JP3109764B2 - 繊維立毛シート状物 - Google Patents

繊維立毛シート状物

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  • Textile Engineering (AREA)
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  • Laminated Bodies (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コントラスト感、多色
感を有し、かつ柔軟で適度の伸縮性があり、形態安定性
に優れた繊維立毛シート状物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリアミド極細繊維やポリエステ
ル極細繊維と弾性重合体からなる染色された立毛シート
状物は数多く提案されており、中でもポリアミド極細繊
維と弾性重合体からなる立毛シート状物は、ポリエステ
ル極細繊維と弾性重合体からなるものに比べてしっとり
とした感触で、発色性や外観、風合いに優れることから
各種用途に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、商品の感性に対
する要求度は年々高まり、これまでにない外観を有し、
かつ柔軟で形態安定性に優れた立毛シート状物が要求さ
れるようになった。特に単一の色調に着色された単調な
ものから、異なった色調が微妙に混合した多色感のある
立毛シート状物に対する要求も高まって来ている。従来
のポリアミド極細繊維と弾性重合体からなる立毛シート
状物は、ポリアミドと弾性重合体の主成分であるポリウ
レタンの染色性が似通っているため、類似の色調にしか
染色できず、単調なものしか得られていなかった。ま
た、ポリエステル極細繊維と弾性重合体からなる立毛シ
ート状物は、ポリエステルとポリウレタンの染色性は異
なるものの、ポリウレタンに付着した分散染料の除去の
ため、還元洗浄を行わなければならず、さらに、ポリア
ミド極細繊維のものに比べて風合いがかたいという難点
があった。本発明は、柔軟で適度の伸縮性があり、しか
もコントラスト感、多色感を有する繊維立毛シート状物
を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリアミド極
細繊維の束状繊維と弾性重合体とからなり、少なくとも
片面にポリアミド極細繊維の立毛を有する染色されたシ
ート状物であって、該ポリアミド極細繊維の少なくとも
一部はカチオン可染ポリアミドであり弾性重合体とは異
なった色に染色されていることを特徴とする繊維立毛シ
ート状物、であり、また、ポリアミド極細繊維の束状繊
維と弾性重合体とからなり、少なくとも片面にポリアミ
ド極細繊維の立毛を有する染色されたシート状物であっ
て、該ポリアミド極細繊維はカチオン可染ポリアミドと
カチオン可染ポリアミドとは染色性を異にする少なくと
も1種のポリアミドであり該カチオン可染ポリアミドは
弾性重合体とは異なった色に染色されていることを特徴
とする繊維立毛シート状物である。
【0005】本発明の立毛シート状物を構成する極細繊
維の束状繊維は、極細繊維成分と溶解あるいは分解除去
可能なマトリックス成分よりなる極細繊維発生型繊維か
らマトリックス成分を溶解あるいは分解除去することに
よって得られる。極細繊維を構成するポリアミドは、ス
ルホン酸基を導入した6−ナイロンまたは66−ナイロ
ンであり、これらはスルホイソフタル酸を共重合するな
ど従来公知の方法で得ることができる。ポリアミドに
は、樹脂の熱安定性向上剤等を添加することもできる。
マトリックスを構成するポリマ−は、ポリアミドと溶剤
に対する溶解性あるいは分解性を異にし、親和性の小さ
いポリマ−であり、例えばポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレンプロピレン共重合体、エチレン酢酸ビニル
共重合体、ポリスチレン、スチレンアクリル共重合体、
スチレンエチレン共重合体などのポリマ−から選ばれた
少なくとも一種類のポリマ−である。
【0006】極細繊維発生型繊維中に占めるポリアミド
成分の割合は、40〜80重量%であって、繊維断面中のポ
リアミド極細繊維成分5本以上、好ましくは40〜800本
の範囲にあることが好ましい。また、極細繊維の平均単
繊度は、0.005〜0.05drであることが好ましく、平均単
繊度が0.005drより細いと発色性に劣り、0.05drより大
きくなると、発色性には優れるが、立毛の外観がラフな
感じとなり高級感に劣るものとなる。極細繊維発生型繊
維は、島成分のポリアミドと海成分のポリマ−のチップ
を混合し同一溶融系で溶融した混合溶融物を口金より押
し出して紡糸する方法、別々の溶融系で溶融して分割統
合を繰り返すかあるいは紡糸口金部でポリアミドを複数
の口金から海成分中へ合流させ海島状で紡糸する方法に
より得られるが、本発明の平均単繊度が0.005〜0.05dr
の極細繊維束を得るためには、同一溶融系で溶融紡糸す
る方法が優れている。極細繊維の単繊度は、紡糸温度に
おけるポリアミドと海成分の溶融粘度差を調節し島数を
変更したり、極細繊維発生型繊維の繊度、海島比率など
を変更することにより所望の太さとすることができる。
極細繊維発生型繊維は、必要に応じて延伸、熱固定、カ
ットなどの処理工程をへて、繊度1〜15デニ−ルの繊維
とする。
【0007】繊維はカ−ドで解繊し、ウエバ−を通して
ランダムウエブまたはクロスラップウエブを形成し、所
望の重さ、厚さに積層する。ついで公知の方法にてニ−
ドルパンチあるいは水流絡合処理を行い、絡合不織布と
する。次に繊維絡合不織布に弾性重合体液を含浸、凝固
する。繊維絡合不織布に含浸する弾性重合体液は、ポリ
ウレタンを主体とする弾性重合体の溶液あるいは分散液
である。含浸に用いるポリウレタンとしては、従来公知
のものが使用できるが、柔軟な風合いの製品を得るため
には、乾式皮膜としたときの100%伸長時応力が0.20〜
1.00kg/mm2のポリウレタンであることが望ましい。弾
性重合体液には、必要により更に着色剤、凝固調節剤、
離型剤、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、耐光安定剤、な
どから選ばれた添加剤を配合して含浸用の重合体組成液
とする。繊維絡合不織布に上記含浸用の組成液を含浸
し、重合体の非溶剤で処理し湿式凝固し、必要に応じて
洗浄し、乾燥する。含浸する弾性重合体の量は、固形分
としてシート状基材の10〜50重量%が好ましい。この範
囲を外れると、製品の腰がなくなったり、ふくらみ感が
得られなくなったりする。
【0008】次に、ポリアミド及び基体に含浸された弾
性重合体に対しては非溶剤であり、かつ極細繊維発生型
繊維の海成分に対しては溶剤または分解剤である処理液
で処理することにより、極細繊維発生型繊維をポリアミ
ド極細繊維束に変性し、極細繊維絡合不織布とポリウレ
タンを主体とした重合体からなる繊維質基体とする。次
に繊維質基体は、スライスあるいはバフィングなどによ
り所望の厚さに厚み合わせを行い、少なくとも一面に極
細繊維を主体とした繊維立毛面を形成させる。繊維立毛
を形成させる方法は、サンドペ−パ−によるバフィン
グ、針布起毛等既存の起毛方法により行うことができ
る。
【0009】得られた立毛シート状物は、染色仕上げす
る。染色は、カチオン可染ポリアミドと、他の部分を異
なった色調に染色する。使用する染料は、得られた立毛
シート状物のコントラスト感や染色堅牢度の点で、カチ
オン染料と、酸性染料および/または含金錯塩染料で染
色する。これらの染料による染色は、別々の染料液で染
色してもよく、また、沈殿防止剤を併用することにより
一浴で染色してもよい。染色後、必要に応じてソーピン
グやタンニン処理を行うこともできる。また、染色後の
シートを濡れた状態でブラシ処理することも堅牢度向上
のために好ましい。染色した立毛繊維質基体は、必要に
応じて耐光処理、揉み、柔軟化処理、ブラッシングなど
の仕上げ処理を行い、繊維立毛シート状物の製品とす
る。
【0010】本発明の立毛シート状物を構成する極細繊
維は、カチオン可染ポリアミドのみであってもよく、ま
た、レギュラーポリアミドとの混用であってもよい。カ
チオン可染ポリアミド単独の場合には、表面の繊維部分
と、弾性重合体からなる地の部分との色調が異なり、あ
たかもスラビアン加工調織物、毛先プリント調織物に見
られるような外観を有する。レギュラーポリアミドを混
用した場合には、立毛の一部の色調が異なったものとな
り、離れて見ると両者の色調が混然一体となり微妙な色
調の多色感を有するものとなる。レギュラーポリアミド
を混用する場合は、カチオン可染ポリアミド極細繊維発
生型繊維とレギュラーポリアミド極細繊維発生型繊維
を、延伸・捲縮前、カード投入前あるいはウエブ状で積
層する等任意の工程において混用することができる。混
合比率は、所望する立毛シート状物の多色感により適宜
調節する。カチオン可染ポリアミドとレギュラーポリア
ミドを極細繊維成分とする極細繊維発生型繊維を用いた
場合には、2色の混合状態があまりにも微細になりすぎ
るため、異色感に劣るものとなる。
【0011】本発明の繊維立毛シート状物は、柔軟で適
度の伸縮性があり、しかもコントラスト感、多色感を有
する繊維立毛シート状物である。
【実施例】次に本発明の実施を具体的に実施例で説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでな
い。尚、実施例中の部及び%は断りのない限り、重量に
関する物である。
【0012】実施例1 スルホン酸基を導入した6−ナイロン50部、ポリエチレ
ン50部を混合、溶融、押出ししてナイロンが島成分、ポ
リエチレンが海成分となった繊度10デニールの多成分繊
維を得た。該繊維を2.2倍に延伸、捲縮して繊維長51m
mに切断した。この繊維をカードで開繊した後ランダム
ウエブとし、ニードルパンチを行い絡合し、目付760g
/m2の不織布とした。この不織布にポリエーテル系ポリ
ウレタンを主体とする組成物13部、凝固調節剤0.5部、
ジメチルホルムアミド86.5部の組成液を含浸し、凝固、
水洗し、次いでトルエン中でポリエチレンを溶解除去し
て、厚さ1.4mmのシート状基材を得た。このシート状基
材を厚さの中間で2分割し、分割面をサンドペーパーで
バフィングして厚さを0.6mmとした後、凝固時の表面を
エメリーバフ機で処理して立毛面を形成し、下記組成の
染色液で染色し、ソーピング、水洗し、乾燥、整毛して
厚さ0.6mm、目付220g/m2の繊維立毛シート状物を得
た。得られた繊維立毛シート状物はコントラスト感を有
し、かつ柔軟性に優れたものであった。 カチオン染料:エストロールレッドN−GSL(住友化学) 3%owf 金属錯塩染料:ラニールブルーBW(住友化学) 3%owf 酢酸 1%owf 無水酢酸ナトリウム 0.5%owf 沈殿防止剤 1%owf
【0013】実施例2 6−ナイロン50部、ポリエチレン50部を混合、溶融、押
出ししてナイロンが島成分、ポリエチレンが海成分とな
った繊度10デニールの多成分繊維を得た。該繊維を2.
4倍に延伸、捲縮して繊維長51mmに切断した。この繊維
と実施例1の繊維を同量混綿し、実施例1と同様にして
染色前の立毛シートを得た。この立毛シートを下記組成
の染色液で染色し、ソーピング、水洗し、乾燥、整毛し
て厚さ0.6mm、目付220g/m2の繊維立毛シート状物を得
た。得られた繊維立毛シート状物はコントラスト感を有
し、かつ柔軟性に優れたものであった。 カチオン染料:エストロールレッドN−GSL(住友化学) 1.5%owf 金属錯塩染料:ラニールブルーBW(住友化学) 3%owf 酢酸 1%owf 無水酢酸ナトリウム 0.5%owf 沈殿防止剤 1%owf
【0014】
【発明の効果】本発明の繊維立毛シート状物は、柔軟な
風合いとこれまでにない独特の外観を有し、衣料、手
袋、靴、袋物などに好適である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミド極細繊維の束状繊維と弾性重
    合体とからなり、少なくとも片面にポリアミド極細繊維
    の立毛を有する染色されたシート状物であって、該ポリ
    アミド極細繊維の少なくとも一部はカチオン可染ポリア
    ミドであり弾性重合体とは異なった色に染色されている
    ことを特徴とする繊維立毛シート状物。
  2. 【請求項2】 ポリアミド極細繊維の束状繊維と弾性重
    合体とからなり、少なくとも片面にポリアミド極細繊維
    の立毛を有する染色されたシート状物であって、該ポリ
    アミド極細繊維はカチオン可染ポリアミドとカチオン可
    染ポリアミドとは染色性を異にする少なくとも1種のポ
    リアミドであり該カチオン可染ポリアミドは弾性重合体
    とは異なった色に染色されていることを特徴とする繊維
    立毛シート状物。
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