JP3108372B2 - 浸漬ノズルの接合方法 - Google Patents

浸漬ノズルの接合方法

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    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融金属容器から
溶融金属を流出させる際に用いられる浸漬ノズルの接合
方法に関し、更に詳しくは、浸漬ノズル上面と、下プレ
ートれんがまたは下ノズルの接合方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造装置の浸漬ノズルの下方部は、
常に溶融金属中に浸漬され、溶融金属により洗われる状
態におかれ、損耗するので、適時に新しい浸漬ノズルと
交換することが必要となる。そのため、浸漬ノズルと、
その上部に位置するスライディングノズルの下プレート
れんが若しくは下ノズルは、交換可能な方式により接合
されている。
【0003】例えば、従来、浸漬ノズル上面と、下プレ
ートれんがまたは下ノズル等の接合には、接合面にパッ
キンを挟持させる方式が採用されている。この方式は、
予熱された浸漬ノズルに、パッキンをセットし、下プレ
ートれんがや下ノズルと嵌合させるものである。ここ
で、パッキンとしては、例えば特公昭61−14111
号公報、特開平4−154676号公報、特開平5−1
63073号公報及び特開平5−163074号公報に
記載されているようなパッキン材または充填材が使用さ
れる。
【0004】しかし、この方式によれば、予熱された浸
漬ノズルにパッキンをセットしてから、下プレートれん
がや下ノズルと嵌合するまでの間に、バインダーから発
生する煙や悪臭のために作業環境が悪化したり、嵌合作
業の目視による確認ができない等の問題があった。ま
た、予熱された浸漬ノズル等にセットし、下プレートれ
んがや下ノズルと嵌合させるまでの間にパッキンが熱に
より硬化し、シール性が不良となり、エアー吸気が起こ
り、漏鋼やノズルれんがの異常溶損が起こる等の問題が
あった。
【0005】また、予め下プレートれんがまたは下ノズ
ルに、パッキンを接着または装着したものを予熱した浸
漬ノズルと嵌合させる施工法も行われているが、浸漬ノ
ズルの熱によりパッキンが発煙し、嵌合作業の目視によ
る確認やセンサーを用いる自動化による嵌合ができない
等の問題がある。
【0006】パッキンを使用する際の上述のような問題
点を解決するために、浸漬ノズル上部に、プレート状摺
動部を設け、下プレートれんがまたは下ノズルの下部の
摺動平面部に圧接する方式が採用されている。この方式
によれば、浸漬ノズルと下プレートれんがまたは下ノズ
ルとの接合部にパッキンを使用する必要がなく、短時間
に浸漬ノズルを交換することができる利点があり、例え
ば米国特許第4,669,528号明細書に記載されてい
るような浸漬ノズルの交換装置においてもこの方式が使
用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、浸漬ノズル
と、下プレートれんがまたは下ノズルの接合部には、浸
漬ノズル等への吸気による溶鋼の酸化を防止するため
に、シール性が要求され、浸漬ノズル上部に設けられる
プレート状摺動部や、下プレートれんがまたは下ノズル
の下部の摺動平面部は、圧接時に気体の吸気を防止でき
るように平滑に仕上げなければならず、コストが掛か
る。また、平滑仕上げを行った浸漬ノズルや、下プレー
トれんがまたは下ノズルは、摺動部を損傷することがな
いように慎重に取り扱う必要もある。
【0008】また、例えば米国特許第4,669,528
号明細書に記載されているような浸漬ノズルの交換装置
においては、浸漬ノズルを交換する際に、浸漬ノズル上
部のプレート状摺動部と、下プレートれんがまたは下ノ
ズルの下部の摺動平面部が、接触した状態で移動するた
めに、交換作業中に両部材の摺動部が損傷して平滑さが
損なわれ、両部材を圧接すると傷が隙間となり、シール
性を阻害する恐れもあった。
【0009】従って、本発明の目的は、簡便且つ短時間
で行うことができ、更に、発煙等の作業環境等の悪化を
伴わない浸漬ノズルの接合方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、浸漬ノ
ズルと、耐火部材の接合方法において、浸漬ノズルの上
部接合面がシール剤原料配合物スラリーを塗布し、乾燥
することにより得られたシール剤被覆層を備えてなる
漬ノズルを用いることを特徴とする浸漬ノズルと、耐火
部材との接合方法を提供することにある。
【0011】更に、本発明は、浸漬ノズルと、耐火部材
の接合方法において、浸漬ノズルの上部接合面がシール
剤原料配合物スラリーを塗布し、乾燥することにより得
られたシール剤被覆層を備えてなる浸漬ノズルと、且つ
耐火部材の下部接合面が剥離剤原料配合物スラリーを塗
布し、乾燥することにより得られた剥離剤被覆層を備え
てなる耐火部材とを用いることを特徴とする浸漬ノズル
と、耐火部材との接合方法を提供するにある。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の第1の特徴は、溶融金属
容器から溶融金属を流出させる際に使用する浸漬ノズル
を下プレートれんがまたは下ノズルのような耐火部材と
接合するに際して、該浸漬ノズルの上部接合面に予めシ
ール剤を塗布してシール剤被覆層を形成させたものを浸
漬ノズルとして使用することにある。浸漬ノズルの上部
接合面にシール剤被覆層を形成することにより、該上部
接合面を精度良く平滑に仕上げなくとも、浸漬ノズルと
耐火部材とを単に圧接するだけで、接合部の良好なシー
ル性を確保することができ、該接合面の平滑仕上げに要
するコストを削減することができる。また、耐火部材の
下部接合面に傷等がある場合でも、良好なシール性を提
供することができる。
【0013】ここで、浸漬ノズルの材質は、本発明にお
いては特に限定されるものではなく、溶融金属容器にお
いて、通常使用されているものであれば良く、例えばア
ルミナカーボン質、溶融石英質、ジルコニアカーボン質
等の材質よりなるものである。
【0014】また、浸漬ノズルが接合されるスライディ
ングノズルの下プレートれんがまたは下ノズル(整流ノ
ズル)等の材質もまた本発明においては特に限定される
ものではなく、通常使用されているものであれば良く、
例えばアルミナカーボン質、高アルミナ質、ジルコン質
等の材質よりなるものである。
【0015】更に、本発明に使用するシール剤は、例え
ばSiO:55〜65重量%、Al:5〜25
重量%、BC:0〜20重量%、B:0〜10
重量%、RO(Rはアルカリ金属を表す):0〜20
重量%、SiC:0〜10重量%、C:0〜10重量
%、好ましくはSiO:60重量%、Al:2
0重量%、SiC:5重量%、 :4重量%、R
O:6重量%、その他5重量%の組成を有するもので
ある。
【0016】なお、浸漬ノズルの上部接合面に施される
シール剤被覆層の厚さは、0.2〜1.0mm、好ましく
は0.4〜0.7mmの範囲内である。ここで、シール剤
被覆層の厚さが0.2mm未満の場合には、接合面を精
度良く平滑に仕上げないと良好なシール性が保てないた
めに好ましくなく、また、該被覆層の厚みが1.0mm
を超えると、シール剤被覆層自体の溶損を生じ、安全上
好ましくない。
【0017】また、該シール剤被覆層は、任意の時点で
設置することができ、例えば浸漬ノズルを製作時にシー
ル剤被覆層を設置すれば、浸漬ノズル交換現場での繁雑
な作業を省くことができる。
【0018】なお、シール剤被覆層は、上述のような組
成となるように所定の割合の原料配合物を調製し、得ら
れた原料配合物に、溶媒を添加、混練してスラリーと
し、このスラリーを浸漬ノズルの上部接合面に任意の方
法例えばハケ塗り等により塗布し、乾燥することにより
得ることができる。
【0019】本発明方法においては、上部接合面にシー
ル剤被覆層を備えてなる浸漬ノズルを、下プレートれん
がまたは下ノズルのような耐火部材の下部接合面に圧接
するだけで接合部位に良好且つ安定なシール性を提供す
ることができる。なお、浸漬ノズルと、耐火部材との接
合方法は、特に限定されるものではなく、慣用の任意の
方式を採用することができる。
【0020】更に、本発明方法によれば、下プレートれ
んがまたは下ノズルのような耐火部材の下部接合面に剥
離剤被覆層を設けることにより、浸漬ノズルの上部接合
面に設けられたシール剤被覆層の該耐火部材の下部接合
面への焼き付き等を防止することができ、より簡便且つ
迅速に浸漬ノズルの交換を行うことができる。即ち、シ
ール剤被覆層は、浸漬ノズルが使用時受ける熱により、
耐火部材の下部接合面に焼結することがあり、この場合
には、浸漬ノズルを取り外し、次の浸漬ノズルを取り付
ける前に、耐火部材の下部接合面を清掃しなければなら
ない。しかし、耐火部材の下部接合面に剥離剤被覆層を
設けることにより、このような作業を行う必要がなくな
る。
【0021】ここで、剥離剤被覆層とは、スライディン
グノズルのプレートれんが摺動面に通常塗布されている
ものであり、例えば黒鉛等よりなるものである。
【0022】また、耐火部材の下部接合面に施される剥
離剤被覆層の厚さは、0.05〜0.5mm、好ましくは
0.2〜0.3mmの範囲内である。ここで、剥離剤被覆
層の厚さが0.05mm未満の場合には、剥離性が低下
するために好ましくなく、また、該被覆層の厚みが0.
5mmを超えると、接合部の通気性が増大するために好
ましくない。
【0023】なお、剥離剤被覆層は、耐火部材製作時に
塗布して出荷する等、任意に設置すれば良い。ここで、
剥離剤被覆層は、上述のような組成となるように所定の
割合の原料配合物を調製し、得られた原料配合物に、溶
媒例えばケイ酸ソーダ、リン酸等を添加、混練してスラ
リーとし、このスラリーを耐火部材の下部接合面に塗布
し、乾燥することにより得ることができる。
【0024】この実施態様においても、上部接合面にシ
ール剤被覆層を備えてなる浸漬ノズルを、下部接合面に
剥離剤被覆層を備えてなる下プレートれんがまたは下ノ
ズルのような耐火部材の下部接合面に圧接するだけで接
合部位に良好且つ安定なシール性を提供することがで
き、更に、接合部位の焼結等の問題点もなく、簡便且つ
迅速に浸漬ノズルの交換を行うことができる。なお、浸
漬ノズルと、耐火部材との接合方法は、特に限定される
ものではなく、慣用の任意の方式を採用することができ
る。
【0025】
【実施例】以下、本発明方法を実施例により更に詳細に
説明する。 実施例1 本発明による浸漬ノズルの接合方法の性能を評価するた
めに、下ノズル(整流ノズル)並びに浸漬ノズルを模擬
した図2に示すような装置を使用して実験を行った。図
2において、円筒(2)は、下ノズルを模擬したもので
あり、Al23:73重量%、SiO2:9重量%、
C:14重量%の組成を有するアルミナ・カーボン質耐
火物よりなるものであり、ここでは、内径70mm、外
径130mm、長さ400mmのものを使用した。次
に、円筒(1)は、浸漬ノズルを模擬したものであり、
SiO2:24重量%、Al23:44重量%、C+S
iC:31重量%の組成を有するアルミナ・シリカ・カ
ーボン質耐火物よりなるものであり、ここでは、内径7
0mm、外径130mm、長さ150mmの穴が貫通し
ていないものを使用した。なお、円筒(1)の上部接合
面には、SiO2:60重量%、Al23:20重量
%、B23:4重量%、R2O:6重量%、SiC:5
重量%、その他5重量%の組成を有するシール剤を塗布
して厚さ0.6mmのシール剤被覆層を予め設置した。
円筒(1)は、置き台(7)の上に設置されており、そ
の上に円筒(2)が接続されており、接合部(3)を中
心とする帯域は、電気炉(4)により加熱可能な状態と
なっている。なお、置き台(7)には、温度測定手段
(5)が設置されている。円筒(1)と、円筒(2)の
接合は、図2に矢印で示す荷重による圧接であり、本実
施例においては、シール性能を評価するために真空ポン
プ(6)に連通可能な形態の上蓋(8)を介して370
kgの荷重により接合されている。
【0026】上述のような構成の装置を用い、まず、電
気炉(4)により炉内温度を1000℃まで上昇させ、
温度測定手段(5)が700℃に上昇した後、圧接し、
真空ポンプ(6)にて、系内の圧力を−380mmHg
まで減圧し、系内の圧力が大気圧に復帰するまでの時間
(秒)を測定した。得られた結果を図1のグラフに記載
する。
【0027】実施例2 シール剤被覆層の厚さを0.2mmとした以外は上記実
施例1と同様の方法により、接合部位の性能を評価し
た。得られた結果を図1のグラフに記載する。
【0028】実施例3 シール剤としてiO:58重量%、Al:8
重量%、B:4重量%、RO:17重量%、S
iC:4重量%、その他9重量%の組成を有するものを
使用した以外は上記実施例1と同様の方法により、接合
部位の性能を評価した。得られた結果を図1のグラフに
記載する。
【0029】実施例4 円筒(2)の下部接合面に、黒鉛原料をケイ酸ソーダで
混練してなる剥離剤を塗布して厚さ0.1mmの剥離剤
被覆層を設けた以外は上記実施例1と同様の方法によ
り、接合部位の性能を評価したところ、実施例1と何ら
変わることはなく良好であった。なお、別に、厚さ0.
25mm、0.4mmの剥離剤被覆層を設けた以外は上
記実施例1と同様の方法により、接合部位の性能を評価
したところ、それぞれ実施例1と何ら変わることはなく
良好であった。また、冷却後、円筒(1)と円筒(2)
の取り外しを行う際に、円筒(2)の剥離剤被覆層上に
シール剤被覆層が残存することなく容易に行うことがで
きた。
【0030】比較例1 接合面を平滑仕上げした円筒(1)並びに円筒(2)を
使用し、接合部にシール剤被覆層を設けない以外は、実
施例1と同様の方法により、両者を接合し、得られた接
合部のシール性能を評価した。なお、円筒(1)と、円
筒(2)の接合面の平滑度は0.2mm以下に仕上げた
ものを使用した。得られた結果を図1のグラフに併記す
る。
【0031】比較例2 シール剤被覆層が不在の円筒(1)と、円筒(2)の接
合部(3)に、パッキン材(外径130mm、内径70
mm、厚さ4mm、組成:Al23:67重量%、Si
2:25重量%、C:8重量%)を介在させる以外
は、実施例1と同様の方法により両者を接合し、得られ
た接合部のシール性能を評価した。なお、パッキン材の
セットは、温度測定手段(5)が700℃となった後に
おこない、セット後圧接した。圧接後のパッキン材の厚
さは1.5〜2mmであった。本例の場合には、加熱、
評価の際に、発煙と悪臭の発生が観察された。得られた
結果を図1のグラフに併記する。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、浸漬ノズルと、下プレ
ートれんがまたは下ノズルのような耐火部材を接合する
に際して、浸漬ノズルの上部接合面に、単にシール剤被
覆層を設けるだけで、パッキン材等を使用する接合より
も優れたシール性能を提供することができ、且つ接合部
が熱を受けた場合にも発煙や悪臭の発生はない。更に、
耐火部材の下部接合面に剥離剤被覆層を設けることによ
り、シール剤被覆層の耐火部材への焼結を防止すること
ができ、浸漬ノズルを簡便且つ迅速に交換することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シール性能評価試験の結果を示すグラフであ
る。
【図2】実施例及び比較例において、接合部のシール性
能を評価するために使用した装置の概略図である。
【符号の説明】
1 円筒 2 円筒 3 接合部 4 電気炉 5 温度測定手段 6 真空ポンプ 7 置き台 8 上蓋

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 浸漬ノズルと、耐火部材の接合方法にお
    いて、浸漬ノズルの上部接合面がシール剤原料配合物ス
    ラリーを塗布し、乾燥することにより得られたシール剤
    被覆層を備えてなる浸漬ノズルを用いることを特徴とす
    る浸漬ノズルと、耐火部材との接合方法。
  2. 【請求項2】 浸漬ノズルと、耐火部材の接合方法にお
    いて、浸漬ノズルの上部接合面がシール剤原料配合物ス
    ラリーを塗布し、乾燥することにより得られたシール剤
    被覆層を備えてなる浸漬ノズルと、且つ耐火部材の下部
    接合面が剥離剤原料配合物スラリーを塗布し、乾燥する
    ことにより得られた剥離剤被覆層を備えてなる耐火部材
    とを用いることを特徴とする浸漬ノズルと、耐火部材と
    の接合方法。
  3. 【請求項3】 耐火部材が、下プレートれんがまたは下
    ノズルである、請求項1または2記載の接合方法。
  4. 【請求項4】 シール剤層の厚みが、0.2〜1.0m
    mの範囲内である、請求項1ないし3のいずれか1項記
    載の接合方法。
  5. 【請求項5】 剥離剤層の厚みが、0.05〜0.5m
    mの範囲内である、請求項2ないし4のいずれか1項記
    載の接合方法。
  6. 【請求項6】 シール剤原料配合物スラリーがSi
    2 :55〜65重量%、Al 2 3 :5〜25重量%、
    4 C:0〜20重量%、B 2 3 :0〜10重量%、R 2
    O(Rはアルカリ金属を表す):0〜20重量%、Si
    C:0〜10重量%及びC:0〜10重量%の組成を有
    する原料配合物と溶媒とからなる、請求項1ないし5の
    いずれか1項記載の浸漬ノズルと、耐火部材との接合方
    法。
  7. 【請求項7】 剥離剤原料配合物スラリーが黒鉛とケイ
    酸ソーダまたはリン酸とからなる請求項2ないし5のい
    ずれか1項記載の浸漬ノズルと、耐火部材との接合方
    法。
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