JP3121549U - 防虫性収納袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本考案の課題は、衣類等の繊維製品を保存する防虫性収納袋において、人体に無害で、臭いの問題もなく、防虫剤が昇華せず、半永久的に防虫効果が持続し、コストも安い防虫性収納袋を提供することにある。
【解決手段】 衣類を保存する防虫性収納袋であって、ホウ酸塩を含浸させた通気性のある紙のみで形成した衣料を収納する収納部と、この収納部に衣類を収納した後に封ができる蓋部とを付属させて袋状に形成した防虫性収納袋。
【選択図】 図1

Description

本考案は、繊維製品を保存する防虫性収納袋に関するもので、詳しくは、人体に無害で、防虫剤が昇華せず、臭いの問題もなく、コストも安く、半永久的に防虫効果が持続する防虫性収納袋に関するものである。
衣類等の繊維製品を、和タンスや洋服タンス、又は収納ボックスに直接入れて保存すると、衣料害虫に食われて高価な繊維製品が台無しになったり、ダニが増殖し繊維製品再使用時に刺咬症やアレルギーの被害を被ることがある。
この対策として、樟脳やナフタリンをタンスや収納ボックスに入れて保存しているが、樟脳やナフタリンは昇華して消耗するので、長期間の保存には不向きであった。また、短期間の場合でも、取り出して直ぐ着用すると、繊維製品に樟脳やナフタリン特有の臭いが染み付いてしまう欠点があった。
これらの臭いの問題を解決する方法として、ピレスロイド系等の比較的臭いの少ない薬品を使う方法もあるが、これらの薬品は人体に何らかの悪影響があり、敬遠されているのが現状である。
実開平6−10180号には、収納袋の内面に、通気性があるシートのポケットを設け、該ポケットに、無臭タイプの防虫剤に芳香機能を具備させてなる防虫芳香剤を収容した収納袋が開示されている。この公報には防虫剤について具体的な記載が一切なく、小さなポケットに入れて防虫効果を発揮させるには、昇華性のある防虫剤を使用していると推定される。昇華性のある防虫剤や芳香剤を通気性のある収納袋に入れて衣類を保存すると、防虫芳香効果が長続きしない欠点がある。しかも、収納袋にポケットを設けると、その部位が邪魔で、収納の形態となり、取り扱いが不便となる欠点がある。
また、特許第2523362号には、紙材を箱体状に形成してなる収納袋であって、防臭・防菌機能を発揮するアクリル繊維が含有され、通気可能な繊維組織層と、前記繊維組織層の表面に防虫 ・防カビ機能を発揮する薬剤が塗工され、通気性を有する塗工層とを積層化した前記紙材を、該塗工層が内面となり、該繊維組織層が外面となるように箱体状に形成し、前記外面に発泡材又は段ボール紙を張り合わせた収納袋が開示されている。この公報の本文には、前記薬剤としてピレスロイド系製剤が0.3〜0.5g/mm塗工されていると記載されている。この量をm当たりに換算すると300〜500kg/mとなり、コスト高となり、人体に悪影響があり、通気性も無くなり、持ち運びにも不便である。
実開平6−10180号公報 特許第2523362号公報
本考案は、衣類等の繊維製品を保存する防虫性収納袋において、人体に無害で、臭いの問題もなく、防虫剤が昇華せず、半永久的に防虫効果が持続し、コストも安く、しかも、見掛けが通常の収納袋と同一で使い勝手が良い防虫性収納袋を提供することにある。
本考案者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果到達したものである。即ち、本考案は、衣類を保存する防虫性収納袋であって、ホウ酸塩を含浸させた通気性のあるホウ酸塩含浸紙を構成し、この紙のみで形成した衣料収納部、及び、この収納部に衣類を収納した後に封をする蓋部とで袋状に形成したことを特徴とする防虫性収納袋である。
本考案でいう紙とは、和紙や洋紙を問わず湿式抄紙した紙である。坪量としては、50〜200g/mのものが、強度や取り扱い性の点から好ましいと言える。
前記ホウ酸塩としては、如何なるホウ酸塩を用いても差し支えないが、八ホウ酸ニナトリウム四水和物[Na2B8O13・4H2O](以下DOTという)又は、水溶液中でホウ酸とホウ砂を1:1〜1:2で混合して生成するホウ素化合物である拡散性ホウ酸塩が好適に使用される。
前記紙のホウ酸塩含有量は、ホウ素換算で0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜6重量%である。ホウ素換算で0.1重量%未満になると防虫効果が認められなくなり、逆に10重量%以上となると含浸させることが難しくなる。たとえ含浸させたとしても、取り扱い時にホウ酸塩が飛散する可能性があって好ましくない。
本考案の防虫性収納袋において、前記紙のホウ酸塩含浸量が外側よりも内側が高濃度であることが好ましい。
また、本考案の防虫性収納袋において、前記紙は、ホウ酸塩の含浸量濃度が異なる多層構造から成ることが好ましい。
また、本考案の防虫性収納袋において、前記紙は、多数の微細孔を設けて通気性が調節された紙であることが好ましく、微細孔の直径としては0.3mm以下とするのが好ましく、0.2mm以下にするのが更に好ましい。
本考案は、ホウ酸塩を含浸させた通気性のある紙のみで形成した衣料を収納する収納部と、この収納部に衣類を収納した後に封ができる蓋部とを付属させて袋状に形成した防虫性収納袋であるので、外部からの害虫の侵入を防ぐことができ、防虫剤として用いるホウ酸塩は、水溶性ではあるが昇華性ではないので、水浸しにならない限り半永久的に防虫効果が持続し、長期間の繰り返し使用に耐えるものである。また、見掛けが通常の紙製袋と同じであるので、取り扱い性にも優れている。
また、本考案の防虫性収納袋において、前記紙のホウ酸塩含浸量が外側よりも内側が高濃度であるので、収納袋内での防虫効果が大きく、ホウ酸塩が収納袋の外へ飛散することがない。
また、本考案の防虫性収納袋において、前記紙は、ホウ酸塩の含浸量濃度が異なる多層構造から成っているで、内層をソフトな紙としてホウ酸塩を高濃度に含浸させ、外層をホウ酸塩が含浸されてないプリントした上質紙とすることができ、防虫効果が大きくて見栄えのよい防虫性収納袋が得られる。
更にまた、前記紙は、多数の微細孔を設けて通気性が調節された紙であるので、通気性や透湿性が向上して黴の発生を抑制する。前記多数設けた孔は、微細孔なので害虫が微細孔から侵入することもない。
以下、図面を用いて本考案を実施するための最良の形態を示す。
図1は、本考案の第一の実施形態に係る防虫性収納袋の斜視図であり、収納する衣類例としては、セーター、ベスト、下着類、手袋、靴下等がある。図1の収納袋1は、ホウ酸塩含浸紙HPを用いて作成されており、有底の収納袋の本体2の開口部の一辺に蓋部3を連設して成る。蓋部3は、前記開口部の一辺を折り目4として折り返される構造で、この折り返し面の裏面に左右一対の止め紐5a,5bを固定して成っている。また、本体2の表面には、前記折り返し面の縁部と合致する位置に一対の止め紐係止部6a、6bを備えている。従って、本体2の防虫性収納袋内に図示しない衣料類を収納した上で、図1に示すように袋状となった一部をも含んだ折り目4で折り返し、蓋部3の止め紐5a,5bを止め紐係止部6a、6bに掛け回すことにより、封をした状態を形成することができ、外部からの害虫の侵入を防止することができる。
ホウ酸塩含浸紙HPには、坪量が100〜200g/m程度の紙を使用し、通気性を確保するために、直径0.3mm以下の微細孔7が開けられている。ホウ酸塩として八ホウ酸ニナトリウム四水和物[Na2B8O13・4H2O]が、ホウ素換算で1〜3重量%含浸させた例で示す。含浸させた面は、ホウ酸塩が他の面よりも高濃度となり、この含浸させた面を収納袋の内面となるように袋加工する。このようにすることにより、ホウ酸塩を高濃度に含浸させても、外部に飛散することがなく、防虫効果も大きくなる。
図2は、本考案の第二の実施形態に係る防虫性収納袋の斜視図であり、収納する衣類例は図1と同一である。図2に示す収納袋8は、通常の紙袋と同様に開口部の裾を長く形成しておいて、これを単に折り畳む形で蓋部9を形成したものである。蓋部9としては、柔軟な素材の場合は単に折り畳むのみで、その後クリップ等で挟んで固定すれば良い形とし、硬い素材の場合は、折り目を付けて折り畳んで、これを適宜クリップ等で挟み閉じる形とする。このようにすることにより、蓋として機能し封をした状態を形成することができ、外部からの害虫の侵入を防止することができる。このように折り畳んだ後に、蓋9を固定するために図1に示した例同様、止め紐5a,5b、係止部6a,6bを設けても良い。
図2のホウ酸塩含浸紙HPの構成は、図4で示すように多層構造の例で示す。本例の層数は2層であり、2層合わせた坪量が図1同様100〜200g/m程度で、微細孔7が多数開けられた紙を採用している。内側のHP−1はホウ酸塩がホウ素換算で3重量%含浸されたソフトな紙であり、外側のHP−2はホウ酸塩が含浸されていない上質の紙の例で示す。外側のHP−2の表面には、図示しないカラフルな図柄を適宜印刷して見栄えの良い収納袋にすることができる。
図3は、本考案の第三の実施形態に係る防虫性収納袋の斜視図である。図3に示す収納袋10は、蓋を開放した状態では袋とは言い難いが、蓋を折り畳み閉じることにより袋状とすることができるので、本考案では広義に解釈して収納袋という。図3に示すように、着物用の収納袋10は、図示しない着物を載せる底部11の前後左右に中蓋12F,12Rと、下蓋13、上蓋14を夫々折り畳み自在に設け、着物を収納した上で、前後の中蓋12F,12R、次いで下蓋13、最後に上蓋14を閉じて封をして保存するものである。中蓋12F,12Rの表面には相互に固定するための結び紐15R,15Fが設けられている。また底部11の下蓋13側と、上蓋14側の縁部には、上蓋14を閉じた状態で全体を閉じ込めるための結び紐16F,16R,17F,17Rが設けられている。また、図に示すように、底部11の四角を頂点とし、中蓋12F,12Rと下蓋13,上蓋14の縁部の一部を二辺とした、二等辺三角形状の紙片から成るコーナー18を夫々設けているので、底部11の四角の隙間を閉塞し、外部からの害虫の侵入を抑制することができる。
図3に示す収納袋10において、下蓋13を底部11並の広幅とし、又は及び、中蓋12F,12Rを図面よりも長くし、結び紐15R,15Fを短くして必要に応じて2箇所に設ける。底部11上に着物を載せて下蓋13を折り畳み、次いで中蓋12F,12R閉じて結び紐15R,15Fを結び、最後に上蓋14を閉じて結び紐16F,16R,17F,17Rを結ぶと図1に類似した収納袋となり、外部からの害虫の侵入をより抑制することができる。また、前記結び紐に代えて面ファスナーを用いるのが好ましい。即ち、中蓋12F,12Rの一部が重なり合うように長くし、その先端に、また下蓋13と上蓋14の両角に夫々面ファスナーを設ける。面ファスナーを設けた収納袋10の底部11上に着物を載せて中蓋12F、12Rを折り畳んで面ファスナーで相互に止め、次いで下蓋13を折り畳んで中蓋12F、12R上に止め、最後に上蓋14を折り畳んで下蓋13上に止めることにより収納袋に近似し、取り扱い性が良くなる。
ホウ酸塩含浸紙HPには、坪量が100〜200g/m程度の通気性のある和紙を使用し、ホウ酸塩としてこの実施例では、水溶液中でホウ酸とホウ砂を1:1〜1:2で混合して生成するホウ素化合物を、ホウ素換算で1〜3重量%含浸させた例で示す。収納袋10は通気性のある和紙を使用し、袋の構造が密封式でない分、通気性が良好なので、図1、図2で示した微細孔7は不要である。
本考案は上記実施形態に限定されるものではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することができる。
本考案の第一の実施形態に係る防虫性収納袋の斜視図である。 本考案の第二の実施形態に係る防虫性収納袋の斜視図である。 本考案の第三の実施形態に係る防虫性収納袋の斜視図である。 図2で用いられた多層構造紙の部分側面図である。
符号の説明
1,8,10 収納袋
2 本体
3 9 蓋部
4 折り目
5a、5b 止め紐
6a、6b 係止部
7 微細孔
11 底部
12F,12R 中蓋
13 下蓋
14 上蓋
15F,15R,16F,16R,17F,17R 結び紐
18 コーナー
HP ホウ酸塩含浸紙

Claims (4)

  1. 衣類を保存する防虫性収納袋であって、ホウ酸塩を含浸させた通気性のあるホウ酸塩含浸紙を構成し、この紙のみで形成した衣料収納部と、この収納部に衣類を収納した後に封をする蓋部とで袋状に形成したことを特徴とする防虫性収納袋。
  2. 前記紙のホウ酸塩含浸量が外側よりも内側が高濃度であることを特徴とする請求項1に記載の防虫性収納袋。
  3. 前記紙は、ホウ酸塩の含浸量の濃度が異なる多層構造から成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の防虫性収納袋。
  4. 前記紙は、多数の微細孔を設けて通気性が調節された紙であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の防虫性収納袋。
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