JP3118690B2 - リチウム二次電池用外装缶 - Google Patents

リチウム二次電池用外装缶

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ノート型パソコ
ン、携帯電話をはじめとする通信機器等のポータブル機
器に使用され注目されている、ニッケル水素電池、ニッ
カド電池、リチウムイオン系(リチウムポリマー)電池
等の二次電池の内、次世代電池として有望なリチウムイ
オン系(リチウムポリマー)電池を構成するリチウム二
次電池用外装缶に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記いずれの二次電池も、過熱の主要因
である過放電や過充電をICを使用した電子回路により
制御しているが、前記リチウムイオン系(リチウムポリ
マー)電池は、小型、軽量である上に他のニッケル水素
電池、ニッカド電池に比べ使用可能時間が長い点に利点
がある反面、内部圧力が上ると爆発の危険性があり、製
造者としては内部圧力が一定の値に達すると自動的に破
れて爆発を未然に防止することができる安全性の高い商
品が要求されている。
【0003】このような要求を充足するために、リチウ
ム二次電池用外装缶の一部に開設した穴を薄い金属箔で
閉塞し、熱溶接や接着剤で接合する手段が開発され公知
であるが、熱によって金属が溶けたり内側から電解質溶
液が漏れたりするなどの欠点があることから、リチウム
二次電池用外装缶として延性に富んだアルミニウム等を
使用して薄い金属箔を接着する手段を用い、重ね合わせ
た上から高い圧力を加えて金属組織を崩すことで接着す
る冷間圧接法が開発されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記冷間圧接法
は、熱によって金属が溶けたり内側から薬液が漏れたり
するなどの欠点は一応解消されるものの、以下の点に解
決すべき課題がある。 1.外装缶を絞り加工により製作する場合、絞り加工前
または加工後において、穴の穿設加工をする必要がある
とともに、穿設された穴の変形や亀裂を招き安全弁機能
に影響を及ぼす。 2.穴を塞ぐサイズで一定強度の金属箔を製作し、これ
を穿設された穴との関係を正確に設定して重ね、その上
から高い圧力を加える必要があることから、部品の製作
と接合作業が増加し、しかも高価な加圧装置が必要とな
って、製品コストを高騰させる。 3.冷間圧接の場合に生じる残留応力の影響によって、
破壊強度にバラツキが出ることから、破壊圧力値を正確
に設定することが困難であって商品の強度面での品質が
低下し、内部圧力が一定の値に達するまでに破壊された
り、一定の値になっても破壊されずに爆発を招く場合が
生じ、使用中の安全性のみならず、寿命により廃棄され
た後の安全性について未解決である
【0005】本発明は、内部圧力が一定の値に達すると
自動的に破れて爆発を未然に防止することができる安全
性の高い商品の提供の要求に答えるべく鋭意研究の結
果、簡単な加工手段によって、安全弁機能に影響を与え
ることなく、また高価な装置を使用することなく、強度
面での高い品質が確保でき、不用意な爆発を未然に防止
することができる安全性の高いリチウム二次電池用外装
缶を安価に提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明に係るリチウム
二次電池用外装缶は、電極及び電解質溶液を収容し密閉
する金属製であって缶底形状が長方形の缶主体(1)を対
象とし、該長方形の缶主体(1) の底面(8) に形成する肉
薄部を、 a.長方形の長辺と平行し缶内広幅間隔寸法未満で2/3
程度の長さの長寸直線切溝(5)と、 b.長方形の短辺と平行し缶内狭幅間隔寸法未満で1/2
以上の長さの短寸直線切溝(6) とを c.底形状の対角線交叉位置で直交させ、 d.長寸直線切溝(5)の両端に、外に向かって分岐する
二股直線切溝(3) を連続させて設け、 e.各直線切溝が、缶主体(1)の底面を正面視して上下
及び左右対称形に表われる形状とした ことを特徴とす
る。
【0007】
【発明の実施の形態】及び
【実施例】本発明を図面に基づき説明すると、図1は本
発明の実施例に係るリチウム二次電池用外装缶を逆さに
して示した底面図、図2は図1の長寸直線切溝(5) と二
股直線切溝(3)に沿う略凸形ラインとなるA−A線にお
ける拡大断面図である。
【0008】(実施例)実施例に係るリチウム二次電池用外装缶は、0.5 mm厚の
アルミニウム板部材を塑性加工手段により、正面幅 22m
m 、厚み 9.9 mm 、高さ48mmの有底扁平角筒形に成形し
た缶主体(1) の底面(8) に、缶内広幅間隔の2/3 程度の
長さであって底輪郭の長辺と平行する溝底厚0.1 〜0.15
mmの長寸直線切溝(5) と、缶内狭幅間隔寸法未満で1/2
以上の長さの、底輪郭の短辺と平行する溝底厚0.1 〜0.
15mmの短 寸直線切溝(6) とを対角線交叉中心において交
叉する横長十字形を形成するとともに、前記長寸直線切
溝(5)の両端に、外に向かって分岐する平面横V字形で
あって溝底厚0.1 〜0.15mmの二股直線切溝(3) を連続さ
せて、平面形状が上下及び左右対称形で現われ、一定以
上の内部圧力によって破損する肉薄部を設けた 構成であ
る。
【0009】上記構成要件を具備させ、溝底部厚さを変
更した各種を製作し、破壊テストを行い、内部圧力を順
次上昇させて切溝部分が破壊された圧力p(10 4 hPa)と破
壊時の圧力低下の状態及び破壊部分の変形状態(目視)
によって比較した結果、圧力p=9 〜11(10 4 hPa)程度に
おいて他へ大きな影響を与えることなく交叉部分から誘
導されるように安全に破壊が進行し、その場合の圧力低
下の状態は、緩速乃至低速であり、破壊時の変形状態
は、目視できない状態「変形無」、「視認」、「目視」
できる膨出状態であり、「開口」、「破裂」は無かっ
た。
【0010】なお、上記の変形状態における、「変形
無」は外形的変化も圧漏れも視覚では不明を意味し、
「視認」は透かしによって光線透過により破壊が確認で
きたことを意味し、さらに「膨出」は膨らみ変形と微か
な漏れ音が聴取され破断部分が目視できたものであり、
「開口」は膨出以上で爆発による花弁状態変形には至ら
ず急激な空気放出による音の短時間聴取と内容物の飛び
出しによって破壊された状態がよりハッキリ確認できる
場合であり、さらに「爆発」は爆発音と同時に内容物が
放出され、花弁状に破壊される場合である。
【0011】以上結果から実施例に係る上記構成要件を
具備させ、溝底部厚さを変更した各種製作したアルミニ
ウム製のリチウム二次電池用外装缶は、略一定内圧によ
って他へ大きな影響を与えることなく交叉部分から誘導
されるように安全に破壊が進行することが確認できた。
【0012】上記結果、切線で囲まれた破断片部分の撓
み弾力と、破断片の面に作用する圧力による剪断作用力
との相乗的な作用の相違によって、略一定内圧によって
他へ大きな影響を与えることなく安全に破壊されるもの
と推察される。
【0013】なお長寸直線切溝(5)、短寸直線切溝(6)
及び二股直線切溝(3)は、缶主体(1)内に挿入して内底面
に当接される内側金型と、長さ及び溝底部厚さの形成に
対応する押圧刃の形成された押金型によって、切削屑等
を生じさせないで形成したものである。
【0014】以上の結果、缶主体(1) の底面(8) に、
定の溝底厚さを確保した長寸直線切溝(5) と短寸直線切
溝(6) 及び二股直線切溝(3) の組み合わせにより、長寸
直線切溝(5)の両端に、外に向かって分岐する平面横V
字形の二股直線切溝(3) を連続させて、平面形状が上下
及び左右対称形で現われる肉薄部を形成することによ
、内部圧力が一定の値に達すると自動的に破れて爆発
の未然防止が達成されることから、各切線の長さと肉薄
部の厚みの設定により、要求される所望の防爆圧力に設
定できることを確認し、バラツキなく一定の圧力で破壊
されるアルミニウム製のリチウム二次電池用外装缶が得
られた。
【0015】なお上記実施例は、アルミニウム板部材を
塑性加工手段により製作した缶主体(1) について説明し
たが、電解質溶液に対する耐腐食性を具備し、展延性の
ある金属材料(例えば、ステンレス部材、銅部材等)に
ついても、一定以上の内部圧力によって破損する左右対
称形の肉薄部で囲まれた破断片部分の撓み弾力と、破断
片の面に作用する圧力による剪断作用力との相乗的な作
用の相違によって、切線の長さ及び溝底厚の設定により
達成されるものと推察される。よって、アルミニウムに
限定されるものではない。
【0016】
【発明の効果】以上説明した本発明のリチウム二次電池
用外装缶によれば、缶主体(1) の底面(8) に、所定の溝
底厚の長寸直線切溝(5) と短寸直線切溝(6) 及び二股直
線切溝(3) の組み合わせにより、前記長寸直線切溝(5)
の両端に、外に向かって分岐する平面横V字形であって
溝底厚0.1 〜0.15mmの二股直線切溝(3) を連続させて、
平面形状が上下及び左右対称形で現われ、一定以上の内
部圧力によって破損する肉薄部を設けたから、一定以上
の内部圧力によって破損する左右対称形の肉薄部で囲ま
れた破断片部分の撓み弾力と、破断片の面に作用する圧
力による剪断作用力との相乗的な作用の相違により、略
一定内圧によって他へ大きな影響を与えることなく安全
に破壊される。
【0017】このため、従来の冷間圧接法において未解
決であった、安全性の危惧、製作作業の煩雑さ及び高価
装置の使用による製品コストの高騰化及び残留応力の影
響により生じる破壊強度のバラツキによる品質低下等が
解消され、簡単な加工手段によって、安全弁機能に影響
を与えることなく、また高価な装置を使用することな
く、強度面での高い品質が確保でき、不用意な爆発を未
然に防止することができる安全性の高いリチウム二次電
池用外装缶を安価に提供することが可能となり、ノート
型パソコン、携帯電話をはじめとする通信機器等のポー
タブル機器の低廉化が達成され、需要者の生活、企業活
動等の社会的貢献を果すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係るリチウム二次電池用外
装缶を逆さにして示した底面図である。
【図2】 図1の長寸直線切溝(5) と二股直線切溝(3)
に沿う略凸ラインとなるA−A線における拡大断面図
ある。
【符号の説明】
(1) 缶主体 (3) 二股直線切溝 (5) 長寸直線切溝 (6) 短寸直線切溝 (8) 底面

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極及び電解質溶液を収容し密閉する金
    属製であって缶底形状が長方形の缶主体(1)を対象と
    し、該長方形の缶主体(1) の底面(8) に形成する肉薄部
    を、 a.長方形の長辺と平行し缶内広幅間隔寸法未満で2/3
    程度の長さの長寸直線切溝(5)と、 b.長方形の短辺と平行し缶内狭幅間隔寸法未満で1/2
    以上の長さの短寸直線切溝(6) とを c.底形状の対角線交叉位置で直交させ、 d.長寸直線切溝(5)の両端に、外に向かって分岐する
    二股直線切溝(3) を連続させて設け、 e.各直線切溝が、缶主体(1)の底面を正面視して上下
    及び左右対称形に表われる形状とした ことを特徴とする
    リチウム二次電池用外装缶。
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