JP3095297U - 弦楽器用の防音装置 - Google Patents

弦楽器用の防音装置

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JP3095297U
JP3095297U JP2002005990U JP2002005990U JP3095297U JP 3095297 U JP3095297 U JP 3095297U JP 2002005990 U JP2002005990 U JP 2002005990U JP 2002005990 U JP2002005990 U JP 2002005990U JP 3095297 U JP3095297 U JP 3095297U
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Abstract

(57)【要約】 [課題] 普段使用している弦楽器に防振具類を装着し
演奏した時、周囲には小さな音しか聴こえなくても、奏
者本人には大きな音(振動)として聴こえ、防音した状
態で長時間練習しても、ボーイングが下手にならない様
にするには、どの様にすれば良いのか。又、金管楽器用
の弱音器に集音マイクを内蔵させ、イヤホーンやヘッド
ホーンから大きな音を聴く事を、弦楽器においても可能
にするにはどの様にすれば良いのか。 [解決手段] 弦楽器Aの表板1に密着させ、響孔2を
蓋う表板用防振具Bや駒3に装着する駒用集音防振具C
と、音(振動)を聴くための聴振具Dとを組み合わせて
使用する。又、前述の表板用防振具Bの集音孔5の位
置、あるいは、駒用集音防振具Cの集音用小片15の差
し込み孔14に集音マイクを装備させ、イヤホーンやヘ
ッホーンから大きな音を聴く。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】 [考案の属する分野] 本考案は、ヴァイオリンやチェロ等の、弦楽器の表板や駒に装着する防振具と 音(振動)を良く聴くための聴振具との組み合わせ利用による、弦楽器用の防音 装置と防音方法に関する。
【0002】 [従来の技術] 防音対策用として、響板を使用せずに、駒の下に集音マイクを設置し、マイク が拾い集めた弦の音(振動)を、イヤホーンやヘッドホーンから大きな音として 奏者は聴く事が出来るが、周囲には小さな弦の振動(音)しか聴こえない様にし て製作された弦楽器が、すでに市販されている事は良く知られている。しかし、 前記の方法だと、普段使用している弦楽器の他に、もう一台必要になる。管の片 方の端部から音を入れると、音は空気伝達により管の中を通り、もう一方の端部 から出て行くのに加え、管自体が振動する固体伝達により、端部から端部へ振動 (音)が伝わる事も良く知られている。響孔を布やフェルトで蓋ったり、駒に弱 音器や消音器を装着して、大きな音が出な様にして練習する方法も良く知られて いるが、周囲に対してだけでなく、奏者本人にも小さな音で聴こえる。そのため に、練習に熱中して来ると、防音のための弱音してしているのにもかかわらず、 大きい音を出そうとしてボーイングに予分な力を入れてしまい、手首に良くない だけでなく、周囲にも大きな音が聴こえてしまう事が良くある。又、駒に消音器 等を装着しない状態の時、弓の弦に対する角度や圧力の加え方や、手首の動かし 方が悪いと好しくない雑音を発するのであるが、駒に消音器を装着して演奏する と、雑音の出る様な悪いボーイングをしても雑音が発せられないため、駒に消音 器を装着して長時間練習すると、ボーイングが下手になる。 弱音器に集音マイクを内蔵させ、イヤホーンやヘッドホーンから大きな音が聴 こえ、周囲には小さな音しか聴こない、金管楽器用の防音対策用の弱音器がある 事も知られているが、朝顔(ベル)に差し込んで使用するもので、弦楽器に装着 する事は、形状的に無理である。
【0003】 [考案が解決しようとする課題] 従来の技術で述べた、響板を使用しないで製作された弦楽器を使用する防音方 法は、普段使用しているものとは別に、もう一台の弦楽器が必要になり、表板に 防振具を装着して響孔を蓋う様にしたり、駒に消音器を装着する防音方法は、周 囲に対してだけでなく、奏者本人にも小さ音しか聴こえぬため、練習に熱中する と、防音しているのにもかかわらず大きい音を出そうとして、つい、強いボーイ ングになってしまったりして、ボーイングが雑になってしまうと言う問題点があ った。
【0004】 金管弦器用の弱音器に集音マイクを内蔵させ、イヤホーンやヘッドホーンから 大きな音を聴ける様にする事は、とても良い方法であるが、金管弦楽用の弱音器 を弦楽器に装着させるには、形状的に無理があると言う問題点がある。
【0005】 本考案は、従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、普段使用 している弦楽器に防振(弱音)具類を装着した時、周囲には小さな音しか聴こえ ないが、奏者本人には大きな音(振動)として聴こえ、防音した状態で長時間練 習しても、ボーイングが下手にならない様にする事と、集音マイクを装備させた 防振(弱音)具類を、普段使用している弦楽に装着可能にし、先述同様に奏者本 人にのみ、大きな音が聴こえる様にする事を目的とする。
【0006】 [課題を解決するための手段] 上記目的を達成するために、本考案における弦楽器用の防音装置は、電気を使 用しない方法として、響孔を蓋う様にして表板に密着せて装着する表板用防振具 や、駒に装着する駒用集音防振具と、振動(音)を良く聴くための聴振具とを組 み合せて使用する。
【0007】 電気を使用する方法として、上記の防振具類を利用して、表板用防振具の集音 孔の位置、又は駒用集音防振具の差し込み孔の位置に集音マイクを装備し、集音 マイクが拾い集めた音(振動)をイヤホーンやヘッドホーンから大きな音として 聴く。
【0008】 [考案の実施の形態] 考案の実施の形態を図面を参照し、電気を使用しない方法から説明する。 図1においては、弦楽器Aの表板1と駒3の両方とも防振具が装着されている が、先ず、表板用防振具Bだけを装着した場合から説明する。 フェルト、又はゴム等の防振材4に集音孔5を設け、外被6に接続口7が装備 され、全体として平たい形状の表板用防振具Bを、伸縮性に富んだ素材の帯8等 を用い、響孔2を蓋う様にして表板1に密着させる。次に、聴振具Dの管10を 表板用防振具Bの接続口7に接続する。聴振具Dは、医師が診察の際に使用する 聴診器を改良したもので、聴診器の様に耳の孔に入れるだけで器具の重さを支え る形状のものでも良いが、管10の重さを耳の孔だけで長時間支えていると耳の 孔が痛くなるので、聴振部13を耳の中に入れ、中を空洞にした共鳴部9を耳の 外側に当てて、奏者Eの頭で聴振具Dの重さを支える方が好ましい。上記の状態 で弦楽器Aを演奏すると、周囲には表板1の振動を押え、弦楽器A内の音が響孔 2から大気中に広がるのを防げられた小さい音しか聴こえないが、奏者Eの耳に は大きい音(振動)が聴こえる。この時、駒3には何も装着されていないので、 先述の様な悪いボーイングをすると好ましくない雑音を発するので、ボーイング を正しくする気使いを忘れぬため、ボーイングが下手になる心配は無用である。 次に、表板用防振具Bの装着と、聴振具Dとの接続は、そののままにした状態 に加え、駒3に従来の弱音器、又は駒用集音防振具Cを装着すると、周囲に聴こ える音量は、弦楽器Aに表板用防振具Bの方だけを装着した時よりも更に小さく なる。駒3に従来の弱音器、又は駒用集音防振具Cを装着して演奏した時、ボー イングに対する悪影響(悪いボーイングをしても雑音が出ない事。)が一弦11 の方に著しく出る時には、駒用集音防振具C、又は弱音器を四弦12の方に寄せ 、四弦12の方に悪影響が著しく出て来る時は、駒用集音防振具C又は弱音器を 一弦11の方に寄せて、駒3に装着すると良い。図1は、駒用集音防振具Cを駒 3に装着する際、四弦12の方に寄せて装着している。上記の様に、駒3に防振 具類を装着すれば、表板1の振動も弱まるので、表板用防振具Bに管10を接続 している聴振具Dから聴こえて来る音(振動)も小さくなって当然の事である。 駒用集音防振具Cは共振性に富む駒3の振動を拾い集め易い材質で、聴振具D へ振動を伝えるための管10を差し込む、差し込み孔14を設けた集音用小片1 5と、側面から見ると逆U字状の防振具16を一つに組み合わせて使用するもの で、駒3の平らな方の面に集音用小片15を当てがい、先述の防振具16を固定 具と兼ねて上から差し込み、駒3と集音用小片15とを密着させて固定する。次 に、表板1に装着された二つの表板用防振具Bに接続された図1に示す所、左側 の管10を抜き取り、先述の集音用小片15の差し込み孔14に差し替える。管 10を抜き取った後の接続口7には、音が洩れない様に栓をしておくと良い。上 記の状態で弦楽器Aを演奏すると、奏者Eの耳には、聴振具Dの右側の聴振部1 3からは駒3の振動が押えられ、表板1の振動も押えられた弦楽器A内の音(振 動)が聴こえて来、左側の聴振部13からは、集音用小片15から伝わって来る 振動(音)が、管10内の空気伝達と、管10自体が振動する固体伝達との両方 が一緒になって大きく聴こえる。表板用防振具Bの接続口7に管10の先端部1 0aを接続した時、弦楽器A内の音(振動)を、主に管10内の空気伝達により 聴振部13から聴いているのであるが先端部10aを図中の二点鎖線に示す様に 裏板18に接するまで差し込むと、裏板18の振動に管10自体が一緒に振動す る固体伝達が加わり、より大きな音(振動)として聴く事が出来る。聴振具Dの 片方の聴振部13から表板用防振具Bと駒用集音防振Cとの両方からの音(振動 )を聴きたい時は、聴振具Dへの配管に二股アダプター17を使用すれば良い。 又、表板用防振具Bや、駒用集音防振具Cと聴振具Dとの組み合わせ方は、奏 者Eの欲する音の好みに合わせ、演奏する曲ごとに自由に組み替えると良い。駒 用集音防振具Cについであるが、駒3へ装着する際に、支障が生じない形状であ れば、集音用小片15と防振具16が、初めから一体化した物でも構わない。
【0009】 続いて、電気を使用する方法について説明する 先述請求項1に記載した表板用防振具Bと駒用集音防振具Cを利用し、表板用 防振具Bの集音孔5の位置、又は駒用集音防振具C集音用小片15の差し込み孔 14の位置に集音マイク(図示省略)を装備し、集音マイクをアンプに接続し、 イヤホーン、又はヘッドホーンをアンプに接続して弦楽器Aを演奏すると、周囲 には、表板1や駒3に防振具類を装備した小さい音しか聴こえないが、奏者E本 人にはイヤホーン、又はヘッドホーンからの大きい音(振動)が聴こえる。上述 の様に、弦楽器用の防振具類に集音マイクを装備する事が大切な事柄である。
【0010】 [考案の効果] 本考案は、上述のとおり構成されているので、次に記載する効果を奏する。
【0011】 響孔を蓋う様に、表板に密着させた表板用防振具と聴振具とを組み合わせて使 用して弦楽器を演奏すると、周囲には小さな音しか聴こえなくても。奏者本人に は大きな音(振動)が聴こえ、防音した状態で長時間練習しても、ボーイングが 下手にならない。上記の状態に加え、駒に従来からある弱音器、又は本考案の駒 用集音防振具を装着して演奏すると、周囲に聴える音は更に小さくなる。駒用集 音防振具と聴振具とを組み合わせると、駒の振動を押えるのと同時に、集音用小 片が駒の振動を拾い集めたものを、管が空気伝達と固体伝達により振動(音)を 聴振具に伝えたものを聴く事が出来る。上記の防音装置は普段使用している弦楽 器への着脱が容易で、一部屋全部に防音工事を施こす事に比べ、経済的である。
【0012】 上記の防振具類へ集音マイクを装備し、イヤホーンやヘッドホーンから大きな 音を聴く事は、先述の金管楽器用の弱音器に集音マイクを内蔵させた場合と原理 は同じである。しかし、金管楽器用の弱音器を弦楽器に装着する事は出来ないが 、先述の弦楽器用の防振具は弦楽器への着脱が容易なのは言うまでもなく、すな わち、普段使用している弦楽器を、そのまま使用出来るので、防音対策用のもの を別にも一台購入しなくて済む。又、コードが不要の集音マイクを使用すると、 コードがボーイングの防げになる心配は無用になる。
【提出日】平成14年11月27日(2002.11.27)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する分野】
本考案は、ヴァイオリンやチェロ等の弦楽器を練習演奏する際に、防音のため に弦楽器に装着する防音装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の防音対策を施した練習用弦楽器の一例について、参考のため図1を参照 して説明する。図1は、弦楽器(A)の弦に垂直に共鳴胴を切断した時の概略断 面図である。 従来の防音対策は、弦楽器の響板である表板(1)を取りはずし、 駒(3)の下方に集音マイクロフォンを設けたものが知られている。しかしこの 対策では、演奏に通常用いる楽器の他に別構造の練習用楽器が必要になる。
【0003】 また別の防音対策として、響孔(2)を布やフェルトで蓋って大きな音が発生 しないようして練習することも知られている。しかしこの対策では、周囲に対し てだけでなく奏者本人に聴こえる音も小さい。その結果、練習に熱中すると防音 のために弱音対策を講じているにも係らず強音を発生させようとしてボーイング に力を入れてしまい、手首に良くない影響を与えるだけでなく、周囲への防音効 果も無くなる結果がしばしば起る。
【0004】 また別の防音対策として、駒(3)に消音器や弱音器を装着して練習すること も知られている。通常、正常な弦楽器を用いた演奏において、弦に対する弓の角 度や圧力の加え方、或は手首の動かし方が適正でないと、好ましくない雑音の発 生が起るのが一般的である。しかし駒に消音器を装着して演奏すると、雑音が発 生するような悪いボーイングをしても雑音が聴こえない。従って、駒に消音器を 装着して長時間練習すると、弓を使うボーイングはかえって下手になる。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
本考案の課題は上記従来技術の問題点を解消することであり、通常演奏に使用 している弦楽器に簡単に装着することが可能な防音装置を提供することである。 しかも演奏時に周囲には小さな音しか聴こえないが奏者本人には大きな音として 聴こえ、防音した状態でボーイングが適正か否か判るため長時間練習してもボー イングが下手にならないようにした防音装置の提供を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案によれば、響孔を蓋うように表板に密着させて装着する表板用防振具や 駒に密着させて装着する駒用集音防振具と、振動音を良く聴くための聴音具とを 組合せて上記目的を達成できる。 すなわち第1の本考案は、弦楽器(A)の表板 (1)に密着させて左右の響孔(2)を個別に蓋う表板用防振具(B)と、主要 部が弦楽器(A)の空洞内からの振動音を伝達する導管(10)に共鳴部(9) を介して接続された聴振部(13)からなる聴音具(D)と、により構成される 防音装置であって、前記各防振具(B)は、前記導管(10)を板状の防振材( 4)が前記響孔(2)に対応する部位に設けられた接続口(7)から弦楽器の空 洞内へ気密に差し込むことができるように形成したことを特徴とする弦楽器用の 防音装置の考案である。
【0007】 また、第2の本考案は、弦楽器(A)の表板(1)に密着させて左右の響孔( 2)を個別に蓋う表板用防振具(B)と、主要部が弦楽器(A)の空洞内からの 振動音を伝達する導管(10)に共鳴部(9)を介して接続された聴振部(13 )からなる聴音具(D)と、弦楽器(A)の駒(3)に装着して弦の振動音を集 音する駒用集音防振具(C)と、からなる防音装置であって、前記各防振具(B )は、前記導管(10)を板状の防振材(4)が前記響孔(2)に対応する部位 に設けられた接続口(7)から弦楽器の空洞内へ気密に差し込み得るように形成 し、前記駒用集音防振具(C)は、振動良導材に前記導管(10)を気密に差し 込み接続し得る挿入孔(14)を設けてなる集音用小片(15)を逆U字状の固 定具(16)により駒(3)に密着固定し得るように形成し、前記聴音具(D) を構成する導管(10)の片方を二股アダプター17により分岐させたこと を特 徴とする弦楽器用の防音装置の考案である。
【0008】
【考案の実施の形態】
第1の本考案に係る弦楽器用防音装置の一事例を図1に沿って説明する。図1 は弦楽器(A)の弦に垂直にしかも駒を外れるように共鳴胴を切断した時の概略 断面図 である。防振材4はフェルト、ゴム等を板状に形成したもので、左右の響 孔2を個別に蓋う に充分な大きさである。これを表板1に装着した時に響孔に対 応する部位に、導管10を気密に差し込むことができる接続口7を備える。接続 口7は防振材の材質が適切であれば防振材4に直接設けても良いが、気密に差し 込むための構造の一実施例として 、図1では防振材4自体には集音孔5と呼ぶ響 孔の幅一杯の開口を設け、気密性を付与するために軟質の導管10の直径より僅 かに小さい直径を有する接続口7を開口した硬質の外被6を防振材4の上に載せ た実施形態を示してある。またこのように重ねた防振材と外被を伸縮性に富んだ バンドに留金を付けた帯8を用いて、夫々の響孔2を蓋うように表板1に密着さ せた状態の表板用防振具Bを図示してある。
【0009】 本考案に係る聴音具Dは、医師が診察の際に使用する聴診器のように耳の孔に 入れる聴振部13と、中を空洞にした共鳴部9と、弦楽器Aの空洞内空気の振動 音を伝達する軟質の導管10とから主要部が構成される。導管10の重量を耳の 孔に入れた聴振部だけで長時間支えると苦痛を生じるので、図1に示したように 共鳴部に支え板バネを付け、バネの力により共鳴部9を介して聴振部13を耳に 保持すると共に奏者Eの頭部で聴音具Dの重量を支える方が好ましい。導管10 は空気の導通口が設けられた共鳴部9を介して聴振部13に接続される。
【0010】 上記の通りにして表板用防振具Bを演奏用の弦楽器Aに密着して装着し、聴音 具Dの各導管10を防振具Bの各接続口7に差し込み装着する。この状態で弦楽 器Aを演奏すると、防振具Bが表板1の振動を抑えると共に響孔2から空洞内空 気の振動音が直接的に周囲に拡がるのを妨げる作用をする結果、周囲には小さな 音しか聴こえない。しかし、空洞内空気の振動音は聴音具Dの導管内空気により 空気伝達されるので、奏者の耳には大きい振動音が聴こえる。この実施形態では 駒3に弱音器が装着されていないので、前述のように悪いボーイングをした際に 発生する雑音を充分聞き分けることが可能であり、本防音装置を用いることでボ ーイングが下手になるという心配は無用である。なお、本防音装置を用いた状態 で必要に応じて駒3に従来の弱音器を装着することは可能である。
【0011】 次に第2の本考案を同じく図1に沿って説明する。第2の本考案に係る防音装 置は、上記第1考案の防音装置に加え、駒用集音防振具Cを付加し、これにも聴 音具Dの導管10を気密に接続するように形成したものである。図1において駒 用集音防振具Cは、集音用小片15とこれを駒3に密着固定する逆U字状の固定 16からなる。集音用小片15は、共振性に富む駒3の振動を拾い易い性質を 持つ材質である振動良導材を用い、これに前記導管10を気密に差し込み接続す ることができる挿入孔14を設けた小片である。
【0012】 図1において、駒3の平らな面に集音小片15を当てがい、上記逆U字状の 定具 16を上方から駒を跨ぐように差し込むことにより集音小片15を駒3に密 着固定する。固定を充分にするため当業者に知られているように、U字の奥の部 分を幾分狭くすると好ましい。固定具16は、駒3の防振作用と集音小片15の 固定と兼ねている。なお、駒3に装着する際に支障がない形状と材質であれば、 集音用小片15と固定具16は初めから一体化したものでも良い。
【0013】 図1の実施形態においては、聴音具Dの一方の導管10を一方の表板用防振具 Bの接続口7に気密に接続し、他方の導管10を二股アダプター17により分岐 した先の1方は本考案に係る駒用集音防振具Cの挿入孔14に気密に差し込み接 続し、分岐した他方は表板用防振具Bの接続口7に気密に接続した態様を二点鎖 線で図示してある。この態様で演奏すると、周囲に聴こえる音量は表板用防振具 のみを装着した第1考案に係る場合よりも更に小さくなる。これは、駒用集音防 振具Cを駒3に装着することで弦の振動を受けた駒の振動が弱められるのに伴い 表板1の振動も弱められるからである。また、奏者は導管が空気伝達する空洞内 空気の振動音に加え、導管が固体伝達する駒の振動音をも聴くことができる。
【0014】 別の実施形態として、上記実施態様において二股アダプター17から分岐した 先にある一方の導管を表板用防振具Bの接続口7から抜き取り、導管の開口部と 接続口7に音が漏れないような栓をする。つまり、この実施形態に係る聴音具D は、駒用集音防振具Cにのみ接続した導管と表板用防振具Bにのみ接続した導管 とを用いることになる。この状態で弦楽器Aを演奏すると、奏者の片方の耳には 表板1の振動も駒3の振動も抑えられた弦楽器の空洞内の振動音が聴こえ、他方 の耳には集音用小片15から導管10の固体振動により伝えられる振動音が聴こ える。奏者に聴こえる音は第1実施形態の場合より小さく、長時間の練習にも耳 が疲労しにくい。なお、前記の第2本考案に用いる導管10に接続された二股ア ダプター17とその先の管を取り外し、残った導管を挿入口14へ差し込み、接 続口7を栓で塞ぐと上記と同等な実施態様を実現することが可能である。
【0015】 本考案に係る駒用集音防振具Cを駒3の中央部に装着して演奏した時、悪いボ ーイングをしても雑音が聴こえないなどの悪影響が第一弦11を弾いた時に著し く出る場合は、図1に示したように防振具Cを第四弦12の方に寄せて装着すれ ば悪影響を軽減でき、逆に第四弦の方に悪影響が著しい場合は、第一弦の方に寄 せて装着すると悪影響を軽減できる。
【0016】 第1考案と第2考案に共通する別の実施形態として、導管の先端10aの位置 を図1中に二点鎖線で示したように裏板18に接触するまで導管を深く差し込み 接続する。この実施形態において奏者の耳には、導管10内の空気振動により伝 達される弦楽器空洞内空気の振動音のほか、導管10自体の固体伝達により伝達 される表板1の振動音に加えて裏板18の振動音も固体伝達されるので、固体伝 達による振動音を多く聴くことができる。これにより、奏者は固体伝達による振 動音を加減して程よい音量で聴くことができる。
【0017】 本考案に係る表板用防振具Bや駒用集音防振具Cと聴音具Dとの組合せ方は、 上記実施形態に記載したように多様であり、奏者は欲する音の好みに合わせて組 合せ方を選択することが可能であり、また演奏する曲ごとに自由に組み替えて使 用すると良い。
【0018】
【考案の効果】
本考案に係る弦楽器用の防音装置は、通常の演奏に用いる弦楽器に装着して使 用するので従来のように別個に練習用の楽器を必要とせず、しかも通常の演奏に 用いる弦楽器への脱着が容易であり、周囲への防音対策を行いながら通常の弦楽 器を使用して実際的な練習ができる。
【0019】 本考案に係る表板用防振具を響孔を蓋うように表板に密着させ、聴音具と組合 せて使用すると、弦楽器の空洞内空気の振動音が響孔から直接的に周囲へ拡がる のを防振具が抑えるため、周囲には小さな音しか聴こえないが、奏者本人には聴 音具の作用により大きな音が聴こえる。また、防音対策した状態で長時間練習し ても、正常な手首の動きと力で演奏するのでボーイングが下手にならない。
【0020】 本考案に係る表板用防振具を響孔を蓋うように表板に密着させ、更に駒用集音 防振具を駒に装着し、聴音具と組合せて使用すると、表板及び駒の振動を抑える ことで周囲に聴こえる音は更に小さくなる。また、二股アダプターを使用すると 集音用小片が拾い集めた駒の振動音を導管が固体伝達すると共に空洞内空気の振 動音を導管が空気伝達により聴振部に伝える。奏者は両方を適度に調整し、第1 考案の場合より小さいが程よい音量で聴くことができる。この結果、正常な手首 の動かし方と力により存分な練習を長時間継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】弦楽器を緒留(tail−piece)の方か
ら見た縦断面図である。
【符号の説明】
A 弦楽器、B 表板用防振具、C 駒用集音防振具、
D 聴振具、E 奏者、1 表板、2 響孔、3 駒、
4 防振材、5 集音孔、6 外被、7 接続口、8
帯、9 共鳴部、10 管、11 一弦、12 四弦、
13 聴振部、14 差し込み孔、15 集音用小片、
16 防振具、17 二股アダプター、18 裏板。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年11月27日(2002.11.
27)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【考案の名称】 弦楽器用の防音装置
【実用新案登録請求の範囲】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案に係る防音装置を装着した弦楽器を
に垂直に切断した断 面を緒留( tail-piece )側から見
た概略図である。
【符号の説明】 A弦楽器 B表板用防振具 C駒用集音防振具 D
音具 E奏者 1表板 2響孔 3駒 4防振材 5集音孔
6外被 7接続口 8帯 9共鳴部 10導管 11第
一弦 12第四弦 13聴振部 14挿入孔 15集音用小片 16
固定具 17二股アダプター 18裏板

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弦楽器(A)の表板(1)に密着させて
    響孔(2)を蓋う表板用防振具(B)や、駒(3)に装
    着する駒用集音防振具(C)の様に、弦楽器(A)の発
    する音(振動)を小さくするための防振具と、振動
    (音)を良く聴くための聴振具(D)とを組み合わせて
    使用する事により、周囲には小さな音しか聴こえない
    が、奏者(E)本人には大きな音(振動)が聴こえる様
    にする、弦楽器用の防音装置と防音方法(電気を使用し
    ない方法)。
  2. 【請求項2】 先述請求項1記載の防振具類を利用し、
    表板用防振具(B)の集音孔(5)の位置、又は駒用集
    音防振具(C)の差し込み孔(15)の位置に集音マイ
    ク(図示省略)を装備し、集音マイクが拾い集めた音
    (振動)をイヤホーンやヘッドホーンから、大きな音と
    して聴く、防音方法(電気を使用する方法)。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105513573A (zh) * 2016-01-17 2016-04-20 罗洋洋 便于电贝司夜间练习使用的分体式下弦枕

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