JP3090295B2 - 針状体先端形状計測装置、標準試料、および針状体先端形状計測方法 - Google Patents

針状体先端形状計測装置、標準試料、および針状体先端形状計測方法

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JP3090295B2
JP3090295B2 JP04319391A JP31939192A JP3090295B2 JP 3090295 B2 JP3090295 B2 JP 3090295B2 JP 04319391 A JP04319391 A JP 04319391A JP 31939192 A JP31939192 A JP 31939192A JP 3090295 B2 JP3090295 B2 JP 3090295B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は針状体先端形状計測装
置、標準試料、および針状体先端形状計測方法に関し、
特に、走査型探針顕微鏡に利用される探針やその他の鋭
く尖った針状体の先端形状を詳細に測定するのに好適な
計測装置、およびこの装置に専用に使用される標準試
料、さらに計測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】走査型探針顕微鏡は、一般的に、試料の
測定対象領域に対し極めて小さい間隔で接近させた探針
を有し、探針と試料表面の間に作用する物理量を検出
し、試料表面の微細凹凸形状を測定することに利用され
る。走査型探針顕微鏡では利用する物理量によって各種
のタイプが存在し、例えばトンネル電流を利用する走査
型トンネル顕微鏡(以下STMという)や原子間力を利
用する原子間力顕微鏡(以下AFMという)が代表的な
装置である。以下では、便宜上STMの例で説明する。
STMでは、凹凸像を作成するための測定データが、使
用される探針の形状に依存し、精度の高い測定データを
得るためには探針の先端は所望の形状を有していること
が必要となる。従って、STMで測定を開始する前に探
針の先端形状を正確に把握する必要がある。従来のST
Mでは、探針の先端形状を観察するために走査型電子顕
微鏡等のごときSTMに比較し分解能の低い顕微鏡を用
いていた。またその他に、観察対象である探針とは別の
探針を用意し、この探針を利用しSTMそのものを用い
て、観察対象である探針を試料として測定することが行
われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来の観察方
法において、SEMを用いる方法では、三次元的な形状
を正確に測定できないため、外観形状の観察にとどまっ
ている。さらに、SEMで得られた信号に適当な処理を
施して三次元的な情報を得るように構成した装置もある
が、或る特定の方向から観察した像に基づいて信号処理
を行うため、探針の先端の全体的な形状をナノメートル
の精度で得ることは困難であった。また探針の表面状
態、組成などによって測定結果に誤差が生じる問題があ
った。
【0004】STM自体を使用して、試料としての探針
すなわち針状体を測定する方法もあるが、この場合には
試料に関し特定の方向からの像が得られるのみであり、
針状体の先端の全体的な形状を得ることは困難であっ
た。またSTMで使用される針状体観察用の探針の形状
に依存して、測定される針状体の形状データに誤差が生
じるため、結局正確な形状を測定することはできなかっ
た。
【0005】本発明の目的は、針状体の三次元的な先端
形状をナノメートルの精度で計測できる針状体先端形状
計測装置、標準試料、および針状体先端形状計測方法を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る針状体先端
形状計測装置は、STMやAFM等の走査型探針顕微鏡
に適用されるものであり、微動機構に装着された針状体
を被計測物とし、ナイフエッジの縁すなわち鋭角の縁を
有する凹部とこの凹部の底部における中心位置に設けら
れた基点部を備える標準試料と、微動機構を制御し針状
体で前記標準試料を繰り返し放射状に走査して針状体に
凹部を含む上面部を測定させる針状体走査制御手段と、
前記測定によって得られたデータに基づき針状体の先端
形状を合成する探針形状合成手段と、合成された形状デ
ータと標準試料の既知の形状データを比較して針状体の
先端形状を評価する評価手段とを有するように構成され
る。前記の構成において、好ましくは、標準試料は一方
向にのみライン走査可能な形態を有し、かつ針状体の走
査方向の変更に伴って標準試料を回転させる回転機構を
有する。前記の構成において、好ましくは、標準試料は
凹部の底部に等間隔の複数の溝を設け、針状体による測
定走査を往復で行い、往路および復路の各走査で得られ
た測定データを用いかつ前記溝を利用して補正を行い、
測定データに含まれる微動機構のヒステリシスの影響を
除くように構成される。微動機構が圧電素子を含み、当
該圧電素子のヒステリシス特性が顕著であるときに有効
である。本発明に係る標準試料は、前記針状体先端形状
計測装置に専用に使用されるものであり、針状体に臨む
上面部に凹部を有し、この凹部の開口部周囲はナイフエ
ッジの縁で形成され、かつ凹部の底部の中心位置に基点
部を形成するように構成される。前記の構成において、
好ましくは、凹部は穴であり、その開口部は円形である
ことを特徴とする。前記の構成において、好ましくは、
開口部の形状は、円形の代わりに、測定対象である針状
体の形状に対応した多角形である。前記の各構成におい
て、好ましくは、凹部または穴の底部には、等間隔で複
数のヒステリシス補正用溝が形成される。これにより微
動機構に含まれる圧電素子のヒステリシスの影響を排除
できる。本発明に係る針状体先端形状計測方法は、開口
部の縁がナイフエッジである凹部が形成されかつこの凹
部の底部中心位置に基点部が形成された標準試料を、微
動機構によってその位置が変位される針状体で走査しな
がらその表面形状を測定する方法であり、前記針状体に
よる走査は、基点部と縁を通過する直線的な走査であり
かつ所定角度ごとずらせて放射状に繰り返し行われ、こ
れらの直線的走査のそれぞれで得られる前記標準試料の
測定データを用いて針状体の先端部の外周囲の形状を合
成的に求め、評価することを特徴とする。
【0007】
【作用】本発明では、STMやAFM等の走査型探針顕
微鏡において探針等の先端の3次元形状を測定するにあ
たり、ナイフエッジ等の特殊な形状を有する専用の標準
試料を準備し、測定対象である探針等を用いて標準試料
を走査し、或る決められた測定の仕方、すなわち探針に
よる走査の方向を所定角度ごと回転させながら標準試料
の形状を測定を行うと、その測定データを利用し、当該
測定データに所要の処理を施すことにより、逆に探針等
の先端形状に関するデータを得ることができる。この先
端形状に関するデータを利用すれば、合成処理により探
針等の先端形状の三次元的に求めることができる。さら
に合成データを用いて探針等の先端形状を評価すること
が可能となる。望ましい標準試料としては、上面部にナ
イフエッジを有する円形開口部を有した穴を設け、かつ
穴の底部には基点部となる突起を設けている。標準試料
の上面部を探針等が走査しながら通過するときに、探針
等の先端頂点からその側面部に至る形状を、穴のナイフ
エッジが忠実になぞることになり、探針等の移動軌跡が
探針の先端部の形状を表す結果になる。かかる測定方法
で、標準試料の突起を中心として放射状に少しづつ角度
を変えて何度も測定を行えば、探針等の先端部の全体形
状を把握できる。また探針を移動させるためにヒステリ
シスを有する圧電素子を利用する場合には、等間隔に形
成された複数の溝を往復で測定走査することで、補正を
行い、ヒステリシスの影響を除くようにしている。ナイ
フエッジを有する開口部と中心部の突起によって特徴づ
けられる標準試料によって、探針等の先端各部の形状を
知ることができる。得られた測定データを用いて探針形
状合成手段で一つの画像として合成し、その先端部の形
状評価に使用する。
【0008】
【実施例】以下に、本発明の実施例を添付図面に基づい
て説明する。図1において1は標準試料、1aは標準試
料1の円形開口部を有する穴の周囲に設けられたナイフ
エッジすなわちナイフの刃のごとき鋭い角度を有する縁
(以下ナイフエッジという)、1bは標準試料1の穴底
部の中心に設けられた例えば円錐形の突起である。標準
試料1は試料ステージ2の上に配置される。3は導電性
を有する探針であり、その先端形状が測定すべき対象で
ある。図1では探針3は、測定対象である先端部の外観
形状が明確になるように誇張して描かれている。初期の
セット状態では、探針3は試料ステージ2の載置面に対
して垂直であり、例えば探針3の最先端部と標準試料1
の突起1bの頂点とが一致させられる。この標準試料1
は、試料ステージ上固定状態に保持される。
【0009】4は標準試料1と探針3との間に数ボルト
のバイアス電圧を印加するバイアス電圧印加手段、5は
バイアス電圧印加手段4によって標準試料1と探針3の
間に流れるトンネル電流を検出するトンネル電流検出手
段である。バイアス電圧印加手段4によって探針3と標
準試料1の間に電圧を印加した状態で、探針と標準試料
の間の距離を極めて小さくすると、探針3と標準試料1
の間にトンネル電流が流れる。トンネル電流検出手段5
によって検出されたトンネル電流は、トンネル電流・距
離変換手段6によって探針3と標準試料1の間の距離に
変換される。探針・試料間の距離は電圧で表現される。
【0010】探針3の位置を変位させるアクチュエータ
として微動機構7と粗動機構8が設けられる。微動機構
7は、Z方向駆動用圧電素子7aとXY方向駆動用圧電
素子7bからなる。X,Y,Zの各軸方向については、
図1中、符号9で示す座標系で示される。Z方向圧電素
子7aは探針3の高さを変化させるためのアクチュエー
タであり、XY方向圧電素子7bは探針3を試料面に沿
って走査させるためのアクチュエータである。また粗動
機構8は、探針3が試料から遠く離れているときに、ト
ンネル電流が流れる程度の微小距離にて探針3を試料に
接近させるためのアクチュエータである。従って粗動機
構8は、探針3をZ方向に相対的に大きな距離で移動さ
せる機能を有する。
【0011】10はサーボ制御手段であり、トンネル電
流・距離変換手段6の出力信号を入力し、Z方向圧電素
子7aに対し伸縮を行わせるための駆動信号を与える。
サーボ制御手段10は、内部に探針・試料間の距離を一
定距離に定める基準値が設定され、トンネル電流・距離
変換手段6から与えられる実際の探針・試料間の距離と
前記基準値とを比較し、実際の探針・試料間の距離が設
定された一定距離に保持されるように、すなわち検出さ
れるトンネル電流が一定値に保持されるようにZ方向圧
電素子7aの伸縮動作を制御する機能を有する。
【0012】走査用のXY方向圧電素子7bの伸縮動作
は、走査機構11から与えられる駆動信号によって行わ
れる。走査機構11の出力する駆動信号によって、XY
方向圧電素子7bは伸縮し、探針3をXY平面内で任意
の方向に移動させる。XY平面内における探針3の走査
に関する制御信号は、走査制御手段12から出力され
る。走査機構11は、走査制御手段12から与えられる
制御信号を駆動信号に変換する。
【0013】13は測定データ記録手段である。測定デ
ータ記録手段13は、探針3をX,Y,Zの各方向に移
動させるための駆動信号の量を測定データとして記録す
る。従って測定データ記録手段13は、サーボ制御手段
10からZ方向圧電素子7aに与えられる駆動信号量
と、走査機構11からXY方向圧電素子7bに与えられ
る駆動信号量とをそれぞれを入力し、記録する。これら
の測定データを用いることにより、例えば、探針3の試
料表面上での移動に関する空間座標を作成することが可
能となる。
【0014】上記の構成に、さらに、測定データ記録手
段13に記録されているデータより探針3の先端形状を
合成して作成する探針形状合成手段14と、得られた探
針の先端形状の立体像や断面像を表示すると共に、探針
の先端形状を特定の関数で近似し先端部の曲率半径を求
める等の探針の先端形状の評価を行う表示・評価手段1
5が設けられる。探針形状合成手段14と表示・評価手
段15の各機能は、マイクロコンピュータ等の演算・制
御手段を利用することによって実現される。なお、表示
・評価手段15は、表示装置を含むものとする。
【0015】図1における特徴的な構成は、探針3の先
端形状を観察するために専用に使用されるナイフエッジ
1aと突起1bを有する標準試料1と、探針3に放射状
の走査を行わせる走査制御手段12と、探針3を用いて
標準試料1を測定し、その表面形状に関する測定データ
を利用して探針3の先端形状を作成する探針形状合成手
段14と、作成された探針先端形状を表示しかつ評価す
る表示・評価手段15を設けた点である。なお探針3に
ついては、STM用の探針である必要はなく、導電性を
有する針状体であればどのようなものでも測定可能であ
る。非導電性の針状体に関しては先端部に金、白金など
の蒸着を行い、導電性の薄膜を付着させれば測定可能と
なる。
【0016】次に、標準試料1の構造について詳しく説
明する。図2は標準試料1の上方から見た斜視図であ
り、図3は標準試料1の平面図である。標準試料1のナ
イフエッジ1aからなる穴開口部を形成する円の大きさ
は、測定すべき探針3の先端形状に応じて自由に選択で
きる。実際は、それぞれさまざまな大きさの穴を有する
複数の標準試料が用意される。通常、STMに使用して
いる探針であるならば、先端付近の曲率半径が数十から
数百nm(ナノメートル)であるので、かかる探針に対
応する穴を有する標準試料は電解研磨法によって比較的
容易に作ることができる。またSTMでは、探針3の軸
方向への移動が数μm(ミクロン)に及ぶことが一般的
である。このような探針の先端形状を測定するには、標
準試料1の円形の穴の径及び深さは、探針の先端角度が
45°であると仮定すると、各々数μm必要である。探
針の先端角度は通常もっと小さいため、それに応じて穴
の径も小さくて良い。すなわち探針3の先端が穴の底部
に到達するだけの穴径があれば良い。また探針3の最先
端周辺部の形状のみに興味がある場合は、穴の深さはも
っと浅くても構わない。
【0017】また穴の底部には同心円状の複数の溝1c
が形成される。複数の円形の溝1cの共通の中心は、突
起1bの頂点に対応する点である。複数の溝1cの数は
任意に設定することができる。また複数の円形溝1cの
各々の間隔は、等間隔に設定される。溝幅および溝間隔
はそれぞれ任意に設定することができる。
【0018】標準試料1の穴の開口形状も円形に限定さ
れない。形状を測定しようとする針状体の先端部が角錐
形である場合には、それと一致した多角形とすることが
測定上望ましい。この場合は、針状体と標準試料1の多
角形の穴との各辺が対向するように、相互の角度を合わ
せる必要がある。この位置合せには、針状体に対応する
ように標準試料1を回転させるために回転機構を設ける
ことで実現できる。回転機構の回転軸は、針状体の対称
軸の延長線と一致させる。相互に角度を正しく合わせる
ことができたか否かを確かめるには、光学顕微鏡や電子
顕微鏡等で観察することが望ましい。
【0019】また測定対象の針状体は必ずしも直線状の
形態である必要はない。例えば先端部が「くの字型」の
形状を有する場合であっても構わない。この場合は、針
状体の真に測定したい先端部の対称軸が、標準試料1の
対称軸と一致するように、標準試料側または針状体側の
姿勢制御を行う必要がある。このためには、所要の姿勢
制御機構が設けられる。
【0020】次に、探針3の先端形状を測定するため、
探針3を走査させる走査制御手段12の制御に基づい
て、標準試料1の円形の穴を探針3で放射状に走査する
方法について説明する。探針3の走査は、図3の符号1
6で示されるように、標準試料1の中央の突起1bすな
わち同一地点を必ず通過するように直線的に往復移動の
走査を1回行うと共に、この直線的往復走査を所定角度
ずつ回転させることにより全体として放射状に行われ
る。かかる走査を行うため、前述の通り、突起1bの頂
点位置に探針3の先端部を一致させ、探針3と標準試料
1の位置合わせを行う。この状態を図1に示す。突起1
bは形状的には特異点になっているため、光学顕微鏡等
で粗く位置決めし、さらに標準試料1の穴の付近を、通
常のSTM測定方法で測定することにより、容易に検出
できる。この突起1bの位置を原点とし、微動機構7の
XY方向圧電素子7bとZ方向圧電素子7aの各伸縮動
作を、走査制御手段12およびサーボ制御手段10のそ
れぞれの制御指令で制御し、探針3を放射状に走査す
る。突起1bは、測定の原点としての印の役割を果たす
ものであれば、同様の大きさの穴でも良く、また×印な
どの溝または突起でも良い。突起1bを用いれば、その
頂点の位置にSTMを位置決めする場合において、他の
印より高い精度が得られるという利点がある。
【0021】前述の通りSTMでは、通常、探針3の走
査をXY方向圧電素子7bの伸縮動作で行う。ところが
圧電素子7bはヒステリシスを有するため、各走査線に
おいて中心から外側へ走査した場合と、逆に外側から中
心へ走査した場合とでは、測定データにおいて差異が生
じる場合がある。ヒステリシスが比較的小さい圧電素子
を利用することで測定結果に問題が生じない場合は必要
でないが、ヒステリシスが特に問題になる場合には、さ
まざまな方法による補正が提案されている。本実地例で
は、標準試料1の円形の穴の底部に等間隔に同心円状の
複数の溝1cを設けることにより、双方の走査方向によ
って得られたデータにおいてこれらの溝1cの位置が重
なるようにデータ補正を行っている。かかる補正のた
め、放射状走査では同一線上をそれぞれ2回走査するこ
とになる。すなわち、まず中心の突起1bから出発し、
中心から外側に向かって走査してナイフエッジ1aを乗
り越え、再び中心に向って移動し中心を通過して反対側
のナイフエッジ1aを乗り越え、再び中心へ戻るように
する。次に、走査方向を前回と異なる或る一定角度だけ
変化させて、同じことを繰り返す。探針3の中心軸に対
して両側の外形を一度に測定しているため、走査方向の
角度を総計で180°回転させれば測定は終了である。
従って走査方向の一回の回転角度は、180°を自然数
で除した角度とすれば良い。具体的な回転角度は、探針
3の形状をどの程度の精度で測定するかによって決ま
る。
【0022】図4を参照して、標準試料1の作用と、探
針3の先端形状データの合成方法について説明する。図
4は探針がSTMのサーボ制御状態にて標準試料1のナ
イフエッジ1aの箇所を通過する際の先端部が推移して
いく状態と探針頂点(最先端部)の描く軌跡を示した図
であり、図4(A)は先端部の曲率半径が大きい探針3
1について描いた図、図4(B)は先端部の曲率半径が
小さい探針32について描いた図である。各図中破線1
7,18で示したのが、探針の頂点の軌跡である。探針
の頂点がナイフエッジ1aから標準試料1の底面にいた
るまでの軌跡は、探針先端部の形状を表している。すな
わち図中の探針31,32の左半分の形状を、紙面内で
180°回転したものが、軌跡として測定されたことに
なる。探針31,32の右半分については、図示されて
いない右側のナイフエッジ1aにより同様にして測定で
きる。この時の測定精度はSTMの精度であり、ナノメ
ートルの精度を有する。探針31,32の1つの断面に
関する外形の輪郭は、1回の直線的な往復走査で測定デ
ータとして得られた軌跡17,18におけるナイフエッ
ジ部の通過データに基づき求められる。直線的な往復走
査を角度を異ならせて放射状に行うことにより、往復走
査の回数に対応する数の断面に関する探針先端部の外形
輪郭の測定データを得ることができる。これらの測定デ
ータは、測定データ記録手段13に格納される。
【0023】このようにして得られた多数の探針断面形
状の測定データを用いて、探針形状合成手段14は探針
の形状を合成して作成する。この合成の際には、軌跡1
7,18のどの位置が探針31,32の頂点に対応する
かを正確に知る必要がある。このことは、測定の際に得
られる各走査に対応するデータには必ず中心点の突起1
bが含まれており、かつナイフエッジ1aの円の直径が
既知であることに基づいて知ることができる。すなわ
ち、中心である突起1bから既知のナイフエッジ1aの
半径分だけ離れた位置のデータが、探針31,32の頂
点である。以上の情報に基づき、探針形状合成手段14
は、探針31,32の先端形状を合成することができ
る。
【0024】探針の先端形状を表す合成されたデータか
ら、探針の先端形状を評価するために知りたいのは、先
端部の詳細な形状の図、曲率半径などである。このた
め、表示・評価手段15は、得られた探針形状の立体像
や断面像を表示し、二次関数をはじめとする任意の関数
で形状を近似し、先端部の曲率半径を求めるなど、探針
形状の評価を行う。
【0025】前記の実施例ではSTMについて説明した
が、AFMの探針でも、標準試料を利用して同様にその
先端形状を測定することができる。この場合には、探針
は導電性を有する必要はない。
【0026】図5は標準試料の他の実施例を示す。図5
に示される標準試料20は全体として例えば直方体形状
を有する、前述の穴に相当する凹部21を有する。凹部
21は、ナイエッジ20aと突条部20bを備える。ま
た凹部21の底部には、等間隔の複数の直線状の溝20
cが形成されている。標準試料20の上方には探針3が
配置される。破線22は、探針3で標準試料20を走査
する時の探針の最先端の移動軌跡である。かかる構造を
有する標準試料20は、例えば収束イオンビームを用い
たエッチングにより作製される。ただし、前記実施例で
述べた通り、探針3は、走査方向を所定角度ずつ変更さ
せる必要があるため、標準試料20も走査方向の変更に
対応させて回転させる必要がある。そのため、標準試料
20は、回転駆動装置23で回転するステージ24上に
配置される。回転駆動装置23の回転動作は、探針3の
走査方向の回転と同期がとられている。
【0027】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明によ
れば、専用の標準試料によって得られた針状体先端付近
のナノメートル精度の形状データを、探針形状合成手段
によって画像として合成し表示・評価手段で先端部に関
する合成画像を表示・評価するように構成したため、針
状体先端付近の形状を三次元形状としてかつナノメート
ルの精度で計測・評価できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る針状体先端形状計測装置が適用さ
れた走査型探針顕微鏡の一例としてSTMの構成を示す
構成図である。
【図2】標準試料の一例を示す斜視図である。
【図3】標準試料の一例を示す平面図である。
【図4】探針によって標準試料を測定走査する時の移動
状態を示す図である。
【図5】他の標準試料の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,20 …標準試料 1a,20a …ナイフエッジ 1b,20b …突起 1c,20c …溝 2 …試料ステージ 3,31,32 …探針 4 …バイアス電圧印加手段 5 …トンネル電流検出手段 7 …微動機構 8 …粗動機構 10 …サーボ制御手段 11 …走査機構 12 …走査制御手段 13 …測定データ記録手段 14 …探針形状合成手段 15 …表示・評価手段 21 …凹部 23 …回転駆動装置 24 …ステージ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01B 21/00 - 21/32 G01B 7/00 - 7/34 102 G01N 37/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走査型探針顕微鏡において、微動機構に
    装着された針状体と、ナイフエッジの縁を有する凹部と
    この凹部の底部における中心位置に設けられた基点部を
    備える標準試料と、前記微動機構を制御し前記針状体で
    前記標準試料を繰り返し放射状に走査して前記針状体に
    前記凹部を測定させる針状体走査制御手段と、前記測定
    によって得られたデータに基づき前記針状体の先端形状
    を合成する探針形状合成手段と、合成された形状データ
    と前記標準試料の既知の形状データを比較して前記針状
    体の先端形状を評価する評価手段とを有することを特徴
    とする針状体先端形状計測装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の針状体先端形状計測装置
    において、前記標準試料は一方向にのみライン走査可能
    な形態を有し、かつ前記針状体の走査方向の変更に伴っ
    て前記標準試料を回転させる回転機構を有することを特
    徴とする針状体先端形状計測装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の針状体先端形状
    計測装置において、前記標準試料は前記凹部の底部に等
    間隔の複数の溝を設け、前記針状体による測定走査を往
    復で行い、往路および復路の各走査で得られた測定デー
    タを用いかつ前記溝を利用して補正を行い、測定データ
    に含まれる前記微動機構のヒステリシスの影響を除くこ
    とを特徴とする針状体先端形状計測装置。
  4. 【請求項4】 上面部に凹部を有し、この凹部の開口部
    周囲はナイフエッジの縁で形成され、かつ前記凹部の底
    部の中心位置に基点部を形成したことを特徴とする標準
    試料。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の標準試料において、前記
    凹部は穴であり、前記開口部は円形であることを特徴と
    する標準試料。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の標準試料において、前記
    開口部の形状は、円形の代わりに、測定対象である針状
    体の形状に対応した多角形であることを特徴とする標準
    試料。
  7. 【請求項7】 請求項4〜6のいずれか1項に記載の標
    準試料において、前記凹部または前記穴の底部には、等
    間隔で複数のヒステリシス補正用溝が形成されることを
    特徴とする標準試料。
  8. 【請求項8】 開口部の縁がナイフエッジである凹部が
    形成されかつこの凹部の底部中心位置に基点部が形成さ
    れた標準試料を、微動機構によってその位置が変位され
    る針状体で走査しながらその表面形状を測定する方法で
    あり、前記針状体による走査は、前記基点部と前記縁を
    通過する直線的な走査でありかつ所定角度ごとずらせて
    放射状に繰り返し行われ、前記各直線的走査で得られる
    前記標準試料の測定データを用いて前記針状体の先端部
    の外周囲の形状を合成的に求め、評価することを特徴と
    する針状体先端形状計測方法。
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