JP3091892B2 - スペースプレーンとその製造方法 - Google Patents

スペースプレーンとその製造方法

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JP3091892B2
JP3091892B2 JP04147394A JP14739492A JP3091892B2 JP 3091892 B2 JP3091892 B2 JP 3091892B2 JP 04147394 A JP04147394 A JP 04147394A JP 14739492 A JP14739492 A JP 14739492A JP 3091892 B2 JP3091892 B2 JP 3091892B2
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thermal barrier
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スペースプレーンとそ
の製造方法に係り、特に極めて高い耐熱性を要求される
遮熱コーティング層を有するロケットエンジン及びスク
ラムジェットエンジンを備えたスペースプレーンとその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在宇宙開発は、通信・放送・観測・探査
等の分野では実用期を迎えているが、今後さらに活発な
宇宙活動への展開が予想されている。これらの宇宙開発
を行なっていく上での交通手段としては現在のところス
ペースシャトルが唯一の手段である。しかし、スペース
シャトルは安全性・信頼性・経済性・自在性等の点で問
題を抱えている。そのため各国でスペースプレーンの研
究・開発が盛んに行なわれている。スペースプレーンは
水平離着陸方式の再使用型有人宇宙往還機であり、航空
機,宇宙輸送機及び軌道上宇宙機の機能を基本的に併せ
もったものである。そのため加速上昇時の空気力の利
用,空気の推進剤としての積極的な利用・構造重量・空
気抵抗の大幅な軽減等による飛行限界・性能限界の飛躍
的な拡大が必須となる。これらを満足させるためには機
体にかかる熱負荷もかなり大きいものになる。
【0003】スペースプレーンのエンジンシステムとし
ては、飛行速度領域によって2〜3種類のエンジンを切
り換えて使用する形態が考えられている。例えば、離陸
からマッハ数12程度までの速度領域ではターボラムジ
ェットやスクラムジェット等の大気中の酸素を利用する
いわゆるエアーブリージングエンジンを使用し、これ以
上の速度領域ではロケットエンジンを使用するという形
態である。いずれにしても、スペースプレーンでは現用
の航空機の飛行速度(最高でマッハ数3程度)に対し
て、1桁高い飛行速度となるためエンジン燃焼室にかか
る熱負荷も極めて大きなものとなる。したがって、エン
ジン燃焼室内壁材を熱負荷から保護するために、熱伝導
率の小さいセラミックスを内壁表面にコーティングす
る、いわゆる遮熱コーティング(Thermal Barrier
Coating:以下TBCと略す)を施すことが必要となっ
てくる。しかし、単純な積層構造のコーティングでは、
基材とTBC材の熱膨張率の差に起因する熱応力のため
にTBCに損傷が生じてしまう。この対策としては、特
開昭62−156938号に提案されているように、基材とTB
Cのセラミックス層の間に、基材成分からセラミックス
成分へと組成を連続的に変化させて熱応力を緩和する、
いわゆる傾斜被覆層(Functionally GradientMater
ial:以下FGM層と略す)を設ける方法が知られてい
る。本発明では、FGM層の上に遮熱のためにジルコニ
ア系セラミックスを設けた2層コーティングを行った。
【0004】ところで、スペースプレーンの各エンジン
の燃焼室内は、場所によって燃焼室内壁面ににかかる熱
負荷の度合いが異なる。最も熱負荷の厳しい場所(例え
ばスロート部等)では熱流束約90MW/m2、ガス温
度は3000℃にも達すると推定されている。それに対
して、熱流束が約8MW/m2と約1桁違う場所もあ
る。したがって、一定の遮熱効果を得るために必要なT
BCの厚さも1桁程度違ってくる。従来はプラズマ溶射
法等により膜厚を適宜変化させてTBCを作成していた
が最も熱負荷の厳しいスロート部分の薄いTBC内での
組成の制御は困難であった。そのため膜厚を軸方向に1
0〜150μmの範囲で連続的に変化させることがで
き、また皮膜中の組成を任意に変えられるようなコーテ
ィング技術が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】スペースプレーンの各
エンジンの燃焼室内に遮熱コーティングを行なうことは
必須条件である。しかし、内壁に厚さを連続的に変化さ
せ、コーティング層内の混合層の組成の変化を任意に行
なうことは従来技術では困難であった。
【0006】本発明の課題は、エンジンの燃焼室、特に
ロケットエンジンまたはスクラムジェットエンジンの燃
焼室内壁に加わる熱負荷に対し、内壁基材を適切に保護
するすることにより、燃焼室の寿命を延長し、信頼性を
向上させることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、再生冷却式燃
焼室と、該再生冷却式燃焼室に燃料及び酸化剤を供給す
るインジェクタと、前記再生冷却式燃焼室の冷却剤通路
と前記インジェクタを接続する燃料・酸化剤配管と、前
記再生冷却式燃焼室に接続され燃焼ガスを外部に放出す
る末広がりの構造からなるノズルとを含み、前記燃焼室
はその軸方向の断面が前記インジェクタ側から燃焼ガス
の下流側に沿って前記燃焼ガスを収縮させるようにスロ
ット部を有し、該スロット部から前記ノズルに沿って末
広がりの構造を有し、前記燃焼室がその軸方向に対して
直角の断面が円形であるロケットエンジンと、前記燃焼
室がその軸方向に対して直角の断面が四辺形であるスク
ラムジェットエンジンとを備えたスペースプレーンにお
いて、スペースプレーンの各エンジンの燃焼室内壁への
コーティングを行う際に、ダイナミックミキシング法と
プラズマ溶射法の両方法を用いることによりコーティン
グ層の厚さを10〜150μmの間で連続的に変化させ
ることを特徴とする。
【0008】スペースプレーンの各エンジンの燃焼室で
は、その部位によって熱負荷の程度が異なる。そのため
TBCの厚さも部位によって変える必要がある。熱負荷
の厳しい、例えばスロート部分のコーティングは、PV
D法の1種であるダイナミックミキシング法で行なうこ
とが望ましい。スロート部分では10〜30μmのTB
Cが必要となり、ダイナミックミキシング法によれば、
この範囲の膜厚での組成の制御が可能で、さらにイオン
注入の効果により密着性に優れたTBCが得られるから
である。その他の比較的熱負荷の厳しくない部分では1
00μm程度のTBCが必要なので、プラズマ溶射法を
用いることが望ましい。そして、この両方法を組み合わ
せて使用することによって、連続的に厚さが変化したT
BCをもつ燃焼室を作製することができる。
【0009】FGM層の上(最表面)にセラミックス被
覆層を設けることによって、遮熱の効果を高める。この
セラミックス被覆層は、耐熱性の点からY23・CaO
・MgOなどの酸化物で部分あるいは完全安定化された
ZrO2系セラミックスを用いることが望ましい。
【0010】エンジン燃焼室の材料として、Cu又はC
u合金あるいはNi基超合金を使う可能性が高いことか
ら、FGM層のメタル成分としては、(6〜20)wt
%のAlを含有するCu、Co、Ni、Feの少なくと
も一つを主成分とする合金あるいはNi−(15〜2
5)wt%Cr合金を用い、セラミックス成分には最表
面に設けたのと同じジルコニア系セラミックスを用い
て、熱応力を緩和させるためにその両成分の組成を連続
的に変化させるとよい。
【0011】
【作用】本発明において、ダイナミックミキシング法と
プラズマ溶射法を組み合わせてTBCを作製することに
より、スペースプレーンの燃焼室内で熱負荷の程度が違
ってもTBCの厚さを連続的に変化させることができ
る。ダイナミックミキシング法によればうすくても密着
性のよい膜の形成が可能であるが、このダイナミックミ
キシング法のみでは厚さ数百μmレベルのTBCの作製
は困難であり、プラズマ溶射法のみでは厚さ数十μmレ
ベルのTBCの組成の制御が困難である。すなわち、ダ
イナミックミキシング法では熱負荷の厳しい部分の厚さ
数十μmレベルのTBCを作製し、プラズマ溶射法では
比較的熱負荷の厳しくない部分の厚さ数百μmレベルの
TBCを作製する。
【0012】
【実施例】以下、本発明の詳細について実施例を用いて
説明する。ここでは、現在スペースプレーンのエンジン
として考えられているロケットエンジン及びスクラムジ
ェットエンジンの燃焼室を例にとって説明する。
【0013】図8にスペースプレーンの一つである液体
ロケットエンジンの概略図(一部断面)を示す。図8に
示す液体ロケットエンジンは、再生冷却式燃焼室300
と、該再生冷却式燃焼室300に燃料を噴射するインジ
ェクタ100と、該インジェクタ100に燃料を供給す
る燃料・酸化剤配管200と、前記再生冷却式燃焼室3
00に接続されたノズル400とを含んで構成されてい
る。
【0014】図1に前記図8に示したロケットエンジン
の燃焼室の断面模式図を示す。そして、図2にスクラム
ジェットエンジンの燃焼室の断面模式図を示す。ロケッ
トエンジンの燃焼室の場合も、スクラムジェットエンジ
ンの燃焼室の場合も、燃焼室壁面の基材部分には、冷却
剤通路10が設けられており、この冷却剤通路を通って
燃焼室内壁を冷却した燃料が前記燃料・酸化剤配管20
0及びインジェクタ100を経て前記燃焼室に供給され
て燃焼する、いわゆる再生冷却式燃焼室となっている。
図3には、燃焼室壁面に設けたTBCの断面模式図を示
す。図3に示すTBC9は、基材1上に形成されたFG
M層2と、該FGM層2の上に形成されたセラミックス
被覆層3とを含んでなっている。基材1には、ロケット
エンジンの場合無酸素銅を、スクラムジェットエンジン
の場合Ni基超合金を用いた。FGM層2はセラミック
スとメタルの混合層で、基材1に接している部分はメタ
ル成分100%となり、セラミックス被覆層3に接して
いる部分はセラミックス成分100%となるように、両
成分の組成を連続的に変化させたFGM層とした。ここ
で、FGM層の組成変化は熱応力計算を行なって、発生
する熱応力が最小となるようにした。メタル成分はロケ
ットエンジンでは基材のCuと熱伝導率が近く、耐酸化
性に優れたCu−8wt%Al合金、Ni−6wt%A
l合金、Co−20wt%Al合金、Fe−10wt%
Al合金、を、スクラムジェットエンジンではNi−1
5wt%Cr合金、Ni−20wt%Cr合金、Ni−
25wt%Cr合金を用い、セラミックス成分には最表
面層と同じZrO2−5.4wt%Y23を用いた。セラ
ミックス被覆層3は遮熱性に優れたZrO2を主成分と
し、Y23を5.4wt%添加した部分安定化ジルコニ
アを用いた。またセラミックス被覆層3の厚さは、次式
により決定した。
【0015】Q=λ/t・ΔT Q:熱流束 λ:セラミックス被覆層3の熱伝導率 t:セラミックス被覆層3の厚さ ΔT:セラミックス被覆層3の表面と背面の温度差 ここで、セラミックス被覆層3の表面と背面の温度差は
100℃で一定とし、セラミックス成分の熱伝導率も既
知であるので、各場所での熱流束に対応するセラミック
ス被覆層3の厚さを計算できる。そして、セラミックス
被覆層3内に発生する熱応力を緩和するような最適な厚
さや組成変化をもったFGM層2を作製する。図4に燃
焼室内の熱流束の分布とその時の最適なTBC(ただ
し、ここではセラミックス被覆層3とFGM層2の厚さ
を併せたものとした。)の膜厚の例を示した。図におい
て、膜厚が30μm以下の範囲(燃焼室中心軸上の位置
が図上A〜Bの範囲)のTBCがダイナミックミキシン
グ法で、それ以外の部分のTBCがプラズマ溶射法で形
成される。
【0016】(実施例1)脱脂・洗浄済みの200×200mm
の平板の無酸素銅板上に、ダイナミックミキシング法と
プラズマ溶射法により、厚さが15〜130μmの範囲で連
続的に変化するTBCを作製した。図5に試験片の断面
模式図を示す。まず、試験片半分にマスクをしておき、
熱流束の大きい部分に相当する4の部分を作製する。4
の部分の作製にはダイナミックミキシング装置を用い
た。試料作製中の真空度は、2×(10のマイナス4
乗)Torr以下で、最大16kwの電子銃によるEB蒸着
を行ないつつ、エネルギー10keVで加速した酸素イオン
を1cm2あたり毎秒1×1016個の割合で注入しながら
作製した。イオン源としてバケット型のイオン源を用
い、原料ガスとして99.9%O2を使用した。EB蒸着で
は、ZrO2−5.4wt%Y23とCu−8wt%Al
合金を各々0〜45Å/sの間で蒸着速度を変化させて
蒸着した。その時、基材である無酸素銅側が100%合
金層、表面層側でセラミックス100%となるような直
線的な組成変化を示すFGM層を作製し、最表面のセラ
ミックス層もダイナミックミキシング法で作製した。各
層の厚さはFGM層が10μm、セラミック層が5μ
m、合計で15μm厚さのTBCを得た。
【0017】以上の様な方法で図5の4の部分を作製
後、マスクをはがし、次に4の部分にカバーをかけプラ
ズマ溶射法でガンを移動させながら5の部分を作製し
た。プラズマ溶射法でもダイナミックミキシング法と同
様なTBCの構成とした。ここで、FGM層は減圧溶射
法により作製した。その時、2台の粉末供給用ホッパー
を用い、これにメタル:セラミックスの混合率が、a=
75:25,b=50:50,c=25:75,d=5:95の4種類
の混合粉末を供給し、2台のホッパーを順次切り替える
ことによって、プラズマガンに供給される原料粉末の混
合率を変化させた。そして、FGM層の上に大気溶射法
によりセラミックス層を作製した。FGM層の厚さは5
0μm、セラミックス層の厚さは50〜80μm、合計
で100〜130μm厚さのTBCを得た。作製した試
験片の断面を光学顕微鏡で観察してみたところ、図5の
模式図と同様に、連続的に厚さが変化するTBCが作製
されていることがわかった。
【0018】作製した試験片は平板状であるため同時に
異なる熱負荷をかけるような評価試験を行なえない。そ
こで、熱流束が5MW/m2前後と、90MW/m2前後
の評価試験を行ない、試験後の試験片の損傷の有・無を
調べた。その結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】以上の結果から、それぞれ異なる膜厚の部
分で必要な耐熱性をもったFGMであることがわかっ
た。
【0021】Cu−8wt%Al合金に代えて、Ni−
6wt%Al合金、Co−20wt%Al合金、Fe−
10wt%Al合金を用いて同様の試験片を作成し、C
u−8wt%Al合金を用いた場合と同様な試験結果を
得た。
【0022】(実施例2)実施例1から得られた基礎デ
ータをもとに、模擬ロケットエンジン燃焼室内壁へのコ
ーティングを行なった。図1に今回作製を試みたロケッ
トエンジンの燃焼室の断面模式図を示す。基材1は無酸
素銅であるため、TBC9を構成するFGM層のメタル
成分にはCuに比べて耐酸化性に優れたCu−8wt%
Al合金を用い、また冷却のための液体水素を通す冷却
剤通路10を基材内に設けた。図1に示したように、燃
焼室は複雑な形状をしているのでこのまま内壁にコーテ
ィングすることは難しい。そこで、以下に述べるよう
な、燃焼室内部の空間部分と同じ形状のAlの中子の上
へTBC9を作製する方法でTBCを形成した。TBC
作製手順を図6に示す。
【0023】まず、Alの中子の上へセラミックス被覆
層3をコーティングする。その上にFGM層2をセラミ
ックスからメタルへと成分を連続的に変化させてコーテ
ィングする。そして、基材1を電着により作製する。基
材1の電着の際、冷却剤通路を形成する。最後に、アル
カリ性の溶液(例えば、NaOH等)によりAl製の中
子を溶出する。本実施例では、ダイナミックミキシング
法とプラズマ溶射法の両方法でのTBCの作製が終わっ
た時点で、基材1のCu電着を行なった。またTBCの
作製は、実施例1のコーティングを逆の順番で行なっ
た。まずプラズマ溶射法で作製する部分にはマスクをし
ておき、ダイナミックミキシング法により20μmのT
BCを作製した。次にマスクをはがした後、実施例1と
同様に先に作製したTBCの部分にカバーをかけ、図4
に示した膜厚分布図のように膜厚を連続的に変化させ
て、プラズマ溶射法によりその他の部分のTBCを作製
した。このときのFGM層の組成は、セラミックス層内
に発生する熱応力を最小にするようにセラミックス10
0%からメタル100%へと連続的に変化させた。
【0024】以上のようにして作製したロケットエンジ
ン燃焼室を評価するために、燃焼室中に液体酸素と液体
水素からなる燃焼ガスを通過させる燃焼試験を行なっ
た。その結果、本方法で内壁にコーティングを行なった
ロケットエンジンの燃焼室では試験後に何ら損傷はみら
れなかった。
【0025】(実施例3)次に、模擬スクラムジェット
エンジン用燃焼室を作製した。スクラムジェットエンジ
ン用燃焼室では基材としてNi基超合金を用い、FGM
層のメタル成分としてNi−20wt%Cr合金、セラ
ミックス成分としてZrO2−5.4wt%Y23を用
いた。ところでスペースプレーンでは、スクラムジェッ
トエンジンを胴体下面に装着するが、この際空気力学的
な要求からエンジンの断面形状は図2に示すような矩形
となると考えられる。そこで、冷却構造(冷却剤通路)
を有するNi基超合金のパネルを作製し、その表面にコ
ーティングを行ない、4枚のパネルを組合せて燃焼室を
作製した。図7に模擬スクラムジェットエンジン燃焼室
の製造プロセスの簡略図を示す。
【0026】コーティングは実施例1と同様に、まず熱
負荷の厳しいスロート部分以外をマスクし、ダイナミッ
クミキシング法によりスロート部分にNi−20wt%
Cr合金からZrO2−5.4wt%Y23へと連続的
に組成が変化するFGM層を形成し、次いで最表面のZ
rO2−5.4wt%Y23層をコーティングした。次
にマスクをはがして、TBCを作製した部分にカバーを
かけ、プラズマ溶射法によってその他の部分にスロート
部分同様FGM層を形成したのちセラミックス層をコー
ティングした。以上のようにしてTBCを施した矩形の
燃焼室を構成する4枚のパネルを最後に接合して、スク
ラムジェットエンジン用燃焼室を作製した。
【0027】以上のようにして作製したスクラムジェッ
トエンジン燃焼室を、実機条件を模擬した燃焼試験を行
なったところ本実施例のスクラムジェットエンジン燃焼
室も試験後に何ら損傷はなかった。
【0028】さらにNi−20wt%Cr合金に代え
て、Ni−15wt%Cr合金、、Ni−25wt%C
r合金を用いて同様の燃焼室を作成し、燃焼試験を行っ
た結果、Ni−20wt%Cr合金を用いた場合と同様
の結果を得た。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、エンジンの再生冷却燃
焼室の内壁面への遮熱コーティングの厚さを連続的に変
化させることが可能となり、場所によってかかる熱負荷
が異なっても前記内壁面を熱負荷から保護することがで
きる。
【0030】また、遮熱コーティング層として遮熱性に
優れたセラミックス層を設け、さらに基材と前記セラミ
ックス層の間に、基材と最表面のセラミックスの両成分
の組成を連続的に変化させる傾斜層を設けることによ
り、基材とセラミックス層の熱膨張率の違いから生じる
熱応力の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明をロケットエンジンに適用した実施例の
縦及び横断面模式図である。
【図2】本発明をスクラムジェットエンジンに適用した
実施例の縦及び横断面模式図である。
【図3】本発明の遮熱コーティングの例を示す断面模式
図である。
【図4】燃焼室内の熱流束及び最適膜厚分布の例を示す
グラフである。
【図5】本発明の遮熱コーティングを施した試験片の例
を示す断面模式図である。
【図6】本発明の実施例である模擬ロケットエンジン燃
焼室の製造プロセスを示す部分断面図である。
【図7】本発明の実施例である模擬スクラムジェットエ
ンジン燃焼室の製造プロセスを示す部分断面図である。
【図8】本発明の実施例であるスペースプレーンのエン
ジンの一つである液体ロケットエンジンの概略図(一部
断面)である。
【符号の説明】
1 基材、 2 FGM層 3 セラミックス層 4 ダイナミックミキシング法により作製した遮熱コー
ティング 5 プラズマ溶射法により作製した遮熱コーティング 9 TBC(遮熱コーティング) 10 冷却剤通路 100 インジェクタ 200 燃料・酸化剤配管 300 再生冷却式燃焼室 400 ノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 児島 慶享 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 近崎 充夫 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 有川 秀行 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−211390(JP,A) 特開 平1−110867(JP,A) 特開 平1−184261(JP,A) 特開 平4−126922(JP,A) 特開 平5−209807(JP,A) 実開 昭62−157968(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02K 7/14 F02K 9/62 F23R 3/42 F02K 9/34 F16L 58/14

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 再生冷却式燃焼室と、該再生冷却式燃焼
    室に燃料及び酸化剤を供給するインジェクタと、前記再
    生冷却式燃焼室の冷却剤通路と前記インジェクタを接続
    する燃料・酸化剤配管と、前記再生冷却式燃焼室に接続
    され燃焼ガスを外部に放出する末広がりの構造からなる
    ノズルとを含み、前記燃焼室はその軸方向の断面が前記
    インジェクタ側から燃焼ガスの下流側に沿って前記燃焼
    ガスを収縮させるようにスロット部を有し、該スロット
    部から前記ノズルに沿って末広がりの構造を有し、前記
    燃焼室がその軸方向に対して直角の断面が円形であるロ
    ケットエンジンと、前記燃焼室がその軸方向に対して直
    角の断面が四辺形であるスクラムジェットエンジンとを
    備えたスペースプレーンにおいて、前記ロケットエンジ
    ン及びスクラムジェットエンジンの各燃焼室の内壁基材
    厚さ10〜150μmの遮熱コーティングを有し、
    該遮熱コーティングの厚さが、熱負荷の度合いに応じ
    て、該熱負荷の度合いが大きいほど薄くなるように、該
    燃焼室軸方向に連続的に変化していることを特徴とする
    スペースプレーン
  2. 【請求項2】 遮熱コーティングが、金属とセラミック
    スの混合層であり、かつその組成が膜厚方向に連続的に
    変化する内層側の傾斜被覆層と外層側のセラミックス層
    とからなることを特徴とする請求項1に記載のスペース
    プレーン
  3. 【請求項3】 遮熱コーティング内のセラミックス層が
    完全安定化又は部分安定化ジルコニア系セラミックスよ
    りなることを特徴とする請求項2に記載のスペースプレ
    ーン
  4. 【請求項4】 遮熱コーティング内の傾斜被覆層は、セ
    ラミックス成分が完全安定化又は部分安定化ジルコニア
    系セラミックス、メタル成分が基材と熱膨張率が実質的
    に同一である合金からなることを特徴とする請求項2ま
    たは3に記載のスペースプレーン
  5. 【請求項5】 メタル成分がNi、Co、Fe、Cuの
    少なくとも一つを主成分とし、(6〜20)wt%Al
    を含む合金もしくはNi−(15〜25)wt%Cr合
    金からなることを特徴とする請求項4に記載のスペース
    プレーン
  6. 【請求項6】 再生冷却式燃焼室と、該再生冷却式燃焼
    室に燃料及び酸化剤を供給するインジェクタと、前記再
    生冷却式燃焼室の冷却剤通路と前記インジェクタを接続
    する燃料・酸化剤配管と、前記再生冷却式燃焼室に接続
    され燃焼ガスを外部に放出する末広がりの構造からなる
    ノズルとを含み、前記燃焼室はその軸方向の断面が前記
    インジェクタ側から燃焼ガスの下流側に沿って前記燃焼
    ガスを収縮させるようにスロット部を有し、該スロット
    部から前記ノズルに沿って末広がりの構造を有し、前記
    燃焼室がその軸方向に対して直角の断面が円形であるロ
    ケットエンジンと、前記燃焼室がその軸方向に対して直
    角の断面が四辺形であるスクラムジェットエンジンとを
    備え、前記ロケットエンジン及びスクラムジェットエン
    ジンの各燃焼室の内壁に遮熱コーティングを形成するス
    ペースプレーンの製造方法において、前記遮熱コーティ
    ングの厚みが10〜30μmである範囲をダイナミック
    ミキシング法で形成し、30μmを越える厚みである範
    囲の遮熱コーティングをプラズマ溶射法によって形成す
    ることを特徴とするスペースプレーンの製造方法。
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