JP3092134B2 - インクジェットヘッド用ノズル形成部材の製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッド用ノズル形成部材の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、インク滴を飛翔させ記録紙等の記録媒体上
にインク像を形成するプリンタ等に使用するインクジェ
ットヘッドのノズル形成部材の製造技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば特公昭60−8953号公報等に開示されているイン
クジェットヘッドに用いられる複数のノズル開口を有す
るノズル形成部材は、電鋳法、エッチング法、ワイヤー
放電法等により製造されている。 フォト電鋳法あるいはエッチング法では、ノズル開口
部のインク流入口とインク吐出口先側の形状が相似形状
となり、特にインク滴吐出に大きな影響を与えるインク
吐出口先を精密に形成することが困難であるという問題
がある。 このような問題を解消するため、例えば、特開昭60−
125674号公報に見られるように、導電性基板の一方の表
面に、オリフィスに対応するよう除去可能な非導電性層
を形成する工程と、この非導電性層側に所定の厚みで金
属層を形成する工程と、導線性基板の他方の面からオリ
フィスの位置に対応させてエッチングにより凹部を形成
する工程と、非導電層を除去して凹部とオリフィスを貫
通させる工程とにより製造することが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、インク吐出口先部に対応する突起の形
成工程、析出工程、突起の除去工程の工程が必要で、工
程が複雑であるという問題の他、析出により形成された
層の表面は、微妙な凹凸が存在するため、インクの吐出
の際に最も影響を与えるノズル先の状態がノズル間で不
均一になるという問題がある。 本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであっ
て、その目的とすることろは、製造工程が簡単で、しか
もノズル間のばらつきを抑えることができるインクジェ
ットヘッド用ノズル形成部材の製造方法を提案すること
である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このような課題を達成するために本発明においては、
ノズルプレートとしての剛性を備えた金属板の一方の面
に、前記金属板よりも薄い樹脂膜を形成する工程と、前
記金属板にインク吐出口先部の孔径よりも大径の略円錐
形状の開口部をエッチングにより形成する工程と、 前記樹脂膜に前記略円錐形状の開口部よりも小径の前記
インク吐出口を、前記樹脂膜の表面側からのエッチング
により形成する工程とを備えるようにした。
【0005】
【発明の実施の態様】
そこで以下に本発明の詳細を図示した実施例に基づい
て説明する。 図1は、本発明によるインクジェットヘッドを用いた
プリンタの斜視図で、図中符号1は記録媒体でプラテン
4に巻き付けられ送りローラ2、3によって押圧され
る。ガイド軸6、7に案内されプラテン軸と平行方向10
に移動可能なキャリッジ8上にインクジェットヘッド9
が搭載されている。
【0006】 インクジェットヘッド9は外部からの駆動電圧を印加
することによって独立にインク滴を吐出制御可能な複数
のノズル開口23(図3)を有している。インクジェット
ヘッド9は、プラテン軸方向10に往復移動により主走査
され、ノズル開口23から選択的にインク滴を吐出し、記
録媒体1上にインク像を形成する。記録媒体1は、プラ
テン4、送りローラ2.3の回転により走査方向と直交す
る副走査方向5に搬送され、記録媒体1上への印字が行
われる。
【0007】 図2は、本発明のノズル形成部材が適用されるインク
ジェットヘッドの一実施例を示す断面図である。 フレーム20には、ベース材25と、圧電変換器21と、ノ
ズル形成部材22とが積層され固定される。ノズル形成部
材22は、後述するように複数のノズル開口23を有する金
属薄板を含むように構成されている。圧電変換器21とノ
ズル開口23の近傍が記録インク28で充される。圧電変換
器21は、フレキシブル基板27より印加される駆動電圧に
より変位し、ノズル開口23の近傍の記録インクの圧力を
高めてノズル開口23からインク滴を吐出させる。
【0008】 図3は本発明により製造されたノズル形成部材の一実
施例を示すものであって、開口部44を有する金属板41
と、開口部44より孔径が小さい側口部46を有する樹脂膜
42とが積層されて構成されてなる。記録インクは金属板
41側から供給され、樹脂膜42側から吐出される。
【0009】 記録インクが吐出される面の開口部の孔径は、印字品
質に大きく影響するため高精度な寸法を要求される。そ
のためには、ノズル形成部材をできるだけ薄くして、開
口部径を精度良く形成する必要がある。一方、吐出時の
インクの圧力によりノズル形成部材の振動、変形、ノズ
ル形成部材を接合する時の変形.あるいは紙との接触等
による外力の作用で変形が生じないようにするために
は、ノズル形成部材を厚くしなければならない。 従来の製造方法では、開口部孔径の寸法精度を犠牲に
してノズル形成部材を厚くして、機械的強度を高めてい
た。
【0010】 本発明は、機械的強度を高める金属板と、開口部孔径
寸法精度を良好に形成できる樹脂膜とを積層したものを
材料とし、以下に、機械的強度とインクの吐出に影響を
与えるインク吐出口先の孔径寸法精度とを同時に満足さ
せることができ、しかもインク供給側の開口部孔径をイ
ンク吐出側であるインク吐出口先よりも大きくして、ノ
ズル開口全体のインク流路抵抗を増大させること無くノ
ズル開口を形成できるノズル形成部材の製造方法の一実
施例を図4に基づいて説明する。
【0011】 図4(a)において、図中符号41は金属板であり、温
度変化によってインクジェットヘッドが変形してインク
吐出特性に影響しないように他のインクジェットヘッド
構成部材と熱膨張係数が近似した金属を用いなければな
らない。本実施例では、金属板41には、鉄とニッケルの
合金(Fe64%−Ni36%合金)を使用した。
【0012】 図4(b)において、金属板41の片面に、液状樹脂を
塗布する。液状樹脂として本実施例では、ジメチルアセ
トアミドやN−メチルピロリドン等の極性溶媒中で芳香
族ジアミンとテトラカルボン酸二無水物を開環重付加反
応によりポリアミド酸溶液としたものを用いたが、これ
に限定されるものではない。 膜形成は、ポリアミド酸溶液を金属板41上に滴下し高
速回転により膜化させる。さらに、180〜350℃に加熱し
て脱溶剤.環化脱水縮合反応によって硬化して、ポリイ
ミド樹脂膜を樹脂膜42として形成する。なお、樹脂膜42
の膜厚は、5〜30μmとした。
【0013】 図4(c)において、樹脂膜42を形成した面とは反対
面に耐酸性フォトレジスト43を形成した後、ノズル開口
23に相当する部分の耐酸性フォトレジスト45を円形に除
去する。
【0014】 図4(d)において、金属板42を塩化第二鉄、硝酸、
塩酸等を用いてエッチングし、開口部44を形成する。
【0015】 図4(e)において、フォトレジスト23を除去した
後、金属板41及び樹脂膜42の表面に耐アルカリ性フォト
レジスト45a、45bを塗布し、開口部44と略同心となるよ
うに樹脂膜42のフォトレジスト45aを円形に除去する。
【0016】 図4(f)において、水酸化カリウム等を用いて樹脂
膜42をエッチングして、インク吐出口先側の開口46を形
成し、最後に図(g)に示したようにフォトレジスト45
a、45bを除去してノズル形成部材22を得る。
【0017】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、ノズル形成部
材を二つの部材の積層構造として、インク吐出側の樹脂
膜は、開口部に対して薄くしているため、エッチングに
よる径の拡大を可及的に抑えてインク吐出口側の孔径を
高精度に形成でき、金属板上に予め形成した樹脂膜をエ
ッチングするため、ノズル吐出口先側の開口を簡単な工
程で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のノズル形成部材を用いたインクジェットヘッド
を搭載した記録装置の一実施例を示す図である。
【図2】 同上インクジェットヘッドの断面図である。
【図3】 本発明により製造されたノズル形成部材の一実施例を示
す断面図である。
【図4】 図(a)乃至(g)は、それぞれ本発明のノズル形成部
材の製造工程を示す図である。
【符号の説明】
9……インクジェットヘッド 21……圧電変換器 22……ノズル形成部材 23……ノズル開口 25……ベース材 41……金属板 42……樹脂膜 43……フォトレジスト 44……開口部 45……フォトレジスト 46……開口部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/135

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ノズルプレートとしての剛性を備えた金属
    板の一方の面に、前記金属板よりも薄い樹脂膜を形成す
    る工程と、 前記金属板にインク吐出口先部の孔径よりも大径の略円
    錐形状の開口部をエッチングにより形成する工程と、 前記樹脂膜に前記略円錐形状の開口部よりも小径の前記
    インク吐出口を、前記樹脂膜の表面側からのエッチング
    により形成する工程と、 からなるインクジェットヘッド用ノズル形成部材の製造
    方法。
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