JP3104266U - ポリマーバッキングラミネートを有する複合ファブリック - Google Patents

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Abstract

【課題】コーティングプロセスを介して容易に生産され得るバッキングラミネートを有する複合ファブリックを提供する。
【解決手段】ファブリック層10およびバッキングラミネート20を含む複合ファブリックであって、前記バッキングラミネート20は、前記ファブリック層10に適用されたバインダー層21、前記バインダー層21に適用された中間層22、および前記中間層22に適用された表面修飾層23を含み、前記バインダー層21は、アクリルモノマーでグラフトされたスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、およびグラフトされた前記スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーでブレンドしたポリウレタンを含むバインダー組成物を有し、前記中間層22は、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーおよび溶媒を含む組成物を有する、複合ファブリック。
【選択図】図1

Description

本考案は、ラミネート、より詳細には、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーおよびポリウレタンを含むバッキングラミネートを有するファブリック層を含む複合ファブリックに関する。
基布(base fabric)上に1つ以上のポリマー層を含む複合ファブリックを提供することは、当該技術分野で公知である。このような複合ファブリックは、ラゲージ、バック、テント、カーテン、ガーメントなどを作製するために有用である。PVC層を組み込む複合ファブリックは、カレンダリングプロセス(calendering process)を介して、織物材料の基層をPVCフィルムでラミネートすることによって作製される。このような複合ファブリックは、安価であり、良好な物理的および機械的特性を示す。PVCフィルム層は、防水性であるだけでなく、ベース織物材料のテクスチャーを補強および安定化させると同時に良好な手触り特性(hand feel property)を提供する。しかし、そのライフサイクル全体にわたり、PVCは、PVCの安定剤および可塑剤(これらは、重金属と共にダイオキシンを放出する)に起因して、全てのプラスチックの中で最も環境に害を与える材料である。他方、カレンダリングプロセスによるPVCでのファブリックのバッキング(backing)において、処理されるべき最小量のファブリックおよびPVCは、カレンダリングプロセスにおいて使用される装置によって制限されるので、少量の生産は不可能である。これは、過剰の在庫品(surplus inventory)およびコストの増大を生じ得る。
ポリウレタン(PU)を含む複合ファブリックは、ベース織物層に対してPUコーティングを直接適用することによって作製される。PUコーティングの直接適用に起因して、廃棄物の量が削減される。1成分型ポリウレタンが使用される場合、廃棄物はリサイクルされ得る。基本的に、PUコーティングは、PUコーティングに含まれる少量の物質またはPUコーティングのフィルムの不連続性(discontinuity)に起因して、手触り特性を調節する機能を有していない。
スチレンブロックコポリマーは、複合物を形成する際にPVCの代わりとして当該分野において示唆されている。なぜなら、スチレンブロックコポリマーは、PVCよりも環境にやさしいからである。PVCのように、スチレンブロックコポリマーは、ファブリックの構造を補強および安定化し得る。しかし、スチレンブロックコポリマーは良好な手触り特性を示すが、スチレンブロックコポリマーは代表的にカレンダリングプロセスを介してラミネートされ、そしてその溶融状態におけるスチレンブロックコポリマーのフィルム形成特性は、PVCほど良好ではないので、スチレンブロックコポリマー層は一般的に厚く、その厚みは、0.15mm未満に低下されるのは困難である。さらに、処理において、フィルムが薄いほど、スチレンブロックコポリマーの損失はより多くなる。さらに、このプロセスは、容易にリサイクルできない廃棄物を生産し得る。さらに、スチレンブロックコポリマーの容易に老化する特性に起因して、リサイクルされ得る廃棄物の量は減少し、それにより、生産のコストを増加させる。
特許文献1は、テキスタイルバッキング(textile backing)、それに結合した、粉砕された熱硬化性プラスチックフォーム、およびこのフォームにオーバーレイする透明なポリマーフィルム(これは、好ましくは、熱硬化性である)を有するラミネートを開示する。この特許文献はさらに、透明なポリマーフィルムが適切なラテックス(例えば、抗酸化剤又はUV安定剤を含むカルボキシル化されたSBR)から調製され得ること、および他の架橋可能なラテックスの例は、ポリマーの3パーセントが複合無水マレイン酸の形態で存在する生ゴム、ブタジエン−スチレンコポリマー、および3パーセント〜5パーセントのカルボキシル化された基を含むブタジエン−アクリロニトリルポリマーであることを開示する。
米国特許Re.28,682
本考案の目的は、コーティングプロセスを介して容易に生産され得るバッキングラミネートを有する複合ファブリックを提供することであり、依然として、複合ファブリックに対して良好な手触り特性を与えるのに十分な厚さを提供することである。
本考案の別の目的は、コーティングプロセスを介して生産され、従来のPUでコーティングされたファブリックのものよりも大きい厚みを提供するバッキングラミネートを有する複合ファブリックを提供することである。
本考案のなお別の目的は、環境に安全であり、リサイクルが容易な複合ファブリックを提供することである。
本考案の1つの局面に従って、複合ファブリックは、ファブリック層およびバッキングラミネートを含み、該バッキングラミネートは、ファブリック層に適用されるバインダー層、バインダー層に適用される中間層、および中間層に適用される表面修飾層を含み、バインダー層は、アクリルモノマーでグラフトされたスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、およびグラフトされたスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーでブレンドしたポリウレタンを含むバインダー組成物を有し、そして該中間層は、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーおよび溶媒を含む組成物を有する。
本考案の別の局面に従って、複合ファブリックを作製するための方法は、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーをアクリルモノマーでグラフトし、そしてグラフトされたスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーとポリウレタンをブレンドすることによって調製されるバインダー層を有するファブリック層を提供する工程;中間層をバインダー層に適用する工程(ここで、中間層はスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーおよび溶媒を含む組成物から形成される);ならびに表面修飾層を中間層に適用する工程を包含する。
バインダー層を形成するために使用される組成物は、ポリウレタン、およびアクリルモノマーでグラフトされたスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロックコポリマーから調製される。ポリウレタンは、ファブリック層に対する接着を増加し、バッキングラミネートの引張強度を改善する目的のためにSBSブロックコポリマーに添加される。表面修飾層におけるポリウレタンの使用は、耐引掻性および乾燥を強化し得る。中間層の主な目的は、バインダー層および表面修飾層と比較したそのより低いコストに起因して、バッキングラミネートに厚みを提供することである。SBSブロックコポリマーは、SBSコポリマーのポリウレタンへの適合性を改善するために、アクリルモノマーでグラフトされる。
本考案の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して、以下の本考案の好ましい実施形態の詳細な説明において明らかとなる。
図1において示されるように、本考案を具体化する複合ファブリック1は、ファブリック層10、およびバッキングラミネート20(これは、バインダー層21、中間層22および表面修飾層23からなる)を含む。複合ファブリック1は、ラゲージ、バッグ、テント、カーテン、ガーメントまたは他の適切な製品を製造するために使用され得る。ファブリック層10は、最終製品の所望の機能および外観と調和させるために適切な織物および色を有する任意の織物材料であり得る。
複合ファブリック1が製品に形成される場合、ファブリック層10は、製品の外側で露出されて表面層のように機能し得、そしてバッキングラミネート20は、複合ファブリック1の手触り特性を調節するため、そして防水効果を提供するために、ファブリック層10のテクスチャーを強化および安定化するために、製品の内側に配置され得る。あるいは、バッキングラミネート20は、表面層として機能するように製品の外側に配置されてもよいし、異なる色を提供されてもよいし、そして/または、最終製品のデザインと調和するパターンをエンボス加工されてもよい。
バインダー層21は、ファブリック層10と中間層22との間に良好な結合を提供するために主に機能し、そして、アクリルモノマーでグラフトされかつポリウレタンでブレンドしたスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーを含むバインダー組成物から形成される。スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーは、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーとポリウレタンの適合性を改善するために、ポリウレタンでブレンドされる前にアクリルモノマーでグラフトされる。
スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーをグラフトするのに適したアクリルモノマーの例としては、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)、アクリル酸(AA)、ブチルアクリレート(BA)、エチルアクリレート(EA)、メチルアクリレート(MA)、2−エチルヘキシルメタクリレート(2−EHMA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(2−HPMA)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、エチルメタクリレート(EMA)、グリシジルメタクリレート(GMA)、イソブチルメタクリレート(IBMA)、ラウリルメタクリレート(LMA)、メタクリル酸(MAA)、メチルメタクリレート(MMA)、n−ブチルメタクリレート(NBMA)、ステアリルメタクリレート(SMA)、上記モノマーの2つ以上の組み合わせ、および他の適切なアクリルモノマーが挙げられる。
スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーを溶解するための適切な溶媒の例は、トルエン、n−ブチルアセテートおよびシクロヘキサンである。本考案におけるスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーおよびアクリルモノマーの反応生成物は、8,000CPS〜10,000CPSの粘度を有する。この粘度は、ファブリック層の仕様(specification)に従って調整され得る。スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーとアクリルモノマーのグラフト重合の間に、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーを反応混合物に直接添加することによって、固形分および粘度は、増加し得る。従来使用される複合ファブリックの仕様に従って、粘度は一般に、15,000cps〜30,000cpsに調整される。なお、本明細書中において、粘度は、Brookfield粘度計(Brookfield viscometer)によって測定することができる。
ポリウレタンは、適切な溶媒(例えば、メチルエチルケトン(MEK))と共にグラフト重合の反応生成物に添加され、ブレンドされる。スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーをグラフトするアクリルモノマーに起因して、ポリウレタンは、グラフトされたスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーとブレンドされ、ほぼ均一な相を形成し得る。
中間層22は、複合ファブリック1に厚みを与えるように機能し、そしてスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーを含む組成物から形成される。該組成物は、溶媒および可塑剤をミキサーに導入し(ここで、これらは、約80℃の温度に加熱される)、次いでそこにスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーを添加することによって調製し、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー溶液を形成し得る。
中間層22についてのスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーの型は、複合ファブリック1の所望の物理的特性(例えば、引張強度、硬度、弾性または跳ね返り特性など)に基づいて選択される。引張強度は、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーの分子量およびスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーに添加される可塑剤の量によって決定される。硬度は、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー中に含まれるスチレン対ブタジエンの割合および可塑剤の量によって決定されるが、跳ね返り特性は、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーに含まれるスチレンおよびブタジエンの割合に依存する。中間層22の引張強度は、複合ファブリック1の引裂(tearing)強度および縫合(stitching)強度に影響する。硬度および跳ね返り特性は、複合ファブリック1の手触り特性を決定する。
スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーについて使用可能な可塑剤は、パラフィン系オイル、ナフテン系オイルまたは任意の他の適切な可塑剤であり得る。スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーに添加され得る可塑剤の量は、最終製品によって必要とされる硬度に基づいて調整され得る。可塑剤の量は、過剰すぎて移動問題を生じ得るレベル未満となるように制御されなければならないことに注意すべきである。
一般に、中間層22の固形分が高ければ、複合ファブリック1を製造するためのコストは低い。なぜなら、オーブンによって蒸発されるべき溶媒の量が少ないからである。しかし、中間層22の他の処理パラメーター(例えば、速度、バッキングラミネート20の平坦さ(flatness)および溶媒の蒸発速度)を考慮する必要がある。中間層22の組成物の粘度は一般に、ファブリック層10の仕様に従って制御され、好ましくは、18,000cps〜20,000cpsに維持される。
中間層22についてのスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーは、発泡されてもよいし発泡されなくてもよい。スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーが発泡剤を使用して発泡されると、中間層22は、厚みおよび柔らかさが増加し、かさ高さおよび柔らかさの感覚を提供する。スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーの軟化点および熱耐性は低いので、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーを発泡するための発泡剤は量が少なくなければならない。発泡剤が発泡ガスを放出する温度は、好ましくは120℃〜130℃である。発泡剤の量は、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーから生じるフォームについての所望の密度によって決定される。好ましい発泡剤の量は、3phr〜5phrである。
スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーは、2段階温度制御系を有するオーブン中で発泡され得る。第1の段階において、温度は、発泡剤の分解の前に溶媒を蒸発させるために十分なレベルまで上昇させなければならない。第2の段階において、中間層22は、特定の期間、分解温度に維持しなければならない。発泡剤が不均一に分散されるのを防ぐために、発泡剤は、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーへの添加の前に溶媒と混合され得る。
表面修飾層23の機能は、バッキングラミネート20に肌触りの良好な感覚を提供すること、ならびにバッキングラミネート20の耐引掻性および着色能力を強化することである。表面修飾層23は、アクリルモノマーでグラフトされたスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーおよびグラフトされたスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーとブレンドされたポリウレタンを含む組成物、潤滑剤、ならびにつや消し剤から形成される。
潤滑剤は、表面修飾層23の表面の滑らかさおよび耐引掻性を増加させる目的で使用される。潤滑剤の例としては、シリコンベース、ポリエチレンベース、またはテフロン(R)ベース材料が挙げられる。つや消し剤は、光沢を除去し、乾燥を提供するために使用される。つや消し剤は、変性された二酸化珪素またはナノ粒子状炭酸カルシウムであり得る。
表面修飾層23の組成物を調製する際に、潤滑剤は最初に溶媒と混合してペーストを形成し、その後、グラフトされたスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、ポリウレタンおよびつや消し剤がペーストに添加される。得られた混合物の粘度は、溶媒を添加することによって調整される。粘度は、好ましくは、4,000cps〜8,000cpsである。表面修飾層23について使用されるポリウレタンは、高い固形分および低い粘度を有するものから選択される。分子量および耐引掻性はまた、適切なポリウレタンを選択する際に考慮される。
以下、本考案を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本考案がこれら実施例に限定されないことは言うまでもない。
複合ファブリックを形成する際に使用される組成物の例
バインダー層21用のバインダー組成物を、69.4重量部の溶媒、0.2重量部の過酸化ベンゾイル(触媒)および0.2重量部の抗酸化剤の存在下で、15重量部のスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーと15重量部のアクリル酸メチルとを反応させることによって調製した。グラフト重合反応を、約85℃の温度で3.5〜4時間行った。反応生成物は、28%の固形分および8,000〜10,000cpsの粘度を有した。反応が完了した後、20重量部のポリウレタンを、適切な量の溶媒(メチルエチルケトン)と共に反応生成物に添加した。混合した後、バインダー組成物を得た。
中間層22の組成物を調製する際、0〜50重量部の可塑剤(パラフィン系オイルまたはナフテン系オイル)および100〜150重量部の溶媒(トルエン、n−ブチルアセテートまたはシクロヘキサン)を最初にミキサーに導入した。次いで、100重量部のスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーを添加して、80℃の温度で、ミキサー中の内容物と混合した。1時間混合した後、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーを完全に溶解して溶液を形成した。
表面修飾層23の組成物を調製する際、10重量部のスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーを、溶媒混合物(3:1の割合のメチルエチルケトンおよびトルエン)の存在下で、20重量部のアクリル酸メチルとグラフト重合した。次いで、2重量部の潤滑剤を溶媒混合物に添加してペーストを形成した。ペーストに、グラフト重合によって得られた50重量部のグラフトされたコポリマー、100重量部のポリウレタン、および4重量部のつや消し剤(変性された二酸化珪素またはナノ炭酸カルシウム)を添加した。得られた組成物の粘度を、添加した溶媒の量を制御することによって、4,000cps〜8,000cpsに調整した。なお、この粘度は、Brookfield粘度計によって測定したものである。
複合ファブリックを作製するための装置
複合ファブリック1は、ナイフコーティングおよびグラビアコーティングプロセスを介して作製され得る。二種類のナイフコーティングプロセス(すなわち、ギャップコーティングおよびサスペンジョンコーティング)が存在する。複合ファブリック1を製造する際、グラビア、ギャップおよびサスペンジョンコーティングプロセスは、所望の製品の品質に依存して、単独で使用されても良いし、組み合わせて使用されてもよい。例えば、製品が水圧に対する耐性を要求し、手触り特性を要求しない場合、ギャップコーティングプロセスを使用することなく、サスペンジョンコーティングプロセス単独で使用され得る。このように、所望の品質が、生産費用を浪費せずに、達成され得る。複合ファブリック1の製造に使用可能な異なる装置を、図2〜4に示す。
図2に示されるように、ファブリックロール31、支持ローラー32、オーブン33、巻き取り(take-up)ローラー34、およびコーティングナイフ35を含むギャップコーティングのための装置が示される。番号36は、コーティング材料を示す。
図3に示されるように、ファブリックロール41、平面プレート支持体42、オーブン43、巻き取りローラー44、コーティングナイフ45を含むサスペンジョンコーティングのための装置が示される。番号46は、コーティング材料を示す。
図4に示されるように、ファブリックロール51、ガイドローラー52、彫刻プリントパターンを有するコーティングローラー53、ゴムローラー54、表面処理剤55、オーブン56、および巻き取りローラー57を含むグラビアコーティングのための装置が示される。
サスペンジョンコーティングにおいて、消費されるコーティング材料の量は、コーティングナイフ45の厚さ、形状および角度、ならびにファブリックロール41から送られるファブリックシートの張力(tension)によって決定される。コーティング溶液は、強制送り様式(forced feeding manner)を介してコーティングされるので、コーティング溶液は、ファブリックの構造に容易に浸透し得、従って、ファブリックの効果的な補強および安定化が達成され得る。サスペンジョンコーティングは、複合ファブリック1のバインダー層21をコーティングするのに適している。
ギャップコーティングは、複合ファブリック1の中間層22を形成するのに適している。中間層22の厚さは、コーティングナイフ35とファブリックロール31から送られるファブリックの表面との間の距離を調節することによって制御され得る。
グラビアコーティングは、コーティングプロセスの間のコーティング表面上のかき傷の形成を妨げ得、従って、飾り付けおよび装飾目的のために使用され得る。消費されるコーティング材料の量は、コーティングローラー53の彫刻パターンに依存する。
複合ファブリックの作製
図5を参照すると、複合ファブリック1を製造するための本考案の好ましい実施形態が示される。作製プロセスについての全体の装置は、図2〜4において示される装置を組み合わせることによって提供され、3つのセクション、すなわち、サスペンジョンコーティングセクション61、ギャップコーティングセクション62およびグラビアコーティングセクション63を含む。サスペンジョンコーティングセクション61において、本考案に従うバインダー組成物を有するコーティングを、バインダー層21を提供するために、コーティングナイフ45を使用するサスペンジョンコーティングプロセスを介して、ファブリック71に適用する。ギャップコーティングセクション62において、本考案に従う中間層22の組成物を含むコーティングを、コーティングナイフ35を使用するギャップコーティングプロセスを介して、バインダー層21に適用する。グラビアコーティングセクションにおいて、本考案に従う表面修飾層23の組成物を有するコーティングを、コーティングローラー53を使用するグラビアコーティングプロセスを介して、中間層22に適用する。
バインダー層21のバインダー組成物の量は、プロセスにおいて使用されるファブリックの型および仕様に依存して変化する。ファブリック層10におけるデニール数が大きいほど、消費されるコーティング組成物の量はより大きくなる。
中間層22は主に、複合ファブリック1の厚みを決定する。オーブン33の異なる段階における温度を、気泡の形成および残留溶媒の問題を防ぐために、中間層22の厚みに依存して調整する。
表面修飾層23は、表面修飾層23を形成する際に被る高い費用および外観の要求に起因して、小さい厚みおよび均一なコーティングを要求する。一般に、乾燥の速度は、15g/m2〜20g/m2に維持される。表面修飾層23は、最終製品の外側に露出されるべきであり、コーティングの量は増加すべきである。一方、表面修飾層23の組成物は、着色剤を添加してもよいし、添加しなくても良い。ファブリック71を送る速度は、乾燥時間を決定及び計算するため、そしてこのプロセスについて最も適切なパラメーターを提供するために、オーブン43、33、56の温度および長さならびに溶媒の沸点を調和しなければならない。本考案に従って生産された複合ファブリック1のバッキングラミネート20は、約0.03mm〜0.13mmの厚み、または製品によって要求される品質に従う厚みを有し得る。
上記のように、バッキングラミネート20は、三層ラミネートである。しかし、本考案はそれに限定されない。高い耐引掻性を有するバッキングラミネートが所望される場合には、表面修飾層23を適用する代わりに、ポリウレタンコーティングが、中間層22とポリウレタンコーティングとの間に配置されたさらなるバインダー層21を有する中間層22上に提供され得る。
図1は、本考案を具体化する複合ファブリックを示す。 図2は、本考案の複合ファブリックを製造する際に使用可能な装置の概略図である。 図3は、本考案の複合ファブリックを製造する際に使用可能な別の装置の概略図である。 図4は、本考案の複合ファブリックを製造する際に使用可能なさらに別の装置の概略図である。 図5は、本考案を具体化する製造プロセスを示す。

Claims (2)

  1. ファブリック層(10)およびバッキングラミネート(20)を含む複合ファブリック(1)であって、前記バッキングラミネート(20)は、前記ファブリック層(10)に適用されたバインダー層(21)、前記バインダー層(21)に適用された中間層(22)、および前記中間層(22)に適用された表面修飾層(23)を含み、
    前記バインダー層(21)は、アクリルモノマーでグラフトされたスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、およびグラフトされた前記スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーでブレンドされたポリウレタンを含むバインダー組成物を有し、
    前記中間層(22)は、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーおよび溶媒を含む組成物を有する、複合ファブリック。
  2. 前記表面修飾層(23)は、アクリルモノマーでグラフトされたスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、グラフトされた前記スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーでブレンドされたポリウレタン、潤滑剤およびつや消し剤(matting agent)を含む、請求項1に記載の複合ファブリック。


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