JP3099047B2 - ブラシレスモータの制御装置 - Google Patents

ブラシレスモータの制御装置

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JP3099047B2
JP3099047B2 JP02023733A JP2373390A JP3099047B2 JP 3099047 B2 JP3099047 B2 JP 3099047B2 JP 02023733 A JP02023733 A JP 02023733A JP 2373390 A JP2373390 A JP 2373390A JP 3099047 B2 JP3099047 B2 JP 3099047B2
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伸一 大井
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ブラシレスモータ、特にホール素子等の磁
気センサを用いたものの駆動を制御する装置に関する。
(従来の技術) ブラシレスモータは、機構的構造が従来のモータに比
して簡易で小型化が容易である等の理由により、取付機
器の省スペース化が要求される自動車用空調装置におい
ても、近年、ブロワモータとして用いることが検討され
つつあり、本願出願人においても、いくつかの装置を提
案している(特願平1−87374号、特願平1−92450号
等)。
(発明が解決しようとする課題) このように、ブラシレスモータを自動車用空調装置の
ブロワモータとして用いた場合、ブロワモータを取り付
けるブロワユニットがモータの振動に共振して一種の共
鳴を生じ、乗員に不快感を与えるという問題がある。
斯る問題点をを解決するために、本願出願人は種々の
実験を行なうことにより、次のようなことを把握するこ
とができた。
先ず、モータ単体の振動について見ると、その周波数
成分と振動レベルは回転状態に拘らず常に一定のもので
はなく、第9図に示すように、回転速度によって変化す
ることがわかった。
したがって、モータをブロワユニットに収納した場
合、第10図に示すように、モータ回転速度によって共振
する場合としない場合とがあることが確認された。第10
図の例では、1000rpmの際に周波数frにおいて共振が生
じている。そこで、本願出願人は、試行錯誤的にブラシ
レスモータの励磁コイルへの通電のタイミングを変化さ
せてみたところ、例えば第11図に示されるように、モー
タ単体の振動周波数の分布をシフトできることを確認す
ることができた(同図において実線は通電タイミングを
変化させる前の周波数の分布、点線は通電タイミング調
節後の周波数の分布をそれぞれ示す)。
そこで、本発明は、以上のような実験結果を踏まえつ
つ上記従来例の問題点を解決し、収納ケース等の収納部
分の共振を防止することができるブラシレスモータの制
御装置を提供することを課題とするものである。
(課題を解決するための手段) しかして、本発明に係るブラシレスモータの制御装置
は、第1図に示されるように、定位置でロータの回転に
伴うロータ磁界の変化を検出する磁気検出手段100と、
該磁気検出手段100の出力信号に基づいてブラシレスモ
ータ1への通電のタイミングを定めるタイミング信号を
発生するタイミング信号発生手段110と、該タイミング
信号発生手段110の出力信号に応じて前記ブラシレスモ
ータ1への通電を行なう駆動手段120と、前記ブラシレ
スモータ1の回転速度に関する情報を検出する回転情報
検出手段130とを具備するブラシレスモータ1の制御装
置において、最高効率が得られる通電タイミングよりも
所定の電気角遅れた点を通電タイミング零点として設定
し、前記回転情報検出手段130によって検出された回転
速度が所定値よりも低い場合には、前記タイミング信号
発生手段110におけるタイミング信号の発生時期を前記
通電タイミング零点よりも所定の電気角遅らせ、前記回
転情報検出手段130によって検出された回転速度が所定
値よりも高い場合には、前記タイミング信号発生手段11
0におけるタイミング信号の発生時期を前記通電タイミ
ング零点よりも所定の電気角早める調節手段140とを具
備するものである。
(作用) したがって、回転情報検出手段130で検出された実際
の回転速度に対して最高効率が得られる点よりも所定の
電気角遅れた点を通電タイミング零点として設定すると
共に、前記ブラシレスモータ1の回転速度が所定値より
も低い場合には、振動抑制を目的として低効率駆動を行
うべく調節手段140によりタイミング信号発生手段110に
おけるタイミング信号の発生時期(通電タイミング)を
所定の電気角さらに遅らせ、前記ブラシレスモータ1の
回転速度が所定値よりも高い場合には、高効率運転を目
的として調節手段140によりタイミング信号発生手段110
におけるタイミング信号の発生時期(通電タイミング)
を所定の電気角進めて、タイミング信号の発生時期(通
電タイミング)を前記最高効率が得られる点に近づける
こと又は一致させることができるので、上記課題を達成
できるものである。
(実施例) 以下、本発明に係るブラシレスモータの制御装置の実
施例を図面により説明する。
第2図において、本装置は、後述する各種センサ等の
入力信号に基づいて、ブラシレスモータ1の駆動を制御
するためのマイクロコンピュータ9及びこのマイクロコ
ンピュータ9の出力信号に応じてブラシレスモータ1の
励磁コイル1aを通電する三相インバータ回路10を中心に
構成されるものである。
先ず、マルチプレクサ7に接続される各種センサ等に
ついて説明すれば、2は速度設定器で、可変抵抗器を用
いて構成されており、摺動子2aの位置を移動すること
で、ブラシレスモータ1の所望の回転速度Nsを設定でき
るようになっている。
3a〜3cはホール素子で、ロータ(図示せず。)に設け
られた永久磁石1b(第3図参照。)の回転に伴う所定位
置での磁界強度の変化を検出するためのもので、本実施
例においては、三相のブラシレスモータであることに対
応して三個設けられているものである。そして、ホール
素子3a〜3cの出力信号は、それぞれ励磁コイル1aのU
相、V相、W相の通電タイミングを決定するための情報
としてマイクロコンピュータ9内で用いられるようにな
っている。
また、このホール素子3a〜3cとロータの永久磁石1bと
の位置関係は、例えば第3図に示すように、ロータの永
久磁石1bを回転方向に展開した状態で示せば、基準とす
る位置(基準0゜位置)にN極とS極の境界を位置させ
たときにU相用のホール素子3aはそれより手前の位置
(反回転方向)に所定角度α゜だけ進めた位置に設ける
ようにしてある。
次に、4は回転センサで、ロータの実際の回転速度を
検出するものである。
また、5はモータ内の温度を検出する過熱センサで、
このセンサ5で検出された温度はモータの過熱を防ぐた
めの情報としてマイクロコンピュータ9内で用いられ
る。
さらに、6は励磁コイル1aの過電流を検出するための
過電流検出回路で、後述する三相インバータ回路10と、
アース間に直列に接続された抵抗6aと、この抵抗6aの電
圧降下を所定の増幅度で増幅する演算増幅器6bとから構
成されており、その出力信号もマルチプレクサ7に入力
されるようになっている。
マルチプレクサ7は、マイクロコンピュータ9からの
制御信号に応じて入力される前述の各種センサ等の検出
信号を選択してA/D変換器8に出力するものである。A/D
変換器8は、マルチプレクサ7からの入力信号をデジタ
ル信号化してマイクロコンピュータ9へ入力するもので
ある。
マイクロコンピュータ9は、中央処理装置(CPU)、
読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(R
AM)及び入出力ポート(I/O)等を有するそれ自体公知
のものである。このマイクロコンピュータ9は、入力さ
れた各種センサ信号などに基づいて後述するプログラム
を実行してブラシレスモータ1の駆動を制御するもので
ある。
三相インバータ回路10は、ブラシレスモータの励磁コ
イル1aに三相の励磁電流を通電するためのもので、上述
のマイクロコンピュータ9からの信号に応じて作動する
ものである、尚、その構成は通常この種のブラシレスモ
ータの駆動回路に用いられる一般的もので周知であるの
で、その説明は省略する。
次に、上述したマイクロコンピュータ9によるブラシ
レスモータの通電タイミング制御について、第4図に示
されるフローチャートを参照しつつ説明する。
先ず、マイクロコンピュータ9はステップ200より実
行を開始してステップ202へ進み、各種変数などの初期
設定の後、ステップ204へ進む。
ステップ204においては、速度設定器2による設定回
転速度Nsを入力してステップ206へ進み、同ステップ206
では過電流検出回路6の出力値Iov(以下、「過電流検
出値」と言う。)を入力し、ステップ208へ進む。
ステップ208では、上述の過電流検出値Iovが所定値I1
より大か否かを判定し、I1より大である場合(YES)、
即ち、励磁コイル1aの通電流が異常に大きい場合には、
モータ保護の観点より、ステップ214へ進んでブラシレ
スモータ1の駆動を停止する。そして、ステップ214の
後はステップ216へ進み、本制御ルーチンの処理を終了
する。
一方、ステップ208においてIovがI1より小であると判
定された場合(NO)には、ステップ201へ進んで過熱セ
ンサ5の出力値Dovを入力する。そして、次のステップ2
12において、このDovが所定値D1より大か否かを判定
し、大である場合(YES)、即ち、モータ温度が異常に
上昇している場合には、モータ保護、事故防止などの観
点より、過電流が検出された場合と同様に、ステップ21
4へ進んでブラシレスモータ1の駆動を停止する。
一方、DovがD1より小である場合(NO)にはステップ2
18へ進み、設定回転速度Nsに対するタイミング信号の発
生時期(以下、通電タイミング)Ts1を予め記憶されて
いるROM等の記憶素子から読み出す。
この通電タイミングTs1の意味については後述する
が、その読出方法を簡単に述べれば、設定回転速度Nsに
対して例えば第6図の実線で表わされるような関係を予
め実験データ等に基づいて定めておき種々のNsに対する
Ts1の値をROM等に記憶してこれを読み出すようにする
か、または、第6図の特性線を表わす演算式を作りその
都度演算することでNsに対するTs1の値を算出するよう
にすれば良い。尚、Nsに対する特性は第6図の二点鎖線
で示されるようなものであっても良い。このようにして
Ts1の読み出しを行なった後はステップ220へ進み、ホー
ル素子3a〜3cの出力信号を入力してステップ222へ進
む。
ステップ222においては、ホール素子3a〜3cからの入
力信号に基づいて三相インバータ回路10を作動させるに
必要なタイミング信号、言い換えると最高効率が得られ
る通電タイミングを定めるための演算、即ち、ロジック
演算を行なう。
このロジック演算は、この種のブラシレスモータで通
常行なわれているもので、図をもって概略のみを説明す
れば、第7図に示されるように、ホール素子3a〜3cから
の入力波形をHU,HV,HWとすれば、三相インバータ回路10
においては、例えばU相を例にとれば、U相側のトラン
ジスタは二組であるので、U(+),U(−)の二つのタ
イミング信号を生成する必要がある。このため、ホール
素子3a〜3cの出力信号HU,HV,HWからは同図(d)〜
(i)に示されるようなタイミング信号を生成するべく
ロジック演算を行なう。このようにして、タイミング信
号が定められた後はステップ224へ進みPWM演算を行な
う。
いわゆるPWM制御は、この種のブラシレスモータで通
常に行なわれているものなので、PWM制御そのものにつ
いてのここでの詳細な説明は省略するが、このステップ
224においては、設定回転速度Nsに基づいてPWM制御にお
けるデューティ比を定めている。
ステップ224でPWM制御のためのデューティ比を演算に
より決定した後はステップ226へ進み、先のステップ218
で決定した通電タイミングTs1で三相インバータ回路10
により励磁コイル1aの通電を行なう。
具体的には、第8図を参照しつつ説明すれば、先ず、
本装置においてはステップ222で決定されたタイミング
信号(第7図(d)〜(i)参照。)、いわゆる最高効
率が得られる通電タイミングに対してさらに電気角でα
゜だけ全体を遅延させた状態を通電タイミングTs1=0
とし基準状態としている。これをU(−)信号について
見れば、第8図(a)に示されるように、Hu信号の立ち
下りの点からα゜遅延することとなる(他の信号につい
ても同様である)。そして、この第8図(a)の状態よ
りさらに遅れてU(−)信号が出力される場合(同図
(b)参照。)は通電タイミング遅れの状態であり、逆
に0゜より先行してU(−)信号が出力される場合(同
図(c)参照)は、通電タイミング進みの状態である
(他のタイミング信号についても同様である)。このス
テップ226の後は、前述したステップ204へ戻り、上述し
た各処理が繰り返されることとなる。
しかして、上記構成における本装置の作用について以
下に総括的に説明する。先ず、速度設定器2により設定
速度としてN1が設定されている状態において図示しない
始動スイッチが投入されたとすると、通電タイミングと
しては遅れ状態に設定される(Ts1=−α゜,第6図参
照)。例えばU(−)信号について言えば、基準となる
0゜位置よりα゜遅れた時点で立ち上がり、これに対応
して三相インバータ回路10が作動することとなる。
次に、回転速度をN2に設定したとすれば、設定回転速
度Nsに対するTs1特性が、第6図の実線で表わされるも
のであれば、設定回転速度Nsの増加に比例してTs1も決
定される結果、N2に対して通電タイミングは少しの進み
状態となり、さらにN3又はN4が設定された場合には、設
定回転速度Nsに対するTs1特性が+α゜となり、所定の
進み状態が設定される。
尚、本願出願人の実験によれば、通電タイミングを第
6図のごとく変えることにより、振動周波数の分布の変
化に加えてブラシレスモータの効率も変わることが確認
されており、特にTs1(または後述するTs2)をプラス側
(通電タイミング進みの状態)の所定値αに設定した際
には最高効率が得られた。これによって、設定速度が高
い状態、つまり高負荷時には通電タイミングが進む方向
にずらすことが望ましい。
次に、第2の実施例について第5図に示されるフロー
チャートを参照しつつ以下に説明するが、第1の実施例
と同一の処理内容のステップには同一番号を付してその
説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
先ず、ステップ217においては、回転センサ4により
検出された現在回転速度Nnを入力し、ステップ219へ進
んでNnに対する通電タイミングTs2をROM等により読み出
す。この通電タイミングTs2は第1の実施例におけるTs1
に相当するもので、Ts1がNsに対して定めたものである
のに対して、このTs2は上述のようにNnに対して定まる
ものである点のみが異なっている。尚、Nnに対するTs2
の特性は、第1の実施例と同様に例えば第6図に示され
るような特性線を予め定めておくものである。
そして、ステップ227では、上述のステップ219で決定
された通電タイミングTs2により第1の実施例で説明し
たと同様にして励磁コイル1aへの通電が行なわれること
となる。
尚、第6図において、実線で示す通電タイミングTs1
及びTs2は、回転速度Ns若しくはNsに比例して変化する
ように設定されるものであり、さらに二点鎖線で示すも
のは、段階的に変化させるようにしたものである。この
場合、回転速度N1では通電タイミングは上記同様−α゜
(遅い状態)に設定され、回転速度N2では、通電タイミ
ングが少し遅くなる程度に設定される。また、回転速度
N3及びN4では、通電タイミングが+α゜に設定され、そ
れぞれの回転速度において通電タイミングが0゜となる
状態を避けるようになっているものである。また、本実
施例においては、三相を例として説明したがこれに限定
されることなく、他の多相の場合にも同様に適用できる
ものである。
(発明の効果) 以上述べたように、本発明によれば、励磁コイルへの
通電タイミングを変えることにより装置全体の共振状態
が回避できるという実験結果に基づいて、回転速度に応
じて通電タイミングを可変できるようにしたので、従来
のようにブラシレスモータから生ずる振動によって収納
ケースが共振するようなことが防止でき、使用者に不快
感を与えることがなくなる。
さらに、通電タイミングを変えることによりモータの
効率が変化するので、高負荷時の高効率化を図ることも
できるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係るブラシレスモータの制御装置の機
能ブロック図、第2図は本装置の一実施例を示す構成
図、第3図はブラシレスモータに用いられるホール素子
とロータ磁石との位置関係を示す配置図、第4図は本装
置に用いられるマイクロコンピュータによる通電タイミ
ング制御の第1の実施例を示すフローチャート、第5図
は通電タイミング制御の第2の実施例を示すフローチャ
ート、第6図はブラシレスモータの設定回転速度または
実回転速度と通電タイミングとの関係を示す特性線図、
第7図はホール素子とタイミング信号との関係を示す波
形図、第8図は通電タイミングを説明するための概念
図、第9図は従来のブラシレスモータ単体での振動周波
数の分布とそのレベルとの関係を示す特性線図、第10図
はブラシレスモータをブロワユニットに組み込んだ状態
における振動周波数の分布とそのレベルとの関係を示す
特性線図、第11図はブラシレスモータ単体での従来の振
動周波数の分布と振動レベル及び本発明に係る装置によ
り駆動された場合の振動周波数の分布と振動レベルを示
す特性線図である。 3a〜3c……ホール素子、2……速度設定器、4……回転
センサ、9……マイクロコンピュータ、100……磁気検
出手段、110……タイミング信号発生手段、120……駆動
手段、130……回転情報検出手段、140……調節手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02P 6/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】定位置でロータの回転に伴うロータ磁界の
    変化を検出する磁気検出手段と、該磁気検出手段の出力
    信号に基づいてブラシレスモータへの通電タイミングを
    定めるタイミング信号を発生するタイミング信号発生手
    段と、該タイミング信号発生手段の出力信号に応じて前
    記ブラシレスモータへの通電を行なう駆動手段と、前記
    ブラシレスモータの回転速度に関する情報を検出する回
    転情報検出手段とを具備するブラシレスモータの制御装
    置において、 最高効率が得られる通電タイミングよりも所定の電気角
    遅れた点を通電タイミング零点として設定し、前記回転
    情報検出手段によって検出された回転速度が所定値より
    も低い場合には、前記タイミング信号発生手段における
    タイミング信号の発生時期を前記通電タイミング零点よ
    りも所定の電気角遅らせ、前記回転情報検出手段によっ
    て検出された回転速度が所定値よりも高い場合には、前
    記タイミング信号発生手段における前記タイミング信号
    の発生時期を前記通電タイミング零点よりも所定の電気
    角早める調節手段とを具備することを特徴とするブラシ
    レスモータの制御装置。
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