JP3118226B2 - 照明光源用フィルター - Google Patents

照明光源用フィルター

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JP3118226B2
JP3118226B2 JP11006244A JP624499A JP3118226B2 JP 3118226 B2 JP3118226 B2 JP 3118226B2 JP 11006244 A JP11006244 A JP 11006244A JP 624499 A JP624499 A JP 624499A JP 3118226 B2 JP3118226 B2 JP 3118226B2
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健治 泉本
靖 山本
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有限会社ルル
靖 山本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、蛍光ランプ、水
銀ランプ、白熱ランプ、ハロゲンランプ、メタルハライ
ドランプ等の照明光源に用いられるフィルターに関す
る。
【0002】
【従来の技術】例えば、蛍光ランプをはじめ、水銀ラン
プ、白熱ランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドラン
プ等の肉眼で白色に感じる光を発生する照明光源は、可
視光線の他に、紫外線が僅かながら発生している。その
ため、プリント配線板の基板の金属層表面にエッチング
フォトレジストやドライフィルム等の感光性材料を被覆
する際の照明灯には、照明灯からの紫外線による感光性
材料の不本意な感光を防止すべく、紫外線吸収フィルタ
ーが取り付けられている。
【0003】而して、近年、前記感光性材料の開発が進
み、感光性材料として436nm以下の波長域の光に反
応して分解するものが用いられるようになっている。こ
のため、フィルターとしては、380nm以下という紫
外線域の光はもとより、380〜436nmといった短
波長域可視光線の光までもカットすることのできる特性
が要求され、通常、安全を見込んで、440nm以下の
波長域の光をカットすることのできるフィルターが用い
られるようになってきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、440
nm以下の波長域の光をカットしてしまうと、フィルタ
ーを透過した光は黄色味を帯びた光になってしまい、こ
の黄色味を帯びた光により作業者の精神的疲労が増大す
る等、作業環境が劣悪になるという問題が生じてしま
う。
【0005】この発明は、このような問題を解決するた
めになされたものであって、440nm以下の波長域の
光をカットすることができ、かつ透過光の黄色味を軽減
して透過光を白色に近づけることのできる照明光源用フ
ィルターを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明に係る照明光源用フィルターは、透光性フ
ィルムないしシート若しくはパイプからなるものであっ
て、440nm以下の波長域の光線の透過率が0%で且
つ440nmを超える波長域の光線の透過を許容する
系統色材と、該黄系統色材と補色関係をなす青系統色材
とを含有していることを特徴とするものである。
【0007】これによれば、光源から発生した各種波長
の光のうちの440nm以下の波長域の光は、黄系統色
材によりカットされる。そのため、感光性材料が不本意
に感光してしまうことが防止される。また、440nm
以下の波長域の光がカットされると、その光は黄色味を
帯びたものになるが、黄系統色材と補色関係をなす青系
統色材により、光に青色味が付与され、この青色味と黄
色味とが加色混合則に基づいて混じり合う。その結果、
フィルターを透過した光は黄色味が軽減されて白色に近
づき、もって作業環境が良好になる。
【0008】また、フィルターは、前記黄系統色材を含
む第1層と前記青系統色材を含む第2層とを積層状態に
含有しているものであっても良い。
【0009】この場合、前記第1層は、L* * *
色系におけるL* が95以上、a*が−16以上16以
下、b* が70以下であることが好ましい。すなわち、
*が95未満のときには、明度(明るさ)が不足する
虞があり、a* が−16以上16以下の範囲外にあると
きには、緑色味や赤色味が強く付与されて白色に近付け
ることが困難になり、またb* が70を超えるときに
は、黄色味が強く付与されて白色に近付けることが困難
になるからである。したがって、第1層は、L*が95
以上、a* が−16以上16以下、b* が70以下であ
ることが好ましく、こうすることにより、より明るい且
つより白色に近い照明のもとで、作業を行うことがで
き、作業環境が更に良好になる。
【0010】また、前記第2層は、500〜600nm
の波長域の光線透過率における最低値が40〜90%の
範囲内であることが好ましい。かかる波長域の光線透過
率における最低値が90%を超えると、黄色味を感じさ
せる波長域の透過量が多くなり過ぎて黄色味が多く残存
しまう虞があり、一方40%未満では、透過量が少なく
なり過ぎて全体の光量が不足してしまう結果、暗くなっ
て作業環境に適さなくなる虞があるからである。
【0011】また、フィルターは、前記黄系統色材及び
前記青系統色材を単一層内に混合状態に含有しているも
のであっても良い。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を説明
する。
【0013】この実施形態のフィルターは、光源から発
生した各種波長の光のうち440nm以下の波長域の光
を黄系統色材によって実質的にカットするものである。
【0014】前記黄系統色材は、通常、有機染料から構
成されるものである。この有機染料は、黄味緑、黄緑、
緑味黄、黄、黄味橙等の黄系統色に属するものから選択
される。また、顔料を用いることも考えられるが、顔料
は隠ぺい性を有しているので、これを用いると、フィル
ターに不透光性を付与して光量が減少する虞がある。こ
れに対し、染料は透光性に優れているので、これを用い
ると、高い透光性を有するフィルターを製造することが
できて光量の減少を防止することができる。かかる有機
染料としては、インドール系、ベンゾオキサゾール系、
アゾ系、アゾメチン金属錯体系等の染料系に属するもの
を用いることができ、これらは単独で用いても良いし、
異種のものと混合して用いても良い。特に、染料として
インドール系を用いることが好ましく、これを用いる
と、440nm以下の波長域の光を確実にカットするこ
とができる、光線透過率が高い、マトリックスへの分散
が極めて良好である、蛍光発光を生じない、等の利点が
ある。例えば、有機染料として、図1に示す光線透過率
特性、即ち440nm以下の波長域の光の透過率が実質
的に0%であり、440〜480nmの波長域の範囲内
で透過率が急激に増加するという特性を有するものが好
適に用いられる。
【0015】而して、このような黄系統色材を単独で含
有するフィルターにあっては、光源から発生した各種波
長の光のうちの440nm以下の波長域の光は黄系統色
材によってシャープにカットされているので、その透過
光は黄色味を帯びたものとなる。そこで、この発明で
は、フィルターは、前記黄系統色材と補色関係をなす青
系統色材を、黄系統色材と共に含有している。
【0016】前記青系統色材は、通常、有機染料から構
成される。この有機染料は、青味緑、青緑、緑味青、
青、紫味青、青味紫、紫、赤味紫、赤紫、紫味赤等の青
系統色に属するアゾ系やアントラキノン系等のものから
選択され、また単独で用いても良いし、異種の有機染料
と混合して用いても良い。かかる有機染料としては、例
えば図2に示す光線透過率特性、即ち500〜620n
mの波長域に吸収バンドがあるという特性を有するもの
が好適に用いられる。
【0017】上記した黄系統色材及び青系統色材の染料
は、通常、次のようなマトリックスにおいて分散され
る。
【0018】前記マトリックスとしては、ポリメチルメ
タクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ポリス
チレン等の透光性を有する各種合成樹脂が好適に用いら
れる。また、透明石英ガラス、ソーダガラス等の透光性
を有する各種ガラスを用いても良い。しかしながら、ガ
ラスを用いた場合には、落下等の外的衝撃にて割れ易
く、かつ重くなるので、合成樹脂を用いるのが好まし
く、特にPMMAを用いるのが好ましい。
【0019】次に、黄系統色材及び青系統色材の染料と
マトリックスとを用いてフィルターを製作する場合につ
いて説明する。
【0020】このフィルターは、通常のプラスチックや
ガラスの着色法に従うことで容易に製作することがで
き、これをプラスチックの着色法を例に挙げて説明すれ
ば、黄系統色材や青系統色材を構成する染料と金属石け
ん等の分散剤とを混合処理したマスターパウダーを用
い、これをマトリックスとなる合成樹脂に混合分散した
のち、射出成形、押出成形等の公知成形法にて、使用形
態に応じて各種形状に成形する。成形形状としては、フ
ィルムないしシート若しくはパイプが挙示される。こう
して、透光性を有するフィルムないしシート若しくはパ
イプからなるフィルターが製作される。もちろん、マス
ターパウダーを用いないで、顆粒状カラー、潤性カラ
ー、マスターバッチ、ペ−ストカラー、リキッドカラ
ー、着色コンパウンド等を用いて製作しても良い。
【0021】フィルターの一つの使用形態として、黄系
統色材及び青系統色材を単一層内に混合状態に含有した
フィルターが挙げられる。かかるフィルターは、黄系統
色材を構成する染料と青系統色材を構成する染料とを同
一の合成樹脂あるいは溶融ガラス内で均一混合してフィ
ルムないしシート若しくはパイプの形状に成形すること
により、製作することができる。
【0022】また、フィルターのもう一つの使用形態と
して、黄系統色材を含む第1層と青系統色材を含む第2
層とを積層状態に含有したフィルムないしシート若しく
はパイプからなるフィルターが挙げられる。かかるフィ
ルターは、例えば、次のようにして製作することができ
る。すなわち、黄系統色材を構成する染料を用いて、黄
系統色材を含む第1層としてのフィルムないしシートを
製作するとともに、青系統色材を構成する染料を用い
て、青系統色材を含む第2層としてのフィルムないしシ
ートを製作する。こうして色材が異なる2種類のフィル
ムないしシートをそれぞれ個別に製作した後、両者を積
層一体化、あるいは重ね合わせることにより、黄系統色
材を含む第1層と青系統色材を含む第2層とを積層状態
に含有したフィルターを構成することができる。あるい
はまた、両者を並行に離間させて配置しても良い。ま
た、黄系統色材を含む第1層や青系統色材を含む第2層
は、フィルムないしシートの形態である必要はなく、パ
イプの形態であっても良く、この場合には、一方のパイ
プ内に他方のパイプを嵌合させる。こうすることで、黄
系統色材を含む第1層と青系統色材を含む第2層とを積
層状態に含有したパイプからなるフィルターが構成され
る。
【0023】ここで、前記第1層は、JIS(日本工業
規格)Z8729において採用されているL* * *
色表系におけるL* が95以上、a* が−16以上16
以下、b* が70以下であることが好ましい。なせなら
ば、L* が95未満では明度(明るさ)が不足する虞が
あり、a* が−16以上16以下の範囲外にあるときに
は、緑色味や赤色味が強く付与されて白色に近付けるこ
とが困難になり、b*が70を超えるときには、黄色味
が強く付与されて白色に近付けることが困難になるから
である。また、b* の下限は限定されるものではなく、
通常、0以上である。
【0024】なお、L* * * の値は、使用する染料
の種類や添加率等により変化することから、その設定
は、例えば、染料の添加率の増減により、行うことがで
きる。
【0025】前記第1層は、例えば、図1に示すような
光線透過率特性を有する。即ち、この第1層は、440
nm以下の波長域の光線透過率が実質的に0%であり、
440〜480nmの波長域の範囲内で透過率が急激に
増加し、480〜700nmの波長域の光線透過率が8
0%以上であるという特性を有している。なお、この第
1層は、黄系統色材としてインドール系の有機染料とマ
トリックスとしてPMMAとを用いて製作されたシート
からなり、同図はこれを分光光度計にて測定したもので
ある。
【0026】一方、前記第2層は、500〜600nm
の波長域の光線透過率における最低値が40〜90%の
範囲内であることが好ましい。すなわち、500〜60
0nmの波長域は、人の目に対して黄色味を感じさせる
ところであるから、かかる波長域の光線透過率における
最低値が90%を超えると、黄色味を感じさせる波長域
の透過量が多くなり過ぎて黄色味が多く残存してしまう
虞があり、一方、40%未満では、透過量が少なくなり
過ぎて全体の光量が不足してしまう結果、暗くなって作
業環境に適さなくなる虞があるからである。
【0027】なお、500〜600nmの波長域の光線
透過率の最低値は、使用する染料の種類や添加率等によ
り変化することから、その設定は、例えば、染料の添加
率の増減により、行うことができる。
【0028】前記第2層は、例えば、図2に示すような
光線透過率特性を有する。同図は、有機染料の添加量が
異なる2種類の第2層(イ)(ロ)の光線透過率特性を
示している。この2種類の第2層(イ)(ロ)は、いず
れも500〜620nmの波長域に吸収バンドがあり、
500〜600nmの波長域の光線透過率における最低
値が40〜70%の範囲内にあり、かつ400〜500
nmの波長域及び620〜700nmの波長域でともに
透過率が70%以上であるという特性を有している。な
お、これら第2層(イ)(ロ)は、いずれも青系統色材
として有機染料とマトリックスとしてPMMAとを用い
て製作された、有機染料の添加量が異なる2種類のシー
トからなり、同図はこれらを分光光度計にて測定したも
のである。
【0029】而して、この発明に係るフィルターは、蛍
光ランプ、水銀ランプ、白熱ランプ、ハロゲンランプ、
メタルハライドランプ等、光源色が白色の各種照明光源
に用いられ、あるいは半導体工場クリーンルームのよう
な感光性材料を取り扱う部屋に用いられるいわゆるイエ
ローランプと呼ばれる感光性材料取扱い室作業用照明光
源に用いられるものである。これら照明光源のうち、例
えば、白色(昼白色、昼光色、温白色を含む)の直管蛍
光ランプに使用する場合には、図3に示すように、蛍光
ランプ(1)のガラス管(2)に、その全外周面を覆う
ように、黄系統色材を構成する染料を用いて製作された
第1パイプ(5)を、外嵌状態に嵌合させるとともに、
この第1パイプ(5)に、その全外周面を覆うように、
青系統色材を構成する染料を用いて製作された第2パイ
プ(6)を、外嵌状態に嵌合させることにより、フィル
ター(4)を構成させることができる。なお、同図中
(3)は、ガラス管(2)の内周面に形成された蛍光体
層である。
【0030】また、第1パイプ(5)は青系統色材を用
いて製作されたもので、第2パイプ(6)は黄系統色材
を用いて製作されたものであっても良いことはもちろん
である。また、このように色材が異なる2種類のパイプ
(5)(6)を組み合わせて用いることは必ずしも必要
ではなく、黄系統色材及び青系統色材を混合状態に含有
しているパイプ(図示せず)を、ガラス管(2)に外嵌
状態に嵌合させても良い。あるいはまた、ガラス管
(2)の外周面あるいは内周面に、黄系統色材及び/又
は青系統色材を含む層を直接、形成しても良い。
【0031】また、フィルターがフィルムないしシート
である場合には、かかるフィルターは、天井等に設けら
れた照明光源の照射口にその全開口部を閉塞する態様に
して取り付けられる。もちろん、フィルムないしシート
を丸めて蛍光ランプ(1)にその外周面を覆う態様に取
り付けても良い。
【0032】以上のようにしてフィルター(4)を取り
付けると、蛍光ランプ(1)から発生した白色の光のう
ち、440nm以下の波長域の光は、黄系統色材によっ
て実質的にカットされ、感光性材料が不本意に感光して
しまうことを防止することができる。また、黄系統色材
によって440nm以下の波長域の光がカットされる
と、その光は、黄色味を帯びたものとなるところ、青系
統色材によって、人の目に対して黄色味を感じさせる5
00〜600nmの波長域の光量が減少するとともに青
色味が付与され、もってフィルター(4)を透過した光
は黄色味が軽減されて白色に近づくものとなる。
【0033】この現象を図4に示すxy色度図を使って
簡単に説明する。黄系統色材によって440nm以下の
波長域の光がカットされた場合、その光の色は、黄系統
色の領域にあり、例えば同図中のp点の位置にあるとす
る。w点は白色の位置である。一方、青系統色材によっ
て付与される光の色は、440nm以上の波長域におけ
る青系統色の領域にあり、例えばq点の位置にあるとす
ると、p点とq点で与えられる二つの色を加色混合則に
基づいて足してできる色、即ちフィルター(4)を透過
した光の色は、p点とq点を結んだ直線(L)上におけ
る例えばr点の位置の色となって、白色(w点)に近づ
く。こうして透過光は黄色味が軽減されて白色に近づ
く。
【0034】なお、r点の位置は、p点とq点の両刺激
和を重みとする天秤のバランス点として決定され、q点
における色の刺激和を適量に設定することにより、r点
をw点の位置、即ち完全に白色の位置に移行させること
ができる。
【0035】このようにして白色に近づいた照明のもと
で、作業が行われ、作業者の精神的疲労を軽減させるこ
とができる等、良好な作業環境が提供される。
【0036】光源となる蛍光ランプ(1)としては、黄
系統色材による440nm以下の波長域の光の吸収と、
青系統色材による500〜600nmの波長域の光の吸
収とによって透過光は明るさが低減してしまうことか
ら、一般の蛍光ランプよりも光束(光量)が多く、かつ
高い透明感と爽やかさを有し、白いものは輝く白色に、
色彩のあるものは色をより美しく引き立てることができ
るという優れた演色性を有するとともに、色鮮やかな自
然な光を出すことのできる3波長型のものを使用するこ
とが好ましい。
【0037】さらに、このフィルター(4)は、次のよ
うな付随的効果を有している。すなわち、このフィルタ
ー(4)は、440nm以下の波長域の光をカットする
ことができるので、趨向性の昆虫が夜間、外灯等の照明
に向かって飛来することを抑制することができるし、室
内の衣料展示商品や壁紙等の色褪せを軽減することがで
きる。したがって、防虫用や色褪せ防止用としても好適
に用いることができる。しかも、その透過光は白色に近
いから、人に不快感を与えることもなく、かつ商品の色
の見えを自然に近くすることのできるフィルター(4)
が提供される。
【0038】さらに、フィルムやシートからなるフィル
ターを部屋の窓ガラスの内面や外面に貼り付けることに
より、窓ガラスから出た光が照明となってこの照明に趨
向性の昆虫が引かれて飛来して窓ガラスの外面に止まっ
たり集まったりすることを抑制することができるという
効果も有している。
【0039】
【実施例】次に、この発明の具体的実施例について説明
する。
【0040】《第1実施例》この第1実施例では、フィ
ルターは、440nm以下の波長域の光をカットする黄
系統色材を含む厚さ1mmのシート(以下、第1シート
という)と、前記黄系統色材と補色関係をなす青系統色
材を含む厚さ0.3mmのシート(以下、第2シートと
いう)とを重ね合わせることにより構成されるものとし
た。
【0041】各第1及び第2シートは、次のようにして
製作されたものである。なお、各第1シートに用いられ
たマトリックスは、PMMAであり、第2シートに用い
られたマトリックスは、ポリカーボネート(帝人化成
(株)製の「パンライト」L1250Z)である。
【0042】<第1シートの製作>黄系統色材として図
1に示す光線透過率特性を有するインドール系の有機染
料である富士写真フイルム(株)製の紫外線吸収用有機
染料「GS−F−2」を用い、該有機染料の添加率が2
%の第1シート(試料No.Y1)と、該有機染料の添
加率が4%の第1シート(試料No.Y2)とを、常法
に従って押出成形にて製作した。かくして得られた2種
類の第1シート(Y1、Y2)のL* * * の値を表
1に示す。なお、L* * * の測定は、ミノルタ
(株)製の分光測色計(測定光源:3波長型昼光色)を
用いて行った。
【0043】
【表1】
【0044】<第2シートの製作>青系統色材として図
2に示す光線透過率特性を有するアントラキノン系の有
機染料である帝人化成(株)製の有機染料「EU901
03」を用い、該有機染料の添加率が0.5%の第2シ
ート(試料No.B1)と、該有機染料の添加率が1.
0%の第2シート(試料No.B2)と、該有機染料の
添加率が2.0%の第2シート(試料No.B3)と
を、常法に従って押出成形にて製作した。かくして得ら
れた3種類の第2シート(B1、B2、B3)の500
〜600nmの波長域の光線透過率における最低値を表
2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】そして、第1シートと第2シートを重ね合
わせて構成させた合計6種類のフィルターを実施例とし
た。一方、第1シートを単独で用いた2種類のフィルタ
ーを比較例とした。そして、照明光源として3波長型蛍
光ランプを用い、肉眼にて各フィルターの透過光の評価
を行った。この結果を表3に示す。同表の評価の欄にお
いて、◎は黄色味が軽減されて白色に極めて近く、かつ
照明として十分な明るさで極めて明るいもの、○は黄色
味が軽減されて白色に極めて近く、かつ照明として十分
な明るさでやや明るいもの、×は黄色味が強いものを示
す。
【0047】
【表3】
【0048】表3から分かるように、実施例1〜6のフ
ィルターを用いた場合には、透過光は黄色味が軽減され
て白色に極めて近くなり、また照明として十分な明るさ
を得ることができる。したがって、実施例1〜6のフィ
ルターは、感光性材料を取り扱う部屋内の照明灯に用い
るフィルターとして、また防虫用や色褪せ防止用のフィ
ルターとして好適であることが分かった。
【0049】《第2実施例》この第2実施例では、フィ
ルターは、440nm以下の波長域の光をカットする黄
系統色材と、この黄系統色材と補色関係をなす青系統色
材とを混合状態に含有する厚さ1mmのシート(以下、
第3シートという)から構成されるものとした。
【0050】この第3シートは、黄系統色材を構成する
インドール系の有機染料と、青系統色材を構成する有機
染料とをPMMA内で均一混合し、常法に従って押出成
形にて製作したものである。
【0051】得られた第3シート(ハ)は、図5に示す
ような光線透過率特性を有する。すなわち、この第3シ
ート(ハ)は、440nm以下の波長域の光線透過率が
実質的に0%であり、440〜480nmの波長域の範
囲内で透過率が急激に増加し、480〜500nmの波
長域及び620〜700nmの波長域の光線透過率が7
0%以上であり、更に500〜620nmの波長域に青
系統色材による吸収バンドがあり、500〜600nm
の光線透過率における最低値が50〜70%の範囲内に
あるという特性を有している。
【0052】そして、この第3シート(ハ)について、
光源として3波長型蛍光ランプを用いて、肉眼にて透過
光の評価を行った。その結果、この第3シート(ハ)を
フィルターとして用いた場合には、上記実施例1〜6の
フィルターと同様に、透過光は黄色味が軽減されて白色
に極めて近くなり、また照明として十分な明るさを得る
ことができ、感光性材料を取り扱う部屋内の照明灯に用
いるフィルターとして、また防虫用や色褪せ防止用のフ
ィルターとして好適であることが分かった。
【0053】
【発明の効果】上述の次第で、この発明に係るフィルタ
ーは、440nm以下の波長域の光線の透過率が0%で
且つ440nmを超える波長域の光線の透過を許容する
黄系統色材と、該黄系統色材と補色関係をなす青系統色
材とを含有していることから、光源から発生した各種波
長の光のうちの440nm以下の波長域の光を黄系統色
材によりカットすることができ、プリント基板の配線板
の金属層表面に被覆される感光性材料が不本意に感光し
てしまうことを防止することができる。また、440n
m以下の波長域の光がカットされると、その光は黄色味
を帯びたものになるところ、黄系統色材と補色関係をな
す青系統色材により、光に青色味が付与されるととも
に、この青色味と黄色味とが加色混合則に基づいて混じ
り合うものとなって、透過光を白色に近づけることがで
きる。したがって、感光性材料を取り扱う室内の照明灯
に適用する場合には、作業者の精神的疲労を軽減させる
ことができる等、良好な作業環境を提供することができ
る。
【0054】加えて、440nm以下の波長域の光をカ
ットすることができるから、趨向性の昆虫が夜間、街灯
等の照明に向かって飛来することを抑制することができ
るし、室内に展示された衣料等の展示商品における色褪
せを軽減することができ、防虫用や色褪せ防止用として
も用いることができる。しかも、その透過光は白色に近
いから、人に不快感を与えることもなく、かつ商品の色
の見えを自然に近くすることができるという効果を奏す
る。
【0055】また、黄系統色材を含む第1層と、青系統
色材を含む第2層とを積層状態に含有しているフィルタ
ーにおいて、前記第1層は、L* * * 表色系におけ
るL* が95以上、a* が−16以上16以下、b*
70以下である場合には、明度(明るさ)が不足する虞
もなく、また赤色味乃至黄色味が強く付与されて白色に
近付けることが難しくなることも防止することができ
る。したがって、より明るい且つより白色に近い照明を
得ることができる。
【0056】加えて、前記第2層は、500〜600n
mの波長域の光線透過率における最低値が40〜90%
の範囲内である場合には、黄色味が多く残存してしまう
虞もなく、また全体の光量が不足して暗くなってしまい
作業環境に適さなくなることも防止することができる。
したがって、より明るい且つより白色に近い照明を確実
に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態の黄系統色材の光線透過
率特性を示す図である。
【図2】この発明の一実施形態の青系統色材の光線透過
率特性を示す図である。
【図3】この発明の一実施形態のフィルターを蛍光ラン
プに取り付けた状態を示す横断面図である。
【図4】この発明の一実施形態のフィルターの作用を説
明するために用いたxy色度図である。
【図5】この発明のもう一つの実施形態のフィルターの
光線透過率特性を示す図である。
【符号の説明】
1…蛍光ランプ 2…ガラス管 3…蛍光体層 4…フィルター 5…第1パイプ 6…第2パイプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 靖 香川県高松市三条町119−2 クレスト 三条502 (56)参考文献 特開 平5−36380(JP,A) 特開 平9−171800(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 61/35 F21V 9/08

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 440nm以下の波長域の光線の透過率
    が0%で且つ440nmを超える波長域の光線の透過を
    許容する黄系統色材と、該黄系統色材と補色関係をなす
    青系統色材とを含有していることを特徴とする透光性フ
    ィルムないしシート若しくはパイプからなる照明光源用
    フィルター。
  2. 【請求項2】 前記黄系統色材を含む第1層(5)と、
    前記青系統色材を含む第2層(6)とを積層状態に含有
    している請求項1項記載の照明光源用フィルター。
  3. 【請求項3】 前記第1層(5)は、L* * * 表色
    系におけるL* が95以上、a* が−16以上16以
    下、b* が70以下である請求項2記載の照明光源用フ
    ィルター。
  4. 【請求項4】 前記第2層(6)は、500〜600n
    mの波長域の光線透過率における最低値が40〜90%
    の範囲内である請求項2又は3記載の照明光源用フィル
    ター。
  5. 【請求項5】 前記黄系統色材と前記青系統色材を単一
    層内に混合状態に含有している請求項1記載の照明光源
    用フィルター。
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