JP3100438B2 - フェナントレン誘導体およびそれを用いた感光体 - Google Patents

フェナントレン誘導体およびそれを用いた感光体

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JP3100438B2 JP03314631A JP31463191A JP3100438B2 JP 3100438 B2 JP3100438 B2 JP 3100438B2 JP 03314631 A JP03314631 A JP 03314631A JP 31463191 A JP31463191 A JP 31463191A JP 3100438 B2 JP3100438 B2 JP 3100438B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、静電式複写機やレーザ
ービームプリンタ等に使用される感光体における、電荷
輸送材料として好適なフェナントレン誘導体と、それを
用いた感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、複写機等の画像形成装置における
感光体として、加工性および経済性に優れ、機能設計の
自由度が大きい有機感光体が広く使用されている。ま
た、感光体を用いて複写画像を形成する場合には、カー
ルソンプロセスが広く利用されている。カールソンプロ
セスは、コロナ放電により感光体を均一に帯電させる帯
電工程と、帯電した感光体に原稿像を露光し、原稿像に
対応した静電潜像を形成する露光工程と、静電潜像をト
ナーを含有する現像剤で現像し、トナー像を形成する現
像工程と、トナー像を紙等に転写する転写工程と、転写
されたトナー像を定着させる定着工程と、転写工程後、
感光体上に残留するトナーを除去するクリーニング工程
とを含んでいる。このカールソンプロセスにおいて、高
品質の画像を形成するには、感光体が帯電特性および感
光特性に優れており、かつ露光後の残留電位が低いこと
が要求される。
【0003】従来より、セレンや硫化カドミウム等の無
機光導電体が感光体材料として公知であるが、これらは
毒性があり、しかも生産コストが高いという欠点があ
る。そこで、これらの無機物質に代えて、種々の有機物
質を用いた、いわゆる有機感光体が提案されている。か
かる有機感光体は、露光により電荷を発生する電荷発生
材料と、発生した電荷を輸送する機能を有する電荷輸送
材料とからなる感光層を有する。
【0004】かかる有機感光体に望まれる各種の条件を
満足させるためには、これらの電荷発生材料と電荷輸送
材料との選択を適切に行う必要がある。電荷輸送材料と
しては、カルバゾール系化合物、オキサジアゾール系化
合物、ピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、スチ
ルベン系化合物、フェニレンジアミン系化合物等の種々
の有機化合物が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の電荷輸送材料は、何れも、電荷輸送能が不充分であ
ったり、光安定性が劣っていたり、或いは、感光層を構
成する結着樹脂との相溶性が悪く、繰り返し使用すると
結晶化して、感光層から析出したりするという問題があ
り、従って、この電荷輸送材料を使用した感光体は、感
度や耐久性が充分でないという欠点があった。
【0006】本発明の目的は、電荷輸送能、光安定性に
優れ、電荷輸送材料として好適な化合物と、それを用い
た高感度、かつ耐久性に優れた感光体とを提供すること
である。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用】上記課題を解
決するための、本発明のフェナントレン誘導体は、一般
式(I) :
【0008】
【化2】
【0009】[式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 は同一ま
たは異なってアルキル基、アリール基または複素環基を
示し、R5 ,R6 は同一または異なって水素原子、ハロ
ゲン原子、アルキル基またはアリール基を示す。nは1
〜4の整数を示す。]で表されるものである。また、上
記目的を達成するための本発明の感光体は、導電性基体
上に、上記一般式(I) で表されるフェナントレン誘導体
を含む感光層を設けたことを特徴としている。
【0010】上記一般式(I) で表されるフェナントレン
誘導体は、分子内に、消光剤として知られるフェナント
レンの構造を導入したため、高い電荷輸送能を発揮する
とともに、光安定性にも優れている。したがって、上記
フェナントレン誘導体を電荷輸送材料として含有した感
光層は、高い感度を有し、かつ耐久性に優れたものであ
る。
【0011】このように、上記一般式(I) で表されるフ
ェナントレン誘導体が高い感度や光安定性を有する理由
としては、上記フェナントレン部分と、このフェナント
レン部分に結合した基の二重結合や窒素で形成されるπ
電子共役系が、従来の電荷輸送材料におけるそれよりも
大きな拡がりをもっているため、化合物の分子構造の平
面化がより一層促進されて、分子間の重なり合い等によ
る分子間相互作用が強まるからであると推定される。
【0012】アルキル基としては、例えばメチル基、エ
チル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソ
ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の
炭素数1〜6の低級アルキル基があげられる。アリール
基としては、例えばフェニル基、o−ターフェニル基、
ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基があげら
れる。
【0013】複素環基としては、例えばチエニル基、ピ
ロリル基、ピロリジニル基、オキサゾリル基、イソオキ
サゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダ
ゾリル基、2H−イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリ
アゾリル基、テトラゾリル基、ピラニル基、ピリジル
基、ピペリジル基、ピペリジノ基、3−モルホリニル
基、モルホリノ基、チアゾリル基があげられる。また、
芳香族環と縮合した複素環基であってもよい。
【0014】前記一般式(I) で表されるフェナントレン
誘導体の具体的化合物としては、例えば以下に示すもの
があげられる。
【0015】
【化3】
【0016】
【化4】
【0017】
【化5】
【0018】
【化6】
【0019】本発明のフェナントレン誘導体は、種々の
方法で合成することが可能であり、例えば、下記反応式
に示す方法により合成することができる。
【0020】
【化7】
【0021】
【化8】
【0022】[式中、R1 〜R6 およびnは前記と同じ
である。また、R7 はメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基等の低級アルキル基を示し、特にメチル
基、エチル基が好適に使用される。]すなわち、上記反
応式に示すように、式(a) で表される9,10−ジホル
ミルフェナントレン誘導体に、式(b) で表されるメチル
ホスホン酸エステルを、塩基性物質および溶媒の存在下
で反応させて、式(c) で表されるアルデヒド系化合物を
得る。ついで、この化合物(c) に、式(d) で表されるヒ
ドラジン系化合物を、同じく塩基性物質および溶媒の存
在下で反応させることにより、式(I) で表される、本発
明のフェナントレン誘導体が得られる。
【0023】式(b) で表されるメチルホスホン酸エステ
ルは、式(a) で表される9,10−ジホルミルフェナン
トレン誘導体に対して0.5倍モル量で使用され、式
(d) で表されるヒドラジン系化合物は、式(c) で表され
るアルデヒド系化合物に対して等モル量で使用される。
塩基性物質としては、ナトリウムメチラート、ナトリウ
ムエチラート、カリウム−t−ブチラート等のアルコラ
ートの他、酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、ナトリウムアミド、水素化ナトリウム等があ
げられ、その使用量は、式(a) で表される9,10−ジ
ホルミルフェナントレン誘導体または式(c) で表される
アルデヒド系化合物に対して、何れの場合にも、0.5
当量である。
【0024】溶媒としては、メタノール、エタノール、
イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセ
ロソルブ等のアルコール類、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール等のグリコール類、ジオキサン、テト
ラヒドロフラン等のエーテル類、N,N′−ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられ、中で
も、N,N′−ジメチルホルムアミドが好適に使用され
る。溶媒の使用量は、何れの場合も特に限定はなく、反
応に使用される化合物の総量の1〜20重量倍あれば十
分である。
【0025】反応は、加熱することなく、室温で十分に
進行するが、加熱して反応時間を短縮してもよい。反応
温度は、10〜110℃の範囲内であることが好まし
く、20〜70℃の範囲内であることがより好ましい。
反応の進行度合いは、反応液を薄層クロマトグラフィ
ー、高速液体クロマトグラフィー等で分析することによ
り、知ることができる。
【0026】反応終了後は、ろ過あるいは溶媒抽出等の
通常の方法により、目的物を取り出すことができ、必要
に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の方法
で精製することもできる。本発明の感光体は、前記一般
式(I) で表されるフェナントレン誘導体の1種または2
種以上を電荷輸送材料として含有した感光層を備えたも
のである。
【0027】感光層には、いわゆる単層型と積層型とが
あるが、本発明は、このいずれにも適用可能である。単
層型の感光体を得るには、電荷輸送材料である前記一般
式(I) で表される化合物と、電荷発生材料と、結着樹脂
等とを含有する感光層を、塗布等の手段により導電性基
体上に形成すればよい。
【0028】また、積層型の感光体を得るには、導電性
基体上に、蒸着または塗布等の手段により電荷発生材料
を含有する電荷発生層を形成し、この電荷発生層上に、
前記一般式(I) で表される化合物と結着樹脂とを含有す
る電荷輸送層を形成すればよい。また、上記とは逆に、
導電性基体上に電荷輸送層を形成し、次いで電荷発生層
を形成してもよい。さらに、上記積層型感光層において
は、電荷発生層にも、電荷輸送材料を含有させてもよ
い。
【0029】電荷発生材料としては、従来より使用され
ているセレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、アモル
ファスシリコン、ピリリウム塩、アゾ系化合物、ジスア
ゾ系化合物、フタロシアニン系化合物、アンサンスロン
系化合物、ペリレン系化合物、インジゴ系化合物、トリ
フェニルメタン系化合物、スレン系化合物、トルイジン
系化合物、ピラゾリン系化合物、ペリレン系化合物、キ
ナクリドン系化合物、ピロロピロール系化合物等があげ
られる。これらの電荷発生材料は、所望の領域に吸収波
長域を有するように、1種または2種以上を混合して使
用することができる。
【0030】電荷輸送材料である前記一般式(I) で表さ
れるフェナントレン誘導体は、単独で使用する他、従来
公知の他の電荷輸送材料と組み合わせて使用することが
できる。従来公知の電荷輸送材料としては、種々の電子
吸引性化合物、電子供与性化合物を用いることができ
る。電子吸引性化合物としては、例えば、2,6−ジメ
チル−2′,6′−ジtert−ジブチルジフェノキノ
ン等のジフェノキノン誘導体、マロノニトリル、チオピ
ラン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−ト
リニトロチオキサントン、3,4,5,7−テトラニト
ロ−9−フルオレノン、ジニトロベンゼン、ジニトロア
ントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノ
ン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレ
イン酸、ジブロモ無水マレイン酸等が例示される。
【0031】また、電子供与性化合物としては、2,5
−ジ(4−メチルアミノフェニル)、1,3,4−オキ
サジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、9−(4
−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル
系化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系
化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェ
ニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラゾン
化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化
合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合
物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イ
ミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾー
ル系化合物等の含窒素環式化合物、縮合多環式化合物が
例示される。
【0032】これらの電荷輸送材料は、1種または2種
以上混合して用いられる。なお、ポリビニルカルバゾー
ル等の成膜性を有する電荷輸送材料を用いる場合には、
結着樹脂は必ずしも必要ではない。結着樹脂としては、
種々の樹脂を使用することができる。例えばスチレン系
重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ア
クリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合
体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合
体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩
素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アル
キド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネー
ト、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレー
ト樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ
エーテル樹脂等の熱可塑性樹脂や、シリコーン樹脂、エ
ポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹
脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、さらにエポキシアク
リレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化性樹脂等
があげられる。これらの結着樹脂は1種または2種以上
を混合して用いることができる。
【0033】単層型および積層型の各有機感光層には、
増感剤、フルオレン系化合物、酸化防止剤、紫外線吸収
剤などの劣化防止剤、可塑剤等の添加剤を含有させるこ
とができる。また、電荷発生層の感度を向上させるため
に、例えばターフェニル、ハロナフトキノン類、アセナ
フチレン等の公知の増感剤を電荷発生材料と併用しても
よい。
【0034】積層型感光体において、電荷発生層を構成
する電荷発生材料と結着樹脂とは、種々の割合で使用す
ることができるが、結着樹脂100部(重量部、以下同
じ)に対して、電荷発生材料5〜500部、特に10〜
300部の割合で用いるのが好ましい。また、電荷発生
層は、適宜の膜厚を有していてもよいが、0.01〜5
μm、特に0.1〜3μm程度に形成されるのが好まし
い。
【0035】電荷輸送層を構成する前記一般式(I) で表
されるフェナントレン誘導体(電荷輸送材料)と前記結
着樹脂とは、電荷の輸送を阻害しない範囲および結晶化
しない範囲で、種々の割合で使用することができるが、
光照射により電荷発生層で生じた電荷が容易に輸送でき
るように、結着樹脂100部に対して、前記一般式(I)
で表されるフェナントレン誘導体を10〜500部、特
に25〜200部の割合で用いるのが好ましい。また、
積層型の感光層の厚さは、電荷発生層が0.01〜5μ
m程度、特に0.1〜3μm程度に形成されるのがが好
ましく、電荷輸送層が2〜100μm、特に5〜50μ
m程度に形成されるのが好ましい。
【0036】単層型の感光体においては、結着樹脂10
0部に対して電荷発生材料は0.1〜50部、特に0.
5〜30部、前記一般式(I) で表されるフェナントレン
誘導体(電荷輸送材料)は40〜200部、特に50〜
100部であるのが適当である。また、単層型の感光層
の厚さは5〜100μm、特に10〜50μm程度に形
成されるのが好ましい。
【0037】単層型感光体にあっては、導電性基体と感
光層との間に、また、積層型感光体にあっては、導電性
基体と電荷発生層との間や、導電性基体と電荷輸送層と
の間、または電荷発生層と電荷輸送層との間に、感光体
の特性を阻害しない範囲でバリア層が形成されていても
よく、感光体の表面には、保護層が形成されていてもよ
い。
【0038】上記各層が形成される導電性基体として
は、導電性を有する種々の材料を使用することができ、
例えばアルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウ
ム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケ
ル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の
金属単体や、上記金属が蒸着またはラミネートされたプ
ラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化
インジウム等で被覆されたガラス等が例示される。
【0039】導電性基体はシート状、ドラム状等のいず
れであってもよく、基体自体が導電性を有するか、ある
いは基体の表面が導電性を有していればよい。また、導
電性基体は、使用に際して、充分な機械的強度を有する
ものが好ましい。上記各層を、塗布の方法により形成す
る場合には、前記例示の電荷発生材料、電荷輸送材料、
結着樹脂等を、適当な溶剤とともに、公知の方法、例え
ば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシ
ェーカーあるいは超音波分散器等を用いて分散混合して
塗布液を調製し、これを公知の手段により塗布、乾燥す
ればよい。
【0040】塗布液をつくるための溶剤としては、種々
の有機溶剤が使用可能で、例えばメタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、
n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系
炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭
素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジメチル
エーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エ
チレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチ
ルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸
エチル、酢酸メチル等のエステル類、ジメチルホルムア
ルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド等があげられる。これらの溶剤は1種または2種以上
を混合して用いることができる。
【0041】さらに、電荷輸送材料や電荷発生材料の分
散性、染工性等をよくするために界面活性剤、レベリン
グ剤等を使用してもよい。なお、上述したように、電荷
発生層は、前記電荷発生材料を蒸着することにより形成
してもよい。
【0042】
【実施例】以下、実施例および比較例をあげて本発明を
詳細に説明する。実施例1 〈前記式(1) で表されるフェナントレン誘導体の合成〉
前記式(a) 中のR5 ,R6 が共に水素原子である9,1
0−ジホルミルフェナントレン2.34gと、前記式
(b) 中のR1 ,R2 が共にフェニル基、R7 がメチル基
であるメチルホスホン酸エステル2.76gとを、酢酸
ナトリウム0.82gとともに、ベンゼン100ml中に
溶解し、60℃で3時間還流して、前記式(c) 中の
1 ,R2 が共にフェニル基、R5 ,R6 が共に水素原
子であるアルデヒド系化合物2.76g(収率72%)
を得た。
【0043】ついで、このアルデヒド系化合物1.92
gを、前記式(d) 中のR3 ,R4 が共にフェニル基であ
るヒドラジン系化合物0.92g、酢酸ナトリウム0.
41gとともに、ベンゼン100ml中に溶解し、70℃
で5時間還流して、前記式(1) で表されるフェナントレ
ン誘導体2.16g(収率78%)を得た。得られたフ
ェナントレン誘導体の分析結果を以下に示す。
【0044】元素分析結果 C41302 (=550.71)として 計算値(%): C 89.42 H:5.49 N:5.09 実測値(%): C:89.41 H:5.41 N:5.04実施例2 〈前記式(2) で表されるフェナントレン誘導体の合成〉
実施例1で使用したメチルホスホン酸エステルに代え
て、前記式(b) 中のR1 がフェニル基、R2 がメチル基
であるメチルホスホン酸エステル2.14gを用いたこ
と以外は、上記実施例1と同様にして、前記式(c)中の
1 がフェニル基、R2 がメチル基、R5 ,R6 が共に
水素原子であるアルデヒド系化合物2.48g(収率7
7%)を得た。
【0045】ついで、このアルデヒド系化合物1.61
gを、前記式(d) 中のR3 ,R4 が共にエチル基である
ヒドラジン系化合物0.44gとともに、上記実施例1
と同様にして反応させて、前記式(2) で表されるフェナ
ントレン誘導体1.33g(収率68%)を得た。得ら
れたフェナントレン誘導体の分析結果を以下に示す。
【0046】元素分析結果 C28282 (=392.55)として 計算値(%): C:85.67 H:7.19 N:7.14 実測値(%): C:85.73 H:7.09 N:7.14実施例3 〈前記式(3) で表されるフェナントレン誘導体の合成〉
実施例1で使用したメチルホスホン酸エステルに代え
て、前記式(b) 中のR1 ,R2 が共にエチルであるメチ
ルホスホン酸エステル1.80gを用いたこと以外は、
上記実施例1と同様にして、前記式(c) 中のR1 ,R2
が共にエチル基、R5 ,R6 が共に水素原子であるアル
デヒド系化合物2.25g(収率78%)を得た。
【0047】ついで、このアルデヒド系化合物1.44
gを、前記式(d) 中のR3 ,R4 が共にフェニル基であ
るヒドラジン系化合物0.92gとともに、上記実施例
1と同様にして反応させて、前記式(3) で表されるフェ
ナントレン誘導体1.70g(収率79%)を得た。得
られたフェナントレン誘導体の分析結果を以下に示す。
【0048】元素分析結果 C33302 (=454.62)として 計算値(%): C:87.19 H:6.65 N:6.16 実測値(%): C:87.17 H:6.69 N:6.18実施例4 〈前記式(4) で表されるフェナントレン誘導体の合成〉
実施例1で使用したメチルホスホン酸エステルに代え
て、前記式(b) 中のR1 がフェニル基、R2 がβ−ナフ
チル基であるメチルホスホン酸エステル3.26gを用
いたこと以外は、上記実施例1と同様にして、前記式
(c) 中のR1 がフェニル基、R2 がβ−ナフチル基、R
5 ,R6 が共に水素原子であるアルデヒド系化合物3.
52g(収率81%)を得た。
【0049】ついで、このアルデヒド系化合物2.17
gを、前記式(d) 中のR3 がフェニル基、R4 がβ−ナ
フチル基であるヒドラジン系化合物1.17gととも
に、上記実施例1と同様にして反応させて、前記式(4)
で表されるフェナントレン誘導体2.25g(収率69
%)を得た。得られたフェナントレン誘導体の分析結果
を以下に示す。
【0050】元素分析結果 C49342 (=650.83)として 計算値(%): C:90.43 H:5.27 N:4.30 実測値(%): C:90.41 H:5.31 N:4.32実施例5 〈前記式(5) で表されるフェナントレン誘導体の合成〉
実施例1で使用した9,10−ジホルミルフェナントレ
ンに代えて、式(a) 中のR5 がフェニル基、R6 が水素
原子、n=1で、R5の置換位置がフェナントレンの3
位である3−フェニル−9,10−ジホルミルフェナン
トレン3.10gを用いたこと以外は、上記実施例1と
同様にして、前記式(c) 中のR1 ,R2 が共にフェニル
基、R5 がフェニル基、R6 が水素原子であるアルデヒ
ド系化合物3.72g(収率79%)を得た。
【0051】ついで、このアルデヒド系化合物2.35
gを、前記式(d) 中のR3 ,R4 が共にフェニル基であ
るヒドラジン系化合物0.92gとともに、上記実施例
1と同様にして反応させて、前記式(5) で表されるフェ
ナントレン誘導体2.49g(収率75%)を得た。得
られたフェナントレン誘導体の分析結果を以下に示す。
【0052】元素分析結果 C47442 (=636.89)として 計算値(%): C 88.64 H:6.96 N:4.40 実測値(%): C:88.57 H:6.93 N:4.41実施例6 〈前記式(6) で表されるフェナントレン誘導体の合成〉
実施例1で使用した9,10−ジホルミルフェナントレ
ンに代えて、式(a) 中のR5 ,R6 が共にメチル基、n
=1で、R5 ,R6 の置換位置がフェナントレンの3位
と6位である3,6−ジメチル−9,10−ジホルミル
フェナントレン2.62gを用いたこと以外は、上記実
施例1と同様にして、前記式(c) 中のR 1 ,R2 が共に
フェニル基、R5 ,R6 が共にメチル基であるアルデヒ
ド系化合物3.47g(収率82%)を得た。
【0053】ついで、このアルデヒド系化合物2.11
gを、前記式(d) 中のR3 ,R4 が共にフェニル基であ
るヒドラジン系化合物0.92gとともに、上記実施例
1と同様にして反応させて、前記式(6) で表されるフェ
ナントレン誘導体2.18g(収率74%)を得た。得
られたフェナントレン誘導体の分析結果を以下に示す。
【0054】元素分析結果 C43442 (=588.84)として 計算値(%): C 87.71 H:7.53 N:4.76 実測値(%): C:87.69 H:7.55 N:4.74実施例7 〈前記式(7) で表されるフェナントレン誘導体の合成〉
実施例1で作製したアルデヒド系化合物1.92gを、
前記式(d) 中のR3 がフェニル基、R4 がピロール基で
あるヒドラジン系化合物0.87gとともに、上記実施
例1と同様にして反応させて、前記式(7) で表されるフ
ェナントレン誘導体1.96g(収率74%)を得た。
【0055】得られたフェナントレン誘導体の分析結果
を以下に示す。 元素分析結果 C39293 (=539.69)として 計算値(%): C 86.80 H:5.42 N:7.79 実測値(%): C:86.75 H:5.45 N:7.75実施例8 〈前記式(8) で表されるフェナントレン誘導体の合成〉
実施例1で使用した9,10−ジホルミルフェナントレ
ンに代えて、式(a) 中のR5 ,R6 が共に塩素原子、n
=1で、R5 ,R6 の置換位置がフェナントレンの3位
と6位である3,6−ジクロロ−9,10−ジホルミル
フェナントレン2.62gを用いたこと以外は、上記実
施例1と同様にして、前記式(c) 中のR 1 ,R2 が共に
フェニル基、R5 ,R6 が共に塩素原子であるアルデヒ
ド系化合物3.25g(収率71%)を得た。
【0056】ついで、このアルデヒド系化合物2.28
gを、前記式(d) 中のR3 ,R4 が共にフェニル基であ
るヒドラジン系化合物0.92gとともに、上記実施例
1と同様にして反応させて、前記式(8) で表されるフェ
ナントレン誘導体2.26g(収率73%)を得た。得
られたフェナントレン誘導体の分析結果を以下に示す。
【0057】元素分析結果 C41282Cl2(=619.60)として 計算値(%): C 79.48 H:4.55 N:4.52 実測値(%): C:79.53 H:4.58 N:4.49実施例9〜16および比較例1(単層型感光体) 電荷発生材料としての、下記式(A) で表されるペリレン
顔料8部と、実施例1〜8で得たフェナントレン誘導体
100部と、結着樹脂としてのポリカーボネート100
部とを、適当量のメチルクロライド中に分散させて分散
液を作製し、得られた分散液をアルミニウム素管の表面
に浸漬法にて塗工し、100℃で1時間乾燥させて20
μmの感光層を形成し、正帯電型の単層型感光体を得
た。
【0058】
【化9】
【0059】比較例1は、下記式(B) で表されるDEH
100部を電荷輸送材料として使用したこと以外は、上
記実施例9〜16と同様にして、単層型感光体を作製し
た。
【0060】
【化10】
【0061】上記各実施例、比較例の感光体について、
以下の試験を行い、その特性を評価した。初期表面電位の測定 各感光体を、静電式複写試験装置(ジェンテック社製の
商品名ジェンテックシンシア30M)に装填し、その表
面を正に帯電させて、初期表面電位V1s.p.(V)を測
定した。
【0062】半減露光量および残留電位の測定 上記初期表面電位の測定で帯電状態となった感光体を、
静電式複写試験装置の露光光源であるハロゲンランプを
用いて、露光強度10lux の条件で露光して、その表面
電位が1/2となるまでの時間を求め、半減露光量E1/
2 (lux ・sec)を算出した。
【0063】また、上記露光開始後、0.5秒を経過し
た時点の表面電位を測定し、残留電位V1r.p.(V)と
した。光安定性の測定 上記感光体を、白色蛍光灯を用いて、露光強度5000
lux の条件で10分間露光した後、上記と同様にして、
初期表面電位V2s.p.(V)、残留電位V2r.p.(V)
を測定した。そして、前記初期表面電位V1s.p.との差
ΔVs.p.(V)、並びに、残留電位V1r.p.との差ΔV
r.p.(V)を求めた。
【0064】以上の試験結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】これらの試験結果から、各実施例の感光体
は、何れのものも、初期表面電位V1s.p.については比
較例の従来の感光体とほとんど差はないが、半減露光量
E1/2 が小さく、かつ、残留電位V1r.p. が低いことか
ら、感度が著しく改善されていることが判った。また、
上記各実施例の感光体は、ΔVs.p.については比較例の
感光体とほとんど差はないが、ΔVr.p.が比較例に比べ
て小さいことから、何れも、耐久性に優れたものである
ことが判った。
【0067】
【発明の効果】以上のように、この発明のフェナントレ
ン誘導体は、高い電荷輸送能を有し、かつ、光安定性に
優れているため、このフェナントレン誘導体を電荷輸送
材料として用いることにより、高感度で、かつ耐久性に
優れた感光体が得られる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) : 【化1】 [式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4は同一または異なって
    アルキル基、アリール基または複素環基を示し、R5
    6 は同一または異なって水素原子、ハロゲン原子、ア
    ルキル基またはアリール基を示す。nは1〜4の整数を
    示す。]で表されるフェナントレン誘導体。
  2. 【請求項2】導電性基体上に、上記一般式(I) で表され
    るフェナントレン誘導体を含む感光層を設けたことを特
    徴とする感光体。
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