JP3095349B2 - 電気コネクタ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は雌端子を有する電気
コネクタに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】列をなすようにして複数の端子が配列さ
れた電気コネクタとして、例えば図６に示されるような
ものが知られている。図６の電気コネクタ５０はピン状
の雄端子５１がハウジング５２に植設され、それらの一
端がハウジング５２の凹所５３に突出している。図示の
例の場合、雄端子５１は上中下の三位置でそれぞれ列を
なすように複数配置されている。図示されていない相手
コネクタは上記凹所５３内で嵌合し、上記雄端子５１と
対応する位置で該雄端子５１と接続される雌端子を有し
ている。かかる雌端子は可撓部を有し、可撓部に接触部
が形成されていて上記雄端子５１と弾性接触するように
なる。

【０００３】上記のコネクタは一列あたりの端子数が多
くなると、コネクタの幅もそれだけ広くなり、上記コネ
クタ５０の凹所５３内で相手コネクタが嵌合の際にこじ
られて互いの端子を傷めたり変形させてしまう虞れがあ
る。特に雌端子にあっては、雄端子に比して剛性が高く
なく容易に変形し、接触部の機能が低下あるいはなくな
ってしまうこともある。

【０００４】そこで、図６に図示されているコネクタで
は、ハウジング５２の凹所５３の中央部に支柱５４や突
出壁５５を設けて、これに対応する溝が形成された相手
コネクタが上記支柱５４や突出壁５５により案内され
て、凹所５３内でこじられることのないように、そして
それによって互いの端子を傷めたり、塑性変形させてし
まうことのないようにしている。特に、雌端子は可撓部
を有しており、これが変形しやすく、変形してしまうと
その機能に支障が生ずる。

【０００５】かかる形式のコネクタは、例えば特公平３
−５３７５５そして実開平６−８８０７６にも開示され
ている。前者ではハウジングの凹所に支柱が、そして後
者では突出壁に類するものが設けられている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た形式のコネクタにあっては、端子が植設されているハ
ウジングの凹所内に複数の支柱そして突出壁を形成する
ために、その範囲において端子を設けることができなく
なってしまい、その結果、所定の数の端子を設けるには
コネクタが大型化してしまう。コネクタを用いる電子機
器は近来、一層の小型化を要請されており、上記のごと
くのコネクタはこれに逆行する。

【０００７】本発明はかかる問題を解決し、上述の支柱
や突出壁を設けずに所定の端子数を確保し、しかもコネ
クタのこじり挿抜に際しても端子が損傷することのない
雌端子を有する電気コネクタを提供することを目的とす
る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の電気コネクタ
は、相手コネクタの雄端子と当接して弾性接触する接触
部を有する雌端子がハウジングの凹部内で配列されてい
るが、上記雌端子はハウジングで支持されるための被支
部と該被支部から延び屈曲成形されて可撓性が与えられ
ている可撓部とを有し、該可撓部の一部は接触部が形成
されている。通常かかる雌端子は金属製の帯部材を板厚
方向に屈曲成形して作られる。その場合、被支部は概ね
直状をなし、該被支部の先端部を該被支部に対して板厚
方向で対向するように逆方向に屈曲して可撓部を形成
し、可撓部の一部を凸弯曲させてここを接触部としてい
る。

【０００９】一方、上記ハウジングは凹部内にて突出す
る保護壁を一体に有し、該保護壁は列をなす各雌端子を
それぞれ隔離する隔壁部と雌端子の端部側で各隔壁部を
連結する連結部とを有している。

【００１０】上記隔壁部と連結部は、上記可撓部の一部
及び該可撓部に対応する範囲で被支部を収容する収容空
間を形成し、接触部が該収容空間から突出している。

【００１１】かかる本発明において、各隔壁部は雌端子
の被支部を支持する側壁部で連結されているようにする
ことができる。あるいは、上記収容空間は保護壁で厚み
方向に窓状に貫通して開孔しているようにすることもで
きる。

【００１２】このような本発明による電気コネクタで
は、雌端子はその数を減らすことなく所定のピッチで配
列されており、相手コネクタの嵌合の際には、この雌端
子は先端側で連結部により保護されていてこじり挿抜し
ても相手コネクタのハウジングの一部が雌端子に当たる
ことがなく、又、隣接せる雌端子はそれらの間に位置す
る隔壁部により互いの接触も防止される。

【００１３】上記各隔壁部は、雌端子を先端部で保護す
る連結部により連結されることにより補強されるので、
薄く形成することができ、雌端子の所定ピッチを拡げる
ことなく隣接せる雌端子間に配設することが可能とな
り、所定本数の雌端子をもつコネクタとして小型化を図
ることができる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、添付図面にもとづいて本発
明の実施形態を説明する。

【００１５】図１において、右方に開放された凹部２が
形成された絶縁材から成るハウジング１は紙面に直角方
向を長手とする略直方体の外形を有している。

【００１６】上記ハウジング１はその凹部２内に突出す
るように保護壁３が設けられている。該保護壁３は、本
実施形態の場合、対称な形で対をなし、それが上下で二
対設けられている。又、対をなす二つの保護壁３の間に
は該保護壁３に平行な板状の案内壁４が設けられてい
る。上記保護壁３そして案内壁４は共にハウジング１と
一体に形成されている。

【００１７】図１に示される二対をなす四つの保護壁３
のうち最下位の保護壁３とその上に位置する案内壁４を
示す図２にも見られるように、保護壁３には溝状の複数
の収容空間３Ａが形成されている。各収容空間３Ａはハ
ウジング１の背壁５に形成されている端子挿入孔６と連
通していおり、図示のＬ字状の雌端子７が上記端子挿入
孔６から挿入され、接触部を有する先端側が上記収容空
間３Ａに収容されている。該雌端子７は、本実施形態の
場合、図１の紙面に直角方向に幅をもつ金属帯部材を屈
曲成形して作られており、ハウジング１により支持され
る被支部７Ａと、該被支部７Ａから直角に屈曲されて先
端が回路基板に接続される接続部７Ｂと、上記被支部７
Ａ側の端部で被支部７Ａに向け屈曲形成された可撓部７
Ｃとを有している。上記被支部７Ａには、一部が略Ｖ字
状に屈曲された規制部７Ａ１が設けられている。又、可
撓部７Ｃは上記規制部７Ａ１に対応した位置で頂部をな
す緩い山型形状となっている。該可撓部７Ｃの頂部が接
触部７Ｃ１を形成し、該接触部７Ｃ１と上記規制部７Ａ
１との間には所定の間隙が形成されている。なお、図２
に示される雌端子は同図で右側に位置する二つは他のも
のよりも若干幅広となっており、他のものが信号端子で
あるのに対し、電源用に使用可能である。

【００１８】上記保護壁３の各収容空間３Ａは該保護壁
３の隔壁部３Ｂ、連結部３Ｃそして側壁部３Ｄによっ
て、隣接せる収容空間３Ａと区分されるように形成され
ている。上記隔壁部３Ｂは薄く形成され、図２に見られ
るように、所定ピッチで配列された雌端子７の各々の間
に櫛歯状に列をなすように設けられ、上記連結部３Ｃに
より一列の隔壁部３Ｂがそれらの先端側で連結されてい
る。又、本実施形態では、列をなす複数の隔壁部３Ｂ及
びこれらを連結する連結部３Ｃは、薄い側壁部３Ｄによ
って連結されている。したがって、上記各雌端子７の可
撓部７Ｃとこれに対応する被支部７Ａの規制部７Ａ１の
前後の範囲は、上記保護壁３の隔壁部３Ｂ、連結部３Ｃ
そして側壁部３Ｄによって形成される上記収容空間３Ａ
に収められることとなる。その際、可撓部７Ｃの頂部で
形成される接触部７Ｃ１は上記収容空間３Ａから突出し
ている。

【００１９】本実施形態では、上記保護壁３は対向する
ように対をなして配され、しかも上下で二対設けられて
いる。そして、各対をなす二つの保護壁３の間には、既
述の案内壁４が該保護壁３と平行にハウジング１と一体
に設けられている。該案内壁４は先端部が小型となって
いて相手コネクタを案内するのに都合良くなっている。
本実施形態では、上記案内壁４は保護壁３よりも短くな
っているが、これは相手コネクタの案内の形態により定
まることであり、短くも長くも設定することが可能であ
る。

【００２０】又、上記ハウジング１に植設された雌端子
７の接続部７Ｂはホルダ８により、所定位置で安定して
保持されている。

【００２１】一方、図１及び図２に示された上記のコネ
クタに嵌合する相手コネクタは、図３に示されるよう
に、ハウジング１１内に雄端子１２が挿着されている。
該雄端子１２は、前部に板状の接触部１２Ａと後部に圧
着部１２Ｂとを有し、該圧着部１２Ｂに電線１３が圧着
結線されている。上記雄端子１２は図３にて上下で二対
対称に配され、各対の雄端子１２は紙面に直角な方向に
複数配され、上記図２に示されたコネクタの雌端子７に
対応している。

【００２２】上記各対の雄端子１２の間にあって該雄端
子１２を支持する中間壁部１４には、先方に向け開口さ
れた被案内用のスリット１５が紙面に直角方向に延びて
いる。

【００２３】かかる図３に示される相手コネクタは、図
１及び図２に示された本発明のコネクタに、図４のごと
くに嵌合される。その場合、相手コネクタはそのハウジ
ング１１の外壁面及びスリット１５にて、本発明のコネ
クタのハウジング１の凹部２そして案内壁４によりそれ
ぞれ案内される。相手コネクタの雄端子１２の接触部１
２Ａは、本発明のコネクタの雌端子７の接触部７Ｃ１を
圧して弾性変形せしめた状態で該接触部７Ｃ１と接触す
る。かかる相手コネクタとの接続において、雌端子７は
上記保護壁３により保護されるために、仮りに相手コネ
クタでこじり挿入されても何らその影響を受けず、もち
ろん損傷することがない。

【００２４】本発明は図１ないし図４に図示された例に
は限定されず、変形可能である。例えば、図５に示され
るように保護壁１６を隔壁部１７と連結部１８のみによ
り形成することもできる。すなわち、図１に示したよう
な側壁部３Ｄを設けずに、隔壁部１７と連結部１８によ
り形成される収容空間１９を窓状に貫通せしめるように
することができ、その場合には、上記側壁部が存在しな
い分だけコネクタは図５において縦方向の寸法を小さく
することが可能となる。図４のコネクタにおいても、相
手コネクタは図３の相手コネクタと図４の形態で結合さ
れる。

【００２５】

【発明の効果】本発明は以上のごとく接触部を有する雌
端子の可撓部の殆んどを、保護壁に形成された収容空間
に収めることとしたので、相手コネクタのこじり挿抜に
よっても、最も損傷され易い上記可撓部が保護される。
特に連結部による効果が大きい。又、上記収容空間を形
成する隔壁部は連結部により連結され補強されるので十
分に薄くでき、所定ピッチで配される各雌端子間に配す
ることが可能となり、該ピッチを従来のコネクタで定め
られている規定値よりも広くする必要がなく、さらには
従来のようにコネクタ内に支柱や突出壁を設けるが故に
雌端子の数を減さねばならないという事態が避けられる
ので雌端子数を最大限確保できる。換言すれば、上記ピ
ッチ方向にて、所定の数の雌端子を設けようとする場
合、従来のコネクタに比し同方向での寸法を小さくでき
るという効果も得る。これに加え、側壁部を設けずに収
容空間を窓状にすれば、保護壁の板厚方向での寸法が小
さくなり、この方向でもコネクタの小型化を図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のコネクタの一実施形態を示す断面図で
ある。

【図２】図１のコネクタの最下位にある雌端子を収容す
る保護壁及び案内壁を示す部分破断斜視図である。

【図３】図１のコネクタに嵌合される相手コネクタの断
面図である。

【図４】図１のコネクタに図３のコネクタを嵌合した際
の拡大部分断面図である。

【図５】本発明の他の実施形態を示す断面図である。

【図６】従来のコネクタの部分斜視図である。

【符号の説明】

１ ハウジング ２ 凹部 ３ 保護壁 ３Ａ 収容空間 ３Ｂ 隔壁部 ３Ｃ 連結部 ３Ｄ 側壁部 ７ 雌端子 ７Ｃ 可撓部 ７Ｃ１ 接触部 １６ 保護壁 １７ 隔壁部 １８ 連結部 １９ 収容空間

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 相手コネクタの雄端子と当接して弾性接
   触する接触部を有する雌端子がハウジングの凹部内で配
   列されている電気コネクタにおいて、雌端子はハウジン
   グで支持されるための被支部と該被支部から延び屈曲成
   形されて可撓性が与えられている可撓部とを有し、該可
   撓部の一部に接触部が形成され、上記ハウジングは凹部
   内にて突出する保護壁を一体に有し、該保護壁は列をな
   す各雌端子をそれぞれ隔離する隔壁部と雌端子の端部側
   で各隔壁部を連結する連結部とを有し、上記隔壁部と連
   結部とで上記可撓部の一部及び該可撓部に対応する範囲
   で被支持部を収容する収容空間を形成し、接触部が該収
   容空間から突出していることを特徴とする電気コネク
   タ。
2. 【請求項２】 各隔壁部は雌端子の被支部を支持する側
   壁部で連結されていることとする請求項１に記載の電気
   コネクタ。
3. 【請求項３】 収容空間は保護壁の厚み方向に窓状に貫
   通して開孔していることとする請求項１に記載の電気コ
   ネクタ。