JP3094364B2 - 空気精紡機のスピンドル部材 - Google Patents

空気精紡機のスピンドル部材

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JP3094364B2
JP3094364B2 JP09122461A JP12246197A JP3094364B2 JP 3094364 B2 JP3094364 B2 JP 3094364B2 JP 09122461 A JP09122461 A JP 09122461A JP 12246197 A JP12246197 A JP 12246197A JP 3094364 B2 JP3094364 B2 JP 3094364B2
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宏二 出野
陽子 南
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Murata Machinery Ltd
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Murata Machinery Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ドラフト装置によ
ってドラフトされた無撚の短繊維束に旋回気流を作用さ
せて加撚することによって、紡績糸を製造する空気精紡
機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本出願人は、図2に示す紡績装置を使っ
て実撚状紡績糸を製造する空気精紡機を先に提案して、
既に別途出願している。
【0003】前記紡績装置は、ドラフト装置を出た繊維
束に旋回気流を作用させるノズルを有するノズル部材
と、該ノズル部材からの旋回気流が作用する地点に先端
部を位置すると共に糸通路となる中空部を有するスピン
ドル部材と、その入口へ先端を向けて突出するガイド部
材とから構成されており、ドラフト装置を出た繊維束
は、ノズルから噴出する空気流の作用により発生する吸
引流によって装置内に引き込まれ、繊維束の全ての繊維
の前端は、ガイド部材の周囲から、糸に形成されつつあ
る繊維束に引かれてスピンドル内に導かれる。また、繊
維の後端部は、前記吸引流及びノズルからの旋回気流に
よってスピンドル入口から反転すると共に各繊維に分離
される。後端の分離した繊維は、前記ノズルからの旋回
気流にさらされ、糸の走行に伴って、糸に形成されつつ
ある繊維束の周囲に巻き付きながら前記スピンドル内に
導入されることによって、実撚状の紡績糸を形成するこ
とになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の紡績装
置においては、紡績された糸の糸強力が十分でなく、種
々のノズル形状及びスピンドル形状を試行錯誤して研究
が進められてきた。
【0005】本発明は、上記従来の紡績機が有する問題
点を解決し、糸強力を増大させることが出来るスピンド
ル形状を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1の発明においては、ドラフト装置を出た繊
維束に旋回気流を作用させるノズル部材と、糸通路とな
る中空部を有するスピンドル部材とで構成される紡績部
を有する空気精紡機の、前記スピンドル部材の先端部が
球面状に丸められていることを要旨とする。従って、前
記旋回気流によって分離された後端の繊維は、糸の走行
に伴って、糸に形成されつつある繊維束の周囲に巻き付
いて実撚状の紡績糸となる際に、該旋回気流による繊維
の旋回が滑らかに行われると共に、前記スピンドル内に
引き込まれる時に無理な力が掛からず、安定した張力を
保ちながら、繊維束への巻き付き及びスピンドル内への
引き込みが行われるようになって、その結果糸強力を大
きくすることができた。請求項2の発明においては、上
記スピンドル部材が、表面を光沢研磨されていることを
要旨とする。従って、該スピンドル先端部での、前記分
離された繊維の繊維束への巻き付き及びスピンドル内へ
の引き込みが、さらに安定して行われるようになって、
糸強力の安定と紡績性の向上に効果があった。請求項3
の発明においては、上記スピンドル部材が、セラミック
から成ることを要旨とする。従って、該スピンドル部材
を一体成形品として製作でき、また長期間紡績しても磨
耗することなく、安定した糸品質を得ることができるよ
うになった。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図1な
いし図4に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係
わるスピンドルの先端形状を表す拡大図であって、
(a)は本発明によるスピンドル先端形状であり、
(b)は従来のスピンドル先端形状である。図2は本発
明が適用される紡績装置の断面図である。図3は本発明
が適用される紡績機の全体正面図である。図4は数値解
析による空気流れの様子であって、(a)は本発明によ
る先端が球面状のスピンドルの場合の空気流れの様子を
示し、(b)は従来のスピンドルの先端部の空気流れの
様子を示している。
【0008】先ず本発明が適用される紡績機について説
明する。図3に示すように、本紡績機は紡績ユニットU
が多数配列された構成となっており、スライバLがドラ
フト装置Dに送られ紡績部Spにより紡績糸Yに形成さ
れた後、該紡績糸YはニップローラRn及びスラブキャ
ッチャーZ等を経て巻き取り部Wに巻き取られる。Pは
糸継ぎを行うピーシング装置であり、紡績機の長手方向
に沿って紡績機の内部下方を走行するように構成されて
いる。
【0009】図2に示すように本発明が適用される紡績
装置はドラフト装置Dと紡績部Spとから構成されてい
る。該ドラフト装置Dは、バックローラRb,サードロ
ーラRt,エプロンを有するセカンドローラRs及びフ
ロントローラRfからなる所謂4線式のドラフト装置で
あって、それぞれ一対のローラから成る。該ドラフト装
置DはスライバガイドTを経て供給されるスライバLを
所定の細さに引き延ばす装置であって、各ローラの回転
速度を段々増加することによってドラフトを行う。
【0010】前記ドラフト装置Dを通過することにより
所定の細さにドラフトされたスライバLは、ノズル部材
N及びスピンドル部材Sからなる紡績部Spに供給され
紡績糸Yに形成される。該スピンドル部材Sは、静止又
は回転するスピンドル1を含み、前記ノズル部材Nは複
数個の接線方向に穿孔された空気噴射孔(ノズル)nを
有しており、該噴射孔から圧縮空気を前記スピンドル1
の先端部に向けて噴射することによって発生する旋回気
流によって紡績糸Yを形成する。
【0011】前記ドラフト装置のフロントローラRfを
出た繊維束は、空気噴射孔nから噴出する空気流の作用
により発生する吸引流によって、ガイド部材4の支持部
材5の孔6からケーシング内に引き込まれ、繊維束のほ
とんど全ての繊維の前端は、ガイド部材4の周囲から、
糸に形成されつつある繊維束に引かれてスピンドル1内
の糸通路2に導かれる。又、繊維の後端側は、前記吸引
流及び前記空気噴射孔nからの旋回気流によってスピン
ドル先端部3から反転すると共に各繊維に分離される。
【0012】前記分離された繊維は、空気噴射孔nから
の旋回気流にさらされ、糸の走行に伴って、糸に形成さ
れつつある繊維束の周囲にらせん状に巻き付きながら前
記スピンドル内に導入されることにより、実撚風の紡績
糸を形成する機構となっている。この時のガイド部材4
は、糸形成過程における撚の伝播を阻止し、或いは中心
繊維束の代わりを一時的に果たす、いわゆる疑似芯の働
きをなし、従来の空気式結束紡績糸に顕著に現れる無撚
の芯繊維の形成を阻止して、事実上巻付繊維のみによっ
て糸を形成する働きをなすものである。
【0013】図1−(a)に示すように、本発明におい
てスピンドル先端3aを球面状に面取りを施し該先端外
周部を円弧状角部としたために、該スピンドル先端部に
おいて、前記空気噴射孔nからの旋回気流による繊維の
旋回が滑らかに行われると共に、前記スピンドル内に引
き込まれる時に無理な力が掛からず、安定した張力を保
ちながら、繊維束への巻き付き及びスピンドル内への引
き込みが行われるようになった。更に、該スピンドルを
セラミック製(アルミナ)とし表面を光沢研磨(表面粗
度0.8s程度)したところ、上記で説明した繊維の旋
回、及びスピンドル内への引き込みが安定して行われる
ようになって、糸切れが減少し紡績性が明らかに向上し
た。
【0014】ここで、本発明による図1−(a)に示す
球面状の形状をしたスピンドル先端3aと、図1−
(b)に示す平面状の先端をした従来のスピンドル先端
3bとを使用して紡出実験をした時の糸物性の比較をし
た。その結果を表1に示す。この時の機台条件は、糸速
350m/min ,トータルドラフトを153、メインドラ
フトを45、噴射エアー圧は4kg/cm2 であって、綿糸
Ne20及びNe30を紡出した時の結果である。
【表1】
【0015】表1に記載されているように、糸強力、伸
度それに糸ムラの程度を表す均斉度のいずれもが、本発
明による先端が球面状のスピンドルを使用した場合に良
化しており、本発明品の効果が確認された。また該スピ
ンドル先端部に空気噴射孔nから圧縮空気を噴射した時
の空気の流れの様子をコンピュータにより数値解析を行
った。その結果を図4に示す。(a)は本発明による先
端が球面状のスピンドルの先端部の空気流れを示し、
(b)は従来のスピンドルの先端部の空気流れを示して
いる。尚、該数値計算はスピンドル先端部A−A断面に
て行い、その断面中の圧縮空気噴出n1を含む1/4領
域分を示しており,それぞれ球面状のスピンドル先端の
端部3atとノズル部材内壁Ntの間、従来のスピンド
ル先端の端部3btとノズル部材内壁Ntの間の空気流
れの様子を示すものであって、矢印の方向が空気流れの
方向を示し、矢印の長さが風速の概略の大きさを示して
いる。図4から明らかのように、従来のスピンドルでは
その先端部の一部に渦流SWが発生しているが、本発明
による先端が球面状のスピンドルの場合は、渦流は発生
せず滑らかな層流流れSSであることが判る。この結果
からでも、本発明による先端が球面状のスピンドルが、
旋回空気流を利用した空気紡績に効果があることが理解
される。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
スピンドル先端部の形状を球面状に丸くしたために、該
スピンドル先端部において前記空気噴射孔nからの旋回
気流による繊維の旋回が滑らかに行われると共に、前記
スピンドル内に引き込まれる時に無理な力が掛からず、
安定した張力を保ちながら、繊維束への巻き付き及びス
ピンドル内への引き込みが行われるようになった結果、
従来のスピンドル形状で紡績した糸と比較して、糸強
力、糸物性が共に良化し、又紡績中の糸切れが減少する
等の効果が得られた。さらに該スピンドルをセラミック
製として表面を光沢研磨したために、該スピンドルを一
体成形品として製作でき、又長期間紡績しても磨耗する
ことなく、安定した糸品質を得ることができるようにな
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるスピンドルの先端形状を表す拡
大図であって、(a)は本発明によるスピンドル先端形
状であり、(b)は従来のスピンドル先端形状である。
【図2】本発明が適用される紡績装置の断面図である。
【図3】本発明が適用される紡績機の全体正面図であ
る。
【図4】数値解析により得られた空気流れの様子であっ
て、(a)は本発明による先端が球面状のスピンドルの
先端部の空気流れの様子を示し、(b)は従来のスピン
ドル先端部の空気流れの様子を示している。
【符号の説明】
1 スピンドル 2 糸通路 3a スピンドル先端(球面状) 3b スピンドル先端(平面状) 4 ガイド部材 5 支持部材 Sp 紡績部 N ノズル部材 Nt ノズル部材内壁 S スピンドル部材 D ドラフト装置 P ピーシング装置 L スライバ Y 紡績糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01H 1/115 D01H 4/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドラフト装置を出た繊維束に旋回気流を
    作用させるノズル部材と、糸通路となる中空部を有する
    スピンドル部材とで構成される紡績部を有する空気精紡
    機の、前記スピンドル部材の先端部が球面状に丸められ
    ていることを特徴とする空気精紡機のスピンドル部材。
  2. 【請求項2】 上記スピンドル部材が、表面を光沢研磨
    されていることを特徴とする請求項1に記載のスピンド
    ル部材。
  3. 【請求項3】 上記スピンドル部材が、セラミックから
    成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のスピンド
    ル部材。
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JP6031847B2 (ja) 2012-06-22 2016-11-24 村田機械株式会社 中空ガイド軸体、空気紡績装置、及びこれを備える糸巻取機

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