JP3106188B1 - 植物ウイルスの感染に関与する宿主遺伝子及びポリペプチド - Google Patents
植物ウイルスの感染に関与する宿主遺伝子及びポリペプチドInfo
- Publication number
- JP3106188B1 JP3106188B1 JP11207753A JP20775399A JP3106188B1 JP 3106188 B1 JP3106188 B1 JP 3106188B1 JP 11207753 A JP11207753 A JP 11207753A JP 20775399 A JP20775399 A JP 20775399A JP 3106188 B1 JP3106188 B1 JP 3106188B1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hcp1
- gene
- virus
- bcp
- protein
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
- Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
Abstract
の、遺伝子工学的な手法による新たな技術を開発する。 【解決手段】 本発明により、新規遺伝子Hcp1及び
当該遺伝子がコードするポリププチドであるHCP1が
与えられた。Hcp1はオオムギ由来の遺伝子であり、
ブロムモザイクウイルスの外被蛋白質との結合活性を有
し、ウイルスの増殖に不可欠な蛋白質をコードするた
め、当該遺伝子の改変により、ウイルス耐性を付与した
形質転換植物の作成が可能である。
Description
染に関与するオオムギ由来の宿主遺伝子であるHcp1
遺伝子、及び当該遺伝子がコードするHCP1ポリペプ
チドに関する。
在の農業における大きな問題である。ウイルスによる被
害を防止する方法として、ウイルスを仲介する昆虫の駆
除が主として用いられているが、直接的な方法ではな
い。そのため、遺伝子工学的な手法を用いて、ウイルス
による植物の病害をより効率的に防止する技術につい
て、種々の研究がなされてきた。例えば、ウイルスゲノ
ムの一部を植物で発現させ、植物にウイルス耐性を付与
する方法が、実用化しつつある。しかし、この方法の場
合、ウイルスの遺伝子を利用しているため、生体内での
遺伝子組み換えにより、抵抗性を打ち破る新規ウイルス
の出現が危惧される事が問題となっていた。
宿主植物に感染するためには、ウイルス因子だけでなく
宿主側の因子の存在が必要不可欠ではないか、という可
能性が指摘されてきた。本発明者らはそのような知見に
注目し、宿主遺伝子の改変によりウイルスに耐性を付与
する可能性を検討した。これまでの抗ウイルス戦略は、
ウイルス側の遺伝子によるが、本発明の方法は宿主遺伝
子の操作によるため、上に述べた問題を根本的に解決す
るものである。植物へのウイルスの感染に関与する宿主
因子の存在を示唆する実験データが報告されてはいる
が、実際にそれらが単離同定された例はほとんどないの
が現状である。わずかに、シロイヌナズナ由来のウイル
ス増殖因子が報告されているのみであり(特願平10−
301810)、シロイヌナズナ以外の植物体において
も、ウイルスの増殖に関与する宿主因子の同定される事
が求められていた。
ブロムモザイクウイルス外被タンパク質(Bromem
osaic virus coat protein:
BCP)と相互作用する植物因子に注目した。ブロムモ
ザイクウイルス(BMV)は比較的研究の進んだプラス
鎖RNAウイルスであり、オオムギ、コムギ、トウモロ
コシ等の単子葉植物が主な宿主である。外被タンパク質
(CP)は数々のプラス鎖RNAウイルスゲノムにコー
ドされている因子の一つであり、様々な機能を持つこと
が知られている。例えば、(1)RNAゲノムを分解か
ら保護する役割、(2)病徴の発現をコントロールする
役割、(3)ウイルスの細胞間移行を促す役割、そして
(4)師管を介したウイルスの全身移行を促す役割を担
っていることが知られている。また、CPはウイルス感
染した植物において最も大量に存在するタンパク質の一
つである。植物がそのような外来タンパク質の大量蓄積
を許容することは他に例が無く、この点も特筆すべきC
Pの性質の一つである。
あるオオムギを用いて解析を行った。即ち、BCPとの
相互作用を指標として、オオムギの相補的DNA(cD
NA)ライブラリーのスクリーニングを、酵母のツーハ
イブリッドシステムを用いて行なった。その結果、BC
Pとの結合能を有する蛋白質をコードするオオムギcD
NAクローンを取得することに成功し、得られたクロー
ンより全長のcDNA(Hcp1)を得た。そのように
して単離されたHcp1の塩基配列(1360塩基
対)、及び当該遺伝子の翻訳産物であるHCP1のアミ
ノ酸配列(352アミノ酸)を決定した。
行ったところ、HCP1とBCPとの直接的な結合が確
認された。更に、BCPのC末端付近にアミノ酸変異を
導入する事により、HCP1との結合能を失ったBCP
変異体を作成した。BCPとHCP1が相互作用する能
力と、ウイルス感染性の相関性を検討したところ、両者
の相関性が確認され、オオムギのブロムモザイクウイル
ス感染にHCP1が関与している事が示された。
Aは配列表の配列番号2に記載した塩基配列により特定
される。またHcp1遺伝子がコードするポリペプチド
であるHCP1は、配列表の配列番号1に記載したアミ
ノ酸配列により特定される。上述したように、Hcp1
はオオムギ由来の遺伝子であり、HCP1ポリペプチド
はブロムモザイクウイルス外被蛋白質との結合活性を有
する。そのため、本発明の遺伝子の発現を制御したり、
改変する事により、植物にウイルス抵抗性を付与するこ
とが可能であり、そのような目的に本発明の遺伝子を利
用する事ができる。例えば、Hcp1遺伝子のアンチセ
ンスRNAを利用したり、導入したHcp1によるコサ
プレッションを利用することにより、オオムギ本来のH
cp1遺伝子の発現を制御する方法がある。又はBCP
との結合能を欠いた蛋白質をコードするHcp1遺伝子
を導入する事により発現するドミナントネガティブ効果
を利用する事で、植物にウイルス抵抗性を付与すること
が可能である。
するDNAの塩基配列は複数存在する。本発明で明らか
にされたHCP1のアミノ酸配列をコードする遺伝子の
場合にも、そのDNAの塩基配列として、天然の遺伝子
の塩基配列以外にも、多数の塩基配列が存在する可能性
がある。しかし、本発明の遺伝子は、天然のDNA塩基
配列のみに限定されるものではなく、本発明により明ら
かにされたHCP1のアミノ酸配列をコードする、他の
DNA塩基配列を含むものである。
となるDNAの特定の部位に、当該DNAがコードする
蛋白質の基本的な特性を変化させることなく、あるいは
その特性を改善する様に、人為的に変異を起こすことが
できる。本発明により提供される天然の塩基配列を有す
る遺伝子、あるいは天然のものとは異なる塩基配列を有
する遺伝子に関しても、同様に人為的に挿入、欠失、置
換を行うことにより天然の遺伝子と同等のあるいは改善
された特性を有するものとすることが可能であり、本発
明はそのような変異遺伝子を含むものである。
質転換を行う方法、及び形質転換した植物も本発明の範
囲内である。本発明の遺伝子を導入する対象として適し
ている植物の例として、オオムギのみならず、コムギ、
トウモロコシ等の植物が挙げられる。本発明の遺伝子を
導入する方法の例としては、本技術分野で通常用いられ
ている種々の方法を用いる事が可能である。即ち、アグ
ロバクテリウム法、プロトプラスト法、PEG法、エレ
クトロポレーション法、パーティクルガン法、マイクロ
インジェクション法等が挙げられる。以下の実施例によ
り、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は上述した
例又は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明
の技術分野における通常の変更をする事ができる。
た、種々の遺伝子を導入したプラスミドを表1に示す。
更に、インビトロ転写系及び結合実験のためのグルタチ
オンS−トランスフェラーゼ融合蛋白質作成に用いたプ
ラスミドを表2に示す。尚、置換したヌクレオチドを太
文字で示す。
時間、温度25℃の条件下で生育させ、7日目の苗の葉
組織より全RNAを採取した。そしてポリ(A)+ RN
Aを、バイオマグオリゴ(dT)20(パーセプティブバ
イオシステム)を用いて単離した。スーパースクリプト
チョイスシステム(BRL)を用いて、cDNAを合成
し、プラスミドpACT2(クローンテック)のEco
RI部位へ挿入した。これを大腸菌DH5α株に導入
し、約2.4×106 個のコロニーを得た。
ーニング)オオムギcDNAライブラリーのスクリーニ
ングは、酵母ツーハイブリッドシステムのキットであ
る、マッチメーカーツーハイブリッドシステム2(クロ
ーンテック)を用いて行った。酵母ツーハイブリッドシ
ステムでは、酵母の転写活性化因子であるGAL4に
は、DNA結合領域(DNA−binding dom
ain:DNA−BD)と、転写活性化領域(tran
scriptionalactivation dom
ain:AD)のような複数の領域が存在し、転写活性
化の開始には両者の相互作用が必要であることを利用し
た方法である。まず標的蛋白質であるBCPのペプチド
断片をコードするDNA断片を、GAL4のDNA−B
Dベクター(pAS2−1)中に組み込み、「ベイトプ
ラスミド」を作成する。一方、オオムギのcDNAライ
ブラリーをGAL4のADベクター(pACT2)中に
組み込み、「プレイプラスミド」を作成する。両プラス
ミドを酵母Y190株に導入して形質転換を行い、得ら
れたコロニーにつき、ヒスチジン栄養要求性及びβーガ
ラクトシダーゼ活性により形質転換体のスクリーニング
を行う。βーガラクトシダーゼ活性を示すコロニーにお
いてはGAL4による転写活性化が起こっており、pA
S2−1に組み込まれた標的蛋白質と、pACT2に組
み込まれたcDNAがコードする蛋白質の間に、何らか
の物理的相互作用がある事を示している。
換した酵母Y190株を、30mMの3ーアミノトリア
ゾールを含み、トリプトファン、ロイシン及びヒスチジ
ンを含まないプレート上で培養した。10日以内に生じ
た大きなコロニーにつき、βーガラクトシダーゼ活性を
アッセイ(マッチメーカー ツーハイブリッドシステム
2の添付マニュアルによる)し、ポシティブコロニーを
スクリーニングした。ポシティブコロニーより全核酸を
調製し、大腸菌DH5a株への形質転換を利用して、オ
オムギcDNAを含むプレイプラスミドを単離した。得
られた4個のcDNAクローンを、5’及び3’末端の
塩基配列により、3つの異なったグループに分類した
(図1)。得られたcDNAグループの1つが、部分H
cp1(dHcp1)を含むプレイプラスミド(pAC
TdHcp1)である。以下、Hcp1につき特性解析
を行った。
導入し、相互作用の特異性を検討した(表3)。その結
果、BCP(138−189)とdHCP1を共発現し
ている酵母細胞(サンプル2)は、レポーター遺伝子を
活性化した。ところが、dHCP1のみを発現している
酵母細胞(サンプル2)は、レポーター遺伝子を活性化
しなかった。一方、任意の蛋白質をコードしているcD
NAを有するプレイプラスミド(サンプル4:pACT
Ccpは任意の蛋白質をコードし、ここではキュウリモ
ザイクウイルスの外被蛋白質をコードする)の場合、ま
たは蛋白質をコードするcDNAを有していないプレイ
プラスミド(サンプル3)の場合には、BCP(138
−189)を発現している酵母細胞のレポーター遺伝子
の活性化が認められなかった。また、dHCP1と全長
BCP(2−189)とを共に発現(サンプル5)する
酵母細胞でも、レポーター遺伝子の活性化はやはり認め
られなかった。これらの結果は、BCP(138−18
9)とdHCPの両者が、レポーター遺伝子の活性化に
は必要であるという事を示している。即ち、酵母ツーハ
イブリッドシステムにおいて、これら2つの蛋白質間の
物理的な相互作用が認められた。
コードするアミノ酸配列の決定)更に、pACTdHc
p1のcDNA断片をプローブとして用いたコロニーハ
イブリダイゼーションにより、オオムギcDNAライブ
ラリーより全長Hcp1クローンをスクリーニングし、
配列を決定した。得られた全長Hcp1遺伝子は136
0塩基より構成され、また、当該遺伝子がコードするポ
リペプチドは352個のアミノ酸より構成されていた。
Hcp1遺伝子の塩基配列を配列表の配列番号2に、H
CP1ポリペプチドの推定アミノ酸配列を配列表の配列
番号1に、それぞれ示す。両配列を併記した図を、図2
に示す。尚、図2において、矢印はdHcp1遺伝子の
5’末端の塩基を示す。HCP1ポリペプチドの推定ア
ミノ酸配列は、植物の鉄ーアスコルビン酸依存的酸化還
元酵素と、明確な類似性を有している。
示すために、HCP1とグルタチオンS−トランスフェ
ラーゼ(GST)との融合蛋白質を利用した、インビト
ロ結合実験を行った。インビトロ結合実験の詳細を下記
に示す。この実験により、上述したBCP−HCP1蛋
白質の相互作用が、ツーハイブリッドシステムのアーテ
ィファクトにすぎない、という可能性を除外する事がで
きる。
ebert et al.(1968):Virolo
gy,34:492−508)の方法により、ブロムモ
ザイクウイルス外被タンパク質(BCP)を調製した。
ウイルス粒子を、1M NaCl、1mMジチオスレイ
トールを含む20mM Tris−HCl(pH7.
4)中で、4℃で14時間透析した。その懸濁液を、4
℃で601,000gで4時間遠心分離し、非破砕ウイ
ルス粒子とウイルスRNAを除去した。さらに、濃縮器
(セントリコン−10:アミコン)を用いて蛋白質の濃
縮を行い、最終濃度を0.3μg/μlとした。BCP
の濃度は、励起定数により分光学的に決定した。 励起定数:0.1%(w/v)溶液につきA260nm
=0.76
との融合蛋白質を得るために、プレイプラスミドpAC
TdHcp1よりcDNA部分を回収し、pGEX−2
TKプラスミド(アマシャムファルマシアバイオテク)
のEcoR1部位へ導入した。GSTまたはGST/H
CP1融合蛋白質はBL21大腸菌細胞(アマシャムフ
ァルマシアバイオテク)にて発現させた。50μg/m
lのアンピシリンを含むLB培地(LB−Amp)2.
5mlにて、目的のプラスミドを持ったBL21大腸菌
細胞を、37℃で16時間培養した。この培養液を12
5mlのLB−Ampに添加し、170rpmで震盪し
ながら、OD600が1.0になるまで、25℃でイン
キュベートした。IPTGが1mMになるように添加し
て4時間後に、GST蛋白質及びGST/HCP1融合
蛋白質の発現が誘導された。細胞を回収し、1×PBS
(10mM Na2 HPO4 、1.8mM KH2 PO
4 、140mM NaCl、2.7mM KCl)の中
に懸濁し、超音波処理により破砕した。遠心分離を行う
ことにより細胞ライゼートを得、トライトンX−100
(最終濃度:1%(v/v))を添加した。
タチオンセファロース4B(アマシャムファルマシアバ
イオテク)と混合し、室温で1時間、穏やかに攪拌し
た。カラム担体を、バッファーAで3回洗浄し(1%ト
ライトンX−100及び5mMジチオスレイトールを含
む1×PBS)、その後GST蛋白質及びGST/HC
P1融合蛋白質を、バッファーB(50mM Tris
−NaOH、pH9.0、10mM還元型グルタチオ
ン、1%トライトンX−100、5mMジチオスレイト
ール)にて溶出させた。溶出蛋白質をバッファーAに対
して透析し、グルタチオンを除去した。蛋白質の単離精
製度は、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動(SDS−PAGE)にて分離した蛋白質サ
ンプルを、クマシーブルーで染色した後、マーカー蛋白
質の量と比較して評価した。
のGST蛋白質またはGST/HCP1融合蛋白質を、
100μlのバッファーC(0.05%(w/v)ウシ
血清アルブミンを含むバッファーA)に溶解した1μg
のBCPと共に混合し、4℃で1時間穏やかに攪拌して
インキュベートした。その懸濁液を、10μlのグルタ
チオンセファロース4B(50%スラリー)と混合し、
4℃で1時間、穏やかに攪拌した。カラム担体を250
μlのバッファーCで5回洗浄した後、25μlのバッ
ファーBの中で室温で20分間攪拌しながらインキュベ
ートした。その混合液を、4℃において6,000gで
10秒間遠心分離し、上清を回収した。溶出蛋白質を1
5%のSDS−PAGEゲルで分離し、PVDF膜(ミ
リポア)に転写し、抗BCP抗体又は抗GST抗体によ
り検出した(図3)。図3において、レーン1及びレー
ン4はバッファーとインキュベーションしたコントロー
ルサンプルの結果、レーン2及びレーン5はGSTのみ
を用いたサンプルにおける結果、レーン3及びレーン6
はGST/HCP融合蛋白質を用いたサンプルにおける
結果を示している。尚、レーン1からレーン3(A)は
抗BCP抗体で、レーン4からレーン6(B)は抗GS
T抗体でイムノブロッティングを行った。図3におい
て、GST/HCP1とBCPとの結合が認められた
(レーン3)。尚、GST単独ではBCPとの結合は観
察されなかった(レーン2)。これらの結果は、HCP
1とBCPとが直接的に結合している事を示している。
アミノ酸配列の中で、HCP1との相互作用に関与して
いる部位を決定するために、N末端またはC末端を欠失
させたBCPをコードするDNA断片を、pAS2−1
プラスミド中に導入した。これら欠失したBCP遺伝子
を有するベイトプラスミドと、pACTdHcp1プレ
イプラスミドにより、酵母Y190株を形質転換し、両
者の相互作用をツーハイブリッドシステムを用いてアッ
セイした(図4)。C末端より4アミノ酸残基を除いた
BCP(138−185)では、HCP1との結合活性
の低下は見られなかった。一方、C末端より12アミノ
酸残基を除いたBCP(138−177)では、HCP
1との結合活性が低下した。また、BCP(12−18
9)及びBCP(77−189)は、BCP(138−
189)より長いN末端を含んでいるにもかかわらず、
HCP1に対して結合活性を有していなかった。これら
の結果は、BCPにおいて、アミノ酸配列の138番目
から185番目にまたがる部分が、HCP1との結合に
関与している事を示している。
性)HCP1とBCPとの結合と、ウイルス感染性との
相関性を評価した。C末端部位にそれぞれ1アミノ酸置
換を生じた、BCP変異体を作成し、HCP1との結合
能、ウイルスの感染性、及び粒子化作用について評価し
た(表4)。表4において、アスタリスクマークは、ア
ミノ酸置換が生じている箇所を示している。HCP1と
の結合アッセイは、酵母ツーハイブリッドシステムによ
り行った。ウイルス感染性のアッセイは、ティッシュー
プリントアッセイ(Mise etal.(199
3):J.Virol.67:2815−2823)に
より行った。即ち、転写産物を6日目のオオムギの苗に
接種し、ウイルスRNA量の蓄積量により、ウイルスの
感染性を評価した。粒子化作用は、転写産物をオオムギ
のプロトプラストに接種した後に粒子画分を調製し、ウ
イルスRNAを粒子より抽出し、ノーザンブロット解析
を行う事により評価した。
82Aにおいて、結合のレベルの低下が観察され、これ
らの変異体はオオムギにおいて感染性を有さなかった
(表4)。逆に、野生株と同程度のHCP1結合活性を
有する変異体は、通常のウイルス感染性を保持した。F
184Aにおいても感染性の消失が認められ、この現象
はHCP1との結合活性と合致していないが、これは粒
子化作用の消失に原因があると考えられる。尚、ウイル
ス外被蛋白質の粒子化作用により、ウイルスゲノムはR
NA分解酵素の作用から保護され、ウイルスの毒性が促
進される。これらの結果は、変異BCPとHCP1との
結合活性と、変異BCP遺伝子をコードするBMV変異
体のオオムギへの感染性とが、顕著な相関性を有する事
を示している。
与するオオムギ由来の宿主遺伝子である、Hcp1遺伝
子及び当該遺伝子がコードする蛋白質HCP1が与えら
れた。
ムモザイクウイルス外被蛋白質結合因子のスクリーニン
グを行った過程を示した図である。
ードするポリペプチドの推定アミノ酸配列を示した図で
ある。
合アッセイで検出したイムノブロッティングを示す写真
である。
結果を示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 以下の(a)または(b)に示すアミノ
酸配列からなることを特徴とする、ポリペプチド。 (a)配列表の配列番号1に示す、アミノ酸番号1−3
52で示されるアミノ酸配列からなることを特徴とす
る、ポリペプチド。 (b)(a)の一部が欠損、置換若しくは付加され、ブ
ロムモザイクウイルス外被蛋白質との結合活性を有す
る、ポリペプチド。 - 【請求項2】 請求項1記載のポリペプチドをコードす
る、遺伝子。 - 【請求項3】 以下の(c)または(d)に示す塩基配
列からなることを特徴とする、遺伝子。 (c)配列表の配列番号2に示す、塩基番号1−136
0で示される塩基配列からなることを特徴とする、遺伝
子。 (d)(c)の一部が欠損、置換若しくは付加され、ブ
ロムモザイクウイルス外被蛋白質との結合活性を有する
ポリペプチドをコードする、遺伝子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11207753A JP3106188B1 (ja) | 1999-07-22 | 1999-07-22 | 植物ウイルスの感染に関与する宿主遺伝子及びポリペプチド |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11207753A JP3106188B1 (ja) | 1999-07-22 | 1999-07-22 | 植物ウイルスの感染に関与する宿主遺伝子及びポリペプチド |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP3106188B1 true JP3106188B1 (ja) | 2000-11-06 |
JP2001029080A JP2001029080A (ja) | 2001-02-06 |
Family
ID=16544983
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11207753A Expired - Lifetime JP3106188B1 (ja) | 1999-07-22 | 1999-07-22 | 植物ウイルスの感染に関与する宿主遺伝子及びポリペプチド |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3106188B1 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
BR122019027736B1 (pt) | 2010-12-28 | 2021-04-27 | Incorporated Administrative Agency, National Agriculture And Food Research Organization | Vetor e processo para a produção de uma planta |
-
1999
- 1999-07-22 JP JP11207753A patent/JP3106188B1/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001029080A (ja) | 2001-02-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
FI81379C (fi) | Anvaendning av kluyveromyces-jaest saosom vaerd foer transformering och uttryckning av fraemmande gener. | |
SK161796A3 (en) | Plant virus resistance gene and methods | |
JPH03280883A (ja) | Rna型ウイルス由来の配列を包含する組換えdnaおよびそれを用いる遺伝子操作方法 | |
JPH08508162A (ja) | ハロバクテリアにおける異種ポリペプチドの発現 | |
SK131799A3 (en) | Plants with modified growth | |
JP2004524015A (ja) | ストレス耐性に関連するテンサイ遺伝子 | |
JPH11514206A (ja) | 植物における病気耐性付与のための手順及び材料 | |
JP2000513935A (ja) | Aattプロモーターエレメントおよび転写因子 | |
US20040098763A1 (en) | Modulation of plant cyclin-dependent kinase inhibitor activity | |
JP2002514042A (ja) | 植物中で病気抵抗性を増強する遺伝子 | |
US20050262585A1 (en) | Soybean FGAM synthase promoters useful in parasite control | |
JP2002506345A (ja) | 植物grabタンパク質 | |
JPH09509842A (ja) | 新規チオールプロテアーゼ阻害剤 | |
CZ69899A3 (cs) | Izolované polynukleotidy, jimi kódované proteinkinázy, je obsahující konstrukty a transgenní rostliny a způsob jejich použití | |
JP3106188B1 (ja) | 植物ウイルスの感染に関与する宿主遺伝子及びポリペプチド | |
JP2002514423A (ja) | 組換え植物e2fペプチドを発現するトランスジェニック植物細胞 | |
JP2003510040A (ja) | コムギdpタンパク質及びその使用 | |
JP2003534771A (ja) | 外来性内部エピトープをもつウィルス粒子 | |
JP2000342262A (ja) | 耐病性遺伝子 | |
US6297360B1 (en) | Amphipathic protein-1 | |
JP5142247B2 (ja) | 植物ウイルス抵抗性植物の製造方法及びその利用 | |
US5770720A (en) | Ubiquitin conjugating enzymes having transcriptional repressor activity | |
AU757920B2 (en) | Genes of the dead box protein family, their expression products and use | |
JP3090680B2 (ja) | ヒモ状ウイルス遺伝子 | |
JP2945953B2 (ja) | 傷ストレス誘導性mapキナーゼおよびその遺伝子 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 3106188 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313114 |
|
R371 | Transfer withdrawn |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313114 |
|
R371 | Transfer withdrawn |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313114 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
S631 | Written request for registration of reclamation of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313631 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |