JP3092278B2 - 浮上型ヘッドスライダ - Google Patents

浮上型ヘッドスライダ

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JP3092278B2 JP03343635A JP34363591A JP3092278B2 JP 3092278 B2 JP3092278 B2 JP 3092278B2 JP 03343635 A JP03343635 A JP 03343635A JP 34363591 A JP34363591 A JP 34363591A JP 3092278 B2 JP3092278 B2 JP 3092278B2
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  • Adjustment Of The Magnetic Head Position Track Following On Tapes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気記録媒体の記録再
生、特に例えばハードディスク型ドライブ装置によって
記録再生を行う浮上型ヘッドスライダに係わる。
【0002】
【従来の技術】電子計算機等の外部記憶装置として用い
られるハードディスク装置 (HDD:Hard Disc Drive)
等の磁気記録再生には、記録媒体との相対的走行によっ
て生じる空気流により、記録媒体面上に一定の間隔をも
って対向するようになされた浮上型ヘッドスライダが用
いられる。この浮上型スライダは、その記録媒体の記録
面と対向する浮上面(ABS面:Air Bearing Surface)
が、例えば記録媒体との相対的走行方向に延長するレー
ル状に加工されて、例えば上述の空気流の流出端後部
に、例えば磁気ヘッドの磁気ギャップが臨むように構成
されている。
【0003】図9及び図10は、この浮上型ヘッドスラ
イダを記録媒体上における所定の記録トラック上に移動
する方式いわゆるシーク方式の各例を示す略線的な説明
図である。図9は、記録媒体1例えば磁気ディスクの半
径方向に、矢印kで示すようにスライダ10が移動する
いわゆる直動方式を採る場合で、この場合スライダ10
と記録媒体1との相対的走行方向(以下走行方向とい
う)と、この記録媒体1の環状の記録トラック2の接線
方向との成す角度いわゆるスキュー角が常に0となるよ
うになされている。
【0004】また図10に示す例においては、スライダ
10が中心位置3を回転中心として記録媒体1の表面に
沿って矢印mで示すように回動するようなされ、かつこ
のスライダ10を固定する支持体として鉤状に折れ曲が
ったアームいわゆるベントアーム4が用いられ、このベ
ントアーム4の先端部の延長方向即ちスライダ10の上
述した浮上面の延長方向が、常に記録トラック2の接線
方向と重なるように構成されてなり、上述の直動方式を
採る場合と同様にスキュー角が常に0となるようになさ
れている。
【0005】このようにスキュー角を0とすることによ
って、スライダ10の浮上面における記録媒体1との相
対的走行方向に生じる空気流の流れの態様が一定とな
り、これにより記録トラック2に対する位置ずれの発生
を抑制して、浮上型ヘッドスライダ10上に設ける記録
再生ヘッドの電磁変換特性の安定化をはかるようにする
ことができる。
【0006】しかしながらこの場合、記録媒体1の内周
側と外周側において、この記録媒体1と浮上型ヘッドス
ライダ10との相対的走行方向の速度即ち線速度が異な
り、外周側においては、内周側に比して浮上面に対する
空気圧が大となる。従って、スライダ10の浮上量は、
このスライダ10を固定するアーム例えばベントアーム
4によってその上部から押しつけるサスペンションばね
による力と、浮上面に発生する空気流による圧力の積
分、即ち浮揚力とのバランスにより決まるものであるの
で、上述したように、空気圧が変化するために、記録媒
体1の外周側においては、浮上量が内周側に比して大と
なってしまう。
【0007】このように浮上量が変化すると、スライダ
10上の記録再生ヘッドと記録媒体1との間の距離が変
動することとなって記録再生の際のスペーシング損失を
一定に保てなくなり、これによりS/N比、C/N比等
の変動を招来し、記録再生特性の劣化を招くという問題
がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述したよ
うな、スキュー角が常に0となるシーク方式を用いた場
合において浮上量の変動を抑制し、スペーシング損失を
一定に保持して記録再生特性の安定化をはかる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明浮上型ヘッドスラ
イダは、その一例の略線的側面図を図1に示すように、
浮上型ヘッドスライダ10の記録媒体との相対的走行に
よって生じる空気流の流出端後部11に、記録媒体から
の空気圧を受けないヘッド搭載部12を設ける。
【0010】
【作用】上述したように、本発明浮上型ヘッドスライダ
10は、記録媒体1との相対的走行方向に生じる空気流
の流出端後部11に記録媒体1からの空気圧を受けない
ヘッド搭載部12を設けて、このヘッド搭載部12にヘ
ッドを搭載する構成とするものであり、このような構成
とすることによって、スキュー角を常に0とするシーク
方式を採る場合においても、その浮上量の変動を抑制す
ることができた。これは次の理由によるものと思われ
る。
【0011】図2に従来の浮上型ヘッドスライダの一例
の略線的拡大側面図を示す。スライダ10の浮上面13
は、例えば記録媒体1との相対的走行方向に沿って延長
するように設けられた溝(図示せず)を挟んでその両側
にレール状に構成される。この浮上面13の記録媒体1
との相対的走行によって生じる矢印aで示す空気流の上
流側にはテーパ面14が設けられて、浮上面13が記録
媒体1に沿う方向に関して角度θをもってテーパ面14
に向かって上向きに傾斜し、その下流側即ち空気流の流
出端後部11に設けられる薄膜ヘッド等の例えば磁気ヘ
ッドの磁気ギャップgがテーパ面14より記録媒体1に
近づいて、この磁気ギャップgと記録媒体1との間隔即
ち浮上量FHが、より小となるようになされている。
【0012】図3に従来のスライダの浮上量の変動を示
す。この例においては、図4に示す浮上型ヘッドスライ
ダ10をモデルとしてシミュレーションを行った結果
で、スライダ10の記録媒体1との相対的走行方向の長
さLS が4.0mm、幅WS が3.2mm、テーパ面1
4の長さLT が0.38mm、このテーパ面14及び浮
上面13の共通の幅WR が0.68mm、スライダ10
の厚さが1.27mm、浮上面13とテーパ面14との
成す角度が0.85degのスライダ10に対し、この
スライダ10を上から押しつける負荷荷重を6.0g
f、記録媒体1の回転数を3600RPM(回転数/
分)としてシミュレーションを行ったものである。図3
から、記録媒体1の内周側から外周側に向かってスライ
ダ10の浮上量FHが徐々に大となっていることがわか
る。
【0013】そしてこのスライダ10の上述した図2に
おけるピッチ角θの変動についてシミュレーションした
結果を図5に示す。図5から、このピッチ角θもまた、
浮上量FHと同様に、記録媒体1の内周側から外周側に
向かって徐々に大となっていることがわかる。
【0014】これら図3及び図5の結果から、浮上型ヘ
ッドスライダ10は記録媒体1の内周側において浮上量
及びピッチ角が比較的小さく、外周側においては浮上量
及びピッチ角が比較的大となることがわかる。このこと
から、図6に示すように、記録媒体1の内周側における
浮上型ヘッドスライダ10Aの浮上量FHA 及びピッチ
角θA に比し、外周側における浮上型ヘッドスライダ1
0Bの浮上量FHB 及びピッチ角θB が大となり、この
図6からわかるように、各状態におけるスライダ10の
浮上面13の流出端後部11側に延長した延長線上の交
点は、スライダ10が内周側に位置するか、外周側に位
置するかに関わりなく不動となると思われる。この位置
を不動点15とする。
【0015】従って本発明浮上型ヘッドスライダ10に
おいては、図1に示すように、記録媒体との相対的走行
によって生じる空気流の流出端後部11に記録媒体1か
らの空気圧を受けないようなヘッド搭載部12を設け、
このヘッド搭載部12上に記録再生ヘッドを設けること
によって、例えば磁気ヘッドの磁気ギャップgを上述の
不動点15に相当する位置或いはその近傍に設けること
ができて、従来に比し格段に浮上量の変動を低減化する
ことができることとなる。
【0016】このように浮上量の変動を低減できること
から、本発明浮上型ヘッドスライダにおいては、ヘッド
のスペーシング損失の変動を抑制することができて、電
磁変換特性等の記録再生特性の安定化をはかることがで
きる。
【0017】
【実施例】以下本発明浮上型ヘッドスライダの一例を、
その浮上量のシミュレーション結果と共に詳細に説明す
る。この場合、図1に示すように、浮上型ヘッドスライ
ダ10の流出端後部11に、記録媒体1からの空気圧を
受けない、例えば棒状のヘッド搭載部12をスライダ1
0と一体に設け、このヘッド搭載部12の後端部12a
の下端に記録再生ヘッド例えば磁気ヘッドの磁気ギャッ
プgを設ける構成とする。
【0018】このような構成において、ヘッド搭載部1
2の長さLH 、即ちスライダ10の流出端後部11とヘ
ッド搭載部12の後端部12aとの間隔に相当し、実質
的に搭載するヘッドの移動距離に相当する長さは、記録
媒体上での各位置における浮上量変動の分散が最小とな
るように、いわゆる最小二乗法によって求めた。この最
小二乗法について説明する。
【0019】図1における磁気ギャップgの浮上量は、
図6において説明した不動点15の記録媒体1からの高
さに相当する。従って、記録媒体1上の例えばn個の各
位置における浮上量Zi (i=1、2、‥‥n)は、各
位置における流出端後部11の浮上量をFHi 、ピッチ
角をθi とすると、下記数1によって表される。
【数1】 (但しi=1、2、‥‥n)
【0020】ここで、規範に下記数2に示す二乗誤差を
用いる。
【数2】
【0021】但し、上記数2においてZi の平均値は下
記数3により表される。
【数3】
【0022】最小二乗法とは、上述の数2で表される規
範を最小にするように、パラメータ即ちこの場合ヘッド
搭載部12の長さLH を決定する方法である。即ち下記
数4となるように長さLH を求める。
【数4】
【0023】従って上述の数4を長さLH で偏微分して
0となるようなLH を求めれば良い。即ち下記数5とな
るようにする。
【数5】
【0024】実際に各浮上量Zi 、及びこの浮上量の平
均値を代入して偏微分を行うと、条件式は下記数6で表
される。
【数6】
【0025】従って、求める長さLH は下記数7により
表される。
【数7】
【0026】本実施例においては、上述の図4において
説明した浮上型ヘッドスライダを用いて、各部の形状寸
法を前述したシミュレーションと同様に選定して、上述
の不動点における浮上量Zi 、ピッチ角θi を求めた。
各部の形状寸法を下記表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】またこのときの、シミュレーション結果を
下記表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】これらのシミュレーションによる計算結果
を上述の数7に代入してヘッド搭載部12の長さLH
求めると、 LH =3733.3260μm となった。この長さを前述の数1に代入し、ヘッド搭載
部12の後端部12aの下端の浮上量Zi 、即ち本発明
浮上型ヘッドスライダ10における浮上量を求めた結果
を下記表3に示す。またこの結果を図7に示す。
【0031】
【表3】
【0032】これらの結果及び前述の図3において説明
した従来の浮上型ヘッドスライダにおける浮上量からわ
かるように、本発明浮上型ヘッドスライダにおいては、
従来のヘッドスライダに比して格段に浮上量の変動を抑
制することができると共に、浮上量の値自体も約1/6
〜1/10程度に小とすることができる。
【0033】そしてこの本発明浮上型ヘッドスライダの
浮上量の変動の目安として、従来の浮上型ヘッドスライ
ダの浮上量と共に、その平均二乗誤差を計算した。この
結果を下記表4に示す。
【0034】
【表4】
【0035】尚、これらの本発明スライダの浮上量Zi
の平均二乗誤差は下記の数8により、また従来のスライ
ダの浮上量FHi の平均二乗誤差は、下記の数9により
求めた。
【数8】
【0036】
【数9】
【0037】このように、記録媒体上の各位置における
浮上量の平均二乗誤差は、本発明スライダにおいては、
従来のスライダの約2万分の1となり、浮上量のばらつ
きを格段に低減化することができて、殆ど均一な浮上量
とすることができることがわかる。
【0038】また、浮上量自体を更に小とするために
は、例えば図8に示すように、ヘッド搭載部12の後端
部12aから更に記録媒体側に突出する垂下部12bを
設け、この垂下部12bの下端に記録再生ヘッド例えば
磁気ヘッドの磁気ギャップgを設ける構成とすることに
よって、更に浮上量を低減化することができる。
【0039】更に、本発明浮上型ヘッドスライダは、上
述の図1及び図8において説明した各例に限ることな
く、本発明構成を逸脱することなくその他種々の構成と
し得ることはもちろんである。
【0040】
【発明の効果】上述したように、本発明浮上型ヘッドス
ライダにおいては、その浮上量の記録媒体上の内周側と
外周側におけるばらつきを低減化して、各位置における
浮上量の平均二乗誤差を従来に比し2万分の1程度とす
ることができ、殆ど均一な浮上量とすることができる。
【0041】また、従来のスライダに比して浮上量を6
分の1〜10分の1程度とすることができ、例えば磁気
記録再生におけるスペーシング損失を格段に低減化し、
電磁変換特性等の記録再生特性の向上をはかることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明浮上型ヘッドスライダの一例の略線的拡
大側面図である。
【図2】浮上型ヘッドスライダのピッチ角を示す略線的
拡大側面図である。
【図3】従来の浮上型ヘッドスライダの浮上量の変動を
示す図である。
【図4】浮上型ヘッドスライダの一例の略線的拡大上面
図である。
【図5】浮上型ヘッドスライダのピッチ角の変動を示す
図である。
【図6】記録媒体の内外周での浮上型ヘッドスライダの
浮上態様を示す説明図である。
【図7】本発明浮上型ヘッドスライダの浮上量の変動を
示す図である。
【図8】本発明浮上型ヘッドスライダの他の例の略線的
拡大側面図である。
【図9】浮上型ヘッドスライダの直動方式の説明図であ
る。
【図10】ベントアームを用いた浮上型ヘッドスライダ
の回動方式の説明図である。
【符号の説明】
1 記録媒体 10 浮上型ヘッドスライダ 11 流出端後部 12 ヘッド搭載部 13 浮上面 14 テーパ面

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録媒体との間の相対的走行によって浮
    上力を生成するヘッドスライダと上記記録媒体より記録
    再生する記録再生ヘッドとを有する浮上型ヘッドスライ
    ダにおいて、上記記録再生ヘッドは浮上量の変動が実質
    的に最小となる位置に設けられていることを特徴とする
    浮上型ヘッドスライダ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の浮上型ヘッドスライダに
    おいて、上記ヘッドスライダの空気流の流出側に上記記
    録媒体との間に浮上力を生成しないヘッド搭載部を設
    け、上記記録再生ヘッドは上記ヘッド搭載部に装着され
    ていることを特徴とする浮上型ヘッドスライダ。
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