JP3105430B2 - 面状発熱体 - Google Patents

面状発熱体

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JP3105430B2 JP22015095A JP22015095A JP3105430B2 JP 3105430 B2 JP3105430 B2 JP 3105430B2 JP 22015095 A JP22015095 A JP 22015095A JP 22015095 A JP22015095 A JP 22015095A JP 3105430 B2 JP3105430 B2 JP 3105430B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、面状発熱体に関す
るものである。更に詳しくは、調理器、特にホットプレ
ートに適した面状発熱体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ホットプレートに用いられている
ヒータとしては、シーズヒータが一般的であり、アルミ
等から成る調理板の下部にシーズヒータが設置されたタ
イプのホットプレートや、調理板にシーズヒータが埋め
込まれたタイプのホットプレートが市販されている。し
かしながら、このような構造の調理器では、調理板の温
度がシーズヒータからの距離に応じて異なるため、調理
面全体を均熱化することが困難である。
【0003】そこで、近年、調理面全体の均熱化が期待
できる発熱体として、基板を直接、かつ、面状に発熱さ
せる面状発熱体が提案されている(特開昭62−319
83号公報等)。この面状発熱体は、耐熱ガラス基板の
表面に導体ペーストをパターン印刷し焼成することによ
り発熱皮膜を形成して成るものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記面
状発熱体には以下のような問題がある。例えば、耐熱ガ
ラス基板としてパイレックスガラスのような非結晶化ガ
ラスを用いた場合、調理に適した温度(即ち、調理面が3
00℃前後の温度)になるように通電を行うと、調理面に
引っ張り応力がかかって基板が割れてしまうといった問
題が生じる。これは、パイレックスガラスの熱膨張率(3
2×10-7/℃)が比較的大きいためである。
【0005】耐熱ガラス基板として結晶化ガラスを用い
た場合には、熱膨張率が小さいので上記のような問題は
生じない。しかし、基板表面に形成されている発熱皮膜
との熱膨張率差が大きくなるため、発熱皮膜が基板から
剥離するといった問題や、通電の繰り返しによって発熱
皮膜にクラックが発生して徐々に抵抗が大きくなるとい
った問題が生じる。耐熱ガラス基板と発熱皮膜の層との
間に層間の熱膨張差を緩和する中間層を形成すれば、上
記問題を解決することはできるが、中間層の印刷,焼付
工程等が増えた分、製造コストが高くなってしまう。
【0006】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
であって、その目的は、基板表面温度が300℃前後にな
っても基板の損傷がなく、かつ、製造工程を増やすこと
なく通電の繰り返しによる発熱皮膜の劣化が少ない面状
発熱体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、第1の発明の面状発熱体は、熱膨張率が30×10-7
℃以下のガラス又はセラミックスから成る基板の表面
に、無機成分として銀粉末60〜99重量%と500℃以上の
屈伏点を有する無鉛ガラスフリット粉末40〜1重量%と
を含む導体ペーストをパターン印刷し焼成することによ
り発熱皮膜を形成した構成となっている。
【0008】第1の発明の構成によると、基板として熱
膨張率の小さい材料を用いているため、調理面が300℃
になるまで温度を上げても熱応力による割れが発生しな
い。このような熱衝撃に強い基板材料の1つとして、例
えば、ベータスポジュメン結晶から成る結晶化ガラスが
挙げられる。通常、このような低熱膨張基板材料に対し
て皮膜形成を行う場合、前記剥離,クラック等が発生し
やすいため皮膜材料の選定は難しいが、第1の発明では
導電材として銀を用いることによりこの問題を解消して
いる。つまり、銀は非常に柔軟性に富む材料であるた
め、温度変化により膨張収縮を繰り返してもその内部で
の弾性変形により容易に熱応力が緩和されるのである。
【0009】銀粉末とガラスフリット粉末との混合比
を、銀粉末量60〜99重量%に対しガラスフリット粉末量
を40〜1重量%とするのは、ガラスフリット粉末量が1重
量%未満の場合、基板と発熱皮膜との十分な密着強度が
とれず、40重量%を超えると発熱皮膜の抵抗が大きくな
りすぎるからである。また、導体ペースト中の無鉛ガラ
スフリット粉末の屈伏点を500℃以上とするのは、面状
発熱体を調理器に使用する場合に300℃程度の調理表面
温度が必要とされ、このため発熱皮膜に400℃以上の耐
熱性が要求されるからである。
【0010】第2の発明の面状発熱体は、前記第1の発
明において、前記無鉛ガラスフリット粉末がアルカリ金
属(例えば、Na,K,Li)又はアルカリ土類金属(例えば、C
a,Mg,Ba)を含有する無鉛ホウ珪酸ガラスから成り、その
熱膨張率が80×10-7/℃以下であることを特徴とする。
【0011】第2の発明の構成によると、無鉛ガラスフ
リット粉末としてアルカリ金属又はアルカリ土類金属を
含有する無鉛ホウ珪酸ガラス粉末が用いられているの
で、焼き付け(つまり焼成)において溶融状態にあるガラ
スフリットの粘性は小さいものとなる。これによって発
熱皮膜中のガラス層の薄膜化が促進されるため、無鉛ガ
ラスフリット粉末の熱膨張率が80×10-7/℃程度であっ
ても、実用上支障となるような剥離やクラックは発生し
ない。
【0012】第3の発明の面状発熱体は、前記第1の発
明において、前記発熱皮膜上にガラスペーストを印刷し
焼成することによりカバー層を形成したことを特徴とす
る。第3の発明の構成によると、発熱皮膜上に形成され
たカバー層が、発熱皮膜に生じる応力を緩和する。
【0013】ガラスペースト中の無機成分としては、ガ
ラスフリット粉末だけでもよく、また、ガラスフリット
粉末と低膨張フィラーとの混合物でもよい。ガラスペー
スト中の無機成分がガラスフリット粉末のみの場合、ガ
ラスフリット粉末の熱膨張率は70×10-7/℃以下である
のが好ましい。熱膨張率がこれよりも大きいと、焼成後
のクラックの発生によってカバー層が剥離しやすくなる
からである。
【0014】ガラスペースト中の無機成分がガラスフリ
ット粉末と低膨張フィラーとの混合物である場合、ガラ
スフリット粉末と低膨張フィラーとの混合比は、ガラス
フリット粉末10〜100重量%に対して低熱膨張フィラー9
0〜0重量%であるのが好ましい。ガラスフリット粉末量
が10重量%未満の場合、基板や発熱皮膜との密着強度が
十分に得られないからである。低膨張フィラー材料とし
ては、例えば、ベータスポジュメン結晶から成る結晶化
ガラス,コーディエライト結晶から成る結晶化ガラスの
ように、熱膨張率の非常に小さいものが最適である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施した面状発熱
体を、図面を参照しつつ説明する。図1は本発明を実施
したホットプレート用の面状発熱体を示す平面図であ
り、図2はその断面図である。これらの図において、1
は基板、2〜4は発熱皮膜、5はカバー層である。発熱
皮膜2〜4のうち、2は発熱部、3は電極部、4は端子
部を構成しており、電極部3が発熱部2より幅の広い印
刷パターンになっているので、端子部4に電圧を印加す
ると、発熱部2が選択的に発熱する。
【0016】基板1は熱膨張率が30×10-7/℃以下のガ
ラス又はセラミックスから成り、この基板1において発
熱皮膜2〜4の形成されていない側が調理面1aであ
る。基板1は、例えば、ベータスポジュメン結晶から成
る結晶化ガラスのように、熱膨張率の小さい(つまり、
熱衝撃に強い)材料から成っている。このため、調理面
1aが300℃になるまで温度を上げても熱応力による割
れは発生しない。
【0017】発熱皮膜2〜4は、基板1の表面に、無機
成分として銀粉末60〜99重量%と500℃以上の屈伏点を
有する無鉛ガラスフリット粉末40〜1重量%とを含む導
体ペーストをパターン印刷し焼成することによって形成
される。このときの焼成は、750℃〜900℃、特に750℃
〜850℃で行うのが好ましい。900℃を超える温度で焼成
を行うと、基板1に焼き付けられた発熱皮膜2〜4に膨
らみが生じやすくなるからである。
【0018】図1に示す発熱皮膜2〜4のパターンは、
発熱皮膜2が複数のゾーンに分割され、かつ、各ゾーン
が並列配線された構成となっている。ここで、調理面1
a上に食材を載せると、その食材が載った部分の基板裏
面に位置するゾーンの温度は低下し、そのゾーンの発熱
皮膜2の抵抗値が減少する。これは、発熱皮膜2〜4に
導電材として含まれている銀が正の抵抗温度係数を有す
るためである。従って、温度低下したゾーンの発熱皮膜
2は、他のゾーンのものより発熱量が大きくなる。この
選択的な発熱によって基板1の温度復帰が早くなるた
め、調理面1aの温度は速やかに均熱化される。このよ
うに発熱皮膜2の特性によって、一部分に温度変化が生
じた基板は制御回路なしで素早く均熱化され、さらに、
立ち上がり時間も短くなるため調理時間が短縮される。
また、調理のために基板1が直接、かつ、面状で加熱さ
れるため、効率が良いばかりでなく均熱化も容易にな
る。
【0019】導電材として用いられている銀は非常に柔
軟性に富む材料であるため、温度変化により膨張収縮を
繰り返しても、その内部での弾性変形により容易に熱応
力が緩和され、その結果、発熱皮膜2〜4の劣化が抑え
られる。
【0020】無鉛ガラスフリット粉末としては、アルカ
リ金属又はアルカリ土類金属を含有する無鉛ホウ珪酸ガ
ラス粉末を用いることができる。この無鉛ホウ珪酸ガラ
ス粉末は、焼成において溶融状態になると粘性が小さく
なるので、発熱皮膜中のガラス層の薄膜化が促進され
る。このため、無鉛ガラスフリット粉末の熱膨張率が80
×10-7/℃程度であっても、実用上支障となるような剥
離やクラックは発生しない。
【0021】無鉛ガラスフリット粉末として、熱膨張率
が50×10-7/℃以下の無鉛ホウ珪酸ガラスから成るもの
を用いてもよい。無鉛ガラスフリット粉末中にアルカリ
金属又はアルカリ土類金属がほとんど含有されていなく
ても、熱膨張率が50×10-7/℃以下であれば剥離やクラ
ックは発生しないからである。
【0022】カバー層5は、発熱皮膜2,3上にガラス
ペーストを印刷し、650℃〜850℃で焼成することにより
形成される。このカバー層5は、単に発熱皮膜2の絶縁
として機能するだけでなく、発熱皮膜2に生じる応力を
緩和して、発熱皮膜2の劣化の防止に大きく寄与する。
ガラスペースト中の無機成分として、ガラスフリット粉
末のみを用いる場合には、熱膨張率が70×10-7/℃以下
のものを用いるのが好ましく、また、ガラスフリット粉
末と低膨張フィラーとの混合物を用いる場合には、その
混合比をガラスフリット粉末10〜100重量%に対して低
熱膨張フィラー90〜0重量%とするのが好ましい。この
低膨張フィラー材料としては、例えば、ベータスポジュ
メン結晶から成る結晶化ガラス,コーディエライト結晶
から成る結晶化ガラスが挙げられる。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施した面状発熱体に関し、
実施例,試験例等を挙げて更に具体的に説明を行う。
【0024】《面状発熱体の製造方法(図1,図2)》図
1,図2に示す面状発熱体を、以下のような工程で作製
した。まず、銀粉末とガラスフリット粉末を各々秤量し
混合した。これらの混合物に、有機溶媒としてアクリル
系バインダーとターピネオール(terpineol)との混合物
を加えた後、3本ロールにて混練して、導体ペーストを
得た。なお、有機溶媒は印刷性を損なわず、かつ、焼き
付け時に容易に脱脂されるものであれば、上記混合物の
代わりに用いることができる。
【0025】次に、この導体ペーストをスクリーン印刷
法により基板1の表面(調理面1aの裏面)に、図1に示
すようにパターン印刷した。この印刷パターンは、作製
する発熱皮膜2〜4の面抵抗と定格出力によって、その
幅やピッチが決定される。数分間、常温でレベリングさ
せた後、乾燥炉中で乾燥させた(乾燥温度:100〜150
℃)。焼き付けを大気炉で行って(焼成温度:750〜850
℃)、発熱皮膜2〜4を形成した。
【0026】カバー層5の形成にあたっては、まず、前
記導体ペーストと同様の方法でガラスペーストを作製し
た。得られたガラスペーストで発熱皮膜2〜4を覆うよ
うに基板1上にスクリーン印刷を行った後、乾燥,焼き
付けを行った。
【0027】《面状発熱体の性能試験》上記製造方法で
作製したサンプルを用いて、面抵抗値の測定及び通電サ
イクル試験を行い、その結果から面状発熱体の性能劣化
を調べた。通電サイクル試験は、安定時のワット密度が
1.9W/cm2になるように電圧を調整した後、ON15分間
/OFF15分間のサイクル通電によって行った。なお、
安定時の皮膜表面温度は約350℃であった。発熱皮膜2
〜4が基板1から剥離したか否かを面状発熱体の外観で
判定し、通電の繰り返しによって発熱皮膜2〜4にクラ
ックが発生したか否かを抵抗値の変化(抵抗率変化)で判
定した。
【0028】〈サンプル用のガラスフリット(表1)〉表
1に、面状発熱体の性能試験用サンプルの作製に用いた
ガラスフリット粉末の詳細を示す。ガラスフリット粉末
はA〜Eの5種類である。ガラスフリットAは、アルカ
リ土類金属成分として酸化カルシウムを15%含有し、屈
伏点が500℃以上、熱膨張率が80×10-7/℃以下の無鉛
ホウ珪酸ガラスである。また、ガラスフリットBは、屈
伏点が500℃以上、熱膨張率が50×10-7/℃以下の無鉛
ホウ珪酸ガラスである。
【0029】
【表1】
【0030】《第1性能試験用のサンプル(表2)》第1
性能試験では、基板材料,ガラスフリット粉末の種類と
性能劣化との関係を、前記通電サイクル試験によって調
べた。そのためのサンプルを以下のようにして作製し
た。まず、表2に示す組成で銀粉末とガラスフリット粉
末とを配合して導体ペーストを作製した。得られた導体
ペーストと表2に示す材料から成る基板とを用いて、前
述した製造方法でサンプルを作製した。但し、カバー層
5の形成は行わなかった。なお、表2に通電サイクル試
験開始前の発熱皮膜2〜4の面抵抗値を併せて示す。
【0031】また、実施例1,2と比較例1,2の基板
材料として、ベータスポジュメン結晶から成る結晶化ガ
ラス(商品名:ネオセラムN-11)を用い、比較例3の基板
材料としてパイレックスを用いた。なお、基板材料の熱
膨張率は、ネオセラムN-11が8〜12×10-7/℃であるの
に対し、パイレックスは32×10-7/℃である。
【0032】
【表2】
【0033】《第1性能試験の結果(図3)》通電サイク
ル試験結果を図3に示す。基板材料としてパイレックス
を用いたサンプルNo.5の基板1は、通電を開始してから
数秒後に割れてしまった。このことから、熱膨張率が30
×10-7/℃以上の材料は面状発熱体に適さないことが明
白となった。その他のサンプルのサイクル試験結果を図
3に示す。サンプルNo.1-1及び2-1は、共に通電サイク
ルに対し良好な性能を示した。サンプルNo.4-1は、屈伏
点が500℃以下のガラスフリットを使用した例である
が、早期に抵抗が上昇したため実用的ではない。また、
サンプルNo.3-1は、アルカリ金属成分やアルカリ土類金
属成分が少なく、かつ、熱膨張率が50×10-7/℃以上の
ガラスフリットCを用いた場合の比較例であるが、通電
サイクルが1000回を越えたあたりから抵抗変化が大きく
なり、ついにはスパークが発生して導通がなくなった。
【0034】《第2性能試験用のサンプル(表3)》第2
性能試験では、導体ペースト中の無機成分組成(つま
り、銀粉末とガラスフリット粉末との配合比)と発熱皮
膜2〜4の面抵抗値との関係を調べた。そのためのサン
プルを以下のようにして作製した。まず、表3に示す組
成で銀粉末とガラスフリット粉末とを配合して導体ペー
ストを作製した。得られた導体ペーストとネオセラムか
ら成る基板1とを用いて、前述した製造方法でサンプル
を作製した。但し、カバー層5の形成は行わなかった。
また、表2に発熱皮膜2〜4の面抵抗値を測定した結果
を併せて示す。
【0035】
【表3】
【0036】《第2性能試験の結果》比較例4の面抵抗
値を測定した結果から、ガラスフリット量が50重量%
を越えると面抵抗値が高くなりすぎてしまい、そのよう
な組成のペーストで形成された皮膜は発熱皮膜に適さな
いことが分かった。また、ガラスフリット粉末なしのサ
ンプルも作製したが、基板1や発熱皮膜2〜4との密着
強度が得られなかった。従って、最低でも1重量%以上
のガラスフリット量が必要であることが分かった。
【0037】上記実施例1〜5にはカバー層5が設けら
れていないが、これらはカバー層5がなくても面状発熱
体として十分な寿命性能を有している。従って、実施例
1〜5は発熱皮膜の絶縁が必ずしも必要でない用途、例
えば、調理用プレート固定式のホットプレート等に適し
ている。また、実施例1〜5によると、カバー層5の形
成工程を省くことができるため、大幅なコストダウンを
図ることができる。
【0038】《第3性能試験用のサンプル(表4)》第3
性能試験では、カバー層5と性能劣化との関係を、前記
通電サイクル試験によって調べた。そのためのサンプル
を以下のようにして作製した。なお、サンプルNo.1-2,2
-2,3-2,4-2は、第1性能試験で用いたサンプルNo.1-1,2
-1,3-1,4-1にカバー層5を設けたものに相当する。ま
ず、表4に示す組成で銀粉末とガラスフリット粉末とを
配合して導体ペーストを作製した。カバー層5となるガ
ラスペーストは、ガラスフリットBとベータスポジュメ
ン結晶から成る結晶化ガラスフィラーとを3:7の割合
で配合し、前記有機溶媒と共に混合して作製した。そし
て、得られた導体ペースト,ガラスペースト及びネオセ
ラムから成る基板1を用いて、前述した製造方法でサン
プルを作製した。但し、発熱皮膜2〜4及びカバー層
は、導体ペーストの印刷・乾燥後にガラスペーストの印
刷・乾燥を行ってから同時焼き付けを行うことにより作
製した。
【0039】
【表4】
【0040】《第3性能試験の結果(図4)》通電サイク
ル試験結果を図4に示す。カバー層5を設けたことによ
って、サンプルNo.1-2及び2-2の性能が、対応するサン
プルNo.1-1及び2-1の性能よりも更に良くなった。ま
た、サンプルNo.3-2は、カバー層5を設けなかった場合
(サンプルNo.3-1)に比べて極端に性能が向上し、カバー
層5の効果が端的に表れた。但し、この場合も導体ペー
スト中のガラスフリットが、500℃以下の屈伏点である
場合(サンプルNo.4-2)には大幅な性能向上が望めなかっ
た。なお、ここでは低膨張フィラーとしてベータスポジ
ュメン結晶から成る結晶化ガラスを用いたが、コーディ
エライト結晶から成る結晶化ガラスを用いても同じ効果
が得られることが分かっている。
【0041】《第4性能試験用のサンプル(表5)》第4
性能試験では、カバー層5の形成に用いるガラスフリッ
トと性能劣化との関係を、前記通電サイクル試験によっ
て調べた。そのためのサンプルを以下のようにして作製
した。まず、表5に示す組成で銀粉末とガラスフリット
粉末とを配合して導体ペーストを作製した。カバー層5
となるガラスペーストには低膨張フィラーを用いずに前
記有機溶媒と混合して作製した。そして、得られた導体
ペースト,ガラスペースト及びネオセラムから成る基板
1を用いて、前述した製造方法でサンプルを作製した。
但し、発熱皮膜2〜4及びカバー層5は、導体ペースト
の印刷・乾燥後にガラスペーストの印刷・乾燥を行って
から同時焼き付けを行うことにより作製した。
【0042】
【表5】
【0043】《第4性能試験の結果(図5)》通電サイク
ル試験結果を図5に示す。なお、参考のため前述のサン
プルNo.1-1及びNo.1-2の試験結果を同図に併せて示す。
熱膨張率が70×10-7/℃以下のガラスフリットを用いれ
ば、上記のように低膨張フィラーを用いずにガラスフリ
ットだけでも、ガラスフリットと低膨張フィラーとの混
合物を用いた場合とほぼ同等の効果が得られることが分
かった。なお、熱膨張率が70×10-7/℃以上のガラスフ
リットAをガラスペーストに用いた場合、カバー層5に
大きくクラックが生じ剥離してしまった。
【0044】《面状発熱体の抵抗-温度特性(図6)》図
6に、実施例1の発熱皮膜2の抵抗-温度曲線を示す。
なお、ここではサンプルNo.1-1を用いて測定を行った
が、他のサンプルを用いた場合も同様の結果が得られ
た。このグラフから温度の上昇に伴って抵抗値が増加す
ることが分かった。従って、定格出力は基板温度が250
℃〜300℃時の抵抗値で設計される。しかし、通電初め
は基板温度が低いので、そのときの抵抗値は設計時の抵
抗値よりも小さくなる。従って、通電初めに定格出力以
上で加熱されることになり、このため面状発熱体の立ち
上がりは早いものとなる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように第1〜第3の発明の
面状発熱体によると、基板の熱膨張率が小さいため、基
板表面温度が300℃以上になっても基板の損傷は全くな
い。また、導電材としての銀が柔軟性に富み、銀粉末と
ガラスフリット粉末との適正な混合比により基板と発熱
皮膜との密着強度が高く保たれ、さらに、無鉛ガラスフ
リット粉末が発熱皮膜の耐熱性を満たす屈伏点を有して
いるため、通電の繰り返しによる発熱皮膜の劣化(例え
ば、発熱皮膜の剥離やクラックの発生)は非常に少な
い。従って、面状発熱体の寿命性能は向上し、しかも、
製造工程を増やす必要がないので、その点で製造コスト
を低く抑えつつ上記面状発熱体を実現することができ
る。
【0046】また、導電材となる銀は正の抵抗温度係数
が大きいため、立ち上がり時間が短く、さらに、基板上
に食材を載せた場合のように基板温度が低下するような
ことがあっても、制御回路なしで素早く温度が復帰して
基板温度が均熱化するといった効果もある。さらには、
調理のために基板を直接、かつ、面状で加熱することが
できるため、効率が良いばかりでなく容易に均熱化を図
ることができる。
【0047】第2の発明の構成によると、無鉛ホウ珪酸
ガラスが発熱皮膜中のガラス層の薄膜化を促進するた
め、無鉛ガラスフリット粉末の熱膨張率が80×10-7/℃
程度であっても、上記発熱皮膜の劣化が生じない。
【0048】第3の発明の構成によると、発熱皮膜上に
形成されたカバー層が、単に発熱皮膜の絶縁として機能
するだけでなく、発熱皮膜の劣化の防止に大きく寄与す
る。従って、面状発熱体の寿命性能は大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施した面状発熱体を示す正面図。
【図2】本発明を実施した面状発熱体を示す断面図。
【図3】面状発熱体の第1性能試験結果を示すグラフ。
【図4】面状発熱体の第3性能試験結果を示すグラフ。
【図5】面状発熱体の第4性能試験結果を示すグラフ。
【図6】本発明を実施した面状発熱体の発熱皮膜の抵抗
-温度曲線を示すグラフ。
【符号の説明】
1 基板 2 発熱皮膜(発熱部) 3 発熱皮膜(電極部) 4 発熱皮膜(端子部) 5 カバー層
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−89483(JP,A) 特開 昭62−31983(JP,A) 特開 平6−84584(JP,A) 特開 平2−227984(JP,A) 特開 昭63−117927(JP,A) 特開 昭60−235742(JP,A) 特開 平8−67533(JP,A) 特開 昭60−239583(JP,A) 特開 昭49−125572(JP,A) 実開 昭63−301482(JP,U) 実開 昭60−176916(JP,U) 実開 平2−5392(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 3/02 - 3/82

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱膨張率が30×10-7/℃以下のガラス又は
    セラミックスから成る基板の表面に、無機成分として銀
    粉末60〜99重量%と500℃以上の屈伏点を有する無鉛ガ
    ラスフリット粉末40〜1重量%とを含む導体ペーストを
    パターン印刷し焼成することにより発熱皮膜を形成して
    成る面状発熱体。
  2. 【請求項2】前記無鉛ガラスフリット粉末がアルカリ金
    属又はアルカリ土類金属を含有する無鉛ホウ珪酸ガラス
    から成り、その熱膨張率が80×10-7/℃以下であること
    を特徴とする請求項1に記載の面状発熱体。
  3. 【請求項3】前記発熱皮膜上にガラスペーストを印刷し
    焼成することによりカバー層を形成したことを特徴とす
    る請求項1に記載の面状発熱体。
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