JP3096262U - 野菜収穫機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 根を切断したほうれん草を作業者が踏まない
で機体の後をついて行く事ができる、構造簡単な自走式
の野菜収穫機を提供する。 【解決手段】 野菜収穫機１は、走行ユニット１０に根
切りユニット２０を連結して成る。根切りユニット２０
は、ほうれん草などの野菜の根を切断する切断刃２１
と、機体の重量の一部を支えるソリと、未収穫の野菜が
機体に接触するのを防ぐガード３０とからなる。ガード
３０の前端の内側は後方に向け傾斜して、切断刃２１で
根を切断された野菜に作用して中央に寄せるガイドの役
をする。その結果、収穫機１の通過した後には、その両
側に、野菜の存在しない帯状領域が形成される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、ほうれん草や小松菜など葉菜類の野菜の根を切断する野菜収穫機に 関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、ほうれん草や小松菜などの葉菜類は、地面より少し下の根のところを鎌 で切断して集めていた。しかし、多量の野菜を鎌を用いて人力で切り取るのは作 業者にとって大変つらい作業であり、かつ作業効率も高いとはいえない。

【０００３】 なお、近年、ほうれん草などの野菜を自走式の収穫機で切断してすくい上げて 集めるという一貫した作業を自動化したものが提案されてはいるが、構造が複雑 で値段がかなり高くなる。また、この収穫機では、走行車輪をほうれん草の列と 列との間を通過させることで、走行車輪がほうれん草を踏みつけないようにして いる。しかし、ほうれん草が植わっている行間隔が標準とは異なる畑では、ある いは、ほうれん草がばらまきで播かれた畑では、走行車輪でほうれん草を踏みつ けずに収穫機を走行させることは困難である。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みなされたものであり、 その目的とするところは、構造が簡単で、切断刃により根が切断された状態で地 上に置かれているほうれん草を走行車輪やソリなどが踏まないで走行でき、また 、機体の後から作業者がその足で踏みつけずに歩いて行ける、自走式の野菜収穫 を提供することにある。

【０００５】

【問題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案における野菜収穫機は、走行ユニットとそ の走行ユニットに連結された根切りユニットとから構成される。そして、走行ユ ニットは、走行車輪と、その走行車輪を駆動するための駆動源と、ハンドルとを 備える。一方、根切りユニットは、ほぼその幅いっぱいの長さを備えた、野菜の 根を切断するための切断刃と、その切断刃を左右に振動させるための振動機構と 、その振動機構を駆動するための駆動源と、機体の重量の一部を支えるソリと、 さらに、切断刃で根を切断したほうれん草を中央に寄せるためのガイドとを備え る。

【０００６】 本考案による野菜収穫機は以下の構成を採り得る。 野菜収穫機の機体の両側には未収穫の野菜が機体に接触しないよう保護するガ ードを設けて、そのガードの前方部の内側を後方に向けて傾斜させることによっ て、切断刃で根を切断したほうれん草を中央に寄せるためのガイドとする。 機体の重量の一部を支えるソリは、根切りユニットの機枠に設けた支軸に回転 可能に取り付けた支持脚の先端に取り付けられる。そして、ソリの機枠に対する 高さを、機枠に対する支持脚の回転を規制することによって調整する。

【０００７】

【考案の実施の形態】

ほうれん草や小松菜などの葉菜類（以下、ほうれん草で代表させる）を収穫す るための野菜収穫機１は、野菜収穫機１を自走させるための機構を機枠に設けた 走行ユニット１０と、走行ユニット１０の前部に連結され、ほうれん草の根を切 る切断刃と切断刃を振動させる機構とを機枠に設けた根切りユニット２０とから 構成される。

【０００８】 走行ユニット１０の機枠には、バッテリー１１を動力源とするモータにより動 力伝達機構（図示せず）を介して駆動される１本の回転軸（駆動軸）１２と、こ の回転軸と平行の車軸（従動軸）１４とが回転可能に取り付けられている。バッ テリー１１はこの機枠の後方に搭載される。

【０００９】 回転軸１２の両端には小径のプーリ１５が固定される。また、車軸１４の両端 には大径の走行車輪１３が固定される。そして、このプーリ１５と走行車輪１３ との間には無端帯であるゴムクローラ１６が掛け渡される。

【００１０】 ゴムクローラ１６の内側及び外側の全面には凹凸が所定ピッチで形成されてい る。一方、回転軸１２に固定されたプーリ１５の外側面及び車軸１４に固定され た走行車輪１３の外側面には、それぞれ、ゴムクローラ１６の内側凹凸と同じピ ッチの凹凸が全域にわたって形成されている。したがって、プーリ１５の回転は ゴムクローラ１６を介して確実に走行車輪１３に伝達される。さらに、ゴムクロ ーラ１６の外側の凹凸は地面に作用して走行車輪１３のスリップを防止している 。したがって、左右の走行車輪１３の走行性は等しくなるので、野菜収穫機１の 機体は直進しやすくなる。

【００１１】 さらに、走行ユニット１０の機枠の後部にはハンドル１７が取り付けられてい る。作業者は手をハンドル１７に掛けながら自走する野菜収穫機１の後をついて 行って、もし野菜収穫機１が直線コースをはずれかかったら、ハンドル１７を手 で動かして、走行する野菜収穫機１をもとのコースに戻す。

【００１２】 走行ユニット１０の機枠には、ほうれん草の根切りユニット２０の機枠が連結 される。走行ユニット１０の機枠の横幅と根切りユニット２０の機枠の横幅とは 、図２に示すように、同一である。

【００１３】 根切りユニット２０は、ほうれん草の根を切るための切断刃２１と、この切断 刃２１を水平横方向に往復動させる（左右方向に振動させる）ための振動機構２ ２と、この振動機構２２を駆動する駆動源であるモータ２３とを含む。ほうれん 草Ｓの根を切るための切断刃２１は、根切りユニット２０の横幅と等しい長さを 持った一枚刃が使用される。図２は、ばら播きされて成育したほうれん草を、切 断刃２１がその長さに等しい幅だけ根切り作業をしながら前進することを説明し ている。

【００１４】 ほうれん草Ｓの根は、地中にすこし入ったところの位置で切断すべきである。 そこで、根切りユニット２０の切断刃２１が常にその切断位置にくるように、根 切りユニット２０の機枠にソリを取り付けて、そのソリでもって野菜収穫機１の 機体の地面に対する位置を安定させている。以下にこのソリの機枠への取り付け について説明する。

【００１５】 根切りユニット２０の機枠の左右両側に突出させた第一の支軸２２に、ほぼＬ 形をした支持脚２３の上端を回動可能に取り付ける。一方、この支持脚２３の下 端には第二の支軸２４を突出させて、その第二の支軸２４にソリ２５を回動可能 に取り付ける。

【００１６】 さらに、根切りユニット２０の機枠に固定したＬ形部材２６に調整ボルト２７ をねじ係合させる。この調整ボルト２７の先端は支持脚２３と接触して、ソリ２ ５を浮き上がらせる方向の支持脚２３の回動を規制する。調整ボルト２７を回し てＬ形部材２６からの突出量を大にすれば、ソリ２５は機枠から下降した位置に 保持される。その結果、切断刃２１はソリ２５に対して相対的に上昇した位置に 置かれるので、ほうれん草の根は地中のより浅い位置で切断されることになる。 一方、調整ボルト２７回してＬ形部材２６からの突出量を小にすれば、ソリ２５ は機枠に対し上昇した位置に保持される。その結果、切断刃２１はソリに対して 相対的に下降した位置に置かれるので、ほうれん草の根は地中のより深い位置で 切断されることになる。

【００１７】 野菜収穫機１の機体の左右両側には、すなわち、根切りユニット２０から走行 ユニット１０にかけてその左右両側には、図１の仮想線で示すように、野菜収穫 機１の機体の前後方向長さとほぼ同程度の長さと所定の高さとを備えたガード３ ０が取り付けられる。各ガード３０は、外側のプレート３０ａと内側のプレート ３０ｂとを所定間隔をもって対向させた構造を備えている。

【００１８】 このガード３０の前端は、図２に示すように、切断刃２１の左右端部のすぐ後 方に位置する。ガード３０を構成する外側のプレート３０ａは、まだ収穫してい ないほうれん草を野菜収穫機１の機体から保護するものである。走行車輪１３や ソリ２５は外側のプレート３０ａによって覆われる。詳しくは、走行車輪１３や ソリ２５は外側のプレート３０ａと内側プレートによって挟まれた空間に配置さ れる。

【００１９】 一方、ガード３０を構成する内側のプレート３０ｂは、図２に示すように、そ の前方部３１が後方に向けて傾斜している。そのため、切断刃２１で根を切断さ れて地上に置かれたほうれん草は、このガード３０を構成する内側プレート３０ ｂの前方部３１によって案内されて中央に寄せられる。すなわち、この内側プレ ート３０ｂの前方部３１は、切断刃２１で根を切断されて地上に置かれたほうれ ん草のうち左右両側のものを中央に寄せるガイドの役目をしている。さらに、内 側プレート３０ｂの中央部及び後方部は、切断刃２１で根を切断されて地上に置 かれたほうれん草が走行車輪１３やソリ２５などの部材に接触することを防いで いる。

【００２０】 ほうれん草Ｓの植わっている畑において、本考案による野菜収穫機１のモータ ２３を作動させて切断刃２１を振動させ、且つバッテリー１１をオンして走行車 輪１３を回転駆動すると、ほうれん草の収穫作業が開始される。作業者はハンド ル１７を握りながら自走する野菜収穫機１のあとをついて歩いて、機体が直進コ ースをはずれ始めたら、ハンドルを操作して元のコースに戻すようにする。

【００２１】 左右に高速振動する切断刃２１で根を切断されたほうれん草Ｓは地上に残され る。それらのうち、ガード３０を構成する内側プレート３０ｂの前方部３１と接 触したほうれん草は、内側プレート３０ｂの前方部３１によって案内され中央に 寄せられる。したがって、野菜収穫機１が通過した跡には、ほうれん草が存在し ない帯状の領域が機体の左右に必ず形成されることになる。この帯状領域の幅は ガード３０を構成する外側プレート３０ａと内側プレート３０ｂとの間隔にほぼ 等しい。そのため、外側プレート３０ａと内側プレート３０ｂとの間に配置され たソリ２５や走行車輪１３（ゴムクローラ１６）は、地上に置かれたほうれん草 を踏むことはない。すなわち、ソリ２５や走行車輪１３（ゴムクローラ１６）は 、ほうれん草が存在しない帯状の領域を通過するように構成されている。

【００２２】 この、根を切断されたほうれん草が存在しない帯状の領域を作業者が野菜収穫 機１について歩くようにすれば、作業者は足でほうれん草を踏みつけることなく 収穫作業を行うことができる。

【００２３】 図示の実施例では野菜収穫機の走行にゴムクローラを使用したが、このような 無端帯を用いず、普通の車輪を用いてもよい。

【００２４】

【考案の効果】

本考案による野菜収穫機によれば、構造簡単で、根を切断され地上に置かれた ほうれん草を走行車輪やソリが踏まずに走行でき、また、作業者が踏まずに後を ついて歩くことができる。この野菜収穫機は、畑にばら播きされて成育したほう れん草の収穫に適用できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による野菜収穫機の側面図である。

【図２】本考案による野菜収穫機の上面図である。

【図３】本考案による野菜収穫機の正面図である。

【符号の説明】

１ 野菜収穫機 １０ 走行ユニット １３ 走行車輪 １７ ハンドル ２０ 根切りユニット ２１ 切断刃 ２５ ソリ ３０ ガード

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 走行ユニットと、その走行ユニットに連
   結された根切りユニットとから構成され、 前記走行ユニットは、走行車輪と、その走行車輪を駆動
   するための駆動源と、ハンドルとを備え、 前記根切りユニットは、ほぼその幅いっぱいの長さを備
   えた、野菜の根を切断するための切断刃と、その切断刃
   を左右に振動させるための振動機構と、その振動機構を
   駆動するための駆動源と、機体の重量の一部を支えるソ
   リと、さらに、前記切断刃で根を切断したほうれん草を
   中央に寄せるためのガイドとを備えた、 野菜収穫機。
2. 【請求項２】 前記野菜収穫機の機体の左右両側には未
   収穫の野菜が機体に接触しないよう保護するガードを設
   け、そのガードの前方部の内側を後方に向けて傾斜させ
   ることによって、前記のガイドを形成した、請求項１に
   記載の野菜収穫機。
3. 【請求項３】 前記ソリは、前記根切りユニットの機枠
   に設けた支軸に回転可能に取り付けた支持脚の先端に取
   り付けられ、前記ソリの機枠に対する高さを、前記機枠
   に対する支持脚の回転を規制することによって調整する
   ようにした、請求項１に記載の野菜収穫機。