JP3093934B2 - バイト工具による主軸回転角制御式切削加工方法 - Google Patents

バイト工具による主軸回転角制御式切削加工方法

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JP3093934B2
JP3093934B2 JP06255557A JP25555794A JP3093934B2 JP 3093934 B2 JP3093934 B2 JP 3093934B2 JP 06255557 A JP06255557 A JP 06255557A JP 25555794 A JP25555794 A JP 25555794A JP 3093934 B2 JP3093934 B2 JP 3093934B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、バイト工具による切削
加工方法に関し、特に同時多軸制御機能を有するNC工
作機械などによる切削加工に使用するバイト工具による
主軸回転角制御式の切削加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ボーリング工具などのバイト工具
による切削加工は、バイト工具を主軸に装着し、主軸の
回転数を制御して主軸を軸線方向、即ちZ軸方向へ移動
させることによりバイト工具の切刃によってワークテー
ブル上の被加工物に対してバイト半径の穴加工を行う。
【0003】この切削加工は、ボーリング加工と云わ
れ、バイト工具のバイト半径により一義的に決まる内径
のストレート穴の加工に限定される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のバイト工具によ
る切削加工は、バイト工具を単に回転させるだけの単純
な主軸回転式切削加工であり、この切削加工において
は、ストレート穴の加工に限定され、しかもバイト工具
のバイト半径により加工穴径が一義的に決まるため、加
工穴径毎に所要のバイト半径を有するバイト工具を準備
し、また加工穴径の変更の度に主軸に装着するバイト工
具を加工穴径に適合するバイト工具に交換する必要があ
る。
【0005】また従来のバイト工具による切削加工で
は、一つの穴加工において、粗加工、中仕上げ加工、仕
上げ加工を行う場合には、粗削り用バイト工具、中削り
用バイト工具、仕上げ削り用バイト工具が個々に必要
で、一つの穴加工でも工具交換を行わなければならな
い。
【0006】更に、面取り加工がある場合には、更に面
取り用バイト工具が必要で、面取り加工に際して更に工
具交換を行う必要がある。
【0007】工具交換はマシニングセンタなどの工作機
械の稼動率を低下させる原因になる。
【0008】本発明は、上述の如き問題点に着目してな
されたものであり、バイト半径に関係なく一本のバイト
工具により任意の内径の穴加工、任意の外径の外周面加
工、その他、テーパ加工、球面加工、多角形加工、ねじ
切り加工、フランジ面加工、自由形状加工を回転切削方
式にて効率よく行い、しかも粗加工、中仕上げ加工、仕
上げ加工、面取り加工に際して工具交換を必要としない
新規な主軸回転角制御式の切削加工方法を提供すること
を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明による主軸回転角制御式切削加工方法は、
自身の中心軸線周りの回転角を定量的に制御可能な主軸
主軸の中心軸線を中心として複数個の切刃を放射線状
に有するバイト工具を取り付け、前記主軸の主軸中心の
被加工物に対する相対的な移動軌跡、主軸と被加工物
とをXY軸の軸制御により前記主軸の回転軸線に直交す
XY平面で前記被加工物の加工面に沿って相対変位さ
せ、主軸の主軸中心から前記被加工物の加工すべき加工
面までの直線距離を常に一定に保つよう相互補間運動を
行わせ、前記主軸の回転角を前記軸制御に対して所定の
相関関係をもって同期制御することにより主軸の回転角
の全回転角位置にて、バイト工具の刃先における前面と
被加工物の加工面との角度を一定の角度となるように
ちながら、前記複数個の切刃より選択された一つの切刃
によって前記相互補間運動による補間軌跡により決まる
曲面形状にすることを特徴としている。
【0010】本発明による主軸回転角制御式切削加工方
法においては、前記複数個の切刃は各々被加工物に実質
的に点接触するシングルポイントバイトであることを詳
細な特徴としている。
【0011】また本発明による主軸回転角制御式切削加
工方法においては、前記複数個の切刃は粗削り用切刃と
中削り用切刃と仕上げ削り用切刃と面取り用切刃のうち
の少なくとも二つを含んでいることをもう一つの詳細な
特徴としている。
【0012】
【作用】上述の如き構成によれば、主軸の主軸中心の被
加工物に対する相対的な移動軌跡を、主軸と被加工物と
をXY軸の軸制御により前記主軸の回転軸線に直交する
XY平面で前記被加工物の加工面に沿って相対変位させ
て、主軸の主軸中心から前記被加工物の加工すべき加工
面までの直線距離を常に一定に保つよう相互補間運動を
行わせ、前記主軸の回転角を前記軸制御に対して所定の
相関関係をもって同期制御することにより主軸の回転角
の全回転角位置にて、バイト工具の刃先における前面と
被加工物の加工面との角度を一定の角度となるように
ちながら、前記複数個の切刃より選択された一つの切刃
によって前記相互補間運動による補間軌跡により決まる
形状に被加工物が切削される。
【0013】各切刃がシングルポイントバイトであるこ
とにより、ヘール加工用の総形バイト工具による場合に
比して切削抵抗が小さく、このことにより軸制御による
相互補間運動の速度を速めることが可能になる。
【0014】また複数個の切刃は粗削り用切刃と中削り
用切刃と仕上げ削り用切刃と面取り用切刃のうちの少な
くとも二つを含んでいることにより、それら切刃の選択
使用によって一つのバイト工具で、粗加工、中仕上げ加
工、仕上げ加工、面取り加工などの複数種類の加工が行
われる。
【0015】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面を用いて詳細に
説明する。
【0016】図1、図2は本発明による主軸回転角制御
式切削加工方法による切削加工を内周面加工に適用した
実施例を示している。
【0017】バイト工具50は、バー部分52を有し、
バー部分52の先端部に粗削り用切刃54と仕上げ削り
用切刃56と二つ面取り用切刃58、60の4個の切刃
をバー部分52の中心軸線を中心として放射線状に互い
に90度の位相角をもって取り付けられている。
【0018】バー部分52の根元部にはATCアーム係
合用周溝部62と主軸係合用テーパ軸部64とがバー部
分52と同心に設けられており、バイト工具50は主軸
係合用テーパ軸部64をもって工作機械の主軸66に形
成されているテーパ状の工具受け入れ孔68に同心嵌合
する。これによりバー部分52は主軸66の中心軸線C
sに同心に装着される。
【0019】主軸66にはキー70が取り付けられてお
り、キー70は、ATCアーム係合用周溝部62に形成
されている位置決めキー溝72に係合し、バイト工具5
0の回り止めと回転方向の位置決めとを行う。位置決め
キー溝72は、粗削り用切刃54に対して90度回転変
位した位置に形成されている。
【0020】主軸66はサーボモータ21(図5参照)
により自身の中心軸線Cs周りに回転角を定量的に制御
され、この回転角の原点をキー70の主軸回転方向の配
置位置に設定されている。
【0021】上述のキー係合によりバイト工具50は主
軸66に対して回転方向に一義的に位置決め装着され、
主軸66が原点位置にある場合には、粗削り用切刃54
は、図2に示されているように、その原点位置より90
度回転変位した位置に位置する。
【0022】本発明による主軸回転角制御式切削加工方
法では、主軸中心Csの被加工物Wに対する相対的な移
動軌跡が切削すべき形状に適合したものとなるように、
すなわち、主軸66の主軸中心Csから前記被加工物W
の加工すべき加工面までの直線距離を常に一定に保つよ
うに換言すればバイト工具50のバイト半径の距離に保
つように主軸66と被加工物Wとを軸制御、この場合、
X軸制御とY軸制御とにより主軸66の回転軸線に直交
するXY平面に沿って相対変位させて主軸66と被加工
物Wとの間に真円の相互補間運動を行わせ、主軸66の
回転角をX軸制御とY軸制御とに対して所定の相関関係
をもって同期制御することにより主軸66の全回転角位
置にて被加工物Wの内周面に対するバイト工具50の刃
先方向を所定の方向に保ち、換言すれば図3に示されて
いるように、図示例では粗削り用切れ刃54と被加工物
Wのバイト工具50の刃先における前面と被加工物W
加工面すなわち内周面との角度を一定の角度β(図3参
照)となるように保ち、粗削り切れ刃54が、前記相互
補間運動による補間軌跡(主軸中心軌跡)L(図3参
照)による決まる形状、即ち真円の断面形状に被加工物
Wの内周面を粗切削する。
【0023】図3に示されているように、バイト工具5
0の中心から粗削り用切刃54の刃先までの距離、即ち
バイト半径をTr、被加工物Wの加工半径Rとすると、
主軸中心Csと被加工物Wの中心CwとはR−Tr=e
だけ偏心しており、補間軌跡Lは(R−Tr)を半径と
し、被加工物Wの中心Cwと同心の真円となる。
【0024】図3に示された状態より主軸66の回転角
を、X軸制御およびY軸制御との同期制御において18
0度進めると、仕上げ削り用切刃56が被加工物Wの内
周面に対して角度βを一定に保ち、粗削り用切刃54に
代わって仕上げ削り用切刃56が、前記相互補間運動に
よる主軸中心軌跡Lにより決まる真円の横断面形状に被
加工物Wの内周面を仕上げ切削する。
【0025】また図3に示された状態より主軸66の回
転角を、X軸制御およびY軸制御との同期制御において
90度あるいは270度進めると、面取り用切刃58あ
るいは60が被加工物Wの面取り加工面に対して角度β
を一定に保ち、面取り用切刃58あるいは60が、前記
相互補間運動による主軸中心軌跡Lにより決まる真円の
横断面形状に被加工物Wの面取り加工を行う。
【0026】このような主軸66の回転角制御により、
内周面の粗加工、仕上げ加工、面取り加工を、工具交換
を必要とすることなく一つのバイト工具50で行うこと
ができる。
【0027】なお、バイト工具50の切刃の個数は、4
個に限定されることはなく、隣接する切刃が相互に干渉
しない範囲で、4個以上の複数個であってもよい。また
切刃の組み合わせも上述の実施例のものに限定されるこ
とはなく、中仕上げ削り用切り刃が設けられてもよい。
またバイト半径Trは各切刃54、56、58、60
で、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
【0028】ここで使用されるバイト工具50の各切刃
54、56、58、60はシングルポイントバイトであ
る。ここで云うシングルポイントバイト工具は、被加工
物に実質的に点接触する形式のバイト工具、換言すれば
非総形のバイト工具の総称であり、これには、穴ぐりバ
イト、中ぐりバイト、突切りバイト、ねじ切りバイト、
丸こまバイト、旋削バイトなどがある。
【0029】図4は外周面加工の例を示している。な
お、図4において図3に対応する部分は図3に付した符
号と同一の符号を付けてその説明を省略する。
【0030】バイト工具50は、内周面加工用のものと
同様の構成のものであってよく、バー部分52の先端部
に粗削り用切刃54と仕上げ削り用切刃56と二つ面取
り用切刃58、60の4個の切刃をバー部分52の中心
軸線を中心として放射線状に互いに90度の位相角をも
って取り付けられている。
【0031】この場合もバイト工具50は、図示されて
いないが、上述の実施例のものと同様に、主軸係合用テ
ーパ軸部をもって主軸66に形成されているテーパ状の
工具受け入れ孔に同心嵌合する。これによりバー部分5
2は主軸66の中心軸線Csに同心に装着される。また
バイト工具50は、図示されていないが、上述の実施例
のものと同様に、主軸66にキー係合することにより、
主軸66に対して回転方向に一義的に位置決め装着され
る。
【0032】この場合も、X軸制御とY軸制御とにより
主軸66の回転軸線に直交するXY平面に沿って相対変
位させて主軸66と被加工物Wとの間に真円の相互補間
運動を行わせ、主軸66の回転角をX軸制御とY軸制御
とに対して所定の相関関係をもって同期制御することに
より主軸66の全回転角位置にて被加工物Wの外周面に
対するバイト工具50の刃先方向を所定の方向に保ち、
図示例では図4に示されているように、バイト工具50
における粗削り用切れ刃54の刃先における前面と被加
工物Wの加工面すなわち外周面との角度を一定の角度β
となるように保ち、粗削り用切れ刃54が、前記相互補
間運動による補間軌跡(主軸中心軌跡)Lによる決まる
形状、即ち真円の断面形状に被加工物Wの外周面を粗切
削する。
【0033】図4に示された状態より主軸66の回転角
を、X軸制御およびY軸制御との同期制御において18
0度進めると、仕上げ削り用切刃56が被加工物Wの内
周面に対して角度βを一定に保ち、粗削り用切刃54に
代わって仕上げ削り用切刃56が、前記相互補間運動に
よる主軸中心軌跡Lにより決まる真円の横断面形状に被
加工物Wの外周面を仕上げ切削する。
【0034】また図4に示された状態より主軸66の回
転角を、X軸制御およびY軸制御との同期制御において
90度あるいは270度進めると、面取り用切刃58あ
るいは60が被加工物Wの面取り加工面に対して角度β
を一定に保ち、面取り用切刃58あるいは60が、前記
相互補間運動による主軸中心軌跡Lにより決まる真円の
横断面形状に被加工物Wの面取り加工を行う。
【0035】このような主軸66の回転角制御により、
外周面の粗加工、仕上げ加工、面取り加工を、工具交換
を必要とすることなく一つのバイト工具50で行うこと
ができる。
【0036】図5は本発明による主軸回転角制御式切削
加工方法の実施に使用するNC工作機械の一例を示して
いる。NC工作機械は、ベッド1と、ベッド1上にY軸
方向に移動可能に設けられてY軸テーブル3と、Y軸テ
ーブル3上にX軸方向に移動可能に設けられてX軸テー
ブル5とを有し、X軸テーブル5上に被加工物Wを固定
載置される。Y軸テーブル3はY軸サーボモータ7によ
ってY軸方向に駆動され、X軸テーブル5はX軸サーボ
モータ9によってX軸方向に駆動され、X軸テーブル5
上の被加工物Wは、Y軸サーボモータ7によるY軸テー
ブル3のY軸方向の移動とX軸サーボモータ9によるX
軸テーブル5のX軸方向の移動により、X軸とY軸によ
る水平面に沿ってX座標とY座標による任意に座標位置
に軸制御する。
【0037】NC工作機械のコラム11にはZ軸スライ
ダ13が上下方向、即ちZ軸方向に移動可能に装着され
ており、Z軸スライダ13はZ軸サーボモータ15によ
ってZ軸方向に駆動される。
【0038】Z軸スライダ13には主軸頭17が取り付
けられており、主軸頭17には上述の主軸66がZ軸と
同一方向の軸線周り、即ちC軸周りの回転可能に装着さ
れている。
【0039】主軸66は主軸モータであるC軸サーボモ
ータ21により回転駆動されると共にC軸回転角を定量
的に制御される。
【0040】ここで、X軸とY軸による被加工物Wの移
動平面は主軸66の回転軸線、即ちC軸(Z軸)に直交
する平面である。
【0041】X軸サーボモータ9、Y軸サーボモータ
7、Z軸サーボモータ15、C軸サーボモータ21の各
々にはロータリエンコーダ25、27、29、31が装
着されており、このロータリエンコーダ25、27、2
9、31は各軸のサーボモータ9、7、15、21の回
転角を検出し、回転角情報をNC装置33へ出力する。
このうちC軸サーボモータ21のロータリエンコーダ3
1は、アブソリュート型のロータリエンコーダにより構
成され、主軸66の回転角を、前記原点を絶対基準位置
として計測する。
【0042】NC装置33は、図6に示されているよう
に、NC加工プログラムを実行して各軸指令を出力する
プログラム実行部35、プログラム実行部35より軸指
令を入力して補間演算を行う補間演算部37とを有し、
補間演算部37は、X、Y、Z、Cの各軸の移動量を指
令値として各軸の位置制御・駆動部39、41、43、
45へ出力する。
【0043】位置制御・駆動部39、41、43、45
は、各々同軸のロータリエンコーダ25、27、29、
31より回転角情報を入力し、位置フィードバック補償
制御により演算される各軸の操作量をもって各軸のサー
ボモータ9、7、15、21の駆動を制御する。
【0044】本発明により主軸回転角制御式切削加工方
法においては、主軸中心の被加工物Wに対する相対的な
移動軌跡が切削すべき形状に適合したものになるように
X、Y、Zの各軸の指令量をNC加工プログラムで設定
しておき、このNC加工プログラムの実行によってバイ
ト工具50と被加工物WとをX、Y、Zの軸制御、少な
くともX、Yの軸制御によって主軸66の回転軸線に直
交する平面に沿って相対変位させてバイト工具50と被
加工物Wとの間に相対補間運動を行わせ、主軸66の回
転角をX、Y、Zの各軸の軸制御に対して所定の相関関
係をもって同期制御し、主軸66の全回転角位置にて被
加工物Wの加工面に対するバイト工具50の刃先方向を
所定の方法、例えば法線方向に保って切刃54、56、
58、60の何れ一つで、被加工物Wを相対補間運動に
よる補間軌跡により決まる形状に切削する。
【0045】この場合、X、Yの2軸の各軸制御は相互
に90度の位相差を有する三角関数を含む方程式により
定義される軌跡を描くよう行われる。
【0046】この主軸回転角制御式切削加工方法におい
ては、主軸66の回転角制御と、X、Yの同時2軸制
御、あるいはX、Y、Zの同時3軸制御との組み合わせ
により、バイト工具50のバイト半径に関係なく一本の
バイト工具によって任意の内径の穴加工、任意の外径の
外周面加工、テーパ加工、球面加工、多角形加工、ねじ
切り加工、フランジ面加工、自由形状加工を行うことが
でき、またシングルポイントバイト工具の使用のもと
に、切削加工速度が総形バイト工具を使用したヘール加
工に属する切削加工法による場合に比して3〜20倍に
向上する。
【0047】次に本発明により主軸回転角制御式切削加
工方法における移動制御と同期制御との詳細を円筒内外
周面加工について個別に説明する。
【0048】円筒面の半径をR、1回転当たりのZ軸方
向送り量をp、Z軸方向送り開始位置のZ軸座標をZo
とすると、各回転角位置における刃先の座標位置(X
t,Yt,Zt)はX軸方向を原線とする角度θを媒体
変数として下式の関数式により与えられる。 Xt=Rcosθ Yt=Rsinθ Zt=Zo−(p/2π)θ
【0049】円筒内面加工では、図3に示されているよ
うに、刃先軌跡のXY平面における加工面外向き法線ベ
クトル→n=(nx,ny)は下式により示される。 nx=−cosθ ny=−sinθ
【0050】従って、主軸中心軌跡、即ち主軸中心座標
位置(Xs,Ys,Zs)は下式により示される。
【数1】Xs=Xt+nx・Tr=Rcosθ−Trc
osθ=(R−Tr)cosθ Ys=Yt+ny・Tr=Rsinθ−Trsinθ=
(R−Tr)sinθ Zs=Zt−Tz
【0051】この場合、主軸中心座標位置(Xs,Y
s)によるX軸とY軸との同時2軸制御により、バイト
工具50と被加工物Wとの間に相互円弧補間運動が行わ
れ、その円弧補間軌跡として、主軸中心軌跡は真円をな
す。ただし、Trはバイト工具50のバイト半径、Tz
は工具長さ(主軸66のZ軸原点から刃先までのZ軸方
向の軸長)である。
【0052】円筒内面加工ではX軸方向を原線とする主
軸回転角度αは下式により示される。
【数2】α=tan-1(ny/nx)+γ=tan
-1(−sinθ/−cosθ)+γ=θ+π+γ
【0053】ここで、γは切刃選択角であり、図示例で
は、γ=0度で面取り用切刃58が、γ=90度で粗削
り用切刃54が、γ=180度で面取り用切刃60が、
γ=270度で仕上げ削り用切刃56が選択される。
【0054】上述の条件を満たしてX、Y、Zの各軸の
軸制御が行われ、この軸制御に対して主軸回転角度αが
同期制御されることにより、切刃選択角γの設定によっ
て選択された一つの切刃54、56、58あるいは60
は、主軸66の全回転角位置にて被加工面に対して常に
法線を向くようになり、切刃選択角γの設定によって選
択された一つの切刃によって任意の半径Rの円筒内面加
工が行われる。
【0055】これによりバイト半径に関係なく一本のバ
イト工具50により任意の半径の円筒内面加工を行うこ
とができた上で、工具交換を必要とすることなく、粗加
工、中仕上げ加工、仕上げ加工、面取り加工が行われ
る。このことにより工具交換の頻度が低下し、工作機械
の稼動率が向上し、併せて必要工具個数が削減され、シ
ールマガジンの小容量化が行われる。
【0056】円筒外面加工では、図4に示されているよ
うに、刃先軌跡のXY平面における加工面外向き法線ベ
クトル→n=(nx,ny)は下式により示される。 nx=cosθ ny=sinθ
【0057】従って、主軸中心軌跡、即ち主軸中心座標
位置(Xs,Ys,Zs)は下式により示される。
【数3】Xs=Xt+nx・Tr=Rcosθ+Trc
osθ=(R+Tr)cosθ Ys=Yt+ny・Tr=Rsinθ+Trsinθ=
(R+Tr)sinθ Zs=Zt−Tz
【0058】円筒外面加工ではX軸方向を原線とする主
軸回転角度αは下式により示される。
【数4】α=tan-1(ny/nx)+γ=tan
-1(sinθ/cosθ)+γ=θ+γ 従って、円筒内面加工時と同様に、上述の条件を満たし
てX、Y、Zの各軸の軸制御が行われ、この軸制御に対
して主軸回転角度αが同期制御されることにより、切刃
選択角γの設定によって選択された一つの切刃54、5
6、58あるいは60は、主軸66の全回転角位置にて
被加工面に対して常に法線を向くようになり、切刃選択
角γの設定によって選択された一つの切刃によって任意
の半径Rの円筒外面加工が行われる。
【0059】なお、Xs=(R+Tr)cosθ、Ys
=(R+Tr)sinθは、主軸中心Csが、図4に示
されているように、Z軸方向で見て被加工物Wの外側に
ある場合に成立し、主軸中心CsがZ軸方向で見て被加
工物Wの内側にある場合には、Xs=(R−Tr)co
sθ、Ys=(R−Tr)sinθとなる。
【0060】めねじ切り加工は円筒内面加工と同様の同
期制御で、Zs=Zt−Tzがねじピッチに応じて適正
値に設定されればよく、またおねじ切り加工は円筒外面
加工と同様の同期制御で、Zs=Zt−Tzがねじピッ
チに応じて適正値に設定されればよく、何れの場合もR
値の設定により任意のねじ径のめねじ或いはおねじのね
じ切り加工が行われる。
【0061】テーパ加工、球面加工、多角形加工、フラ
ンジ面加工、自由形状加工などにおいても、それらの切
削形状に応じて円筒面加工における場合と同等に、X、
Y、Zの各軸の軸制御が行われ、この軸制御に対して主
軸回転角度が同期制御されることにより、切刃選択角の
設定によって選択された一つの切刃によって、テーパ加
工、球面加工、多角形加工、フランジ面加工、自由形状
加工が行われる。
【0062】テーパ加工、球面加工、多角形加工、フラ
ンジ面加工における軸制御について詳細な説明が必要な
らば、本願出願人と同一の出願人による特願平6−21
1137号の明細書および図面を参照されたい。
【0063】上述の軸制御および主軸回転角制御は、上
述の関数式の演算をNC装置内部で行って座標位置デー
タを得る方法と、NC加工プログラム作成時点で予め座
標位置データを点群データとしてプログラムに記述して
おく方法の何れにより行われてもよい。
【0064】以上に於ては、本発明を特定の実施例につ
いて詳細に説明したが、本発明は、これに限定されるも
のではなく、本発明の範囲内にて種々の実施例が可能で
あることは当業者にとって明らかであろう。
【0065】
【発明の効果】以上の説明から理解される如く、本発明
による主軸回転角制御式切削加工方法によれば、主軸の
主軸中心の被加工物に対する相対的な移動軌跡を、主軸
と被加工物とをXY軸の軸制御により前記主軸の回転軸
線に直交するXY平面で前記被加工物の加工面に沿って
相対変位させて、主軸の主軸中心から前記被加工物の加
工すべき加工面までの直線距離を常に一定に保つよう相
互補間運動を行わせ、前記主軸の回転角を前記軸制御に
対して所定の相関関係をもって同期制御することにより
主軸の回転角の全回転角位置にて、バイト工具の刃先に
おける前面と被加工物の加工面との角度を一定の角度と
なるように、被加工物の加工面に対するバイト工具に取
り付けた各切刃の刃先角度を常に所定の角度方向に保ち
ながら、前記複数個の切刃より選択された一つの切刃に
よって前記相互補間運動による補間軌跡により決まる
形状に切削が行われるから、バイト半径に関係なく一
本のバイト工具により任意の内径の円筒内外周面加工、
その他、テーパ加工、球面加工、多角形加工、ねじ切り
加工、フランジ面加工、自由形状加工が行われる。
【0066】バイト工具としてシングルポイントバイト
工具を使用することにより、総形バイト工具による場合
に比して切削抵抗が小さくなり、このことにより軸制御
による相互補間運動の速度を総形バイト工具を使用した
ヘール加工に属する切削加工法による場合に比して3〜
20倍程度速くすることが可能になる。
【0067】円筒内外周面加工においては、従来のボー
リング加工と同一のバイト工具で、同一の切削能率を得
ながら、上述の相互補間運動の円弧補間径を変更するこ
とにより、一本のバイト工具で、任意の穴径あるいは外
径を切削することができ、さらには、加工途中で円弧補
間径を間欠的に、あるいは連続的に変更することで、テ
ーパ加工、球面加工など、任意形状の加工を行うことが
できる。
【0068】さらに、バイト半径に関係なく一本のバイ
ト工具により任意の半径の円筒内面加工を行うことがで
きた上で、工具交換を必要とすることなく、粗加工、中
仕上げ加工、仕上げ加工、面取り加工が行われることに
より、工具交換の頻度が低下し、工作機械の稼動率が向
上し、併せて必要工具個数が削減され、ツールマガジン
の小容量化が行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による主軸回転角制御式切削加工方法に
よる切削加工を内周面加工に適用した実施例を示す側面
図である。
【図2】本発明による主軸回転角制御式切削加工方法に
よる切削加工を内周面加工に適用した実施例を示す正面
図である。
【図3】本発明による主軸回転角制御式切削加工方法に
よる円筒内面加工例を示す説明図である。
【図4】本発明による主軸回転角制御式切削加工方法に
よる円筒外面加工例を示す説明図である。
【図5】本発明による主軸回転角制御式切削加工方法の
実施例に使用するNC工作機械の一例を示す概略斜視図
である。
【図6】本発明による主軸回転角制御式切削加工方法の
実施例に使用するNC工作機械の制御系を示すブロック
線図である。
【符号の説明】
3 Y軸テーブル 5 X軸テーブル 7 Y軸サーボモータ 9 X軸サーボモータ 13 Z軸スライダ 15 Z軸サーボモータ 17 主軸頭 21 C軸サーボモータ 25、27、29、31 ロータリエンコーダ 33 NC装置 35 プログラム実行部 37 補間演算部 39、41、43、45 位置制御・駆動部 50 バイト工具 52 バー部材 54 粗削り用切刃 56 仕上げ削り用切刃 58、60 面取り用切刃 64 主軸係合用テーパ軸部 66 主軸 68 工具受け入れ孔 70 キー 72 位置決めキー溝
フロントページの続き (72)発明者 荒木 正文 静岡県沼津市大岡2068の3 東芝機械株 式会社 沼津事業所内 (56)参考文献 特開 平5−42452(JP,A) 特開 昭58−149102(JP,A) 実開 平3−126508(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23B 1/00 B23B 29/00 - 29/34 B23B 35/00 B23B 39/00 - 39/28 B23B 41/00 - 41/16 B23C 3/00 B23D 5/00 - 5/04 B23Q 15/00 - 15/28

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自身の中心軸線周りの回転角を定量的に
    制御可能な主軸(66)に主軸(66)の中心軸線を中
    心として複数個の切刃(54、56、58、60)を放
    射線状に有するバイト工具(50)を取り付け、前記
    軸(66)の主軸中心(Cs )の被加工物(W)に対
    する相対的な移動軌跡、主軸(66)と被加工物
    (W)とをXY軸の軸制御により前記主軸(66)の回
    転軸線に直交するXY平面で前記被加工物(W)の加工
    面に沿って相対変位させ、主軸(66)の主軸中心(C
    s)から前記被加工物(W)の加工すべき加工面までの
    直線距離を常に一定に保つよう相互補間運動を行わせ、
    前記主軸(66)の回転角を前記軸制御に対して所定の
    相関関係をもって同期制御することにより主軸(66)
    の回転角の全回転角位置にて、バイト工具(50)の刃
    先における前面と被加工物(W)の加工面との角度を一
    定の角度(β)となるように保ちながら、前記複数個の
    切刃(54、56、58、60)より選択された一つの
    切刃によって前記相互補間運動による補間軌跡により決
    まる曲面形状にすることを特徴とする主軸回転角制御式
    切削加工方法。
  2. 【請求項2】 前記複数個の切刃(54、56、58、
    60)は各々被加工物(W)に実質的に点接触するシン
    グルポイント工具であることを特徴とする請求項1に記
    載の主軸回転角制御式切削加工方法。
  3. 【請求項3】 前記複数個の切刃(54、56、58、
    60)は粗削り用切刃と中削り用切刃と仕上げ削り用切
    刃と面取り用切刃のうちの少なくとも二つを含んでいる
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の主軸回転角制
    御式切削加工方法。
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