JP3100107B2 - ウォールスルー型空調システム - Google Patents

ウォールスルー型空調システム

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JP3100107B2
JP3100107B2 JP06109021A JP10902194A JP3100107B2 JP 3100107 B2 JP3100107 B2 JP 3100107B2 JP 06109021 A JP06109021 A JP 06109021A JP 10902194 A JP10902194 A JP 10902194A JP 3100107 B2 JP3100107 B2 JP 3100107B2
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conditioned
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Takasago Thermal Engineering Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ウォールスルー型空調
システムに係り、特に室内ユニットと室外ユニットとを
一体的に構成したウォールスルー型空気熱源空調機を個
別空調対象空間に対応するペリメータゾーンに設置した
空調システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ペリメータゾーンに室内ユニ
ットと室外ユニットを一体的に構成した空気熱源空調機
を設置し、オフィスや作業場などの空調対象空間を個別
に空調する、いわゆるウォールスルー型空調システムが
提案されている。
【0003】図11に示すように、従来の典型的なウォ
ールスルー型空調機は、室外ユニット101と室内ユニ
ット102とが同一ケーシング103内に一体的に収容
され、室外ユニット101においては、室外送風機10
4により外気吸込口105より外気を吸気し、外気側熱
交換器106を通して室外排気口107より室外へ排気
することが可能である。一方、室内ユニット102にお
いては、室内送風機108によって、室内吸込口109
より室内空気を吸気し、室内側熱交換器110を通して
室内吹出口111より室内熱負荷に応じて冷風または温
風を室内へ給気することが可能である。また室外ユニッ
ト101と室内ユニット102との間の中央部には、全
熱交換器112が設けられ、その全熱交換器112を通
して吸排気し、室内空気の還気を導入外気と熱交換させ
て、排熱を回収するように構成されている。
【0004】しかしながら、上記のようなウォールスル
ー型熱交換器によって、インテリアゾーンの熱負荷要求
にまで対応しようとした場合には、たとえば冷房時にイ
ンテリアゾーンに比較してペリメータゾーンが必要以上
に低温になるなど、空調対象空間内に温度分布が発生し
てしまうため、空調対象空間全体をカバーする空調シス
テムとして採用することは困難であり、一般的には、ペ
リメータゾーンの空調負荷に対応する空調システムとし
て利用されている。
【0005】一方、近年、人間の居住空間の温湿度をよ
り快適にかつ新鮮に保つとともに、浮遊塵埃を減少させ
ることが可能な成層空調が提案されている。たとえば、
特開平4−143538号には、人間の居住空間を基準
とした下方空間に新鮮空気を放射型の吹出口から低速で
分散させ、下層に新鮮空気層を形成するとともに上層に
汚れた空気層を形成する換気方法が提案されている。
【0006】しかしながら、上記のような成層空調用シ
ステムは、主にインテリアゾーンを処理するために用い
られるものであり、ペリメータゾーンの熱負荷処理には
別途対策が必要であった。また、たとえば冬季に暖房運
転を行う場合には外皮からのコールドドラフトが空調空
気の下部に入り込み、温熱環境を低下させるため、その
ための対策も必要であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ウォールス
ルー型空調システムが置かれた上記のような技術的立脚
点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところ
は、簡易かつ低コストな構成で、ウォールスルー型空気
熱源空調機のみによって、ペリメータゾーンのみならず
インテリアゾーンの空調負荷にも対応することが可能な
新規かつ改良されたウォールスルー型空調システムを提
供することである。
【0008】さらに本発明の別の目的は、ウォールスル
ー型空気熱源空調機を用いて、人間の居住空間を局所的
な温度差の生じない、快適でかつ浮遊塵芥の少ない環境
に保持できる成層空調を可能にし、かつ従来の成層空調
が抱えていた問題点、たとえば冬季に外皮負荷に起因し
て生じるコールドドラフトも防止することが可能な新規
かつ改良されたウォールスルー型空調システムを提供す
ることである。
【0009】上記課題を解決するために、請求項1に記
載の発明は、室内ユニットと室外ユニットとを一体的に
構成したウォールスルー型空気熱源空調機を個別空調対
象空間に対応するペリメータゾーンの床に設置した空調
システムにおいて、室内設定温度前後に温度制御された
給気を、室内側前面から、0.2m/s以下の平均流速
で、略垂直方向面内において実質的に一様な空気流とし
て空調対象空間に供給することを特徴とする。また、請
求項2に記載の発明は、室内側前面の床から供給される
空気流により、床から所定厚みを有する空調空気層が空
調対象空間に供給されることを特徴とする。
【0010】なお、個別空調対象空間に対する給気温度
については、請求項3に記載のように、冷房運転時には
室内設定温度よりも1〜3℃低く、暖房運転時には室内
設定温度よりも1〜3℃高く設定される。さらに、請求
に記載のように、空調対象空間からの還気を、略水
平方向面内において実質的に一様な空気流として吸気す
る構成を採用し、空気を空調機の前面から行い、換気を
空調機の上面から行うことも可能である。
【0011】また、本発明の別の観点によれば、請求項
に記載されているように、上記のように構成されたウ
ォールスルー型空気熱源空調機を、略垂直方向に形成さ
れた給気面および/または略水平方向に形成された還気
面を有するケーシング内に収容し、その給気面を介して
略垂直方向面内において実質的に一様な空気流として空
調対象空間に給気を行い、および/または、その還気面
を介して略水平方向面内おいて実質的に一様な空気流と
して空調対象空間から還気を行う構成が提供される。
【0012】さらに、請求項に記載されているよう
に、上記のように構成された空調システムの空調対象空
間の天井部に、1または2以上の排気手段を設けること
も可能であり、さらにまた、請求項に記載されている
ように、導入外気の露点温度を室内設定露点温度以下に
制御して空調対象空間に給気する構成を採用することも
好ましい。
【0013】
【作用】本発明が対処する熱負荷としては、ペリメータ
ゾーンに存在する外皮負荷および、インテリアゾーンに
存在する人体や照明器具、OA機器などの発熱源が発す
る室内熱負荷が存在するが、請求項1に記載の発明によ
れば、外皮負荷は、本発明に基づいてペリメータゾーン
に設置されたウォールスルー型空気熱源空調機により実
質的に処理されるか、あるいは自然対流により室内の天
井部に上昇するので、人間の居住空間における室内熱負
荷になることはない。また、冬季に外壁面で生じるコー
ルドドラフトについても、空調機により処理されるの
で、従来の装置のように室内に流入することはない。
【0014】そして、請求項1に記載の発明によれば、
空調機からの給気は、低速かつ一様な流速を保持しなが
ら、インテリアゾーンへ2元的な流れ、すなわち略垂直
方向面内において実質的に一様な流れとして、供給され
るが、かかる空気流は室内設定温度前後に温度制御され
ているので、インテリアゾーンに存在する室内熱負荷の
下側に回り込み、空調空間に緩やかな循環流を形成す
る。その結果、新鮮かつ快適に調和された空気が人間の
居住空間に供給され、汚れた室内熱負荷により昇温した
空気は天井部に押しやられるので、快適な成層空調を達
成することが可能である。
【0015】その際、インテリアゾーンに存在する室内
熱負荷のうち、照明熱負荷は、当初より天井部に存在し
ているので、給気の温度を上昇させることはないし、そ
の他の居住域の熱負荷も、緩やかな循環流により天井部
に対流していくので、給気の温度を上昇させることがな
い。そのため、従来の装置よりも、冷房運転時には給気
温度を高く設定することが可能であり、また暖房運転時
には給気温度を低く設定することが可能なので、空調機
のCOP(成績係数)を向上させることが可能である。
【0016】なお、暖房運転時には、外気・外皮負荷、
すきま風などが暖房負荷を構成するが、本発明によれ
ば、外気負荷は直接空調機により処理され、また外皮負
荷の結果生じるコールドドラフトも空調機の吸込口から
吸い込まれ処理されるため、室内熱負荷に転換されるこ
とはない。また、最近の建築物では気密化が進展してい
るため、すきま風に起因する熱負荷は無視することが可
能である。したがって、請求項1に記載の構成によれ
ば、定常の暖房運転時には、室内設定温度より低い温度
(ただし、室内発生熱に相当する熱)で給気を行うこと
により、新鮮かつ快適に調和された空気を居住空間に供
給することが可能である。なお、立ち上がり時の暖房運
転モードでは、室内温度を所定の温度にまで昇温するた
めに温風を供給する必要がある。その際には、本発明装
置による給気速度を高め、室内に乱流状態を形成するこ
とにより、より迅速かつ効果的に室温を上昇させること
が可能である。
【0017】以上のように、請求項1に記載の空調シス
テムによれば、たとえば冷房時の局所的な「冷えすぎ」
や「高温域」の発生を防止し、温度分布の均一な室内全
体の空調を、従来困難であったウォールスルー型空気熱
源空調機により実現可能である。そして、かかる均一な
室内温熱環境が成層空調により実現されるので、浮遊塵
芥が減少し、空気質を向上させることができる。また、
請求項1に記載の空調システムでは、ダクトを使用しな
いので、従来のダクト方式の成層空調システムに比較し
て、ダクト摩擦損失分だけ送風動力を軽減することがで
きる。
【0018】また、本発明においては、空調空間内の温
度成層が実質的に保持され、緩やかな循環流による成層
空調が実現されるように、空調機から給気を行う必要が
あり、そのためには、空調機から給気される給気温度
を、請求項3に記載のように、冷房運転時には、室内設
定温度よりも1〜3℃低く、暖房運転時には、室内設定
温度よりも1〜3℃高く設定することが好ましく、空調
機から給気される給気の平均流速を、請求項1に記載の
ように、0.2m/s以下に抑えることが好ましい。
して、かかる範囲の吹出温度および平均流速を達成する
ことにより、ISO7730に規定する温熱環境の推奨
条件をも充足することが可能となる。
【0019】また、請求項に記載のように、空調対象
空間からの換気を、略水平方向面内において実質的に一
様な空気流として空調機の上面方向から吸気する場合に
は、室内の循環流が促進され、より効果的に対象空間の
成層空調を実施することが可能である。そして、冬季に
窓面で発生するコールドドラフトについても、上面方向
から吸い込んで処理することにより、外皮負荷を室内熱
負荷に転換させることなく、本発明装置で処理すること
ができる。
【0020】さらに請求項に記載のように、略垂直方
向に形成された給気面および/または略水平方向に形成
された還気面を有するケーシング内に空調機を収容し、
その給気面を介して略垂直方向面内において実質的に一
様な空気流として空調対象空間に給気を行い、および/
または、その還気面を介して略水平方向面内おいて実質
的に一様な空気流として空調対象空間から還気を行う構
成を採用すれば、上記のような給気および/または換気
を行えるケーシングを準備するだけで、従来型のウォー
ルスルー型空気熱源空調機により、あるいは既存の設備
の転用により、本発明の優れた効果を得ることが可能と
なり、省設備、低コストの空調システムを構築可能であ
る。
【0021】さらにまた請求項に記載のように、天井
部から排気を行う構成を採用すれば、循環流により天井
部に集まった高温空気や、空気質の低下した空気を速や
かに排出することができるので、室内熱負荷が低下し、
またより一層の空気質の向上を図ることが可能となる。
【0022】また、単に請求項1〜に記載するように
構成された空調システムを用いて、たとえば夏期に冷房
運転した場合には、非常に高湿度の状態で所望の設定温
度において平衡してしまい、快適な温熱環境を達成する
ことができないが、請求項に記載のように、導入外気
の露点温度を室内設定露点温度以下に制御して空調対象
空間に給気することにより、湿度についても最適に制御
されたより快適な温熱環境を達成することができる。
【0023】
【実施例】以下に添付図面を参照しながら、本発明に基
づいて構成されたウォールスルー型空調システムの好適
な実施例について詳細に説明する。
【0024】図1には、本発明に基づいて構成された空
調システムに採用可能なウォールスルー型空気熱源空調
機1の概略が示されている。図示のように、この空気熱
源空調機1は、従来の装置と同様に、室外ユニット2と
室内ユニット3とが同一ハウジング4内に一体的に収容
されている。なお室外ユニット2と室内ユニット3とは
図示しない冷媒配管により連結されており、両ユニット
間で排熱回収をすることが可能である。そして、室外ユ
ニット2においては、室外送風機5により外気吸込口6
より外気を吸気し、外気側熱交換器7を通して室外排気
口8より室外へ排気することが可能である。また、室内
ユニット3においては、室内送風機9によって、ハウジ
ングの上面に略水平方向に2次元的に、すなわち平面状
に設けられた還気口10よりフィルタ11を介して室内
からの換気を吸気し、室内側熱交換器12を通して、室
内側に略垂直方向に2次元的に、すなわち平面状に設け
られた吹出口13より、本発明に基づいて、室内設定温
度前後に温度制御された給気を、室内の温度成層が実質
的に保持され、緩やかな循環流が形成される程度の低
速、たとえば0.2m/s以下、好ましくは0.15m
/s以下の平均流速で、略垂直方向面内において実質的
に一様な空気流として室内に供給することが可能であ
る。
【0025】その結果、図4に模式的に示すように、あ
る程度の厚みを有する新鮮かつ最適に空調された空気層
が室内側に供給され、その新鮮な空調空気が、人体、照
明、機器などから生じる室内負荷により暖めれ汚れた
空気層の下側に入り込み、循環流と比重差により汚れた
空気層を天井部に追いやるので、人間の居住空間に局所
的な温度差のない快適な温熱環境を実現することが可能
である。このように、本発明によれば、従来、インテリ
アゾーンの空調には不適であるとされていたウォールス
ルー型空気熱源空調機のみにより、ペリメータゾーンの
みならずインテリアゾーンも含めた室内全体の空調が可
能となる。
【0026】また本発明によれば、上記のように構成さ
れたウォールスルー型空気熱源空調機1の還気口が窓の
近傍に設置されるので、従来の成層空調では困難であっ
た、ペリメータゾーンに生じる外皮負荷やコールドドラ
フトの処理も可能となる。このように、本発明によれ
ば、ペリメータゾーンに生じる熱負荷が室内熱負荷に変
換されにくく、また上述のように、室内熱負荷について
も汚れた空気とともに天井部に移動するので、従来のウ
ォールスルー型空気熱源空調機に比較して、給気温度を
冷房運転の場合に高く設定しても、所望の設定温度を達
成することが可能なので、空調機のCOPを上昇させる
ことができる。たとえば、従来のウォールスルー型空気
熱源空調機によれば、室内温度を25℃と設定した場合
には、空調機の吹出温度を、冷房運転時には15〜16
℃、暖房運転時には30℃に設定する必要があったが、
本発明に基づいて構成された空調システムによれば、室
内設定温度よりも、1〜3℃、低く(冷房運転時)ある
いは高く(暖房運転時)設定するだけで、所定の効果を
得ることができる。
【0027】図2および図3には、本発明に基づいて構
成されたウォールスルー型空調システムのさらに別の実
施例が示されている。図示のように、ウォールスルー型
空気熱源空調機1を床15上に設置し、その全体をケー
シング20で覆う構成を採用している。なお、ケーシン
グ20内に設置されるウォールスルー型空気熱源空調機
1については、図1に示すものと同様の装置であり、こ
こでは、同一の機能要素については同一の参照番号を付
することにより、反復的な詳細説明は省略することにす
る。
【0028】図示のように、ケーシング20は、その上
面に、略水平方向に2次元的に、すなわち面状に展開す
る還気口20aを備え、その室内側前面に、略垂直方向
に2次元的に、すなわち面状に展開する吹出口20bを
備えている。そしてこの実施例によれば、空気熱源空調
機1により最適な温度および流速に制御された給気が、
ケーシング20の前面吹出口20bを通ることにより、
略垂直方向に2次元的に、すなわち面状に一様に展開す
る、厚みhを有する低速の空調空気層が形成され、図4
および図5の矢印に示すように、温度成層を実現しなが
ら、緩やかな循環流を形成する。そして、環流する空気
の一部は、ケーシング20の上面に形成された還気口2
0aより略水平方向に一様な空気流として吸気される。
【0029】以上のように、略垂直方向面内における一
様流を形成することが可能なケーシング20を用いるこ
とにより、従来のウォールスルー型空気熱源空調機また
は既存の設備を用いて、本発明の優れた効果を奏するこ
とが可能である。また、図示のように、複数のウォール
スルー型空気熱源機を壁面に沿って横並びに並置し、そ
の全体を一体的に構成されたケーシング20で覆い、そ
の室内側前面全体から、最適に温度制御された空気流
を、略垂直方向面内において一様な空気流として、所定
の速度で吹き出すことにより、室内全体に所定の厚みh
を有する空調空気層を供給することが可能となり、室内
全体を温度分布差のない温熱環境にすることができる。
【0030】図6には、本発明に基づいて構成されたウ
ォールスルー型空調システムのさらに別の実施例が示さ
れている。この実施例では、図1〜図5に示す空調シス
テムの構成に加え、さらに天井部に複数の吸込口30を
設置し、排気ダクト31に接続している。このように、
天井部から排気を行う構成を採用すれば、循環流により
天井部に集まった高温空気や、空気質の低下した空気を
速やかに排出することができるので、室内熱負荷をより
一層低下させ、より一層の空気質の向上を図ることが可
能となる。なお、図示の例では、ペリメータゾーンに2
台、インテリアゾーンに1台の吸込口を設置する構成を
採用しているが、本発明はかかる構成に限定されず、要
求される条件に応じて、任意の数および任意の場所に吸
込口を設置することが可能であり、たとえば、室内熱負
荷の大きいインテリアゾーンの排気を促進するために、
インテリアゾーンにより多くの吸込口を設置する構成を
採用することも可能である。
【0031】図7および図8には、本発明に基づいて構
成されたウォールスルー型空調システムのさらに別の実
施例が示されている。この構成によれば、導入外気の露
点温度を室内設定露点温度以下に制御して空調対象空間
に吸気するために、外気処理機30および/または全熱
交換器40が設置されている。たとえば、図7に示すよ
うに、ケーシング20内に、空気熱源空調機1ととも
に、除湿機能を有する外気処理機30を設置することに
より、室内側に給気される空気の露点温度を室内設定露
点温度に下げ、より快適な温湿度環境を構築することが
可能である。あるいはまた、図8に示すように、外気処
理機30に加えて全熱交換器40を設置することによ
り、より効率的に露点温度の制御を行うことも可能であ
る。
【0032】たとえば、図7および図8に示すように、
露点制御手段を設けない場合には、本発明に基づいて構
成されたウォールスルー型空調システムによっても、た
とえば夏期設計条件(32℃、湿度60%)の外気を室
温条件まで冷却する操作のみでは、給気の給気条件は、
約26℃、85%の非常に高湿度の段階で平衡してしま
うため、快適な温室度環境を得ることができない。しか
しながら、上記のように外気処理機30および/または
全熱交換器40により、導入外気の露点温度を制御する
ことにより、より快適な温湿度環境を達成することがで
きる。
【0033】最後に、本発明に基づいて構成されたウォ
ールスルー型空調システムの効果を確認するために、下
記の仮定および条件を設定し、居住域の温度上昇(t
h)と天井上部の温度上昇(tu)について検討した結
果について、図9および図10を参照しながら説明す
る。
【0034】1.仮定 a.給気気流は室内雰囲空気を誘引しないものとし、吹
き出し口直後の気流性状を維持するものとする。 b.居住域の温度上昇(th)は、人員負荷(Qh)と
機器発熱(Qe)のみとし、照明負荷は除外する。 c.天井上部の温度上昇(tu)は、人員負荷(Q
h)、機器発熱(Qe)、照明負荷(Ql)とする。 th=(Qh+Qe)・Af/(3600・V・Av・
Cp・γ)=(Qh+Qe)・L/(3600・V・h
・Cp・γ) tu=(Qh+Qe+Ql)・Af/(3600・V・
Av・Cp・γ)=(Qh+Qe+Ql)・L/(36
00・V・h・Cp・γ) Af:床面積(m2) V: 給気口吹き出し風速(m/s) Av:給気口面積(m2) Cp:比熱(Kcal/Kg) γ: 比重量(Kg/m3) L: 室奥行き(m) h: 給気口高さ(m)
【0035】2、条件 a.給気口の高さを1m b.人員負荷(Qh):0.2人/m2、顕熱:50K
cal/人h c.機器発熱(Qe):20Kcal/m2 d.照明負荷(Ql):20Kcal/m2
【0036】3、結果 以上の検討結果を、図9および図10に示す。なお図9
は、居住域の温度上昇(th)に関して給気の流速と室
内奥行きとの関係を示す図表であり、また図10は、天
井上部の温度上昇(tu)に関して給気の流速と室内奥
行きとの関係を示す図表である。
【0037】ここで、S07730では、温熱環境の
推奨条件として、室内の上下方向の温度差(1.1mと
0.1mとの温度差)を3℃未満、平均流速を0.15
m/s未満と定めている。したがって、上記結果より、
たとえば、奥行き14m、天井高さ2.5mの形状の室
内温度分布を3℃以内に納めるには、本発明に基づい
て、約0.15〜0.2m/sの吹出し速度(風量)
で、換気回数は15〜20回/hに設定し、室内設定温
度前後に温度制御された給気を、略垂直方向面内におい
て実質的に一様に行うことにより、温度分布差の少ない
最適な成層空調を達成することができる。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
従来の装置では困難であった室内全体の空調をウォール
スルー型空気熱源空調機により実現することが可能であ
り、しかも、成層空調が実現可能なため快適で浮遊塵芥
の少ない温熱環境を空調空間全体に構築することが可能
である。さらに、外皮負荷や室内熱負荷が給気に与える
影響を最小限に抑えることが可能なので、COPの高い
運転を実現できる。
【0039】すなわち、請求項1に記載の空調システム
によれば、たとえば冷房時の局所的な「冷えすぎ」や
「高温域」の発生を防止し、温度分布の均一な室内全体
の空調を、従来困難であったウォールスルー型空気熱源
空調機により実現可能である。そして、かかる均一な室
内温熱環境が成層空調により、実現されるので、浮遊塵
芥が減少し、空気質を向上させることができる。また、
請求項1に記載の空調システムでは、ダクトを使用しな
いので、従来のダクト方式の成層空調システムに比較し
て、ダクト摩擦損失分だけ送風動力を軽減することがで
きる。
【0040】また、本発明においては、空調空間内の温
度成層が実質的に保持され、緩やかな循環流による成層
空調が実現されるように、空調機から給気を行う必要が
あり、かかる成層空調をより効果的に行うためには、空
調機から給気される給気温度を、冷房運転時には、請求
項2に記載のように、室内設定温度よりも数度低く、よ
り好適には、請求項3に記載のように、1〜3℃低く、
暖房運転時には、請求項2に記載のように、室内設定温
度よりも数度高く、より好適には、請求項3に記載のよ
うに、1〜3℃高く設定することが好ましく、空調機か
ら給気される給気の平均流速を、請求項4に記載のよう
に、0.2m/s以下、より好適には、0.15m/s
以下に抑えることが好ましい。そして、かかる範囲の吹
出温度および平均流速を達成することにより、ISO7
730に規定する温熱環境の推奨条件も充足することが
可能となる。
【0041】また、請求項5に記載のように、空調対象
空間からの換気を、略水平方向面内において実質的に一
様な空気流として空調機の上面方向から吸気する場合に
は、室内の循環流が促進され、より効果的に対象空間の
成層空調を実施することが可能である。
【0042】さらに請求項6に記載のように、略垂直方
向に形成された給気面および/または略水平方向に形成
された還気面を有するケーシング内に空調機を収容し、
その給気面を介して略垂直方向面内において実質的に一
様な空気流として空調対象空間に給気を行い、および/
または、その還気面を介して略水平方向面内おいて実質
的に一様な空気流として空調対象空間から還気を行う構
成を採用すれば、上記のような給気および/または換気
を行えるケーシングを準備するだけで、従来型のウォー
ルスルー型空気熱源空調機により、あるいは既存の設備
の転用により、本発明の優れた効果を得ることが可能と
なり、省設備、低コストの空調システムを構築可能であ
る。
【0043】さらにまた請求項7に記載のように、天井
部から排気を行う構成を採用すれば、循環流により天井
部に集まった高温空気や、空気質の低下した空気を速や
かに排出することができるので、室内熱負荷が低下し、
またより一層の空気質の向上を図ることが可能となる。
【0044】また、単に請求項1〜7に記載するように
構成された空調システムを用いて、たとえば夏期に冷房
運転した場合には、非常に高湿度の状態で所望の設定温
度において平衡してしまい、快適な温熱環境を達成する
ことができないが、請求項8に記載のように、導入外気
の露点温度を室内設定露点温度以下に制御して空調対象
空間に給気することにより、湿度についても最適に制御
されたより快適な温熱環境を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づいて構成されたウォールスルー型
空調システムに適用可能なウォールスルー型空気熱源空
調機の概略図である。
【図2】本発明に基づいて構成されたウォールスルー型
空調システムの別の実施例の概略図であり、図1の空調
機がケーシング内に収容された構成を示している。
【図3】図2に示す空調システムの室内側から見た正面
図である。
【図4】図2に示す空調システムの空気流の様子を示す
概略的な側面図である。
【図5】図2に示す空調システムの空気流の様子を示す
概略的な平面図である。
【図6】本発明に基づいて構成されたウォールスルー型
空調システムのさらに別の実施例の概略図であり、さら
に天井部に排気手段を設けた構成を示している。
【図7】本発明に基づいて構成されたウォールスルー型
空調システムのさらに別の実施例の概略図であり、さら
に外気処理機を設けた構成を示している。
【図8】本発明に基づいて構成されたウォールスルー型
空調システムのさらに別の実施例の概略図であり、さら
に外気処理機および全熱交換器を設けた構成を示してい
る。
【図9】居住域の温度上昇(th)に関して給気の流速
と室内奥行きとの関係を示す図表である。
【図10】天井上部の温度上昇(tu)に関して給気の
流速と室内奥行きとの関係を示す図表である。
【図11】従来の典型的なウォールスルー型空気熱源空
調機の概略を示す説明図である。
【符号の説明】 1 ウォールスルー型空気熱源空調機 2 室外ユニット 3 室内ユニット 4 ハウジング 5 室外送風機 6 外気吸込口 7 外気側熱交換器 8 室外排気口 9 室内送風機 10 還気口 11 フィルタ 12 室内側熱交換器 13 吹出口 20 ケーシング 20a換気面 20b給気面

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 室内ユニットと室外ユニットとを一体的
    に構成したウォールスルー型空気熱源空調機を個別空調
    対象空間に対応するペリメータゾーンの床に設置した空
    調システムにおいて、室内設定温度前後に温度制御され
    た給気を、室内側前面から、0.2m/s以下の平均流
    速で、略垂直方向面内において実質的に一様な空気流と
    して空調対象空間に供給することを特徴とする、ウォー
    ルスルー型空調システム。
  2. 【請求項2】 前記空気流により、前記床から所定厚み
    を有する空調空気層が前記空調対象空間に供給されるこ
    とを特徴とする、請求項1に記載のウォールスルー型空
    調システム。
  3. 【請求項3】 前記給気温度が、冷房運転時には室内設
    定温度よりも1〜3℃低く、暖房運転時には室内設定温
    度よりも1〜3℃高く設定されることを特徴とする、請
    求項1または2に記載のウォールスルー型空調システ
    ム。
  4. 【請求項4】 空調対象空間からの還気を、略水平方向
    面内において実質的に一様な空気流として吸気すること
    を特徴とする、請求項1、2または3のいずれかに記載
    のウォールスルー型空調システム。
  5. 【請求項5】 略垂直方向に形成された給気面および/
    または略水平方向に形成された還気面を有するケーシン
    グ内に前記空調機を収容し、その給気面を介して略垂直
    方向面内において実質的に一様な空気流として空調対象
    空間に給気を行い、および/または、その還気面を介し
    て略水平方向面内おいて実質的に一様な空気流として空
    調対象空間から還気を行うことを特徴とする、請求項
    1、2、3または4のいずれかに記載のウォールスルー
    型空調システム。
  6. 【請求項6】 空調対象空間の天井部に1または2以上
    の排気手段を設けたことを特徴とする、請求項1、2、
    3、4または5のいずれかに記載のウォールスルー型空
    調システム。
  7. 【請求項7】 導入外気の露点温度を室内設定露点温度
    以下に制御して空調対象空間に給気することを特徴とす
    る、請求項1、2、3、4、5または6のいずれかに記
    載のウォールスルー型空調システム。
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