JP3109763B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP3109763B2
JP3109763B2 JP04100375A JP10037592A JP3109763B2 JP 3109763 B2 JP3109763 B2 JP 3109763B2 JP 04100375 A JP04100375 A JP 04100375A JP 10037592 A JP10037592 A JP 10037592A JP 3109763 B2 JP3109763 B2 JP 3109763B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、柔軟でかつ高い表面硬
度を有するだけでなく、加工性、耐候性に優れ、透明感
のある熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来成形材料として使用されるアクリル
系樹脂はその特長である透明性、発色性、耐候性、表面
硬度などの特性を生かして各種材料に用いられている。
特に発色性の良い耐候性樹脂として、屋外で使用される
ことも多く、蛍光灯カバーなどの透明感のある材料など
に利用されている。また加熱すると分解して単量体にな
るために、リサイクル性のある材料としての研究も行わ
れている。しかしながら、アクリル樹脂は一般に柔軟性
に乏しく、衝撃強度が低いため、柔軟性を改良する目的
で多くの研究がなされている。
【0003】またオレフィン系樹脂やオレフィン系エラ
ストマーは、その柔軟性、押出加工性等を利点として
えば自動車のバンパー、コンソールパネル表面などの
成形材料に使用されてきたが、極性基を持たないために
塗装性、印刷性、着色時の発色性に劣り、加工する際に
色の種類を選べないのが実状である。また、加工性は比
較的よいが、射出成形などの比較的せん断力の高い成形
方法では成形しにくいことや、柔軟性と相反して表面硬
度が低く、耐擦傷性などに劣るなどの問題もある。しか
し最近の環境問題への関心の高まりによってリサイクル
性のある材料が注目を浴びるようになり、オレフィン系
ポリマーに関してもその改良の研究が鋭意検討されてい
る。
【0004】これらの両方の樹脂が特徴として有する物
性をある程度満足させられる樹脂として、ABS樹脂、
耐衝撃性アクリル樹脂などがあるが、どちらも耐衝撃性
を付与するためのゴム成分がその主鎖中に化学的に不安
定な二重結合を有するために耐候性に劣ることが知られ
ている。その耐候性を満足させるためにAES樹脂、ア
クリル酸エステル系ゴムを分散させたアクリル樹脂など
が検討されているが、物性とコストのバランスから使用
される用途が限定されている。
【0005】一方、塩化ビニル系ポリマーは、オレフィ
ン系ポリマーと並んで安価でかつ広い用途に使用される
ポリマーで、可塑剤の量により硬度、力学物性をコント
ロールすることができるため、実際に高硬度、透明性を
要求されるアクリル樹脂と競合する分野から、低硬度、
柔軟性を要求されるポリオレフィンの分野に至る多くの
材料に利用され、その低コスト性から有利性を発揮して
きた。ところが、塩化ビニル系ポリマーは元来加工性が
悪く、多くの可塑剤を必要とする。その可塑剤は経時変
化により表面に析出する現象(ブリードアウト)の問題
を抱えている。またこのポリマーは加熱によりハロゲン
含有分解生成物を生成し、そのためにリサイクルするこ
とが現実的に困難であることからその代替が求められて
いる。
【0006】そこで互いに非相溶性のアクリル系樹脂と
オレフィン系ポリマーを相溶化することができれば、ア
クリル樹脂の持つ耐候性、表面硬度、透明感などを保持
しつつ、これにさらにオレフィン系ポリマーの持つ柔軟
性、加工性、低温特性などの性質を付与することができ
るはずである。しかし2種類以上の互いに非相溶性のポ
リマーを、これらのポリマーのいずれかと部分的に相溶
性を有する第3のポリマーを用いて相溶化することは、
いくつかの特殊タイプの混合物の系では知られているも
のの、上記のような樹脂混合系で相溶化に成功した例は
これまで知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかして、本発明の目
的は、アクリル樹脂の持つ耐候性、表面硬度、透明感な
どを保持しつつ、これに柔軟性、加工性、低温特性など
の性質を付与したリサイクル性のある新規な熱可塑性樹
脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らの検討の結
果、上記課題は、オレフィン系ポリマーとして熱可塑性
ブロック共重合体の水添物を用い、この熱可塑性ブロッ
ク共重合体の水添物と、アクリル系樹脂の混合物に対し
て、特定の反応性樹脂を配合することにより解決される
ことが見出された。
【0009】すなわち本発明によれば、(A):アクリ
ル系樹脂10〜90重量%、(B):芳香族ビニル単量
体からなる数平均分子量が3000〜80000のブロ
ック(a)と、イソプレン及び/又はブタジエンからな
る数平均分子量が20000〜200000のブロック
(b)から構成され、その芳香族ビニル単量体からなる
成分が(a)と(b)の重量合計に対して10〜60重
量%の割合で含まれる、数平均分子量が30000〜3
00000の熱可塑性ブロック共重合体の水添物90〜
10重量%からなる樹脂組成100重量部に対して、重
量比が10/90〜90/10の範囲の(C):分子鎖
の末端に水酸基、又は一級もしくは二級のアミノ基を
するアクリル系樹脂、及び(D):芳香族ビニル単量体
からなるブロックと、イソプレン及び/又はブタジエン
からなるブロックから構成され、カルボキシル基を有す
熱可塑性ブロック共重合体の水添物を合計量で0.2
〜50重量部配合してなる熱可塑性樹脂組成物が提供さ
れる。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明において、(A)成分として用いら
れるアクリル系樹脂は、メタクリル酸メチルの単独のポ
リマー、あるいはメタクリル酸メチルを主成分として他
の共重合性を有する単量体を少量共重合させたコポリマ
ーであり、その製造方法には特に制限はない。用いうる
共重合成分としては、アクリル酸、アクリル酸金属塩、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−
ブチル、アクリル酸s−ブチル、アクリル酸t−ブチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エ
ステル類、メタクリル酸、メタクリル酸金属塩、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸
s−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2
−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタク
リル酸シクロヘキシルなどのメタクリル酸エステル類、
酢酸ビニルなどの酢酸エステル類、スチレン、α−メチ
ルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、無水マレイン
酸、マレイン酸モノ、及びジアルキルエステル類、N−
フェニルマレイミドなどのマレイミド類などが挙げら
れ、これらは1種以上を任意の組合せで、かつ任意の比
率で使用することができる。メタクリル酸メチルとの共
重合比率は、アクリル樹脂の持つ性質を大きく変化させ
ないことが必要で、具体的には0.01〜30重量%程
度の使用が可能である。
【0012】(B)成分として用いられる熱可塑性ブロ
ック共重合体の水添物は、芳香族ビニル単量体からなる
ブロック(a)と、イソプレン及び/又はブタジエンか
らなるブロック(b)から構成される。ここで用いられ
る芳香族ビニル単量体は、スチレン、α−メチルスチレ
ンなどであり、これらは単独で、もしくは2種以上を組
み合わせて使用することができる。
【0013】芳香族ビニル単量体からなるブロック
(a)は、数平均分子量が3000〜80000の範囲
にあることが必要であり、さらに該ブロック(a)はブ
ロック(b)との合計重量に対する割合で10〜60重
量%の範囲にあることが必要であり、これにより(B)
成分である熱可塑性ブロック共重合体の水添物の熱可塑
性が保持される。なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物が
柔軟性を必要とする場合に は、ブロック(a)の数平均
分子量、及びブロック(a)のブロック(b)との合計
重量に対する割合を低く設定し、逆に硬度や強度を必要
とする場合には大きく設定すればよい。
【0014】ブロック(a)の数については任意に決定
することができるが、これがあまり大きい場合は製造工
程が複雑になるため、1または2程度にすることが好ま
い。
【0015】イソプレン及び/又はブタジエンからなる
ブロック(b)は数平均分子量が20000〜2000
00の範囲にあることが必要であり、これにより(B)
成分である熱可塑性ブロック共重合体の水添物の熱可塑
性が保持される。ブロック(b)の数平均分子量が上記
の範囲を越えて大きいと、(B)成分である熱可塑性ブ
ロック共重合体の水添物が流動性を損なうため、好まし
くない。
【0016】ブロック(b)において、イソプレンとブ
タジエンはそれぞれ単独で用いることも、または両者を
任意の比率で共重合させることもでき、この場合ランダ
ム、及びブロックのどちらの構造であってもよい。イソ
プレンはブタジエンに比べてメチル基の分岐を有するた
めに分子運動性がブタジエンのそれに比べて高いので、
イソプレンの比率が高いものはより柔軟な、またブタジ
エンの比率が高いものはより硬いエラストマーとしての
性質を持つので、任意の選択によってエラストマーの性
質を決定することが可能である。またこのブロックの
熱、耐候性を向上させるために水添を行うが、ガラス転
移温度がほとんど変化しないために熱可塑性のエラスト
マーの性質を保持することができる。望む耐熱性、耐候
性を得るために、水添率は70%以上であることが好ま
しい。
【0017】該熱可塑性ブロック共重合体の水添物を合
成する方法は、通常行われる有機アルカリ金属触媒を用
いるアニオンリビング重合などによりポリマーを得、つ
いでこれを水添することによって得られる。例えば、n
−ブチルリチウム、s−ブチルリチウムなどのアニオン
重合開始剤を用いてヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサ
ンなどの飽和脂肪族炭化水素化合物、またはベンゼン、
トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物を溶媒
に用いて30から60℃の温度条件下で、芳香族ビニル
単量体をアニオン重合させることによりリビングポリマ
ーを製造し、続いてイソプレン、ブタジエンなどの共役
ジエン系単量体を系内に滴下して重合を行い、場合によ
ってはさらに再び芳香族ビニル単量体を系内に滴下して
ブロック共重合体を製造する。この操作を繰り返すと多
元ブロックポリマーを製造することができる。こうして
得られたリビングポリマーを、1,2−ジブロモエタ
ン、1,4−ジブロモブタン、1,4−ジクロロベンゼ
ンなどのジハロゲン化合物や、四塩化錫などの錫化合物
などによってカップリング処理することでも多元ブロッ
クポリマーを得ることができる。あるいは重合開始剤に
1,4−ジリチオブタン、ジリチオナフタレンなどの2
官能性アニオン重合開始剤を用いると、共役ジエン系単
量体、続いて芳香族ビニル単量体の順に添加することで
3元ブロック共重合体が製造される。またこの操作を繰
り返すことで多元ブロックポリマーを製造することがで
きる。重合を行う際に、共触媒としてジメチルエーテ
ル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ンなどのエーテル類、エチレングリコールジメチルエー
テル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグ
リコールエーテル類、トリエチルアミン、N,N,
N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N−メチ
ルモルホリンなどのアミン類等ルイス塩基を、重合
始剤の金属カチオンのモル数に対して概ね0.1〜10
00倍の範囲で用いた場合は、イソプレン及び/又はブ
タジエンからなるブロックのミクロ構造が変化し、ビニ
ル結合を含有するようになる。このビニル構造単位が4
0%以上になると室温付近にガラス転移温度を持つよう
になり、室温付近での制振性能を付与することができる
(特開平2−102212号公報参照)。そして、所望
の分子量に達したところでアルコール類、カルボン酸
類、水などの活性水素化合物を添加して重合を停止す
る。
【0018】続いて、得られた共重合体を水添すること
で該熱可塑性ブロック共重合体の水添物を製造する。水
添触媒としては均一系触媒、または不均一系触媒を用い
ることができる。均一系触媒を用いる場合、有機遷移金
属触媒(例えばニッケルアセチルアセトナート、コバル
トアセチルアセトナート、ナフテン酸ニッケル、ナフテ
ン酸コバルトなど)とアルミニウム、アルカリ金属、ア
ルカリ土類金属などの金属のアルキル化物との組合せに
よるチーグラー触媒などを、水添に供される重合体の二
重結合当り0.01〜0.1mol%程度使用する。水
添反応は常温〜150℃、常圧〜50kg/cm2 の水
素圧下で行われ、約1〜50時間で終了する。反応終了
後、容器中に酸性の水を加え、激しく撹拌させることで
水添触媒を水中に溶解させる。相分離している2相のう
ちの水相を除去し、さらに溶媒を留去することで、目的
の熱可塑性ブロック共重合体の水添物を得る。
【0019】不均一触媒を用いる場合、ニッケル、コバ
ルト、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、白金などを
単独もしくはこれらをシリカ、ケイソウ土、アルミナ、
活性炭などに担持して用い、その量は重合体重量に対し
て0.5〜10重量%が適当である。これを重合反応液
に加える。また、この際、ジエチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、エタノー
ル、イソプロパノールなどのアルコール類も混合溶媒と
して用いることができる。水添反応は常温〜250℃、
常圧〜200kg/cm2 の水素圧下で行われ、約1〜
50時間で終了する。反応終了後、容器から反応生成物
を取り出し、触媒を濾別し、得られた濾液から溶媒を留
去することで、目的の熱可塑性ブロック共重合体の水添
物を得る。
【0020】こうして得られた(A)成分及び(B)成
分に対して(C)成分として、分子鎖末端に水酸基、ま
たは一級もしくは二級のアミノ基を有するアクリル系樹
脂、及び(D)成分として、芳香族ビニル単量体による
ブロックとイソプレン及び/又はブタジエンからなるブ
ロックから構成され、カルボキシル基を有する熱可塑性
ブロック共重合体の水添物を配合することで熱可塑性樹
脂組成物を得る。この(C)成分及び(D)成分は、分
子鎖末端に水酸基、または一級もしくは二級のアミノ基
を有するアクリル系樹脂(C)が(A)成分に対する親
和性が高く、芳香族ビニル単量体からなるブロックとイ
ソプレン及び/又はブタジエンからなるブロックから構
成され、カルボキシル基を有する熱可塑性ブロック共重
合体の水添物(D)が(B)成分に対する親和性が高
く、かつ(C)成分及び(D)成分それぞれがお互いに
対して反応性を持つことから、混練中に相溶化剤を形成
して相溶化効果を持つものである。
【0021】(C)成分は、(A)成分について述べた
のと基本的に同様のポリマーであり、メタクリル酸メチ
ルの単独ポリマー、あるいはメタクリル酸メチルを主成
分とし、これに(A)成分で使用されるのと同様の共重
合性を有する単量体を少量共重合させたコポリマーであ
る。このメタクリル酸メチルと共重合される単量体は、
その1種以上を任意の組合せで、かつ任意の比率で使用
することができるが、(A)成分になるべく近い組成で
あることが好ましい。酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト
ン、メチルエチルケトンなどの飽和カルボニル化合物、
トルエン、キシレンなどの炭化水素化合物を必要に応じ
て溶媒として用い、メタクリル酸メチルの単独、あるい
はメタクリル酸メチル及びこれと共重合性を有する単量
体を、チオール化合物(末端に水酸基を導入するのであ
れば2−ヒドロキシエタンチオールなどのヒドロキシル
基含有チオール化合物、アミノ基を導入するのであれば
2−アミノエタンチオールなどのアミノ基含有チオール
化合物など)の存在下、通常のラジカル重合開始剤、例
えば2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′
−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などの有機ア
ゾ化合物等を用いて常温〜100℃で、3〜30時間重
合を行うことにより、(C)成分の分子鎖の末端に水酸
基、または一級もしくは二級のアミノ基を導入する。こ
うして得られる分子鎖の末端に水酸基、又は一級もしく
は二級のアミノ基を有するアクリル系樹脂の分子量につ
いて厳密な意味での限定はないが、これがいたずらに大
きすぎると(D)成分のカルボキシル基を有する熱可塑
ブロック共重合体の水添物との反応性が低下し、所望
の相溶化効果を発揮できなくなる場合があるので、数平
均分子量で10000〜80000の範囲内にあるのが
好ましい。
【0022】また、その分子鎖の末端に導入すべき官能
基は水酸基、又は一級もしくは二級のアミノ基のいずれ
であってもよいが、該熱可塑性樹脂組成物中では官能基
濃度として非常に低いためカルボキシル基との反応性が
より高い官能基を選択することが重要である。従って
(D)成分中のカルボキシル基との反応性を高め、より
効果を明確にするためには、(C)成分の末端に導入す
べき官能基は一級のアミノ基であることが最も好まし
い。
【0023】(D)成分は、芳香族ビニル単量体からな
るブロックとイソプレン及び/又はブタジエンからなる
ブロック共重合体の水添物と、例えば、無水マレイン
酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの二塩基性
不飽和酸無水物とを、必要に応じてトルエン、キシレ
ン、シクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒中で、さらに
必要に応じてベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパー
オキサイド、ジ(t−ブチル)パーオキサイドなどの過
酸化物触媒をブロック共重合体の水添物に対して0.0
1〜1重量%添加して、常温〜200℃、1〜100時
間撹拌して反応させることにより得られる。
【0024】酸無水物と反応させる前のブロック共重合
体は、(B)成分の製造方法の詳細で述べた方法と同様
の方法で製造され、通常行われる有機アルカリ金属触媒
を用いるアニオンリビング重合などによって合成された
(B)成分に類似なポリマーを水添して得られる。その
構造は、芳香族ビニル単量体からなるブロックが(B)
成分の芳香族ビニル単量体からなるブロック(a)と、
さらにイソプレン及び/又はブタジエンからなるブロッ
クが(B)成分のイソプレン及び/又はブタジエンから
なるブロック(b)と同じあるいは類似な分子量である
ことが好ましい。また70%以上水添することにより耐
熱性、耐候性に優れ、かつ(B)成分と類似の分子構造
を有することにより相溶化効果において優れたものとす
ることができる。
【0025】また、(C)成分と(D)成分の使用比率
は、相溶化剤としての効果をより明確にするには
(A)、(B)両成分の組成により近い比率がよく、具
体的には(C)/(D)(重量比)として10/90〜
90/10の範囲で、より好ましくは25/75〜75
/25の範囲で用いられる。
【0026】(C)成分と(D)成分の合計の使用量は
相溶化剤として十分な機能を発揮できる量であればよい
が、その量が多くなりすぎると、(A)、(B)各成分
に比べて(C)、(D)各成分の製造コストがかかるこ
とから、(A)、(B)両者の組成100重量部に対し
て0.2〜50重量部の範囲で用いられる。
【0027】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、充填剤、
顔料などの各種添加剤を任意に含有することができる。
その例を示すならば、例えばアルミナ、タルク、カーボ
ンブラック、マイカ、ゼオライト、ガラス繊維、炭素繊
維、フェライト、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム
など一般の充填剤や、染料、顔料、難燃剤、紫外線吸収
剤、その他機能性添加剤として用いられる有機系、また
は無機系添加剤などである。またその添加量は一般に用
いられる量の範囲であり、例えば全樹脂組成物100重
量部に対して0.001〜50重量部、または場合によ
り、これ以上の量を用いることができる。さらに本発明
の樹脂組成物は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポ
リオレフィン類、ポリブテン、ポリイソブチレン、プロ
セスオイル等のオレフィン系可塑剤を、物性を損なうこ
とのない程度含有することができる。
【0028】組成物を構成する成分の混合の方法は従来
の慣用の方法で行うことができ、特に制限を受けるもの
ではない。例えば通常の押出機、ニーダーなどの溶融混
練機によって溶融状態で混合する方法で行うことができ
る。またその際、(A)、(B)、(C)、及び(D)
の各成分を同時に溶融混練してもよく、またあらかじめ
任意の選択によって2者または3者を溶融混練した物に
対して残りの成分を溶融混練してもよい。混練条件は、
各原料樹脂が溶融流動し、かつ十分な反応を起こしうる
温度及びせん断状態の実現され、しかも劣化を起こさな
い範囲の温度、及びせん断状態で混練することが必要で
ある。混練機によって良好なせん断状態を実現する条件
が違うので一概には例示できないが、温度については具
体的には150〜300℃の範囲であり、より好適には
180〜280℃である。
【0029】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。なお、各実施例における部は重量部を表す。また
各物性は次に示す方法によって求めた。 (1)酸価:0.1N−水酸化カリウムエタノール溶液
にて直接滴定した。 (2)アミノ価:0.01N−塩酸メタノール溶液にて
直接滴定した。 (3)引張物性試験:JISK−7113に準拠して、
ダンベル2号試験片を用いて測定し、評価した。 (4)硬度:ASTMD−2240、またはJISK−
6301に準拠して測定し、評価した。 (5)耐油性試験:室温でJIS2号オイル中に120
時間浸漬し、外観の変化を目視により評価した。 (6)鉛筆擦傷性:JISK−5400に準拠した方
法、装置により擦傷性を評価した。
【0030】なお本発明に用いる芳香族ビニル単量体か
らなるブロックとイソプレン及び/又はブタジエンから
なるブロックから構成される熱可塑性ブロック共重合体
の水添物は、以下のようにして製造した。
【0031】熱可塑性ブロック共重合体の水添物(1)
の製造 撹拌機及び滴下漏斗の付属した耐圧反応容器にシクロヘ
キサン500部及びs−ブチルリチウム11部を仕込
み、50℃に昇温して、滴下漏斗よりスチレン60部を
連続的に仕込み、次いでイソプレン280部を連続的に
仕込み、その後にスチレン60部を連続的に仕込んで8
時間重合を行った。その後反応系の雰囲気を水素で置換
し、ケイソウ土担持ニッケル触媒を25部加えて15k
g/cm2の水素圧下、150℃で10時間反応させ
た。反応生成物をシクロヘキサンで希釈して触媒を濾別
し、次いで濾液を減圧下で濃縮乾燥して熱可塑性ブロッ
ク共重合体の水添物(以下、水添ブロック共重合体1と
略称する)を得た。NMRの分析より、スチレン−イソ
プレン−スチレンの3元ブロック共重合体であり、スチ
レン含有量は30.3%であることを確認した。またG
PCの分析から、スチレンブロックの数平均分子量は
8,300、イソプレンブロックの数平均分子量は3
8,500、全体の数平均分子量は55,000であっ
た。ヨウ素価による水添率は95.6%で、NMRによ
るベンゼン環の水添率は1.2%であった。
【0032】熱可塑性ブロック共重合体の水添物(2)
の製造 撹拌機及び滴下漏斗の付属した耐圧反応容器にシクロヘ
キサン500部及びs−ブチルリチウム9部を仕込み、
50℃に昇温して、滴下漏斗よりスチレン120部を連
続的に仕込み、次いでイソプレン160部を連続的に仕
込み、その後にスチレン120部を連続的に仕込んで7
時間重合を行った。その後反応系の雰囲気を水素で置換
し、ケイソウ土担持ニッケル触媒を20部加えて15k
g/cm2 の水素圧下、150℃で7時間反応させた。
反応生成物をシクロヘキサンで希釈して触媒を濾別し、
次いで濾液を減圧下で濃縮乾燥して熱可塑性ブロック共
重合体の水添物(以下、水添ブロック共重合体2と略称
する)を得た。NMRの分析により、スチレン−イソプ
レン−スチレンの3元ブロック共重合体であり、スチレ
ン含有量は61.1%であることを確認した。またGP
Cの分析から、スチレンブロックの数平均分子量は2
1,400、イソプレンブロックの数平均分子量は2
7,200、全体の数平均分子量は70,000であっ
た。ヨウ素価による水添率は93.2%で、NMRによ
るベンゼン環の水添率は3.2%であった。
【0033】熱可塑性ブロック共重合体の水添物(3)
の製造 撹拌機及び滴下漏斗の付属した耐圧反応容器にシクロヘ
キサン500部及びs−ブチルリチウム9部を仕込み、
50℃に昇温して、滴下漏斗よりスチレン60部を連続
的に仕込み、次いでイソプレン280部を連続的に仕込
み、その後にスチレン60部を連続的に仕込んで10時
間重合を行った。その後反応系の雰囲気を水素で置換
し、ケイソウ土担持ニッケル触媒を30部加えて15k
g/cm2の水素圧下、150℃で10時間反応させ
た。反応生成物をシクロヘキサンで希釈して触媒を濾別
し、次いで濾液を減圧下で濃縮乾燥して熱可塑性ブロッ
ク共重合体の水添物(以下、水添ブロック共重合体3と
略称する)を得た。NMRの分析により、スチレン−イ
ソプレン−スチレンの3元ブロック共重合体であり、ス
チレン含有量は31.5%であることを確認した。また
GPCの分析から、スチレンブロックの数平均分子量は
10,900、イソプレンブロックの数平均分子量は4
7,300、全体の数平均分子量は69,100であっ
た。ヨウ素価による水添率は98.0%で、NMRによ
るベンゼン環の水添率は0.8%であった。
【0034】次に、本発明に用いる分子鎖末端にアミノ
基を有するアクリル系樹脂、及びカルボキシル基を有す
熱可塑性ブロック共重合体の水添物は、以下のように
して製造した。
【0035】分子鎖の末端にアミノ基を有するアクリル
重合体の製造 撹拌機と滴下漏斗の付属した耐圧反応容器に酢酸エチル
300部を仕込み、次いで2−アミノエタンチオール
6.2部、メタクリル酸メチル200部、アゾビスイソ
ブチロニトリル9.9部を順次仕込んで70℃に昇温、
10時間重合を行った。得られた重合液をn−ヘキサン
中に滴下し、沈殿物を濾別、減圧乾燥して分子鎖の末端
にアミノ基を有するポリメタクリル酸メチルを得た。G
PCによる分子量は38,400、アミノ価によるアミ
ノ基含有量は1分子当り1.21個であった。
【0036】カルボキシル基変性熱可塑性ブロック共重
合体の水添物(1)〜(3)の製造 撹拌機の付属した耐圧反応容器中にキシレン30部、
記で得られた水添ブロック共重合体1〜3を300部、
無水マレイン酸8部を仕込み、230℃で20時間反応
させた。得られた反応物を120℃、24時間減圧乾燥
し、溶媒、未反応無水マレイン酸を除去して、それぞれ
酸価が2.21、2.17、2.08(単位:KOHm
g/g)であるカルボキシル基を有する熱可塑性ブロッ
ク共重合体の水添物を得た(以下、変性ブロック共重合
体1〜3と略称する)
【0037】〔実施例1〜5、比較例1〜3〕 キサーにて表に示す配合に従って各構成成分を混合
し、窒素雰囲気下、200℃、200rpmの2軸押出
機中に供給、溶融混合した。得られた混合物を射出成形
機で各種試験片に成形して測定した物性を表に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、アクリル系樹脂および
熱可塑性ブロック共重合体の水添物に対して、互いに反
応性を有する反応性アクリル系樹脂、及び反応性熱可塑
性ブロック共重合体の水添物を配合し、同時に混練を行
うことにより、柔軟でかつ高い表面硬度を有するだけで
なく、加工性と耐候性に優れ、透明感のある熱可塑性樹
脂組成物が提供される。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 33/00 - 33/12 C08L 53/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A):アクリル系樹脂 (B):芳香族ビニル単量体からなる数平均分子量が3
    000〜80000のブロック(a)と、イソプレン及
    び/又はブタジエンからなる数平均分子量が20000
    〜200000のブロック(b)から構成され、その芳
    香族ビニル単量体からなる成分が(a)と(b)の重量
    合計に対して10〜60重量%の割合で含まれる、数平
    均分子量が30000〜300000の熱可塑性ブロッ
    ク共重合体の水添物 (C):分子鎖の末端に水酸基、又は一級もしくは二級
    のアミノ基を有するアクリル系樹脂、及び (D):芳香族ビニル単量体からなるブロックと、イソ
    プレン及び/又はブタジエンからなるブロックから構成
    され、カルボキシル基を有する熱可塑性ブロック共重合
    体の水添物を (A)成分/(B)成分=10/90〜90/10(重
    量比)、 (C)成分/(D)成分=10/90〜90/10(重
    量比)、かつ 〔(C)成分+(D)成分〕/〔(A)成分+(B)成
    分〕=0.2/100〜50/100(重量比) の割合で含有する 熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(A):アクリル系樹脂、 (B):芳香族ビニル単量体からなる数平均分子量が3
    000〜80000のブロック(a)と、イソプレン及
    び/又はブタジエンからなる数平均分子量が20000
    〜200000のブロック(b)から構成され、その芳
    香族ビニル単量体からなる成分が(a)と(b)の重量
    合計に対して10〜60重量%の割合で含まれる、数平
    均分子量が30000〜300000の熱可塑性ブロッ
    ク共重合体の水添物、 (C):分子鎖の末端に水酸基、又は一級もしくは二級
    のアミノ基などの活性水素基を有するアクリル系樹脂、
    及び (D):芳香族ビニル単量体からなるブロックと、イソ
    プレン及び/又はブタジエンからなるブロックから構成
    され、カルボキシル基を有する熱可塑性ブロック共重合
    体の水添物を、 下記のi)〜iii)の条件が満足される割合で混練すること
    からなる熱可塑性樹脂組成物の製造方法。 i)(A)成分/(B)成分=10/90〜90/10
    (重量比) ii)(C)成分/(D)成分=10/90〜90/10
    (重量比) iii)〔(C)成分+(D)成分〕/〔(A)成分+
    (B)成分〕=0.2/100〜50/100(重量
    比)
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