JP3115642B2 - 人工骨材 - Google Patents
人工骨材Info
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Description
る病巣を掻爬後の欠損部や自家骨移植後の欠損部への補
填材として新規な材料を提供する。また、歯科治療にお
いては歯髄炎や虫歯の治療等により抜髄腔に補填するた
めの根充剤などとして好適に使用される人工骨材に関す
る。
材などの人工骨材としては、ヒドロキシアパタイトセラ
ミックス、リン酸3カルシウムセラミックス、リン酸カ
ルシウム系ガラスなどが実用化あるいは動物実験で使用
されている。また、人工骨材のうち骨補填材としては、
これらの材料の顆粒体が用いられている。このような顆
粒体は、生体内に埋入された後、顆粒体を核として、そ
の表面に新生骨が生長し、骨化する。
人工骨材にあっては、骨の欠損部等に補填した後、新生
骨の形成速度が遅く、完全に骨化せずに残存することに
なり、この点で改良の余地があった。本発明は上記事情
に鑑みてなされたもので、骨の欠損部に補填した際に、
新生骨の形成速度が速く、早期に新生骨が形成される優
れた骨補填材や歯科用補填材などの人工骨材を提供する
ことを目的としている。
ン酸カルシウム化合物を骨補填材として用いた場合の各
材料の新生骨形成状態について鋭意研究を重ねた結果、
第2リン酸カルシウム、第8リン酸カルシウムおよび非
晶質リン酸カルシウムの各化合物を骨補填材として用い
た場合、ヒドロキシアパタイトに比べて新生骨形成速度
が格段に速いことを知見した。
酸カルシウムおよび非晶質リン酸カルシウムを骨欠損部
などの生体内に埋入した場合、各化合物は速やかにヒド
ロキシアパタイトに変換されること、およびこれらを生
体内に埋入すると糖鎖を含む非コラーゲン性蛋白質が集
合し、この蛋白質により新生骨の形成が促進されること
を知見し、本発明を完成させた。
ム、第8リン酸カルシウムおよび非晶質リン酸カルシウ
ムのうちから選ばれる1種以上からなるヒドロキシアパ
タイト前駆体(以下、HA前駆体と略記する。)のみを
成分とし、硬化剤を使用せず、生体内に埋入されてヒド
ロキシアパタイトに変換され、骨化するとともに、生体
内の骨形成促進因子である、糖鎖を含む非コラーゲン性
蛋白質との親和性を有することを特徴とする人工骨材に
よって、上記課題を解消した。
数の液体を混合して導出する溶液混合器を用い、該混合
器内にカルシウム塩溶液とリン酸溶液あるいはリン酸溶
液とアルカリ溶液とをそれぞれ導入して反応させ、生成
した反応生成物を導出口から取り出す方法によって製造
したものが好適に用いられる。
係わる人工骨材は、第2リン酸カルシウム、第8リン酸
カルシウムおよび非晶質リン酸カルシウムのうちから選
ばれる1種以上からなるヒドロキシアパタイト前駆体の
みを成分とし、硬化剤を使用しないものである。
使用しない人工骨材は、その使用目的に応じて種々の形
状に成形して使用される。また、他のセラミックス製骨
材や金属製骨材の表面の被覆材としても用いることも可
能である。
なわち骨腫瘍や骨髄炎等による病巣を掻爬後の欠損部や
自家骨移植後の欠損部への補填材、あるいは歯科治療に
おいて、歯髄炎や虫歯の治療等により抜髄腔に補填する
ための根充剤などとして用いる場合には、粒径0.1mm〜
数mmの顆粒状に整粒して使用することが望ましい。
いた場合には、この人工骨材は比較的速やかにヒドロキ
シアパタイト(HAと略記する)に変換されるととも
に、人工骨材の周囲に新生骨が速やかに形成される。こ
の新生骨の形成作用については、次のように考えられ
る。
内骨化と、既存の軟骨支柱内に骨が形成される軟骨内骨
化に区別されている。これらの2種の骨形成は本質的に
同じである。これらの骨化過程は、いずれも骨芽細胞に
より線維性コラーゲンと一部非コラーゲン性蛋白質およ
び無機成分であるHAからなる骨が形成される。体液中
のカルシウム、リン酸イオンがリン酸カルシウムとして
沈着することを石灰化と呼んでいるが、この石灰化のプ
ロセスは十分に解明されていない。
10(PO4)6(OH)2)組成(Ca/Pのモル比=
1.67)よりもCaが欠損した状態で存在することが
知られている。これはCa欠損型HA(Ca−defi
cient HA;Ca10-xHx(PO4)6(OH)2
-x 0≦x≦2)と称される。
ルシウム(CaHPO4;DCPと略記する)、第8リ
ン酸カルシウム(Ca8H2(PO4)6・5H2O;OCP
と略記する)および非晶質リン酸カルシウム(Ca
3(PO4)2・nH2O;ACPと略記する)などの前駆
物質を経由した場合に形成されると考えられている。従
って、生体内での生理的骨形成過程においても、DC
P,OCP,ACPなどの前駆物質が初めに形成され、
その後これらがHAに転換していく過程も考えうる。
Pが骨形成にどのように関与するかを、比較物質として
Ca欠損型HAおよびHAを用いて実験を行なった。そ
の詳細については、後述する実施例にて述べるが、各化
合物をマウスの骨の付近に埋入し、数週間ごとに摘出し
て骨組織の観察を行なった結果、各化合物によって新生
骨が形成される速度に有意の差が認められ、生体骨の成
分であるCa欠損型HAおよびHAよりも、DCP,O
CP,ACPの方が骨形成が速いことが確認された。ま
た、DCP,OCP,ACPの各化合物とも、生体内に
埋入後、比較的速やかにHAに転換していた。
質で占められている。さらに、この時期に検出される蛋
白質は、レクチンの1種である、Maclurapom
ifera aggulitinin(以下、MPAと
略記する)と特異的に反応する。このMPA結合性蛋白
は骨形成が進むにつれ消失していく。従って、骨形成初
期には、このMPA結合性蛋白質は重要な役割を有して
いるものと考えられる。
ら分泌されたものかあるいは体液性のものであるが、現
時点では不明である。また、その生理学的機能を推定し
てみると、新生骨の形成促進因子として作用するもので
ある。しかし、このMPA結合性蛋白質の新生骨形成促
進作用は、従来より骨形成因子として知られているBM
P(Bone Morphogenic Protei
n)のように、未分化間葉系細胞を軟骨細胞に分化させ
る(これは、その後石灰化し、結局骨芽細胞によって骨
が形成される。)といった類の機能ではなく、骨を形成
しようとする骨芽細胞自体に働きかけ、新生骨の形成を
促進させる作用を有しているものと推測される。
クチンの一種である。レクチンは複合糖質の特定の糖鎖
残基と結合する蛋白質または糖蛋白質である。従って、
ここではMPAを特定の蛋白質(新生骨の形成促進因子
である非コラーゲン性蛋白質)を検出するためのプロー
ブとして用いているのであり、MPAは生体内成分では
ない。
の使用方法を例示するものである。図1の例では、骨腫
瘍や骨髄炎等による病巣を掻爬した後の骨1の欠損部2
に、HA前駆体を主体とする顆粒状の補填材3(人工骨
材)を補填する場合である。また、図2の例は歯髄炎や
虫歯の治療等により空けられた抜髄腔4に、顆粒状に整
粒したHA前駆体を主体とする根充剤5を補填し、その
上にセメント6を充填して細菌混入防止のために抜髄腔
を閉塞する場合である。なお、図2において符号7はエ
ナメル質、8は象牙質、9は歯肉、10は歯槽骨であ
る。
骨欠損部に埋入された場合に、骨組織形成の核となり、
HAに比べ、早期に新生骨を形成することができるとい
う顕著な効果を奏する。また、従来のHAでは長期間体
内に存在してしまうが、HA前駆体を用いた人工骨材で
は、骨欠損部に埋入後、短期間で生体骨と組成が同一な
HAに変換するので、生体内での骨形成に近い新生骨形
成プロセスとなる。したがって安全性の面でも従来品よ
りも優れている。
一例を説明する。図3はHA前駆体を製造するのに好適
に使用される三流管を示すものである。この三流管11
は、3つの供給口A,B,Cと、これらの供給口から供
給された溶液を混合して流出させる流出口Dを備えた管
路からなっている。
P,OCPおよびACP)を製造するには、3つの供給
口A,B,Cのうちの第1の供給口に、カルシウム含む
溶液を供給し、また、第2の供給口にリン酸を含む溶液
を供給し、また第3の供給口に純水あるいはアルカリ溶
液を一定速度で供給し、三流管11内で混合して流出口
Dから混合液を取り出し、容器に入れ一定時間放置して
沈澱を熟成させた後にろ別するか、もしくは三流管内で
混合した直後に沈澱を生成する場合には、三流管11の
流出口Dから流出した沈澱を含む流出液を直接ろ過す
る。得られた沈澱は洗浄、乾燥される。このとき三流管
11内に供給する溶液のCa/Pのモル比は、OCPの
場合を除いて、製造すべきHA前駆体のCa/Pのモル
比に合わせておく。また、三流管11に供給する各溶液
の液温は、所定温度に調温しておくことが望ましい。
ルシウム材料としては、硝酸カルシウム(Ca(N
O3)2・4H2O)、酢酸カルシウム(Ca(CH3CO
O)2・H2O)などの水溶性カルシウム塩である。ま
た、リン酸材料としては、リン酸水素2アンモニウム、
リン酸2水素ナトリウム、などの種々のリン酸塩が使用
可能である。さらに、アルカリ溶液としては、アンモニ
ア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが好適に
使用される。
や単純な混合法などの従来のリン酸カルシウム系化合物
の製造方法に比べ、合成時間を短くできる。また、滴下
法のようなスケールアップの影響が少ない等の利点があ
る。
いた製造方法の他に従来より公知のリン酸カルシウム系
化合物合成方法を用いて製造することも可能である。H
A前駆体の製造に好適に用いられる従来法を次に示す。
E.D.,Gillessen,I.H.,Posne
r,A.S.(1965) Intermediate
states in the precipitat
ion of hydroxyapatite.Nat
ure,208,365−367.)
E.D.(1970) Thermochemical
studies on amorphous cal
cium phosphate.Calcif.Tis
sue Res.,5,133−145
os,R.Z.(1985)Preparation
ofoctacalcium phospfate(O
CP);A direct fast method.
Calcif.Tissue Int.,37,19
4−197.)
o,E.C.,Gregoly,T.M.,Brow
n,W.E.(1968)Preparationan
dsolubility of hydroxyapa
tite.J.Res.Nat.Bur.Stan
d.,70A,773−782.
料としてHAおよびCa欠損型HAをそれぞれ作製し
た。
PO4)の製造 三流管法により製造した。1モルの硝酸カルシウム4水
塩(Ca(NO3)2・4H2O)の水溶液1360ml、1モル
のリン酸水素2アンモニウム((NH4)2HPO4)水溶
液1360ml、純水680mlを、45℃の一定温度にして、図3
に示す三流管の各々の供給口から20分で流出させた。合
成後、沈澱物を含む混合液をビーカーに導き、45℃、60
0r.p.m.で30分熟成した。この後、ろ過、洗浄して120℃
で乾燥させた。
H2(PO4)6・5H2O)の製造 LeGeros(1985)の方法に基づいて製造し
た。0.04モルのリン酸2水素ナトリウム2水塩(NaH
2PO4・2H2O)溶液250mlを、67.5℃、400r.p.m.で攪
拌しているところに、0.04モルの酢酸カルシウム(Ca
(CH3COO)2・H2O)溶液250mlを60分で滴下しO
CPの沈澱を合成した。滴下終了後、400r.p.m.,67.5
℃で30分熟成し、ろ過、洗浄、乾燥させた。
3(PO4)2・nH2O)の製造 Eanesら(1965)の方法に基づいて製造した。
1.5モルの硝酸カルシウム4水塩(Ca(NO3)2・4H
2O)と、0.1モルのアンモニアとの混合溶液4800mlを25
℃とし、300r.p.m.で攪拌しながら1モルのリン酸水素
2アンモニウムと6.3モルのアンモニアとの混合溶液480
0mlを一気に投入し、投入後、直ちにろ過し、アセトン
で洗浄、室温乾燥後、さらに120℃で乾燥させた。
10(PO4)6・(OH)2)の製造 Moreno(1968)の方法を基に三流管法により
製造した。1.7モルの硝酸カルシウム4水塩溶液2500m
l、1モルのリン酸水素2アンモニウムと0.2モルのアン
モニアとの混合液2500ml、0.9モルのアンモニア水溶液1
250mlを45℃の一定温度とし、三流管に供給して30分で
全量を流出させて合成した。沈澱物はのDCPと同様
に処理した。
O4)6(OH)2-x 0≦x≦2)の製造 Eanes(1970)の方法を基に三流管法で製造し
た。1.5モルの硝酸カルシウム4水塩溶液1500ml、1モ
ルのリン酸水素2アンモニウム溶液1500ml、1.1モルの
アンモニア水溶液750mlを45℃の一定温度とし、3液を3
0分で流出させて合成した。以下、DCPと同様に熟
成、洗浄、乾燥させた。
よびACPは、三流管法以外の方法で製造した材料を
動物実験用に用いたが、これらOCPおよびACPを三
流管法で製造し、およびで得られた材料と比較した
結果、三流管法を用いてものOCP(LeGeros
(1985)の方法)およびのACP(Eanesら
(1965)の方法)と同様の材料が得られた。
2O)を全量1500mlとした水溶液、0.16モルのリン酸2
水素ナトリウム2水塩を全量1500mlとした水溶液、純水
1000mlの3液を、70℃に加温し、図3に示す三流管の各
々の供給口から15分で導入した。得られた沈澱物は70
℃、15分の熟成後、ろ過し、再び沈澱を純水中に分散
し、ろ過した後、120℃で乾燥させた。
液、リン酸水素2アンモニウム0.083モルを全量270mlと
した水溶液、アンモニア水0.6モルを全量270mlと
した水溶液の3液を、三流管の各々の供給口から供給し
1分間で流出させ、直ちに沈澱をろ別した後、沈澱物を
1リットルのアセトン中にホモミキサーで分散させ、ろ
過し、この工程をもう1回繰り返した。これを室温で乾
燥させた。
CP、OCP(LeGerosの方法)、ACP
(Eanesらの方法)、OCP(三流管法)、A
CP(三流管法)の比表面積値を測定した。結果を表1
に示した。
した。この結果を図4(DCP)、図5(OCP)、図
6(ACP)に示した。これらの結果から明らかなよう
に、LeGerosの方法で製造したOCPと三流管法
で製造したOCP、Eanesらの方法で製造したAC
Pと三流管法で製造したACPは、同様な物性値を持
ち、X線回折のパターンが同一であることが確認され
た。
の各材料(DCP、OCP、ACP、HA、
Ca欠損型HA)を用いた。各材料は、ICP分析とX
線回折により、各々の化合物であることを確認した。各
材料の乾燥品は軽く粉砕して16〜32メッシュに整粒
してインプラントを作製した。
後、7週令雄BALB/cマウスの頭頂骨骨膜下へ無菌
的に埋入した。なお、この埋入箇所は、マウスの前額面
(額と平行な面)で切断し、骨膜を剥した状態で埋入し
たので、正確には骨膜下ではないが、便宜上、頭頂骨骨
膜下と表現した。その後、1,3,5,7,9,11,
13,15週経過した時点で屠殺して、骨、埋入したイ
ンプラント、皮膚を一塊として摘出し、これをホルマリ
ン固定し、脱水した後、メチルメタアクリレート(MM
A)樹脂で包埋し、硬化させた。
0μmまで研磨し、非脱灰ヘマトキシリン・エオジン染
色標本を作製し、各インプラント材料による骨組織の出
現割合を測定した。その結果を表2に示した。
HA前駆体からなるインプラント材(DCP,OCP,
ACP)は、従来品であるHAやCa欠損型HAに比
べ、骨組織の出現率が高く、早期に骨が生成した。ま
た、DCP,OCP,ACPの各材料間での骨組織の出
現割合は各期間ともほぼ同じであり、いずれの材料でも
早期に骨が形成された。
線回折によって各週経過の試料のインプラントの結晶構
造を測定した。その結果、DCP,OCP,ACPは、
埋入後1週間でHAの回折パターンに変化していた。図
7は、これらインプラントのうちOCPでのX線回折パ
ターンの変化を示したものである。この図に示すように
埋入後1週間でOCPの回折パターンは大きく変化しH
Aの回折パターン(図示略)の回折パターンと同じにな
り、その後結晶構造は殆ど変化していないことがわか
る。
ゲン性蛋白質の存在を次のようにして調べた。各インプ
ラントを埋入後、10日および13日経過後に屠殺し
て、骨、インプラント、皮膚を一塊として摘出し、4%
のパラホルムアルデヒドを含む0.01モルのPBSで
洗浄、5%のEDTAを含む0.01モルのPBSで脱
灰した。この後、脱水してパラフィンで包埋し、ミクロ
トームで厚さ4μmに薄切し、キシレンで洗浄してパラ
フィンを除き、蛍光物質で標識することによって蛍光化
したMPAを、0.01モルPBSと0.025%Tr
itonXで20倍に希釈した溶液に1時間浸した。こ
れを洗浄後、封入し、蛍光顕微鏡で観察した。対照とし
て、糖阻害剤(α−D−melibiose)で反応さ
せた試料のMPA染色も行なった。
日経過した埋入部分の状態(MPA非染色)を示し、ま
た図9は同じく埋入後13日経過した埋入部分の状態
(MPA非染色)を示している。これらの図中、符号1
2はOCPインプラント、13は頭頂骨、14は骨基
質、15は骨細胞、16は類骨、17は骨膜、18は骨
芽細胞、19は軟組織である。埋入10日目ではOCP
はHAに転換しているが(HAに転換しているが便宜上
OCPと記する。)、図8に示したようにその周囲には
骨基質(いわゆる骨)は形成されていなかった。埋入後
13日のものでは、図9に示したようにOCP12の周
囲に骨基質14が形成された。
た結果、OCP12の部位に一致してMPAと結合可能
な蛋白質(MPA結合性蛋白質)が局在していた。この
蛋白質は、埋入10日および13日の双方で認められ
た。
糖鎖を有する蛋白質との結合を摸式的に示すものであ
る。このMPA20は、特定の糖鎖21とはまり合う鍵
穴22を有している。また、MPA−レクチンは、その
検出を可能とするために蛍光物質で標識されている。一
方、埋入されたOCP12(HAに変換されたOCP)
の周囲には、特定の糖鎖21を有する蛋白質(非コラー
ゲン性蛋白質)23が接合される。そしてOCP埋入部
分に蛍光化されたMPA20を接触させると、蛋白質2
3の糖鎖21が、MPA20の鍵穴22にはまり合い、
MPA20は、糖鎖を有する蛋白質23を介してOCP
12に固定化される。
に、すでにOCP12部位に一致してMPA結合性蛋白
質23が局在していることから、OCP12の周囲への
新生骨形成に、この蛋白質が関与して早期に新生骨を形
成させる機能を有していることが予想される。
ント埋入後13日経過後の蛍光像を示したものである。
符号24は蛍光発色したOCP、25はOCPの周囲に
形成された新生骨である。図示したようにOCPの周囲
にのみ蛍光発色が見られ、頭頂骨13および新生骨25
は蛍光発色を示さなかった。この結果から、MPA結合
性蛋白質は、OCPの表面に選択的に吸着されることが
確認された。
は、第2リン酸カルシウム、第8リン酸カルシウムおよ
び非晶質リン酸カルシウムのうちから選ばれる1種以上
からなるヒドロキシアパタイト前駆体のみを成分とし、
硬化剤を使用せず、生体内に埋入されてヒドロキシアパ
タイトに変換され骨化するとともに、生体内の骨形成促
進因子である、糖鎖を含む非コラーゲン性蛋白質との親
和性を有し、骨欠損部や歯の抜髄腔などに埋入された場
合に、骨組織形成の核となり、従来のHAセラミックス
系人工骨材に比べ、早期に新生骨が形成される優れた効
果を奏する。
埋入後、短期間で生体骨と組成が同一なHAに変換する
ので、生体内での骨形成に近い新生骨形成プロセスとな
る。したがって安全性の面でも従来品よりも優れてい
る。
入口と、複数の液体を混合して導出する溶液混合器を用
い、該混合器内にカルシウム塩溶液とリン酸溶液あるい
はリン酸溶液とアルカリ溶液とをそれぞれ導入して反応
させ、生成した反応生成物を導出口から取り出す方法に
よって製造可能であるので、滴下法や単純な混合法など
の従来のリン酸カルシウム系化合物の製造に比べ、合成
時間を短くできる。また、滴下法のようなスケールアッ
プの影響が少ない等の利点がある。
いた場合を示す外観図である。
た場合を示す断面図である。
いられる製造装置の一例を示す断面図である。
ーンを示すグラフである。
である。
である。
いて、OCPインプラントの結晶構造の経時変化を示す
グラフである。
いて、OCPインプラント埋入後10日目の埋入部分の
状態を示す拡大概略図である。
拡大概略図である。
糖鎖を有する蛋白質とMPAとの結合状態を説明するた
めの概略図である。
おけるMPA局在状態を示す蛍光像を示す拡大概略図で
ある。
Claims (1)
- 【請求項1】第2リン酸カルシウム、第8リン酸カルシ
ウムおよび非晶質リン酸カルシウムのうちから選ばれる
1種以上からなるヒドロキシアパタイト前駆体のみを成
分とし、硬化剤を使用せず、 生体内に埋入されてヒドロキシアパタイトに変換され骨
化するとともに、生体内の骨形成促進因子である、糖鎖
を含む非コラーゲン性蛋白質との親和性を有することを
特徴とする人工骨材。
Priority Applications (1)
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- 1991-06-07 JP JP03136779A patent/JP3115642B2/ja not_active Expired - Lifetime
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