JP3120171B2 - 食品の殺菌製法 - Google Patents

食品の殺菌製法

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JP3120171B2 JP09119136A JP11913697A JP3120171B2 JP 3120171 B2 JP3120171 B2 JP 3120171B2 JP 09119136 A JP09119136 A JP 09119136A JP 11913697 A JP11913697 A JP 11913697A JP 3120171 B2 JP3120171 B2 JP 3120171B2
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敬之 飯田
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日パック工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、気密性容器(以
下、容器という)に収納された処理前の食品を殺菌槽内
で加圧・加熱して殺菌する食品の殺菌製法に関する。
【0002】
【従来の技術】 一般に、容器に収納されて加圧・加熱
殺菌されるレトルト食品(以下、食品という)は、処理
前の食品を容器に密封収納された後、数段に載設された
トレー上に載置されて調理殺菌装置の殺菌槽(以下、レ
トルト釜という)内に収納される。レトルト釜内におい
ては、レトルト釜の雰囲気温度を設定温度で所定時間加
熱させ、殺菌槽内で加圧処理することによって食品を殺
菌処理する。レトルト釜内での加熱処理温度の設定温度
は、一般的には100℃以上、特に120℃前後まで加
熱することが殺菌効果を出すために必要とされている。
また、食品を密封収納する容器としては、缶やプラスチ
ック製のボトルやラミネート状のパウチ袋が使用されて
いる。特に、近年、生産性の向上を求めるため、殺菌時
間の短縮化や品質の向上に適するように改良されたパウ
チ袋の使用が多くなってきている。
【0003】また、加圧処理方法としては、予め高温に
設定された熱水をレトルト釜内に流入させて加圧する熱
水貯湯式や、熱水をスプレー式に噴射させることによっ
て加圧する熱水スプレー式、さらに蒸気を噴出すること
によって加圧する蒸気式等が一般に知られている。この
加圧処理はパウチ袋に収納された食品を加熱する際、加
熱による容器内の膨張を防止するとともに、速やかに食
品の中心部を加熱することによって加熱時間の短縮及
び、食品の品質の維持をするための役目をも果たしてい
る。
【0004】 さらに、食品の品質は殺菌値を表す指標
として使用されるF値によって管理されている。F値は
一定数の細菌を一定温度で加熱するときに、この細菌を
死滅させるのに要する加熱時間(分)をいい、レトルト
食品の殺菌条件は、容器が缶の場合で、ボツリヌス菌の
加熱致死条件、即ち100℃で330分、110℃で3
2分、121(パウチ袋では120)℃で4分をもとに
して決められている。通常、F値は121℃における
の致死時間(分)で示される。近年においてはFA化
に対応するようにF値がコンピュータによって管理され
ている。図4に示されるグラフは、玄米がゆを従来の加
熱処理工程によって製造した状態を示している。
【0005】これによると、パウチ袋に収納された約2
00gの玄米がゆはトレー上に載置された状態でレトル
ト釜に納められている。そして運転後5〜6分経過する
とレトルト釜内の雰囲気温度(図中、曲線A1で示され
ている)が上昇し始め、上昇してから約5分後に雰囲気
温度が設定温度の120℃まで上昇する。そして、その
後約46分後(運転開始後より約50分程度)で冷却す
る。この冷却開始する時間はF値がF値4まで達した後
であればいつでもよい。また、玄米がゆの芯温(図中、
曲線B1で示されている)は雰囲気温度が上昇し始めて
から2〜3分後に上昇を初め、その後7〜8分後に10
0℃ぐらいに達し、さらにその後35分後あたりで12
0℃に達するようなカーブを描いている。食品の殺菌値
を示すF値(図中、曲線C1で示されている)は運転開
始後約24分後から立ち上がり、殺菌できる値として示
されるF値4に達するまで、約16分(運転開始後から
40.5分)かかっている。なお、F値はその後そのま
ま上昇しレトルト釜が冷却されると上昇した位置で維持
される。
【0006】なお、上記グラフに表された各経過時間
は、殺菌される食品の種類によって、またその量によっ
て変化するものであるが、一般的な傾向は上記に示され
るものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のレトル
ト食品の製造方法においては、コストを低減するために
はその生産性を向上することが必要となってくる。上記
の玄米がゆは一般的に熱伝導率が小さく、運転開始時よ
り殺菌が完了するまでの時間は約40.5分を要してい
る。この時間をさらに短縮するするためにはF値の立ち
上がり時間を早めることと、立ち上がりからF値4まで
の達する時間を短くする必要がある。
【0008】この発明は、上述の課題を解決するもので
あり、容器に収納された食品の殺菌時間をより短縮して
生産性の向上を図るために、改良された食品の殺菌製法
を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】 この発明に係わる食品
の殺菌製法では、上記の課題を解決するために以下の方
法で行なうものである。即ち、気密性容器内に収納され
る食品を殺菌槽内で加圧・加熱して殺菌するとともに、
前記食品の温度を前記気密性容器に配設する温度センサ
で検出する食品の殺菌製法であって、 前記食品を、前記
殺菌槽内の雰囲気温度を設定温度より5〜10℃高く設
定された一次加熱処理工程と、設定温度まで戻して加熱
する二次加熱処理工程と、前記二次加熱処理工程が少な
くとも5分経過した後に冷却する冷却工程と、を経て製
造することによって、前記食品の所定内容量に対する前
記殺菌槽の運転開始時からF値の立ち上がり時までの時
間を前記食品の内容量200gに対して12.75分、
F値の立ち上がり時からF値4に到達するまでの時間を
13.75分となるようにF値の管理を行なうことを特
徴とする方法である。
【0010】
【0011】
【0012】
【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施の形態を
図面に基づいて説明する。
【0013】図1は、図4と同様200gの玄米がゆを
パウチ袋に収納して調理殺菌装置Mのレトルト釜で加熱
処理した実験結果をグラフに表したものであり、加圧・
加熱手段は熱水貯湯式または熱水スプレー式でもよく、
さらに蒸気式でもよい。本形態では熱水スプレー式で説
明する。
【0014】熱水スプレー式の調理殺菌装置Mは、図2
に示されるように、殺菌処理槽としてのレトルト釜1
と、給水ポンプで送られた水を熱交換する熱交換機3と
を有し、熱交換機3で加熱された熱水が、噴射ノズルを
介してレトルト釜1内に噴霧状に供給されることによっ
てレトルト釜1内を加圧・加熱するものである。
【0015】レトルト釜1には複数個の容器(パウチ
袋)9に収納された食品(玄米がゆ)が、図3に示され
るように、トレー5に固定され、複数段まとめてレトル
ト釜1内に納められている。
【0016】この状態でレトルト釜1内を加熱して殺菌
処理を行なうことになる。加熱処理は上述のように、熱
交換機3で高温に加熱された熱水をレトルト釜1内に噴
射することによって玄米がゆを加圧・加熱する。パウチ
袋9に収納された玄米がゆはレトルト釜7の雰囲気温度
が上昇するに従って、パウチ袋9内の温度の上昇ととも
に内圧が増加し膨張する。圧力をかけながら熱水をレト
ルト釜1内に噴射することによって、パウチ袋9を加熱
するとともにパウチ袋9の表面を外部から加圧すること
になる。なお、本実験では、玄米がゆが収納された複数
個のパウチ袋9のうち2個のパウチ袋9に温度センサを
取り付けているのでに図1のグラフには玄米がゆの温度
曲線は2箇所づつ示されている。
【0017】 本発明による方法の特徴は、一次加熱処
理工程と二次加熱処理工程を経て殺菌製法することにあ
り、まず、一次加熱処理工程の温度としてレトルト釜の
雰囲気温度を所定設定温度120℃より5〜10℃(1
25℃前後が望ましい)高い温度に設定しておくことに
ある。この設定温度はレトルト釜1に設置されている温
度調整スイッチを125℃に設定することによって、熱
交換機3で加熱された熱水の加熱とともにレトルト釜1
内の温度が上昇され、125℃に上昇されるとその温度
を維持する。なお、一次加熱処理工程の温度を所定の設
定温度より10℃以上高温にすることは、逆に食品(例
えば玄米がゆ)を潰してしまうことが実験上確認されて
いる。
【0018】図1におけるグラフでは、運転開始後、雰
囲気温度は図1における曲線Aに示されるように、従来
の雰囲気温度(図4参照)より僅かに速く立ち上がり1
25℃に達するまでに5〜6分(運転開始時より約10
分間)程度かかり、その後、二次加熱処理工程の設定温
度120℃に降下してその温度を維持する。なお、この
二次加熱処理工程の設定温度の切り替えは、予めコンピ
ュータのソフトにいれておくことも可能であるし、ま
た、スイッチを手動で切り替えるようにしてもよい。
【0019】 一方、曲線Bに示される玄米がゆの芯温
は、運転開始後6分程度で立ち上がり、立ち上がり後7
〜8分後に約100℃に達し運転開始後26〜27分後
に設定温度の120℃に達するようなカーブが描かれ
る。さらに、曲線Cに示されるF値は運転開始後約1
2.75分で立ち上がり、その後13.75分(運転開
始後26.5分)でF値4に達する。なお、図1のグラ
フにおいては、設定温度120℃を維持している時間は
35分程度かけているが、実際はF値4に達した後いつ
でも冷却することができるため、玄米がゆ200gにお
いては、125℃から設定温度120℃に降下した後、
5分程度維持した後で冷却すればよい。
【0020】従って、この実験において、今までの殺菌
製法と比較すると、レトルト釜1の雰囲気温度の一次加
熱処理工程温度を、設定温度(二次加熱処理工程温度)
より5〜10℃上昇させることによって、玄米がゆの芯
温の立ち上がり温度を雰囲気温度に近づけ、そのために
玄米がゆのF値4に達する時間を14分程度早めること
ができ、殺菌時間を短縮するできるため生産性の向上に
繋がることができる。しかも、この方法で製造された玄
米がゆは、殺菌するための加熱時間を短縮できるので、
その品質も従来より優れていることが確認されている。
【0021】なお、この方法は容器が缶であっても同様
の効果を達成することができ、また、熱水スプレー式で
なく、熱水貯湯式や蒸気式の調理殺菌装置でも同様の効
果を達することが可能である。
【0022】また、食品が玄米がゆに限らず他の食品で
も同様であり、さらに、パウチ袋に収納された食品の量
が多くなれば、その加熱時間が増加するのはもちろんの
ことである。
【0023】
【発明の効果】 上述のように、本発明の食品の殺菌製
法によれば、食品を殺菌処理する際、殺菌槽内の雰囲気
温度を設定温度以上上昇して加熱する一次加熱処理工程
と、設定温度に戻して加熱する二次加熱処理工程と、を
経て製造するため、食品の殺菌処理時間を短縮すること
ができ生産性の向上、及び品質の向上に繋がることがで
きる。
【0024】また、この殺菌製法は容器がパウチ袋であ
ればより殺菌処理時間を短縮することができる。
【0025】さらに、第1次加熱処理工程が5〜10分
であれば、殺菌初期時間はさらに短縮することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態による殺菌製法の各温度状態を
示すグラフ
【図2】熱水スプレー式の調理殺菌装置を示す給水系統
【図3】パウチ袋をトレーに配置した状態を示す図
【図4】従来の殺菌製法の各温度状態を示すグラフ
【符号の説明】
A…レトルト釜の雰囲気温度曲線 B…食品の芯温の温度曲線 C…F値の温度曲線 M…調理殺菌装置 1…レトルト釜 3…熱交換機 5…トレー 9…パウチ容器

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気密性容器内に収納される食品を殺菌槽
    内で加圧・加熱して殺菌するとともに、前記食品の温度
    を前記気密性容器に配設する温度センサで検出する食品
    の殺菌製法であって、 前記食品を、前記殺菌槽内の雰囲気温度を設定温度より
    5〜10℃高く設定された一次加熱処理工程と、設定温
    度まで戻して加熱する二次加熱処理工程と、前記二次加
    熱処理工程が少なくとも5分経過した後に冷却する冷却
    工程と、を経て製造することによって、前記食品の所定
    内容量に対する前記殺菌槽の運転開始時からF値の立ち
    上がり時までの時間を前記食品の内容量200gに対し
    て12.75分、F値の立ち上がり時からF値4に到達
    するまでの時間を13.75分なるようにF値の管理
    を行なうことを特徴とする食品の殺菌製法。
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