JP3106583B2 - 塩化ビニル系単量体の重合方法 - Google Patents

塩化ビニル系単量体の重合方法

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JP3106583B2
JP3106583B2 JP03227387A JP22738791A JP3106583B2 JP 3106583 B2 JP3106583 B2 JP 3106583B2 JP 03227387 A JP03227387 A JP 03227387A JP 22738791 A JP22738791 A JP 22738791A JP 3106583 B2 JP3106583 B2 JP 3106583B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、重合器内壁面及び/又
は重合器付帯機器の表面に生ずる重合体スケールの付着
を防止した塩化ビニル系単量体の重合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系重合体は、通常、乳化剤ま
たは分散剤を含む水性媒体中で重合開始剤の存在下、塩
化ビニル系単量体を乳化重合又は懸濁重合して製造され
る。この重合過程において、重合器内壁、重合器の付帯
機器である攪拌翼、バッフル、還流冷却器壁面及び重合
器に設置されている各種配管壁面など塩化ビニル系単量
体が接触する部分(以下、これらを総称して「重合器内
壁等」という)に重合体スケールが付着し、このために
重合体収率が低下し、重合器の冷却能力が低下するほ
か、剥離スケールが製品中に混入することにより、これ
から得られた成形品に例えばフィッシュアイ等が発生
し、成形品の物性が低下するという欠点があり、また重
合器内壁等の付着スケール除去のために過大な労力と時
間とを要し、重合器の稼働率が低下するという問題点が
あった。
【0003】さらに、重合器内に入って、付着スケール
を除去しようとすれば塩化ビニル単量体に暴露され、労
働衛生上好ましくない。従って、これらの諸問題を解決
することは塩化ビニル系重合体を製造する者にとって、
長年の懸案事項であった。従来より、重合器内壁等に重
合体スケールが付着するのを防止する方法として重合器
内壁等にスケール抑制効果のある物質を塗布する方法が
提案されている。
【0004】例えば(1)アミン化合物、キノン化合
物、アルデヒド化合物等の極性化合物、染料及びフリー
ラジカル禁止剤などを塗布する方法、(2)キサントゲ
ン酸のアルカリ金属塩を塗布する方法、(3)イソブチ
レン−無水マレイン酸共重合体を定着剤として用いる方
法、
【0005】(4)キサントゲン酸のアルカリ金属塩、
ポリエチレンイミン及びアルデヒドの3成分を塗布する
方法、(5)電子供与性の塩基性染料と電子受容性の染
料との混合物を塗布する方法、(6)水溶性アニオン染
料と水溶性カチオン染料との水溶液にフィチン酸化合物
を添加し、pH7以下に調製されたものを塗布する方
法、等が挙げられる。
【0006】しかしながら、上述(1)〜(5)の方法
では、スケール付着防止の効果または持続性の効果の一
方または両方ともが優れているとは言い難く、すなわ
ち、両効果ともに優れた満足しうる方法ではなかった。
また、(6)の方法ではスケール付着防止の効果及びそ
の持続性はほぼ満足しうる結果が得られているが、実施
においては塗布後のpHを3以下の強酸性にしなければ
上述の効果は得られない。この場合、重合器内壁等を酸
で処理するので、スケール付着防止及び持続性の効果の
面では好ましいが、一方、重合器内壁等の腐蝕の点で不
利となる。
【0007】例えば、ステンレス鋼SUS304のよう
な材質では腐蝕または応力腐蝕割れが生じ、安全性の面
で問題が起り、コストの高いステンレス鋼SUS316
等のような材質を使用する必要があった。以上のスケー
ル付着防止剤の塗布方法には、筆塗り、1流体ノズルあ
るいは2流体ノズルによるスプレーによる塗布、一度重
合器内にスケール付着防止剤を満たした後に抜き取る方
法等、種々の方法があって、限定されるものではない。
【0008】最後の方法は、スケール付着防止剤を満た
してから回収するまでの時間的制約があること、大量に
スケール付着防止剤を用意する必要があり、経済的制約
がある等によりあまり好ましい方法ではない。その他の
方法では、重合器天井や、重合器上部に接続する構造上
複雑な部分、例えば、各種配管や、還流冷却器等にくま
なく塗布することが困難である。また、仮に均一に塗布
したとしても、これら気相部分は、飛散ポリマーの付着
に起因するスケール生成があるので、スケール付着防止
剤の塗布対策だけでは不十分であるという欠点があっ
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、従来技
術のかかる問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、
電子供与性の染料の少なくとも一種とアリールスルホン
酸類の少なくとも一種からなる混合物及び/又は反応生
成物の被膜を形成し、ついで重合器及び付帯機器の気相
部内面に水を散布しながら又は流下させながら重合を行
うことによりスケール付着防止効果及びその持続性の効
果がより改善されることを見出し、本発明を完成するに
到った。すなわち、本発明の目的は、重合器内壁等のス
ケール付着防止効果が優れかつこの効果を長期にわたっ
て持続させることができ、さらに、重合器等の腐蝕の生
じない塩化ビニル系単量体の重合方法を提供するにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】しかして、本発明の要旨
とするところは、塩化ビニル単量体または塩化ビニル単
量体を主体とする共重合可能な単量体の混合物を水性媒
体中で重合させるにあたり、あらかじめ重合器内壁及び
/又は重合器付帯機器の表面に、電子供与性の染料
(イ)とアリールスルホン酸類(ロ)との混合物及び/
又は反応生成物の被膜を形成し、ついで重合器及び重合
器付帯機器の気相部内面に注水しながら重合することを
特徴とする塩化ビニル系単量体の重合方法に存する。こ
の被膜の形成は電子供与性の染料(イ)及びアリールス
ルホン酸類(ロ) の混合溶液又は分散液をあらかじめ加
熱処理又は光照射処理して得られた反応生成物の溶媒溶
液又は分散液を重合器内壁等に塗布するのが好適であ
る。
【0011】本発明をさらに詳細に説明する。本発明に
おいて用いられる電子供与性の染料(イ)(以下成分
(イ)という)としてはローダミンBのようなキサンテ
ン染料、C.I.ベーシックレッド2のようなアジン染料、
C.I.ベーシックレッド12、C.I.ベーシックイエロー1
1のようなメチンおよびポリメチン染料、C.I.ベーシッ
クブルー1のようなトリアリルメタン染料、C.I.ベーシ
ックブルー9のようなチアジン染料、C.I.ベーシックオ
レンジ2のようなアゾ染料、C.I.ベーシックオレンジ1
4のようなアクリジン染料、C.I.ベーシックイエロー2
のようなジフェニルメタン(ケトイミン)染料、その他
チアゾール染料、オニウム染料等の塩基性染料が挙げら
れる。
【0012】塩基性染料以外にも、分散染料、直接染
料、アゾイック染料、蛍光染料、溶媒染料あるいは染料
中間体、顔料等のうち、ルイス塩基としての性格を有す
る分子、窒素、酸素、イオウの非共有電子対をもつ分子
等が例示される。これら染料はその少なくとも一種が使
用される。一方、アリールスルホン酸類(ロ)(以下成
分(ロ)という)としては、ベンゼンスルホン酸をはじ
め、o−、m−、p−トルエンスルホン酸、エチルベン
ゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、2,4
−ジメルベンゼンスルホン酸のような1置換もしくは2
以上の置換アルキルベンゼンスルホン酸、β−ナフタレ
ンスルホン酸のような多核芳香族スルホン酸が挙げられ
る。
【0013】成分(ロ)はスルホン酸基以外にカルボン
酸、キノン類、ニトロ基等のような電子受容性としての
性格を与える置換基が含まれる化合物であってもよい。
これら成分(ロ)は少なくとも一種が用いられる。ま
た、成分(ロ)は、電子供与性置換基が一部に含まれて
いても、その電子受容性能が高く、電子供与性の染料に
対して十分電子を受容し得る能力を有する化合物であれ
ば問題無く使用し得る。
【0014】成分(イ)及び成分(ロ)の使用割合は、
特に限定されるものではないが、両者の電荷効果又は反
応効果、スケール付着防止効果及びその持続性等を考え
ると、前者:後者が重量比で1:10〜10:1、好ま
しくは1:5〜5:1の範囲である。また、成分(イ)
と成分(ロ)とは成分(イ) の分子中の活性基と成分
(ロ)のスルホン酸基とで集合体、会合体、錯体又は反
応生成物を形成するが、成分(イ)の活性基の数によっ
て成分(ロ) の使用割合を調節するのが望ましく、例え
ば高価な染料(イ)の損失を防ぎ、その有効利用を計
り、またスルホン酸類集合体、会合体、錯体又は反応生
成物から除去され易いことを考えると、成分(イ)より
成分(ロ)を過剰モル比、過剰当量用いるのが推められ
る。成分(イ)と成分(ロ)のモル比で1:1〜1:1
00、好ましくは1:1〜1:50、更に好ましくは
1:1〜1:10の範囲にあるのが望ましい。
【0015】本発明方法は、重合器内壁等に成分(イ)
及び成分(ロ)からなる混合物及び/又は反応生成物の
被膜を形成するにある。被膜は、成分(イ)及び成分
(ロ)それぞれの溶媒溶液又は分散液を順次重合器内壁
等に塗布するか、又は、予め混合液とした後に塗布する
ことによって形成させることができる。
【0016】上記溶媒としては、例えば水、アルコール
系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、炭化水素系溶
剤、塩素化炭化水素系溶剤あるいはジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、アクリロニトリルなどの非
プロトン性溶媒及びこれら二種以上の混合溶媒などが挙
げられる。更に塗布後に加熱処理又は光照射処理を行っ
て反応生成物被膜の形成を促進してもよい。
【0017】本発明方法で特に好適な方法は、予め成分
(イ) と成分(ロ)との反応生成物を生成させた溶媒溶
液又は分散液を重合器内壁等に塗布して、その被膜を形
成する方法である。成分(イ)と成分(ロ) とから反応
生成物を予め生成させるためには上記溶媒に溶解または
分散させた後に加熱処理又は光照射処理する。上述の溶
媒は、一種に限定されることなく二種以上の混合溶媒を
使用してもよい。また、成分(イ)及び成分(ロ)の溶
液又は分散液の調製は、両成分を溶媒に同時に溶解又は
分散させても、各成分をそれぞれの溶媒に溶解又は分散
させた後に両溶液又は分散液を混合してもよい。
【0018】この混合溶液又は分散液(以下「溶媒溶
液」という)中で反応生成物を生成させるには、通常、
該溶媒溶液を加熱処理する。加熱処理は、常圧下で還流
しても、圧力容器を用いて溶媒の沸点以上の温度に加熱
することもできる。またこれに限定されるものではなく
加熱温度及び加熱時間は各成分の反応性によって適宜決
定すればよい。通常、加熱温度は200℃以下、好まし
くは50〜170℃、特に60〜150℃の範囲であ
る。
【0019】更に、反応生成物は、可視部から紫外部の
光を溶媒溶液に照射することによっても生成させること
ができる。この場合、溶媒溶液中の成分が励起されるこ
とが必要である。溶媒溶液中での反応は、成分(イ)又
は成分(ロ)のうち少ない方の成分、すなわち濃度が低
い方の成分の反応転化率が50%以上、好ましくは70
%以上、特に80%以上であることが望ましい。この溶
媒溶液は、そのまま重合器内壁等への塗布液として用い
ることができる。
【0020】反応生成物を含む溶媒溶液は、重合器内壁
等の腐蝕を避けるため、溶媒溶液中の未反応のアリール
スルホン酸類(ロ)を除去して用いるのが望ましい。一
般に、溶媒溶液中の反応生成物と成分(ロ)の溶解度差
を利用するような再結晶法、均一沈澱法、沈澱交換法、
再沈澱法、分別沈澱法のような沈澱法、さらに溶媒抽出
法、イオン交換膜透析法、分子篩、分子篩クロマトグラ
フィー、吸着分配クロマトグラフィー、イオン交換クロ
マトグラフィー、電気泳動法、起泡分離法、密度勾配遠
心分画法等によって反応生成物を分離し、該反応生成物
を再溶解または再分散して使用する。
【0021】あるいはまた溶媒溶液を気化させて固体を
析出させた後、分別昇華やキャリヤーガスによる昇華を
行い、反応生成物と成分(ロ)とを分離してもよい。こ
のようにして分離された反応生成物は、再溶解または再
分散し、または濃度調整を行い、適当量の反応生成物を
含む溶媒溶液とし、これを重合器内壁等への塗布液とす
る。
【0022】塗布方法は、刷毛塗り、1流体、2流体ノ
ズルを用いるスプレー方法、溶媒溶液で重合器内壁等を
一旦満たした後、溶媒溶液を回収する方法等、均一かつ
全面に塗布できれば、特にその方法は限定されない。2
流体ノズルを用いてスプレーする方法では、ガス媒体と
して例えば、空気、窒素ガス等の非凝縮性のガス、スチ
ームのような凝縮性のガス等が用いられるが、本発明方
法では成分(イ)及び成分(ロ)の反応を促進するため
にスチームをガス媒体として用いスプレーと同時に溶媒
溶液の加熱を行う方法を採用するのが良い。
【0023】溶媒溶液の塗布後は通常重合器等のジャケ
ットに温水またはスチームを通して重合器内壁等を加熱
し、成分(イ)及び成分(ロ)の反応を促進させるとと
もに溶媒を気化除去し、それと同時に混合物及び/又は
反応生成物を重合器内壁等に乾燥固着させ被膜を形成す
る。重合器内壁等の加熱は150℃以下の温度で行い、
好ましくは50〜120℃の温度で1〜100分間、特
に70〜100℃の温度範囲で2〜30分間くらいが適
当である。
【0024】上述の塗布工程後、余剰の成分(イ)又は
成分(ロ)又は反応生成物を水洗等の方法により除去し
て塗布工程を完了する。重合器内壁等への混合物及び/
又は反応生成物塗布による被膜は、通常0.001g/
m2以上、好ましくは0.01〜5g/m2の範囲で形成さ
れるのがよい。塗布量が0.001g/m2より少ない場
合にはスケール付着防止効果が十分ではなく、5g/m2
よりも多いとスケール付着防止効果は満足しうるが、逆
に、重合反応遅延、反応生成物の剥離、呈色等、重合反
応及び製品に悪影響を与えるようになる。
【0025】本発明方法は、重合器内壁等に成分(イ)
及び成分(ロ)の混合物及び/又は反応生成物の被膜を
形成した重合器を用いて塩化ビニル単量体または塩化ビ
ニル単量体を主体とする共重合可能な単量体の混合物の
水性媒体中で重合を重合器内壁等の気相部内面に水を散
布しながらまたは水を流下させながら、すなわち気相部
内面に注水しながら実施するにある。
【0026】注水方法としては、特に限定されるもので
はないが、例えば管台または還流冷却器内面へ通じる単
一または複数の注水口から管台、コンデンサー内面及び
重合器自体の気相部内面に水を流下させる方法や管台、
還流冷却器、重合器等の単量体の接触する気相部に単一
または複数の注水ノズルを配置して、該ノズルから気相
部内面に向けて水を散布するか又は流下させる方法が採
用される。
【0027】また、注水量は、重合反応に支障のない量
であることは勿論であるが、重合器の大きさ、初期仕込
量を勘案して決めるのが望ましく、例えば管台や還流冷
却器の場合には管径に比例して、また重合器気相部の場
合には重合器内径に比例して定めるのが良く、具体的に
は1時間当り前者の場合、0.1l/cm(cmは管径を示
す)以上、好ましくは1l/cm以上、後者の場合、0.
5l/m(mは重合器の内径を示す)以上、好ましくは
5l/m以上、特に50l/m以上の範囲から選択され
る。
【0028】本発明方法におけるビニル系単量体の重合
には、通常知られている重合処方が全て採用され、使用
される分散剤、乳化剤、重合開始剤などは特殊のもので
ある必要はなく、汎用されている分散剤、乳化剤、重合
開始剤を用いることができる。例えば分散剤、乳化剤と
しては、ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物、アクリル酸共
重合体、無水マレイン酸共重合体、セルロース誘導体、
ゼラチン、デン粉などのような保護コロイド性の薬剤、
又は天然高分子化合物、高級脂肪酸と多価アルコールと
のエステル類、ポリオキシエチレン誘導体などのノニオ
ン界面活性剤、高級脂肪酸の金属塩、高級アルコール硫
酸エステルのアルカリ塩などのアニオン界面活性剤など
が用いられる。
【0029】重合開始剤としては、ベンゾイルペルオキ
シド、ラウロイルペルオキシド、ジオクチルペルオキシ
カルボナート、アセチルシクロヘキシルスルホニルペル
オキシドなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニト
リル、ジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物、過硫
酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩等が使
用される。
【0030】本発明方法で使用される塩化ビニル系単量
体は、塩化ビニル単量体それ自体のほか、塩化ビニル単
量体を主体とする、塩化ビニル単量体及びこれと共重合
可能な単量体の混合物であってもよい。この共重合可能
な単量体としては、エチレン、プロピレンなどのオレフ
ィン類、酢酸ビニル、ステアリン酸ビニルなどのビニル
エステル類、エチルビニルエーテル、セチルビニルエー
テルなのビニルエーテル類、アクリル酸エステル、マレ
イン酸或いはフマル酸のエステル類及び無水物などの不
飽和カルボン酸誘導体、マレイミド及びそのN−置換
体、スチレンなどの芳香族ビニル化合物、アクリロニト
リルなどの不飽和ニトリル化合物のような従来知られて
いる塩化ビニルと共重合可能な単量体は何れも使用でき
る。
【0031】
【発明の効果】本発明方法によれば重合反応において、
重合器内壁等特に重合器及び重合器付帯機器の気相部内
面へのスケールの付着が皆無か又は取るに足らぬ微量で
あるため、最終加工製品にフィッシュアイ等が生ずるこ
とは激減して製品の品質は向上し、更に重合器内壁等の
清掃回数が著しく少なくなるので長期間にわたり清掃す
ることなく引続き運転を続けることができ、生産性も向
上し、コストの面からも極めて有利な結果が得られる。
【0032】また冷却等、操作管理の面も容易となるば
かりでなく、新たな冷却手段として還流冷却器の使用も
可能となる。さらに、本発明方法に従来スケール付着の
生成が特に著しいことが知られている低沸点の重合開始
剤、例えばt−ブチルペルオキシピバレートまたはジイ
ソプロピルペルオキシジカルボナート等を用いた場合、
或いは品質改良のために特殊な助剤、例えばソルビタン
エステル等を添加した場合においても安定したスケール
付着の防止効果が発揮される。
【0033】また、アリールスルホン酸類を分離除去し
た溶媒溶液を被膜形成用の塗布液とした場合、それが強
酸性ではないのでSUS304等の材料を使用しても腐
蝕は生じず重合器及びその付帯設備についてもSUS3
04等の安価な材料の使用が可能となり、設備的にコス
トダウンを図ることができる。
【0034】
【実施例】次に、本発明方法を実施例により具体的に説
明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の
実施例に限定されるものではない。
【0035】実施例1〜5、比較例1〜7 電子供与性の染料、成分(イ)としてC.I.ソルベントブ
ラック3を、成分(ロ)としてp−トルエンスルホン酸
及び2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸をそれぞれ表
1に示す割合で、メタノールに添加し、表1に示す処理
条件で反応生成物を生成せしめた。成分(イ)の反応転
化率を表1に示し、この溶媒溶液をそのまま重合器内壁
等への塗布液とした。この塗布液を内容積50m3のステ
ンレス製重合器の内壁、バッフル、攪拌翼および各種管
台の内表面に1流体スプレーノズルを用いて吹き付け、
被膜を形成させた後、1回水洗した。被膜量は2.37
g/m2で、ほぼ均一に塗布されていた。
【0036】次にこの重合器を用い、脱イオン水20
m3、塩化ビニル単量体18m3、ポリ酢酸ビニル部分ケン
化物13kgおよびラウロイルペルオキシド6kgを仕込み
55℃に昇温すると同時に、各種管台および重合器気相
部へ表1の流速で注水を行いながら、所定の重合率に達
するまで重合を行った。この重合を1バッチとし、毎バ
ッチごとに上記塗布を行い、くり返し90バッチまで重
合を行って、スラリーを抜き出した後、器内を水洗し乾
燥後、各場所におけるスケール付着量を測定した。
【0037】
【表1】
【0038】表1中の反応転化率は次のようにして求め
た。 反応転化率の測定法 成分(イ)の450〜600nmの波長範囲の吸収スペク
トルの減少割合を分光光度計にて測定し反応転化率とし
た。 反応転化率={(A0 −A)/A0 }×100 A0 : 成分(イ)の吸光度 A : 処理後の吸光度
【0039】なお、実施例1〜5における反応転化率
は、成分(ロ)の過剰添加により、成分(イ)は錯体に
なり易いため、成分(イ)が錯体となったときの最大吸
光度をA0 としその波長540nmにおける減少した吸光
度をAとして上記式に基づき算出した。表1から明らか
なように、成分(イ)及び成分(ロ)の混合物または反
応生成物を塗布した後、注水しながら重合することによ
り、優れたスケール付着防止効果をあげることができ
る。
【0040】実施例6〜9 C.I.ソルベントブラック3にp−トルエンスルホン酸、
2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸及びβ−ナフタレ
ンスルホン酸それぞれを表2に示す濃度でメタノールに
溶解し、300分間還流した後室温まで冷却した。これ
らに4倍容量の水を添加して反応生成物を沈澱させ、こ
れらをそれぞれ濾過回収した(以下濾過反応生成物とい
う)。濾過反応生成物を0.7重量%になるようにエタ
ノールに溶解し、再度4倍容量の水を添加して沈澱濾過
操作を繰り返し、精製反応生成物を得た。
【0041】濾過反応生成物及び精製反応生成物を0.
7重量%のエタノール溶液とし、これを塗布液として重
合器内壁等に1流体スプレーノズルを用いて塗膜量1.
11g/m2となるように吹き付けて被膜を形成し、1回
水洗した。この重合器を用い実施例1と同様にして(同
一仕込量、同一条件)重合及び塗布を450バッチ繰り
返した。表2に塗布液のpH、スケール付着量及び腐蝕
性を併記した。
【0042】
【表2】 なお、実施例1〜5及び比較例3〜5の溶媒溶液のpH
はそれぞれ1.9であり、腐蝕率は0.3mm/年であ
り、比較例1、2、6、7の腐蝕率は0.05mm/年で
あった。表2の結果から過剰量の成分(ロ)を除去した
溶媒溶液を重合器内壁等に塗布したものは、スケールの
付着防止性が良好でかつ重合器内壁の腐蝕も実質的に生
じないことが判る。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−74403(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/00 - 2/60

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル単量体または塩化ビニル単量
    体を主体とする共重合可能な単量体の混合物を水性媒体
    中で重合させるにあたり、あらかじめ重合器内壁及び/
    又は重合器付帯機器の表面に、電子供与性の染料(イ)
    とアリールスルホン酸類(ロ)との混合物及び/又は反
    応生成物の被膜を形成し、ついで、重合器及び重合器付
    帯機器の気相部内面に注水しながら重合を行うことを特
    徴とする塩化ビニル系単量体の重合方法。
  2. 【請求項2】 電子供与性の染料(イ)及びアリールス
    ルホン酸類(ロ)の混合溶液又は分散液を塗布して被膜
    を形成する請求項1記載の塩化ビニル系単量体の重合方
    法。
  3. 【請求項3】 電子供与性の染料(イ)及びアリールス
    ルホン酸類(ロ)の混合溶液又は分散液を、あらかじめ
    加熱処理又は光照射処理して、少ない方の成分の反応転
    化率50%以上の反応生成物及び未反応成分を含む混合
    溶液又は分散液にした後に塗布して被膜を形成する請求
    項1又は請求項2記載の塩化ビニル系単量体の重合方
    法。
  4. 【請求項4】 電子供与性の染料(イ)及び該染料
    (イ) に対して過剰当量のアリールスルホン酸類(ロ)
    の混合溶液又は分散液をあらかじめ加熱処理又は光照射
    処理して反応生成物を生成せしめた後、未反応のアリー
    ルスルホン酸類(ロ)を除去して得られる溶液又は分散
    液を塗布して反応生成物の被膜を形成する請求項1又は
    請求項3記載の塩化ビニル系単量体の重合方法。
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