JP3119774B2 - 木材の表面処理法 - Google Patents

木材の表面処理法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、長期に亙って屋外での
使用に耐え得る木材の表面処理法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来一般に、屋外で使用される木材は、
その表面に透明あるいは不透明の屋外用樹脂塗料を塗布
して使用される。
【0003】ところが、長期に亙って屋外で使用するう
ちに、木材が大気中の水分等を吸収するために、木材表
面と塗料塗膜との間の密着性の低下を招いて、塗料塗膜
の剥離等の損傷を生じるという問題があり、耐候性を維
持することが難しかった。
【0004】そこで、木材との密着性を向上させるため
に、従来次のような種々の方策が採られてきた。 (1)塗料そのものの改良を行う。 (2)塗料を塗布する前に、CrO3、Cr23、Cr2
(NO3)、ZnO等によりプレ処理を行う。 (3)WPCを採用する。 (4)エステル、エーテル、アセチル、ホルマール化等
の処理を行う。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た各方法では、それぞれ次に述べる問題があった。 (1)塗料の改良によっても、長期に亙って屋外での密
着性(木材と塗膜との密着性)を維持することはできな
かった。 (2)密着性は向上するものの、CrO3等を用いた処
理では、木材が変色する問題があった。 (3)密着性は向上するものの、コスト増を招き、また
木材の質感が低下する問題があった。 (4)密着性は向上するものの、木材全体に処理を行う
ため、設備の増大とそれに伴うコスト増大の問題があっ
た。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、長期に亙る屋外での使用においても、
変色を起こすことなく、木材と塗膜との間の高い密着性
を維持でき、かつコストを安価に抑さえることのできる
木材の表面処理法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明で、木材の表面にトリメトキシシラン
吸水防止剤として固形分で5〜30g/m2塗布した
後、アクリルウレタン系塗料を用いて下塗りを行い、次
いでアクリルウレタン系塗料を用いて中塗りを行い、次
いで屋外用樹脂塗料を塗布するようにした。
【0008】
【作用】本発明の木材の表面処理方法によれば、屋外用
樹脂塗料の塗布に先だって、木材の表面にトリメトキシ
シランを塗布した後、アクリルウレタン系塗料を用いて
下塗りおよび中塗りを行うので、長期に亙る屋外の使用
によっても、木材の吸水を抑え、木材表面と塗料塗膜と
の間の密着性の低下を抑止することができる。したがっ
て、長期に亙って、塗料塗膜の剥離等の損傷を防ぎ、木
材の耐候性を維持することができる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の木材の表面処理法について、
工程順に説明する。
【0010】素材となる木材には、天然ムク材、合板、
パーティクルボード、化粧単板等が用いられる。この木
材は、含水率が6〜15%程度であることが好ましく、
これより含水率が大きい場合には、予め自然乾燥あるい
は人工乾燥によって含水率を前記範囲に調整しておくこ
とが望ましい。
【0011】まず、この木材の表面を研削処理する。研
削処理は、#180〜#320程度のサンドペーパーや
サンドブラスト、あるいは表面研削機などを用いて行
う。
【0012】次に、木材表面に、トリメトキシシランを
吸水防止剤として塗布する。具体的には、トリメトキシ
シランを適当な溶剤に5〜40重量%程度の濃度となる
ように溶解させたものが用いられる。このトリメトキシ
シランの塗布量は、固形分で5〜30g/m2とする。
これは、塗布量が前記範囲に満たないと吸水防止の効果
が十分得られず、また塗布量がこの範囲をこえると初期
密着性の低下が認められるからである。このトリメトキ
シシランの塗布方法としては、スプレー法、刷毛塗り
法、スピンコータ法などがあるが、なかでもスプレーガ
ンを用いたスプレー法が好適に採用される。
【0013】次いで、下塗りを行う。下塗りの塗料に
は、アクリルウレタン系のものが用いられ、乾燥膜厚で
約10μm程度となるように塗布する。下塗りの方法に
は、スプレー法、刷毛塗り法、スピンコータ法などが採
用される。
【0014】下塗り塗膜の表面を研削処理する。研削処
理は、サンドペーパーやサンドブラストなどを利用して
行う。
【0015】続いて、中塗りを行う。中塗りの塗料に
は、下塗りの塗料と同様に、アクリルウレタン系のもの
が用いられる。この中塗り塗膜の膜厚は、乾燥膜厚で約
20〜30μm程度とする。
【0016】中塗り塗膜の表面を研削処理する。
【0017】次に、上塗りを行う。上塗りには、屋外用
樹脂塗料を用いる。この屋外用樹脂塗料には、木材の使
用用途等に応じて、透明のものでも不透明のものでも使
用可能であり、具体的には、アクリルウレタン系、エポ
キシ系、アクリルシリコーン系、フッ素樹脂系のものが
用いられる。この塗料中には、必要に応じて適宜の充填
剤、着色剤、紫外線防止剤等の添加剤が添加されてよ
い。この上塗り塗膜の膜厚は、乾燥膜厚で20〜30μ
m程度とする。
【0018】以上のように処理された木材にあっては、
屋外用樹脂塗料の塗布に先だって、前処理として、木材
の表面にトリメトキシシランを塗布した後、アクリルウ
レタン系塗料を用いて下塗りおよび中塗りを行ったもの
であるので、長期に亙る屋外の使用によっても、木材の
吸水を抑え、木材表面と塗料塗膜との間の密着性の低下
を抑止することができる。したがって、長期に亙って、
塗料塗膜の剥離等の損傷を防ぎ、木材の耐候性を維持す
ることができる。
【0019】なお、本発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、トリメトキシシラン下塗り、中塗り、屋
外用樹脂塗料の塗布方法、屋外用樹脂塗料の種類、研削
方法などの具体的構成要件は、実施に当り適宜変更可能
である。
【0020】次に、具体的な実施例を示して、本発明の
効果を明らかにする。 (実施例1) 木材表面を研削処理した後、前処理として、トリメトキ
シシランを固形分で20g/m2、スプレーガンにより
塗布した。その後、アクリル系樹脂にによる下塗り(乾
燥膜厚10μm)、研削、中塗り(乾燥膜厚30μ
m)、研削を行い、さらにその上にアクリル系樹脂から
なる屋外用樹脂塗料を乾燥膜厚100μmとなるように
塗布した。
【0021】(比較例1)トリメトキシシラン による前処理を省略した以外は、前
記実施例1と同様にして、木材の表面処理を行った。
【0022】(比較例2)前処理として、CrO3処理
を施した以外は、実施例1と同様にして、木材の表面処
理を行った。
【0023】実施例(1例)および比較例(2例)の木
材の塗膜残存率および変色を測定し、それぞれの経時変
化を図1および図2に示した。
【0024】図1より、トリメトキシシランによる前処
理を行った実施例において、長期(3年)に亙って高い
塗膜残存率が維持されることが明らかとなった。これに
比べ、前処理を行わなかった比較例1では、1年後過ぎ
から急激に塗膜残存率が低下し、2年後にはほとんど塗
膜が残っていない状況であった。
【0025】図2より、トリメトキシシランによる前処
理を行った実施例において、長期に亙って変色が少ない
ことが明らかとなった。これに比べ、CrO3による前
処理を行った比較例2では、使用直後から顕著な変色が
認められた。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の木材の表
面処理法によれば、長期に亙る屋外での使用によって
も、木材表面と塗料塗膜との間の密着性を維持して、高
い耐候性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 表面処理後の木材の塗膜残存率の経時変化を
示すグラフである。
【図2】 表面処理後の木材の変色の経時変化を示すグ
ラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島野 賞二 静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株 式会社内 (56)参考文献 特開 平2−212578(JP,A) 特開 平4−142901(JP,A) 特開 昭63−45001(JP,A) 特開 平4−259504(JP,A) 特表 昭56−500407(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B27K 3/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木材の表面にトリメトキシシランを固形
    分で5〜30g/m2塗布した後、アクリルウレタン系
    塗料を用いて下塗りを行い、次いでアクリルウレタン系
    塗料を用いて中塗りを行い、次いで屋外用樹脂塗料を塗
    布することを特徴とする木材の表面処理法。
JP05304440A 1993-12-03 1993-12-03 木材の表面処理法 Expired - Fee Related JP3119774B2 (ja)

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