JP3328449B2 - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造方法

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JP3328449B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩化ビニル系重合体の
製造方法に関し、特に、塩化ビニル系重合体を高品質で
かつ重合体スケールの付着を防止しつつ、高い生産性で
製造するのに好適である塩化ビニル系重合体の製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系重合体は、一般に、塩化ビ
ニル単量体またはこれを主体とするビニル系単量体の混
合物を水性媒体中で油溶性重合開始剤を用いて懸濁重合
することにより製造される。この時に使用される重合開
始剤は、その種類により重合反応の発熱パターン、重合
時間、生産性、重合時の重合体スケール付着性、更には
重合体の初期着色性、熱安定性、匂い、耐抽出性等の品
質特性に大きな影響を与える。
【0003】近年、塩化ビニル系重合体の生産性向上を
目的として重合時間の短縮化が図られている。重合時間
短縮のための一方法として、重合開始剤の添加量を増加
することが考えられる。しかし、重合開始剤の添加量の
増加に伴い、重合体の品質の低下、特に初期着色性の低
下、熱安定性の低下が起こるという問題がある。そし
て、重合開始剤の残渣や分解生成物が増大することによ
り悪臭が発生し、抽出成分が増加し、さらには重合器内
の重合体スケール付着量が増加する等の問題がある。
【0004】ところで、重合器内の重合体スケール付着
を防止するために、従来より、染料、顔料、水溶性高分
子化合物、亜硝酸塩、含窒素芳香族化合物、複素環式化
合物、ヨード化合物、ピロガロール誘導体、フェノール
性化合物、芳香族アミン化合物等を重合体スケール付着
防止剤として重合器の内面に塗布することが行われてい
る。しかし、これら従来の重合体スケール付着防止剤で
は、塩化ビニル系重合体の製造時における重合器内での
重合体スケールの付着、特に気相部及び気相−液相界面
部分における重合体スケール付着を有効に抑制すること
ができない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の従来技
術の問題に鑑みなされたもので、その課題は、初期着色
性等の品質が良好である塩化ビニル系重合体を、短い重
合時間でしかも重合器内の重合体スケールの付着を抑制
しつつ製造することができる製造方法を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、このよ
うな課題を解決するものとして、重合器内壁面に重合体
スケール付着防止性の塗膜を有する重合器内で塩化ビニ
ル単量体またはこれを主体とするビニル系単量体の混合
物を水性媒体中で油溶性重合開始剤を用いて懸濁重合す
ることからなる塩化ビニル系重合体の製造方法におい
て、前記の重合体スケール付着防止性の塗膜が、(a) 下
記一般式(1) :
【化4】 〔式中、R1 は互いに同一でも異なっていてもよく、−
H,−OH,−COOH, −SO3 H , −NH2 , −Cl, −NO2 ,
−COCH3 , −N(CH3 ) 2 及び炭素原子数1〜3のアルキ
ル基からなる群から選ばれる基であり、Xは、炭素原子
数1〜5のアルキレン基、−N(CH3 ) −,−C(CH3 ) 2
−,−CONH−,−P(=O)H−, −SO2 −,−O−,−S−
及び−Si (R)2 −(ここで、Rは炭素原子数1〜10のア
ルキル基である。)からなる群から選ばれる2価の基で
ある。nは1〜2の整数である。〕で表される少なくと
も2個のアミノ基を有するジフェニル化合物とキノン化
合物との縮合生成物、並びに(b) 水溶性高分子化合物、
無機コロイド及びアルカリ金属ケイ酸塩からなる群から
選ばれる少なくとも1種を含有するアルカリ性溶液を前
記に内壁面に塗布し、乾燥することにより形成されたも
のであり、かつ上記油溶性重合開始剤が、(A) 0.1モル
/リットルのベンゼン溶液の10時間半減期の温度が30〜
50℃でその構造中にベンゼン環またはアルコキシ基を有
しない化合物と(B) 3−ヒドロキシ−1,1−ジメチル
ブチルパーオキシネオデカノエートと、からなることを
特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法が提供され
る。
【0007】即ち、本発明の塩化ビニル系重合体の製造
方法は、特定の重合体スケール付着防止性塗膜を有する
重合器内において、特定の油溶性重合開始剤を用いて懸
濁重合を行う点に新規な特徴がある。以下、詳しく説明
する。
【0008】重合体スケール付着防止性塗膜 本発明の方法に用いられるスケール付着防止性塗膜は、
内壁面に一般式(1)で表されるジフェニル化合物とキ
ノン化合物との縮合生成物(a) 、及び水溶性高分子化合
物等 (b)を含むアルカリ性液を塗布、乾燥させて形成さ
れたものである。
【0009】〔(a) 縮合生成物〕上記一般式(1) で表さ
れるジフェニル化合物(以下、ジフェニル化合物とい
う)の具体例としては、例えば、4,4'- ジアミノジフェ
ニルサルファイド、4,4'-ジアミノジフェニルエーテ
ル、4,4'- ジアミノジフェニルプロパン、4,4'- ジアミ
ノジフェニルスルホン、ビス(4-アミノフェニル)ジエ
チルシラン、ビス(4-アミノフェニル)ホスフィンオキ
シド、ビス(4-アミノフェニル)−N−メチルアミン、
4,4'- ジアミノベンズアニリド、4,4'- ジアミノジフェ
ニルメタン等が挙げられる。これらの中で好ましいもの
は、4,4'- ジアミノジフェニルスルホン、4,4'- ジアミ
ノベンズアニリド、4,4'- ジアミノジフェニルエーテル
及び4,4'- ジアミノジフェニルメタンである。上記ジフ
ェニル化合物は、1種を単独でも2種以上を組み合わせ
て使用してもよい。
【0010】キノン化合物としては、例えば、下記一般
式(4) 及び(5) :
【化5】 〔式中、R6 は互いに同一でも異なっていてもよく、−
H,−NH2 , −Cl, −Br, −OH, −NO2 , −COCH3 , −
OCH 3 , −N(CH3 ) 2 及び炭素原子数1〜3のアルキル
基からなる群から選ばれる基である〕で表されるベンゾ
キノン化合物、下記一般式(6) 及び(7)
【化6】 〔式中、R6 は前記と同義であり、R7 は互いに同一で
も異なっていてもよく、−H,−Cl, −Br, −OH, −CO
CH3 , −OCH 3 ,−CH3 ,−COOH及び−SO3 H からなる
群から選ばれる基である〕で表されるナフトキノン化合
物等が挙げられる。
【0011】上記ベンゾキノン化合物の具体例として
は、例えば、o-, m-及びp-ベンゾキノン、ヒドロキシ-p
- ベンゾキノン、クロル-p- ベンゾキノン、ブロム-p-
ベンゾキノン、ジュロキノン、クロルアニル等が挙げら
れる。上記ナフトキノン化合物の具体例としては、例え
ば、6-メチル-1,4- ナフトキノン、2-メチル-1,4- ナフ
トキノン、ローソン、ユグロン、プルンバギン、α−ナ
フトキノン、β−ナフトキノン等が挙げられる。これら
のキノン化合物の中でも好ましいのは、o-及びp-ベンゾ
キノン、α−ナフトキノン、β−ナフトキノン及びロー
ソンである。上記キノン化合物は、1種を単独でも、ま
た2種以上を組み合わせても使用してもよい。
【0012】上記縮合生成物(a) は、例えば、上記ジフ
ェニル化合物とキノン化合物とを適当な溶媒中、必要に
応じて触媒の存在下で、通常、室温〜200℃で0.5
〜100時間、好ましくは室温〜150℃で3〜30時
間反応させることにより製造される。
【0013】上記キノン化合物は縮合触媒としても作用
するため、通常、他の縮合触媒を添加する必要はない
が、他の縮合触媒を添加することもできる。他の縮合触
媒としては、ヨウ素、臭素、塩素、フッ素等の元素ない
し分子状の単体ハロゲン;ヨウ素酸、過ヨウ素酸、過ヨ
ウ素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム等のハロゲン酸素
酸及び酸素酸塩;過酸化水素、過酸化ナトリウム、過硫
酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物;過
酢酸、ヘンゾイルパーオキサイド、キュメンハイドロパ
ーオキサイド、過安息香酸、p−メンタンハイドロパー
オキサイド等の有機過酸化物;塩化第一鉄、塩化第二
鉄、硫酸銅、塩化第一銅等の鉄及び銅から選択される金
属の塩化物及び硫酸塩;α,α′−アゾビスイソブチロ
ニトリル、α,α′−アゾビス−2,4−ジメチルバレ
ロニトリル等のアゾ化合物;ニトロベンゼン、o−,m
−もしくはp−オキシニトロベンゼン、o−,m−もし
くはp−ニトロアニソール、o−,m−もしくはp−ニ
トロ安息香酸、o−,m−もしくはp−ニトロベンゼン
スルホン酸等の芳香族ニトロ化合物等が挙げられる。
【0014】上記縮合反応の溶媒としては、例えば、ア
ルコール類、ケトン類、エステル類等の有機溶媒を使用
し、その中でも、水と混和性を有する有機溶媒を使用す
るのが好ましい。水と混和性を有する有機溶媒として
は、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコ
ール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;
酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;例えば、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニト
リル等の非プロトン系溶剤等が例示され、その中でも特
にアルコール類が好ましい。また、前記の水と混和性を
有する有機溶媒と水との混和溶媒を使用することもでき
る。
【0015】縮合反応を行う媒体のpHは、通常1〜1
3の範囲であり、pH調整剤は特に制約なく使用するこ
とができる。
【0016】上記ジフェニル化合物とキノン化合物との
配合割合は、使用する成分及び溶媒の種類、反応温度、
反応時間等に影響されるが、通常、ジフェニル化合物1
重量部当たり、キノン化合物を0.01〜10重量部とするの
が好ましく、特に0.1 〜5重量部とするのが好ましい。
キノン化合物の配合割合が多すぎても少なすぎても、得
られる縮合生成物の重合体スケール付着防止効果は低下
する場合がある。
【0017】〔 (b)水溶性高分子化合物等〕塗布液は、
縮合生成物(a) の他に、さらに (b)水溶性高分子化合
物、無機コロイド及びアルカリ金属のケイ酸塩からなる
群から選ばれる少なくとも1種を含有する。その結果、
得られる塗膜のスケール付着防止作用は更に向上する。
【0018】水溶性高分子化合物:水溶性高分子化合物
としては、例えば、ゼラチン、カゼイン等の両性高分子
化合物;ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、カ
ルボキシメチルセルロース、アルギン酸等のアニオン性
高分子化合物;ポリビニルピロリドン、ポリアクリルア
ミド等のカチオン性含窒素高分子化合物;ポリビニルア
ルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルセルロース、ペクチン等のヒドロキシル基含有高
分子化合物等が挙げられる。水溶性高分子化合物の中で
好ましいものは、ゼラチン、カゼイン、ポリアクリル
酸、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリド
ン及びペクチンである。これらの水溶性高分子化合物
は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用しても
よい。
【0019】無機コロイド:無機コロイドは、例えば、
水を分散媒とする分散法や、凝集法により製造される粒
子コロイドであり、コロイド粒子の大きさは1〜500
μmである。無機コロイドとして、具体的には、アルミ
ニウム、トリウム、チタン、ジルコニウム、アンチモ
ン、スズ、鉄等から選択される金属の酸化物及び水酸化
物のコロイド、タングステン酸、五酸化バナジウム、金
及び銀のコロイド、ヨウ化銀ゾル、セレン、イオウ、シ
リカ等のコロイド等が例示される。これらの中で好まし
いものは、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ
及び鉄から選択される金属の酸化物及び水酸化物のコロ
イド、並びにコロイドシリカである。これらの無機コロ
イドは、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用し
てもよい。
【0020】アルカリ金属ケイ酸塩:アルカリ金属ケイ
酸塩としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウ
ム等のアルカリ金属のメタケイ酸塩( M2 SiO 3 )、オ
ルトケイ酸塩( M4 SiO 4 )、二ケイ酸塩( M2 Si2 O
3 )、三ケイ酸塩( M3 Si3 O 7 )、セスキケイ酸(M
4 Si3 O 10)等(なお、ここでMはリチウム、ナトリウ
ム、カリウム等のアルカリ金属を示す。)、並びに水ガ
ラス等が挙げられる。これらのアルカリ金属ケイ酸塩
は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用しても
よい。
【0021】これらの (b)成分は、上記の縮合生成物
(a) 1重量部当たり、通常0.01〜10重量部であ
り、好ましくは0.05〜2重量部である。好ましく
は、水溶性高分子化合物と、無機コロイド及びアルカリ
金属ケイ酸塩化ビニルの少なくとも一方とを併用する。
即ち、少なくとも、水溶性高分子化合物と無機コロイド
の組合せ、又は水溶性高分子化合物とアルカリ金属ケイ
酸塩の組合せで使用するのが好ましい。
【0022】水溶性高分子化合物と無機コロイドの組合
せで使用する場合には、水溶性高分子化合物 100重量部
当たり、無機コロイドを5〜3000重量部使用するのが好
ましく、更に、50〜1000重量部使用するのが好ましい。
水溶性高分子化合物とアルカリ金属ケイ酸塩の組合せで
使用する場合には、水溶性高分子化合物 100重量部当た
り、アルカリ金属ケイ酸塩を5〜3000重量部使用するの
が好ましく、更に、50〜1000重量部使用するのが好まし
い。最も好ましいのは、水溶性高分子化合物、無機コロ
イド及びアルカリ金属ケイ酸塩の三種を併用することで
ある。その際の好ましい配合は、上記の配合に準じる。
【0023】〔塗布液〕重合体スケール付着防止性塗膜
の形成に用いられる塗布液は、例えば、上記の縮合反応
の結果得られる縮合生成物含有溶液に必要に応じて下記
の溶媒を添加し、pHがアルカリ性でない場合にはアル
カリ性に調節することにより調製される。また、塗布液
は、例えば、前記縮合生成物含有液を冷水に投入して縮
合生成物を沈殿させた後、その沈殿物を濾別、乾燥した
ものに下記の溶媒を添加して、続いてpHをアルカリ性
に調節することにより調製してもよい。
【0024】塗布液がアルカリ性とされることにより、
縮合生成物(a) の溶媒に対する溶解性が向上する。従っ
て、塗布液が均一な溶液となるため、得られる塗膜も均
一化し重合体スケール付着防止効果が向上する。塗布液
は、pH7.5〜13.5の範囲であることが好まし
く、特に、pH8.0〜12.5の範囲であることが好
ましい。pH調整に使用するアルカリ性化合物として
は、例えば、LiOH、NaOH、KOH、Na2 CO
3 、Na2 HPO4 、NH4 OH等のアルカリ金属化合
物及びアンモニア化合物、例えば、エチレンジアミン、
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタ
ノールアミン等の有機アミン化合物等が例示される。
【0025】本発明の重合体スケール付着防止剤の調製
に使用する溶媒としては、例えば、水;メタノール、エ
タノール、プロパノール、ブタノール、2−ブタノー
ル、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−
プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチ
ル−2−ブタノール、2−ペンタノール等のアルコール
系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトン等のケトン系溶剤;ギ酸メチル、ギ酸エチ
ル、酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル等のエ
ステル系溶剤;4−メチルジオキソラン、エチレングリ
コールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤;フラン
類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ア
セトニトリル等の非プロトン系溶剤等が挙げられる。こ
れらの溶媒は適宜単独で又は二種以上の混合溶媒として
使用される。
【0026】上記溶媒の中で好ましいものは、水、及び
水と混和性を有する有機溶媒と水との混合溶媒である。
上記した有機溶媒の中で水と混和性を有する有機溶媒と
しては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノー
ル等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケト
ン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル等のエス
テル系溶剤が挙げられる。水と混和性を有する有機溶媒
と水との混合溶媒を使用する場合の有機溶媒の含有量
は、引火、爆発等の危険がなく、毒性等の取扱上の安全
の問題がない量とするのが好ましく、具体的には、有機
溶媒が50重量%以下であることが好ましく、更に、3
0重量%以下であることが好ましい。
【0027】上記アルカリ性溶液中の縮合生成物の濃度
は、後記の総塗布量が得られる限り、特に制限されなが
いが、通常0.001〜5重量%程度、好ましくは0.
01〜1重量%程度である。
【0028】〔塗膜の形成〕上記のようにして得られた
塗布液は少なくとも重合器内壁面に塗布、乾燥され塗膜
が形成される。乾燥は、例えば室温から100℃までの
温度範囲で充分行われ、さらに必要に応じて水洗する。
こうして形成された塗膜により、スケールの付着が効果
的に防止される。
【0029】重合体スケール付着防止性塗膜は、重合器
内壁面だけでなく、重合中に単量体が接触する他の部位
にも形成することが好ましい。例えば、撹拌翼、撹拌
軸、バッフル、コンデンサ、ヘッダ、サーチコイル、ボ
ルト、ナット等が挙げられる。更に好ましくは、前記重
合体スケール付着防止剤は重合中に単量体が接触する部
位以外であっても、重合体スケールが付着する恐れのあ
る部位、例えば未反応単量体の回収系統の機器及び配管
の内面等にも、前記塗膜を形成した方がよい。具体的に
は、モノマー蒸留塔、コンデンサ、モノマー貯蔵タン
ク、バルブ等の内面が挙げられる。
【0030】なお、塗布液を重合器内壁面等に塗布する
方法は、特に限定されず、例えばハケ塗り、スプレー塗
布、重合体スケール付着防止剤で重合器を満たした後に
抜き出す方法等を始めとして、そのほか特開昭57−6
1001号公報、同55−36288号公報、特公表昭
56−501116号公報、同56−501117号公
報、特開昭59−11303号公報等に記載の自動塗布
方法を用いることもできる。
【0031】塗布液を塗布後の濡れた状態の表面を乾燥
する方法も限定されることはなく、例えば次のような方
法を使用することができる。すなわち、重合体スケール
付着防止剤の塗布後、適当に昇温した温風を塗布面に当
てる方法、あるいは重合体スケール付着防止剤を塗布す
べき重合器内壁面及びその他の表面を予め、例えば30
〜80℃に加熱しておき、その加熱した表面に重合体ス
ケール付着防止剤を直接塗布する方法等を使用すること
ができる。そして塗布面の乾燥後は、その塗布面を必要
に応じて水洗する。
【0032】このようにして得られた塗膜は、乾燥後の
総塗布量が、通常、0.001〜5g/m2 、特に、
0.05〜2g/m2 であることが好ましい。
【0033】以上の塗布作業は、1〜10数バッチの重合
ごとに行えばよい。形成された塗膜は高い耐久性を有
し、重合体スケールの付着防止作用が持続するので、必
ずしも1バッチの重合ごとに行う必要はないため、生産
性が向上する。
【0034】重合開始剤 本発明の方法に使用される油溶性重合開始剤は、(A)
0.1モル/リットルのベンゼン溶液の10時間半減期の温
度が30〜50℃でその構造中にベンゼン環またはアルコキ
シ基を有しない有機過酸化物と、(B) 3−ヒドロキシ−
1,1−ジメチルブチルパーオキシネオデカノエートと
からなる。(A) 成分が上記10時間半減期温度が30℃未満
の有機過酸化物であると、重合開始剤の活性が持続しに
くくなる。また、50℃を超えるものを使用すると、過度
に多量の重合開始剤を必要とするため、得られる重合体
の初期着色性、耐抽出性等の品質が低下する。また、分
子内にベンゼン環を有すると、得られる重合体の抽出テ
ストの際にUV吸収ピークが検出されるため重合体の医
療、食品等の分野への用途が制限される恐れがある。ま
た、分子内にアルコキシ基を有すると、重合器内で重合
体スケールの付着が起こり易くなる。
【0035】上記有機過酸化物(A) としては、例えば、
下記一般式(2) :
【化7】 (式中、R2 ,R3 は、それぞれ炭素原子数1〜15の置
換又は非置換のn−アルキル基、 sec−アルキル基、te
rt−アルキル基又は環状アルキル基である)で表される
ジアシル化合物、下記一般式(3) :
【化8】 (式中、R4 ,R5 は、それぞれ炭素原子数1〜20の置
換又は非置換のn−アルキル基、 sec−アルキル基、te
rt−アルキル基又は環状アルキル基である)で表される
パーエステル化合物等が挙げられる。
【0036】上記ジアシル化合物の具体例としては、例
えば、イソブチリルパーオキサイド(10時間半減期温
度:33℃、以下、同様に括弧内に示す)等が挙げられ
る。上記パーエステル化合物の具体例としては、例え
ば、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート(45
℃)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(46
℃)、t−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート(49
℃)、2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシ−2
−ネオデカノエート(36℃)、1−シクロヘキシル−1
−メチルエチルパーオキシネオデカノエート(41℃)等
が挙げられる。上述有機過酸化物(A) の中でも、イソブ
チリルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシネオデ
カノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、
t−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート、2,4,
4−トリメチルペンチルパーオキシ−2−ネオデカノエ
ート及び1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオ
キシネオデカノエートが好ましい。上述した有機過酸化
物(A) は、1種単独で又は2種以上の組み合わせで使用
してもよい。
【0037】なお、一般に、有機過酸化物からなる開始
剤の10時間半減期温度は、以下のようにして求められる
ことが知られている。有機過酸化物の濃度が 0.1モル/
リットルのベンゼン溶液を密封容器に入れ、所定の温度
に保持し熱分解させ、時間に対する過酸化物の濃度変化
を測定する。この分解反応は近似的に一次反応とみなす
ことができるので、次の関係式が成り立つ。 dx/dt=k(a−x) ln〔a/(a−x)〕=kt (式中、xは分解した有機過酸化物の濃度、aは有機過
酸化物の初期濃度、kは分解速度定数、tは時間を示
す) 半減期t1/2 は、式でx=a/2のときであるから、
次の関係式: kt1/2 =ln2 が成り立つ。上記で測定した有機過酸化物の濃度変化と
式から定数kが求まるので、式から半減期t1/2
求められる。従って、10時間半減期温度とは、ある有機
過酸化物のt1/2 が10時間となる温度として求められ
る。
【0038】本発明の方法は、油溶性重合開始剤とし
て、上記有機過酸化物(A) と、(B) 3−ヒドロキシ−
1,1−ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート
〔CH3 -CH(OH)-CH2 -C(CH 3 ) 2 -O-O-CO-t-C 9 H 19
とを組み合わせて使用することによりにより、重合の立
ち上がり及び進行に伴う発熱を適度に制御することがで
きる。これら(A) 成分と(B) 成分との配合割合及び使用
量は、反応条件により多少の相違はあるが、一般には、
(A) 成分/(B) 成分の重量比で1/9〜9/1であるこ
とが好ましく、より好ましくは1/6〜5/1である。
この配合比が小さ過ぎると重合器内での重合体スケール
の付着を抑制することが困難となる場合があり、大き過
ぎると得られる重合体の初期着色性や熱安定性が低下す
る場合がある。(A) 成分と(B) 成分との合計使用量は、
例えば、平均重合1,000 の塩化ビニルホモポリマーの製
造において、ビニル系単量体の0.06〜0.5 重量%が適当
である。
【0039】また、これらの重合開始剤は、重合開始剤
の重合器内への仕込み方法は特に制限されず、従来公知
の方法のいずれも利用することができ、例えば、溶剤で
希釈して溶液として仕込んでもよいし、水に分散させて
エマルジョンまたはサスペンジョンとして仕込んでもよ
い。さらに、重合開始剤を水及び/又は懸濁剤と共に、
あるいは水及び/又は懸濁剤を仕込み終った後に仕込ん
でもよく、単量体の仕込み後に重合器中にポンプで圧入
してもよい。
【0040】重合 本発明の塩化ビニル系重合体の製造方法のその他の条件
等(例えば、重合器への水性媒体、単量体、分散助剤等
の仕込み方法、仕込み割合等)は通常水性媒体中におけ
る塩化ビニル等の懸濁重合と同様でよい。重合は、重合
温度35〜60℃、重合時間2〜6時間の反応条件で行うの
が好ましい。
【0041】単量体としては、塩化ビニル単独の他、塩
化ビニルを主体とし、これと共重合し得る他の単量体と
の混合物(通常、塩化ビニルを50重量%以上)を用いる
ことができる(以下、塩化ビニル又は塩化ビニルを含む
単量体混合物を塩化ビニル系単量体という)。この塩化
ビニルと共重合し得る単量体としては、エチレン、プロ
ピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1
−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、
1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−
テトラデセン等のα−オレフィン;アクリル酸、アクリ
ル酸メチル、アクリル酸エチルなどのアクリル酸または
そのエステル;メタクリル酸、メタクリル酸メチル等の
メタクリル酸またはそのエステル;マレイン酸またはそ
のエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニ
ルエステル;ラウリルビニルエーテル、イソブチルビニ
ルエーテル等のビニルエーテル;無水マレイン酸;アク
リロニトリル;スチレン;塩化ビニリデン;その他塩化
ビニルと共重合可能な単量体が挙げられる。これらは単
独でまたは2種以上の組合せで用いられる。
【0042】分散剤も、塩化ビニル系単量体の水性媒体
中における懸濁重合に通常使用されているものであれば
よい。この分散剤としては、例えば、メチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の
水溶性セルロースエーテル;水溶性あるいは油溶性の部
分ケン化ポリビニルアルコール;アクリル酸重合体;ゼ
ラチン等の水溶性高分子;ソルビタンモノラウレート、
ソルビタントリオレート、グリセリントリステアレー
ト、エチレンオキシドプロピレンオキシドブロックコポ
リマー等の油溶性乳化剤;ポリオキシエチレンソルビタ
ンモノラウレート、ポリオキシエチレングリセリンオレ
ート、ラウリン酸ナトリウム等の水溶性乳化剤等が挙げ
られる。これらは1種単独でまたは2種以上の組合せで
使用される。
【0043】水性媒体は、通常、脱イオン水が使用され
る。更に、この重合系には、必要に応じて、塩化ビニル
系の重合に適宜使用される重合調整剤、連鎖移動剤、pH
調整剤、ゲル化改良剤、帯電防止剤、架橋剤、安定剤、
充填剤、酸化防止剤、緩衝剤、スケール防止剤等を添加
することも任意である。
【0044】
【実施例】以下、実施例と比較例とを示し、本発明を具
体的に説明する。本発明は下記の実施例に制限されるも
のではない。なお、以下の各例において、ジャケット温
度とは、重合器のジャケットに通水する冷却水のジャケ
ット入口での温度を意味し、重合器内の水性懸濁液の温
度を所定の重合温度に保つために適宜に調整される。
【0045】〔実施例1〕まず、本発明の重合体スケー
ル付着防止剤(I)を以下のように製造した。還流冷却
器を備えた内容積2リットルの反応器に、メタノール 8
00g 及びジメチルホルムアミド(DMF) 100gと、4,4'- ジ
アミノジフェニルスルホン40g とを仕込み、室温で攪拌
して4,4'- ジアミノジフェニルスルホンをメタノール/
DMFに溶解した。こうして得られたメタノール/DM
F溶液に、α−ナフトキノン60g を添加して、65℃に昇
温し、65℃で24時間反応させた。次に、得られた反応混
合液を冷却して水に滴下した。析出した沈澱物を濾別・
乾燥して、縮合生成物(a) を得た。この縮合生成物(a)
、ゼラチン(b) 、コロイダルシリカ(商品名:スノー
テックスCXS−9、日産化学工業(株)製、コロイド
粒子径:5〜7mμ)(c) とを、水/メタノール=7/
3(重量比)を溶媒として、(a) /(b) /(c) =1/1
/1(重量比)、(a) +(b) +(c) の合計濃度が 0.5%
となるように調製し、その溶液をNaOHを用いてpH=11.0
に調節し、重合体スケール付着防止剤(I)を得た。内
容積が 2.1m3 のステンレス製重合器に上記のように調
製した重合体スケール付着防止剤(I)を重合器の内壁
及び攪拌軸、攪拌翼その他重合中に単量体が接触する部
分に塗布し、40℃で15分間加熱、乾燥して塗膜を形成
後、重合器内を水洗した。次に脱イオン水 890kgと部分
ケン化ポリビニルアルコール 350gとを水溶液にして投
入した。器内を50mmHgになるまで排気した後、塩化ビニ
ル単量体 700kgを仕込み、攪拌しながら、さらに表1に
示した種類と量の重合開始剤をポンプで圧入すると同時
に昇温を始めて重合を開始した。重合温度を55℃に保ち
ながら重合反応を行い、重合器の内圧が 6.0kg/cm2 G
に達した時点で重合を停止し、未反応単量体を回収し、
得られた重合体をスラリー状で器外に抜き出し、器内の
スケール付着状況を観察すると共に、重合体を脱水乾燥
して下記の方法による試験に供した。その結果を表1に
示す。
【0046】・重合器内スケールの付着状況:評価は各
製造方法により 100バッチの重合を繰り返した後に下記
の判断基準で行った。 ◎……スケールの付着がなく金属鏡面の光沢がある。 ○……金属鏡面にやや曇りがある。 △…… ×……金属表面全面にフィルム状のスケールがある。 ・嵩比重の測定:得られた重合体について、JIS K-6721
にしたがって測定した。 ・粒度分布の測定:得られた重合体について、JIS Z-88
01に準じた #60、#100、#200の各篩を用いて篩分けし、
通過量を計量して重量%で表した。 ・フィッシュアイ量の測定;得られた重合体 100重量
部、DOP50重量部、ステアリン酸バリウム 0.1重量
部、ステアリン酸カドミウム 0.1重量部、セタノール
0.8重量部、すず系安定剤2.0重量部、二酸化チタン 0.5
重量部及びカーボンブラック 0.1重量部を、 140℃の6
インチロールで5分間混合混練し、厚さ 0.3mmのシート
として分取し、このシートの 100cm2 中の白色透明粒子
の数で示した。 ・抽出テスト:得られた重合体15gを蒸留水 300mlで抽
出ビンに希釈する。抽出ビンを滅菌器内に入れ、 125℃
で60分間放置する。冷却後、抽出ビンを取り出し、上澄
み液について、UV吸収および過マンガン酸カリウム消
費量を測定する。この際、重合体を入れる蒸留水のみの
サンプルをスタンダードとする。 (UV吸収)波長 220nmと 241nmとで吸光度を測定し基
準値との差が 220nmで0.08、 241nmで0.05以上であれば
×とする。 (過マンガン酸カリ消費量)過マンガン酸カリを添加
後、チオ硫酸ソーダで滴定する。基準値との差が1.00cc
以上では×とする。 ・初期着色性:得られた重合体 100重量部に、ラウリル
酸すず1重量部、カドミウム系安定剤0.5重量部および
ジオクチルフタレート50重量部を配合し、2本ロールミ
ルを用いて 160℃で5分間混練した後、厚さ 0.8mmのシ
ートに成形した。つぎに、このシートを裁断して重ね、
4cm×4cm× 1.5cm(厚さ)の型枠に入れ、 160℃、65
〜70kgf/cm2 で加熱加圧して試料を作製した。これを目
視で観察して下記の基準で評価した。 ◎……比較例4と同程度。 ○……比較例4と比べて黄味が強い。
【0047】〔比較例1〕比較例の重合体スケール付着
防止剤(II) として、C.I.ダイレクトブルー1を10g 、
C.I.ベイシックブルー12を2g 、イオン交換水2000mL
に溶解し、さらにフィチン酸17g を加えた水溶液を調製
し、重合体スケール付着防止剤(II) を得た。この重合
体スケール付着防止剤(II) を実施例1と同様に重合器
内に塗布し、50℃で10分間加熱、乾燥して塗膜を形成
後、重合器内を水洗いした。次に、重合開始剤を表1に
示すようにした以外は、実施例1と同様に塩化ビニル単
量体の重合を行い重合体を得、試験に供した。結果を表
1に示す。
【0048】〔比較例2〕比較例1において、重合開始
剤を表1に示すようにした以外は比較例1と同様にして
重合を行い、重合体を得、試験に供した。結果を表1に
示す。
【0049】〔比較例3〕実施例1において、重合開始
剤を表1に示すようにした以外は比較例1と同様にして
重合を行い重合体を得、試験に供した。結果を表1に示
す。なお、重合開始2時間後にジャケット温度が冷却水
温度25℃に達した。重合温度を55℃に維持するために
は、ジャケット温度を25℃より低くする必要が生じた
が、使用した重合装置の冷却能力ではジャケット温度を
それより更に下げることができなかった。このために、
水性懸濁液の温度が3℃上昇して58℃になった。
【0050】
【表1】 なお、表1中の重合開始剤における略号はそれぞれ下記
を意味する。 BPD :t−ブチルパーオキシネオデカノエート(46℃) CPD :α−クミルパーオキシネオデカノエート(36℃) HDPD:3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオ
キシネオデカノエート(36℃)
【0051】〔実施例2〜4、比較例4〜6〕内容積が
2.1m3 のステンレス製重合器に上記の重合体スケール
付着防止剤(I)を重合器の内壁及び攪拌軸、攪拌翼そ
の他重合中に単量体が接触する部分に塗布し、40℃で15
分間加熱、乾燥して塗膜を形成後、重合器内を水洗し
た。次に、脱イオン水 930kgと部分ケン化ポリビニルア
ルコール 760gとを水溶液にして投入した。器内を50mm
Hgになるまで排気した後、塩化ビニル単量体 630kgを仕
込み、攪拌しながら、さらに表2、3に示した種類と量
の重合開始剤をポンプで圧入すると同時に昇温を始めて
重合を開始した。重合温度を51℃に保ちながら重合反応
を行い、内圧が 6.0kg/cm2 G に達した時点で重合を停
止し、未反応単量体を回収し、得られた重合体をスラリ
ー状で器外に抜き出し、脱水乾燥して実施例1と同様の
試験に供し、その結果を表2、3に併記した。なお、比
較例4では、重合開始3時間30分後にジャケット温度が
冷却水温度26℃に達し、重合装置の冷却能力ではジャケ
ット温度をそれより更に下げることができなかったため
に、水性懸濁液の温度が 1.5℃上昇した。
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】 また、表2、3中の重合開始剤における略号はそれぞれ
下記を意味する。 BPD :t−ブチルパーオキシネオデカノエート(46℃) CPD :α−クミルパーオキシネオデカノエート(36℃) HDPD:3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオ
キシネオデカノエート(36℃)
【0054】〔比較例7〜9〕実施例2において、スケ
ール付着防止剤(I)に代え、上記のスケール付着防止
剤(II) を使用したほかは同様にして重合し、表4に示
した通りの開始剤を使用した。そして実施例1と同様の
試験に供し、その結果を表4に併記した。
【0055】
【表4】 また、表4中の重合開始剤における略号はそれぞれ下記
を意味する。 BPD :t−ブチルパーオキシネオデカノエート(46℃) TPPD: 2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシ−2−ネ
オデカノエート(36℃) HDPD:3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオ
キシネオデカノエート(36℃)
【0056】〔実施例5〜6、比較例10〕内容積が 2.1
3 のステンレス製重合器に上記の重合体スケール付着
防止剤(I)を重合器の内壁及び攪拌軸、攪拌翼その他
重合中に単量体が接触する部分に塗布し、40℃で15分間
加熱、乾燥して塗膜を形成後、重合器内を水洗した。次
に、脱イオン水1030kgと部分ケン化ポリビニルアルコー
ル 700gとを水溶液にして投入した。器内を50mmHgにな
るまで脱気した後、塩化ビニル単量体 570kgを仕込み、
攪拌しながら、さらに表5に示した種類と量の重合開始
剤をポンプで圧入すると同時に昇温を始めて重合を開始
した。重合温度を39℃に保ちながら重合反応を行い、内
圧が 4.5kg/cm2 G に達した時点で重合を停止し、未反
応単量体を回収し、得られた重合体をスラリー状で器外
に抜き出し、脱水乾燥して以後のの試験に供し、その結
果を表5に併記した。
【0057】
【表5】 なお、表5中の重合開始剤における略号はそれぞれ下記
を意味する。 IBP :イソブチリルパーオキサイド(33℃) BPD :t−ブチルパーオキシネオデカノエート(46℃) HDPD:3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオ
キシネオデカノエート(36℃)
【0058】〔比較例11〜12〕実施例5及び実施例6の
それぞれにおいて、スケール付着防止剤(I) に代え、
上記のスケール付着防止剤(II) を使用したほかは同様
にして重合し、表6に示した通りの開始剤を使用した。
そして実施例1と同様の試験に供し、その結果を表6に
併記した。
【0059】
【表6】 なお、表6中の重合開始剤における略号はそれぞれ下記
を意味する。 IBP :イソブチリルパーオキサイド(33℃) BPD :t−ブチルパーオキシネオデカノエート(46℃) HDPD:3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオ
キシネオデカノエート(36℃)
【0060】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、初期着色性
等の品質が良好である、塩化ビニル系重合体を、短い重
合時間でしかも重合器内の重合体スケールの付着を抑制
しつつ製造することができる。したがって、生産性が著
しく向上する。特に、従来、困難であった重合器内の気
相部や界面近傍における重合体スケールの付着がより確
実に抑制され、重合器内の重合体スケール除去作業の必
要頻度も激減し、重合器の長期にわたる連続使用が可能
となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−109204(JP,A) 特開 平8−34803(JP,A) 特開 平7−82303(JP,A) 特開 平6−199905(JP,A) 特公 昭47−18852(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/00 - 2/60 C08F 4/34,14/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合器内壁面に重合体スケール付着防止
    性の塗膜を有する重合器内で塩化ビニル単量体またはこ
    れを主体とするビニル系単量体の混合物を水性媒体中で
    油溶性重合開始剤を用いて懸濁重合することからなる塩
    化ビニル系重合体の製造方法において、 前記の重合体スケール付着防止性の塗膜が、(a) 下記一
    般式(1) : 【化1】 〔式中、R1 は互いに同一でも異なっていてもよく、−
    H,−OH,−COOH, −SO3 H , −NH2 , −Cl, −NO2 ,
    −COCH3 , −N(CH3 ) 2 及び炭素原子数1〜3のアルキ
    ル基からなる群から選ばれる基であり、Xは、炭素原子
    数1〜5のアルキレン基、−N(CH3 ) −,−C(CH3 ) 2
    −,−CONH−,−P(=O)H−, −SO2 −,−O−,−S−
    及び−Si (R)2 −(ここで、Rは炭素原子数1〜10のア
    ルキル基である。)からなる群から選ばれる2価の基で
    ある。nは1〜2の整数である。〕で表される少なくと
    も2個のアミノ基を有するジフェニル化合物とキノン化
    合物との縮合生成物、並びに(b) 水溶性高分子化合物、
    無機コロイド及びアルカリ金属ケイ酸塩からなる群から
    選ばれる少なくとも1種を含有するアルカリ性溶液を前
    記に内壁面に塗布し、乾燥することにより形成されたも
    のであり、かつ上記油溶性重合開始剤が、(A) 0.1モル
    /リットルのベンゼン溶液の10時間半減期温度が30〜50
    ℃で、その構造中にベンゼン環又はアルコキシ基を有し
    ない有機過酸化物と、(B) 3−ヒドロキシ−1,1−ジ
    メチルブチルパーオキシネオデカノエートと、からなる
    ことを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記油溶性重合開始剤の (A)成分が、下
    記一般式(2) : 【化2】 (式中、R2 ,R3 は、それぞれ炭素原子数1〜15の置
    換又は非置換のn−アルキル基、 sec−アルキル基、te
    rt−アルキル基又は環状アルキル基である)で表される
    ジアシル化合物及び/又は下記一般式(3) : 【化3】 (式中、R4 ,R5 は、それぞれ炭素原子数1〜20の置
    換又は非置換のn−アルキル基、 sec−アルキル基、te
    rt−アルキル基又は環状アルキル基である)で表される
    パーエステル化合物である請求項1に記載の製造方法。
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