JP3112097B2 - 内燃機関用の冷却される筒形ピストン - Google Patents

内燃機関用の冷却される筒形ピストン

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関用の冷却され
る筒形ピストンであって、ピストン上部とスカート部と
が互いに分割されていて、ピストンピンを介して互いに
枢着結合されており、ピストン上部が鋼または鉄から成
っていて、以下に挙げる基本形状イ）〜ヘ）： イ）ピストン頂面から、複数のピストンリング溝を受容
している環状壁区分がピストンピンの方向に自由に突出
していて、該環状壁区分の自由端部がピストンピンの上
方に位置しており、 ロ）前記環状壁区分が、半径方向内側で、スカート部の
方向に開いた、ただし遮蔽可能な冷却オイル環状室に隣
接しており、つまり前記環状壁区分によって、冷却オイ
ル環状室を半径方向外側で仕切る制限部が形成されてお
り、該冷却オイル環状室に、冷却オイルが供給されるよ
うになっており、 ハ）前記冷却オイル環状室を半径方向内側で仕切る制限
部が、ピストン頂面を起点として延びる環状リブによっ
て形成されており、 ニ）該環状リブが、スカート部に向かう方向で、ピスト
ンピンを支承する、互いに向かい合って位置する２つの
ボスに移行しており、 ホ）前記環状壁区分のスカート部側の自由端部が、半径
方向で中央の前記環状リブに固く結合されておらず、 ヘ）ピストン頂面に燃焼室凹みが加工成形されており、
該燃焼室凹みの一部が、前記環状リブによって仕切られ
ているを有している形式のものに関する。
【０００２】
【従来の技術】このような形式の筒形ピストンでは、ピ
ストンの摺動特性およびピストン上部からの熱排出形式
が改善されることが望ましい。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、冒頭
で述べた形式の筒形ピストンを改良して、ピストンの良
好な摺動特性と、ピストン上部からの良好な熱排出とが
得られるような筒形ピストンを提供することである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の構成では、 ト）前記冷却オイル環状室のピストン頂面側の端部が、
ピストン頂面に対して平行な１つの平面に位置してお
り、該平面が、ピストン頂面によって形成された平面に
対してピストン直径Ｄの約６〜１２％に相当する距離Ｂ
を有しており、 チ）前記冷却オイル環状室が軸方向で、つまりピストン
の長手方向軸線の方向で、前記ピストンリング溝のうち
の最上位の第１のピストンリング溝の下側の溝側縁より
も上方に位置しないように前記距離Ｂと、最上位の第１
のピストンリング溝の位置とが互いに調整されており、 リ）前記環状壁区分の、前記第１のピストンリング溝の
下に位置する第２のピストンリング溝の下側の溝側縁よ
りも上方に位置している範囲が、ピストンの直径Ｄの
２．５％よりも大きい半径方向肉厚さＮ′を有してお
り、 ヌ）前記環状リブの、半径方向で前記燃焼室凹みに隣接
した範囲が、半径方向にピストンの直径Ｄの約４〜７％
に相当する厚さＮを有しており、ただし上限値は、前記
環状リブの、前記燃焼室凹みを直接に仕切っている範囲
が、ピストン軸線に対して約α＝６０゜の平均傾斜角度
で傾けられている場合に適用され、傾斜角度が約α＝０
゜に向かって減少するにつれて、適用されるべき前記厚
さＮの値も下限値に向かって減少し、 ル）前記ピストンリング溝のうち圧縮リングのための少
なくとも１つのピストンリング溝の上側の溝側縁が、機
関運転時におけるピストンの熱膨張を予め見込んで、ピ
ストンの常温状態において斜め上方に外側に向かって延
びるように形成されており、機関運転時にピストン頂面
が膨れ上がると、運転状態にとって望ましい、前記上側
の溝側縁に対するピストンリングの接触が与えられるよ
うにした。
【０００５】
【発明の効果】本発明によれば、上記特徴部分ト、チ、
リに記載の構成により、先ず第一に、燃焼ガスからピス
トン頂面に侵入した熱をできるだけ高い割合でピストン
リングを介して内燃機関シリンダに導出することができ
るようになる。これによって、冷却オイルが冷却オイル
環状室の内部で、この冷却オイル環状室の、ピストン頂
面に向けられた制限壁における接触によって、オイルの
耐性にとって高すぎる温度にまで加熱されてしまうこと
が確実に回避される。このことにより、許容しえないほ
ど迅速なオイル老化と、冷却オイル環状室の上側の制限
壁におけるオイルラッカー形成とが回避される。
【０００６】個々の特徴部分の組み合わせにより、強度
および変形剛性にも有利な影響が与えられる。
【０００７】また、上記特徴部分ヌも同様の観点で構成
されているが、しかしこの場合には付加的に強度の観点
も共に考慮されている。
【０００８】上記特徴部分ルに記載の構成により、内燃
機関運転時に熱によってピストン頂面がわずかに膨れ上
がった場合でも、ピストンリングの申し分のないシール
機能が維持されることが保証されているので、ピストン
頂面に侵入した熱を一層高い割合でピストンリングを介
してシリンダへ導出することができるようになる。
【０００９】請求項４記載の構成は、内燃機関のシリン
ダ孔内でのピストン上部の良好なガイドのために役立
つ。特に、高い喰付き防止性が与えられていると望まし
い。
【００１０】
【実施例】以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく
説明する。
【００１１】ピストンは、例えば鍛造された鋼から成る
ピストン上部１と、例えばアルミニウムから成るスカー
ト部２から成っている。
【００１２】ピストン上部１とスカート部２は、単にピ
ストンピン（図示しない）を介してのみ互い結合されて
いて、内燃機関の連接棒に枢着されている。
【００１３】ピストン頂面からは、３つのピストンリン
グ溝３，４，５を受容している帯状の環状壁区分６が自
由に突出しており、この環状壁区分６の自由端部は、軸
方向でスカート部２のすぐ上に短い間隔をおいて位置し
ている。
【００１４】半径方向で見て環状壁区分６の内側には、
冷却オイル環状室７が位置しており、この冷却オイル環
状室７は、ピストン上部１において、スカート部２に向
かって開いて延びている。
【００１５】冷却オイル環状室７は半径方向内側におい
て、ピストン頂面から延びている環状リブ８によって仕
切られており、この環状リブ８には、ピストンピンを受
容するための２つのボス９が互いに向かい合って位置す
るように一体成形されている。
【００１６】ピストン頂面の中央部には、燃焼室凹み１
０が設けられており、この燃焼室凹み１０の一部は直
接、環状リブ８に隣接している。すなわち、燃焼室凹み
１０の一部は環状リブ８によって仕切られている。環状
リブ８はピストン軸線に対して約α＝２０゜の平均傾斜
を有している。
【００１７】冷却オイル環状室７の上方のピストン頂面
の厚さＢはピストンの直径Ｄの１０％である。環状リブ
８の肉厚さＮはピストンの直径Ｄの６％である。
【００１８】コンプレッションリングもしくは圧縮リン
グを受容する第１のピストンリング溝３および第２のピ
ストンリング溝４のうちの第２のピストンリング溝４の
背後に位置する最小肉厚さＮ′はピストンの直径Ｄの
２．８％である。機関運転を考慮して予め設定された、
第１のピストンリング溝３の傾斜角βは１０分である。
【００１９】冷却オイル環状室７は、半径方向内側の所
定の曲率半径Ｒｉと、半径方向外側の所定の曲率半径Ｒ
ａとを描いてピストン頂面範囲に突入しており、ただ
し、少なくともＲ＝３ｍｍである。この場合、内側の曲
率半径Ｒｉが、外側の曲率半径Ｒａよりも大きく設定さ
れていると有利であり、ただし少なくともＲｉ＝４ｍｍ
である。
【００２０】環状壁区分６の、極性のある外形の楕円の
長軸の長さと短軸の長さとの差はピストンの直径Ｄの
０．２％である。
【００２１】図示したピストンはＤ＝１２０ｍｍの直径
を有している。
【００２２】スカート部２の、ピストン上部１に向いて
いる端部には、オイル捕集ポケット１１が、前記冷却オ
イル環状室を少なくとも部分的にカバーするように設け
られており、このオイル捕集ポケット１１には冷却オイ
ル環状室７から流出した冷却オイルが捕集されて、再び
冷却オイル環状室７に振蘯作用により戻される。
【００２３】環状リブ８がボス９に移行する範囲には、
半径方向でボス９を取り囲むようにくびれ部１２が例え
ば切削加工によって加工成形されている。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明による筒形ピストンの縦断面図である。
【符号の説明】
１ ピストン上部 ２ スカート部 ３，４，５ ピストンリング溝 ６ 環状壁区分 ７ 冷却オイル環状室 ８ 環状リブ ９ ボス １０ 燃焼室凹み １１ オイル捕集ポケット １２ くびれ部 Ｂ 厚さ Ｄ 直径 Ｎ 肉厚 Ｎ′ 肉厚 α 平均傾斜 β 傾斜角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 エミール リプベルガー ドイツ連邦共和国 レムゼック ３ ブ ルンネンシュトラーセ ６ (56)参考文献 特表 平２−503586（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) F02F 3/22 F02F 3/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 内燃機関用の冷却される筒形ピストンで
    あって、ピストン上部（１）とスカート部（２）とが互
    いに分割されていて、ピストンピンを介して互いに枢着
    結合されており、ピストン上部（１）が鋼または鉄から
    成っていて、以下に挙げる基本形状イ）〜ヘ）： イ）ピストン頂面から、複数のピストンリング溝（３，
    ４，５）を受容している環状壁区分（６）がピストンピ
    ンの方向に自由に突出していて、該環状壁区分（６）の
    自由端部がピストンピンの上方に位置しており、 ロ）前記環状壁区分（６）が、半径方向内側で、スカー
    ト部（２）の方向に開いた、ただし遮蔽可能な冷却オイ
    ル環状室（７）に隣接しており、つまり前記環状壁区分
    （６）によって、冷却オイル環状室（７）を半径方向外
    側で仕切る制限部が形成されており、該冷却オイル環状
    室（７）に、冷却オイルが供給されるようになってお
    り、 ハ）前記冷却オイル環状室（７）を半径方向内側で仕切
    る制限部が、ピストン頂面を起点として延びる環状リブ
    （８）によって形成されており、 ニ）該環状リブ（８）が、スカート部（２）に向かう方
    向で、ピストンピンを支承する、互いに向かい合って位
    置する２つのボス（９）に移行しており、 ホ）前記環状壁区分（６）のスカート部側の自由端部
    が、半径方向で中央の前記環状リブ（８）に固く結合さ
    れておらず、 ヘ）ピストン頂面に燃焼室凹み（１０）が加工成形され
    ており、該燃焼室凹み（１０）の一部が、前記環状リブ
    （８）によって仕切られているを有している形式のもの
    において、 ト）前記冷却オイル環状室（７）のピストン頂面側の端
    部が、ピストン頂面に対して平行な１つの平面に位置し
    ており、該平面が、ピストン頂面によって形成された平
    面に対してピストン直径（Ｄ）の約６〜１２％に相当す
    る距離（Ｂ）を有しており、 チ）前記冷却オイル環状室（７）が軸方向で、つまりピ
    ストンの長手方向軸線の 方向で、前記ピストンリング溝
    のうちの最上位の第１のピストンリング溝（３）の下側
    の溝側縁よりも上方に位置しないように前記距離（Ｂ）
    と、最上位の第１のピストンリング溝（３）の位置とが
    互いに調整されており、 リ）前記環状壁区分（６）の、前記第１のピストンリン
    グ溝（３）の下に位置する第２のピストンリング溝
    （４）の下側の溝側縁よりも上方に位置している範囲
    が、ピストンの直径（Ｄ）の２．５％よりも大きい半径
    方向肉厚さ（Ｎ′）を有しており、 ヌ）前記環状リブ（８）の、半径方向で前記燃焼室凹み
    （１０）に隣接した範囲が、半径方向にピストンの直径
    （Ｄ）の約４〜７％に相当する厚さ（Ｎ）を有してお
    り、ただし上限値は、前記環状リブ（８）の、前記燃焼
    室凹み（１０）を直接に仕切っている範囲が、ピストン
    軸線に対して約α＝６０゜の平均傾斜角度で傾けられて
    いる場合に適用され、傾斜角度が約α＝０゜に向かって
    減少するにつれて、適用されるべき前記厚さ（Ｎ）の値
    も下限値に向かって減少し、 ル）前記ピストンリング溝のうち圧縮リングのための少
    なくとも１つのピストンリング溝の上側の溝側縁が、機
    関運転時におけるピストンの熱膨張を予め見込んで、ピ
    ストンの常温状態において斜め上方に外側に向かって延
    びるように形成されており、機関運転時にピストン頂面
    が膨れ上がると、運転状態にとって望ましい、前記上側
    の溝側縁に対するピストンリングの接触が与えられるよ
    うになっていることを特徴とする、内燃機関用の冷却さ
    れる筒形ピストン。
  2. 【請求項２】 冷却オイル環状室（７）が、半径方向内
    側の所定の曲率半径（Ｒ ｉ ）と、半径方向外側の所定の
    曲率半径（Ｒ ａ ）とを描いてピストン頂面範囲に突入し
    ており、ただし少なくともＲ＝３ｍｍである、請求項１
    記載の筒形ピストン。
  3. 【請求項３】 内側の曲率半径（Ｒ ｉ ）が、外側の曲率
    半径（Ｒ ａ ）よりも大きく設定されており、ただし少な
    くともＲ ｉ ＝４ｍｍである、請求項１または２記載の筒
    形ピストン。
  4. 【請求項４】 前記環状壁区分（６）の半径方向の外面
    が、ピストンピン軸線の方向に対して平行な方向に位置
    する楕円短軸を有する軽度の楕円形に形成さ れている、
    請求項１から３までのいずれか１項記載の筒形ピスト
    ン。
  5. 【請求項５】 前記環状リブ（８）がボス（９）に移行
    する範囲に、半径方向外側でわずかなくびれ部（１２）
    が加工成形されている、請求項１から４までのいずれか
    １項記載の筒形ピストン。
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