JP3090117B2 - スペクトラム拡散信号復調装置 - Google Patents

スペクトラム拡散信号復調装置

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JP3090117B2
JP3090117B2 JP7942798A JP7942798A JP3090117B2 JP 3090117 B2 JP3090117 B2 JP 3090117B2 JP 7942798 A JP7942798 A JP 7942798A JP 7942798 A JP7942798 A JP 7942798A JP 3090117 B2 JP3090117 B2 JP 3090117B2
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隆行 神谷
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、衛星通信等に使用さ
れるスペクトラム拡散信号復調装置に係り、詳しくは、
GPS受信機等に用いられ、スペクトラム逆拡散を行う
スペクトラム拡散信号復調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】GPSは、3衛星以上の電波を受信し、
衛星から受信点までの距離を測定することにより位置を
測定するシステムである。GPS受信機においてはスペ
クトラム拡散信号復調装置が使用されている。GPSで
は測距をするため、データエッジのタイミングを1ms
ecの精度で確定している。又、GPS受信機のスペク
トラム逆拡散部をディジタル方式で構成した場合には、
復調データはディジタル相関値の符号で表すことができ
る。又、GPSで測位をするためには、測位に使用する
衛星のキャリア及びコードの追跡をしなければならず、
キャリア追跡は、I−相関値・Q−相関値より位相を計
算し、その位相より追跡キャリア周波数を計算すること
により行われる。さらに、コード追跡は、I−相関値・
Q−相関値のearly,late値よりコード位相ず
れを計算することにより行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のスペク
トラム拡散信号復調装置にあっては、コードの同期位相
をサーチする方向が一方向のみであったので、サーチ方
向と電波に含まれるコードが変位する方向が同一となる
場合、コード位相一周期分のサーチをした時に、同期が
取れるにも係わらず強い相関を得ることができないとき
があった。
【0004】このようなときは電波の捕捉に失敗してい
た。この発明の目的は、常に確実な電波の捕捉ができる
スペクトラム拡散信号復調装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の記載の発明
は、キャリア発生器で発生したキャリアおよび符号発生
器で発生した符号と受信したスペクトラム拡散信号とを
比較してスペクトラム逆拡散を行うべく構成された制御
手段を有するスペクトラム拡散信号復調装置において、
前記制御手段は、スペクトラム拡散信号に含まれる比較
対象の符号の位相と前記符号発生器で発生した符号の位
相との同期をサーチする際の同期位相サーチの変位方向
を、同期位相サーチ中に受信した前記スペクトラム拡散
信号が受けるドップラーシフトの予測される方向と反対
方向とするよう制御することを特徴とする。
【0006】
【0007】
【作用】この発明によれば、制御手段により、スペクト
ラム拡散信号に含まれる比較対象の符号の位相と符号発
生器で発生した符号の位相との同期をサーチする際の同
期位相サーチの変位方向が、同期位相サーチ中に受信し
スペクトラム拡散信号が受けるドップラーシフトの予
測される方向と反対方向とされる。
【0008】の結果、信号発生源と受信位置との位置
的相関に基づいて常に確実な電波の捕捉がなされる。
【0009】
【実施例】以下、この発明をGPS受信機に具体化した
一実施例を図面に従って説明する。図1にはGPS受信
機の全体構成を示し、GPS受信機は車両に搭載されて
いる。GPS受信機は、アンテナ1と、高周波処理回路
2と、スペクトラム逆拡散部3と、測位演算用マイコン
4とから構成されている。アンテナ1はGPS衛星から
送信される電波を受信する。高周波処理回路2はアンテ
ナ1による受信信号を増幅するとともに、目的の周波数
へ変換する。
【0010】スペクトラム逆拡散部3はスペクトラム拡
散信号を逆拡散して復調するためのものであり、測位演
算用マイコン4は車両の測位(緯度、経度の測定)を行
う。スペクトラム逆拡散部3は、A/D変換回路5と、
2つの排他的論理和回路6,7と、キャリアNCO8
と、C/Aコード発生器9と、ディジタルI−相関器1
0と、ディジタルQ−相関器11と、コントローラ12
とから構成されている。A/D変換回路5は高周波処理
回路2からの周波数変換された信号を入力して、2値化
する。キャリアNCO8は数値制御により目的周波数の
0°位相と90°位相のキャリアを発生する。排他的論
理和回路6はA/D変換回路5からの信号と、キャリア
NCO8からの0°位相のキャリアを入力して両方の入
力が一致したとき出力を「0」とする。つまり、2値化
した受信信号の0°位相(in−phase)のキャリ
ア成分をキャンセルする。又、排他的論理和回路7はA
/D変換回路5からの信号と、キャリアNCO8からの
90°位相のキャリアを入力して両方の入力が一致した
とき出力を「0」とする。つまり、2値化した受信信号
の90°位相(quadrature phase)の
キャリア成分をキャンセルする。
【0011】C/Aコード発生器9は目的位相のC/A
コードを発生する。又、ディジタルI−相関器10は、
排他的論理和回路6からの信号と、C/Aコード発生器
9からのC/Aコードとを入力して、1msec毎に、
受信信号の0°位相のキャリア成分をキャンセルした信
号と、受信機内で発生させたC/Aコードとの相関値を
1/2チップきざみで複数の位相について同時に計測す
る。ディジタルQ−相関器11は、排他的論理和回路7
からの信号と、C/Aコード発生器9からのC/Aコー
ドとを入力して、1msec毎に、2値化した受信信号
の90°位相のキャリア成分をキャンセルした信号と、
受信機内で発生させたC/Aコードとの相関値を1/2
チップきざみで複数の位相について同時に計測する。
【0012】コントローラ12はディジタルI−相関器
10、ディジタルQ−相関器11の出力値を用いてC/
Aコード発生器9、キャリアNCO8を制御する。そし
て、コントローラ12は衛星データの復調を行うととも
に、衛星と受信機との間の擬似距離を測定する。測位演
算用マイコン4は測位に使用する衛星を選択し、スペク
トラム逆拡散部3のコントローラ12に、データ復調を
行うとともに衛星と受信機との間の擬似距離を測定する
よう指示し、その結果より測位値を計測する。
【0013】図2には前記スペクトラム逆拡散部3のC
/Aコード発生器9の具体的構成を示す。図2におい
て、C/Aコード発生器9はG1コードレジスタ13と
G2コードレジスタ14と10ビットシフトレジスタ1
5,16とTAP選択回路17と遅延回路18とを備え
ている。G1コードレジスタ13はコントローラ12か
らのG1コードを記憶し、G2コードレジスタ14はコ
ントローラ12からのG2コードを記憶する。10ビッ
トシフトレジスタ15はG1コードレジスタ13からの
G1コードに対応するデータを記憶し、10ビットシフ
トレジスタ16はG2コードレジスタ14からのG2コ
ードに対応するデータを記憶する。TAP選択回路17
はコントローラ12からのTAP指令信号を入力してそ
の指令に応じた10ビットシフトレジスタ15,16の
各データによるC/Aコードを生成する。遅延回路18
はTAP選択回路17の生成したC/Aコードを入力し
て遅延してディジタルI−相関器10とディジタルQ−
相関器11に出力する。遅延回路18は、1チップ未満
のコード位相制御を可能とするものであり、遅延指示は
コントローラ12より送られる。
【0014】次に、このように構成したGPS受信機の
作用を説明する。図3には、測位演算用マイコン4が実
行する測位演算ルーチンを示す。又、図4には、スペク
トラム逆拡散部3のコントローラ12が実行するスペク
トラム逆拡散処理ルーチンを示す。このスペクトラム逆
拡散処理ルーチンは衛星捕捉ルーチンと衛星追跡ルーチ
ンとからなり、衛星捕捉ルーチンを図5に、衛星追跡ル
ーチンを図6に示す。図6の衛星追跡ルーチンはデータ
復調ルーチンとキャリア追跡ルーチンとC/Aコード追
跡ルーチンとからなり、データ復調ルーチンを図7に、
キャリア追跡ルーチンを図8に、C/Aコード追跡ルー
チンを図9に示す。図7のデータ復調ルーチンはステッ
プ320での復調符号決定ルーチンを含み、同ルーチン
を図10に示す。
【0015】まず、衛星追跡開始までの処理を説明す
る。図3において、測位演算用マイコン4はステップ1
01で測位計算に最適な衛星の組み合わせを演算し、ス
テップ102で捕捉目標の衛星とその受信電波のドップ
ラーシフト量をスペクトラム逆拡散部3のコントローラ
12に指示する。すると、コントローラ12は、図4の
ステップ200での衛星捕捉ルーチンを開始する。この
衛星捕捉の際には、コントローラ12は図5のステップ
201で再捕捉か否か判断し最初は再捕捉ではないので
ステップ202に移行する。そして、コントローラ12
はステップ202で測位演算用マイコン4の指示に従い
衛星捕捉を行うためにC/Aコード同期位相サーチ処理
を行う。この処理は、まずコントローラ12がキャリア
NCO8とC/Aコード発生器9を設定する。その結
果、キャリアNCO8は、測位演算用マイコン4で指示
されたドップラーシフトを考慮した周波数を発生する。
又、C/Aコード発生器9においては、図2でのコード
レジスタ13,14とシフトレジスタ15,16により
目的の位相状態のG1、G2コードの10ビットデータ
が設定されるとともに、TAP選択回路17にて捕捉す
る衛星のTAPが選択され、遅延回路18を介してC/
Aコードがディジタル相関器10,11に出力される。
【0016】すると、図1において、アンテナ1にてG
PS衛星から送信される電波が受信されて、高周波処理
回路2にて受信信号の増幅及び目的の周波数への変換が
行われる。さらに、スペクトラム逆拡散部3のA/D変
換回路5にて高周波処理回路2からの信号が2値化さ
れ、排他的論理和回路6にてA/D変換回路5からの信
号とキャリアNCO8からの0°位相のキャリアとが比
較され2値化した受信信号の0°位相のキャリア成分が
キャンセルされる。又、排他的論理和回路7にてA/D
変換回路5からの信号とキャリアNCO8からの90°
位相のキャリアとが比較され2値化した受信信号の90
°位相のキャリア成分がキャンセルされる。さらに、1
msec毎に、ディジタルI−相関器10にて排他的論
理和回路6からの信号とC/Aコード発生器9からのC
/Aコードとの相関値が計測されるとともに、ディジタ
ルQ−相関器11にて排他的論理和回路7からの信号と
C/Aコード発生器9からのC/Aコードとの相関値が
計測される。
【0017】その後、スペクトラム逆拡散部3のコント
ローラ12は、1msec毎のディジタルI−相関器1
0とディジタルQ−相関器11のそれぞれの計測結果よ
り相関値を連続して求め、その合計(和)を相関値とす
る。さらに同様にしてC/Aコード発生器9を制御して
図11に示すように1/2チップきざみでC/Aコード
位相0〜1023チップそれぞれについて計測する。こ
れにより、受信C/Aコードと受信機で発生するC/A
コードが同期する位相がサーチされる。
【0018】このサーチの際に、同期位相サーチ方向
は、図11に示すように受信C/Aコード位相がサーチ
中に変位する反対方向とする。即ち、ドップラーシフト
がプラスであれば「0」から「1023」チップの方向
へ、ドップラーシフトがマイナスであれば「1023」
から「0」チップの方向で相関値を計測する。そして、
スペクトラム逆拡散部3のコントローラ12は、このよ
うにして相関計測を行ったのち、図5でのステップ20
3で閾値以上の相関が得られたか否か判断し(図11参
照)、閾値以上の相関が得られるとC/Aコードの同期
が検出できたものと判定してステップ205に移行す
る。一方、コントローラ12は閾値以上の相関が確認で
きない場合は、ステップ204に移行してその旨の信号
を測位演算用マイコン4に出力する。この信号により、
測位演算用マイコン4は、ドップラーシフト量を変え、
再度C/Aコード同期位相をサーチするようコントロー
ラ12に指示し、以後、閾値以上の相関が得られるまで
繰り返す。
【0019】C/Aコード同期位相を検出した後、コン
トローラ12は同期の確認をするためステップ205で
C/Aコード同期確認処理を行う。これは、同期を検出
したコード位相を中心に、例えば、図11での領域Z1
に示すように、再度同期位相サーチをするものであり、
その領域内での相関値を求める。ただし、相関値の連続
計測回数は、ステップ202でのC/Aコード同期位相
サーチ時の連続計測回数より多くして、より確実なるチ
ェックを行う。その後、コントローラ12はステップ2
06である範囲内(閾値以上)の相関が得られれば、同
期を確認したものと判定してステップ207に移行す
る。又、同期を確認できない場合は、ステップ204に
移行してその旨の信号を測位演算用マイコン4に出力す
る。この信号により、測位演算用マイコン4は、ドップ
ラーシフト量を変え、再度同期位相サーチするようコン
トローラ12へ指示する。
【0020】このようにしてC/Aコードの同期位相を
確認した後、コントローラ12は、ステップ208〜2
11でキャリアサーチを行う。これは、キャリア追跡可
能な範囲まで、測位演算用マイコン4の指示したドップ
ラーシフトのキャリアを中心にキャリアサーチする。こ
のキャリアサーチは、広い周波数範囲のキャリアを短時
間にサーチするため、以下に示すようにサーチステップ
を大小に変え2段階で行なう。第1段のキャリアサーチ
の相関値は、ステップ208でディジタルI−相関器1
0とディジタルQ−相関器11のそれぞれの計測結果よ
り相関値を連続して求めて合計した値を使用する。
【0021】その結果、相関値は、C/Aコードが同期
した状態では、図12に示すように、キャリア周波数誤
差Δfが0Hz での相関値を中心に1KHz 周期で極小
となる。コントローラ12はその相関値を用いて測位演
算用マイコン4から指示されたドップラーシフトのキャ
リアを中心に前後1KHz 毎にキャリアNCO8を設定
し、相関が一番強く計測された周波数をスペクトラム逆
拡散部3に入力した信号のキャリア周波数であると予測
する。ただし、ステップ209において図12での閾値
以下であるとステップ204に移行する。
【0022】つづいて、ステップ210での第2段のキ
ャリアサーチにおいては、ディジタルI−相関器10と
ディジタルQ−相関器11のそれぞれの1msecの計
測結果の10回計測結果を合計した値を使用する。その
結果、相関値は、C/Aコードが同期した状態では、図
13に示すように、キャリア周波数誤差Δfが100H
z 周期で極小となる。その相関値を用いて、ステップ2
08のキャリアサーチで予測したキャリア周波数を中心
に、前後100Hz 毎にキャリアNCO8を設定し、相
関が一番強く計測された周波数を最終的にスペクトラム
逆拡散部3に入力したキャリアの周波数であると予測す
る。ただし、ステップ210において、閾値以上の相関
が得られない時は、キャリアサーチ失敗であると判定
し、その旨を測位演算用マイコン4に通知する。マイコ
ン4は、ドップラーシフト量を変え再度同期位相サーチ
するようコントローラ12へ指示する。
【0023】コントローラ12は、このようにして図4
での衛星捕捉ルーチンを処理した後、ステップ300で
の衛星追跡ルーチンを実行する。衛星追跡は図6に示す
ようにデータ復調と、キャリア追跡と、コード追跡を行
うものである。図7のデータ復調ルーチンにおいては、
ステップ311でC/Aコード・キャリア同期チェック
フラグFCLが「1」か否か判定し、当初FCL=0なの
で、図7のルーチンを抜けて、図8のキャリア追跡ルー
チンを実行する。その後のキャリア追跡ルーチンにより
C/Aコード・キャリア同期チェックフラグFCLが
「1」となると、キャリアとC/Aコードが同期してい
ると判断してデータの復調を行う。このデータ復調に際
して、スペクトラム逆拡散部3をコスタスループで構成
したので、エッジタイミングは、I−相関値の符号がプ
ラスからマイナス、あるいは、マイナスからプラスへ変
わったタイミングとC/Aコード位相で決定できる。そ
して、図14に示すように、C/Aコード位相が中間点
(0.5msec=1023/2チップ)近傍以外であ
るなら、I−相関値の符号の切り変わりは瞬時的に行わ
れ、1msec毎に計測されるI−相関値の符号反転タ
イミングとC/Aコード位相からエッジタイミングを決
定できる。しかし、図15に示すように、C/Aコード
位相が中間点近傍では、入力データが反転した時に計測
したI−相関値の符号があいまいなものとなり、I−相
関値の符号反転タイミングとC/Aコード位相からエッ
ジタイミングを決定すると誤検出する可能性が非常に高
い。
【0024】そこで、C/Aコード位相が中間点近傍で
は、1msec毎に計測するI−相関値に図15に示す
閾値(「0」を中心にして±βの大きさをもつ)を設
け、閾値範囲以内のI−相関値を検出した時、入力デー
タ符号が反転したものと判定することにより、エッジタ
イミングの誤検出を防止する。具体的には、図10の処
理にてデータ復調を行う。つまり、ステップ320−1
でI−相関値が反転すると、ステップ320−2でI−
相関値が閾値(±β)以内か判定して以内であればステ
ップ320−3で1msec遅れて符号を反転させる。
又、I−相関値が閾値から外れると、ステップ320−
4でC/Aコードの位相での方向を調べ、位相が0と5
11チップの間であればステップ320−5で1mse
c遅れて符号を反転させる。又、位相が511チップと
1023チップの間であればステップ320−6で直ち
に符号を反転させる。
【0025】しかし、受信信号のC/Nが悪い場合は、
I−相関値の変動が大きく、閾値(±β)の決定が困難
であるので、エッジタイミングを誤る可能性が高い。そ
こで、図7において、ステップ312〜319の処理を
付加している。図16にはそのための機能ブロック図を
示す。即ち、図16において、データエッジ検出部19
とタイミングカウンタ20とエッジタイミングデータサ
ンプル部21とエッジタイミング決定部22と復調デー
タ同期信号出力部23と復調符号決定部24とを備えて
いる。又、エッジタイミングサンプル部21には図17
のリングバッファが用意され、同バッファは受信データ
のビット長さ(20msec)を20個に時分割した記
憶領域W1 〜W20を有する。
【0026】まず、コントローラ12(図16のデータ
エッジ検出部19)は図7でのステップ312でフラグ
Fetk =1でないと、ステップ313においてデータエ
ッジタイミングを±1msec未満の精度で確実に求
め、キャリア・C/Aコードが同期している状態で、ス
テップ314でデータエッジ検出を行いI−相関値の符
号反転タイミングを検出し、その結果を図16のエッジ
タイミングデータサンプル部21に送るとともに、タイ
ミングカウンタ20を起動する。その後、エッジタイミ
ングデータサンプル部21は、ステップ315でデータ
エッジ検出を合図に、図18に示すようにタイミングカ
ウンタ20に同期して20msec周期にI−相関値を
図17のリングバッファの各記憶領域W1 〜W20に加算
セーブする。
【0027】ただし、セーブする20個のI−相関値
は、データエッジを検出した時のもののみとし、セーブ
する際には前回のデータを打ち消さないよう符号合わせ
をする。例えば、初回でデータエッジを検出した20個
のI−相関値がエッジの立ち下がりであるとすると、次
回からはサンプルした20個のI−相関値がエッジの立
ち下がりであるならば、前回のものとの合計をとり、エ
ッジの立ち上がりであるならばサンプルした20個のI
−相関値の符号を反転し前回のものとの合計をとる。
【0028】これにより、エッジタイミングの平均的な
I−相関値を求める。ステップ316でI−相関値のヒ
ストグラムの作成が完了すると、ステップ317でフラ
グFetk =1とする。さらに、コントローラ12はステ
ップ312においてフラグFetk =1なのでステップ3
18に進む。コントローラ12(図16のエッジタイミ
ング決定部22)は、ステップ317でI−相関値サン
プル結果に基づきエッジタイミングを決定し、タイミン
グカウンタ20を再設定する。このようにして、C/N
の悪い状態でもエッジタイミングを確実に求めることが
できる。続いて、コントローラ12(図16の復調デー
タ同期信号出力部23)はタイミングカウンタに合わ
せ、これから復調するデータの同期信号として、周期4
0msecの矩形波を数回出力する。以後、図10に示
すアルゴリズムに従いデータ復調する(図7でのステッ
プ318,319,320)。
【0029】次に、キャリア追跡、コード追跡を行う。
キャリア追跡は、衛星捕捉時にサーチしたキャリアを同
期状態とするとともに、同期を維持するためのものであ
る。これらの動作は、コントローラ12によるPLL制
御により実現される。PLL制御のキャリア引き込み過
程では、キャリア同期フラグがFCL=0となっている。
そこで、図8のキャリア追跡の処理としては、ステップ
334でI−相関値とQ−相関値よりキャリア位相誤差
を求める。続いて、ステップ335でキャリア位相誤差
値より追従すべきキャリア周波数を計算し、キャリアN
CO8にフィードバックする。さらに、ステップ336
でキャリア位相誤差より同期を判定し、同期を検出した
場合にはステップ337でFCL=1とする。
【0030】PLL制御に使用するキャリア位相誤差
は、I−相関値とQ−相関値を用いて計算できる。しか
し、図19に示すように入力データ符号が切り変わった
時に計測したI−相関値は、キャリアとC/Aコードが
同期した状態であっても通常より小さな値となる。これ
は、C/Aコード位相が中間点近傍である場合顕著に現
れる。このような異常相関値は、キャリア位相誤差計算
結果も異常値となり、図21に示すようにキャリア同期
後であっても、キャリアNCO8にフィードバックする
キャリア周波数が大きく変動し、同期を維持できなくな
る場合がある。そこで、キャリア同期検出後において
は、コントローラ12は図8のステップ331で制御タ
イミングである時に、ステップ332でFCL=1である
とステップ333で位相誤差計算に使用する相関値と閾
値とを比較する。
【0031】そして、「I−相関値」の絶対値が閾値以
上となっている時のみ(正常とみなされた時のみ)、ス
テップ334でIとQ相関値からキャリア位相誤差を求
め、ステップ335でそのキャリア位相誤差からキャリ
ア周波数を計算し、キャリアNCO8へフィードバック
する。その結果、図21に示すようなことがなく図20
に示すように同期が維持される。
【0032】同様の動作がC/Aコード追跡にも行われ
る。つまり、C/Aコードの同期維持は、DLL制御に
より行われるが、DLL制御する前に、図9でのステッ
プ341で制御タイミングである時にステップ342で
同期位相の相関度(punctualの相関度)を判定
する。即ち、数回分の「相関値」の絶対値と閾値とを比
較して相関値が閾値以上か判定し、以上である時のみ
(正常と判定された時のみ)、ステップ343にて衛星
移動に伴うDLL制御によりコード位相誤差を計算し、
ステップ344でコード位相誤差からコード補正をすべ
くC/Aコード発生器9にフィードバックする。以上の
動作を逐次行なうことにより、図23のようなことがな
く、図22に示すように安定して同期を維持できる。
【0033】次に、測位時の処理を説明する。測位演算
用マイコン4は、3衛星以上のデータと擬似距離(C/
Aコード位相)を収集することにより測位を開始する。
測位演算用マイコン4は、データ収集後擬似距離を収集
するため、図3でのステップ104において擬似距離測
定を行い追跡中に求めた値によりスペクトラム逆拡散部
3に入力するキャリアのドップラーシフト量とC/Aコ
ード位相を予測し、コントローラ12へ再捕捉指示をす
る。コントローラ12は測位演算用マイコン4の指示に
従い、キャリアNCO8とC/Aコード発生器9を設定
し、図5でのステップ205と同様の処理によりC/A
コード同期確認を行いコード位相同期を再度確認する。
【0034】さらに、コード位相同期確認後、コントロ
ーラ12は図5でのステップ210と同様のキャリアサ
ーチ行う。このとき、衛星捕捉時のキャリアサーチの2
段目の方法をとるが、サーチ範囲は、捕捉時より狭くす
る。そして、閾値以上の相関がとれればキャリアサーチ
できたものとする。コントローラ12は、以後捕捉時と
同様にキャリアを同期状態とし、C/Aコードの同期を
維持することにより擬似距離を計測し、結果を測位演算
用マイコン4へ通知する。測位演算用マイコン4は、図
3でのステップ105で測位値計算を行う。
【0035】このように本実施例では、キャリアNCO
8、排他的論理和回路6,7(キャリア成分除去手段)
によりアンテナ1にて受信したスペクトラム拡散信号か
らキャリア成分を除去するようにし、ディジタル相関器
10,11(相関値検出手段)により排他的論理和回路
6,7からの信号と、C/Aコード発生器9からのC/
Aコード(比較符号成分)を有する信号とを比較して両
信号の相関値を検出するようにし、さらに、コントロー
ラ12(データ採取手段、反転タイミング検出手段)は
受信データのビット長さを複数に時分割した各相関値を
複数回サンプリングし、各サンプリング値を加算してい
き、この受信データのビット長さ分の加算相関値から、
受信データの反転タイミングを検出する。つまり、図1
7のリングバッファには受信データのビット長さを複数
に時分割した記憶領域W1 〜W20が用意され、各記憶領
域W1 〜W20に受信データのビット長さでの複数のサン
プリング値を加算して入力し、その各記憶領域の値(図
18のヒストグラム)から、受信データの反転タイミン
グを検出して以降はその反転タイミング(エッジタイミ
ング)でデータ復調を行うようにした。その結果、受信
データのビット長さで多数のサンプリングが行われて平
滑化され安定な値となる。
【0036】又、コントローラ12はキャリア追跡での
図8のステップ333やC/Aコード追跡での図9のス
テップ342での処理のように、ディジタル成分が反転
したときに、相関値が所定の範囲内か否か判定し、外れ
ていなければ有効化し、外れていると無効化する。即
ち、無効化にて図8でのステップ334,335のキャ
リア周波数演算処理や図9でのステップ343,344
のコード位相演算処理を行わない。その結果、C/Aコ
ード位相が中間点でデータが反転していると、ノイズが
出て誤った制御信号となるが、その時のI−相関値と閾
値とを比較することにより誤った制御信号とならない。
【0037】さらに、図11に示すように、コード位相
サーチ方向をドップラーシフトの予測に応じて変える、
つまり、ドップラーシフトが正ならばコード位相を増え
る方向にし、逆に、ドップラーシフトが負ならばコード
位相を減る方向に変えるようにした。その結果、信号発
生源と受信位置との位置的相関に基づいて常に確実な電
波の捕捉を行うことができる。
【0038】さらには、図12に示すように、コード周
期時間以上(1msec以上)に相関計測することによ
り真値に近いキャリア周波数を高い確率でサーチでき、
分解能の向上を図ることができる。又、キャリアのサー
チ方法として、図5でのステップ207,209に示す
ように、予測値を中心に大小二段にサーチするようにし
た。よって、分解能を向上させるととに、一段目で広い
範囲におおざっぱに速く検出でき、二段目で狭い範囲で
サンプルでき細かく正確に検出できる。
【0039】さらに、図2に示すC/Aコード発生器9
では目的の位相状態のG1,G2コードをシフトレジス
タ15,16にロードすることにより基準信号の入力に
より直ちにコードを有効化できる。つまり、速くシフト
レジスタ15,16のデータを変えたい場合に対処でき
る。尚、この発明は上記実施例に限定されるものではな
く、例えば、上記実施例ではエッジタイミング検出後に
復調を行っていたが、測位演算用マイコン4がI−相関
値を収集し、エッジタイミング検出とデータ復調を並行
して行なってもよい。つまり、I−相関値をセーブし、
セーブしたI−相関値を用いてエッジタイミング及びデ
ータ復調を行ってもよい。
【0040】又、図10に示すルーチン(復調符号決定
ルーチン)の代わりに、図24に示すルーチンを用いて
もよい。即ち、ステップ320−1−1で相関値の符号
反転を検出すると、ステップ320−2−1でC/Aコ
ード位相が「0」と「511−α」との間のチップなら
ば、ステップ320−3−1で1msec遅らせて符号
反転し、511+α≦位相<1023ならばステップ3
20−4−1で直ちに符号を反転し、511−α≦位相
<511+αならばステップ320−5−1で相関値が
閾値範囲内ならばステップ320−6−1で1msec
遅らせて符号反転し、閾値から外れるとステップ320
−7−1で直ちに符号を反転する。
【0041】なお、本発明のキャリア発生器はキャリア
NCO8に相当し、符号発生器はC/Aコード発生器9
に相当し、制御手段はコントローラ12に相当する。
【0042】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれば
常に確実な電波の捕捉ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】GPS受信機の全体構成図である。
【図2】C/Aコード発生器の構成図である。
【図3】測位演算ルーチンを示す図である。
【図4】スペクトラム逆拡散処理ルーチンを示す図であ
る。
【図5】衛星捕捉ルーチンを示す図である。
【図6】衛星追跡ルーチンを示す図である。
【図7】データ復調ルーチンを示す図である。
【図8】キャリア追跡ルーチンを示す図である。
【図9】C/Aコード追跡ルーチンを示す図である。
【図10】復調符号決定ルーチンを示す図である。
【図11】コード位相と相関値との関係を示す図であ
る。
【図12】キャリア誤差と相関値との関係を示す図であ
る。
【図13】キャリア誤差と相関値との関係を示す図であ
る。
【図14】時間に対する入力データ、I−相関値、復調
データの関係を示す図である。
【図15】時間に対する入力データ、I−相関値、復調
データの関係を示す図である。
【図16】機能ブロックを示す図である。
【図17】リングバッファを示す図である。
【図18】時間と相関値との関係を図である。
【図19】時間に対する入力データ、I−相関値、復調
データ、位相誤差の関係を示す図である。
【図20】キャリア周波数の変化を示す図である。
【図21】キャリア周波数の変化を示す図である。
【図22】C/Aコード位相の変化を示す図である。
【図23】C/Aコード位相の変化を示す図である。
【図24】別例の復調符号決定ルーチンを示す図であ
る。
【符号の説明】
1 アンテナ 6 キャリア成分除去手段を構成する排他的論理和回路 7 キャリア成分除去手段を構成する排他的論理和回路 8 キャリア成分除去手段を構成するキャリアNCO 10 相関値検出手段としてのディジタルI−相関器 11 相関値検出手段としてのディジタルQ−相関器 12 データ採取手段、反転タイミング検出手段、判定
手段としてのコントローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−164151(JP,A) 特開 平2−226826(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04J 13/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キャリア発生器で発生したキャリアおよ
    び符号発生器で発生した符号と受信したスペクトラム拡
    散信号とを比較してスペクトラム逆拡散を行うべく構成
    された制御手段を有するスペクトラム拡散信号復調装置
    において、 前記制御手段は、スペクトラム拡散信号に含まれる比較
    対象の符号の位相と前記符号発生器で発生した符号の位
    相との同期をサーチする際の同期位相サーチの変位方向
    を、同期位相サーチ中に受信した前記スペクトラム拡散
    信号が受けるドップラーシフトの予測される方向と反対
    方向とするよう制御することを特徴とするスペクトラム
    拡散信号復調装置。
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