JP3113998B2 - 熱分析装置 - Google Patents

熱分析装置

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JP3113998B2
JP3113998B2 JP06164297A JP16429794A JP3113998B2 JP 3113998 B2 JP3113998 B2 JP 3113998B2 JP 06164297 A JP06164297 A JP 06164297A JP 16429794 A JP16429794 A JP 16429794A JP 3113998 B2 JP3113998 B2 JP 3113998B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱分析装置に関する。さ
らに詳しくは、従来不可能もしくは困難であった腐蝕性
ガスや反応性ガスといったさまざまな雰囲気ガス中での
熱分析測定を可能ならしめる改良された熱分析装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】熱分析は、その手法の多様さと測定操作
の容易さ、さらには他の分析装置と較べて比較的安価な
こと等が相まって、材料の物性解析や製品の品質管理に
多用され、今や、研究および製造の両面にわたって必須
の分析手法となっている。
【0003】熱分析とは、制御された温度条件の下での
試料の構造・物性の変化を検出する一連の分析法とさ
れ、例えば、示差熱分析(DTA)、熱重量分析(T
G)、差動熱量分析(DSC)、発生ガス分析(EG
A)等多数の手法が知られている。
【0004】これらの手法のうち最も古くから知られ、
また最もしばしば用いられるものはDTAおよびTGで
ある。これらは単独で、もしくはTG−DTAといった
複合型として装置が市販されている。また、最近ではT
G−DTAに質量分析装置(MS)を連結してEGA機
能を付与することもよく行なわれる。このTG−DTA
−EGAは1回の実験で試料の熱収支、重量変化および
発生したガスの分析ができるのできわめて便利かつ有用
な分析手法といえよう。
【0005】ところで試料の熱分析的挙動は、試料をと
りまく雰囲気と密接な関わりを持っている。例えば、カ
ーボンを空気中で加熱した場合には酸化反応により発熱
して炭酸ガスが発生するが、不活性な雰囲気ガス(窒素
ガス、ヘリウムガス等)中で加熱した場合にはこのよう
な現象は生じない。したがって、空気中および不活性な
雰囲気ガス中でのTGおよびDTAダイアグラムは全く
異なる。
【0006】特にTGにおいて測定される試料の重量変
化とは、そもそも試料への雰囲気ガス(反応を介した)
吸収、又は試料の一部がガス化による揮散の何れかを測
定している。このため、試料を取り巻く雰囲気が測定結
果に及ぼす影響は、TGの場合、他の熱分析手法に比べ
特に重大なものになる。
【0007】それゆえ、製品の研究開発のためにも、ま
た製品の安全データを取得するためにも、さらには製品
の品質管理を行なうためにも、各種各様な雰囲気下での
熱分析測定を行ないたいところである。しかし、従来か
ら市販されている熱分析装置では用い得る雰囲気ガスは
空気、窒素等に限られており、他の雰囲気ガス、例えば
塩素ガスのような腐食性ガス中で熱分析挙動を調べるこ
とはきわめて困難かもしくは不可能であった。
【0008】すなわち、一般的に熱分析装置は試料部と
信号検出部より構成されるが、通常はこれらが一体化さ
れているので、試料部の雰囲気ガスが拡散等によって信
号検出部に流れこみ、雰囲気ガスに腐食性ガスを用いた
場合は、デリケートでかつ高価な信号検出部に重大な損
傷をおよぼし、熱分析測定が不可能になることがあるか
らである。
【0009】このような問題を解決しようとして、腐食
性ガスの雰囲気下での熱分析を可能とする熱分析装置が
試みられてきた。その構造の概略を図2に示した。この
熱分析装置(11)は、信号検出部(14)より試料部
(12)の方向に流れる不活性ガスをキャリヤーとして
腐食性ガスを試料部の方向に流す、という考え方に基づ
いている。信号検出部には不活性ガスの導入口(18)
および腐食性ガスの導入口(17)が設置されている。
しかしながら、この構造では腐食性ガスの逆流を完全に
防止するのは困難であり、それを達成するには腐食性ガ
スに対して圧倒的多量の不活性ガスを流す必要がある。
つまり濃厚な腐食性ガス雰囲気下での熱分析測定は実質
的に不可能であり、熱分析装置を多目的に使用するには
大きな制約があった。
【0010】先にも述べた如く熱分析は実験が簡単で、
情報が多様であり、加えて装置が比較的安価であるとい
う優れた特徴をもつ。したがって、従来用いられてきた
空気等のガスに加えて、腐食性ガス、反応性ガス、有機
ガス、毒性ガス等あらゆる雰囲気ガス中で熱分析測定を
行ない得るならば、研究開発や製造においてそのメリッ
トは図り知れないものがある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
した従来技術の問題点を解決し、実質的に腐食等の何ら
の損傷を装置に与えることなく、腐食性ガス、反応性ガ
ス、有機ガス、毒性ガス等の雰囲気ガス中での熱分析測
定を可能ならしめる熱分析装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、つぎの発明か
らなる。 (1)試料を配置するための試料部を備えた試料室およ
び前記試料の物理的変化および/または化学的変化を検
出するための信号検出部を備えた信号検出室を有し、前
記信号検出室はパージガスを導入するためのパージガス
導入口を有し、前記試料室と前記信号検出室との間には
パージガスを通過させるためのパージガス流路を備えた
間仕切りを有し、前記試料室には、前記試料を所定の雰
囲気に曝すために雰囲気ガスを導入するための雰囲気ガ
ス導入口と前記両ガスを外部に排出するためのガス排出
口を有することを特徴とする熱分析装置。
【0013】(2)前記試料室と前記信号検出室が水平
に配置されている(1)記載の熱分析装置。 (3)前記試料室に設けられた雰囲気ガス導入口は、前
記試料室内の試料部に比べ、パージガスの流れの上流に
位置する(1)記載の熱分析装置。 (4)前記パージガス流路の断面積(A)と前記試料室
が前記信号検出室に接している前記間仕切りの断面積
(B)との比A/Bが、1/2以下1/100以上であ
る(1)記載の熱分析装置。 (5)前記パージガス流路の断面積(A)と前記試料室
が前記信号検出室に接している前記間仕切りの断面積
(B)との比A/Bが、1/10以下1/100以上で
ある(1)記載の熱分析装置。 (6)前記雰囲気ガスが、腐食性ガスまたは反応性ガス
である(1)記載の熱分析装置。
【0014】
【作用】試料室と信号検出室は、パージガス流路を設け
た間仕切りによりほぼ仕切られており、信号検出室には
パージガス導入口が設けられパージガスを導入すること
により、信号検出室は常時(測定時)その内圧を試料室
より高く保持しているため、信号検出室にはその他のガ
スは流入しない。つまり、試料室に濃厚な腐食性ガスを
雰囲気ガスとして導入しても、信号検出室に流入しない
ので、信号検出部に重大な損傷を与えない。
【0015】また、試料室と信号検出室は、水平に配置
されていることがこのましい。水平に配置することによ
り、両ガスの流れによる検出信号(特に重量信号)への
影響を殆どなくすることができる。更に、試料室に設け
られた雰囲気ガス導入口は、試料室内の試料部に比べ、
パージガスの流れの上流に位置するため、試料を充分に
雰囲気ガスに曝すことができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明について図面に基づき詳細に説
明する。本発明の熱分析装置の概略を図1に示す。この
熱分析装置(1)は、試料の重量を温度もしくは時間の
関数として測定する所謂熱重量測定装置(TG)に属す
るものである。以下、本発明をTGに例にして説明する
が、本発明はTGに限定されず、TGと同類の他の熱分
析装置に応用できるものである。試料を載置するための
試料部(2)が配置されている試料室(3)は以下のよ
うに構成されている。焼結アルミナにより筒状に形成さ
れ、一端の先端部にパージガスおよび雰囲気ガス等のガ
スを排出するガス排出口(9a)を有するファーナスチ
ューブ(9)と、ステンレスにより筒状に形成され、側
面の一箇所に雰囲気ガスを試料室内に導入するための雰
囲気ガス導入口(7a)を有し、一端部でファーナスチ
ューブ(9)の他端部と係合している接続管(7)と、
接続管(7)の他端部とOリング(21)を介して脱着
自在に接続するベロース(6)より包まれている。
【0017】ファーナスチューブ(9)、接続管(7)
とベロース(6)の筒形状の軸は、実質的に同軸上に直
列にかつ水平に配置されている。ベロース(6)の他端
部には、間仕切り(6a)が形成されており、その先に
試料の物理量を測定する信号検出部(4)を備えた信号
検出室(5)が配置されている。その間仕切り(6a)
は、試料室(3)を信号検出室(5)から分離してい
る。間仕切り(6a)には、後述するパージガスを信号
検出室(5)から試料室(3)へ流すためのパージガス
流路(10)が設けられている。パージガス流路(1
0)は、パージガスを流し、そして試料の物理量を信号
検出部に伝達するためのものであり、具体的には穴であ
る。穴の形状は特に限定されず、例えば円形、楕円形、
正方形または長方形である。また、パージガス流路(1
0)は複数個あってもよい。測定する試料の物理量は、
例えば、熱電対よりなる試料部(2)または試料の温度
を表す温度信号や、天秤ビームよりなる試料の重さを示
す試料重量信号である。そしてそれらの信号は、信号検
出室(5)内の信号検出部(4)に入力し、試料の熱分
析が行なわれる。
【0018】ファーナスチューブ(9)の外周には、そ
れを取り巻くように、焼結アルミナ製のボビン(20
a)に白金ロジウム20%線を無誘電的に捲回したヒー
タ(20)が配置されている。ヒータ(20)はファー
ナスチューブ(9)を介して試料部(2)の温度を室温
から1500℃の間で変化させる。信号検出室(5)に
は、パージガスを信号検出室(5)に導入するためにパ
ージガス導入口(8)が設けられている。また、試料を
ある特定の雰囲気中で熱分析するために、雰囲気ガス導
入口(7a)から試料室(3)に雰囲気ガスを導入す
る。信号検出室(5)内のパージガスは、パージガス流
路(10)を通って、試料室(3)に導入する。試料室
(3)内のパージガスと雰囲気ガスは、ガス排出口(9
a)から外に排出される。
【0019】雰囲気ガス導入口(7a)は、試料部
(2)に対してパージガスの流れを上流側の試料室
(3)に設けられており、試料室(3)に導入された雰
囲気ガスとパージガスとは、共に試料室(3)の内部で
試料部(2)に到達するまでの間にヒータ(20)によ
り試料部(2)とほぼ等しい温度に加熱される。そし
て、パージガスと雰囲気ガスを排出する排出口(9a)
が試料部(2)に対して、パージガスの流れの下流側先
端の試料室(3)に設けられているため、試料室(3)
内の各ガスは図1の右側から左側へ、澱みなく流れる。
【0020】なお、試料部(2)への試料の載置および
交換の時は、一体になっているヒータ(20)、ファー
ナスチューブ(9)と接続管(7)を管状ベロース
(6)から切離し、図1の左側方向に移動させ、試料部
(2)が現れた状態で試料の載置、交換を行なう。そし
てファーナスチューブ(9)等をもとに戻す。
【0021】試料室と信号検出室はそれらを垂直に配置
するいわゆる縦型熱分析装置と、それらを水平に配置す
るいわゆる横型熱分析装置のふたとおりの態様がある。
縦型の熱天秤装置は、試料部(2)におけるパージガス
の流路が文字通り縦方向(重力方向)になるため、パー
ジガスもしくは雰囲気ガスの流れが試料の重量計測に干
渉し、測定精度を低下させる。また、特有の煙突効果の
影響も受ける。これに対し、横型の熱天秤装置は、上記
の問題が発生しないことから、パージガス及び雰囲気ガ
スの流量を比較的広い範囲で選択できるため、縦型の熱
天秤装置に比べ、雰囲気ガスの信号検出室への拡散を容
易に防止できる。したがって、本発明の目的を容易に達
成するためには、横型の熱天秤装置の方が好ましい。
【0022】試料室と信号検出室を分離する間仕切り
は、雰囲気ガスの試料部から信号検出部への逆流や拡散
を防止する。この目的を達成するために、パージガス流
路の断面積(A)と間仕切りの断面積すなわち試料室が
信号検出室に接している部分の断面積(B)との比A/
Bは、好ましくは約1/2以下1/100以上、さらに
好ましくは約1/10以下1/100以上である。間仕
切りの材質は耐熱性があり、かつ各種の雰囲気ガスに耐
える材質のものであれば特に限定されるものではない。
好ましくは、例えばステンレス鋼やモネルその他の雰囲
気ガスに対して化学的耐性のある金属材料を用いること
ができる。
【0023】試料室(3)と信号検出室(5)とよりな
る空間は、雰囲気ガス導入口(7a)と、パージガス導
入口(8)とを密封し、ガス排出口(9a)にロータリ
ポンプを接続し、それらの空間内を減圧することによ
り、容易に10-2torrの真空度に到達する程度の密
閉性を有している。この点は、試料部(2)における雰
囲気の正確な制御に関して本質的に重要である。
【0024】また、雰囲気ガス導入口(7a)は導入さ
れた雰囲気ガスの温度が試料部(2)の温度になって、
試料部(2)に到達するように、試料部(2)に対して
よりガスの流れ上流側に設けることが好ましい。更に、
雰囲気ガス導入口(7a)の材質は、使用する雰囲気ガ
スに対する化学的耐性に加え、充分な機械的強度、耐熱
性を有することが装置性能の維持と安全性の確保の点で
極めて重要である。具体的には、ステンレス鋼、モネル
その他の金属材料が使用できる。
【0025】また、パージガスの排出口側、すなわち試
料室側を多少減圧にして雰囲気ガスの信号検出室側への
逆流を防止するのも好ましい方法である。ガス排出口か
ら排出されるガスは雰囲気ガス、パージガスおよび試料
から発生するガスよりなっており、無害化処理を施した
後に大気中に放出される。
【0026】用いる雰囲気ガスは、腐食性ガス、反応性
ガス、有機ガス、毒性ガス等、特に限定されず、本発明
の熱分析装置の活用の目的に応じて適宜選択することが
できる。例えば、腐食性ガスとしては、塩化水素、ヨウ
化水素、臭化水素、フッ化水素、塩素、ヨウ素、臭素、
フッ素、亜硫酸ガス等を、反応性ガスとしては、水素、
酸素、水蒸気、アンモニア、一酸化炭素ガス、各種の有
機ガス等を挙げることができる。
【0027】用いるパージガスは腐食等により装置に損
傷を与えず、かつ熱分析測定の目的にかなうものであれ
ばよく、特に限定されないが典型的には窒素、ヘリウム
等の不活性ガスおよび空気を例示することができる。
【0028】以下、前述の本発明の装置を使って分析す
る具体的な方法を詳細に説明する。なお、これらの方法
により本発明は何ら制限を受けるものではない。
【0029】実施例1 セイコー電子工業(株)から市販されている熱分析装置
TG/DTAモデル320に改造を施して、図1に示さ
れるような試料室と信号検出室を有する本発明の熱分析
装置を製作した。間仕切り板の材質はSUS製とした。
パージガスの流路の断面積(A)と間仕切りの断面積す
なわち試料室が信号検出室に接している部分の断面積
(B)との比A/Bは、約1/3であった。この熱分析
装置を用いて酸化反応挙動の解析を行なった。試料とし
て酸化第1銅(Cu2 O)10.4mgを用い、雰囲気
ガスとして酸素ガスを流速30ml/分で、パージガス
としてヘリウムを流速100ml/分にて流した。酸化
反応挙動を表すTG−DTAの測定結果を図3に示し
た。この熱分析測定結果からCu2 OからCuOの反応
が明瞭に読みとれる。雰囲気ガスとして酸素ガスを使用
することにより、熱分析に何らの機能低下も生じず、容
易かつ正確に測定を行うことができた。また、測定終了
後には熱分析装置には腐食等の何らの損傷も認められな
かった。
【0030】実施例2 実施例1の熱分析装置を用いて酸化第2銅(13.5m
g)の還元反応挙動の解析を行なった。雰囲気ガスとし
て水素を流速80ml/分で、パージガスとしてヘリウ
ムを流速110ml/分にて流した。TG−DTAの測
定結果を図4に示した。この結果として還元反応の解析
が正確に行えることが判明した。また、水素ガスを用い
ても、容易にかつ安全に熱分析測定が行ない得ることも
確認された。また熱分析としての機能低下もなく、また
測定終了後には熱分析装置に何らの損傷も認められなか
った。
【0031】実施例3 実施例1の熱分析装置を用いて遷移アルミナの塩化水素
ガス(100ml/分)雰囲気下での挙動を調べた。試
料として用いた遷移アルミナは11.2mg、パージガ
スとして窒素ガスを流速100ml/分にて流し、雰囲
気温度は20℃/分にて昇温した。TG−DTAの測定
結果を図5に示した。この測定から、遷移アルミナは塩
化水素ガス雰囲気下で不安定であることが確認された。
また、塩化水素ガスのような腐食性ガスを用いても、熱
分析測定が容易にかつ正確に行ない得ることが確認さ
れ、測定終了後には熱分析装置に何らの損傷も認められ
なかった。
【0032】実施例4 セイコー電子工業(株)から市販されている熱分析装置
TG/DTAモデル320に改造を施して、図1に示さ
れるような試料室と信号検出室を有する本発明の熱分析
装置を製作した。間仕切り板の材質はSUS製とした。
パージガスの流路の断面積(A)と間仕切りの断面積す
なわち試料室が信号検出室に接している部分の断面積
(B)との比A/Bは、約1/20であった。この熱分
析装置における接続管(7)および雰囲気ガス導入口
(7a)の外周に新たにヒータを巻き、雰囲気ガス導入
口(7a)を100℃に保温した状態で、雰囲気ガスと
して水蒸気圧488mmHgの水蒸気を雰囲気ガス導入
口(7a)から試料室(3)に導入し、パージガス導入
口(8)から窒素ガスを200ml/分の流量で流し、
昇温速度20℃/分にて、試料:塩化第1鉄(FeCl
2 n2 O)約25mgのTGおよびDTAを測定し
た。その結果を図6に示した。一方、従来方法のよう
に、雰囲気ガス導入口(7a)を密封し水蒸気を導入せ
ず、パージガス導入口(8)から窒素ガスのみを200
ml/分の流量で流し、昇温速度20℃/分で同一試料
のTGおよびDTAを測定した。その結果を図7に示し
た。水蒸気を導入しない場合は、200℃以下で、4段
の脱水反応がみられ、400〜700℃の間の広い温度
範囲で、重量減が観測される(図7)のに対して、水蒸
気を導入した場合には、250℃〜350℃の狭い温度
範囲で重量減少が完了しており、水蒸気圧488mmH
gの水蒸気の存在で塩化第1鉄の耐熱性が低下すること
を裏付けるデータが得られた(図6)。これらの結果か
ら、水蒸気の存在下でも熱分析測定が容易にかつ正確に
行ない得ることが確認され、測定終了後にも熱分析装置
には腐食は認められなかった。
【0033】実施例5 セイコー電子工業(株)から市販されている熱分析装置
TG/DTAモデル320に改造を施して、図1に示さ
れるような試料室と信号検出室を有する本発明の熱分析
装置を製作した。間仕切り板の材質はSUS製とし、パ
ージガスの流路を二つ設けた。パージガスの流路の合計
の断面積(A)と間仕切りの断面積すなわち試料室が信
号検出室に接している部分の断面積(B)との比A/B
は、約1/5であった。この熱分析装置を用いて遷移ア
ルミナのヨウ化水素ガス(50ml/分)雰囲気下での
挙動を調べた。試料として用いた遷移アルミナは69.
6mg、パージガスとして窒素ガスを流速100ml/
分にて流し、雰囲気温度は30℃/分にて昇温した。T
G−DTAの測定結果を図8に示した。この測定から、
遷移アルミナはヨウ化水素ガス雰囲気下で不安定である
ことが確認された。また、ヨウ化水素ガスのような腐食
性ガスを用いても、熱分析測定が容易にかつ正確に行な
い得ることが確認され、測定終了後には熱分析装置に何
らの損傷も認められなかった。また、同様の熱分析測定
を多数回繰り返し行ったが、装置の損傷はなく、安定し
た測定結果を得ることができた。
【0034】
【発明の効果】本発明の熱分析装置を用いることによ
り、はじめて、腐食性ガス、反応性ガス、有機ガスある
いは毒性ガスといった任意の雰囲気ガス中で腐食等の装
置の損傷を伴うことなく、容易に、かつ確実に、熱分析
を行なうことが可能となった。本発明の熱分析装置はさ
まざまな応用が考えられるが、典型的な使用目的を例示
すれば、その1つは種々な雰囲気ガス中での各種の物質
や材料の熱物性測定であり、もう1つは各種の物質や材
料の化学反応の解析である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱分析装置の断面図を表す。
【図2】従来の熱分析装置の断面図を表す。
【図3】実施例1によるTG−DTAの測定結果を表
す。
【図4】実施例2によるTG−DTAの測定結果を表
す。
【図5】実施例3によるTG−DTAの測定結果を表
す。
【図6】実施例4によるTG−DTAの測定結果を表
す。
【図7】従来の方法によるTG−DTAの測定結果を表
す。
【図8】実施例5によるTG−DTAの測定結果を表
す。
【符号の説明】
1.本発明の熱分析装置 2.試料部 3.試料室 4.信号検出部 5.信号検出室 6.管状ベロース 6a.間仕切り 7.接続管 7a.雰囲気ガス導入口 8.パージガス導入口 9.ファーナスチューブ 9a.ガス排出口 10.パージガスの流路 11.従来の熱分析装置 12.試料部 14.信号検出部 17.腐食性ガス導入口 18.不活性ガス導入口 19.ガス排出口 20.ヒーター 20a.ボビン 21.Oリング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 信隆 東京都江東区亀戸6丁目31番1号 セイ コー電子工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−139239(JP,A) 実開 平4−53551(JP,U) 実開 平4−63057(JP,U) 実開 昭62−119651(JP,U) 実開 昭56−10841(JP,U) 特公 昭51−11513(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 25/00 G01N 25/20 G01N 5/04

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料を配置するための試料部を備えた試
    料室および前記試料の物理的変化および/または化学的
    変化を検出するための信号検出部を備えた信号検出室を
    有し、前記試料室と前記信号検出室が水平に配置されて
    おり、前記信号検出室はパージガスを導入するためのパ
    ージガス導入口を有し、前記試料室と前記信号検出室と
    の間にはパージガスを通過させるためのパージガス流路
    を備えた間仕切りを有し、前記信号検出室は測定時にそ
    の内圧を前記試料室より高く保持され、前記試料室に
    は、前記試料を所定の雰囲気に曝すために雰囲気ガスを
    導入するための雰囲気ガス導入口と前記両ガスを外部に
    排出するためのガス排出口を有することを特徴とする熱
    分析装置。
  2. 【請求項2】 前記試料室に設けられた雰囲気ガス導入
    口は、前記試料室内の試料部に比べ、パージガスの流れ
    の上流に位置する請求項1記載の熱分析装置。
  3. 【請求項3】 前記パージガス流路の断面積(A)と前
    記試料室が前記信号検出室に接している前記間仕切りの
    断面積(B)との比A/Bが、1/2以下1/100以
    上である請求項1記載の熱分析装置。
  4. 【請求項4】 前記パージガス流路の断面積(A)と前
    記試料室が前記信号検出室に接している前記間仕切りの
    断面積(B)との比A/Bが、1/10以下1/100
    以上である請求項1記載の熱分析装置。
  5. 【請求項5】 前記雰囲気ガスが、腐食性ガスおよび反
    応性ガスから選ばれる少なくとも一種である請求項1記
    載の熱分析装置。
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