JP3116769B2 - ディーゼルエンジンの蓄圧式燃料噴射装置 - Google Patents

ディーゼルエンジンの蓄圧式燃料噴射装置

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JP3116769B2
JP3116769B2 JP07092712A JP9271295A JP3116769B2 JP 3116769 B2 JP3116769 B2 JP 3116769B2 JP 07092712 A JP07092712 A JP 07092712A JP 9271295 A JP9271295 A JP 9271295A JP 3116769 B2 JP3116769 B2 JP 3116769B2
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    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シリンダ内に燃料を最
適に噴射させるディーゼルエンジンの蓄圧式燃料噴射装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】ディーゼルエンジンは、ピストンにより
圧縮された空気中に燃料(軽油)を噴射させて、同燃料
を圧縮熱で着火し燃焼させて動力を得るエンジンであ
る。こうしたディーゼルエンジンの燃料噴射装置には、
一般に燃料噴射ポンプを用いた構造が用いられている。
【0003】この燃料噴射装置は、燃料フィードポンプ
から送られた燃料を燃料噴射ポンプのプランジャで所定
の高圧にまで高め、この高圧燃料を同燃料噴射ポンプに
より所定の噴射開始時期、所定の燃料噴射量で、シリン
ダに装着されている気筒毎の噴射ノズルへ分配して、各
シリンダへ燃料を噴射させる装置である。
【0004】ところが、燃料噴射ポンプは、コントロー
ルラックとプランジャとを組合わせて燃料の噴射と調量
を行う構造となっているので、かなり外形が大型で重量
がある。しかも、燃料噴射ポンプは、同ポンプの機能を
補うための機器として、負荷変動に応じて燃料噴射量を
加減するガバナ、噴射時期の進角作用を行う油圧式タイ
マなどが装着されているので、かなり構造的にも複雑で
ある。
【0005】燃料噴射装置は、ディーゼルエンジンと共
に車両のエンジンルームに収容される関係から、小型で
あること、軽量であること、さらには構造的に簡素であ
ることが望ましい。
【0006】そこで、種々の問題をもたらす燃料噴射ポ
ンプを用いずに、高圧の燃料を噴射ノズルからシリンダ
へ噴射させることを可能とした蓄圧式燃料噴射装置が提
案されている。
【0007】これには、例えば電磁開閉弁(バルブ装
置)の開閉により燃料噴射が噴射可能な燃料噴射ノズル
と、エンジン駆動される燃料フィードポンプとの間を燃
料通路でつなぎ、この燃料通路に燃料フィードポンプか
ら送られる燃料を所定の圧力にまで蓄圧して噴射ノズル
へ導く蓄圧室を設け、さらにこれらの機器を制御する制
御部を設けた構造が採用されている。
【0008】そして、制御部による電磁開閉弁の開閉制
御にて、設定されているエンジン運転モードに応じ、蓄
圧室からの燃料を、所定の噴射開始時期、かつ所定の燃
料噴射量(噴射終了時期による)で、噴射ノズルから噴
射させるようにしてある。
【0009】ところで、こうした蓄圧式燃料噴射装置
は、燃料噴射量が蓄圧室の圧力によって影響を受けやす
い。そこで、近時では、蓄圧室内の圧力を検知する圧力
センサーを設け、この圧力センサーにて検知される圧力
にしたがい、制御部で、電磁開閉弁の開閉時期を補正制
御ならびに燃料フィードポンプの圧送量を加減制御し
て、所定の燃料噴射量を確保することが提案されてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、こうした蓄
圧式燃料噴射装置によると、確かに燃料噴射ポンプを用
いずに所定の燃料噴射ができるものの、圧力センサーが
故障すると、ディーゼルエンジンのエンスト(エンジン
ストップ)が余儀なくされることがある。
【0011】すなわち、圧力センサーは、定められた出
力信号の範囲内における電圧値を蓄圧タンク内の圧力値
として出力させるものである。このとき、燃料フィード
ポンプの圧送量を低減(あるいは圧送ストップ)の制御
を指令させるために高い圧力を示す電圧値が出力され続
けるという故障が圧力センサーに起きたとする。
【0012】このような故障が発生すると、エンジン運
転中、常に燃料フィードポンプは、誤った出力信号によ
り、噴射圧力を下げるよう、圧送量が抑制され続ける。
すると、蓄圧室から噴射ノズルに導かれる燃料は次第に
減少し、いずれ燃料噴射ノズルは無噴射状態となる。
【0013】これにより、車両に搭載されているディー
ゼルエンジンは、エンスト(エンジンストップ)を起こ
す。しかも、圧力センサーは、依然、燃料フィードポン
プの圧送量を抑制させる信号を出力しているために、再
度、エンジン始動を試みても、エンストは避けられな
い。
【0014】これでは、圧力センサー以外の機器には、
何らの故障がないのにも関わらず、車両の走行は困難と
なる不具合がある。特に、圧力センサーは出力信号の範
囲内でホールドされて故障しているので、エンジン運転
中、圧力センサーが故障しているか否かの判定は難し
く、車両は走行ができなくなるような状態に陥ってしま
う。
【0015】そこで、別途、圧力センサーを設けて、同
センサーによるバックアップ制御することが考えられ
る。しかしながら、一方の圧力センサーが前記のような
故障を起こした場合、2つの異なる信号のどちらが正し
いのかを判断できないために、このようなバックアップ
制御は困難である。
【0016】本発明は上記事情に着目してなされたもの
で、その目的とするところは、圧力センサーが、燃料フ
ィードポンプの圧送量を減じる方向の指令をうながす出
力を続けるよう高い圧力値を示す電圧値にホールドされ
て故障したとき、圧力センサー以外の機器を活用して、
別途、センサー系を追加することなしに、故障によるエ
ンストから運転可能にバックアップさせることができる
ディーゼルエンジンの蓄圧式燃料噴射装置を提供するこ
とにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1に記載した発明は、ディーゼルエンジン運転
中に発生するエンスト時、圧力センサーの検知信号が所
定の値に戻ったか否かを判定する判定手段を設け、戻っ
ていないと判定されたとき、燃料フィードポンプの圧送
量と燃料噴射ノズルの燃料噴射量とで求まる蓄圧室の圧
力を、今まで圧力センサーから出力される圧力値に代え
て置き換えた制御に切換えるモード変更手段を設けたこ
とにある。
【0018】請求項2に記載した発明は、上記目的に加
え、噴射ノズルとバルブ装置回りをコンパクトにするた
めに、請求項1に記載の燃料噴射ノズルを、バルブ装置
が一緒に組込まれたユニットインジェクターから構成し
たことにある。
【0019】請求項3に記載した発明は、上記目的に加
え、圧力センサーが故障であることを報知するために、
請求項1の蓄圧式燃料噴射装置において、エンスト時、
圧力センサーの検知信号が所定の値に戻っていないとき
の判定結果を報知する報知手段を設けたことにある。
【0020】請求項4に記載した発明は、上記目的に加
え、自己診断機能を利用して、故障している部位を教え
るようにするために、請求項3に記載の報知手段に、ダ
イアグノシスランプを採用したことにある。
【0021】
【作用】請求項1に記載した発明によると、ディーゼル
エンジン運転中、蓄圧室の圧力を検知する圧力センサー
において、燃料フィードポンプの圧送量を低減(あるい
は圧送ストップ)させるために高い圧力を示す電圧値が
出力され続けるという故障が発生し、エンジンがエンス
トを起こしたとする。
【0022】すると、判定手段は、このエンスト時、圧
力センサーの検知信号が所定の値、すなわち圧力値0を
示す出力に戻ったか否かを判定する。ここで、圧力セン
サーは、エンストが発生すると、センサー出力が出な
い、圧力値0を示す状態に戻るので、このときの挙動か
ら圧力センサーが正常であるか故障しているものである
のかが判定可能となる。
【0023】つまり、圧力センサーの検知信号が所定の
値であれば、蓄圧室の圧力を検知している圧力センサー
は正常であり、逆にそれ以外の検知信号であれば、同圧
力センサーは故障していると判定される。
【0024】圧力センサーが故障と判定されると、モー
ド変更手段により、今まで圧力センサーから出力される
蓄圧室の圧力値で行われていた制御に代わり、同圧力値
を燃料フィードポンプの圧送量と燃料噴射ノズルの燃料
噴射量とで求まる蓄圧室の圧力値に置き換えた制御に切
換わる。
【0025】すると、燃料フィードポンプは、エンスト
発生時を境に、故障していた圧力センサーによる運転が
解除される。これにより、エンスト後、再びエンジンを
始動すると、それ以降、算出された蓄圧室の圧力にした
がって、燃料フィードポンプの圧送量の加減制御は正し
く行われるようになる。
【0026】つまり、別途、センサーを用いず、圧力セ
ンサー以外の機器を活用して、圧力センサーの故障を補
うバックアップ制御が行われる。それ故、車両の走行性
能が損なわれるのが回避される。
【0027】請求項2に記載した発明によると、燃料噴
射ノズルとバルブ装置とが一体的になるユニットインジ
ェクターの採用によって、噴射ノズルとバルブ装置回り
はコンパクトになる。
【0028】請求項3に記載した発明によると、判定手
段により、圧力センサーが所定の値に戻っていないと判
定されるとする。すると、報知手段は、その判定結果を
報知し、圧力センサーが故障であることを報知し、修理
を促す。
【0029】請求項4に記載した発明によると、ダイア
グノシスランプの作動により、自己診断機能を利用し
て、故障している部位を直ちに教えて、業者に同部位に
ある圧力センサーの交換などの修理を促せるようにな
る。
【0030】
【実施例】以下、本発明を図1および図2に示す一実施
例にもとづいて説明する。図1は、本発明を適用した車
両に搭載されるディーゼルエンジンの蓄圧式燃料噴射装
置を示し、図中1は高圧フィードポンプ(燃料フィード
ポンプに相当)である。
【0031】高圧フィードポンプ1には、ディーゼルエ
ンジンの出力で駆動されるカム2でプランジャ3を往復
駆動させて、燃料タンク4内の燃料(軽油)を高圧で圧
送するポンプが用いられている。なお、6は高圧フィー
ドポンプ1の吐出通路部分1aに設けられた吐出弁であ
る。
【0032】また高圧フィードポンプ1の吸込通路部分
1bには、吐出量制御電磁弁7が組込まれていて、この
吐出量制御電磁弁7の作動によってポンプ吐出量が可変
できる構造にしてある。
【0033】一方、図中8はディーゼルエンジンのシリ
ンダヘッド9に装着されたユニットインジェクターであ
る。ユニットインジェクター8は、先端側に燃料噴射ノ
ズル10が組込まれ、基端側に噴射制御電磁弁11(バ
ルブ装置に相当)が組込まれている。
【0034】燃料噴射ノズル10は、インジェクター本
体12の先端側に、油圧ピストン13で閉じる方向に規
制可能としたノズルニードル14を組込んで、ディーゼ
ルエンジンのシリンダ15に臨んでいる噴孔16を開閉
する構造にしてある。なお、17はノズルニードル14
のテ−パ部14aとユニットインジェクター8の燃料入
口18との間を連通する通路、35はシリンダ15内を
往復動するピストンをそれぞれ示す。
【0035】噴射制御電磁弁11は、例えばインジェク
ター本体12の基端側に、油圧ピストン13の基端側に
向う流路19aと、燃料入口18から燃料タンク4へ至
るリーク路19bとで形成される三方の流路19を形成
し、この流路19の交わる部分にソレノイド駆動の弁体
20を組込んだ三方電磁弁が用いてある。
【0036】この噴射制御電磁弁11は、例えば燃料入
口18側と流路19aとの間が開、リーク路19bが閉
となる第1の切換位置と、燃料入口18側が閉、流路1
9aとリーク路19bとの間が開となる第2の切換位置
との間を開閉動作するものである。そして、常時は、弁
体20は第1の切換位置に位置決められ、ソレノイド2
1が励磁されると第2の切換位置に切換わるようにして
ある。
【0037】この噴射制御電磁弁11の第1の切換位置
にて、油圧ピストン13の動きを規制して、ノズルニー
ドル14が変位しないようにしてある。また噴射制御電
磁弁11の第2の切換位置にて、油圧ピストン13、ノ
ズルニードル14の規制を解除し、通路17を流れる燃
料がノズルニードル14を押し上げて、噴孔16からシ
リンダ15内へ噴射されるようにしてある。
【0038】なお、流路19aと油圧ピストン13の基
端部との間には、ノズルニードル14の動作特性を設定
するための、付勢バルブ22と噴射率調整オリフィス2
3とを並列に組んだ調整回路24が設けてある。
【0039】また、このユニットインジェクタ−8の燃
料入口18と上記高圧フィードポンプ1の吐出通路部分
1aとの間をむすぶ燃料通路5には、蓄圧タンク25
(蓄圧室に相当)が介装されている。
【0040】燃料入口18とつながる蓄圧タンク25の
出口部には、フローリミッタ−26が設けられ、燃料噴
射に必要な圧力にまで高圧に蓄圧された燃料だけをユニ
ットインジェクタ−8へ導けるようにしている。なお、
蓄圧タンク25には、上限の圧力を越えたとき、蓄熱タ
ンク25内から燃料を燃料タンク4へ導出させるための
プレッシャーリミッター27が設けてある。
【0041】また蓄熱タンク25には、同タンク内25
の圧力(蓄圧された燃料の圧力)を検知するための圧力
センサー28が設けてある。この圧力センサー28は、
吐出量制御電磁弁7および噴射制御電磁弁11と共に、
制御部となるECU29(マイクロコンピュータおよび
その周辺機器よりなる)に接続されている。
【0042】またECU29は、その他、キースイッチ
30、アクセル開度センサー31、気筒判別センサー3
2、エンジン回転数&カム角度センサー33(以下、E
/Gセンサー33と称す)、ダイアグノシスランプ34
(報知手段)が接続してある。
【0043】このECU29には、例えば予めエンジン
運転モード、同モードに対応した燃料噴射量、同モード
に対応した圧送量が設定されている。またECU29に
は、各アクセル開度センサー31、気筒判別センサー3
2、E/Gセンサー33の情報にしたがい、所定の噴射
開始時期に、燃料が所定の燃料噴射量(噴射終了時間で
定まる)で噴射されるよう、噴射量制御電磁弁11へ噴
射制御パルスを出力する機能が設定されている。
【0044】ECU29には、蓄圧タンク25の圧力に
影響されずに所定の燃料噴射量が確保されるよう、圧力
センサー28にて検知される圧力に応じて、噴射制御電
磁弁11の開閉時期を補正する機能が設定されている。
【0045】さらにECU29には、蓄圧タンク25内
の圧力が一定になるよう、圧力センサー28で検知され
る圧力にしたがい吐出量制御電磁弁7の開閉を補正する
機能(高圧フィードポンプ1の圧送量の加減)が設定さ
れている。
【0046】加えて、ECU29には、噴射制御電磁弁
11の設定燃料噴射量(通電時間)と吐出制御電磁弁7
の設定圧送量(通電時期)とから、一定容積の蓄圧タン
ク25内の圧力を算出する機能が設定されている。
【0047】またこれに加えて、ECU29には、キー
スイッチ30がオンでエンストしたときを検知する機
能、このエンスト時、圧力センサー28の出力を検知し
て同センサー28の出力が0(所定の値)になったか否
かを判定する機能(判定手段に相当)、同センサー出力
が0でないとき、上記算出した蓄圧タンク25の圧力値
を、圧力センサー28から出力される圧力値に置き換え
てそのまま噴射制御電磁弁11の補正制御ならびに吐出
量制御電磁弁7の開閉制御を行わせる機能(モード変更
手段に相当)がそれぞれ設定されている。
【0048】これらの機能によって、高い圧力を示す電
圧値が出力され続けるという圧力センサー28の故障が
もたらすエンストを解消するバックアップ制御、すなわ
ちディーゼルエンジンの運転を再開させることが可能な
制御を成立させている。
【0049】この圧力センサー28の故障によるバック
アップ制御のフローチャートが、図2に示されている。
つぎに、図2に示すフローチャートを参照してバックア
ップ制御を説明することにする。
【0050】ここで、通常の制御は以下のようになる。
すなわち、ステップS1のようにキースイッチ30をオ
ンして、ディーゼルエンジンの始動をする。これによ
り、高圧フィードポンプ1は駆動される。
【0051】このとき、吐出量制御電磁弁7の開閉時期
(通電時期)は、ECU29の指令によりエンジン運転
モードに応じて所定に設定されているから、高圧フィー
ドポンプ1から吐出された燃料タンク4からの燃料は所
定の圧送量で蓄圧タンク25に圧送される。
【0052】一方、ECU29は、ステップS2に示さ
れるようにアクセル開度センサー31、気筒判別センサ
ー32、E/Gセンサー33からの信号出力を読み取っ
ている。
【0053】すると、ECU29からは、これら信号出
力で読み取られるエンジン運転モードの燃料噴射量に応
じた噴射制御パルスがソレノイド21に出力され、噴射
制御電磁弁11を設定燃料噴射開始時期となる所定の時
期に、設定燃料噴射時間となる所定通電時間の間、第1
の切換位置から第2の切換位置へ切換える。
【0054】これにより、蓄圧タンク25で蓄圧されて
高圧となった燃料は、テーパ部14aを押上げ(ノズル
ニードル14の上方への変位)、さら同押上げによって
開放する噴孔16からシリンダ15内へ所定量、噴射さ
れる。
【0055】こうした燃料噴射により、ディーゼルエン
ジン9は運転される。このエンジン運転時、蓄圧タンク
25内の圧力は圧力センサー28で検知されていて、燃
料消費により蓄圧タンク25内の圧力が、設定燃料噴射
量を規定している圧力よりも低くなると、ECU29
は、圧力値の差分、噴射制御電磁弁11の通電時間を長
くするように補正制御し、不足する燃料噴射量を補う
(ステップS3)。
【0056】また蓄圧タンク25内の圧力が所定圧力以
下となると、ECU29の指令によって、圧力値の差
分、吐出制御電磁弁7の開閉時期(通電時期)を圧送量
が増加する側にずらし、低下する蓄圧タンク25の圧力
を補う(ステップS4)。
【0057】こうした制御により通常制御が行われ、デ
ィーゼルエンジンは車両の走行状態に応じて、所定に運
転される。このとき、蓄圧タンク25の圧力を検知する
圧力センサー28において、例えば高速フィードポンプ
1の圧送量を低減(あるいは圧送ストップ)させるため
の高い圧力を示す電圧値が出力され続けるという故障が
発生したとする(圧力センサー28が高圧力信号を発生
する側でホールドされた故障)。
【0058】こうした故障が発生すると、ECU29か
ら吐出制御電磁弁7へには、圧送量を下げる制御信号が
出力され続ける。つまり、ECU29では、圧力センサ
ー28からの誤った信号出力により、噴射圧力を下げる
よう、高速フィードポンプ1の吐出圧を抑制させるとい
う、誤った制御が行われ続ける。
【0059】これにより、ディーゼルエンジンを動力と
している車両は、この制御により、燃料噴射ノズル10
が、いずれ燃料が噴射されない状態、すなわち無噴射状
態となって、エンスト(エンジンストップ)に至る。
【0060】エンストが発生すると、ステップS5、ス
テップS6に進み、ECU29はエンストが圧力センサ
ー28の故障によるものか否かを判断する。すなわち、
ディーゼルエンジンがエンストしたとすると、まず、E
CU29は、エンスト時、圧力センサー28からの検知
信号が所定の値に戻ったか否か、すなわち圧力センサー
28の検知信号が圧力値0を示す出力に戻ったか否かを
判定する。
【0061】これは、車両に搭載されたエンジンがエン
ストを起こすと、圧力センサー25はセンサー出力が出
ない、すなわち圧力値0を示す状態に戻るので、このと
きの挙動を利用して圧力センサー25が正常であるか故
障しているかを判定するものである。
【0062】つまり、圧力センサー25の検知信号が圧
力値0であれば、蓄圧タンク25に在る圧力センサー2
5は正常で、逆にそれ以外の検知信号であれば、同圧力
センサー25は故障していると判定される。
【0063】エンストが圧力センサー28の故障による
ものと判定されると、ECU29は、ダイアグノシスラ
ンプ34を点灯させ、自己診断機能を利用して、圧力セ
ンサー25が故障であることを運転者に知らせる(ステ
ップS7)。
【0064】またECU29は、高圧フィードポンプ1
の圧送量を定めている吐出量制御電磁弁7の通電時期
と、燃料噴射ノズル10の燃料噴射量を定めている噴射
制御電磁弁10の通電時間とから、一定容積の現在の蓄
熱タンク25内の圧力を算出する(ステップS8)。
【0065】ついで、ECU29は、この算出された蓄
圧タンク25の圧力値を、圧力センサー28から出力さ
れる圧力値に対し置き換えた制御に切り換わる。すなわ
ち、燃料噴射装置は、今までの圧力センサー28から出
力される蓄圧タンク25の圧力値で行われていた制御に
代わり、高圧フィードポンプ1の圧送量と燃料噴射ノズ
ル10の燃料噴射量とで求まる蓄圧タンク25の圧力値
に置き換えた制御モードに変更される。
【0066】これにより、故障していた圧力センサー2
8は、エンスト発生時を境に、燃料噴射装置の制御系か
ら切り離される(圧力センサー28による高速フィード
ポンプ1の運転の解除)。と同時に燃料噴射装置の制御
系には、圧力センサー28を用いなくとも、同圧力セン
サー28が在るときと同様、シリンダ15内への燃料噴
射が行われる制御が確立される。
【0067】これは、別途、圧力センサーを追加するこ
となしに、エンストからエンジン運転を所定に再開させ
ることが可能になったことを意味する。したがって、再
びエンジンを始動すれば、算出された蓄圧タンク25の
圧力にしたがい、高圧フィードポンプ1の圧送量の加減
制御、燃料噴射ノズル10の燃料噴射量(開閉時期)の
補正制御が正しく行われて、ディーゼルエンジンは運転
される。
【0068】すなわち、ディーゼルエンジンは、圧力セ
ンサー28以外の機器を活用して行われる、圧力センサ
ー28の故障を補う制御、つまりバックアップ制御に
て、運転モードにしたがい運転されるようになる。
【0069】それ故、再び無噴射状態が要因でエンスト
を繰り返すという不都合はなくなり、圧力センサー28
の故障によって、無用に車両の走行性能が損なわれるの
をなくすよう、バックアップすることができる。
【0070】しかも、燃料噴射ノズル10と噴射制御電
磁弁11とを組込んで一つにしたユニットインジェクタ
ー8の採用により、燃料噴射ノズル10と噴射制御電磁
弁11回りをコンパクトにすることができる。
【0071】そのうえ、圧力センサー28の故障を報知
する構造の採用によって、エンスト後、直ちに運転者に
その旨を報知して、圧力センサー28の故障に対する修
理を促すことができる。特にダイアグノシスランプ34
を点灯させて、圧力センサー28の故障を報知する構造
は、車両が備えている自己診断機能を利用して、圧力セ
ンサー28が故障であることを知らせて、修理工場など
において直ちに業者に故障している部位を教え、速やか
に同部位の在る圧力センサー28の交換などの修理を促
すことができる。
【0072】なお、本発明は、ユニットインジェクター
を用いた蓄圧式燃料噴射装置に適用したが、これに限ら
ず、燃料噴射ノズルと噴射制御電磁弁とがそれぞれ別体
をなして離れているような蓄圧式燃料噴射装置に適用し
てもよい。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載の発
明によれば、圧力センサーが、燃料フィードポンプの圧
送量を減じる方向の指令をうながす出力を続けるよう高
い圧力値を示す電圧値にホールドされて故障したとき、
圧力センサー以外の機器を活用して、別途、センサー系
を追加することなしに、故障によるエンストから運転可
能にバックアップさせることができる。
【0074】この結果、再び無噴射状態が要因でエンス
トを繰り返すという不都合を解消することができ、圧力
センサーの故障によって、無用に車両の走行性能が損な
われるのをなくすよう、バックアップすることができ
る。
【0075】請求項2に記載の発明によれば、上記請求
項1の発明の効果に加え、燃料噴射ノズルとバルブ装置
とが一体的になるユニットインジェクターにより、噴射
ノズルとバルブ装置回りをコンパクトにすることができ
る。
【0076】請求項3に記載の発明によれば、上記請求
項1の発明の効果に加え、圧力センサーが故障であるこ
とを報知することができる。請求項4に記載の発明によ
れば、上記請求項3の効果に加え、自己診断機能を利用
して、故障している部位を直ちに教えて、業者に同部位
にある圧力センサーの交換などの修理を促すことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例となるディーゼルエンジンの
蓄圧式燃料噴射装置を説明するための図。
【図2】同蓄圧燃料噴射装置の制御を説明するためのフ
トーチャート。
【符号の説明】
1…高圧フィードポンプ(燃料フィードポンプ)
5…燃料通路 7…吐出量制御電磁弁 8…ユニットインジェ
クター 10…燃料噴射ノズル 11…噴射制御弁(バ
ルブ装置) 16…噴孔 25…蓄圧タンク(蓄
圧室) 28…圧力センサー 29…ECU(判定手
段,モード変更手段) 34…ダイアグノシスランプ(報知手段)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 41/22 - 41/38 F02D 45/00 F02M 47/00 - 47/02 F02M 51/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料フィードポンプと、バルブ装置の開
    閉により所定時期に所定燃料噴射量の燃料噴射が可能な
    燃料噴射ノズルとの間をむすぶ燃料通路に、前記燃料フ
    ィードポンプからの燃料を所定圧に蓄圧して前記燃料噴
    射ノズルへ導く蓄圧室を有し、かつ前記蓄圧室内の圧力
    を検知する圧力センサーを有し、この圧力センサーの検
    知信号に応じて、前記燃料フィードポンプの圧送量を加
    減制御してなるディーゼルエンジンの蓄圧式燃料噴射装
    置において、 ディーゼルエンジン運転中に発生するエンスト時、前記
    圧力センサーの検知信号が所定の値に戻ったか否かを判
    定する判定手段と、 前記戻っていないと判定されたとき、前記燃料フィード
    ポンプの圧送量と前記燃料噴射ノズルの燃料噴射量とに
    より求まる蓄圧室の圧力値を、前記圧力センサーから出
    力される圧力値に置き換えた制御に切換えるモード変更
    手段と、 を具備してなることを特徴とするディーゼルエンジンの
    蓄圧式燃料噴射装置。
  2. 【請求項2】 前記燃料噴射ノズルは、前記バルブ装置
    が一緒に組込まれたユニットインジェクターから構成し
    てなることを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエ
    ンジンの蓄圧式燃料噴射装置。
  3. 【請求項3】 前記圧力センサーの検知信号が所定の値
    に戻っていないときの判定結果を報知する報知手段を有
    していることを特徴とする請求項1に記載のディーゼル
    エンジンの蓄圧式燃料噴射装置。
  4. 【請求項4】 前記報知手段は、ダイアグノシスランプ
    であることを特徴とする請求項3に記載のディーゼルエ
    ンジンの蓄圧式燃料噴射装置。
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