JP3101153U - 杭抜き装置 - Google Patents

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株式会社狩野重機
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Abstract

【課題】 水を利用せず、杭の破壊も伴うことなく、冬期でも静かに杭の撤去作業が行えるようにする。また杭の再利用を図る。
【解決手段】
リーダー14に昇降動可能な回転駆動装置16を設け、この回転駆動装置に、杭の外径よりも大きな内径をもつ内部中空の掘削ケーシング20を配する。この掘削ケーシングは、先端に掘削爪21を備え、回転に伴って掘削土砂を上方に移動させる螺旋状の翼板24を外周面に備えるとともに、先端近傍の内周に、回転に伴って掘削土砂を下方に移動させる翼板(30)を備える。この装置は、杭の外周の土砂を掘り下げることにより、杭と土砂との摩擦抵抗を減らして杭を抜き取るものである。水を使わないので冬期でも作業が出来、また水を含む泥土の排出作業の必要もない。杭を破壊しないため騒音(金属破砕音)もない。
【選択図】 図1

Description

本考案は、土木または建築用として地面に打ち込まれた杭の撤去作業を行うための装置に関する。
土木工事や大型建造物の建築工事では長尺の鋼管杭などを地面に打ち込んで、地盤全体を補強する工事が行われる。一方、建築物を取り壊して更地にする必要が生じた場合、従来は長尺の杭を使用するケースが少なかったという事情もあって、地面に打ち込まれた杭の撤去についてはとくに問題にされなかったという経緯がある。
このため、地中に残っている長尺の杭の撤去については、従来それほど多くの提案はみられない。しかし、特開2002−121989号には、撤去すべき対象杭を破砕しつつ深度の深い部分に残存する杭を撤去する技術が示されている。
長尺の鋼管杭のように、地盤を強固にする目的で深度深く打ち込まれた杭は、現在においてもその多くが当初の目的に添って機能しており、現在のところは、撤去するべき杭の方が数としては少ない。しかしながら、土地の再利用にみられるように、土中に打ち込まれている杭を撤去すべき必要性は近年徐々に増加する傾向にある。大規模な建築物を構築するような場合には、古い杭を新型の杭に交換するなどの必要があるからである。
従来、このような必要がある場合には、古い杭を抜き取るため、杭の外周部に水圧をかけて土砂を排除し、杭の周囲の地盤を緩めることによって杭の撤去を行う方法も採られている。
特開2002−121989
しかしながら、水圧利用によって杭の外周部の地盤を緩める工法は、杭の撤去後に残される大量の泥土の処分を要するなど、工事コストを無用に高騰させるだけでなく、泥土の搬出や埋め戻しのための新土の搬入のためにトラックが頻繁に通行するなど、近隣住人に多大の迷惑をかけるケースもある。また、水を使用する工法では、北海道や東北地域のように冬期のマイナス気温が泥土を凍結させる等の事情があるため、工事期間が制限されやすい不利がある。
また特開2002−121989に示されるように、杭の上部を破砕しつつ残余の杭を抜き取る工法では、杭の破砕に際しての騒音が懸念され、住宅密集地における工法としては好ましくない。また杭の再利用もできない。
そこで本考案の目的は、水を利用せず、また杭の破壊も伴うことなく、冬期でも静かに杭の撤去作業が行えるようにする点にある。
前記目的を達成するため、請求項1に係る杭抜き装置は、リーダーに昇降動可能な回転駆動装置を設け、この回転駆動装置に、杭の外径よりも大きな内径をもつ内部中空の掘削ケーシングを配する。この掘削ケーシングは、先端に掘削爪を備え、回転に伴って掘削土砂を上方に移動させる螺旋状の翼板を外周面に備えるとともに、先端近傍の内周に、回転に伴って掘削土砂を下方に移動させる翼板を備える。
この請求項1に係る杭抜き装置は、杭の外周の土砂を掘り下げることにより、杭と土砂との摩擦抵抗を減らして杭を抜き取るものである。水を使わないので冬期でも作業が出来、また水を含む泥土の排出作業の必要もない。杭を破壊しないため騒音(金属破砕音)もない。また、杭の再利用も可能となる。
杭の外周の土砂を掘り下げるため、請求項1に係る杭抜き装置は、内部中空の掘削ケーシングの先端に掘削爪を設けるとともに、外周部に、回転に伴って掘削土砂を上方に移動させる略螺旋形の翼板を設けてある。掘削爪は硬い地盤を掘り進むために必要であり、外周部の螺旋翼板は、掘り進むときの土砂の抵抗を少なくするため掘削した土砂を順次上方に移動させるために必要である。
しかしながら、掘削ケーシングの外周部に排土用の螺旋翼板を設けるだけでは、地盤に深度深く突き刺さっている杭の外周を掘り下げることは困難である。何故なら、掘削ケーシングの内径は杭の外径よりも若干大きいために、掘削ケーシングの内周と杭の外周との間の隙間に多量の土砂が入り込む。隙間に入り込んだ土砂は、徐々に掘削ケーシングの回転に対する摩擦力を増大させる結果、ある程度の深度まで掘り進むと掘削ケーシングを円滑に回転させることが困難となるからである。
そこで請求項1記載の装置は、先端近傍の内周に、回転に伴って掘削土砂を下方に移動させる翼板を設けた。この翼板は、掘削ケーシングと杭の間に入り込む土砂を、掘削ケーシングの正回転(掘り下げ方向の回転)によって下方に向かわせて土砂が掘削ケーシングの先端部から内奥に入り込むことを防止する。
この排土用の翼板は、掘削ケーシングの外周に設ける螺旋状の翼板の回転方向とは逆向き角度とするのは機能上当然である。掘削ケーシングの回転に伴って土砂を下方に移動させるものだからである。掘削ケーシングの先端部に入り込もうとする土砂を下方に移動させて掘削ケーシングの外周部の翼板によって上方へ移動させればよいから、掘削ケーシングの内周に設ける翼板は先端部分にのみ設ければ十分な機能を営む。特別の事情がない限り内周の奥部(上方位置)まで設ける必要はない。
また、掘削ケーシングの内周に設ける翼板は、全体形状が少なくとも一回転以上の螺旋形にすることが好ましいが、土砂を下方に移動させる際の移動距離が短いため、必ずしも螺旋形にする必要はない。掘削ケーシングの外周部の翼板とは逆向きの角度をもった非螺旋形の板材を適宜数(例えば2〜3個)設けても、螺旋翼板と同じ排土作用を実現できるからである。翼板は必ずしも連続的に成形された部材を用いる必要はない。隙間に入り込む僅かな土砂を下方に移動させて排土出来ればよいからである。
請求項2に係る杭抜き装置は、掘削ケーシングを、回転駆動装置に取り付けたジョイントを介して増設可能に取り付けるものである。この場合は、最上段の掘削ケーシングの上端部がジョイントによって支持され、下端部が次段の掘削ケーシングの上端部と連結される構造となる。回転力は回転駆動装置に取り付けたジョイントを介して与えられる。掘削ケーシングを増設できるので、杭が長尺であっても必要に応じて掘削ケーシングを継ぎ足すことにより、深い深度まで杭の外周を掘り下げることが出来る。掘削爪や土砂を下方移動させる排土用の翼板は最下端部の掘削ケーシングに設けておけば十分である。
本考案に係る杭抜き装置によれば、冬期でも静かに杭抜き作業を行うことが出来、水を含む大量の泥土を産業廃棄物として処理する必要もない。本考案に係る杭抜き装置でも掘削時には土砂が出るが、水を含まないため、杭抜き後に杭穴に埋め戻すことが出来る。
図1は、本考案に係る杭抜き装置の実施形態を例示するものである。この杭抜き装置は、移動車両10のステー11を介して立設させたリーダー14と、リーダー14に昇降動可能に設けた回転駆動装置16を備え、回転駆動装置16に取り付けたジョイント18を介して掘削ケーシング20を取り付けてなる。Kは杭である。
掘削ケーシング20は、先端部に掘削爪21を備え、外周面に螺旋状の翼板24を備える。掘削爪21は、例えば杭打ちやボーリング等の際に土砂掘削用として用いられる爪と同様形式の構造のものを使用することが出来る。掘削ケーシング20の外周面に設ける螺旋状の翼板24は、無振動杭として知られる螺旋翼板と同じように、好ましくは掘削ケーシング20の先端部から最上部のジョイント18の近傍まで連続するように設けておく。
但し、本実施形態に係る螺旋状の翼板24は、従来公知である鋼管杭の外周に設ける螺旋翼板とは異なり、大きな幅寸法(外周面からの水平突出量)を必要としない。回転駆動装置16の回転によって掘削した土砂を上方に移動させることが出来る程度の面積(平面から見たときの幅寸法)があれば良く、無振動杭の外周に配する螺旋翼板のように土砂との摩擦抵抗を増大させる目的で設けられる大きな平面面積(中心軸からの半径/外周からの突出量)を必要としないからである。尚、移動車両10にステー11を介してリーダー14を立設すること、およびリーダー14に昇降動可能な回転駆動装置16を設けることは、杭打ち用の装置として従来公知である。
図2、図3に示すように、本考案に係る掘削ケーシング20は、その内周面の先端近傍に土砂の侵入を防止する排土用の翼板30を備える。翼板30は、掘削ケーシング20の正回転によって土砂を下方に向けて強制的に押し出すものである。従って同一側面から見た場合は、掘削ケーシング20の外周面に設ける翼板24とは逆向きの傾斜をもつ。翼板24は、掘削ケーシング20の正回転によって土砂を上方に向けて移動させるものだからである。
翼板30は、先端部から侵入しようとする若干の量の土砂を、掘削ケーシング20の正回転によって下方に押し出して排除する機能を営むことが出来ればよい。本実施形態では掘削ケーシング20の内周面に沿って設けるため、底面からみた形状(図3)は略円形となり、側面から見た形状(図2)は螺旋形に似た形状を呈するが、必ずしも連続的な螺旋形とする必要はない。略U字状または略C字状の板材(カッター)を異なる傾斜角度をもって対向配置しても螺旋翼板と同じ作用効果を果たすからである。図3に示すように、隙間Sがあっても良い。この隙間Sは、複数(例えば二つ)の板材(30)を異なる傾斜角度をもって配置したときに生ずる不連続箇所である。
不連続箇所(S)があっても、掘削ケーシング20の内側に入り込もうとする若干量の土砂は、その殆どが侵入を阻止する翼板30によって下方に強制排除される。このため、深度が深くなっても掘削ケーシング20の内側に入り込む土砂は微量であり、掘削ケーシング20の回転の妨げとなるような摩擦抵抗を生じさせない。
翼板30を、連続的な螺旋形ではなく、複数の板材(30)をもって螺旋形類似の配置構造とするのは、主として翼板30の取り付け作業を容易にするためである。一回転以上の回転数をもつ螺旋形部材は、外周縁部の寸法誤差もあるし、たとえ寸法誤差がなくても、僅かな隙間しかない掘削ケーシング20の内周に溶接等の手段により固定することは容易ではないからである。これに対し、結果的に螺旋形類似となるような傾斜角度をもって、略半円形(略U字状、略C字状でも同じ)の部材を固定するのは、はるかに容易である。不連続箇所(S)があっても構わないので、固定作業(例えば溶接作業)上の困難性が緩和されるからである。
翼板30は、掘削ケーシング20の正回転によって若干量の土砂を僅かな距離だけ下方に向けて強制的に押し出すことが出来ればよい。従って、大量土砂を上方に向けて相当距離を移動させる外周面の翼板24とは、垂直方向に対する傾斜角度が異なっていても良い。つまり側面から見た場合に、翼板24と翼板30の傾斜角度は必ずしも同一である必要はない。翼板30は、若干量の土砂を僅かな距離だけ移動させることが出来ればよいから、側面から見た場合の傾斜角度は、翼板30よりも緩やかな傾斜角度であって構わない。翼板24に較べて緩やかな傾斜角度とすれば、翼板30の取り付けの作業性はより容易となる。急傾斜にすると、上端部と下端部の離隔距離が大きくなるため固定作業がしにくくなるが、緩やかな傾斜とすれば、固定すべき作業点の上下寸法をより小さくすることが出来るからである。
従って、かかる杭抜き装置によれば、掘削ケーシング20の正回転によって、撤去を要する杭の外周の土砂を深度深くまで略垂直に掘り進むことが出来る。杭の外周にある土砂を翼板24が地上まで搬送して排出する一方、掘削ケーシング20と杭の外周の隙間に侵入する土砂を翼板30が排除するため、掘削ケーシング20の外周面も内周面も土砂による摩擦抵抗を僅かしか受けないからである。またこれによって、撤去すべき杭の外周にあった土砂が排除され、杭の外周にあった土砂の摩擦抵抗がなくなるため、撤去すべき杭がどのように長尺であっても外周土砂の掘削後は杭を容易に引き抜くことが出来る。
掘削に際して水を使用しないため、翼板24によって地面上に上昇搬送された土砂は、杭の撤去後に、杭穴に埋め戻すことが出来る。産業廃棄物として扱われる泥土の処理のための余分な作業負担を必要としない。掘削のために水を利用しないので北海道や東北地方のような寒冷地における冬期作業も可能である。また、杭の破壊をしないため、金属がこすれあうような不快な騒音も発生させない。このため、例えば住宅地やオフィス街における作業時間の制約も少なくなり、撤去作業の時間短縮や日程の効率化を図ることが出来る。
本実施形に係る掘削ケーシング20は、移動車両10を用いるため、掘削ポイントを容易に移動調整することができる。また、リーダー14の上下寸法やジョイント18に連結する増設ケーシングによって、掘削ケーシング20自身の上下量を自由に可変調整することが出来る。撤去作業においては、必ずしも杭の最下端部(先端)まで掘り下げる必要がない場合もある。その場合には、掘削すべき深度も、杭の長さ、太さや、翼板面積等に応じて適宜調整すればよい。
本考案に係る掘削ケーシング20は、前記実施形態のものに限定されない。例えば、掘削ケーシング20の外周に設ける略螺旋形の翼板24は、連続的な板である必要はない。非連続的なもの、つまり適宜箇所に分断された箇所を備える断続的な翼板(24)でも土砂を上方に向かわせる作用を営むからである。また翼板(24)に適宜形状の孔部があっても良い。翼板24は、幅や肉厚が一定である必要はない。掘削ケーシングの正回転によって土砂を上方移動できる機能があれば十分である。
同様に、翼板30の幅寸法は一定である必要はない。平面または底面からみたときに適宜形状を呈しても構わない。掘削ケーシング20の正回転によって土砂を下方に強制排除できれば良いからである。なお、翼板30の差し渡し径は杭の外周よりも若干大きく設定することは当然である。密着させる必要はないが、隙間は出来るだけ小さくすることが望まれる。例えば1〜2cm程度の隙間であれば、排除しきれなかった土砂があっても、掘削ケーシング20の回転を止めるような大きな摩擦抵抗にはならない。
翼板30を分割して設ける場合は、部材の分割数は特に限定されない。しかしながら、掘削ケーシング20の内周面に取り付ける作業性の容易さで云えば、2〜3個程度としておくことが好ましい。
掘削ケーシング20を増設して長さ調整を行うためのジョイント18は必ずしも設ける必要はない。撤去対象杭が長尺でなければ、ある程度の長さをもつ一本の掘削ケーシングだけで杭の最下端部まで掘削できるからである。
実施形態に係る杭抜き装置の全体構造を例示する図である。 実施形態に係る掘削ケーシングの内周先端の翼板を側面から例示する図である。 実施形態に係る掘削ケーシングの内周先端の翼板を底面から例示する図である。
符号の説明
10 移動車両
11 ステー
14 リーダー
16 回転駆動装置
18 ジョイント
20 掘削ケーシング
21 掘削爪
24、30 翼板
S 隙間

Claims (2)

  1. リーダーに昇降動可能な回転駆動装置を設け、この回転駆動装置に、杭の外径よりも大きな内径をもつ内部中空の掘削ケーシングを配する構造であって、
    前記掘削ケーシングは、
    先端に配した掘削爪と、
    回転に伴って掘削土砂を上方に移動させる略螺旋形の翼板を外周面に備えるとともに、
    先端近傍の内周に、回転に伴って掘削土砂を下方に移動させる翼板を備えることを特徴とする杭抜き装置。
  2. 掘削ケーシングは、回転駆動装置に取り付けたジョイントを介して増設可能に取り付けることを特徴とする請求項1記載の杭抜き装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014084611A (ja) * 2012-10-23 2014-05-12 Taiyo Kiso Kogyo Kk 埋設杭の引き抜き装置

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