JP3118878B2 - 極小セラミック部品の形状付与方法 - Google Patents

極小セラミック部品の形状付与方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、セラミック粒子を含
むセラミックス等のスラリーから作製する極小セラミッ
ク部品の形状付与方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、セラミック粒子等を含むセラミッ
ク材料で噴射ノズルの先端チップ等の小形精密部品を製
作する成形方法として、射出成形法、又はワックス中子
を使用してスリップキャスティングで成形した後、ワッ
クス中子を加熱溶出する方法等が知られている。
【0003】また、窒化珪素質セラミックスの泥しょう
鋳込み成形方法として、特開昭64−5977号公報に
開示されたものがある。該成形方法は窒化珪素質セラミ
ックスの泥しょうに解膠剤としてポリアクリル酸のアン
モニウム塩を泥しょうの粉末に対し 0.1〜0.7 重量%添
加し、且つバインダとしてアクリルエマルジョンを泥し
ょう中に添加して鋳込み成形したものである。
【0004】また、セラミックスから成るノズルチップ
を有する噴射ノズルとして、実開昭58−122778
号公報に開示されたものがある。該噴射ノズルは、ノズ
ルチップに形成した各噴孔がセラミック部材で構成さ
れ、該セラミック部材がノズル本体の弁座部に焼き嵌め
したものである。
【0005】また、噴射ノズルのノズル先端部に異形噴
孔を形成する場合には、機械加工、或いはレーザ加工、
放電加工で形成されているのが一般的である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
上記射出成形法では、高圧によって組成物を型内に充填
するため、例えば、ディーゼルエンジンの噴射ノズルの
噴孔形成用ピン(径:0.3mm)等は加圧時に破損す
る恐れがある。
【0007】また、スリップキャスティングで成形した
後にワックス中子を加熱溶出する方法は、精度上問題が
あり、高精度の孔等を形成することができず、成形乾燥
時に着肉部の収縮に起因する割れが発生することがあ
る。また、前掲特開昭64−5977号公報に開示され
た成形方法も同様な問題を有している。
【0008】そこで、本出願人は、上記の問題を解決す
るため、セラミック部材の成形方法、セラミック部材の
成形装置及び成形方法で製作した噴射ノズルを開発し、
先に特願平2−415086号として出願した。しかし
ながら、この発明によるセラミック部材の成形方法で
は、異形噴孔を形成できるが、該噴孔の入口側に曲面或
いはアール即ち周囲内壁面に曲率を備えた形状に噴孔を
形成する方法については、開示されていないものであ
る。燃料噴射ノズルの噴孔の形状については、入口側周
囲内壁面に曲率を与えた形状に形成することによって、
燃料噴射において燃料圧の圧力損失を低減することがで
きるものである。
【0009】更に、前掲実開昭58−122778号公
報に開示された噴射ノズル等の燃料噴射ノズルの噴孔に
対して噴孔内面に曲率を付ける場合には、機械加工によ
ってなされているのが現状である。しかしながら、機械
加工によって噴孔内面に曲率を付ける方法は、生産効率
が悪く、高コストになるという問題がある。
【0010】また、一般に、燃料噴射ノズルの異形噴孔
等の内部に複雑な形状は、溶出可能な中子を内包した状
態で成形体を作製し、加熱等によって中子を溶出させた
後に、焼結する方法等も知られている。しかしながら、
加熱等によって中子を溶出させて噴孔内面に曲率を付け
るのは、噴孔の形状精度に信頼性が無い等の問題があ
る。
【0011】そこで、この発明の目的は、上記の課題を
解決することであり、セラミック部品に曲率を有する孔
を形成するのを容易にし、該孔形状を高精度に形成する
ことを可能し、例えば、該孔を燃料噴射ノズルの噴孔で
あるとすれば、該噴孔より噴射された燃料の燃料圧の圧
力損失を低減し、焼成時に多量の成形体を焼成できるこ
とにより極めて大量生産が容易である極小セラミック部
品の形状付与方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の目的
を達成するために、次のように構成されている。即ち、
この発明は、一部が多孔質部を有するキャビティを形成
し、該キャビティに通じるスラリー注入通路と孔形成用
ピンを挿入可能なピン挿入孔を有する金型を用いてセラ
ミック材料を所定形状に成形するセラミック部品成形方
法において、前記孔形成用ピンの先端に可塑性物質を付
着させる工程、前記孔形成用ピンを前記ピン挿入孔に前
進させて前記可塑性物質を前記キャビティの壁面に押し
付け、次いで前記孔形成用ピンを僅かに後退させて前記
可塑性物質の表面張力で前記可塑性物質の周面に曲率を
形成した状態に維持する工程、前記スラリー注入通路を
通じて前記キャビティにスラリーを注入する工程、及び
前記スラリーの水分を前記多孔質部に吸水して着肉固化
させ、該着肉部に前記曲率形状を転写させる工程、から
成ることを特徴とする極小セラミック部品の形状付与方
法に関する。
【0013】この極小セラミック部品の形状付与方法に
おいて、前記極小セラミック成形体は燃料噴射ノズルの
ノズルチップを形成する成形体である。
【0014】この極小セラミック部品の形状付与方法に
おいて、前記可塑性物質はワセリンである。
【0015】
【作用】この発明による極小セラミック部品の形状付与
方法は、上記のように構成されており、次のように作用
する。即ち、この極小セラミック部品の形状付与方法
は、孔形成用ピンの先端に可塑性物質を付着させ、前記
可塑性物質を前記キャビティの壁面に押し付け、次いで
後退させて前記可塑性物質の表面張力によって前記可塑
性物質の周面に曲率を付与し、その状態で前記キャビテ
ィにスラリーを注入し、前記多孔質部に吸水させて固化
したので、前記スラリーの固化後に、孔形成用ピンを引
き抜いて金型から取り出せば、前記可塑性物質に形成さ
れた曲率がセラミック成形体に転写され、セラミック成
形体に形成される噴孔等の孔壁面に曲率を付与すること
ができ、セラミック成形体の孔形成内壁面に極めて微小
な曲率を高精度に形成することができる。
【0016】
【実施例】以下、図面を参照して、この発明による極小
セラミック部品の形状付与方法の実施例を説明する。図
1はこの発明による極小セラミック部品の形状付与方法
を達成するためのセラミック成形装置の一例を示す断面
図である。図2は図1の要部の拡大図である。図3、図
4、図5、図6、図7及び図8はこの発明による極小セ
ラミック部品の形状付与方法の各工程を示す説明図であ
り、図3は噴孔形成用ピンをキャビティに挿入する工程
を示す説明図、図4は可塑性物質をキャビティ壁面に付
着させる工程を示す説明図、図5は噴孔形成用ピンを僅
かに後退させて可塑性物質に曲率を与える工程を示す説
明図、図6はキャビティ内へスラリーを注入する工程を
示す説明図、図7はキャビティから噴孔形成用ピンと形
成用ピンを抜き取る工程を示す説明図、及び図8は着肉
部を乾燥固化させる工程を示す説明図である。並びに、
図9はこの発明による極小セラミック部品の形状付与方
法で作製したセラミック部品の一例を示す断面図であ
る。
【0017】この実施例は、この発明による極小セラミ
ック部品の形状付与方法を燃料噴射ノズルの先端部成形
方法における噴孔に所定形状を付与する方法に適用した
ものである。図9には、燃料噴射ノズルの先端部即ちノ
ズルチップ22が示されている。このノズルチップ22
には、複数個の噴孔23から成る多噴孔に形成すること
ができるが、この実施例では説明を分かり易くするた
め、1個の噴孔23のみを図示している。ノズルチップ
22は、耐熱性に富んだ高温高強度の窒化ケイ素(Si
3 4 )、炭化ケイ素(SiC)、ジルコニア等のセラ
ミックスで作製されている。ノズルチップ22は、その
端面29が燃料噴射ノズルのノズル本体に接合された時
に、内面25側にノズルサック28が形成され、外面2
6側が燃焼室に晒される面となる。図9に示すように、
燃料噴射ノズルのノズルチップ22に形成した噴孔23
は、噴射燃料の流れ方向の入口側に曲率24を与えた形
状に形成されている。
【0018】燃料噴射ノズルのノズルチップ22に形成
する噴孔23を、図示のように、入口側を大きい開口の
曲面即ち曲率24を付与した形状に形成し且つ出口側を
小さな開口のストレート状に形成することによって、燃
料噴射ノズルの針弁の開放で燃料噴射ポンプから供給さ
れた燃料を噴孔23を通じて噴射させる時、燃料圧の圧
力損失を低減することができ、燃焼室内へ燃料を強力に
噴射させることができる。場合によっては、噴孔23か
ら噴射させた噴射燃料を燃焼室壁面に強力に衝突させて
分散させ、空気との混合を促進することができ、良好な
燃焼状態を確保することができる。
【0019】次に、図1に示すセラミック成形装置を使
用して燃料噴射ノズルのチップ22に、上記のような形
状の曲率24を持った噴孔23を形成する製作方法につ
いて説明する。このセラミック成形装置は、例えば、デ
ィーゼルエンジンに使用する燃料噴射ノズルのノズルチ
ップを製作するのに適用して好ましいものである。この
セラミック成形装置において、金型1には、スラリー注
入口即ちスラリー注入通路2と該スラリー注入通路2に
通じるキャビティ3とが形成されると共に、先端に多角
形等の形状を有する金属製の孔形成用ピンである噴孔形
成用ピン5を備えたピン抜き差し回転治具6を着脱可能
に取付けるための貫通孔4及びピン挿入孔18が形成さ
れている。キャビティ3は金型1の下面に形成され、ス
ラリー注入通路2は金型1の上部からキャビティ3へと
通じている。キャビティ3の形状は、燃料噴射ノズルの
先端チップ即ちノズルチップ22の外形の形状を有して
いる。噴孔形成用ピン5の形状については、ノズルチッ
プ22に形成する噴孔23の形状に対応させて形成した
ものであり、例えば、長方形、楕円形等の種々に形成す
ることができる。
【0020】金型1は、位置決め台8上に設定される。
位置決め台8の上面11は、金型1の下面12に当接し
て配置されている。位置決め台8には、穴部13が形成
されると共に、成形用ピンとなる中子14及び該中子1
4を取付けた中子昇降治具10を昇降させるための貫通
孔15が形成されている。中子昇降治具10は、ねじ等
の適宜な固着手段で位置決め台8に着脱自在に固定さ
れ、キャビティ3内へ中子14を突出可能な状態に設置
できる。この中子14はノズルサック28の壁面を形成
するための成形用ピンの機能を果たすものである。
【0021】位置決め台8に形成した穴部13には、石
膏等から成る多孔質型9が配置される。この多孔質型9
は、金型1と中子14と共働してキャビティ3を形成す
る。言い換えれば、キャビティ3の壁面の一部を多孔質
部で形成した成形型を構成している。この多孔質型9で
形成される多孔質部は、スラリー注入通路2からキャビ
ティ3に注入されたスラリーSから水分を吸水してキャ
ビティ壁面に着肉させ、該着肉部7を固化させる作用を
有している。多孔質型9には、キャビティ3に対向する
位置に貫通孔16が形成され、該貫通孔16を中子14
が昇降自在に移動できるように構成されている。中子1
4は、貫通孔16を上昇してキャビティ3内へ突出でき
る状態に設定される。この中子14は、キャビティ3内
に突出した状態に設定されることによって、燃料噴射ノ
ズルのノズルサック28を形成することになる。
【0022】このセラミック成形装置は、上記のように
構成されており、該成形装置を使用してこの発明による
極小セラミック部品の形状付与方法を達成することがで
きる。即ち、この極小セラミック部品の形状付与方法
は、セラミック成形法の1つであるスリップキャスティ
ングにより燃料噴射ノズルの極小セラミック部品である
ノズルチップ22を製作するものである。即ち、この極
小セラミック部品の形状付与方法は、一部が多孔質部を
有するキャビティ3を形成し、該キャビティ3に通じる
スラリー注入通路2と孔形成用ピン5を挿入可能なピン
挿入孔18を有する金属製の金型1を用いてセラミック
材料を所定形状に成形するセラミック部品成形方法の1
つである。
【0023】この極小セラミック部品の形状付与方法
は、まず、孔形成用ピンである噴孔形成用ピン5の先端
19に可塑性物質20を付着させる。可塑性物質20を
付着させた噴孔形成用ピン5を、図2及び図3で矢印A
で示すように、ピン挿入孔18に前進させる。噴孔形成
用ピン5を更に前進させることによって、図4で矢印B
で示すように、可塑性物質20をキャビティ3の壁面で
ある形成用ピン14の壁面27に押し付け、可塑性物質
20を噴孔形成用ピン5の先端19の面積より大きくな
る状態に形成用ピン14の壁面27に付着させる。
【0024】次いで、図5に示すように、噴孔形成用ピ
ン5を矢印C方向に僅かに後退させてその位置に噴孔形
成用ピン5を保持すれば、可塑性物質20の表面張力で
可塑性物質20の周面が曲面になる曲率17を形成する
状態になる。そこで、この曲率17を形成した状態を維
持する。この可塑性物質20は、ワセリン等の材料から
成るものであり、スラリーSと比較すると、スラリーS
より硬いものであるが、スラリーSが固化して着肉した
場合には着肉部より軟質の材料である。そこで、形成用
ピンである中子14の壁面27に可塑性物質20を付着
させてキャビティ3内に突出した状態で、しかも可塑性
物質20の周面が曲率17を形成した状態で、スラリー
Sをスラリー注入通路2を通じてキャビティ3内に注入
する。
【0025】図6に示すように、キャビティ3内にスラ
リーSを注入すると、可塑性物質20の形状を維持した
状態で、該可塑性物質20を除いたキャビティ3内にス
ラリーSは浸入し、そこで、スラリーSの水分は多孔質
型9の多孔質部30に吸水され、スラリーSはキャビテ
ィ3の壁面27に着肉し固化して着肉部7を形成する。
この着肉部7は可塑性物質20と噴孔形成用ピン5とが
存在する部分には無く、この着肉部7には、可塑性物質
20の曲率形状周面及び噴孔形成用ピン5のストレート
状周面の形状が転写されることになる。そこで、着肉部
7に保形性が発現した状態で、図7に示すように、噴孔
成形用ピン5を着肉部7から抜き取って着肉部7にスト
レート状の噴孔23を形成する。更に、着肉部7から形
成用ピン14を抜き取るが、この時、可塑性物質20は
着肉部7に付着した状態である。着肉部7の固化状態が
更に進んだ状態で、図8に示すように、着肉部7を金型
1及び多孔質型9から取り出し、該着肉部7を十分に乾
燥させる。乾燥した着肉部7を、焼成炉に入れて窒素雰
囲気中で加熱して可塑性物質20を燃焼させて焼失させ
ると共に、着肉部7を焼結させて焼結体を得た。この焼
結体は、ノズルチップ22を構成するものであり、図9
に示すように、ノズルチップ22のノズルサック28側
即ちノズルチップ22の入口側に曲率24の形状が付与
されることになる。
【0026】次に、この極小セラミック部品の形状付与
方法の具体的な例について説明する。まず、窒化ケイ素
(Si3 4 )のセラミック粉末、焼結助材、水及び有
機バインダを配合し、次いで、ボールミルで十分に混合
してスラリーSを得た。この極小セラミック部品の形状
付与方法において、上記セラミック粉末は、窒化ケイ素
の他に、チタン酸アルミニウム、ムライト、ジルコニ
ア、チタン酸カリウム等を使用することができる。ま
た、バインダとしては、ポリビニルアルコールの他にセ
ラミック部材の製造工程における寸法収縮を抑制するこ
とができる熱可塑性アクリル樹脂を使用することができ
る。
【0027】上記のようにして作ったスラリーSを、図
6及び図7に示す燃料噴射ノズルのノズルチップ22の
ノズルチップ作製用型即ち金型1に形成したスラリー注
入口2からキャビティ3内に流し込んだ。キャビティ3
に注入されたスラリーSは多孔質型9によって水分が吸
水され、キャビティ3内で着肉して着肉層を形成する
が、そこで所定時間経過後に、着肉層に保形性が発現し
た時点で、金型1に取付けた噴孔成形用ピン5を着肉部
7から抜き取ると共に、位置決め台8に取付けた形成用
ピンである中子14を着肉部7から抜き取る。この状態
で着肉部7を型内に放置し、多孔質型9によって着肉部
7から水分を更に吸水して排出し、着肉部7を固化させ
る。着肉部7が固化してセラミック部材の成形体を形成
させた後に、該成形体を型から外し、噴孔23を有する
ノズルチップ成形体を得た。
【0028】このノズルチップ成形体を、例えば、窒素
雰囲気中で1800℃で焼成することによってノズルチ
ップ22の焼結体を得ることができた。最終的に得られ
たノズルチップ22を、図9に示すように、切断して2
0個のノズルチップ切断面の試験片を20個作製した。
これらの試験片を測定したところ、断面長方形に形成し
た噴孔23のストレート部のサイズは、0.2×0.6
(mm)であり、許容誤差は0.02mm以下であり、
許容誤差内にあり、特に、噴孔23の入口側には、アー
ルR0.2の曲率24が付与されていることを確認でき
た。ノズルチップ22は、その端面29をソルダー材を
使用してノズル本体に接合し、燃料噴射ノズルを完成す
ることができる。この燃料噴射ノズルを使用して、燃料
噴霧を観察したところ、エアエントレインについて、従
来のストレート状の噴孔に比較して約5%の向上が確認
できた。
【0029】比較例として、射室成形により作製したプ
ラスチック中子を使用し、これを石膏型内に配置して、
上記実施例と同様に、スラリーSをキャビティに注入し
てノズルチップを作製した。ノズルチップの10個中8
個に、スラリーの乾燥時の収縮による割れが発生した。
また、割れが発生しなかったノズルチップについても、
噴孔のコーナが鋭利にならず、所望の長方形の形状を得
ることができなかった。
【0030】
【発明の効果】この発明による極小セラミック部品の形
状付与方法は、上記のように構成されており、次のよう
な効果を有する。即ち、この発明による極小セラミック
部品の形状付与方法は、孔形成用ピンの先端に可塑性物
質を付着させ、前記孔形成用ピンを前記ピン挿入孔に前
進させて前記可塑性物質を前記キャビティの壁面に押し
付け、次いで前記孔形成用ピンを僅かに後退させて前記
可塑性物質の表面張力で前記可塑性物質の周面に曲率を
形成した状態に維持し、前記スラリー注入通路を通じて
前記キャビティにスラリーを注入し、更に、前記スラリ
ーの水分を前記多孔質部に吸水して着肉固化させ、該着
肉部に前記曲率形状を転写させたので、極小セラミック
部品に孔を高精度に形成することができ、しかも、断面
形状のコーナは鋭利な形状に形成でき、極小セラミック
部品を高能率で製造することができる。
【0031】しかも、この極小セラミック部品の形状付
与方法によって極小セラミック成形体として燃料噴射ノ
ズルのノズルチップの成形体を作製し、該極小セラミッ
ク成形体を焼成してノズルチップを製作した場合には、
噴孔の入口側に前記曲率が形成されることになり、該噴
孔を通じて燃焼室に燃料を噴射すると、燃料圧の圧力損
失を低減でき、燃焼室での空気の巻き込み即ちエアエン
トレインを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による極小セラミック部品の形状付与
方法を達成するためのセラミック成形装置の一例を示す
断面図である。
【図2】図1のセラミック成形装置の要部の拡大図であ
る。
【図3】この極小セラミック部品の形状付与方法におい
て、噴孔形成用ピンをキャビティに挿入する工程を示す
説明図である。
【図4】この極小セラミック部品の形状付与方法におい
て、可塑性物質をキャビティ壁面に付着させる工程を示
す説明図である。
【図5】この極小セラミック部品の形状付与方法におい
て、噴孔形成用ピンを僅かに後退させて可塑性物質に曲
率を与える工程を示す説明図である。
【図6】この極小セラミック部品の形状付与方法におい
て、キャビティ内へスラリーを注入する工程を示す説明
図である。
【図7】この極小セラミック部品の形状付与方法におい
て、キャビティから噴孔形成用ピンと形成用ピンを抜き
取る工程を示す説明図である。
【図8】この極小セラミック部品の形状付与方法におい
て、着肉部を乾燥固化させる工程を示す説明図である。
【図9】この発明による極小セラミック部品の形状付与
方法で作製したセラミック部品の一例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 金型 2 スラリー注入通路 3 キャビティ 5 噴孔成形用ピン 7 着肉部 9 多孔質型 14 中子(形成用ピン) 17 曲率 18 ピン挿入孔 20 可塑性物質 22 ノズルチップ 23 噴孔 24 曲率 30 多孔質部

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一部が多孔質部を有するキャビティを形
    成し、該キャビティに通じるスラリー注入通路と孔形成
    用ピンを挿入可能なピン挿入孔を有する金型を用いてセ
    ラミック材料を所定形状に成形するセラミック部品成形
    方法において、前記孔形成用ピンの先端に可塑性物質を
    付着させる工程、前記孔形成用ピンを前記ピン挿入孔に
    前進させて前記可塑性物質を前記キャビティの壁面に押
    し付け、次いで前記孔形成用ピンを僅かに後退させて前
    記可塑性物質の表面張力で前記可塑性物質の周面に曲率
    を形成した状態に維持する工程、前記スラリー注入通路
    を通じて前記キャビティにスラリーを注入する工程、及
    び前記スラリーの水分を前記多孔質部に吸水して着肉固
    化させ、該着肉部に前記曲率形状を転写させる工程、か
    ら成ることを特徴とする極小セラミック部品の形状付与
    方法。
  2. 【請求項2】 前記極小セラミック成形体は燃料噴射ノ
    ズルのノズルチップを形成する成形体であることを特徴
    とする請求項1に記載の極小セラミック部品の形状付与
    方法。
  3. 【請求項3】 前記可塑性物質はワセリンであることを
    特徴とする請求項1に記載の極小セラミック部品の形状
    付与方法。
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