JP3090682B2 - チロトロピンレセプター活性を有するポリペプチド、このレセプターとポリペプチドとをコードする核酸、そしてこのようなペプチドの利用 - Google Patents

チロトロピンレセプター活性を有するポリペプチド、このレセプターとポリペプチドとをコードする核酸、そしてこのようなペプチドの利用

Info

Publication number
JP3090682B2
JP3090682B2 JP03501671A JP50167191A JP3090682B2 JP 3090682 B2 JP3090682 B2 JP 3090682B2 JP 03501671 A JP03501671 A JP 03501671A JP 50167191 A JP50167191 A JP 50167191A JP 3090682 B2 JP3090682 B2 JP 3090682B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tsh
receptor
sequence
polypeptide
amino acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP03501671A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04506752A (ja
Inventor
パルメンティエール,マルク
リベール,フレデリック
デュモン,ジャック
ヴァッサール,ギルバート
Original Assignee
ベー・エル・アー・ハー・エム・エス・ディアグノスティカ ゲーエムベーハー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ベー・エル・アー・ハー・エム・エス・ディアグノスティカ ゲーエムベーハー filed Critical ベー・エル・アー・ハー・エム・エス・ディアグノスティカ ゲーエムベーハー
Publication of JPH04506752A publication Critical patent/JPH04506752A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3090682B2 publication Critical patent/JP3090682B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/705Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
    • C07K14/72Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants for hormones
    • C07K14/723G protein coupled receptor, e.g. TSHR-thyrotropin-receptor, LH/hCG receptor, FSH receptor
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/28Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants
    • C07K16/2869Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants against hormone receptors
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10STECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10S530/00Chemistry: natural resins or derivatives; peptides or proteins; lignins or reaction products thereof
    • Y10S530/827Proteins from mammals or birds
    • Y10S530/854Glands

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Endocrinology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Neurology (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、チロトロピンレセプター活性を有するポリ
ペプチドと、そのようなポリペプチドをコードする核酸
と、それらのペプチドに対する抗体と、それらのポリペ
プチドおよび抗体をアッセイ法に利用することに関する
ものである。
本明細書において、参照文献は、本発明の詳細な説明
の終わりの文献目録としてまとめ、また該当文献を括弧
内の数字によって本発明の詳細な説明中に示した。
下垂体糖タンパク質(黄体形成ホルモン、LH;卵胞刺
激ホルモン、FSH;および甲状腺刺激ホルモンあるいはチ
ロトロピン、TSH)は、密接に関係したホルモンのひと
つのファミリーを形成する。
下垂体ホルモンチロトロピン(TSH)は、甲状腺機能
調整を担う中心的な生理活性物質である。このホルモン
は、甲状腺細胞の機能および増殖を刺激し、また分化を
誘導する(1)。そのような効果のほとんどは、サイク
リックAMP(cAMP)を介したものである(1)。他の下
垂体および胎盤糖タンパク質ホルモン(FSH、LH、CG)
と同様に、TSHはヘテロダイマーである。これらのホル
モンは、すべて同一のアルファサブユニット、ベータサ
ブユニットを持ち、アミノ酸配列は類似しているが、そ
れぞれ特異的である(2)。活性化されたTSH、FSHおよ
びLH−CGレセプターは、Gタンパク質Gsを介する機構を
経て、それぞれの標的細胞のアデニリルシクラーゼを刺
激する(3)。ヒトでは、TSHレセプターは、グレーヴ
ズ病および特発性粘液水腫において、それぞれ、自己抗
体による甲状腺の過剰刺激または減退刺激を導く自己免
疫反応の標的となりうる(4)。
このような疾患を研究する上で、またレセプターの構
造および機能を解明する上で不可欠なものは、特にヒト
の場合において、手頃なコストかつ比較的多量なレセプ
ター試料が容易に調製可能なものであるかということで
ある。
今までは、このような研究材料として、ブタや牛から
単離された膜分画試料や、界面活性剤で可溶化された甲
状腺膜分画が使用された(4)。しかし、ヒトレセプタ
ー調製物は、経済的なコストが高いだけでなく、同一に
再現することが困難であった。さらに、既知の試料調製
物は、“精製された”レセプターとみなすことは不可能
であり、それらはレセプター含有量に関しては豊富であ
るものの、部分的な配列分析、並びにクローニング可能
な程度にまでレセプターを精製することはできなかっ
た。よって、このようなレセプター調製物は、TSH結合
活性の原因となる実体の特性解明にはつながらなかっ
た。
しかし、近年になって関連するLH−CGレセプター遺伝
子のクローニングとその発現が達成された。精製レセプ
タータンパク質のペプチド配列をもとにしたオリゴヌク
レオチドプライマーによるポリメラーゼ連鎖反応によっ
て得られたDNAプローブを利用して、ラットのLH−CGレ
セプターのcDNAが単離された(15)。また、ブタのLH−
CGレセプターの変種は、モノクローナル抗体によって単
離されたcDNAプローブによるλgt11ライブラリーのスク
リーニングによってクローン化された(16)。
TSHレセプターのクローン化の試みは、すでに知られ
ているGタンパク質共役レセプターによって示された配
列類似性を利用した方法によってなされている(6)。
トランスメンブランセグメントIIIおよびVIに対応する
一対のオリゴヌクレオチドプライマーを、ポリメラーゼ
連鎖反応によってプライマー配列の増幅を許す条件下
で、甲状腺組織由来のcDNAに対して用いた。この方法に
よって、TSHレセプターがクローニングなされるもので
はないが、Gタンパク質共役レセプターファミリーの新
しい4つの仲間がクローニングされた。
TSHレセプターの精製およびクローニングが困難な理
由として、このTSHレセプターの存在量が甲状腺細胞に
おいてさえ、非常に少ないということである。
本発明者らは、まず最初に、文献(6)に記載された
方法をプライマーは異なるものにして、cDNAよりはむし
ろヒトゲノムDNAをテンプレートとして実施し、そして
第二にプローブとしてこの方法によって増幅された選択
配列を用いることによって、TSHレセプターとその変種
のクローニングに成功した。
本発明の態様は、第1図ないし第12図に示した。これ
らの図は、アミノ酸配列を表わしており、それぞれのア
ミノ酸は一字(一文字コード)で略されて記載されてい
る。
第1図は、クローンHGMP09の配列をGタンパク質共役
レセプター(文献(6)およびその文献で参照された文
献に記載されている)と比較したものである。それぞれ
のレセプターのトランスメンブランセグメントIII付近
の配列は一文字コードで示されている。またHGMP09と他
のレセプターの50%以上で保存された残基は星(★)印
で示されている。そして「ドライ」および「ASP113」残
基(9)は一文字コードの上に上付点 印によって示されている。
第2a図は、イヌTSHレセプター(dTSHr)の一次構造を
示すものであり、イヌTSHレセプターのヌクレオチド配
列から推測されるものである。この配列を、全長のラッ
トおよびブタのLH−CG配列(15、16)、並びにHGMP09の
配列の一部と並べて図示されている(17)。数字は、ボ
ンハイネアルゴリズム(von Heihne algorithm)によっ
て、成熟ポリペプチドの最初の残基から付けられている
(11)。TSHレセプターおよびLH−CGレセプターでの同
一残基と保存的置換は、それぞれ星(★)印と点(.)
印によって示されている。N−グリコシル化の部位は下
線で示した。推定される(putative)トランスメンブラ
ンセグメントは上線で示した。dTSHr挿入配列を含むラ
ムダファージをM13にサブクローン化し、強制的(force
d)クローニングおよびエクソヌクレアーゼIII欠失を組
み合わせて利用することによって、両鎖の配列をシーク
エンス(アプライド バイオシステムズ モデル 370
A)した(21)。
第2b図は、Gタンパク質共役レセプターの配列から構
築されたデンドグラムを示すものである。クラスタルア
ルゴリズム(CLUSTAL algorithm)(17)を22のレセプ
ターの配列(6)からデンドグラムを構成することに用
いた。この際、対照としてラットおよびブタのLH−CGレ
セプター(16、17)、HGMP09およびTSHレセプターが含
まれる。また、それぞれのレセプターに対して、HGMP09
の既知の配列に該当するセグメント(131残基、トラン
スメンブランセグメントIIからVへ延びる)をプログラ
ムの比較のために利用した。
第3a図は、TSHレセプターのmRNAをマイクロインジェ
クションすることによって誘導されたY1細胞のTSH誘導
形態変化を示すものである。Y1細胞は、文献(13)にし
たがって組換えTSHレセプターmRNA(0.25μg/μl濃度
を0.1p1)(右側)または水(左側)をマイクロインジ
ェクションし、対照培養液(上側の写真)またはTSH
(0.1nM)含有培養液(下側の写真)でインキュベーシ
ョンした。なお、RO201724およびイソブチルメチルキサ
ンチン(それぞれとも、濃度は10-6M)はすべての培養
液に添加してある。
第3b図は、TSHレセプターのmRNAをマイクロインジェ
クションすることによって誘導されたアフリカツメガエ
ル卵母細胞におけるTSH誘導cAMP集積を示すものであ
る。アフリカツメガエルの卵母細胞は、文献(22)にし
たがって操作された。そして、それぞれの細胞に水(白
色のシンボル)または組換えTSHレセプターmRNA(13)
(0.1μg/μl濃度を50nl)(黒色のシンボル)を注入
した。対照培養液に3日間静置させた後、35個の卵母細
胞からなるバッチを種々の濃度からなるTSH(マル
印)、LH(四角印)またはFSH(三角形印)を加えた培
養液で90分間インキュベートした。cAMPの濃度は文献
(14)にもとづいて測定した。なお、RO201724およびイ
ソブチルメチルキサンチン(それぞれとも、濃度は10-6
M)はすべての培養液に添加してある。10-4Mのフォルス
コリンでインキュベーションした対照群の卵母細胞で
は、cAMP濃度が倍加していた(図示せず)。
第4図は、cos7細胞で発現された125I−TSHレセプタ
ーの置換を示すものである。Cos7細胞は、pSVLでサブク
ローン化されたTSHレセプターcDNAによってトランスフ
ェクションされたものである(23)。72時間後、細胞を
集めて、膜分画を調製した(24)。初代培養において野
生型cos7細胞およびイヌ甲状腺細胞から同様にして膜分
画を調製した(20)。125I−TSH(TRAKヘニング)の結
合は、種々の濃度からなる結合拮抗阻害剤(TSHアルモ
ール(Armour)、LHおよびFSH、UCBバイオプロダクト)
の存在下で、0℃、120分間で実施された。結合放射活
性は、遠心分離によって分離された後、測定された。結
果は、非特異的結合(100nMのコールドTSHの存在下で結
合した放射活性、800cpm)に対する競合剤(3000cpm)
の不在下でトランスフェクトされた細胞によって結合さ
れた125I TSHのパーセントとして表されている。白抜き
のマルおよび黒塗りのマルは、それぞれ、cos7および甲
状腺細胞膜からのコールドTSHによる置換を示す。白抜
きの四角および黒塗りの四角は、それぞれ、LHおよびFS
Hによるcos7からの置換を示す。ダイヤ型は、種々の量
のコールドTSHの存在下における、対照のcos7細胞を示
す。
第5図は、イヌのTSHレセプターをコードするcDNA配
列を示すもので、これは卵母細胞および培養細胞で遺伝
子発現された。
第6図は、7つの推定されるトランスメンブランセグ
メントと、大きなNH2末端細胞外ドメインを示す(シグ
ナルペプチドを除外)イヌのチロトロピンレセプターの
概略図である。変異形態において欠失されるアミノ酸
は、黒く塗り潰してある。また、5つの推定されるグリ
コシル化部位も示されている。
第7図は、チロトロピンレセプターのアミノ酸配列の
細胞外ドメインを構成する繰り返し部分の配列を示すも
のである。ボンハイネアルゴリズムによって決定される
シグナルペプチドはイタリックで示されている。レセプ
ターの分子変異に繰り返しの欠失は、左方向に向いた矢
印で示されている。
第8図は、cDNAから推論されるヒトTSHレセプターの
一次構造を示すものである。このアミノ酸配列は、ラム
ダgt11クローンの2つの重なり合う挿入物の配列から決
定される2292ヌクレオチドからなるオープンリーディン
グフレームに一致する(実施例を見よ)。このヒトTSH
レセプターの配列は、イヌのTSHレセプターの配列(ア
ミノ酸の異なる部分だけ示した)とともに比較のために
掲載した。番号付けは、ボンハイネアルゴリズムによっ
て決定される成熟ポリペプチドの第一残基から開始した
(11)。可能性のあるN−グリコシル化部位を下線で示
した。また、推定されるトランスメンブランセグメント
を上線で示した。
第9図は、cos−7細胞で発現されるヒトTSHレセプタ
ーの[125I]TSHの非放射性TSHによる置換を示してい
る。結果は、非特異的結合(100nMの未標識TSHの存在下
で結合した放射活性、240cpm)で訂正した後に、競合す
るもの(1400cpm)が存在しない状態で、トランスフェ
クションされた細胞に結合した125I−TSHのパーセント
として示されている。
第10図は、cos−7細胞で発現されたヒトTSHレセプタ
ーから125I−TSHが免疫グロブリンによって置換される
ことを示している図である。結果は、第9図と同様にし
て示した。免疫グロブリンは、正常個体(N)、特発性
粘液水腫(idiopathic myxoedema)患者(IM1,IM2)ま
たはグレーヴス病患者(GD1,GD2)から調製した(実施
例を見よ)。アッセイでの免疫グロブリンの濃度を示し
た。IM1およびIM2(1.5mg/ml)が、ヒト甲状腺細胞アッ
セイでTSH刺激によるcAMP産生を阻害する能力は、それ
ぞれ100%および85%である。GD1およびGD2(1.5mg/m
l)の甲状腺刺激活性は、それぞれとも10mU/mlのTSHの
場合に等しかった。
第11図は、本発明にもとづくTSHレセプターの一次構
造を示すものである。いずれかひとつの部位にある複数
の文字は、その部位での与えられたアミノ酸残基のうち
のひとつの存在を示すものである。
第12図は、クローン化されたヒトTSHレセプターのcDN
A配列を示すものである。
本発明は、チロトロピンレセプター活性を有するポリ
ペプチドに関するものである。このポリペプチドは、第
11図に示されたアミノ酸配列あるいはその断片、第11図
に示されたアミノ酸残基のいずれかにおいて欠失または
置換が生じたアミノ酸配列、または新たなアミノ酸配列
の挿入が生じたアミノ酸配列を含むことを特徴とするも
のである。これらの誘導配列は、例えば、第11図の配列
と80%の相同性を有する配列である。本発明のポリペプ
チドは、実質的に純粋な形態からなるもので、好ましく
は非甲状腺的環境(non−thyroid environment)にあ
る。ここで、「実質的に純粋な形態」は、界面活性剤に
よって可溶化された甲状腺膜調製物に結合した「不純物
を含まない」ことを意味している。
「TSHレセプター活性」は、TSH結合特性または抗TSH
レセプター抗体結合特性またはTSHあるいはTSHレセプタ
ー抗体にさらされた場合にGタンパク質を介して抗アデ
ニリルシクラーゼまたはホスファリパーゼCを活性化さ
せる能力を意味している。これらの特性は、ポリペプチ
ドを例えば標識TSHまたは標識抗TSHレセプター抗体と接
触させることによって、あるいはそのポリペプチドを含
む膜分画のアデニリルシクラーゼ活性を調べることによ
って、容易に確かめることができる。本発明のポリペプ
チドは、本発明者らによって同定されたTSHレセプター
全体、および断片または以下に記載するようなこのポリ
ペプチドの変異体を含むものである。TSHレセプター全
体は、ひとつのペプチド(20残基)から構成され、その
ペプチドには細胞外ドメイン(398残基)がつながって
いる。この細胞外ドメインはN−グリコシル化のための
5つの部位を有するもので、トランスメンブランセグメ
ントを含む346残基からなるCOOHドメインに結合してい
る。このレセプターのアミノ酸配列は第11図に示した。
さらに、本発明は以下の一般式: [X]n−[y]m−[Z]p [式中、n=0または1、m=1、p=0または1であ
り、 x、y、zは以下のように定義され(アミノ酸の一文字
表記で示されており、一つの部位に複数の文字が記載さ
れている場合は、その部位においていずれかのアミノ酸
残基が存在することを示す)、 y=少なくとも免疫学的な特性を現わすのに必要な最小
数の以下の配列からなる連続的なアミノ酸配列: そして、z=[I−II−IIi−III−IIIi−IV−V−VI−
VII−VIIi]であり、 式中、アミノ酸配列[I−II−IIi−III−IIIi−IV−V
−VI−VII−VIIi]は、独立的に存在または欠失し、ま
た以下の意味を有する、 または、この配列の少なくとも12の連続するアミノ酸残
基であり、 または、この配列の少なくとも12の連続するアミノ酸残
基であり、 または、この配列の少なくとも2の連続するアミノ酸残
基であり、 または、この配列の少なくとも22の連続するアミノ酸残
基であり、 または、この配列の少なくとも2の連続するアミノ酸残
基であり、 または、この配列の少なくとも12の連続するアミノ酸残
基であり、 または、この配列の少なくとも12の連続するアミノ酸残
基であり、 または、この配列の少なくとも12の連続するアミノ酸残
基であり、 または、この配列の少なくとも12の連続するアミノ酸残
基であり、 または、この配列の少なくとも2の連続するアミノ酸残
基であり、 上記アミノ酸は置換または欠失可能であり、また、チロ
トロピンレセプター活性が維持されることを条件とし
て、他のアミノ酸残基を挿入可能である] で表わされるアミノ酸配列を含むことを特徴とするポリ
ペプチドに関するものである。
上記一般式の[X]nによって示される配列は、TSH
レセプターのシグナル配列に相当する。ポリペプチドの
この部分は、細胞内におけるその産生の後、隣接する
[y]および(または)[z]断片の細胞膜への移動を
確実にする。明らかに、シグナル配列は、膜への移動が
必要でない場合は、そのポリペプチド中に存在する必要
はなく(例えばそのポリペプチドをコードするmRNAのイ
ンビトロ翻訳において)、またはある宿主細胞内で組換
え体レセプターの産生を促すための他のシグナル配列に
よって置き換えられてもよい。
上記式中の[z]pによって示される配列は、7つの
推定されるトランスメンブランフラグメントI−VIIを
含むポリペプチド全体のCOOHドメインに相当する。これ
は、他のGタンパク質共役レセプターの該当する領域と
相同である。本発明のポリペプチドは、上記したよう
に、トランスメンブランドメインの一部分またはその全
部を欠如した基本的なTSHレセプター配列の変異体も含
まれる。このような変異体は、選択的スプライシング現
象の結果として自然に生じると考えられている。他の既
知のGタンパク質共役レセプターとの相同性から、7つ
の推定されるトランスメンブランセグメントは第11図
(IからVIIまで)に示されるように試験的に同定され
た。本発明の変異ポリペプチドは、すでに定義されたよ
うなIからVIIiまでのフラグメントすべてか、あるいは
その一部分を欠失したポリペプチドを含み、その定義は
第6図に示したように、トランスメンブランセグメント
間に生じる細胞外および細胞内に延びる「ループ」を含
む。したがって、トランスメンブランセグメントの欠失
は、例えば第11図に示したようなセグメントIないしVI
Iから選択されるひとつのセグメントであってもよく、
あるいはこれらのセグメントのうちのひとつの一部分で
あってもよく、または隣接する細胞内および(または)
細胞外ループに連結されたひとつのトランスメンブラン
セグメントであってもよい。
本発明には、トランスメンブンドメインの全部または
その一部分を、別のレセプターのトランスメンブランド
メインまたはその一部分で置換することによって雑種
(ハイブリッド)レセプターを作ることも含まれる。こ
の種のレセプターは、TSHレセプターの細胞外部分が、
特にTSHレセプターの膜を横切る部分(トランスメンブ
ラン部分)とは相容れないか、もしくはその部分とは異
なる特性を有する、細胞膜にアンカーされる必要のある
場合に特に興味深い。また、適当なアンカーとしての特
性を示すようなアミノ酸配列を、ハイブリッドレセプタ
ー内のトランスメンブランドメインとして使用すること
もできる。そのような配列は合成されたものか、あるい
はあらゆるトランスメンブランタンパク質に基づくもの
とすることができる。
ここで特記すべきことは、本発明には、トランスメン
ブランドメイン全体を欠くチロトロピンセプター活性を
有するポリペプチドも含まれるということである。この
場合、このポリペプチドは天然に生じるレセプターの細
胞外ドメインに相当する。明らかにリガンドの結合に関
与するこのレセプターの細胞外の部分は、一般式の
[y]によって同定される。トランスメンブランドメィ
ン全体を欠失したポリペプチドは、一般式[y]mによ
って表わされる。式中、m=1であり、配列の[z]部
分は欠如している。このレセプターの細胞外部分[y]
は、第7図によって示される不完全な繰り返し配列によ
って特定される。本発明のポリペプチドは、このような
繰り返し配列のひとつ異常が欠如した変異体を含む。し
かし、抗体(モノクローナル抗体またはポリクローナル
抗体)を産生させるのに十分なアミノ酸が存在すること
が重要である。そのような免疫源的なアミノ酸配列は、
例えば上記“y"配列の5、6、7、8または9個の連続
するのアミノ酸を含むであろう。本発明のフラグメント
の免疫源的な性質は、実験動物に問題のフラグメントを
注射して、産生された抗体と免疫フラグメントとの間の
反応性を調べることによって試験される。
特に、本発明は第二の繰り返し部分(第7図中、矢印
で示した部分)が欠失したポリペプチドを含むものであ
る。
また、本発明は、本発明のポリペプチドをコードする
核酸配列と、それに対応する相補的配列にも関係する。
そのような配列の例は、第5図および第12図に示されて
いるものと、これらの配列のフラグメント、および対応
する縮重配列である。本発明に含まれる核酸フラグメン
トは、通常少なくとも8個のヌクレオチドからなる核酸
フラグメントと、好ましくは少なくとも12個または好ま
しくは少なくとも16個のヌクレオチドからなる核酸フラ
グメントを含む。そのようなフラグメントは、またはそ
れらの相補的配列は、例えばチロトロピンレセプター活
性を有するポリペプチドをコードするcDNAの産生におい
て、ポリメラーゼ連鎖反応を用いたDNAのセグメントの
増幅のためのプライマーとして利用できよう。
完全なTSHレセプターをコードする本発明の核酸配列
は、甲状腺細胞に自然に見られる環境とは異なる発生学
的な環境下にある。例えば、発生学的環境とは、cos−
7細胞、CHO細胞またはY1細胞のものとすることができ
る。
本発明のポリペプチドは、いくつかの異なった方法で
産生される。例えば、cos−7細胞、CHO細胞、NIH3T3細
胞、アフリカツメガエル卵母細胞またはY1細胞のような
宿主細胞は、プロモーター配列、転写終了シグナル配列
などのすべての必須制御因子と組み合わせられた、目的
ポリペプチドをコードする核酸挿入物を含むベクターに
よって形質転換されるか、あるいはレセプターをコード
する配列を含む適当なベクターから転写された組換えmR
NAをミクロ注入される。挿入配列の遺伝子発現は、通
常、宿主として用いられた細胞の膜に組換えポリペプチ
ドの挿入をもたらす。この方法では、レセプターポリペ
プチドはこの形態で用いられ、したがってこのレセプタ
ーは非甲状腺真核細胞環境で存在するか、可溶化された
膜断片形態として存在することになる。組換えレセプタ
ーを発現する非甲状腺細胞は、甲状腺細胞で見られたよ
りも10倍高いレセプター密度を示した。
さらに、ポリペプチドの一断片のみが求められる場
合、対応する短かめの核酸配列は、例えば推定される細
胞外領域のみ、またはこの領域の繰り返し部分の一つま
たは複数の繰り返しをコードするDNAが適当な宿主細胞
を形質転換させるのに用いられる。また、本発明では求
められるアミノ酸残基の連続的連結による化学的なポリ
ペプチド合成も含まれる。大きなフラグメントが要求さ
れる場合、始めに一連の短いフラグメントを合成し、そ
れらを最終的に連結することによって大きなフラグメン
トにすることが可能である。
また、本発明はチロトロピンレセプターポリペプチド
に対して産生されるモノクローナル抗体およびポリクロ
ーナル抗体にも関する。本発明の抗体は、好ましくは精
製された形態で、うさぎまたはマウスのような動物由来
のものとすることができる。すでに述べたように、ヒト
では、TSHレセプターは、自己抗体の刺激またはブロッ
キングによる甲状腺の過剰刺激または減衰刺激を生じる
自己免疫反応の標的となりうる。本発明のポリペプチ
ド、特に推定される細胞外ドメインの抗原性は、いろい
ろな研究やアッセイに用いることが可能な抗体の産生を
可能とする。TSHレセプターはTSHおよび抗TSHレセプタ
ー抗体に結合することから、ある研究では抗TSHレセプ
ター抗体でTSHを置換することが可能である。標識され
たものと、非標識のものとの拮抗現象は、前記アッセイ
に好適に用いられる。TSHレセプターの特定フラグメン
トを用いることによって、特定のエピトープに対する抗
体の調製が可能となり、またそのような一群の抗体を用
いて自己免疫疾患を呈する患者の疾患のタイプのさらな
る特徴決定が可能となる。
そのようなアッセイのひとつで本発明にもとづくもの
は、生物学的試料に含まれるチロトロピン(TSH)また
は抗チロトロピンレセプター抗体(抗TSHレセプター)
の定量的分析方法である。この方法では、本発明にもと
づくポリペプチドはTSHまたは抗TSHレセプター抗体を含
むと思われる生物学的試料と接触させられると同時に、
あるいはそれに続けて、標識TSHまたは標識抗TSHレセプ
ター抗体と接触させられる。そして、標識されたもの
と、未標識のものとの拮抗の後に、標識TSHまたは標識
標識抗TSHレセプター抗体の結合量を測定する。
この種のアッセイは、生物学的試料に存在する未標識
のTSHまたは抗TSHレセプター抗体と、標識TSHまたは標
識抗TSHレセプター抗体との間の拮抗関係を、その試料
に含まれるそれらのものの量を示すものとして測定す
る。
また、TSH測定するために二つの類似物の間の拮抗関
係を利用する変わりに、生物学的液体中のTSHを結合さ
せるために、レセプターポリペプチドを用いて、次いで
洗浄の後に、結合TSHを選択的に検出する標識抗TSH抗体
を添加することも可能である。このようなタイプのアッ
セイもまた、生物学的試料に含まれる抗TSHレセプター
抗体を結合させるために、固定化された、あるいは可溶
化されたレセプターポリペプチドを用い、続いて標識抗
免疫グロブリンまたはプロテインAまたはプロテインG
または抗体を検知可能な他の薬剤によって結合抗体を検
出して実施することができる。
試料中のTSHまたは抗TSHレセプター抗体をアッセイす
るための他の手段は、レセプターを持つ細胞に備わって
いるアデニリルシクラーゼ活性にもとづいたTSHレセプ
ターへの結合効果を利用するものである。よって、本発
明はTSHまたは抗TSHレセプター抗体の定量的検出方法に
関するものである。この方法は、本発明のポリペプチド
をコードする核酸配列によって形質転換された細胞また
はそのような細胞から調製された膜分画と、TSHまたは
抗TSHレセプター抗体を含むと考えられる生物学的試料
とを接触させ、それらの細胞または膜分画での、アデニ
リルシクラーゼ活性の変化を、例えばcAMP産生または放
出を測定することによって、測定するものである。
レセプターポリペプチドへのTSH自体または刺激抗TSH
レセプター抗体の結合は、アデニルシクラーゼ活性を増
加させるが、ブロッキング抗TSHレセプター抗体の結合
はTSH誘導アデニルシクラーゼ刺激の阻害につながる。T
SHにレセプターポリペプチドをさらすことによって誘導
されたアデニルシクラーゼ活性と、試料中の抗体によっ
て誘導されたアデニルシクラーゼ活性とを比較すると、
本発明にもとづけば、刺激抗体(stimulating antibod
y)からブロッキング抗体(blocking antibody)を見分
けることは可能である。試料中に含まれるブロッキング
抗体の定量を行なうには、試料をレセプターポリペプチ
ドペプチドと、TSHと同時に、あるいはTSHとの接触前
に、接触させる。この方法では、レセプターに対するTS
Hのアデニルシクラーゼ刺激効果は、ブロッキング抗体
によって阻害され、また試料中に含まれるブロッキング
抗体の濃度を示すために定量される。このような測定
は、本発明のTSHレセプターを持つ細胞またはそのよう
な細胞の膜分画に対してなされる。この種の検知に用い
られるエフェクター系は、例えばフォスホリパーゼC、
プロテインチロシンキナーゼ、ホスホリパーゼA2などの
活性がある。
本発明のアッセイに用いられる標識は、すでによく知
られているものであり、例えば放射性標識、酵素標識、
標識抗免疫グロブリン、プロテインA、プロテインGな
どでアッセイの種類に依存して決められる。
本発明はさらに、生物学的液体中のTSHレセプターの
フラグメントを定量する方法に関するものである。その
ようなフラグメントは、甲状腺機能異常の患者の体内に
おいて検出されるものである。本発明にもとづく方法で
は、試料を事前に標識された本発明にもとづく抗体と接
触させることが含まれるもので、もし必要ならば、本発
明にもとづくポリペプチドと前記フラグメントとの間の
拮抗によって、あるいは結合標識抗体を非結合標識抗体
から分離する方法によって結合測定を行なうことも含ま
れる。後者の場合、レセプターポリペプチドを、例えば
125Iで標識する必要がある。
本発明の抗体は、TSHレセプターの免疫組織化学的検
出に用いることが可能である。例えば内分泌学的研究や
病理解剖学的研究において利用可能である。このような
プロセスでは、抗体は検出可能なものとなるために再度
標識される。
本発明のポリペプチドは、ポリペプチドをTSHレセプ
ターまたは抗TSHレセプター抗体源と接触させ、結合し
たものと結合しなかったものとを分離し、そして最後に
レセプター結合物を分離することによって、TSHrに対す
る刺激またはブロッキング抗体およびTSHの精製に用い
ることができる。もし必要ならば、さらに周知の精製を
行なう。そのような精製工程は、レセプターポリペプチ
ドを例えばカラムや他の固体支持体で固定化することに
よって促進される。
本発明は、TSHまたは抗TSHレセプター抗体の検出に好
適なキットを提供するものでもある。このようなキット
は、以下のものを含むことによって特徴づけられる。
(a)チロシンレセプター活性を有し、かつ固定化また
は可溶化された形態にある上述したような本発明にもと
づくポリペプチド; (b)以下に示す少なくともひとつの試薬: i)標識TSH ii)標識抗TSHレセプター抗体、そして iii)アデニリルシクラーゼ活性の測定に必要な試
薬。
例えば、拮抗によるTSHレセプターに対する自己抗体
の検出を可能にするためのキットは、標識TSHまたはTSH
を標識可能な試薬と組み合わされた未標識TSHととも
に、固定化または可溶化された形態にある本発明のポリ
ペプチドを含む。あるいは、TSHの代わりに、そのよう
なキットはTSHレセプターに対する抗体と、それを標識
する手段とを含むものである。
以下、本発明を実施例により明らかにする。
実施例 I.イヌTSHレセプターのクローニング (a)HGMP09の同定 ほとんどのGタンパク質共役レセプター遺伝子は、そ
のコード配列にイントロンを含んでいないので、文献
(6)記載と同一の戦略を用いることにした。しかし、
縮重プライマーの異なるセットと、原料としてヒトゲノ
ムDNAとともに用いた。G−タンパク質共役レセプター
と配列同一性を示す7つのクローンが得られた(7)。
この中から、トランスメンブランセグメントIIおよびVI
Iに対応するプライマーによって増幅されたひとつのク
ローン(HGMP09)は、レセプターの別個のサブファミリ
ーに属することを示唆するような配列特性を示した。
この増幅に用いられたプライマーは、 であり、いずれのひとつの部位の複数のヌクレオチドは
その部位において与えられたヌクレオチドのひとつの存
在を示している。
第1図に示された配列から構成されたデンドログラム
が示すことは、最近までにクローン化されたすべてのレ
セプター(7)から等距離にある;特に、トランスメン
ブランセグメントIII(8)に近接した正統の(canonica
l)Asp Arg Tyr(DRY)トリペプチドを含まず、また
荷電したアミンの結合に関係したアスパラギン(Asp)
残基が欠けたレセプターは、アドレナリン(Asp113)、
ムスカリン、ドーパミン、そしてセロトニンレセプター
(9)である。
(b)イヌTSHレセプターの同定 甲状腺組織での新しいレセプターの発現の組織的スク
リーニングのフレームにおいて、HGMP09を甲状腺組織と
甲状腺以外の組織とを用いたノーザンブロット実験のプ
ローブとして、またイヌ甲状腺cDNAライブラリーをスク
リーニングするためのプローブとして用いた。HGMP09
は、甲状腺油来mRNAとハイブリダイズしなかったが、卵
巣および精巣において2.6kbからなるメジャーな転写産
物を同定した。しかし、適当な条件下において、それは
50、000の甲状腺cDNAのひとつと雑種形成(ハイブリダ
イズ)した。このことは、甲状腺の相対的に豊富な推定
されるレセプターとクロス−ハイブリダイゼーションす
ることを示唆している。このような特性から、HGMP09
は、TSHレセプターとは別個の、しかしLHまたはFSHレセ
プターのような類似のレセプターから期待される配列特
性を持つレセプターフラグメントをコードすると考える
ことが可能である。全長にわたってクロス−ハイブリダ
イズしたクローン(dTSHr)を単離して、10種類のイヌ
組織のノーザンブロットのプローブとした。このプロー
ブは甲状腺およびその組織培養細胞のみに現われる4.9k
bの転写産物とハイブリダイズした。面白いことに、シ
グナルは甲状腺組織よりもcAMPアゴニストであるフォル
スコリンに数日さらされた培養甲状腺細胞のほうが強か
った。このことは、培養細胞においてTSHレセプターの
発現がcAMPアゴニストによってアップレギュレートされ
るという知見(10)から期待されるひとつの特性であ
る。4,417bp(塩基対)からなるcDNAクローンの全配列
を決定した。この配列は、ボンハイネアルゴリズム(1
1)(第2a図)から予測される。20残基からなるシグナ
ルペプチドから始まる764のアミノ酸かなるオープンリ
ーデイングフレームを含む。すでに知られているGタン
パク質共役レセプター(以下の記載と第2b図を見よ)と
の比較と、ハイドロパシイプロファイル分析(hydropat
hy profile analysis)(示さず)とが示したことは、
大きな細胞外ドメインを構成する398個のアミノ酸によ
って先行された7つのトランスメンブランドメインを持
つ346残基からなるC末端構造である。
(c)イヌTSHレセプターの発現 コードされたポリペプチドは、種々の系でのcDNAの発
現によるTSHレセプターとして明確に同定された。副腎
皮質Y1細胞およびアフリカツメガエルの卵母細胞への組
換えmRNAのマイクロインジェクションによって、これら
の細胞に対してTSHに感応な表現型が与えられた。Y1細
胞の場合、TSHに対して特徴的な形態変化によって応答
した。この形態変化は、細胞質におけるcAMP濃度の上昇
によって引き起こされた(12、13)。一方、アフリカツ
メガエルの卵母細胞(第3図)は、TSHによる刺激に対
して特異的なcAMPの用量依存型の増加が認められ、ウシ
TSHに対するイヌレセプターの期待される感受性に一致
した(50%効果は約0.3nMで得られた)(14)。レセプ
ターcDNAの一時的な発現は、cos−7細胞(第4図)で
得られた。膜への125I標識TSHの特異的結合は、トラン
スフェクションされた細胞のみで観察された。TSHによ
る標識の置換曲線は、イヌの甲状腺細胞から得られた膜
分画によって得られたものと大変類似した特性を表わし
た(50%効果はcos細胞で約0.4nMで、甲状腺細胞で0.16
nMのところで観察された)(第4c図)。cos−7細胞の
膜分画では、わずかながら右側にずれた置換曲線が得ら
れたが、このことはこの系にレセプターがより多く含ま
れていることを示している。
イヌTSHレセプターをコードするcDNAの全配列を決定
し、第5図に示した。
(d)TSHレセプターとLH−CGレセプターとの比較 TSHレセプターと、最近になってクローン化されたLH
−CGレセプター(15、16)との比較から、興味深い特性
が明らかになった。その性質から、それらはGタンパク
質共役レセプターの新しいサブファミリーに属するもの
となった。両者とも、N−グリコシル化のための多価部
位(TSHレセプターでは5つ)を含む長いアミノ末端か
らなる延長部分を示した。このTSHレセプターは、推定
される細胞外ドメインと第一のトランスメンブランセグ
メントとの間に近い部分に挿入される追加の52残基から
なる挿入配列を持つ(第2a図)。TSHとLH−CGレセプタ
ーの細胞外ドメインの全体の配列類似性は、45%であっ
た(第2a図)。大豆のレクチンのセグメントと、ラット
LHレセプターとの類似性(15)は、TSHレセプターでは
保持されていなかった。このことは、偶然なことかもし
れない。トランスメンブランセグメントを含むTSHレセ
プターのC末端の半分は、ブタおよびラットLHレセプタ
ー(第2a図)と70%の相同性を有する。この相同性は、
特にトランスメンブランセグメントそれ自体で顕著であ
る。そこでは、24個の同一の残基が一列に延びている
(トランスメンブラン領域III)。また、第三の推定さ
れる細胞内ループのカルボキシル末端領域は、TSHおよ
びLHレセプターで特に短く、またGas(8、9)と関係
しており、それは両レセプターで同一である。このよう
な類似性のパターンは、細胞外ドメインがリガンド(4)
に認識されるものであるということを支持している。一
方で、膜に挿入されたドメインは、Gasの活性化に関与
する(15、16)。TSHおよびLH−CGレセプターと、HGMP0
9とは、ともにGタンパク質共役レセプターの別個のサ
ブファミリーを構成する(HGMP09が実際にFSHレセプタ
ーであるという証拠が存在する(7))。最近までにク
ローン化されたGタンパク質共役レセプターのほとんど
を含む配列相同性デンドログラム(17)は、それらの近
接した関係と、他のレセプターの大部分からの距離とを
示す(第2b図)。FSHレセプターの完全配列は、TSHレセ
プター(18)を刺激するLH−CGの既に知られている能力
がLHおよびTSHレセプターの細胞外ドメインの高い配列
類似性を反映しているかどうかを明らかにするであろ
う。
(e)イヌTSHレセプター変異体の同定 HGMP09クローン(FSHレセプターの一部分として考え
られる)によるイヌ甲状腺細胞cDNAライブラリー(30)
のスクリーニングは、スクリーンされた840,000個のプ
ラークから16個の陽性クローンを得た。ハイブリダイゼ
ーションは、35%ホルムアミド中、42℃で実施した。そ
して、オートラジオグラフィーの前に2倍のSSC、0.1%
SDS中で、65℃でフイルターを洗浄した。12のクローン
を均一となるまで精製し、EcoR I消化によって分析し
た。そして、3つのクローン(dTSHR1、dTSHR2およびdT
SHR3)をM13mp18およびpBSベクターでサブクローン化し
た。dTSHR1およびdTSHR2は、2800および1500bpからなる
2つのEcoR I断片を有する。dTSHR3は短くて、2200およ
び1500bpからなるEcoR I断片からなる。dTSHR1およびdT
SHR2の2800bpフラグメントの制限酵素での消化による分
析から、制限地図にわずかながらの違いが認められた。
すなわち、おもな違いはdTSHR1においてPst I制限部位
が存在することであり、これはdTSGR2には存在しない。
dTSHR1の塩基配列は完全に明らかにされ、卵母細胞およ
び培養細胞でのcDNAの発現によるチロトロピンレセプタ
ーとして同定される764コドンからなるオープンリーデ
イングフレームが明らかになった(実施例I(b)およ
び第5図参照)。dTSHR3はdTSHR1と同様であるが、5′
末端が600bp欠けていた。dTSHR1およびdTSHR2の制限地
図における差により、後者のクローンは両鎖上にも配列
が決定された。
この配列から、dTSHR1クローンと比較した場合、いく
つかの突然変異が生じているのが明らかになった。全体
で5つの突然変異が認められ、二つは単一の塩基の置換
を含み、ひとつは単一の塩基の欠失、ひとつは単一の塩
基の挿入そしてひとつは5塩基の挿入が、2060bpかなる
長い3′未翻訳領域(図示せず)内に散在している。し
かし、dTSHR1とdTSHR2とのあいだの主な違いは、遺伝子
をコードする領域に位置しており、開始コドンから240b
p下流に75bpの欠失があるということである。この欠失
に対応するタンパク質でのアミノ酸の25個の欠失は、長
いNH2末端紬胞外ドメインにある。このドメインはTSHレ
セプター(25)と、それに密接に関連かつ最近になって
クローン化されたLHレセプター(15、16)に特有なもの
である(第6図)。LHレセプターに見られるように、チ
ロトロピンレセプターのNH2末端部分は不完全な繰り返
し構造によって特徴づけられる。この不完全な繰り返し
構造は、第7図に示されたようにして配列されている。
これらの繰り返しは、ロイシン−リッチな糖タンパク質
の仲間を含むいろいろなタンパク質で見られるロイシン
−リッチな繰り返しと構造が類似している(26、15)。
dTSHR2クローンにみられる欠失は、繰り返し配列の長さ
が規則的で、またその並び方は明確であるタンパク質の
領域にある、これらの繰り返し配列のひとつと正確に一
致する。そのような変異の存在は、この繰り返し構造の
意義を高めるものであり、その構造の機能的意味と染色
体遺伝子の構造との関係に関して興味ある問題を提起し
ている。
TSHおよびLHレセプターの細胞外ドメインは、あきら
かにリガンドの結合に関与している(4)。欠失繰り返
し構造は、N−グリコシル化のための5つのコンセンサ
ス配列のひとつも含む。TSHレセプターのグリコシル化
は、リガンドの結合またはシグナル伝達にとって重要な
ものであると考えられる。もし、この繰り返しが欠けて
いるとしたら、結合能および(または)レセプター変異
体の機能に影響がでるだろうが、今のところ明らかにさ
れていない。この変異を発現する細胞系統と、安全な大
きさのレセプターを発現する有効かつ安定なトランスフ
ェクタントとを比較すると、この問題の部分的な回答が
得られる。インビトロの系で生じたTSHレセプターに関
する他の突然変異体の機能的分析はそのような研究を完
結させよう。
繰り返し全体の欠失もまた、TSHレセプター遺伝子の
構造を明らかにする上で役に立つ。繰り返し単位がエク
ソンに一致する可能性は非常に高いと考えられるので、
すべての繰り返し配列はイントロンによって分断されて
いるのだろう。おもしろいことに、Gタンパク質共役レ
セプターをコードする遺伝子の大部分は、イントロン的
な構造を完全に欠いている。もちろん、このようなこと
の機能的および進化的な意義はわからないが、しかし糖
タンパク質ホルモンレセプター遺伝子の高度に断片化さ
れたエクソン的な構造は、レセプターファミリーの他の
ものとは対照的である。
II.ヒトTSHレセプターのクローニング ヒトラムダgtllcDNAライブラリー(29)をイヌTSHレ
セプター遺伝子(25)の断片でスクリーングした。218
クローンが陽性で(1/6000)、そのうちの24クローンを
プラーク精製して、挿入配列の大きさを決定した。2370
bpの挿入配列を持つクローンと3050bpの挿入配列を持つ
クローンとを、M13デリバテイブ中でオーバーラッピン
グ断片としてサブクローン化して配列を決定した(第12
図)。全体で4272bpが決定され、そのなかに2292bpから
なるオープンリーデイングフレームが同定された。この
遺伝子をタンパク質に翻訳すると、その遺伝子をコード
している配列はイヌTSHレセプターと90.3%の相同性を
示した(第8図)(1)。それは、Gタンパク質共役レ
セプター結合糖タンパク質ホルモンのサブファミリーに
ついて上述した特徴のすべてを示している。すなわち、
シグナルペプチド(20残基)の後に、N−グリコシル化
のため5つの部位を有する大きな細胞外ドメイン(398
残基)が続き、またそのドメインは7つのトランスメン
ブランセグメンを含む346残基からなるカルボキシル末
端ドメインに連結されている(第8図)。他のGタンパ
ク質共役レセプターには見つからないアミノ末端ドメイ
ンは、脳下垂体および胎盤の糖タンパク質ホルモンの結
合に関与する領域に相当すると考えられる(25、15、1
6)。
ヒトTSHレセプターの変異体 ヒトTSHレセプター遺伝子をプローブとして、ヒト胎
盤、精巣および甲状腺から抽出したRNAのノーザンブロ
ットを行なった。その結果、4.6おび4.4kbからなるメジ
ャーな甲状腺特異的転写産物が明らかになった。また、
サイズの小さくかつマイナーな甲状腺特異的RNA種も観
察された。しかし、メジャーな甲状腺特異的転写産物
は、その遺伝子の3′領域にある多数のポリアデニリル
化部位に単純に当てはまった。このことは、ブタLH−CG
レセプターで観察されたものを思い出させる。この場
合、多数の転写産物がメンブランスパンニングセグメン
ト(membrane spanning segments)(16)をコードする
能力を欠いているレセプターcDNAの変異体と一致する。
レセプター機能およびその調整と重要な関係するこのよ
うな観察をヒトTSHレセプター遺伝子にも適用するかど
うかは、cDNAライブラリーから得た追加のクローンの配
列決定をまつであろう。
ヒトTSHレセプターの発現 単離されたクローンがヒトTSHレセプターをコードす
るかどうかを証明するために、そのコード配列をSV−40
をもとにしたベクターpSVLに挿入し、cos−7細胞にト
ランスフェクションした(24)。このトランスフェクシ
ョンされた細胞から調製した膜分画は[125I]TSHの特
異的結合を示した(第9図)。拮抗させるための未標識
TSHとして牛のものを用いた。未標識TSHによる置換を示
す曲線の特徴は、同様の条件下で行なったイヌTSHレセ
プターの場合と類似している(約0.5Mのとこで50%置換
がなされた)(25)。
イヌTSHレセプターとの配列の類似性、対応する転写
産物の組織特異的遺伝子発現、そしてトランスフェクシ
ョンされたcos−7細胞から得られた膜分画の結合アッ
セイから、正真正銘のヒトTSHレセプターがクローン化
された。
ヒトTSHレセプターに対する抗体 甲状腺自己免疫に対するクローン化されたヒトTSHレ
セプターの関係を調べるために、cos−7細胞で発現さ
れた組換えレセプターに対する結合について、[125I]
TSHと患者から調製された免疫グロブリンとの拮抗関係
を調べた(図10)。免疫グロブリンは、硫酸アンモニウ
ム沈澱によって、患者の血清または正常個体の血清から
調製したものである。調製された血清は水に溶解され
て、ダルベッコの修飾イーグル培地に対して透析され
た。正常個体からの免疫グロブリンが[125I]TSHと置
換されないのに、イデイオパシックミクソエデマ(ideo
pathic myxoedema)の二人の患者から得た試料では、[
125I]TSHと用量依存的に置換された。観察された急勾
配の用量応答は、これらの患者から得られた免疫グロブ
リンが組み換えレセプターに対して高い親和性を有する
ことを示している。循環系に高レベルの甲状腺刺激免疫
グロブリン(thyroid stiulating immunoglobulins)を
有するグレーブス病の患者二人から得た試料の場合、そ
のうちのひとつはそのアッセイ条件下において標識され
たTSHとの置換を行なうことが抑制された(第10図)。
これら2つのカテゴリーの免疫グロブリンの、cos−7
細胞で発現されるレセプターからTSHを置換させる能力
の違いは、共通の抗原に対するそれらの親和性の違いを
反映させている。あるいは、刺激抗体およびブロッキン
グ抗体がTSHレセプターの同一の部分に結合するという
従来の知見(26、27)にもかかわらず、各抗原標的の実
際の性質におけるより基本的な差異に対応するものかも
しれない。この点に関しては、より多くの免疫グロブリ
ンの結合活性を、トランスフェクションされた細胞での
アデニル酸シクラーゼを活性化する能力と比較すること
によって明らかにされるであろう。
参照文献 1. J.E.Dumont,G.Wassasrt & S.Refetoff,in The met
abolic Bases of Inherited Diseases,C.R.Scrivers,A.
L.Beaudet,W.S.Sly & D.Vale eds.McGraw−Hill,pp 18
43−1880(1989). 2. I.A.Kourides,J.A.Gurr & O.Wolw.Rec.Progr.Hor
m.Res.40,79−120(1984). 3. F.Ribeiro−Neto,L.Birnbaumer and JM.B.Field,Mo
l.Endo.1,pp 482−290(1987). 4. B.Rees−Smith,S.M.McLachlan & J.Furmaniak,End
ocrine Rev.9,106−121(1988). 5. R.K.Saiki et al.,Science 239,pp.487−491(198
8). 6. F.Libert et al.,Science 244,pp.569−572(198
8). 7. M.Parmentier et al;to be published elsewhere. 8. B.F.O'Dowd,et al.J.Biol,Chem.263.15985−15992
(1988). 9. C.Strader.I.S.Sigal & R.Dixon.FASEB J 3,1825
−1832(1989) 10. S.Lissitzky,G.Fayet and B.Verrier.Adv.Cyclic
Nucl.Res.5,133−152(1975). 11. G.von Heijne,Nucl.Acids Res.14,4683(1986). 12. B.P.Shimmer,in Functionally Differentiated ce
ll lines.pp 61−92.G.Sato,ed.AlanR.Riss Inc.(198
1)N.Y. 13. C.Maenhaut & F.Libert,寄託Y1細胞を文献(12)
記載にもとづいて単層培養した。1mm2方形区を培養皿の
うらにマークして、この方形区に含まれるすべての細胞
にmRNAを0.25μg/μlマイクロインジェクションした。
このmRNAは、PSP64(プロメガ)でサブクローン化したT
SHレセプターCDNAから合成されたものである。30分後、
TSHを添加し、120分後に細胞の写真をとった。TSH濃度
が0.1mMに低下するとともに、形態変化(20時間安定)
を観察した。FSH、LHおよびhCGは効果を示さなかった
(図示せず)。
14. J.Van Sande,P.Cochaux and J.E.Dumont.FEBS Let
t.150,137−141(1982). 15. K.C.McFafland et al.,Science 245,494(198
9). 16. H Loosfelt et al.,ibid 245,525,(1989). 17. D.G.Higgins and P.M.Sharp.Gene,73,237−244(1
988). 18. J.G.Kenimer,J.M.Hershman & H.P.Higgins.J.Cli
n.Endpe.Metab.40,482(1975). 19. T.maniatis,E.F.Fritsch and J.Sambrook,(198
2)In Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold
Spring Harbor Laboratory Press,New York). 20. P.Roger et al.Eur.J.Biochem.152,239−245(198
5). 21. F.Sanger,S.Nicklen & A.R.Coulson.Proc Natl.A
cad.SCi.U.S.A.74,5463(1977).S.Henikoff.Gene 28,3
51(1984). 22. B.K.Kobilka et al.J.Biol.Chem.262,7321(198
7). 23. G.Wong,Y.S.et al.Science 228,810−815(198
5). 24. R.A.F.Dixon et al.Nature 326,73−77(1987). 25. Parmentier,M.,Libert,F.,Maenhaut,C.,Lefort,
A.,Gerard,C.,Perret,J.,Van Sande,J,Dumont J.E.and
Vassart,G.(1989).Submitted. 26. Takahashi,N.,Takahashi,Y.and Putman,F.W.(198
5).Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.82,1906. 27. Davies Jones,E.,Hashim,F.,Creagh,F.Williams,
S.and Rees Smith,B.(1985)Mol.Cell.Endo.41,257−2
65. 28. Amino,N.,Watanabe,Y.,Tamaki,H.,Iwatani,Y;and
Miyai,K.(1987)Clin.Endo.27,615−620. 29. Libert,F.,Ruel J.,Ludgate,M.,Swillens,S.,Alex
ander,N.,Vassart,G.and Dinsart,C.(1987)EMBO J.T,
4193−4196. 30. Lefort,A.,Lecocq,R.,Libert,F.,Lamy,F.,Swillen
s,S.,Vassart,G.and Dumont,J.E.(1989)EMBO J.8,111
−116.
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:91) (72)発明者 デュモン,ジャック ベルギー国 B―1328 オハイン シャ マン デュ シェネ オウ レナール 32 (72)発明者 ヴァッサール,ギルバート ベルギー国 B―1200 ブリュッセル アベニュ ランボウ 113 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 21/02 C12N 15/09 ZNA C12P 21/08 C12Q 1/527 BIOSIS(DIALOG) GenBank/EMBL/DDBJ MEDLINE(STN)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の一般式で表わされるアミノ酸配列: [X]n−[y]m−[Z]p [式中、n=0または1、m=1、p=0または1であ
    り、 x、y、zは以下のように定義され(アミノ酸の一文字
    表記で示されており、一つの部位に複数の文字が記載さ
    れている場合は、その部位においていずれかのアミノ酸
    残基が存在することを示す)、 y=少なくとも免疫学的な特性を現わすのに必要な最小
    数の以下の配列からなる連続的なアミノ酸配列: そして、z=[I−II−IIi−III−IIIi−IV−V−VI−
    VII−VIIi]であり、 式中、アミノ酸配列[I−II−IIi−III−IIIi−IV−V
    −VI−VII−VIIi]は、独立的に存在または欠失し、ま
    た以下の意味を有する、 または、この配列の少なくとも12の連続するアミノ酸残
    基であり、 または、この配列の少なくとも12の連続するアミノ酸残
    基であり、 または、この配列の少なくとも2の連続するアミノ酸残
    基であり、 または、この配列の少なくとも22の連続するアミノ酸残
    基であり、 または、この配列の少なくとも2の連続するアミノ酸残
    基であり、 または、この配列の少なくとも12の連続するアミノ酸残
    基であり、 または、この配列の少なくとも12の連続するアミノ酸残
    基であり、 または、この配列の少なくとも12の連続するアミノ酸残
    基であり、 または、この配列の少なくとも12の連続するアミノ酸残
    基であり、 または、この配列の少なくとも12の連続するアミノ酸残
    基であり、 上記アミノ酸は、チロトロピンレセプター活性が維持さ
    れることを条件として、アミノ酸を置換、欠失または挿
    入により変異可能である] を含むことを特徴とする、チロトロピンレセプター活性
    を有する組み換えポリペプチド。
  2. 【請求項2】トランスメンブランドメイン[z]を形成
    する前記ポリペプチドの一部分がTSHレセプターに対し
    てヘテロであり、当該ポリペプチドがハイブリッドポリ
    ペプチドであることを特徴とする、請求項1記載のポリ
    ペプチド。
  3. 【請求項3】以下の配列: を有することを特徴とする、請求項1記載のポリペプチ
    ド。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3のいずれか1項に記載の
    ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、および、
    当該ポリヌクレオチドに相捕的なポリヌクレオチド。
  5. 【請求項5】以下の配列 に示された配列を有するポリヌクレオチド、あるいは、
    当該ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドであ
    ることを特徴とする請求項4記載のポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】請求項1ないし3のいずれか1項記載のポ
    リペプチドをコードする核酸が操作的に挿入されたベク
    ターを用いて形質転換された宿主細胞内で前記核酸を発
    現させることを特徴とする、ポリペプチドの調製方法。
  7. 【請求項7】請求項1ないし3のいずれか一項記載のポ
    リペプチドをTSHまたは抗TSHレセプター抗体を含むと思
    われる生物学的試料と接触させると同時に、あるいはそ
    れに続いて、標識TSHまたは標識抗TSHレセプター抗体と
    接触させ、そして標識されたものと、未標識のものとの
    拮抗の後に、残存する、結合した標識TSHまたは標識抗T
    SHレセプター抗体を測定することを特徴とする、生物学
    的試料に含まれるチロトロピン(TSH)または抗チロト
    ロピンレセプター抗体(抗TSHレセプター)の定量的分
    析方法。
  8. 【請求項8】請求項4または5記載のポリヌクレオチド
    によって形質転換された細胞または当該細胞の膜調製物
    と、TSHまたは抗TSHレセプター抗体を含むと考えられる
    生物学的試料とを接触させ、当該細胞または膜におい
    て、アデニリルシクラーゼ活性の変化を、例えばcAMP産
    生または放出を測定することによって調べることを特徴
    とする、TSHまたは抗TSHレセプターの定量的分析方法。
  9. 【請求項9】レセプターポリペプチドを発現する細胞ま
    たは前記細胞の膜分画を、TSHと同時に、あるいはTSHと
    の接触前に、生物学的試料と接触させ、生物学的試料中
    に含まれる抗TSHレセプター抗体をブロッキングするこ
    とによって、TSHによるアデニリルシクラーゼ活性化効
    果の阻害を検出することを特徴とする請求項8記載の方
    法。
  10. 【請求項10】(a)チロシンレセプター活性を有し、
    かつ固定化または可溶化された状態にある、請求項1な
    いし3のいずれか一項に記載のポリペプチド: (b)以下に示す少なくともひとつの試薬: i)標識TSH、 ii)標識抗TSHレセプター抗体、 iii)アデニリルシクラーゼ活性の測定に必要な試薬、 を含むことを特徴とするTSHまたは抗TSHレセプター抗体
    を検出するためのキット。
  11. 【請求項11】前記ポリペプチドが、前記ポリペプチド
    をコードするポリヌクレオチドを用いて事前に操作的に
    形質転換され、結果的に膜に当該ポリペプチドを含む細
    胞の状態、あるいは前記細胞の可溶化された膜の状態で
    存在することを特徴とする請求項10記載のキット。
JP03501671A 1989-12-14 1990-12-12 チロトロピンレセプター活性を有するポリペプチド、このレセプターとポリペプチドとをコードする核酸、そしてこのようなペプチドの利用 Expired - Lifetime JP3090682B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP89403493,3 1989-12-14
EP89403493A EP0433509B1 (en) 1989-12-14 1989-12-14 Polypeptides having thyrotropin receptor activity, nucleic acid sequences coding for such receptors and polypeptides, and applications of these polypeptides
PCT/EP1990/002154 WO1991009121A2 (en) 1989-12-14 1990-12-12 Polypeptides having thyrotropin-receptor activity, nucleic acid sequences coding for such receptors and polypeptides, and applications of these polypeptides

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04506752A JPH04506752A (ja) 1992-11-26
JP3090682B2 true JP3090682B2 (ja) 2000-09-25

Family

ID=8203015

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP03501671A Expired - Lifetime JP3090682B2 (ja) 1989-12-14 1990-12-12 チロトロピンレセプター活性を有するポリペプチド、このレセプターとポリペプチドとをコードする核酸、そしてこのようなペプチドの利用

Country Status (10)

Country Link
US (1) US6228597B1 (ja)
EP (2) EP0433509B1 (ja)
JP (1) JP3090682B2 (ja)
AT (2) ATE145240T1 (ja)
AU (1) AU641209B2 (ja)
CA (1) CA2046917C (ja)
DE (2) DE68927461T2 (ja)
DK (1) DK0458940T3 (ja)
ES (2) ES2092998T3 (ja)
WO (1) WO1991009121A2 (ja)

Families Citing this family (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DK0471030T3 (da) * 1989-05-05 1995-05-29 Genentech Inc Glycoproteinhormonreceptormolekyler
US6261800B1 (en) 1989-05-05 2001-07-17 Genentech, Inc. Luteinizing hormone/choriogonadotropin (LH/CG) receptor
JP3181582B2 (ja) * 1989-09-08 2001-07-03 ニューイングランド・メディカル・センター・ホスピタルズ・インコーポレーテッド Tsh受容体
US5614363A (en) * 1990-01-25 1997-03-25 New England Medical Center Hospitals, Inc. TSH receptor
WO1991009137A1 (en) * 1989-12-20 1991-06-27 Basil Rapoport Recombinant thyrotropin receptor
EP0482598A3 (en) * 1990-10-24 1993-05-19 Ishihara Sangyo Kaisha, Ltd. Peptide analog of human tsh receptor affective against autoimmune hyperthyroidism
EP0719858A3 (en) * 1994-12-27 1997-12-29 Tosoh Corporation Myeloma cell line expressing recombinant human thyroid stimulating hormone receptor
DE19728991A1 (de) * 1996-11-06 1999-02-11 Brahms Diagnostica Gmbh Rezeptorbindungsassay, für den Rezeptorbindungsassay geeigneter rekombinanter Fusionsrezeptor, Vektor zu dessen Herstellung sowie Reagenziensatz für die Durchführung des Rezeptorbindungsassays
DE19645729C1 (de) * 1996-11-06 1998-06-04 Brahms Diagnostica Gmbh Rezeptorbindungsassay, für den Rezeptorbindungsassay geeigneter rekombinanter Fusionsrezeptor, Vektor zu dessen Herstellung sowie Reagenziensatz für die Durchführung des Rezeptorbindungsassays
DE19651093C2 (de) * 1996-12-09 1999-06-10 Brahms Diagnostica Gmbh Rezeptorbindungsassay zum Nachweis von TSH-Rezeptor-Autoantikörpern sowie Reagenziensatz für die Durchführung eines solchen Rezeptorbindungsassays
DE19801154A1 (de) * 1998-01-14 1999-07-15 Brahms Diagnostica Gmbh Verfahren zur Herstellung von gereinigten und gegebenenfalls markierten TSH-Rezeptor-Präparaten, neue radioiodierte TSH-Rezeptor-Präparate, und die Verwendung derartiger Präparate in Diagnostik und Therapie
DE19907094C1 (de) 1999-02-19 2000-04-13 Brahms Diagnostica Gmbh Verwendung von blockierenden Anti-TSH-Rezeptor-Antikörpern bei der Therapie von Hyperthyreosen sowie monoklonale Antikörper für eine solche Verwendung
EP1224473B1 (de) * 1999-10-12 2005-08-17 Ulrich Loos Verfahren zur bestimmung von autoantikörpern gegen den tsh-rezeptor
US20030009778A1 (en) * 2000-10-26 2003-01-09 Allen Keith D. Transgenic mice containing thyroid stimulating hormone receptor (TSH-R) gene disruptions
GB2376016A (en) * 2001-05-30 2002-12-04 Nadir R Farid Thyrotropin receptor (TSHR) domain cleavage catalysed by the metalloprotease ADAM 10
ES2732276T3 (es) 2001-08-23 2019-11-21 Rsr Ltd Regiones del epítopo de un receptor de tirotropina (TSH), usos del mismo y anticuerpos para el mismo
ATE348843T1 (de) 2002-11-26 2007-01-15 Brahms Ag Nachweis von tsh-rezeptor-autoantikörpern mit affinitätsgereinigten antikörpern
EP1896596B1 (en) 2005-06-24 2011-09-07 Bayer BioScience N.V. Methods for altering the reactivity of plant cell walls
US8097699B2 (en) 2006-08-30 2012-01-17 Rsr Limited Crystal structure of thyroid stimulating hormone receptor
WO2008091981A2 (en) * 2007-01-25 2008-07-31 Cedars-Sinai Medical Center Monoclonal antibody that suppresses thyrotropin receptor constitutive activity
GB201314052D0 (en) * 2013-08-06 2013-09-18 Apitope Int Nv Peptides

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4448764A (en) * 1982-07-06 1984-05-15 Pierce Chemical Company Direct-acting iodinating reagent
HU195580B (en) * 1985-11-20 1988-05-30 Gyula Bako Method for detecting antibodies for thyroid antigens
DE3609271A1 (de) * 1986-03-19 1987-09-24 Boehringer Mannheim Gmbh Verfahren und reagenz zum nachweis von autoimmunerkrankungen, arzneimittel zur behandlung von autoimmunerkrankungen sowie hierzu geeignete antiparatypische antikoerper
US5144007A (en) * 1988-11-03 1992-09-01 La Jolla Cancer Research Foundation Thyroid hormone receptor
JP3181582B2 (ja) * 1989-09-08 2001-07-03 ニューイングランド・メディカル・センター・ホスピタルズ・インコーポレーテッド Tsh受容体
US5614363A (en) 1990-01-25 1997-03-25 New England Medical Center Hospitals, Inc. TSH receptor
WO1991009137A1 (en) * 1989-12-20 1991-06-27 Basil Rapoport Recombinant thyrotropin receptor

Also Published As

Publication number Publication date
AU641209B2 (en) 1993-09-16
AU7038691A (en) 1991-07-18
EP0458940B1 (en) 1996-09-25
DK0458940T3 (da) 1996-11-11
ATE143375T1 (de) 1996-10-15
CA2046917C (en) 2003-07-01
ATE145240T1 (de) 1996-11-15
ES2092998T3 (es) 1996-12-16
EP0433509A2 (en) 1991-06-26
WO1991009121A2 (en) 1991-06-27
JPH04506752A (ja) 1992-11-26
DE68927461T2 (de) 1997-03-20
EP0458940A1 (en) 1991-12-04
ES2091317T3 (es) 1996-11-01
DE68927461D1 (de) 1996-12-19
DE69028695T2 (de) 1997-02-20
WO1991009121A3 (en) 1991-09-19
DE69028695D1 (de) 1996-10-31
EP0433509B1 (en) 1996-11-13
EP0433509A3 (en) 1991-07-24
CA2046917A1 (en) 1991-06-15
US6228597B1 (en) 2001-05-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3090682B2 (ja) チロトロピンレセプター活性を有するポリペプチド、このレセプターとポリペプチドとをコードする核酸、そしてこのようなペプチドの利用
US20060228353A1 (en) PTH1R and PTH3R receptors, methods and uses thereof
WO1999055734A1 (en) A g-protein coupled 7tm receptor (axor-1)
JPH1156377A (ja) Gタンパク質共役型受容体hfiao41
EP1054903A1 (en) Fishboy, a g-protein coupled receptor
US20020042385A1 (en) Cloning of a novel 7TM receptor AXOR-2
JPH10243788A (ja) 新規ヒト7−トランスメンブランレセプターをコードするcDNAクローンHNFJD15
WO2000028083A1 (en) Mouse 7-transmembrane receptor gpr43
US6428982B1 (en) Polynucleotides encoding mouse urotensin-II Receptor (UTB-R)
EP1098904A1 (en) Axor10, a g-protein coupled receptor
WO1999054351A1 (en) Edg family gene, human h218
JPH1175866A (ja) マウスFrizzled−6 遺伝子に類似したヒト7TM受容体
US20020052330A1 (en) Molecular cloning of a chemokine receptor (SBELEVTM)
WO2000008199A1 (en) Molecular cloning of a 7tm receptor (gpr31a)
WO2000031104A1 (en) A novel g-protein coupled 7tm receptor (axor15)
WO2000026339A2 (en) Axor14, a g-protein coupled receptor
WO1999042603A1 (en) GABAB-R2a, A 7TM RECEPTOR
EP1109565A1 (en) Gabab1aa receptor
WO1999052944A1 (en) G-protein coupled receptors
WO2000028818A1 (en) 7-transmembrane receptor mouse kiaa0001

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080721

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090721

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090721

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100721

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100721

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110721

Year of fee payment: 11

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110721

Year of fee payment: 11