工事も簡単でどこにでも簡単に取り付く。穴の部分やプラスチックカバーCovの枠に沿っては、ブッシング(あるいはガスケット)Gを当て、防水構造とすることができる。
このような構造でアンテナは金属面や鉄面の影響を受けるどころか、逆に鉄面によるミラーを利用し感度が上げられるので、直接金属面や鉄板面に取り付けられ、かつ送受信機と分けて取り付けられるので、従来のように磁界を逃がすため、アンテナ枠より大きな窓を鉄板面にくり抜く必要もなく、建築物の外観を損ったり水漏れを起こしたりすることがない。アクセスコントロールの他、センサやアンテナSAを自販機、POS端末、改札口その他の端末に用いることが多いが、このような薄いセンサアンテナを金属表面にじかに取り付けることができる上、磁界を逃がすための窓をあける必要がないので、加工が不要で、水漏れ等の心配もなく、強度も保つことができる。金属面の外に本考案のアンテナセンサを取り付け送受信機を金属面の内側に設置すれば、送受信機塁を守る意味でも遮蔽の意味でも、より使いやすいシステムを得ることができる。
コネクタCnを介して送受信機まではワイヤWで配線を行う。
図8は、曲がった金属面に沿って本考案の偏心磁性体コイルシステムを応用した場合を示す。
金属面の曲がりに沿って磁路となる磁性体も曲げて構成するもので、あらかじめ磁性体を成形焼結したものでもよいし、ゴム性の磁性体を曲線に沿って折り曲げてもよい。磁界はむしろ曲がりに対し飛び出し易くなるので、外部のカードやタグとの結合がよくなる。
以上のように、本考案の偏心磁性体コイルシステムは、タグやセンサに有効に応用でき、今まで生じていた問題を、簡単な方法で有効に解決できるので、実用的効果が大きい。
[要旨]
本考案の偏心磁性体コイルシステムは、磁性体コアにコイルを巻くに当って、コイルを偏心して片端に巻くことにより中心部に発生する零点を回避し、更に垂直磁界を発生させる磁性体面を広く取れるため、一石二鳥の効果があり、薄型でありながら金属面のミラー効果を利用し、高感度なタグやセンサアンテナを構成するのに大変有用な技術である。
本考案の偏心磁性体コイルシステムは、磁性体コアにコイルを巻くに当って、コイルを偏心して片端に巻くことにより中心部に発生する零点を回避し、更に垂直磁界を発生させる磁性体面を広く取れるため、一石二鳥の効果があり、薄型でありながら金属面のミラー効果を利用し、高感度なタグやセンサアンテナを構成するのに大変有用な技術である。
2 コイル
3 IC
6 磁性体
6F 磁性体表面
7 電極、端子
8 ポッティング
9 金属板、絶縁層
A Hh領域
B Hv領域
C Hh+Hv領域
D Hh磁性体軸領域
Co 外部カード、外部コイル
Cv 垂直コイル
C1,C2,C3,Cc マッチング用コンデンサ
Cn コネクタ
Cov プラスチックカバー
G ガスケット
H 磁界
Hh 水平磁界
Hv 垂直磁界
I 磁性体に巻かれたコイルの電流
i 外部コイルの電流
INS 絶縁体、絶縁層
L コイルとICを結ぶ導線、リード線
M 金属面、金属板
MB 磁性体の下面に添えられた金属面、金属板
MW 鉄壁、鉄面
P 端子
Po,Po′ コイルの端子
P1,P1′ 送信端子
P2,P2′ 受信端子
PCB 基板
R/W リーダライタ
SA センサアンテナ
SC ネジ、スクリュー
Sig 信号
W センサアンテナとR/Wを結ぶ線、ワイヤ
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Claims (8)
- 磁性体に沿ってコイルを巻く場合、該磁性体の中心部に巻くのではなく、片側に偏心して巻くことを特徴とする偏心磁性体コイルシステム。
- 請求項1記載の偏心磁性体コイルシステムにおいて、磁性体が角形であることを特徴とする偏心磁性体コイルシステム。
- 請求項1記載の偏心磁性体コイルシステムにおいて、磁性体が扁平であることを特徴とする偏心磁性体コイルシステム。
- 請求項1記載の偏心磁性体コイルシステムにおいて、磁性体のコイルが巻かれていない部分がある一定の大きさであることを特徴とする偏心磁性体コイルシステム。
- 請求項1記載の偏心磁性体コイルシステムにおいて、磁性体のコイルが巻かれていない部分が主として垂直磁界による通信の役割を行うことを特徴とする偏心磁性体コイルシステム。
- 請求項1記載の偏心磁性体コイルシステムにおいて、磁性体の片面に金属面を設置することを特徴とする偏心磁性体コイルシステム。
- 請求項1記載の偏心磁性体コイルシステムにおいて、磁性体が薄板で構成されていることを特徴とする偏心磁性体コイルシステム。
- 請求項1ないし7のいずれか記載の偏心磁性体コイルシステムにおいて、センサとして使用する場合、プラスチックカバーを被せ、金属面に直接取り付けられることを特徴とする偏心磁性体コイルシステム。
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