JP3108547U - セラミックラドル - Google Patents
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Abstract
【課題】ダイキャストマシーンのスリーブ内への溶湯の注湯を確実且つ早いものとすることができるセラミックラドルを提供する。
【解決手段】上蓋部14を有し、溶湯を保持する本体部11と、本体部11から延設され、下方に開放された溶湯導入口を他端に有する溶湯導入部12と、本体部11を挟んで溶湯導入部12の反対側に配置され、本体部11から延設され、側方に開放された溶湯注湯口を他端に有する溶湯注湯部13と、を備え、本ラドル1aを用いて溶湯汲出しを行う際に、本ラドル1aを支持することとなる支持アームが位置される側の溶湯注湯部13の側面に曲面132を有し、且つ、曲面132の曲率半径Rmmは本ラドルの最大溶湯保持量M(リットル)との間で120≦R−25M≦200を満たす。
【選択図】図1
【解決手段】上蓋部14を有し、溶湯を保持する本体部11と、本体部11から延設され、下方に開放された溶湯導入口を他端に有する溶湯導入部12と、本体部11を挟んで溶湯導入部12の反対側に配置され、本体部11から延設され、側方に開放された溶湯注湯口を他端に有する溶湯注湯部13と、を備え、本ラドル1aを用いて溶湯汲出しを行う際に、本ラドル1aを支持することとなる支持アームが位置される側の溶湯注湯部13の側面に曲面132を有し、且つ、曲面132の曲率半径Rmmは本ラドルの最大溶湯保持量M(リットル)との間で120≦R−25M≦200を満たす。
【選択図】図1
Description
本考案はセラミックラドル(以下、単に「ラドル」という)に関する。更に詳しくは、ダイキャストマシーンのスリーブ内への溶湯の注湯を確実且つ早いものとすることができるラドルに関する。
ラドルは、一般に保持炉から一定量の溶湯を汲み出し、汲み出した溶湯をダイキャストマシーンのスリーブ内に注湯する目的で使用される消耗品である。
従来、生産性を向上させるために、注湯時間を短縮しようとすると、短首型のラドルではオーバーフローによりスリーブから溶湯が溢れ出す場合があり、また、逆に長首型のラドルでは注湯初期に勢いによりスリーブ上を飛び越してスリーブ外へこぼれてしまうことがあった。更に、注湯だけでなく、溶湯の汲み出し時間をも短縮でき、汲み出しの際の不純物の混入を防止でき、溶湯の保温性に優れ、溶湯の酸化抑制に優れ、耐久性に優れた構造のラドルは知られていない。
本考案は上記課題を解決するものであり、ダイキャストマシーンのスリーブ内への溶湯の注湯を確実且つ早くできるラドルを提供することを目的とする。更に、注湯だけでなく、溶湯の汲み出し時間をも短縮でき、汲み出しの際の不純物の混入を防止でき、溶湯の保温性に優れ、溶湯の酸化抑制に優れ、耐久性に優れたラドルを提供することを目的とする。
本考案は上記課題を解決するものであり、ダイキャストマシーンのスリーブ内への溶湯の注湯を確実且つ早くできるラドルを提供することを目的とする。更に、注湯だけでなく、溶湯の汲み出し時間をも短縮でき、汲み出しの際の不純物の混入を防止でき、溶湯の保温性に優れ、溶湯の酸化抑制に優れ、耐久性に優れたラドルを提供することを目的とする。
本考案者らは、短い短首型のラドルの一方の側面を所定の曲率を有する曲面に変更することで、極めて効果的に上記課題を解決できることを見出し、本考案を完成させた。
即ち、上蓋部を有し、溶湯を保持する本体部と、該本体部から延設され、下方に開放された溶湯導入口を他端に有する溶湯導入部と、該本体部を挟んで該溶湯導入部の反対側に配置され、該本体部から延設され、側方に開放された溶湯注湯口を他端に有する溶湯注湯部と、を備え、本ラドルを用いて溶湯汲出しを行う際に、本ラドルを支持することとなる支持アームが位置される側の上記溶湯注湯部の側面に曲面を有し、且つ、該曲面の曲率半径R(mm)は本ラドルの最大溶湯保持量M(リットル)との間で120≦R−25M≦200を満たすことを特徴とする。
即ち、上蓋部を有し、溶湯を保持する本体部と、該本体部から延設され、下方に開放された溶湯導入口を他端に有する溶湯導入部と、該本体部を挟んで該溶湯導入部の反対側に配置され、該本体部から延設され、側方に開放された溶湯注湯口を他端に有する溶湯注湯部と、を備え、本ラドルを用いて溶湯汲出しを行う際に、本ラドルを支持することとなる支持アームが位置される側の上記溶湯注湯部の側面に曲面を有し、且つ、該曲面の曲率半径R(mm)は本ラドルの最大溶湯保持量M(リットル)との間で120≦R−25M≦200を満たすことを特徴とする。
本考案のラドルによれば、溶湯の汲み出しから注湯に至るサイクル時間を短縮でき、生産性効率を向上させることができる。更に、汲み出しの際に溶湯に不純物が混入することを防止でき、溶湯の熱放散を抑制でき、溶湯の酸化を抑制できる。
また、給気口を備える場合は、不活性ガスをラドル内に導入でき、溶湯の酸化を特に効果的に抑制できる。
更に、中心線(A)に対して所定角度傾いて溶湯注湯口が開口されている場合は、特に確実且つ特に迅速に溶湯を注湯でき、生産効率を向上させることができる。
曲面の長さL(mm)が最大溶湯保持量M(リットル)との間で所定の関係を満たす場合は、特に確実且つ特に迅速に溶湯を注湯でき、生産効率を向上させることができる。
最大溶湯保持量M(リットル)が0.5≦M≦4.5である場合は、本ラドルのメリットが特に効果的に発揮され、生産効率の向上及び得られるダイキャスト製品の品質が向上され、また、安定的に製造できる。
また、所定の金属及び/又は合金の溶湯の汲み出しに用いる場合は、本ラドルのメリットが特に効果的に発揮され、生産効率の向上及び得られるダイキャスト製品の品質が向上され、また、安定的に製造できる。
更に、所定の特性を有するセラミックスからなる場合は、特に保温性に優れ、最大溶湯保持量が4.5リットル以下の小さなラドルにおいても、優れた品質のダイキャスト製品を安定的に製造できる。
また、ジルコニア・ジルコン系材料からなる溶湯付着防止用コート層を備える場合は、特に高い耐久性が発揮され、ラドルの寿命を長くすることができる。
また、給気口を備える場合は、不活性ガスをラドル内に導入でき、溶湯の酸化を特に効果的に抑制できる。
更に、中心線(A)に対して所定角度傾いて溶湯注湯口が開口されている場合は、特に確実且つ特に迅速に溶湯を注湯でき、生産効率を向上させることができる。
曲面の長さL(mm)が最大溶湯保持量M(リットル)との間で所定の関係を満たす場合は、特に確実且つ特に迅速に溶湯を注湯でき、生産効率を向上させることができる。
最大溶湯保持量M(リットル)が0.5≦M≦4.5である場合は、本ラドルのメリットが特に効果的に発揮され、生産効率の向上及び得られるダイキャスト製品の品質が向上され、また、安定的に製造できる。
また、所定の金属及び/又は合金の溶湯の汲み出しに用いる場合は、本ラドルのメリットが特に効果的に発揮され、生産効率の向上及び得られるダイキャスト製品の品質が向上され、また、安定的に製造できる。
更に、所定の特性を有するセラミックスからなる場合は、特に保温性に優れ、最大溶湯保持量が4.5リットル以下の小さなラドルにおいても、優れた品質のダイキャスト製品を安定的に製造できる。
また、ジルコニア・ジルコン系材料からなる溶湯付着防止用コート層を備える場合は、特に高い耐久性が発揮され、ラドルの寿命を長くすることができる。
本考案について、以下詳細に説明する。
上記「本体部」は、溶湯を保持する部分であり、上部に蓋である上蓋部を有する。本体部の形状は特に限定されず、椀形状及び樽形状等とすることができ、椀形状が好ましい。
また、本体部の大きさは特に限定されないが、通常、溶湯を0.5リットル以上(通常15リットル以下)保持できる。
上記「上蓋部」とは、本体部を覆う部分である。この上蓋部は本体部を覆い、更に、溶湯導入部及び溶湯注湯部まで連接されており、本ラドルはこれらにより一連に覆われていることとなる。従って、本ラドル内に溶湯が保持された際に、溶湯が溶湯導入口及び溶湯注湯口以外の部分において、直接的に外気と触れず、溶湯温度の低下及び酸化を抑制できる。
上記「本体部」は、溶湯を保持する部分であり、上部に蓋である上蓋部を有する。本体部の形状は特に限定されず、椀形状及び樽形状等とすることができ、椀形状が好ましい。
また、本体部の大きさは特に限定されないが、通常、溶湯を0.5リットル以上(通常15リットル以下)保持できる。
上記「上蓋部」とは、本体部を覆う部分である。この上蓋部は本体部を覆い、更に、溶湯導入部及び溶湯注湯部まで連接されており、本ラドルはこれらにより一連に覆われていることとなる。従って、本ラドル内に溶湯が保持された際に、溶湯が溶湯導入口及び溶湯注湯口以外の部分において、直接的に外気と触れず、溶湯温度の低下及び酸化を抑制できる。
上記「溶湯導入部」は、本体部から延設され、下方に開放された溶湯導入口を他端に有する。溶湯導入部は溶湯導入口から溶湯をラドル内へ導き入れる部分である。このラドル導入部は後述する溶湯注湯部に対して、本体部を挟んで反対側に位置する。この配置により溶湯を導入するときの傾け角度が小さくてすみ、作業効率がよい。溶湯導入部の溶湯導入口から本体部へ至る導入経路は管状の概形をなす。その断面形状は特に限定されない。
上記「溶湯導入口」は、ラドルの入口である。溶湯導入口の形状は特に限定されない。溶湯導入口の開口面積は限定されず、その容量に関わらず4秒以内で給湯できることが好ましい。尚、最大溶湯保持量とは、ラドル内に保持できる最大量の溶湯の体積である。
上記「溶湯導入口」は、ラドルの入口である。溶湯導入口の形状は特に限定されない。溶湯導入口の開口面積は限定されず、その容量に関わらず4秒以内で給湯できることが好ましい。尚、最大溶湯保持量とは、ラドル内に保持できる最大量の溶湯の体積である。
上記「下方に開放された」とは、ラドルに溶湯を導入するときに、溶湯が保持された保持炉内にラドルを浸漬させた際に、溶湯が溶湯導入口から上方へ向かって流入するように開放されていることである。即ち、通常、ラドル内の溶湯が最大溶湯保持量となるように固定した際に下方となる方向に開放されている(図2及び図4参照)。
保持炉の表面には不純物層が形成されているが、通常、不純物層の厚さは2〜10mm程度である。この不純物層よりも下方の溶湯は純度の高い溶湯であるため、溶湯導入口を不純物層よりも下方へ侵入させ、後述する溶湯注湯口を圧抜孔として利用し、溶湯をラドル内へ吸い上げるように取出することで不純物の混入を防止できる。
溶湯導入部の溶湯導入口から本体部との接続位置までの経路長は特に限定されないが、例えば、最大溶湯保持量M(リットル)が、0.5≦M≦4.5であるラドルでは2.5〜6cmとすることが好ましい。
保持炉の表面には不純物層が形成されているが、通常、不純物層の厚さは2〜10mm程度である。この不純物層よりも下方の溶湯は純度の高い溶湯であるため、溶湯導入口を不純物層よりも下方へ侵入させ、後述する溶湯注湯口を圧抜孔として利用し、溶湯をラドル内へ吸い上げるように取出することで不純物の混入を防止できる。
溶湯導入部の溶湯導入口から本体部との接続位置までの経路長は特に限定されないが、例えば、最大溶湯保持量M(リットル)が、0.5≦M≦4.5であるラドルでは2.5〜6cmとすることが好ましい。
上記「溶湯注湯部」は、本体部を挟んで溶湯導入部の反対側に配置された部分であり、また、本体部から延設され、側方に開放された溶湯注湯口を他端に有する部分である。更に、上記支持アームが位置される側(以下、単に「支持アーム側」ともいう)の溶湯注湯部の側面に後述する所定の曲面(以下、単に「所定曲面」という)を有するものである。
溶湯注湯部の形状は限定されず、本体部側から溶湯注湯口に向かって断面積が小さくなる先窄みの管状概形にできる。
上記「溶湯注湯口」は、ラドルの出口である。溶湯注湯口の形状は限定されない。また、溶湯注湯口の開口面積は特に限定されないが、ラドルの容量に関わらず4秒以内で注湯(溶湯を排出)できる開口面積を有することが好ましい。
溶湯注湯部の形状は限定されず、本体部側から溶湯注湯口に向かって断面積が小さくなる先窄みの管状概形にできる。
上記「溶湯注湯口」は、ラドルの出口である。溶湯注湯口の形状は限定されない。また、溶湯注湯口の開口面積は特に限定されないが、ラドルの容量に関わらず4秒以内で注湯(溶湯を排出)できる開口面積を有することが好ましい。
溶湯注湯口が「側方に開放された」とは、前記溶湯導入口の開放方向に対して、略垂直方向に開放されていることである。即ち、通常、ラドル内の溶湯が最大溶湯保持量となるように固定した際に側方となる方向である。
更に、この溶湯注湯口は、中心線A(図1及び図3参照)に対して150〜160゜傾いて、支持アーム側とは反対方向に開口されていることが好ましい。この中心線Aとは、溶湯導入口と溶湯注湯口とを含む方向の中心線である。通常、溶湯導入部の中心線と一致する。更に、通常、本体部の中心線とも一致するものである。
更に、この溶湯注湯口は、中心線A(図1及び図3参照)に対して150〜160゜傾いて、支持アーム側とは反対方向に開口されていることが好ましい。この中心線Aとは、溶湯導入口と溶湯注湯口とを含む方向の中心線である。通常、溶湯導入部の中心線と一致する。更に、通常、本体部の中心線とも一致するものである。
上記「曲面」は、溶湯注湯部の支持アーム側の側面に有する上記所定曲面である。この所定曲面は、図1及び図3に示すように溶湯導入部と溶湯注湯部とを結ぶ方向である長手方向に伸びた曲面である。所定曲面は、曲率半径R(mm)とラドルの最大溶湯保持量M(リットル)との間に120≦R−25M≦200の関係を有する。これによりオーバーフローを防止でき、注湯初期にスリーブを飛び越して溶湯がスリーブ外へこぼれることも防止できる。
また、曲面の長さL(mm)は、最大溶湯保持量M(リットル)との間で102≦L−7.5M≦112を満たすことが好ましい。これにより溶湯がスリーブ外へこぼれることを特に確実に防止できる。
尚、この上記長手方向に伸びる所定曲面は、ラドルの高さ方向(本ラドルに最大溶湯保持量となる溶湯を保持した状態でラドルを保った場合の上下方向)への湾曲は有していてもよく、有していなくてもよいが、湾曲を有することが好ましい。高さ方向への湾曲の曲率は特に限定されないが、通常、溶湯注湯部は先窄みの形状であるため、曲率は連続的に変化することとなる。
また、曲面の長さL(mm)は、最大溶湯保持量M(リットル)との間で102≦L−7.5M≦112を満たすことが好ましい。これにより溶湯がスリーブ外へこぼれることを特に確実に防止できる。
尚、この上記長手方向に伸びる所定曲面は、ラドルの高さ方向(本ラドルに最大溶湯保持量となる溶湯を保持した状態でラドルを保った場合の上下方向)への湾曲は有していてもよく、有していなくてもよいが、湾曲を有することが好ましい。高さ方向への湾曲の曲率は特に限定されないが、通常、溶湯注湯部は先窄みの形状であるため、曲率は連続的に変化することとなる。
上記「給気口」は、本体部の上蓋部を貫通して設けられた孔である。この給気口は、ラドル内に溶湯を保持した際に、この保持された溶湯の酸化を防止するために不活性ガス(窒素、アルゴン及びヘリウム等)を導入する孔であり、使用時に外気に開放されない。この給気口の開口形状、給気口の大きさ等は限定されない。更に、ラドル外側及び内側における開口部の分岐数は限定されない。例えば、内側で4分岐開口させる場合には、溶湯表面に対して水平な方向であり、且つ、溶湯導入口及び溶湯注湯口を除く方向に吐出されることが好ましい(図4参照)。壁面に沿って拡散され易く効果的である。
本ラドルは、上蓋部を有さず本体部の大部分が開放されているような、従来のラドルに比べて、溶湯を保持炉内にラドルを浸漬するときに、浸漬する深さが過度に深くならないように注意する必要が無く、短時間で浸漬できる。即ち、汲み出しの際の使い勝手が良く、作業効率がよい。
本ラドルを構成する材料はセラミックスである。これにより、従来多用されている鋳鉄製のラドルに比べて、熱伝導率が小さく保温性に優れ、ラドルの重量が小さい。
また、本ラドルを構成するセラミックスの種類は特に限定されず種々のものを用いることができるが、溶湯に対する耐食性に優れ、低熱膨張率(例えば、0〜1000℃の間における熱膨張率が0.1〜0.3%以下)であり、熱伝導率が小さい{例えば、2.0〜3.5kcal/m・h・c以下}ものであることが好ましい。更には、これらの条件を満たすSiO2−Al2O3−MgO系セラミックスであることが好ましい。
このSiO2−Al2O3−MgO系セラミックスとしては、粘土(カオリナイト系、ハロイサイト系、スメクタイト系、パイロフィライト系、セリサイト系及びタルク系等の各種粘土鉱物を主成分とするもの等)、これらの粘土を用いたシャモット、石英(溶融石英)、コーディエライト、ムライト、アルミナ、フォルステライト及びスピネル等のうちの1種又は2種以上を焼成して得られるセラミックスが挙げられる。
更に、このラドルには、溶湯が冷却されてなる固形物がラドルの内外表面に付着することを防止できるコート層を設けることができる。コート層としては、ジルコニア・ジルコン系材料等を含むセラミック製コート層が好ましい。
また、本ラドルを構成するセラミックスの種類は特に限定されず種々のものを用いることができるが、溶湯に対する耐食性に優れ、低熱膨張率(例えば、0〜1000℃の間における熱膨張率が0.1〜0.3%以下)であり、熱伝導率が小さい{例えば、2.0〜3.5kcal/m・h・c以下}ものであることが好ましい。更には、これらの条件を満たすSiO2−Al2O3−MgO系セラミックスであることが好ましい。
このSiO2−Al2O3−MgO系セラミックスとしては、粘土(カオリナイト系、ハロイサイト系、スメクタイト系、パイロフィライト系、セリサイト系及びタルク系等の各種粘土鉱物を主成分とするもの等)、これらの粘土を用いたシャモット、石英(溶融石英)、コーディエライト、ムライト、アルミナ、フォルステライト及びスピネル等のうちの1種又は2種以上を焼成して得られるセラミックスが挙げられる。
更に、このラドルには、溶湯が冷却されてなる固形物がラドルの内外表面に付着することを防止できるコート層を設けることができる。コート層としては、ジルコニア・ジルコン系材料等を含むセラミック製コート層が好ましい。
本考案のラドルで扱う溶湯は特に限定されないが、アルミニウム、マグネシウム、チタン及び亜鉛のうちの1種の金属、該金属を含む合金のうちのいずれかの溶湯の汲み出しに用いるのに好適である。上記合金には、例えば、アルミニウム−マグネシウム合金、アルミニウム−チタン合金、チタン−マグネシウム合金、真鍮等が含まれる。
本考案のラドルは、溶湯の汲み出しの際には、ダイキャストマシーンに併設された給湯機の支持アームに取り付けられて用いられる。また、本ラドルにはこの支持アームに取り付けるために別体の取付治具が用いられる。この取付治具としては、例えば、図5及び図6に例示するものが挙げられる。即ち、取付治具(3)は、ラドルの溶湯注湯部の外周面に取り付けるものであり、上板部(31)と、一対の対向する側板部(32)と、これら側板部を繋ぐ帯部(33)と、一方の側板部から延設されたカラー(35)と、側板部(32)及びカラー(35)を連結する連結部(34)と、を備える。これらは側板部(32)に取り付けられたボルト(361)に、上板部の所定の切欠部を係合し、ナット(362)を用いて上下方向に締め付けることによりラドルに固定できる。また、ラドルの上面に凸部を設け、この凸部と上板部(31)に設けられた位置合わせ孔(311)とを係合することにより、正確且つ容易に位置合わせを行うことができると共に、ラドルと上板部とのずれを防止し、取付性を向上させることができる。更に、上板部(31)、側板部(32)及び帯部(33)のラドルと接する表面に接着剤を塗布し、ラドルに取り付けることにより、ラドルに一体的に取付治具を設けることができる。尚、カラー(35)は管状をなしており、このカラーに形成された貫通孔に給湯機が備える支持アームを接続し、ピン穴(351)にピンを挿通して固定することでラドルと給湯機のアームとを連動できる。また、この取付治具の各部は、通常、金属からなる。
以下、実施例により本考案を具体的に説明する。
[1]ラドルの製造
実施例1
給気口を有さず、溶湯導入口は下方に開放され、付着防止層を備えるセラミックスラドル(図1及び図2参照)である。
SiO2−Al2O3−MgO系組成となるセラミックス原料粉末に、溶剤、バインダ及び可塑剤を添加して混合し、ペースト状のラドル用未焼成材料を得た。得られたラドル用未焼成材料を成形型内に投入し、加圧して成形した。この際、未焼成ラドルは、未焼成本体部の一半分、未焼成本体部の他半分、溶湯導入口が下方に開放される未焼成溶湯導入部、未焼成上蓋部の4つの部分に分けて成形した。その後、これらを接合用スラリを用いて接着し、一体の未焼成ラドルを得た。その後、得られた未焼成ラドルを焼成した。その後、得られた焼成体の内表面及び外表面に、焼成されて付着防止層となるコート剤を塗布し、再度焼成して実施例1のラドル(1a)を得た。
[1]ラドルの製造
実施例1
給気口を有さず、溶湯導入口は下方に開放され、付着防止層を備えるセラミックスラドル(図1及び図2参照)である。
SiO2−Al2O3−MgO系組成となるセラミックス原料粉末に、溶剤、バインダ及び可塑剤を添加して混合し、ペースト状のラドル用未焼成材料を得た。得られたラドル用未焼成材料を成形型内に投入し、加圧して成形した。この際、未焼成ラドルは、未焼成本体部の一半分、未焼成本体部の他半分、溶湯導入口が下方に開放される未焼成溶湯導入部、未焼成上蓋部の4つの部分に分けて成形した。その後、これらを接合用スラリを用いて接着し、一体の未焼成ラドルを得た。その後、得られた未焼成ラドルを焼成した。その後、得られた焼成体の内表面及び外表面に、焼成されて付着防止層となるコート剤を塗布し、再度焼成して実施例1のラドル(1a)を得た。
図1及び図2に実施例1のラドル(1a)を示す。このラドル(1a)の本体部(11)は略椀形状を呈する。この本体部(11)の最大溶湯保持量Mは4.5リットルである。また、本体部(11)を覆う上蓋部(14)を有し、上蓋部(14)の厚さ(図1におけるD2)は約6mmである。更に、本体部の底部の厚さ(図2のD1)は約10mmである。溶湯導入部(12)は、下方に開放された溶湯導入口(121)を有し、その奥行き(図2におけるB1)は約25mmであり、幅(図1におけるB2)は約50mmである。また、溶湯注湯部(13)は、本体部(11)を挟んで溶湯導入部(12)と反対側の側方に突出し、側方に開放された溶湯注湯口(131)を有する。更に、溶湯注湯部の支持アーム側は曲面(132)からなる。この曲面(132)は、曲率半径Rは250mmである。また、この曲面の長さLは140mmである。更に、溶湯注湯口の中心線Aに対する傾きθは145゜である
実施例2
給気口を有し、溶湯導入口は下方に開放され、付着防止層を備え、セラミックスからなるラドル(図3及び図4参照)である。
実施例1と同じラドル用未焼成材料を用いて同様に成形した。この際、未焼成ラドルは、未焼成本体部の一半分、未焼成本体部の他半分、溶湯導入口が上方開放される未焼成溶湯導入経路、給気口用の孔が形成された未焼成天井部、及び、給気口の5つの部分に分けて成形した後、これらを接合用スラリを用いて接着し、一体の未焼成ラドルを得た。その後、得られた未焼成ラドルを焼成した。その後、得られた焼成体の内表面及び外表面に、焼成されて付着防止層となるコート剤を塗布し、再度焼成して実施例2のラドル(1b)を得た。
給気口を有し、溶湯導入口は下方に開放され、付着防止層を備え、セラミックスからなるラドル(図3及び図4参照)である。
実施例1と同じラドル用未焼成材料を用いて同様に成形した。この際、未焼成ラドルは、未焼成本体部の一半分、未焼成本体部の他半分、溶湯導入口が上方開放される未焼成溶湯導入経路、給気口用の孔が形成された未焼成天井部、及び、給気口の5つの部分に分けて成形した後、これらを接合用スラリを用いて接着し、一体の未焼成ラドルを得た。その後、得られた未焼成ラドルを焼成した。その後、得られた焼成体の内表面及び外表面に、焼成されて付着防止層となるコート剤を塗布し、再度焼成して実施例2のラドル(1b)を得た。
図3及び図4に実施例2のラドル(1b)を示す。このラドル(1b)は上蓋部(14)に、ラドル内で4方向に吐出方向が分離された給気口(15)を備え、更には、給気用ホースを接続するアダプタ(2)を備える。この上蓋部(14)の厚さは約6mmである。給気口(15)は、外径が30mm(図4におけるB3)である。更に、上蓋部(14)よりも内方に突出する部分は、溶湯導入口及び溶湯注湯口に向かず、保持される溶湯表面に対して水平な4方向(図3参照)に、各々幅1.5mmで開口されている。この他については、実施例1のラドルと同様である。
本考案は、金属関連分野(特にダイカスト製造分野)において広く用いることができる。
1a及び1b;セラミックラドル、11;本体部、12;溶湯導入部、121;溶湯導入口、13;溶湯注湯部、131;溶湯注湯口、132;曲面、14;上蓋部、15;給気口、16;取付部、2;給気アダプタ、3;取付治具、31;上板部、311;位置合わせ孔、32;側板部、33;帯部、34;連結部、35;カラー、351;ピン穴、361;ボルト、362;ナット。
Claims (12)
- 上蓋部を有し、溶湯を保持する本体部と、
該本体部から延設され、下方に開放された溶湯導入口を他端に有する溶湯導入部と、
該本体部を挟んで該溶湯導入部の反対側に配置され、該本体部から延設され、側方に開放された溶湯注湯口を他端に有する溶湯注湯部と、を備え、
本セラミックラドルを用いて溶湯汲出しを行う際に、本セラミックラドルを支持することとなる支持アームが位置される側の上記溶湯注湯部の側面に曲面を有し、且つ、
該曲面の曲率半径R(mm)は本セラミックラドルの最大溶湯保持量M(リットル)との間で下記関係を満たすことを特徴とするセラミックラドル。
120≦R−25M≦200 - 更に、上記上蓋部を貫通して設けられ、上記本体部内に気体を供給できる給気口を備える請求項1に記載のセラミックラドル。
- 上記溶湯導入口と上記溶湯注湯口とを通る中心線(A)に対して、上記支持アームが位置されない側へ150〜160゜傾いて該溶湯注湯口が開口されている請求項1又は2に記載のセラミックラドル。
- 上記曲面の長さL(mm)は、上記最大溶湯保持量M(リットル)との間で下記関係を満たす請求項1乃至3のうちのいずれかに記載のセラミックラドル。
102≦L−7.5M≦112 - 上記最大溶湯保持量M(リットル)は0.5≦M≦4.5である請求項1乃至4のうちのいずれかに記載のセラミックラドル。
- 上記最大溶湯保持量M(リットル)が0.5≦M<1.5であり、上記曲率半径R(mm)が145≦R≦180mmであり、上記曲面の長さL(mm)が106≦L≦120mmであり、且つ、上記溶湯導入口と上記溶湯注湯口とを通る中心線(A)に対する該溶湯注湯口の開口方向の傾きθ(゜)が150≦θ≦160である請求項4又は5に記載のセラミックラドル。
- 上記最大溶湯保持量M(リットル)が1.5≦M<2.5であり、上記曲率半径R(mm)が170≦R≦205mmであり、上記曲面の長さL(mm)が115≦L≦130mmであり、且つ、上記溶湯導入口と上記溶湯注湯口とを通る中心線(A)に対する該溶湯注湯口の開口方向の傾きθ(゜)が150≦θ≦160である請求項4又は5に記載のセラミックラドル。
- 上記最大溶湯保持量M(リットル)が2.5≦M<3.5であり、上記曲率半径R(mm)が195≦R≦230mmであり、上記曲面の長さL(mm)が120≦L≦135mmであり、且つ、上記溶湯導入口と上記溶湯注湯口とを通る中心線(A)に対する該溶湯注湯口の開口方向の傾きθ(゜)が150≦θ≦160である請求項4又は5に記載のセラミックラドル。
- 上記最大溶湯保持量M(リットル)が3.5≦M≦4.5であり、上記曲率半径R(mm)が220≦R≦255mmであり、上記曲面の長さL(mm)が130≦L≦145mmであり、且つ、上記溶湯導入口と上記溶湯注湯口とを通る中心線(A)に対する該溶湯注湯口の開口方向の傾きθ(゜)が150≦θ≦160である請求項4又は5に記載のセラミックラドル。
- アルミニウム、マグネシウム、チタン及び亜鉛のうちの1種の金属、該金属を含む合金のうちのいずれかの溶湯の汲み出しに用いる請求項1乃至9のうちのいずれかに記載のセラミックラドル。
- 0〜1000℃における熱膨張率が0.1〜0.3%であり、且つ、熱伝導率が2.0〜3.5W・m・kであるSiO2−Al2O3−MgO系セラミックスからなる請求項1乃至10のうちのいずれかに記載のセラミックラドル。
- 外表面及び内表面に、溶湯付着防止用コート層を備え、該溶湯付着防止用コート層は、ジルコニア・ジルコン系材料からなる請求項1乃至11のうちのいずれかに記載のセラミックラドル。
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