JP3115254B2 - セラミックヒータ - Google Patents
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Description
関し、例えばセラミックグロープラグ等に使用されるセ
ラミックヒータに関する。
されるセラミックヒータとして、Si3N4等を主体とす
る絶縁性のセラミック基体に対し、WCを主体に構成さ
れるセラミック抵抗発熱体を埋設したものが知られてい
る。
においては、セラミック基体を構成するSi3N4が、抵
抗発熱体の主成分であるWCよりも熱膨張係数が小さい
ため、加熱・冷却のサイクルを繰り返すと、抵抗発熱体
に上記熱膨張係数の差に基づく応力集中が起こって抵抗
発熱体の耐久性に問題が生ずる場合があった。
繰り返しても、抵抗発熱体の耐久性に問題が生じにくい
セラミックヒータを提供することにある。
は、セラミック基体中に、セラミック導電材料からなる
抵抗発熱体を埋設したセラミックヒータに係るものであ
り、上述の課題を解決するために下記の特徴を有する。
すなわち、セラミック導電材料は、該セラミック導電材
料の一断面において、マトリックスセラミック相中に導
電性セラミック相粒子が分散した構造を有し、かつ該導
電性セラミック相を30〜80重量%の範囲で含有す
る。また、セラミック導電材料の一断面において、ある
半径で仮想的な円を描き、該円内における導電性セラミ
ック相粒子の面積比率が60%以上となっている場合
に、該円で囲まれた領域を導電性セラミック相粒子の偏
在部として定義し、その偏在部の最大径が5μmを超え
ないものとされる。
電性セラミック材料中の、上述のような導電性セラミッ
ク相粒子の偏在部の最大径が5μmを超えないように設
定することで、ヒータに対し加熱・冷却のサイクルを繰
り返し加えた場合の抵抗発熱体の耐久性が著しく向上す
ることを見い出したのである。
の耐久性が向上する原因は以下のように推測される。す
なわち、セラミック導電材料においては、導電性セラミ
ック相とマトリックスセラミック相とは一般に熱膨張係
数が異なるものとなっている。その結果、導電性セラミ
ック相粒子が偏在した偏在部と、それよりも導電性セラ
ミック相粒子の体積比率が小さい周囲の部分(以下、周
囲部分という)との間で、その平均の熱膨張係数に差が
生じ、それら偏在部と周囲部分との境界には、該熱膨張
係数差に基づく応力が発生する。この応力は偏在部の寸
法が大きくなるほど増大する傾向にあり、これが一定以
上に大きくなると該応力に基づく抵抗発熱体の破壊が生
じやすくなる。しかしながら、偏在部の大きさを5μm
以下とすることにより上記応力の値を比較的小さくで
き、破壊が生じにくくなるものと考えられる。
部の大きさは、導電性セラミックス相粒子の粒径とその
凝集個数とによって定まる。そして抵抗発熱体の耐久性
向上の観点からは、偏在部の大きさは5μm以下の範囲
でなるべく小さくすることが望ましいといえるが、あま
り小さくし過ぎると、導電性セラミックス相粒子の平均
粒径も相当小さく設定しなければならず、導電性セラミ
ックス相のもととなる原料粉末の調製コストが増大する
問題が生ずる。従って、そのような問題が生じない範囲
内で偏在部の大きさの下限値を設定するのがよい。
対する含有率は、30〜80重量%の範囲で調整するこ
とが望ましい。含有率が30重量%未満になると、抵抗
発熱体の電気比抵抗が大きくなり過ぎて、十分な発熱が
得られなくなる。一方、80重量%を超えると焼結が不
十分となり、良好な抵抗発熱体が得られなくなる。それ
故、導電性セラミック相の含有量は30〜80重量%の
範囲で調整され、より望ましくは50〜70重量%の範
囲で調整するのがよい。
のマトリックスセラミック相は、例えばSi3N4又はA
lNが主成分となるように構成することができる。ま
た、導電性セラミック相の材質としては、W、Ta、N
b、Ti、Mo、Zr、Hf、V、Crの各硅化物、炭
化物、ホウ化物及び窒化物を例示でき、特にW炭化物及
びMo珪化物を本発明に好適に使用することができる。
その理由については後述する。一方、セラミック基体
は、Si3N4又はAlNのいずれかが主成分となるよう
に構成できる。
で制御する場合、該飽和温度は、その抵抗発熱体が該飽
和温度でどの程度の電気抵抗値を有しているかで決まる
こととなる。そのようなセラミックヒータを例えばグロ
ープラグに使用する場合、そのヒータ昇温性能に対して
は、機関の始動性を向上させるためになるべく短時間で
飽和温度に到達する、いわゆる速熱性が要求されること
が多い。
は、なるべく大きい正の抵抗温度係数を有するものを用
いることが、速熱性のグロープラグを実現する上で有利
となる。その理由は次の通りである。まず、図10
(a)に示すように、導電性セラミック成分として、そ
れぞれ室温でほぼ等しい電気比抵抗値R0を有するとと
もに抵抗温度係数がλ1、λ2(ただしλ1>λ2:簡単の
ため、それぞれ温度によらず一定の値を示すものと考え
る)である成分1と成分2について考える。
抵抗はそれぞれ、 (成分1) R1=R0+λ1ΔT ‥‥‥(1) (成分2) R2=R0+λ2ΔT ‥‥‥(2) となるが、λ1>λ2であるから、該飽和温度TSでは電
気比抵抗は前者のほうが高くなる。すなわち、 R1>R2 ‥‥‥(3) である。従って、このような成分1と成分2を使用して
セラミックヒータを作製すると、図10(b)に示すよ
うに、抵抗発熱体を構成する複合セラミック中の導電性
セラミック成分の配合量を、成分1を使用する材質Aに
おいて、成分2を使用する材質Bよりも多くすることに
よって、両材質A及び材質Bは、同じ通電電圧でかつ所
定の飽和温度TSにおいて、ほぼ同一の電気比抵抗を有
するものとなる。
の状況について考えると、材質AのほうがBよりも導電
性セラミック成分の配合比率が多く、しかも成分1と成
分2の電気比抵抗は室温T0ではほぼ等しいことから、
成分1を使用する材質Aのほうが、成分2を使用する材
質Bよりも複合セラミックの電気比抵抗は小さくなる。
その結果、抵抗温度係数の高い成分1を使用する材質A
の方が通電初期において大電流を流すことができ、その
結果図11に示すように、飽和温度TSに到達するまで
の時間を短くすることができるようになる。また、ヒー
タが発熱して温度が上昇するほど電気比抵抗が増大して
電流が流れにくくなることから、セラミックヒータに温
度の自己調整機能が生じ、ヒータの過昇等が起こりにく
くなる。
により変化することの方が多いので、1000℃におけ
る電気比抵抗の値R1000と25℃における電気比抵抗の
値R25との比R1000/R25を、平均的な抵抗温度係数を
反映した指標として用いることが可能である。本発明で
使用する導電性セラミック相の材質としては、該R1000
/R25が1〜20の範囲内にある材質を選定するのがよ
い。R1000/R25が1を下回ると、温度の自己調整機能
が期待できなくなる。また、R1000/R25が20を上回
ると高温での電気比抵抗が高くなり過ぎて、ヒータを十
分に発熱させることができなくなる場合がある。なお、
通電初期において大電流を流すことを可能とし、速熱性
を高めるためには、室温での電気比抵抗R0がなるべく
小さい材質が望ましい。具体的には、該室温での電気比
抵抗R0は、1.0×10-3Ωcm以下である材質を選定
するのがよい。
温度係数λと室温での電気比抵抗の他に、熱膨張率ρ及
び融点Tm等も考慮して選定するようにする。熱膨張率
ρは、セラミック基体の熱膨張率との差が大きすぎると
セラミックヒータの通電耐久性が確保できなくなる場合
がある。具体的には、導電性セラミック相の熱膨張率ρ
1とセラミック基体の熱膨張率ρ2との差(ρ1−ρ2)
が、10.0×10-6/℃以内となっていることが望ま
しい。また、融点Tmは、セラミックヒータの実用最高
温度を考慮して、1500℃以上のものを使用すること
が望ましい。
ック材料として、前述の、W、Ta、Nb、Ti、M
o、Zr、Hf、V、Crの各硅化物、炭化物、ホウ化
物及び窒化物を例示することができる。表1は、そのよ
うな導電性セラミックのいくつかの材質について、その
具体的な材料特性値をまとめたものである(出典:「高
融点化合物物性便覧」(1994年、日ソ通信社))。
及びMo珪化物を本発明に好適に使用することができ
る。この場合、導電性セラミック相は、例えばW炭化物
及びMo珪化物の少なくともいずれかが主成分となるよ
うに構成できる。W炭化物及びMo珪化物は、セラミッ
ク基体の基本セラミック成分としてSi3N4あるいはA
lNを使用する場合、それとの熱膨張係数差が比較的小
さいことから、これを用いて構成した抵抗発熱体の耐久
性が良好である。また、融点も2000℃以上と非常に
高く、より高温まで昇温可能な抵抗発熱体が得られる利
点がある。
室温での電気比抵抗が比較的小さく、しかも大きな抵抗
温度係数を有しており、速熱性に特に優れた抵抗発熱体
を得ることができる。ただし、Mo5Si3も本発明に好
適に使用することができる。なお、導電性セラミック相
をMo珪化物を含有するものとして構成する場合、その
Mo珪化物は、MoSi2相とMo5Si3相との少なく
ともいずれかを主体とするものとして構成できる。この
場合、MoSi2相とMo5Si3相とを単独で用いて
も、両方を混在させて用いていずれでもよい。なお、抵
抗発熱体を焼成により製造する場合、原料段階で配合さ
れているのがMoSi2のみでMo5Si3が含有されて
いなくとも、MoSi2の一部が焼成中に例えば焼結助
剤等の影響によりMo5Si3に転化して、MoSi2及
びMo5Si3の混相状態が不可避的に形成される場合が
ある。
びMo珪化物の少なくともいずれかで構成し、さらにそ
の抵抗発熱体に対するW炭化物及びMo珪化物の合計含
有率を30〜80重量%の範囲で調整する場合、W炭化
物及びMo珪化物の含有量を直接同定することが困難で
あれば、抵抗発熱体中のWないしMo成分が、全てWC
ないしMoSi2の形で存在していると仮定して算出さ
れるそれらWCないしMoSi2の推定合計含有量が3
0〜80重量%となるように、該WないしMo成分の含
有量が調整されていればよい。この場合、抵抗発熱体中
のWないしMo成分の含有量は、蛍光X線分析あるいは
ICP発光分光分析等の公知の方法にて特定することが
可能である。
し、所定量の焼結助剤を配合して焼結したものとして構
成することができる。この場合、焼結助剤は、Y2O3、
Er2O3、Yb2O3等の希土類酸化物あるいはアルカリ
土類金属酸化物等を使用することができる。焼結助剤の
配合比率は、0.8〜10.5重量%の範囲で調整する
のがよい。焼結助剤の配合比率が0.8重量%未満にな
ると焼結が不十分となり、良好な抵抗発熱体が得られな
くなる。一方、配合比率が10.5重量%を超えると、
抵抗発熱体の耐熱性が損なわれる。
成分中に調整セラミック成分として、基本セラミック成
分よりも熱膨張係数の大きい金属硅化物、金属炭化物、
金属ホウ化物及び金属窒化物の一種以上を、合計で1〜
3重量%の範囲で添加して焼成したものとして構成する
こともできる。セラミック基体に対し調整セラミック成
分が1〜3重量%の範囲で添加されることで、セラミッ
ク基体と抵抗発熱体との間の熱膨張係数の差を縮小して
応力集中を回避する効果が十分に得られ、しかも調整セ
ラミック成分に由来する酸化物の量が減少するので、前
述のポア形成に伴いヒータの耐久性が低下したりする心
配もない。酸化物の形成量が減少する原因としては、調
整セラミック成分の絶対量が少ないことの他に、焼結に
より形成される粒界相(例えば、粉末粒子間の相互拡散
により形成された相、あるいは焼結時に生ずる液相が粒
界付近で凝固したもの等)により調整セラミック成分の
粒子が覆われて、酸素との接触が回避ないし抑制される
ことが考えられる。一方、調整セラミック成分が1〜3
重量%の範囲内であれば、セラミック基体の焼結性がそ
れほど損なわれないため、焼結助剤の添加量を増やす必
要がなくなり、また添加量の微妙な調整も不要となる。
満になると、セラミック基体と抵抗発熱体との間の熱膨
張係数の差が大きくなり、抵抗発熱体に上記熱膨張係数
の差に基づく応力集中が起こってヒータの耐久性に問題
が生ずる場合がある。一方、3重量%を超えると、調整
セラミック成分に由来する酸化物の形成量が増大し、こ
れが昇華ないし蒸発することにより前述のポアが多数形
成されて、ヒータの耐久性に問題が生ずる場合がある。
また、セラミック基体の焼結性が低下するので、焼結助
剤の添加量を増加させなければならず、それに伴うセラ
ミック基体の耐熱性の低下が著しくなるとともに、焼結
助剤の添加量を微妙に調整しなければ、セラミック基体
の良好な焼結状態が得られなくなる問題も生ずる。それ
故、調整セラミック成分の添加量は1〜3重量%とさ
れ、さらに望ましくは2〜3重量%の範囲内で調整する
のがよい。
金属炭化物、金属ホウ化物及び金属窒化物は、上記添加
量の範囲において熱膨張係数の調整効果が過不足なく達
成され、また化学的安定性が良好であることから、W、
Ta、Nb、Ti、Mo、Zr、Hf、V、Crの各硅
化物、炭化物、ホウ化物及び窒化物の中から選定するこ
とが望ましい。また、基本セラミック成分は、セラミッ
ク基体として必要十分な耐熱衝撃性と抗折強度とを確保
する観点から、Si3N4及びAlNのいずれかを主体に
構成することが望ましい。
物と窒化珪素とを主体とするMo珪化物−窒化珪素系複
合セラミックで構成する場合、該Mo珪化物−窒化珪素
系複合セラミック中のMo珪化物の含有重量M1と、窒
化珪素の含有重量M2との比M1/M2は、(20/8
0)〜(85/15)の範囲で調整するのがよい。M1
/M2が(20/80)未満になると、抵抗発熱体とし
て必要な導電性を確保できなくなる。また、M1/M2が
(85/15)を超えると、抵抗発熱体の熱膨張係数が
大きくなりすぎ、セラミック基体側の熱膨張係数を最大
限に大きくなるよう調整しても、セラミックヒータの通
電耐久性を十分に確保できなくなる場合がある。M1/
M2は、望ましくは(40/60)〜(85/15)の
範囲で調整するのがよい。なお、Mo珪化物の含有重量
M1と窒化珪素の含有重量M2とを直接的に同定すること
が困難である場合には、Mo珪化物−窒化珪素系複合セ
ラミック中のMo成分が全てMoSi2の形で存在する
と仮定して算出されるMoSi2の推定含有量M1と、同
じくその窒素成分が全てSi3N4の形で存在すると仮定
して算出されるSi3N4の推定含有量M2との比M1/M
2が、(20/80)〜(85/15)(望ましくは
(40/60)〜(85/15))となるように、Mo
成分及び窒素成分の含有量が調整されていればよい。
助剤成分あるいは不可避不純物等を含んでいてもよい。
焼結助剤成分は、Y2O3、Er2O3、Yb2O3、Ca
O、MgO等の希土類酸化物あるいはアルカリ土類金属
酸化物で構成することができ、基本セラミック成分に対
する比率において、3〜15重量%の範囲で添加するの
がよい。添加量が3重量%未満になるとセラミック基体
の焼結が不十分となる。一方、15重量%を超えるとセ
ラミック基体の耐熱性が不足する。
に示す実施例を参照しつつ説明する。図1は、本発明に
係るセラミックヒータを使用したグロープラグを、その
内部構造とともに示すものである。すなわち、グロープ
ラグ50は、その一端側に設けられたセラミックヒータ
1と、そのセラミックヒータ1の先端部2が突出するよ
うにその外周面を覆う金属製の外筒3、さらにその外筒
3を外側から覆う筒状の金属ハウジング4等を備えてお
り、セラミックヒータ1と外筒3との間及び外筒3と金
属ハウジング4との間は、それぞれろう付けにより接合
されている。
により両端が弦巻ばね状に形成された結合部材5の一端
が外側から嵌合するとともに、その他端側は、金属ハウ
ジング4内に挿通された金属軸6の対応する端部に嵌着
されている。金属軸6の他方の端部側は金属ハウジング
4の外側へ延びるとともに、その外周面に形成されたね
じ部6aにナット7が螺合し、これを金属ハウジング4
に向けて締めつけることにより、金属軸6が金属ハウジ
ング4に対して固定されている。また、ナット7と金属
ハウジング4との間には絶縁ブッシュ8が嵌め込まれて
いる。そして、金属ハウジング4の外周面には、図示し
ないエンジンブロックにグロープラグ50を固定するた
めのねじ部5aが形成されている。
に、一方の基端部から延び先端部で方向変換して他方の
基端部へ至る方向変換部10aと、その方向変換部10
aの各基端部から同方向に延びる2本の直線部10bと
を有するU字状の抵抗発熱体10を備え、その各両端部
に線状又はロッド状の電極部11及び12の一端が埋設
されるとともに、抵抗発熱体10と電極部11及び12
の全体が、円形断面を有する棒状のセラミック基体13
中に埋設されている。抵抗発熱体10は、方向変換部1
0aがセラミック基体13の末端側に位置するように配
置されている。
とするセラミック粉末に、Y2O3、Er2O3、Yb2O3
等の希土類酸化物あるいはアルカリ土類金属酸化物等か
らなる焼結助剤成分を、4〜15重量%の範囲で添加・
混合して焼結したものである。なお、セラミック基体1
3は、Si3N4を主体とする基本セラミック成分中に、
調整セラミック成分として、W、Ta、Nb、Ti、M
o、Zr、Hf、V、Crの各硅化物、炭化物、ホウ化
物及び窒化物のなかから選ばれる1種ないし2種以上
(例えばMoSi2)を合計で1〜3重量%、望ましく
は2〜3重量%添加して、これを焼成したものとして構
成することもできる。
セラミック、例えばWC、MoSi2及びMo5Si3の
少なくともいずれかを主成分とする粉末及びSi3N4を
主成分とする粉末に、セラミック基体13に使用された
ものと同様の焼結助剤成分を、0.8〜10.5の範囲
で添加・混合して焼結したものである。その焼結体組織
は、Si3N4系基質(マトリックスセラミック相)中
に、WC、MoSi2及びMo5Si3の少なくともいず
れかを主成分とする導電性セラミック相粒子が分散した
ものとなっている。ここで、その焼結体組織において、
ある半径で仮想的な円を描き、該円内における導電性セ
ラミック相粒子の面積比率が60%以上となっている場
合に、該円で囲まれた領域を導電性セラミック相粒子の
偏在部として定義し、その偏在部の最大径が5μmを超
えないように調整される。なお、導電性セラミックの原
料粉末としてMoSi2を使用する場合、その一部が焼
成中に例えば焼結助剤等の影響によりMo5Si3に転化
する場合がある。従って、この場合には、MoSi2及
びMo5Si3の混相状態が形成されることが多い。一
方、電極部11及び12はタングステンあるいはタング
ステン−レニウム合金等の高融点金属材料で構成され
る。
の表面には、その電極部12の露出部12aを含む領域
に、ニッケル等の金属薄層(図示せず)が所定の方法
(例えばメッキや気相製膜法など)により形成され、該
金属薄層を介してセラミック基体13と外筒3とがろう
付けにより接合されるとともに、電極部12がこれら接
合部を介して外筒3と導通している。また、電極部11
の露出部11aを含む領域にも同様に金属薄層が形成さ
れており、ここに結合部材5がろう付けされている。こ
のように構成することで、図示しない電源から、金属軸
6(図1)、結合部材5及び電極部11を介して抵抗発
熱体10に対して通電され、さらに電極部12、外筒
3、金属ハウジング4(図1)、及び図示しないエンジ
ンブロックを介して接地される。
いて説明する。まず、図3(a)に示すように、抵抗発
熱体10に対応したU字形状のキャビティ32を有した
金型31に対し電極材30を、その一方の端部が該キャ
ビティ32内に入り込むように配置する。そしてその状
態で、導電性セラミック粉末、Si3N4を主成分とする
粉末、焼結助剤粉末及びバインダを含有するコンパウン
ド33を射出することにより、同図(b)に示すよう
に、電極材30とU字状の導電性セラミック粉末成形部
34とが一体化された一体成形体35を作成する。な
お、導電性セラミック粉末成形部34はほぼ円形の断面
を有するように形成される。
下のようにして行われる。まず、WCあるいはMoSi
2等の導電性セラミック原料、Si3N4原料及び焼結助
剤を配合する。そして、その配合物を、溶媒及びセラミ
ックボール等の粉砕メディアとともに粉砕機(例えば回
転式ボールミル、あるいはアトライターや振動ミルなど
の高エネルギーミル等)に投入し、配合した原料が目標
粒度となるように混合・粉砕する。ここで、その粉砕条
件(例えば、回転式のボールミルの場合は回転数、粉砕
時間、投入する溶媒ないし粉砕メディアの量など)は、
焼結体中の導電性セラミック粒子の偏在部の大きさが5
μm以下となるように調整される。例えば、導電性セラ
ミック原料としてWCを用いる場合、粉砕前の配合原料
において、Si3N4原料粉末の粒径範囲が0.3〜2.
0μm、平均粒径が0.8μmであり、WC原料粉末の
粒径範囲が0.5〜14μm、平均粒径が1.8μmで
ある場合に、WC原料粉末の含有比率によらず、粉砕後
における混合物の粒径範囲が0.1〜1.5μm、平均
粒径が0.7μmとなるように粉砕条件設定を行うのが
よい。なお、粒度分布及び平均粒径は、レーザー解析法
を用いて測定することができる。
ラリーとを分離し、さらにスラリー中の溶媒を蒸発させ
ることにより、導電性セラミック粉末が得られる。この
導電性セラミック粉末に、ワックスや樹脂により構成さ
れるバインダーを混練し、さらにその混練物を一定寸法
にペレタイジングすることで、射出成形用コンパウンド
が得られる。
ミック粉末には、所定量のバインダが添加され、その後
これを金型プレス成形することにより、図4(a)に示
すような、上下別体の分割予備成形体36,37とされ
る。これら分割予備成形体36,37は、上記一体成形
体35に対応した形状の凹部38がその合わせ面39a
に形成されている。次いで、この凹部38に一体成形体
35を収容し、分割予備成形体36,37を該型合わせ
面39aにおいて型合わせする。そして、図5(a)に
示すように、その状態でこれら分割予備成形体36,3
7及び一体成形体35を、金型61のキャビティ61a
内に収容し、パンチ62,63を用いてプレス・圧縮す
ることにより、図5(b)及び図6(a)に示すよう
に、これらが一体化された複合成形体39が形成され
る。ここで、そのプレス方向は、分割予備成形体36,
37の合わせ面39aに対しほぼ直角に設定される。
バインダ成分等を除去するために所定の温度(例えば約
800℃)で仮焼され、図6(b)に示す仮焼体39’
とされる。続いて図5(b)に示すように、この仮焼体
39’が、グラファイト等で構成されたホットプレス用
成形型65,66のキャビティ65a,66aにセット
される。仮焼体39’は、炉64内で両成形型65,6
6の間で加圧されながら所定の温度(例えば約1800
℃前後)で焼成されることにより、図6(c)に示すよ
うな焼成体70となる。このとき、図4(b)に示す導
電性セラミック粉末成形部34が抵抗発熱体10を、分
割予備成形体36,37がセラミック基体13をそれぞ
れ形成することとなる。また、各電極材30はそれぞれ
電極部11及び12となる。
すように、分割予備成形体36,37の合わせ面39a
に沿う方向に圧縮されながら焼成体70となる。そし
て、図6(c)に示すように、導電性セラミック粉末成
形部34の直線部34bは、その円状断面が上記圧縮方
向につぶれるように変形することにより、楕円状断面を
有した抵抗発熱体10の直線部10bとなる。次いで、
図6(d)に示すように、焼成体70の外周面に研磨等
の加工を施すことにより、セラミック基体13の断面が
円形に整形されて最終的なセラミックヒータ1となる。
粉末の成形体に対し、導電性セラミック粉末のペースト
を用いて発熱体形状をパターン印刷し、これを焼成する
ことによりその印刷パターンを焼結して、抵抗発熱体1
0とするようにしてもよい。
ープラグに限らず、バーナ着火用あるいは酸素センサ用
の加熱素子等に使用することもできる。
ラミックヒータ1を作成した。なお、抵抗発熱体10に
おけるWC成分の含有量を30〜80重量%の範囲で調
整した(実施例1〜4)。また、ホットプレス焼成は、
1750℃、300kg/cm2で30分行った。セラ
ミックヒータは各組成ごとに2本ずつ作成し、そのうち
の1本を切断して、その抵抗発熱体部分の断面を研磨
後、走査電子顕微鏡(以下、SEMという)を用いてそ
の研磨面におけるWC系粒子の凝集状況を観察するとと
もに、WC系粒子が、面積率(すなわち体積比率)にお
いて60%以上存在している領域を本発明でいう偏在部
とみなした。実施例1〜4のセラミックヒータについて
は、その偏在部の最大寸法はいずれも5μm以下となっ
ていた。一方、比較のために、WC成分が30重量%未
満のもの及び80重量%を超えるもの(比較例1及び
2)も合わせて作成した。なお、これら比較例のセラミ
ックヒータについては、WC系粒子の偏在部のうち最大
のものの大きさが5μmを超えるように、具体的には8
〜10μmとなるように設定された。
法により通電耐久性試験を行った。すなわち、セラミッ
クヒータに対し一定の電圧により通電し、1400℃に
温度が平衡してから5分保持した後、通電を停止して1
分保持する工程を1サイクルとして、各セラミックヒー
タ毎にこれを10000サイクル繰返し、その段階で1
回目の通電時よりも150℃以上の発熱温度の低下が見
られたものを不良、そうでなかったものを良とすること
により判定した。結果を表2に示す。なお、表2には、
抵抗発熱体の組成を示しているが、これは該抵抗発熱体
中のW、Si及びYの各成分の含有量をICP発光分光
分析法により求め、これをもとに、W成分が全てWCの
形で存在し、Si成分が全てSi3N4の形で存在し、Y
成分が全てY2O3の形で存在していると仮定して算出さ
れるWC、Si3N4及びY2O3の推定含有量で表してい
る。
いてはいずれも良好な通電耐久性を示したのに対し、比
較例1のセラミックヒータは通電耐久性が不十分であっ
た。このことは、比較例1のセラミックヒータにおいて
は、WC含有量が多すぎて焼結が十分進行しなかった結
果、抵抗発熱体はその強度が不足し、加えてWC粒子の
偏在部の寸法が大きいことから、その周囲部分との間で
熱膨張係数差に基づき比較的大きな応力が発生して、抵
抗発熱体が破損・断線に至ったためと推測される。一
方、WC含有量の少ない比較例2のセラミックヒータに
ついては電気抵抗が高すぎ、十分な発熱が得られなかっ
た。
抵抗発熱体部分のSEM組織写真を示す(倍率は、図中
に記載している)。組織中、白っぽく表われている部分
がWC系粒子に、黒っぽく表われている部分がSi3N4
系基質に対応していると考えられる。WC系粒子は比較
的均一に分散しており、5μmを超える偏在部は観察さ
れない。一方、図9は、比較例1のセラミックヒータの
抵抗発熱体部分のSEM組織写真を示しており、WC系
粒子のかなり大きい偏在部(寸法10μm程度)が形成
されていることがわかる。
ラグの一例を示す正面部分断面図。
る、複合成形体及び焼成体の断面形状変化を示す模式
図。
図。
面組織を示すSEM写真。
面組織を示すSEM写真。
の抵抗温度係数と、得られるセラミックヒータの昇温特
性との関係を概念的に示す説明図。
Claims (6)
- 【請求項1】 セラミック基体中に、セラミック導電材
料からなる抵抗発熱体を埋設したセラミックヒータにお
いて、前記セラミック導電材料は、該セラミック導電材
料の一断面において、マトリックスセラミック相中に導
電性セラミック相粒子が分散した構造を有し、かつ該導
電性セラミック相を30〜80重量%の範囲で含有する
とともに、前記セラミック導電材料の一断面において、
ある半径で仮想的な円を描き、該円内における前記導電
性セラミック相粒子の面積比率が60%以上となってい
る場合に、該円で囲まれた領域を前記導電性セラミック
相粒子の偏在部として定義し、その偏在部の最大径が5
μmを超えないことを特徴とするセラミックヒータ。 - 【請求項2】 前記導電性セラミック相は、W、Ta、
Nb、Ti、Mo、Zr、Hf、V、Crの各珪化物、
炭化物、ホウ化物及び窒化物のなかから選ばれる1種又
は2種以上を主成分とするものである請求項1記載のセ
ラミックヒータ。 - 【請求項3】 前記導電性セラミック相は、W炭化物及
びMo珪化物の少なくともいずれかを主成分とするもの
である請求項2記載のセラミックヒータ。 - 【請求項4】 前記導電性セラミック相はMo珪化物を
含有し、かつ該Mo珪化物はMoSi2相とMo5Si3
相との少なくともいずれかを主体とするものである請求
項3記載のセラミックヒータ。 - 【請求項5】 前記導電性セラミック相の前記抵抗発熱
体中での含有率は、30〜80重量%の範囲で調整され
ている請求項3又は4に記載のセラミックヒータ。 - 【請求項6】 前記セラミック基体は、Si3N4又はA
lNのいずれかを主成分とするものである請求項1ない
し5のいずれかに記載のセラミックヒータ。
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JPH1032079A JPH1032079A (ja) | 1998-02-03 |
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