JP3100418B2 - 光受光装置 - Google Patents

光受光装置

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JP3100418B2
JP3100418B2 JP03111826A JP11182691A JP3100418B2 JP 3100418 B2 JP3100418 B2 JP 3100418B2 JP 03111826 A JP03111826 A JP 03111826A JP 11182691 A JP11182691 A JP 11182691A JP 3100418 B2 JP3100418 B2 JP 3100418B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光通信システムにおけ
る超高速用光・電子複合モジュール内に搭載される光受
光装置に係り、更に詳しくはレンズ付裏面入射型受光素
子と光ファイバとから構成される光受光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、遠距離間通信の需要に応じて、通
信システムに求められる情報伝送速度は増加する傾向に
ある。特に、光通信システムには、マルチギガビット級
の伝送速度が必要となりつつあり、この伝送速度を実現
する光通信装置の開発が要求されている。
【0003】このような高速光伝送システムを構築する
ためには、使用される受光素子自身の高速化が不可欠で
ある。受光素子の高速化を実現するには、受光径を小さ
くし、その部分の容量を低減させる必要があるが、表面
入射型の場合は、電極の内径部から光を入射させるため
に、受光径をさほど小さくすることができない。このよ
うな欠点を克服するために、現在では、光結合をし易く
し、かつ受光径を小さくすることの可能な裏面入射型が
広く採用されている。
【0004】図15に、裏面入射型受光素子Dと光ファイ
バFとから構成される従来の光受光装置の一例を示す。
同図において、受光素子Dは、例えばInP基板1、n
型InP層2、光吸収層3およびp型InP層4の積層
構造を有し、その最表面層であるp型InP層4上に電
極5を備えた構成からなっており、この全体がキャリア
C上に搭載されている。更に、キャリアCには、その裏
面側からInP基板1まで貫通する孔Hが形成されてお
り、この孔Hにテーパ先球ファイバ等の光ファイバFの
先端部が挿入固定され、受光素子Dとの間で光結合がな
されている。なお、ここに示した光受光装置はワイヤボ
ンディング実装用であり、電極5上には信号出力用のワ
イヤWが接合されている。
【0005】また、図16に、フリップチップボンディ
ング実装用の従来の光受光装置の一例を示す。同図にお
いて、裏面入射型受光素子Dは、例えばInP基板1、
n型InP層2、光吸収層3およびp型InP層4の積
層構造を有し、その最表面層であるp型InP層4上に
電極5を備えた構成は図15のものと同様であるが、更
にInP基板1の裏面側の光入射面にマイクロレンズ6
が設けられ、このマイクロレンズ6を介して光ファイバ
Fとの光結合がなされている。また、例えば一部に電気
回路Cを備えたプリアンプIC基板P上に、半田バンプ
Bによるフリップチップボンディングにより、電極5を
電極用バンプとして上記受光素子Dが接合されている。
ここで述べたフリップチップボンディング実装は、図1
5に示したようなワイヤで接続した場合に生じる寄生リ
アクタンスを除去させて、光半導体チップの高速特性を
損なうことなく実装することが可能になるので、図16
の装置は図15の装置よりも更に高速化を達成すること
ができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図17(A)は従来の表
面入射型受光素子の概略構造であり、この構造に対応し
た光結合位置ずれトレランスと反射率との関係を同図
(B)に示す。この図から明らかなように、表面入射型
では、入射角度θa を或る程度大きくしておけばトレラ
ンス内において極めて小さな反射率特性が得られるとい
う利点はあるが、トレランスを拡大できないという問題
があった。
【0007】一方、図15や図16に示したような裏面入射
型受光素子を使用した従来の光受光装置では、受光素子
Dの裏面側から入射した信号光LS が電極面(電極5の
裏面)で反射し、その反射光LR が光ファイバFに再度
結合することにより、光の反射率が大きくなり、伝送品
質を低下させるという問題があった。
【0008】また、図18(A)は図16に示したものと同
様な従来のレンズ付裏面入射型受光素子の概略構造であ
り、この構造に対応した光結合位置ずれトレランスと反
射率との関係を同図(B)に示す。この図から明らかな
ように、レンズ付の裏面入射型では、裏面側入射面に設
けられたレンズの集光作用により、表面入射型と比べ、
光結合位置ずれトレランスを拡大できるという利点が得
られる。また、或る入射角度θa でレンズに入射させる
ようにすれば、図15や図16に示したように信号光が垂直
に入射する場合と比べ、その入射光LS1が通常は電極面
で斜めに反射することにより、その反射光LR1が光ファ
イバへ再度光結合されるのを或る程度防止することはで
きる。しかしながら、このように或る入射角度θa でレ
ンズに入射させても、レンズの頂点から或る距離Wa
け離れた点Qから入射した光LS2が電極面に対して垂直
になるような場合があり、このような場合には電極面か
らの反射光LR2が入射光LS2と同一経路を逆にたどって
光ファイバへ再度結合されることになり、よって反射率
の大きな領域がトレランス内に存在してしまうという問
題があった。
【0009】本発明は、レンズ付の裏面入射型受光素子
と光ファイバとから構成される光受光装置において、広
い光結合位置ずれトレランスと光結合時の低い光反射率
とを同時に実現できるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の光受光装置は、
裏面側の光入射面にレンズの設けられた裏面入射型受光
素子と、この受光素子に光結合された光ファイバとから
構成されており、受光素子の表面側の電極面からの反射
光が光ファイバへ入射するのを低減する反射光防止手段
を備えたことを特徴とするものである。
【0011】上記反射光防止手段は、(a)光ファイバ
から受光素子へ信号光を斜めに入射させるようにすると
共に、信号光が受光素子の電極面へ垂直に入射しないよ
うにレンズ間口径を狭めるように構成したもの、(b)
レンズの頂点から電極面までの距離をレンズの焦点距離
よりも大きく、または小さく構成したもの、(c)レン
ズの頂点部分をフラットに構成したもの、(d)光ファ
イバの先端部をテーパ状にすると共に、そのテーパ状部
分の先端部に傾斜した全反射面を有するように構成した
もの等により実現可能である。
【0012】また、このような構成からなる光受光装置
を複数個アレイ状に配設し、複数の信号光を入射できる
ように構成することも可能である。この場合、アレイ状
に配設された複数個の裏面入射型受光素子として、上記
(a)〜(c)に示した構成の受光素子の中から選択さ
れた一種類または複数種類の受光素子を使用し、またア
レイ状に配設された複数個の光ファイバとして、先端斜
め研磨ファイバおよび上記(d)に示した構成の光ファ
イバの一方または両方を使用することも可能である。
【0013】上記(d)に示した構成の光ファイバの製
造方法としては、例えば以下の方法を採用可能である。
すなわち、光ファイバの先端部側面に角度をつけて機械
研磨することにより先端部をテーパ状に形成し、次に、
そのテーパ状部分の表面を放電により溶融して滑らかに
した後、テーパ状部分の先端部を斜めに機械研磨して全
反射面を形成することにより、上記(d)に示した構成
の光ファイバを得る。
【0014】
【作用】本発明では、レンズ付の裏面入射型受光素子を
採用したことにより、そのレンズの集光作用で光結合位
置ずれトレランスが拡大される。また、受光素子の表面
側の電極面からの反射光が光ファイバへ入射するのを低
減する反射光防止手段を備えたことから、受光素子と光
ファイバとの光結合部分において広い光結合トレランス
が確保されるだけでなく、電極面で発生する光の反射が
大幅に低減される。
【0015】例えば上記(a)の構成を採用した場合に
は、レンズ間口径が狭く、信号光がレンズ上のどの点か
ら入射した場合でも、電極面へ垂直に入射することがな
いので、トレランス内には反射率の大きな領域が存在せ
ず、よって反射率の低減が可能となる。
【0016】上記(b)の構成を採用した場合には、レ
ンズの頂点から電極面までの距離をレンズの焦点距離と
等しくしていた従来のものと違い、反射光の光ファイバ
端でのビーム径と曲率半径がファイバ出射時の大きさと
異なることになるので、反射光と光ファイバとの結合効
率が低下し、よって反射率が低減する。
【0017】上記(c)の構成を採用した場合には、フ
ラットに構成されたレンズ頂点部分に垂直に入射した光
はレンズによる集光作用を受けないことから、電極面で
の反射光の多くはファイバ外へ発散され、反射光と光フ
ァイバとの結合効率が低下するので、反射率の低減が可
能となる。しかも、フラット部分以外のレンズ周辺部で
の曲率によるレンズ効果は得られるので、ファイバの位
置ずれトレランスの拡大も可能である。
【0018】上記(d)の構成を採用した場合には、光
ファイバ内を伝搬されてきた信号光は先端部の全反射面
で全反射された後、更にテーパ部分で屈折されて受光素
子に入射する。すると、特にファイバ先端部分における
曲率半径の小さな部分を使用することにより、光ファイ
バから出射された光の互いに直交する2方向の成分に非
点収差が起こり、電極面からの反射光と光ファイバとの
結合効率が低下し、よって反射率の低減が可能になる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
しながら説明する。図1に、本発明の第1実施例の概略
構成を示す。
【0020】同図に示すように、本実施例の光受光装置
は、裏面側の光入射面にマイクロレンズ6を有するレン
ズ付の裏面反射型受光素子Dと、この受光素子Dに対し
て入射角度θa (≠0°)で斜め方向から信号光を入射
させるように配置された不図示の光ファイバとから構成
されている。同図には受光素子Dが簡略的にしか描かれ
ていないが、実際には図16に示したように、例えばIn
P基板1、n型InP層2、光吸収層3、p型InP層
4および電極(電極用バンプ)5からなる積層構造を有
すると共に、InP基板1の裏面側の光入射面にマイク
ロレンズ6が設けられている。
【0021】更に、本実施例では、受光素子Dにマイク
ロレンズ6を介して入射した信号光LS が電極面(電極
5の裏面)5aへ垂直に入射しないように、マイクロレ
ンズ6のレンズ間口径を狭めた構造となっている。この
ような構造を実現するための入射角度θa とレンズ間口
径2L(Lはレンズ間口半径)との関係について、入射
光線のモデルを示した図2を使用し、以下に具体的に述
べる。
【0022】図2において、受光素子Dへの入射角度を
θa 、レンズ6への入射角度をθib、レンズ6からの出
射角度をθob、入射点とレンズ中心Oとを結ぶ直線と電
極面5aからの垂線とがなす角度をθs とすると、レン
ズ6から入射した光LS が電極面5aに対して垂直にな
る条件は、 θob=θs , θib=θa +θs である。この条件で、レンズ中心Oから垂直光線位置ま
での距離(反射点距離)Wを求めると、
【0023】
【数1】
【0024】となる。式(1) 中、Rはレンズ6の曲率半
径、ns はレンズ6の屈折率である。このことから、レ
ンズ間口半径Lを、 L<W ・・・・・(2) となるように設定すれば、レンズ6に入射した光LS
電極面5aに対して垂直になることはない。従って本実
施例では、上記式(2) の関係を満たすように入射角度θ
a とレンズ間口径2Lを設定してある。例えば、レンズ
6の曲率半径Rが100μmで、入射角度θa が30°の場
合を考えると、式(1) より反射点距離Wは21μmとなる
ので、レンズ間口半径LをW(=21μm)よりも小さ
く、例えば20μmに設定すればよい。このように設定す
ることにより、広いトレランスを確保しつつ、しかもト
レランス内には図18(B)に示したような反射率の大き
な領域が存在しなくなり、極めて小さな反射率を実現す
ることができる。
【0025】次に図3に、本発明の第2実施例の概略構
成を示す。本実施例の光受光装置は、図1に示した構成
に加えて、光吸収層3および電極5を含む受光部分をマ
イクロレンズ6の中心からずらして配置したものであ
る。この場合のオフセット距離Kは、図2に示した距離
Wと等しくしてある。このように構成することにより、
図1に示したものよりも受光部分の大きさ(受光径)を
小さく保ったままで、電極面5aへの垂直入射成分をな
くし、光の反射率を低減することができる。
【0026】次に図4に、本発明の第3実施例の概略構
成を示す。本実施例の光受光装置は、レンズ付裏面入射
型受光素子Dにおけるレンズ6の頂点から電極面5aま
での距離ds がレンズ6の焦点距離dsoよりも大きく
(すなわちds >dso)、または小さく(すなわちds
<dso)なるように構成したものである。その動作原理
を、以下に図5に基づき説明する。なお、図5におい
て、破線部分は電極面5aからの反射光の様子を模式的
に示したものである。
【0027】従来は、通常、図5(A)に示すように、
s がdsoと等しくなる(ds =d so)ように設定され
る。このようにすることにより、光ファイバFと受光素
子Dとの距離であるギャップgに依らず、受光素子Dで
のビーム径を一定にすることができる。従って、結合効
率はレンズ間口での効率で決まり、見掛け上、受光径が
レンズ間口径にまで拡大された受光素子となる。しか
し、電極面5aで生じる反射光の光ファイバ端でのビー
ム径W3 および曲率半径R3 が光ファイバから出射され
る光のビーム径W1 および曲率半径R1 とほぼ等しくな
るため、反射光と光ファイバとの結合効率がほぼ 100%
になり、反射率が大きくなってしまう。
【0028】これに対し、図5(B)に示すようにds
>dsoとした場合には、反射光の光ファイバ端でのビー
ム径W3 および曲率半径R3 が光ファイバ出射時のビー
ム径W1 および曲率半径R1 と異なるため、反射光と光
ファイバとの結合効率が低下し、反射率を低減すること
ができる。ds <dsoとした場合にも同様なことが言え
る。
【0029】そこで、上記の動作原理を図6に基づき数
式で導出してみる。まず、反射面(電極面5a)を2つ
のビーム(その光電界をφ1 、φ2 とする)のオーバラ
ップ面として、その面での結合効率を求めると、この結
合効率は反射光と光ファイバとの結合効率に等しい。光
電界φ1 、φ2 による結合効率は一般に以下の式(3)で
求まる。なお、式(3) 中、φ1 * 、φ2 * はそれぞれφ
1 、φ2 の複素共役を示す。
【0030】
【数2】
【0031】また、オーバラップ面でのビーム径、曲率
半径をそれぞれW2、R2 とすると、そこでの電界φ
は、k=2πn/λとして、
【0032】
【数3】
【0033】である。φ2 はφ1 の反射光なので、ビー
ム径が等しく、曲率半径の符号が反転している。すなわ
ち、 φ2 =φ1 * ・・・・・(5) である。そこで、式(4) および(5) を用いて式(3) を計
算すると、
【0034】
【数4】
【0035】となり、結合効率ηをW2 、R2 で表記で
きる。次に、光学系の光線マトリックス(A、B、C、
D)を用いると、以下に示す良く知られた関係式(7) 、
(8) が得られる。なお、a=λ/πW1 とする。
【0036】
【数5】
【0037】この関係式により、結合効率ηは以下の式
(9) で表すことができる。なお、反射面での屈折率をn
s とする。
【0038】
【数6】
【0039】ここで、計算の一例として、図4に示した
光学系(ただし光ファイバFとしてフラットファイバを
使用するものとする)を考える。この場合、焦点距離d
soの逆数(=1/dso)をFs とおいて、以下の関係式
が成り立つ。
【0040】
【数7】
【0041】なお、上記式(10)の最上式の右辺における
左から第1番目のマトリクスは距離ds の移動を表し、
第2番目のマトリクスはレンズ面での集光を表し、第3
番目のマトリクスは距離gの移動を表している。する
と、式(10)から、光線マトリックス成分(A、B、C、
D)は以下のようになる。ここでKは、焦点距離dso
対するチップの厚みds の比(=ds /dso)である。
【0042】 A=1−K ・・・・・(11) B=(1−K)・g+K・dso/ns ・・・・・(12) C=−1/dso ・・・・・(13) D=−g/dso+1/ns ・・・・・(14) ここで、図5(A)に示したような従来の場合は、K=
1となる。この場合において、計算を容易にするために
gがdso/ns に等しい場合についての結合効率η(K=
1) とオーバラップ面でのビーム径W2(K=1)を求める
と、 η(K=1) =1 ・・・・・(15) W2(K=1)=a・dso/ns ・・・・・(16) となる。そこで次に、図5(B)に示したようにKが1
以外の場合での結合効率η(K≠1)の改善量Δη(=η(K
≠1)/η(K=1))とビーム径W2(K ≠1)の増加量ΔW
2 ( =W2(K ≠1)/W2(K=1))を求めると、 Δη=1/(1+P2) ・・・・・(17) ΔW2 =(1+P2)1/2 ・・・・・(18) ただしP=π・(ns /λ)・W1 2 ・(1−K)/dso となる。従って、式(18)で示される受光部でのビーム径
2 が受光径よりも大きくならない範囲内で、Kを1よ
りも大きくするか、または小さくすることにより、式(1
7)で示されるような反射率の改善が見込まれる。
【0043】なお、上記の計算例では、フラットファイ
バとの結合の場合を示したが、これに限らず、テーパ先
球ファイバ、先端斜め研磨ファイバ、ファイバと個別の
レンズとからなる光学系等を使用した場合であっても、
同様な効果を得ることができる。
【0044】次に図7に、本発明の第4実施例の概略構
成を示す。本実施例の光受光装置は、レンズ付裏面入射
型受光素子Dにおけるレンズ6の頂点部分をフラットに
構成したものである。このような構造とすることによ
り、レンズ6の中心部分のフラット面6aに垂直に入射
した光はレンズ6による集光作用を受けないことから、
電極面5aでの反射光の多くは光ファイバFの外部へ発
散され、反射光と光ファイバとの結合効率が低下するの
で、反射率を低減することができる。しかも、フラット
部分以外のレンズ周辺部での曲率によるレンズ効果は得
られるので、ファイバの位置ずれトレランスを拡大する
こともできる。
【0045】ここで、結合効率計算の一例として、図7
に示した光学系(ただし光ファイバFとしてフラットフ
ァイバを使用するものとする)を考える。この場合、以
下の関係式が成り立つ。
【0046】
【数8】
【0047】なお、上記式(19)の最上式の右辺における
左から第1番目のマトリクスは距離ds の移動を表し、
第2番目のマトリクスは屈折率ns の受光素子中への入
射を表し、第3番目のマトリクスは距離gの移動を表し
ている。すると、式(19)から、光線マトリックス成分
(A、B、C、D)は以下のようになる。
【0048】 A=1 ・・・・・(20) B=g+ds /ns =g+K・dso/ns ・・・・・(21) C=0 ・・・・・(22) D=1/ns ・・・・・(23) そこで、前記実施例において比較した従来の通常設計状
態(K=1、g=dso/ns )と、上記の本実施例の場
合とを比較し、結合効率ηの改善量Δηとビーム径W2
の増加量ΔW2 を求めると、 Δη=1/(1+4Q ) ・・・・・(24) ΔW2 =(4+1/Q )1/2 ・・・・・(25) ただしQ=(dso・(λ/ns )/(π/W1 2 ))1/2 となる。従って、式(25)で示される受光部でのビーム径
2 が受光径よりも大きくならない範囲内で、レンズ6
の焦点距離dsoを選ぶことにより、式(24)で示されるよ
うな反射率の改善が見込まれる。
【0049】なお、上記の計算例では、フラットファイ
バとの結合の場合を示したが、これに限らず、テーパ先
球ファイバ、先端斜め研磨ファイバ、ファイバと個別の
レンズとからなる光学系等を使用した場合であっても、
同様な効果を得ることができる。
【0050】次に図8に、本発明の第5実施例の概略構
成を示す。本実施例の光受光装置は、以上に述べたいず
れかの実施例のものと同様な構成のレンズ付裏面入射型
受光素子Dと、この受光素子Dに対して光結合された先
端斜め研磨ファイバFとから構成されている。このよう
な構成とすることにより、光結合部の部品点数を大幅に
低減しながら、広い光結合トレランスを得ることができ
る。また、先端斜め研磨ファイバFは受光面に対してほ
ぼ水平に配置可能なので、フラットパッケージ化に向い
ており、パッケージ高さを低くすることができる。更
に、以上の実施例において述べたのと同様な反射率低減
効果をも合わせ持つことができる。
【0051】次に図9に、本発明の第6実施例の概略構
成を示す。本実施例では、光ファイバFにおける先端部
をテーパ状にすると共に、そのテーパ部分11の先端部
分を更に斜めに研磨して全反射面12を有するように構
成し、このように構成された光ファイバ(テーパ状先端
斜め研磨ファイバ)Fからの出射光が前記いずれかの実
施例のレンズ付裏面入射型受光素子D(図9では省略)
に入射するようにしたものである。
【0052】ここで、本実施例で採用するテーパ状先端
斜め研磨ファイバFの利点を、従来の先端斜め研磨ファ
イバと比較することにより明らかにする。まず図10に、
従来の先端斜め研磨ファイバにおける研磨角度θ0 に対
するファイバ出射角度θi の関係を示す。同図に明らか
なように、全反射させるための最大研磨角度は45°には
ならず、それよりも小さい43°になる。製造誤差を考慮
すると、最大の研磨角度は40°程度が限界である。従っ
て、ファイバ出射角度θi が0°になることはなく、15
°程度になってしまい、受光素子面でのビーム形状が楕
円形になってしまう。一方、図11に、本実施例のテーパ
状先端斜め研磨ファイバにおけるテーパ角度θt に対す
るファイバ出射角度θi の関係の一例を示す。本実施例
の光ファイバでは、全反射面12で一旦全反射された光
が、テーパ面11aで更に屈折されて出射角度が変化す
る。例えばテーパ角度θtを30°にすることにより、出
射角度θi を0°にすることも可能になる。しかも、テ
ーパ角度θt を適宜設定することにより出射角度θi
マイナスにすることもでき、従来のものと比べ光学系に
おいてフレキシビリティを著しく増大させることができ
る。更に、図12に示すように、全反射面12の研磨位置
を適宜変えることにより、先端部分での光線が感じる曲
率半径Rを任意に変化させることも可能である。本実施
例によれば、前記第5実施例で得られた効果に加えて、
以上の効果が得られる。
【0053】しかも、図12に示したように全反射面12
の研磨位置を変えて先端部分の曲率半径Rを小さくする
ことにより、x方向のビーム成分を絞り、x、y方向の
ビーム成分に非点収差を起こさせるようにすれば、電極
面からの反射光と光ファイバFとの結合効率が、通常の
先端斜め研磨ファイバを用いた場合よりも低下するの
で、反射率の低減が可能になる。従って、このようにし
た場合には、受光素子Dとして、反射率低減効果を持た
ない従来の裏面入射型受光素子を用いても、十分に反射
率を低減させることができる。
【0054】次に、図9に示したようなテーパ状先端斜
め研磨ファイバの製造方法の一例を、図13に基づき説明
する。まず図13(A)に示すように、通常のテーパ先球
ファイバを形成する場合と同様な手法により、すなわち
研磨治具J1 に光ファイバFの先端部側面をあてながら
光ファイバF全体を回転させる手法により、ファイバ先
端部分を所望のテーパ角度θt でテーパ状に研磨し、テ
ーパ部分11を形成する。この状態では、テーパ面11
aは上記の機械研磨により荒れているので、続いて図13
(B)に示すように放電電極Eからの放電により、テー
パ面11aを溶融して滑らかにする。次に図13(C)に
示すように、光ファイバFを回転させずに、そのテーパ
部分11の先端部を研磨治具J2 で斜めに研磨してい
き、その研磨面での直径(図中のD)をモニタしながら
所望の研磨角度θ0 の全反射面12を形成する。以上の
工程により、図9に示したテーパ状先端斜め研磨ファイ
バが得られる。
【0055】この製造方法によれば、図13(B)に示し
た放電による溶融工程を経ることにより、テーパ面11
aでの荒れをなくし、テーパ面11aから出射される光
がこの面で生じる損失を最低限に抑えることができる。
【0056】次に図14に、本発明の第7実施例の概略構
成を示す。本実施例の受光装置は、個々のレンズ付裏面
入射型受光素子Dを複数個アレイ状に一体形成してなる
受光素子アレイDA を備えると共に、個々の受光素子D
とそれぞれ光結合された光ファイバ(図には先端斜め研
磨ファイバを示す)Fを複数個アレイ状に配置してなる
光ファイバアレイFA を備えた構成である。個々の受光
素子Dとしては、以上に述べたいずれかの実施例の受光
素子が使用されており、全て同一種類のものを使用して
もよく、或いはそれぞれ異なる種類のものを使用しても
よい。また、個々の光ファイバFとしては、図に示した
ような従来の先端斜め研磨ファイバの他に、図9に示し
たようなテーパ状先端斜め研磨ファイバを使用してもよ
い。このような構造とすることにより、アレイ状の光結
合を容易にし、しかもこれと同時に光の反射率を低減さ
せることが可能になる。
【0057】
【発明の効果】本発明の光受光装置によれば、裏面入射
型受光素子と光ファイバとの光結合部分において、広い
光結合トレランスを確保しつつ、電極面で発生する光の
反射を大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の概略構成図である。
【図2】レンズ付裏面入射型受光素子における入射光線
のモデル図である。
【図3】本発明の第2実施例の概略構成図である。
【図4】本発明の第3実施例の概略構成図である。
【図5】上記第3実施例の原理説明図であり、同図
(A)はds =ds0の場合を示し、同図(B)はds
s0の場合を示している。
【図6】反射光と光ファイバの結合効率を導出するため
の説明に使用する図である。
【図7】本発明の第4実施例の概略構成図である。
【図8】本発明の第5実施例の概略構成図である。
【図9】本発明の第6実施例の概略構成図である。
【図10】従来の先端斜め研磨ファイバにおける研磨角度
θ0 に対するファイバ出射角度θi の関係を示す図であ
る。
【図11】上記第6実施例に係るテーパ状先端斜め研磨フ
ァイバにおけるテーパ角度θt に対するファイバ出射角
度θi の関係の一例を示す図である。
【図12】上記第6実施例に係るテーパ状先端斜め研磨フ
ァイバにおける研磨位置による先端曲率半径の変化を示
す図である。
【図13】上記第6実施例に係るテーパ状先端斜め研磨フ
ァイバの製造方法の一例を示す図である。
【図14】本発明の第7実施例の概略構成図である。
【図15】従来のワイヤボンディング実装用の裏面入射型
受光素子の断面構成図である。
【図16】従来のフリップチップボンディング実装用のレ
ンズ付裏面入射型受光素子の断面構成図である。
【図17】従来の表面入射型受光素子における光結合トレ
ランスと光の反射率特性を示す図である。
【図18】従来のレンズ付裏面入射型受光素子における光
結合トレランスと光の反射率特性を示す図である。
【符号の説明】
1 InP基板 2 n型InP層 3 光吸収層 4 p型InP層 5 電極 5a 電極面 6 マイクロレンズ 11 テーパ部分 11a テーパ面 12 全反射面 D 受光素子 F 光ファイバ DA 受光素子アレイ FA 光ファイバアレイ

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】裏面側の入射面にレンズ(6)の設けられ
    た裏面入射型受光素子(D)と、該受光素子(D)に光
    結合された光ファイバ(F)とから構成される光受光装
    置において、 前記受光素子(D)の電極面(5a)からの反射光が前
    記光ファイバ(F)へ入射するのを低減する反射光防止
    手段を備え、 該反射光防止手段は、前記光ファイバ(F)から前記受
    光素子(D)へ信号光を斜めに入射させるようにすると
    共に、該信号光が前記受光素子(D)の前記電極面(5
    a)へ垂直に入射しないように前記レンズ(6)のレン
    ズ間口径を狭めるように構成したものであることを特徴
    とする光受光装置。
  2. 【請求項2】裏面側の入射面にレンズ(6)の設けられ
    た裏面入射型受光素子(D)と、該受光素子(D)に光
    結合された光ファイバ(F)とから構成される光受光装
    置において、 前記受光素子(D)の電極面(5a)からの反射光が前
    記光ファイバ(F)へ入射するのを低減する反射光防止
    手段を備え、 該反射光防止手段は、前記受光素子(D)における前記
    レンズ(6)の頂点から前記電極面(5a)までの距離
    を前記レンズ(6)の焦点距離よりも大きく、または小
    さく構成したものであること特徴とする光受光装置。
  3. 【請求項3】裏面側の入射面にレンズ(6)の設けられ
    た裏面入射型受光素子(D)と、該受光素子(D)に光
    結合された光ファイバ(F)とから構成される光受光装
    置において、 前記受光素子(D)の電極面(5a)からの反射光が前
    記光ファイバ(F)へ入射するのを低減する反射光防止
    手段を備え、 該反射光防止手段は、前記受光素子(D)における前記
    レンズ(6)の頂点部分をフラットに構成したものであ
    ることを特徴とする光受光装置。
  4. 【請求項4】前記光ファイバ(F)は、その先端部をテ
    ーパ状にすると共に、該テーパ状部分(11)の先端部
    に傾斜した全反射面(12)を設けてなるテーパ状先端
    斜め研磨ファイバであることを特徴とする請求項1乃至
    3のいずれか1つに記載の光受光装置。
  5. 【請求項5】裏面側の入射面にレンズ(6)の設けられ
    た裏面入射型受光素子(D)と、該受光素子(D)に光
    結合された光ファイバ(F)とからなる構成を、複数個
    アレイ状に配設してなる光受光装置において、 前記アレイ状に配設された複数個の裏面入射型受光素子
    として請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光受光装
    置における前記受光素子を使用し、前記アレイ状に配設
    された複数個の光ファイバとして先端斜め研磨ファイバ
    および請求項4に記載の光受光装置における前記テーパ
    状先端斜め研磨ファイバの一方または両方を使用するこ
    とを特徴とする光受光装置。
  6. 【請求項6】光ファイバ(F)の先端部側面に角度をつ
    けて機械研磨することにより該先端部をテーパ状に形成
    し、次に、該テーパ状部分(11)の表面を放電により
    溶融して滑らかにした後、該テーパ状部分の先端部を斜
    めに機械研磨して全反射面(12)を形成することによ
    り請求項4記載の光受光装置における前記テーパ状先
    端斜め研磨ファイバを得ることを特徴とする光ファイバ
    の製造方法。
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