JP4566505B2 - 熱可塑性重合体組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、α−メチルスチレン系ブロック共重合体および/またはその水素添加物を含有する熱可塑性重合体組成物に関する。本発明によって提供される熱可塑性重合体組成物から得られる成形体は、柔軟性、成形性のバランスに優れる上、特に耐熱性に優れており、高温雰囲気下での使用に適している。
【0002】
【従来の技術】
スチレン−ブタジエン−スチレン型ブロック共重合体またはその水素添加物、スチレン−イソプレン−スチレン型ブロック共重合体またはその水素添加物などのスチレン系エラストマーは、優れた柔軟性、成形性などの物性や低比重であるという特徴を有し、またリサイクル性にも優れることから、近年、環境汚染などの問題とも相俟って、加硫ゴムやポリ塩化ビニルの代替として、自動車部品、工業用品、雑貨、スポーツ用途などの広範囲の分野において使用されるようになっている。また、各種用途に応じ、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂などへバランスのとれた柔軟性、耐熱性を付与するため、これらの他の重合体との組成物としても使用されている(例えば特開平11−130921号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来知られているスチレン系エラストマーや同エラストマーを含んでなる組成物からなる成形体は、耐熱性が必ずしも充分とはいえず、例えば自動車内装材など、高温に頻繁にさらされる雰囲気下で使用した場合の特性、特に高温下での圧縮永久歪に劣るため、使用範囲が限定されているのが現状である。
スチレン系エラストマーや同エラストマーを含んでなる組成物において、上記した高温下での物性を改良する目的で、スチレン系エラストマーにポリフェニレンエーテル樹脂を添加した組成物(特開平3−174463号公報;特開平9−87483号公報参照)、また、動的架橋を施した組成物(特開昭59−6236号公報;特開昭59−131613号公報参照)が提案されている。しかし、ポリフェニレンエーテル樹脂を添加する方法は、ポリフェニレンエーテル樹脂由来の臭気、着色の問題があり、動的架橋による方法では、成形加工性が必ずしも十分ではないという問題点を有する。
しかして、本発明の目的は、柔軟性、成形性のバランスに優れ、そして特に耐熱性が改良され、高温雰囲気下での使用に適した成形体を与える、熱可塑性重合体組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記の目的は、(a)(1)数平均分子量1000〜50000のα−メチルスチレンを主体とする重合体ブロックA、および(2)数平均分子量が1000〜30000であって、該ブロックを構成する共役ジエン単位の1,4−結合量が30%未満であるブロックb1および数平均分子量が10000〜400000であって、該ブロックを構成する共役ジエン単位の1,4−結合量が30%以上であるブロックb2を含む重合体ブロックBを有し、(A−b1−b2)構造を少なくとも一つ含むα−メチルスチレン系ブロック共重合体および/またはその水素添加物、(b)非芳香族系ゴム用軟化剤および(c)ポリプロピレン系樹脂を含有し、かつブロック共重合体(a)100質量部に対して非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の含有量が30〜1000質量部であり、さらにポリプロピレン系樹脂(c)の含有量が10〜1000質量部である成用熱可塑性重合体組成物[但し、1)ポリフェニレンエーテル系樹脂を含むもの、および2)有機過酸化物の存在下に動的に熱処理されたものを除く]を提供することによって達成される。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の成形体用熱可塑性重合体組成物(以下、単に熱可塑性重合体組成物と称することがある)を構成するブロック共重合体(a)の重合体ブロックAは、α−メチルスチレン単位を主体とする。該重合体ブロックA中のα−メチルスチレンの含有量は、得られる熱可塑性重合体組成物の耐熱性および機械的強度の観点から50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
【0006】
ブロック共重合体(a)の重合体ブロックAは、本発明の趣旨を損なわない範囲内、通常は50質量%未満の範囲内で他の単量体を共重合していてもよく、一般的にアニオン重合可能な単量体であれば特に限定はないが、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ジフェニルエチレンなどのビニル芳香族化合物;ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどの共役ジエンが好ましく、特にスチレン、p−メチルスチレンが好適である。重合体ブロックAに他の単量体を共重合する場合の形態は、ランダム状でもテーパード状でもよい。
【0007】
ブロック共重合体(a)の重合体ブロックAの数平均分子量は通常1000〜50000の範囲であり、2000〜30000の範囲が好ましく、3000〜10000の範囲がより好ましい。重合体ブロックAの数平均分子量が1000未満の場合は、得られる熱可塑性重合体組成物の耐熱性の改良効果が劣り、一方、数平均分子量が50000を越える場合は、得られる熱可塑性重合体組成物の加工性が劣る。なお、本明細書でいう数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって求めたポリスチレン換算の分子量である。
【0008】
ブロック共重合体(a)における重合体ブロックAの含有量は10〜40質量%の範囲であるのが好ましい。重合体ブロックAの含有量が10質量%未満の場合には、得られる熱可塑性重合体組成物の耐熱性が劣る傾向となり、一方40質量%を超える場合には、得られる熱可塑性重合体組成物の柔軟性が乏しくなる傾向となる。
【0009】
本発明の熱可塑性重合体組成物を構成するブロック共重合体(a)中の重合体ブロックBを構成する共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。共役ジエンは、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、ブタジエン、イソプレン、またはブタジエンとイソプレンの混合物が好ましい。
【0010】
さらに、ブロック共重合体(a)の重合体ブロックBは、本発明の趣旨を損なわない範囲、通常は50質量%以下、好ましくは30質量%以下の範囲内で、共役ジエン以外の他のアニオン重合性の単量体を共重合していてもよい。共重合の形態は、ランダム状でもテーパード状でもよい。
【0011】
ブロック共重合体(a)の重合体ブロックBの数平均分子量は通常1000〜500000であり、10000〜300000の範囲が好ましく、30000〜200000の範囲がより好ましい。重合体ブロックBの数平均分子量が1000未満の場合、得られる熱可塑性重合体組成物の耐熱性が、また分子量が500000を越える場合、得られる熱可塑性重合体組成物の加工性が劣る傾向となる。
【0012】
ブロック共重合体(a)の重合体ブロックBを構成する共役ジエン単位のミクロ構造には特に制限はないが、例えばイソプレンを単独で使用する場合には1,4−結合量が20%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。また、ブタジエンを単独で使用する場合には、1,4−結合量が20%以上であることが好ましく、30〜80%であることがより好ましく、40〜70%であることがさらに好ましい。
【0013】
ブロック共重合体(a)における重合体ブロックAと重合体ブロックBの結合様式は、線状、分岐状、放射状、あるいはこれらの任意の組み合わせであってもよい。例えば、重合体ブロックAをAで、重合体ブロックBをBで表したとき、A−B−A型トリブロック共重合体、A−B−A−B型テトラブロック共重合体、(A−B)nX型共重合体(Xはカップリング剤残基を表し、nは2以上の整数を表す)などが挙げられる。これらのブロック共重合体は、1種類単独のみならず、2種類以上の混合物を用いてもよい。
【0014】
また、本発明に用いるブロック共重合体(a)には、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、メタクリル酸メチル、スチレンなどの他の単量体からなる重合体ブロックCを共重合させてもよい。この場合、ブロック共重合体の構造としては、A−B−C型トリブロック共重合体、A−B−C−A型テトラブロック共重合体、A−B−A−C型テトラブロック共重合体などが挙げられる。
【0015】
さらに、ブロック共重合体(a)は、耐熱性、耐候性の向上などの観点から水素添加(水添)されていることが好ましい。水素添加の割合は、特に限定されるものではないが、少なくともブロック共重合体(a)中の共役ジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合の30%以上が水素添加されているのが好ましく、50%以上が水素添加されているのがより好ましく、70%以上が水素添加されているのが特に好ましい。
【0016】
そして、ブロック共重合体(a)は、本発明の趣旨を損なわない限り、分子鎖中に、または分子末端に、カルボキシル基、水酸基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基などの官能基を含有していてもよい。
【0017】
本発明の熱可塑性重合体組成物を構成するブロック共重合体(a)は、アニオン重合法によって製造することができ、次のような具体的な合成例が示される。
(1)テトラヒドロフラン溶媒中でジアニオン系開始剤を用いて共役ジエンを重合後に、−78℃の温度条件下でα−メチルスチレンを逐次重合させ、A−B−A型ブロック共重合体を得る方法(マクロモレキュールズ(Macromolecules),2巻,453−458頁(1969年)参照)、(2)α−メチルスチレンをアニオン系開始剤を用いてバルク重合を行なった後に、共役ジエンを逐次重合させ、その後テトラクロロシランなどのカップリング剤によりカップリング反応を行い、(A−B)nX型ブロック共重合体を得る方法(カウチュック グミ クンストストッフェ(Kautsch.Gummi,Kunstst.),37巻,377−379頁(1984年);ポリマー ブリティン(Polym.Bull.),12巻,71−77頁(1984年)参照)、(3)非極性溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤として用い、0.1〜10質量%の濃度の極性化合物の存在下、−30〜30℃の温度にて、5〜50質量%の濃度のα−メチルスチレンを重合させ、得られるリビングポリマーに共役ジエンを重合させた後、カップリング剤を添加して、A−B−A型ブロック共重合体を得る方法、(4)非極性溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤として用い、0.1〜10質量%の濃度の極性化合物の存在下、−30〜30℃の温度にて、5〜50質量%の濃度のα−メチルスチレンを重合させ、得られるリビングポリマーに共役ジエンを重合させ、得られるα−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体のリビングポリマーにα−メチルスチレン以外のアニオン重合性モノマーを重合させA−B−C型ブロック共重合体を得る方法。
上記ブロック共重合体の具体的製造方法中、(3)および(4)の方法が好ましく、特に(3)の方法がより好ましい方法として採用される。以下、上記方法について具体的に説明する。
【0018】
上記の方法において重合開始剤として用いられる有機リチウム化合物としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなどのモノリチウム化合物、およびテトラエチレンジリチウムなどのジリチウム化合物を挙げることができ、これらの化合物は単独で用いても、または2種以上使用してもよい。
【0019】
α−メチルスチレンの重合時に使用される溶媒は非極性溶媒であり、例えばシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などを挙げることができる。これらは単独で用いても、または2種以上使用してもよい。
【0020】
α−メチルスチレンの重合時に使用される極性化合物とは、アニオン種と反応する官能基(水酸基、カルボニル基など)を有しない、分子内に酸素原子、窒素原子などの複素原子を有する化合物であり、例えばジエチルエーテル、モノグライム、テトラメチルエチレンジアミン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどを挙げることができる。これらの化合物は単独で用いても、または2種以上使用してもよい。
反応系中における極性化合物の濃度は、α−メチルスチレンを高い転化率で重合させ、この後の共役ジエンを重合させる際に、共役ジエン重合体ブロツク部の1,4−結合量を制御する観点から、0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜3質量%の範囲がより好ましい。
【0021】
反応系中におけるα−メチルスチレン濃度は、α−メチルスチレンを高い転化率で重合させ、また重合後期における反応溶液の粘性の点から、5〜50質量%の範囲にあることが好ましく、25〜40質量%の範囲がより好ましい。
【0022】
なお、上記の転化率とは、未重合のα−メチルスチレンが重合によりブロック共重合体へと転化された割合を意味し、本発明においてその程度は70%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
【0023】
α−メチルスチレンの重合時の温度条件は、α−メチルスチレンの天井温度(重合反応が平衡状態に達して実質的に進行しなくなるときの温度)、α−メチルスチレンの重合速度、リビング性などの点から−30〜30℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは−20〜10℃、さらに好ましくは−15〜0℃である。重合温度を30℃以下とすることにより、α−メチルスチレンを高い転化率で重合させることができ、さらに生成するリビングポリマーが失活する割合も小さく、得られるブロック共重合体中にホモポリα−メチルスチレンが混入するのを抑え、物性が損なわれず、また、重合温度を−30℃以上とすることにより、α−メチルスチレンの重合後期において反応溶液が高粘度化することなく攪拌でき、低温状態を維持するのに必要な費用がかさむこともないため、経済的にも好ましい。
【0024】
上記方法においては、α−メチルスチレン重合体ブロックの特性が損なわれない限り、α−メチルスチレンの重合時に他のビニル芳香族化合物を共存させ、これをα−メチルスチレンと共重合させてもよい。ビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどが挙げられる。ビニル芳香族化合物は単独で用いても、または2種以上使用してもよい。
【0025】
有機リチウムを開始剤に用いたα−メチルスチレンの重合によりリビングポリα−メチルスチリルリチウムが生成するので、次いでこのものに共役ジエンを重合させる。共役ジエンとしては、例えばブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられ、これらの化合物は単独で用いても、または2種以上使用してもよい。この中でも好ましい共役ジエンの例はブタジエンまたはイソプレンであり、これらは混合して用いてもよい。
【0026】
共役ジエンは反応系に添加することにより重合に供される。共役ジエンを反応系に添加する方法としては、特に制限はなく、リビングポリα−メチルスチリルリチウム溶液に直接添加しても、あるいは溶媒で希釈して添加してもよい。共役ジエンを溶媒に希釈して添加する方法としては、共役ジエンを加えた後、溶媒で希釈するか、または共役ジエンと溶媒を同時に投入するか、あるいは溶媒で希釈した後に共役ジエンを加えてもよい。好適には、リビングポリα−メチルスチリルリチウムに対して1〜100モル当量、好ましくは5〜50モル当量に相当する量の共役ジエンを添加してリビング活性末端を変種した後、溶媒で希釈し、続いて残りの共役ジエンを投入し、30℃を超える温度、好ましくは40〜80℃の温度範囲で重合反応を行う方法が推奨される。リビングポリα−メチルスチリルリチウムの活性末端を変種するに際し、共役ジエンの代りにスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレンなどのビニル芳香族化合物を用いてもよい。
【0027】
ここで希釈に用いることができる溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などを挙げることができる。これらの溶媒は単独で用いても、または2種以上用いてもよい。
【0028】
リビングポリα−メチルスチリルリチウムに共役ジエンを共重合させて得られるα−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体のリビングポリマーに、例えば、多官能性カップリング剤を反応させることにより、トリブロックまたはラジアルテレブロック型のブロック共重合体(a)を製造することができる。この場合のブロック共重合体は、多官能性カップリング剤の使用量を調整することにより得られる、ジブロック、トリブロック、ラジアルテレブロック型のブロック共重合体を任意の割合で含む混合物であってもよい。多官能性カップリング剤としては、安息香酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸エチル、酢酸メチル、ピバリン酸メチル、ピバリン酸フェニル、ピバリン酸エチル、α,α’−ジクロロ−o−キシレン、α,α’−ジクロロ−m−キシレン、α,α’−ジクロロ−p−キシレン、ビス(クロロメチル)エーテル、ジブロモメタン、ジヨードメタン、フタル酸ジメチル、ジクロロジメチルシラン、ジクロロジフェニルシラン、トリクロロメチルシラン、テトラクロロシラン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
【0029】
α−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック重合体(a)は、耐熱性および耐候性が良好なものとなる点から、そのブロック共重合体における共役ジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合の少なくとも一部(30%以上)が水素添加されていることが好ましい。
【0030】
α−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体のリビングポリマーに多官能性カップリング剤を反応させることにより得られるトリブロックまたはラジアルテレブロック型のブロック共重合体(a)を水素添加(水添)する場合には、必要に応じてアルコール類、カルボン酸類、水などの活性水素化合物を添加してカップリング反応を停止させたのち、公知の方法にしたがって不活性有機溶媒中で水添触媒の存在下に水添することにより、水添されたブロック共重合体(a)とすることができる。
【0031】
また、α−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体(a)を水素添加する場合にも、リビングポリα−メチルスチリルリチウムに共役ジエンを重合させた後、アルコール類、カルボン酸類、水などの活性水素化合物を添加して重合反応を停止させ、公知の方法にしたがって不活性有機溶媒中で水添触媒の存在下に水添して、水添されたブロック共重合体(a)とすることができる。
【0032】
α−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなる未水添のブロック共重合体、α−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体にアニオン重合性モノマーを重合させて得られる未水添のA−B−C型トリブロック共重合体、またはα−メチルスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体のリビングポリマーに多官能性カップリング剤を反応させることにより得られる未水添のトリブロックまたはラジアルテレブロック型ブロック共重合体(いずれも本発明で使用するブロック共重合体(a)に包含される)は、その製造に使用された溶媒を置換することなく、そのまま水素添加に供することができる。
【0033】
水添反応は、ラネーニッケル;Pt、Pd、Ru、Rh、Ni等の金属をカーボン、アルミナ、硅藻土等の担体に担持させた不均一触媒;ニッケル、コバルトなどの第8〜10族の金属からなる有機金属化合物とトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物または有機リチウム化合物等の組み合わせからなるチーグラー系の触媒;チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどの遷移金属のビス(シクロペンタジエニル)化合物とリチウム、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、亜鉛またはマグネシウムなどの有機金属化合物の組み合わせからなるメタロセン系触媒などの水添触媒の存在下に、反応温度20〜100℃、水素圧力0.1〜10MPaの条件下で行うことができる。未水添のブロック共重合体は共役ジエン重合体ブロック中の共役ジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合の70%以上、特に好ましくは90%以上が飽和されるまで水添されることが望ましく、これによりブロック共重合体の耐候性を高めることができる。水添されたブロック共重合体における共役ジエン重合体ブロック中の炭素−炭素二重結合の水添率は、ヨウ素価滴定法、赤外分光スペクトル測定、核磁気共鳴スペクトル(H−NMRスペクトル)測定などの分析手段を用いて算出することができる。
【0034】
上記方法によって製造される未水添または水添ブロック共重合体(a)(α−メチルスチレン系ブロック共重合体)の共役ジエン重合体ブロックBの1,4−結合量は20%以上であるのが好ましく、30〜95%の範囲であるのがより好ましく、35〜80%の範囲がさらに好ましい。1,4−結合量が20%未満の場合、共役ジエンからなるゴム部のTgが高くなり、得られる熱可塑性重合体組成物の柔軟性、ゴム弾性が劣る傾向となって好ましくない。
【0035】
本発明に用いられるブロック共重合体(a)の数平均分子量は、用途などに合わせて適宜調整可能であるが、通常10000〜500000が好ましく、より好ましくは30000〜400000である。
【0036】
本発明に用いるブロック共重合体(a)は、上記方法で得られたものが好ましく用いられ、特に、非極性溶媒中、有機リチウム化合物を重合開始剤として用い、0.1〜10質量%の濃度の極性化合物の存在下、−30〜30℃の温度にて5〜50質量%の濃度のα−メチルスチレンを重合させ、次いで共役ジエンの重合に際して、まずリビングポリα−メチルスチリルリチウムに対して1〜100モル当量の共役ジエンを重合させて重合体ブロックb1を形成し、次いで反応系を30℃を超える温度として、共役ジエンを追加して重合させて重合体ブロックb2を形成せしめて得られたものであることが、ブロック共重合体の低温特性が優れる点から好ましい。すなわち、この場合、重合体ブロックBは、重合体ブロックb1および重合体ブロックb2より成る。
【0037】
上記ブロック共重合体(a)は、その構造として直鎖状、分岐状などに限定はされないが、中でも、(A−b1−b2)構造を少なくとも一つ有するブロック共重合体が好ましく、A−b1−b2−b2−b1−A型共重合体、A−b1−b2−b2−b1−A型共重合体とA−b1−b2型共重合体の混合物、(A−b1−b2)nX型共重合体(Xはカップリング剤残基を表す、nは2以上の整数である)などが挙げられる。上記ブロック共重合体(a)中の重合体ブロックAの数平均分子量は1000〜50000が好ましく、より好ましくは2000〜40000である。また、上記ブロック共重合体(a)中の重合体ブロックb1の数平均分子量は500〜10000が好ましく、より好ましくは1000〜9000で、かつ重合体ブロックb1の1,4−結合量は30%未満であることが好ましい。さらに、上記ブロック共重合体中の重合体ブロックb2の数平均分子量は10000〜400000が好ましく、より好ましくは15000〜350000で、かつ重合体ブロックb2の1,4−結合量は30%以上であることが好ましく、より好ましくは35%〜95%、さらに好ましくは40%〜80%である。
【0038】
このようにして得られたブロック共重合体(a)は、重合反応液をメタノールなどに注ぐことにより凝固させた後、加熱または減圧乾燥させるか、重合反応液を沸騰水中に注ぎ、溶媒を共沸させて除去するいわゆるスチームストリッピングを施した後、加熱または減圧乾燥することにより取得することができる。
【0039】
本発明の熱可塑性重合体組成物を構成する非芳香族系ゴム用軟化剤(b)としては、芳香族成分を構成する炭素数の割合が全炭素数中50%未満であるものが使用される。非芳香族系ゴム用軟化剤自体は公知であり、本発明では、これら公知のものを特に制限無く使用することができる。非芳香族系ゴム用軟化剤としては、例えばパラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、ホワイトオイル、ミネラルオイル、エチレンとα−オレフィンのオリゴマー、パラフィンワックス、流動パラフィン、ポリブテン、低分子量ポリブタジエンなどが挙げられる。これらの中でもパラフィン系プロセスオイルが好ましい。非芳香族系ゴム用軟化剤(b)は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0040】
非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の含有量は、ブロック共重合体(a)100質量部に対して30〜1000質量部の範囲であり、50〜500質量部の範囲であるのが好ましい。
【0041】
また、本発明の熱可塑性重合体組成物を構成するポリオレフィン系樹脂(c)としては、例えばホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、これらの無水マレイン酸変性物などのポリプロピレン系樹脂(但し、曲げ弾性率が10〜600MPaのポリプロピレン系樹脂を除く);高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレン(LDPE)のようなエチレン単独重合体;エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−ヘプテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ノネン共重合体およびエチレン・1−デセン共重合体などのようなエチレン・α−オレフィン共重合体;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、これらの無水マレイン酸変性物などのポリエチレン系樹脂が挙げられる。
【0042】
ポリオレフィン系樹脂(c)の含有量は、ブロック共重合体(a)100質量部に対して10〜1000質量部の範囲であり、20〜100質量部の範囲であるのが好ましい。
【0043】
本発明の熱可塑性重合体組成物は、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、オープンロール、ニーダーなどの混練機を用いて各構成成分を溶融状態で混練することによる、従来公知の方法に従って調製することができる。また、混練に先立ち、各構成成分をヘンシェルミキサーやタンブラーのような混合機を用いて予めドライブレンドしておくと、均質な熱可塑性重合体組成物を容易に得ることができる。なお、混練は、通常180〜250℃の範囲の温度で実施される。
【0044】
本発明の熱可塑性重合体組成物は、上記したブロック共重合体(a)、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)およびポリオレフィン系樹脂(c)以外に、必要に応じて、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)や、エチレン・プロピレン・非共役ジエン三元共重合ゴム(EPDM)などのゴム;ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂などのスチレン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマーなどのポリアセタール系樹脂;ポリメチルメタクリレート系樹脂などのアクリル系樹脂;スチレン−共役ジエンブロック共重合体またはその水素添加物;液状ポリブタジエンまたはその水素添加物、液状ポリイソプレンまたはその水素添加物、液状ポリイソブチレンなどの液状重合体などの他の重合体を含有していてもよい。
【0045】
また、本発明の熱可塑性重合体組成物は、必要に応じて、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、フィラー、例えばタルク、クレー、マイカ、ケイ酸カルシウム、ガラス、ガラス中空球、ガラス繊維、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ホウ酸亜鉛、ドーソナイト、ポリリン酸アンモニウム、カルシウムアルミネート、ハイドロタルサイト類、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化アンチモン、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、活性炭、炭素中空球、チタン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、炭化ケイ素、雲母、木粉、でんぷん、有機顔料、ポリスチレン、ポリアミドなどをさらに添加することができる。
【0046】
また、本発明の熱可塑性重合体組成物は、必要に応じて、他の添加剤、例えば熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤、撥水剤、防水剤、親水性付与剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、電磁波シールド性付与剤、透光性調整剤、蛍光剤、摺動性付与剤、透明性付与剤、アンチブロッキング剤、金属不活性化剤、防菌剤などをさらに添加してもよい。
【0047】
本発明の熱可塑性重合体組成物は、従来より知られている各種成形法、例えば押出成形、射出成形、中空成形、圧縮成形、カレンダー成形などの方法を用いて、シート、フィルム、チューブなどの任意の形状の成形体に成形することができる。また、本発明の熱可塑性重合体組成物は、二色成形法、インサート成形法、共押出などにより、プラスチック、布帛などの他の材料と複合化してなる複合成形体とすることも可能である。
【0048】
本発明の熱可塑性重合体組成物は、柔軟性、成形性のバランスに優れ、特に耐熱性が改良され、得られる成形体は高温雰囲気下での使用に十分に耐え得るものである。
本発明の熱可塑性重合体組成物は、その特性を活かして、各種工業製品や工業部品として有効に使用することができる。具体的には、インストルメントパネル、センターパネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップ、ハンドル、エアバックカバーなどの自動車内装部品;モールなどの自動車外装部品;リモコンスイッチ、OA機器の各種キートップ、テレビ、ステレオ、掃除機などの家電部品;水中眼鏡、水中カメラのカバー;密閉性、防水性などを目的とした各種パッキン;ラック&ピニオンブーツ、サスペンションブーツ、等速ジョイントブーツなどの自動車機能部品;電線被覆材;スポーツシューズ、ファッションサンダルなどの履物用途;ベルト、ホース、チューブ;スポーツ用品;ドア、窓枠材などの建築用資材;各種継手;バルブ部品;医療用シリンジのガスケットなどの医療用品などに使用することができる。
【0049】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における物性評価は以下に示す方法で行った。
(1)破断強度、破断伸度
実施例および比較例で得られた熱可塑性重合体組成物を200℃でプレス成形することによって厚さ2mmのシートを得た。このシートよりJIS K 6251に準拠したダンベル3号型の試験片を打ち抜いて作成し、引張試験を70℃の温度条件下で実施して破断強度、破断伸度を測定した。
【0050】
(2)硬度
実施例および比較例で得られた熱可塑性重合体組成物を200℃でプレス成形することによって厚さ2mmのシートを得た。このシートを用いて、JIS K 6253に準拠してJIS−A硬度を測定し、柔軟性の指標とした。
【0051】
(3)MFR
実施例および比較例で得られた熱可塑性重合体組成物を用いて、JIS K 7199に準拠して230℃、21N荷重条件でのMFR(g/10分)を測定し、流動特性の指標とした。
【0052】
(4)圧縮永久歪
実施例および比較例で得られた熱可塑性重合体組成物を用いて、シリンダー温度230℃および金型温度40℃の条件下にて射出成形(使用機器:東芝機械株式会社製;IS55EPN)を行い、直径29.0cm、厚さ12.7mmの円柱状の試験片を作製した。得られた試験片を用い、JIS K 6262に準じて、温度100℃および120℃の2種類の条件下で、圧縮変形量25%で22時間放置した後の圧縮永久歪みを測定し、耐熱性の指標とした。
【0053】
参考例1(ブロック共重合体(a)の製造)
(1)窒素置換した攪拌装置付き耐圧容器に、α−メチルスチレン90.9g、シクロヘキサン138g、メチルシクロヘキサン15.2gおよびテトラヒドロフラン5.7gを仕込んだ。この混合液にsec−ブチルリチウム(1.3Mシクロヘキサン溶液)2.1mlを添加し、−10℃で3時間重合させた。重合開始3時間後のポリα−メチルスチレン(ブロックA)の数平均分子量をGPCにより測定したところ、ポリスチレン換算で30000であり、α−メチルスチレンの重合転化率は88%であった。次いで、この反応混合液にブタジエン4.4gを添加し、−10℃で30分間攪拌して、ブロックb1の重合を行った後、シクロヘキサン930gを加えた。この時点でのα−メチルスチレンの重合転化率は88%であり、ポリブタジエンブロック(b1)の数平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算)は、4000であり、H−NMR測定から求めた1,4−結合量は17%であった。
次に、この反応液にさらにブタジエン158.0gを加え、50℃で2時間重合反応を行った。この時点のサンプリングで得られたブロック共重合体(構造:A−b1−b2)のポリブタジエンブロック(b2)の数平均分子量(GPC測定、ポリスチレン換算)は、129000であり、H−NMR測定から求めた1,4−結合量は53%であった。
【0054】
(2)続いて、この重合反応溶液に、安息香酸フェニル(0.5Mトルエン溶液)2.7mlを加え、50℃にて1時間攪拌し、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)トリブロック共重合体を得た。この時のカップリング効率を、カップリング体(ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)トリブロック共重合体:A−b1−b2−X−b2−b1−A)と未反応ブロック共重合体(ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエンブロック共重合体:A−b1−b2)のGPCにおけるUV吸収の面積比から算出すると92%であった。また、H-NMR解析の結果、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)トリブロック共重合体中のα−メチルスチレン重合体ブロック含有量は33%であり、ブタジエン重合体ブロックB全体(すなわち、ブロックb1およびブロックb2)の1,4−結合量が51%であった。
(3)上記(2)で得られた重合反応溶液中に、オクチル酸ニッケルおよびトリエチルアルミニウムから形成されるZiegler系水素添加触媒を水素雰囲気下に添加し、水素圧力0.8MPa、80℃で5時間の水素添加反応を行なうことにより、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)ブロック共重合体の水素添加物(以下、これをブロック共重合体Iと略称する)を得た。得られたブロック共重合体IをGPC測定した結果、主成分はMt(平均分子量のピークトップ)=326000、Mn(数平均分子量)=320000、Mw(重量平均分子量)=327000、Mw/Mn=1.02であるポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)トリブロック共重合体の水添物(カップリング体)であり、GPCにおけるUV(254nm)吸収の面積比から、カップリング体は92%含まれることが判明した。また、H-NMR測定により、ブロックb1およびブロックb2から構成されるブタジエンブロックBの水素添加率は99%であった。
【0055】
参考例2(スチレン系ブロック共重合体の製造)
sec−ブチルリチウムを開始剤とし、シクロヘキサン中でスチレン、イソプレンおよび/またはブタジエンの所定量を逐次添加してアニオン重合することによりスチレン系ブロック共重合体を製造し、得られたスチレン系ブロック共重合体を、シクロヘキサン中、トリエチルアルミニウムとオクチル酸ニッケルからなる水添触媒を用いて、0.8MPaの水素圧力下、70℃で5時間水素添加反応を行うことで、表1に示す性状を有するブロック共重合体IIおよびブロック共重合体IIIを得た。
【0056】
【表1】
Figure 0004566505
【0057】
実施例1〜3および比較例1〜4
表2に示す配合に従い、各成分をドライブレンドし、得られた混合物を二軸押出し機を使用して、シリンダー温度230℃(及びスクリュー回転数150rpm)で溶融混練した後、ストランド状に押し出し、切断して、熱可塑性重合体組成物のペレットを製造した。得られたペレットを用いて、前記した方法により所定形状の試験片を作成して、各種物性を評価した。結果を表2に示す。
【0058】
【表2】
Figure 0004566505
【0059】
表2の結果から、本発明のα−メチルスチレン系ブロック共重合体からなる熱可塑性重合体組成物は、従来のスチレン系ブロック共重合体からなる熱可塑性樹脂組成物に比べて、高温での圧縮永久歪、引張物性(破断強度、破断伸度)に優れ、かつ溶融流動性に優れることがわかる。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、柔軟性、成形性のバランスに優れ、そして特に耐熱性が改良され、高温雰囲気下での使用に適した成形体を与える、熱可塑性重合体組成物を提供することができる。

Claims (1)

  1. (a)(1)数平均分子量1000〜50000のα−メチルスチレンを主体とする重合体ブロックA、および(2)数平均分子量が1000〜30000であって、該ブロックを構成する共役ジエン単位の1,4−結合量が30%未満であるブロックb1および数平均分子量が10000〜400000であって、該ブロックを構成する共役ジエン単位の1,4−結合量が30%以上であるブロックb2を含む重合体ブロックBを有し、(A−b1−b2)構造を少なくとも一つ含むα−メチルスチレン系ブロック共重合体および/またはその水素添加物、(b)非芳香族系ゴム用軟化剤および(c)ポリプロピレン系樹脂を含有し、かつブロック共重合体(a)100質量部に対して非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の含有量が30〜1000質量部であり、さらにポリプロピレン系樹脂(c)の含有量が10〜1000質量部である成用熱可塑性重合体組成物[但し、1)ポリフェニレンエーテル系樹脂を含むもの、および2)有機過酸化物の存在下に動的に熱処理されたものを除く]。
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