JP3089287B2 - う蝕ワクチンの製造法 - Google Patents
う蝕ワクチンの製造法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、う蝕ワクチンの製造法および新規なストレ
プトコッカス・ミュータンスGS−5変異株に関する。
プトコッカス・ミュータンスGS−5変異株に関する。
従来の技術 ストレプトコッカス・ミュータンス・グループ(Stre
ptococcus mutans group)は、ヒトや動物におけるう蝕
の最も重要な病原因子である。S.mutansグループは、DN
Aの性状に基づき7種の菌種に分けられ、ヒトのう蝕に
もっとも関係の深いc型S.mutansは、その表層に血清型
特異多糖抗原、リポタイコ酸、タンパク質抗原など、さ
まざまな抗原性を有する物質をもっている。
ptococcus mutans group)は、ヒトや動物におけるう蝕
の最も重要な病原因子である。S.mutansグループは、DN
Aの性状に基づき7種の菌種に分けられ、ヒトのう蝕に
もっとも関係の深いc型S.mutansは、その表層に血清型
特異多糖抗原、リポタイコ酸、タンパク質抗原など、さ
まざまな抗原性を有する物質をもっている。
これらの菌体表層物質のなかで、特に分子量約19万の
タンパク質抗原は、フィムブリエと呼ばれる微線毛状構
造物である(このうち、約2万は糖鎖である)。このタ
ンパク質抗原は、I/II,B,P1,IFなどとさまざまな名前で
呼ばれており、統一されていない。本明細書では、この
タンパク質抗原をPAc(protein antigen serotype c)
と呼ぶ。
タンパク質抗原は、フィムブリエと呼ばれる微線毛状構
造物である(このうち、約2万は糖鎖である)。このタ
ンパク質抗原は、I/II,B,P1,IFなどとさまざまな名前で
呼ばれており、統一されていない。本明細書では、この
タンパク質抗原をPAc(protein antigen serotype c)
と呼ぶ。
このように、S.mutansのタンパク質抗原は、現在う蝕
ワクチンとして最も注目されており、特表昭56−501364
号公報には特定の性質を示す抗原I/IIをう蝕ワクチンと
して使用することが報告されている。また、特開昭58−
164518号公報には、ストレプトコッカス属微生物の菌体
の表層またはその抽出物を抗原とした虫歯予防用ワクチ
ンが開示されている。
ワクチンとして最も注目されており、特表昭56−501364
号公報には特定の性質を示す抗原I/IIをう蝕ワクチンと
して使用することが報告されている。また、特開昭58−
164518号公報には、ストレプトコッカス属微生物の菌体
の表層またはその抽出物を抗原とした虫歯予防用ワクチ
ンが開示されている。
しかしながら、PAcをS.mutansから抽出する場合、S.m
utansを10培地で培養しても数mgしか回収できず実用
上問題があった。また、培地中のPAcの濃度が低いた
め、不純物除去のための精製作業に労力、時間も必要と
した。
utansを10培地で培養しても数mgしか回収できず実用
上問題があった。また、培地中のPAcの濃度が低いた
め、不純物除去のための精製作業に労力、時間も必要と
した。
本発明者らは、S.mutansのPAc発現遺伝子(pac遺伝
子)をE.coil(大腸菌)やS.milleri(連鎖球菌の一
種)に導入し、rPAcを産生させたが、異なった菌種に遺
伝子を組み込んだため、産生量の増大は認められず、ま
た、菌体外にも遊離されなかった。なお、rPAcとは、遺
伝子の組換え体によって作られたPAc(recombinant PA
c)を指し、PAcと構造的に実質上同一のタンパク質であ
る。
子)をE.coil(大腸菌)やS.milleri(連鎖球菌の一
種)に導入し、rPAcを産生させたが、異なった菌種に遺
伝子を組み込んだため、産生量の増大は認められず、ま
た、菌体外にも遊離されなかった。なお、rPAcとは、遺
伝子の組換え体によって作られたPAc(recombinant PA
c)を指し、PAcと構造的に実質上同一のタンパク質であ
る。
さらに、本発明者らは、PAcの生物学的役割を明らか
にすべく、pac遺伝子を大腸菌内でも連鎖球菌内でも増
殖できるプラスミドーシャトルベクターにつなぎ、これ
をPAcを発現しないS.mutans GS−5株に導入したことを
報告した日本歯科評論,Jan.,1989,No555。しかし、この
GS−5変異株では菌体へのpac遺伝子の導入後、組み換
え菌からプラスミドが脱落することによってPAcを産生
しなくなることがあったり、産生物の均一性にも問題が
あった。
にすべく、pac遺伝子を大腸菌内でも連鎖球菌内でも増
殖できるプラスミドーシャトルベクターにつなぎ、これ
をPAcを発現しないS.mutans GS−5株に導入したことを
報告した日本歯科評論,Jan.,1989,No555。しかし、この
GS−5変異株では菌体へのpac遺伝子の導入後、組み換
え菌からプラスミドが脱落することによってPAcを産生
しなくなることがあったり、産生物の均一性にも問題が
あった。
発明が解決しようとする課題 本発明は、PAcの産生量の向上と精製作業の簡略化を
可能としたう蝕ワクチンの製造法、およびpac遺伝子が
染色体遺伝子中に組み込まれたS.mutans GS−5変異株
を提供するものである。
可能としたう蝕ワクチンの製造法、およびpac遺伝子が
染色体遺伝子中に組み込まれたS.mutans GS−5変異株
を提供するものである。
発明の構成 本発明のう蝕ワクチンの製造法は、口腔連鎖球菌スト
レプトコッカス・ミュータンスの菌体表層または菌体外
に産生されるタンパク質抗原(PAc)の発現遺伝子(pac
遺伝子)を、ストレプトコッカス・ミュータンスGS−5
株の染色体遺伝子中に組み込んだ変異株を培養すること
を特徴とする。
レプトコッカス・ミュータンスの菌体表層または菌体外
に産生されるタンパク質抗原(PAc)の発現遺伝子(pac
遺伝子)を、ストレプトコッカス・ミュータンスGS−5
株の染色体遺伝子中に組み込んだ変異株を培養すること
を特徴とする。
また、本発明の新規な菌株は、遺伝子工学によって作
られたものであって、pac遺伝子が染色体中に組み込ま
れて形質転換され、PAcの産生能が増大したストレプト
コッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)GS−
5(K−3)[微工研条寄第2437号]である。
られたものであって、pac遺伝子が染色体中に組み込ま
れて形質転換され、PAcの産生能が増大したストレプト
コッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)GS−
5(K−3)[微工研条寄第2437号]である。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明では、宿主細菌としてS.mutans GS−5株が用
いられ、一方、ドナー細菌としてはPAcを産生しうるS.m
utansに属する菌株ならばいずれもが使用でき、c血清
型、e血清型、f血清型などの菌株が好適である。この
ように、宿主細菌とドナー細菌とを同一菌種に属する菌
体とすることにより、産生るrPAcの構造変化を極力抑え
ることができる。
いられ、一方、ドナー細菌としてはPAcを産生しうるS.m
utansに属する菌株ならばいずれもが使用でき、c血清
型、e血清型、f血清型などの菌株が好適である。この
ように、宿主細菌とドナー細菌とを同一菌種に属する菌
体とすることにより、産生るrPAcの構造変化を極力抑え
ることができる。
S.mutans GS−5は、PAc非産生性の公知のS.mutansで
あり、大学糖の各種研究機関に保存されているものであ
るが、第三者の入手の便宜等を考慮して微工研条寄第24
36号(Streptococcus mutans GS−5)として寄託し
た。
あり、大学糖の各種研究機関に保存されているものであ
るが、第三者の入手の便宜等を考慮して微工研条寄第24
36号(Streptococcus mutans GS−5)として寄託し
た。
ドナー細菌としては、ストレプトコッカス・ミュータ
ンス(Streptcoccus mutans)NCTC10449、ストレプトコ
ッカス・ミュータンスMT8148、ストレプトコッカス・ミ
ュータンスIngbritt、ストレプトコッカス・ミュータン
スMT6、ストレプトコッカス・ミュータンスJC2、ストレ
プトコッカス・ミュータンスMT118、ストレプトコッカ
ス・ミュータンスC67−1、ストレプトコッカス・ミュ
ータンスOMZ70、ストレプトコッカス・ミュータンスMT6
801、ストレプトコッカス・ミュータンスJC1−5、スト
レプトコッカス・ミュータンスATCC33477、ストレプト
コッカス・ミュータンスSE11、ストレプトコッカス・ミ
ュータンスOMZ175、ストレプトコッカス・ミュータンス
MT557、ストレプトコッカス・ミュータンスP2、ストレ
プトコッカス・ミュータンスPK−3などが用いられる。
ンス(Streptcoccus mutans)NCTC10449、ストレプトコ
ッカス・ミュータンスMT8148、ストレプトコッカス・ミ
ュータンスIngbritt、ストレプトコッカス・ミュータン
スMT6、ストレプトコッカス・ミュータンスJC2、ストレ
プトコッカス・ミュータンスMT118、ストレプトコッカ
ス・ミュータンスC67−1、ストレプトコッカス・ミュ
ータンスOMZ70、ストレプトコッカス・ミュータンスMT6
801、ストレプトコッカス・ミュータンスJC1−5、スト
レプトコッカス・ミュータンスATCC33477、ストレプト
コッカス・ミュータンスSE11、ストレプトコッカス・ミ
ュータンスOMZ175、ストレプトコッカス・ミュータンス
MT557、ストレプトコッカス・ミュータンスP2、ストレ
プトコッカス・ミュータンスPK−3などが用いられる。
このようなドナー菌を用い、PAcをコードする遺伝子
を従来からの方法に従い、ストレプトコッカス・ミュー
タンスGS−5株の染色体中に導入することにより、本発
明のストレプトコッカス・ミュータンスGS−5(K−
3)が得れる。ここで、ベクター(PAcを運ぶプラスミ
ド)としてはシャトルベクターpSA3、pVA981などが、ま
た、切断用の制限酵素としては、BamH I、Sph I、Bgl I
I、EcoR I、EcoT14 I、Hind III、Pst I、Sac Iなどが
用いられる。
を従来からの方法に従い、ストレプトコッカス・ミュー
タンスGS−5株の染色体中に導入することにより、本発
明のストレプトコッカス・ミュータンスGS−5(K−
3)が得れる。ここで、ベクター(PAcを運ぶプラスミ
ド)としてはシャトルベクターpSA3、pVA981などが、ま
た、切断用の制限酵素としては、BamH I、Sph I、Bgl I
I、EcoR I、EcoT14 I、Hind III、Pst I、Sac Iなどが
用いられる。
本発明では、SDSポリアクリルアミド電気泳動法(SDS
−PAGE)での測定による分子量が約17万〜22万のタンパ
ク質抗原(PAc)をコードする遺伝子として、例えば下
記に示す塩基配列の開始コドン(ATG)〜停止コドン(T
GA)までの1,565個のアミノ酸(分子量約17万)を実質
的に含む部分をコードする塩基配列またはその一部をあ
げることができる。さらに、塩基配列の一部が他の塩基
で置換されたものや一部を欠落するものであってPAcと
実質的に同等の抗原性を有するタンパクをコードする塩
基配列も使用することができる。
−PAGE)での測定による分子量が約17万〜22万のタンパ
ク質抗原(PAc)をコードする遺伝子として、例えば下
記に示す塩基配列の開始コドン(ATG)〜停止コドン(T
GA)までの1,565個のアミノ酸(分子量約17万)を実質
的に含む部分をコードする塩基配列またはその一部をあ
げることができる。さらに、塩基配列の一部が他の塩基
で置換されたものや一部を欠落するものであってPAcと
実質的に同等の抗原性を有するタンパクをコードする塩
基配列も使用することができる。
本発明のGS−5(K−3)株では、pac遺伝子がGS−
5株の染色体中に組み込まれていることから、pac遺伝
子が脱落しにくく、また、rPAc産生能が高く、rPAcが菌
体外に産生される。
5株の染色体中に組み込まれていることから、pac遺伝
子が脱落しにくく、また、rPAc産生能が高く、rPAcが菌
体外に産生される。
菌株の染色体DNA中のpac遺伝子の存在部位は、サザン
ブロット法などで確認できるので、このような菌株を採
取し、培養することにより、rPAcが効率よく得られる。
また、培養上清中のrPAc含有が非常に高いため、精製操
作は大変簡略化される。得られたrPAcは、種々の形態で
う蝕ワクチンとして使用することができる。
ブロット法などで確認できるので、このような菌株を採
取し、培養することにより、rPAcが効率よく得られる。
また、培養上清中のrPAc含有が非常に高いため、精製操
作は大変簡略化される。得られたrPAcは、種々の形態で
う蝕ワクチンとして使用することができる。
本発明のS.mutans GS−5(K−3)株の培養は、例
えば次のようにして行うことができる。37gのブレイン
ハートインフュージョン培地を1の蒸留水に溶解し、
121℃にて20分間滅菌した後、あらかじめ過滅菌して
おいた5mg/mlのエリスロマイシンを1ml加え、混合す
る。同培養液各10mlを24mlの滅菌試験管に分注したもの
に、GS−5(K−3)株を接種し、該培養液を37℃で18
時間培養し、種培養液を調製する。該種培養液100mlを
同じ組成の培地1の入った2の坂口フラスコに加
え、37℃で18時間培養して微生物液を得る。同微生物液
を10,000×gで15分間遠心分離し上精を得る。
えば次のようにして行うことができる。37gのブレイン
ハートインフュージョン培地を1の蒸留水に溶解し、
121℃にて20分間滅菌した後、あらかじめ過滅菌して
おいた5mg/mlのエリスロマイシンを1ml加え、混合す
る。同培養液各10mlを24mlの滅菌試験管に分注したもの
に、GS−5(K−3)株を接種し、該培養液を37℃で18
時間培養し、種培養液を調製する。該種培養液100mlを
同じ組成の培地1の入った2の坂口フラスコに加
え、37℃で18時間培養して微生物液を得る。同微生物液
を10,000×gで15分間遠心分離し上精を得る。
また、培養上精からの精製法としては、デキストラン
系、アガロース系等のゲル過法、AE,DEAE,QAE,CM,SP,
フォスフォ等も用いたイオン交換法、オクチルセファロ
ース、フェニルセファロース等を用いた疎水性クロマト
法、マフィニティクロマト法などが用いられる。
系、アガロース系等のゲル過法、AE,DEAE,QAE,CM,SP,
フォスフォ等も用いたイオン交換法、オクチルセファロ
ース、フェニルセファロース等を用いた疎水性クロマト
法、マフィニティクロマト法などが用いられる。
得られたう蝕ワクチン、経口、皮下注射等の方法で投
与される。投与量は、10μg〜50mg程度が好適であり、
好ましくは10μg〜10mgであり、1mgが最適である。
与される。投与量は、10μg〜50mg程度が好適であり、
好ましくは10μg〜10mgであり、1mgが最適である。
ストレプトコッカス・ミュータンスGS−5(K−3)
[微工研条寄第2437号]の菌学的性状は次の通りであ
る。この菌学的性質および分類方法は、Bergey's Manua
l of Systematic Bacteriology,Vol.2(1986)に準じて
行った。
[微工研条寄第2437号]の菌学的性状は次の通りであ
る。この菌学的性質および分類方法は、Bergey's Manua
l of Systematic Bacteriology,Vol.2(1986)に準じて
行った。
A. 形態学的性質 ブレインハートインフュージュン培地de37℃にて2日
間培養したとき、以下の形態的特徴が観察される。
間培養したとき、以下の形態的特徴が観察される。
1) 細胞の形および大きさ:球菌、0.5〜0.75μm、
連鎖を形成。
連鎖を形成。
2) 多形性:なし。
3) 運動性:なし。
4) 胞子:なし。
5) グラム染色性:陽性。
6) 抗酸性:陰性。
B. 培養的性質 1) ブレインハートインフュージョン寒天平板培養:p
H7.0〜7.4にて生育して、円形、偏平状、全縁のコロニ
ーを形成する。該コロニーの表面は滑らかで光沢有り、
黄白色あるいは短褐色。
H7.0〜7.4にて生育して、円形、偏平状、全縁のコロニ
ーを形成する。該コロニーの表面は滑らかで光沢有り、
黄白色あるいは短褐色。
2) ブレインハートインフュージョン寒天斜面培養:p
H7.0〜7.4にて拡帯状に生育し、光沢の有る黄白色ある
いは淡褐色。
H7.0〜7.4にて拡帯状に生育し、光沢の有る黄白色ある
いは淡褐色。
3) ブレインハートインフュージョン液体培養:pH7.0
〜7.4にて生育するが、菌膜は形成せず、均一な濁度を
形成。
〜7.4にて生育するが、菌膜は形成せず、均一な濁度を
形成。
4) 肉汁ゼラチン穿刺培養:液化しない。
5) リトマス・ミルク:良く成育し、酸を産生し、ミ
ルクを凝固する。
ルクを凝固する。
C. 生理的性質 1) 硝酸塩の還元:陰性。
2) 脱窒反応:陰性。
3) MPテスト:陽性。
4) VPテスト:陽性。
5) インドールの生成:陰性。
6) 硫化水素の生成:陰性、 7) デンプンの加水分解:陰性。
8) クエン酸の利用:Koserの培地とChristensenの培
地で利用しない。
地で利用しない。
9) 無機窒素源の利用:硝酸塩およびアンモニウム塩
を利用しない。
を利用しない。
10) 色素の生成:陰性。
11) ウレアーゼ:陰性。
12) オキシダーゼ:陰性。
13) カタラーゼ:陰性。
14) 生育の範囲33℃から38℃(37℃がもっとも良
好)。pH6.0〜7.4で生育。
好)。pH6.0〜7.4で生育。
15) 酸素に対する態度:通性嫌気性。
16) O−Fテスト:陽性。
17) 糖からの酸およびガス産生:D−グルコース、D−
マンノース、D−フラクトース、D−ガラクトース、麦
芽糖、ショ糖、乳糖、トレハロース、D−ソルビット、
D−マンニットから酸を産生するが、ガスは生成しな
い。L−アラビノース、D−キシロース、イノシット、
グリセリン、デンプンからは酸もガスも発生しない。
マンノース、D−フラクトース、D−ガラクトース、麦
芽糖、ショ糖、乳糖、トレハロース、D−ソルビット、
D−マンニットから酸を産生するが、ガスは生成しな
い。L−アラビノース、D−キシロース、イノシット、
グリセリン、デンプンからは酸もガスも発生しない。
D. その他の性質 1) アルギニンの分解:陰性。
2) 溶血性:γ溶血。
3) 液化ナトリウムの耐性:4%ナトリウムに耐性。
4) その他、必要と認められる性質:エスクリンを加
水分解し、2単位/mlのバシトラシンに耐性。イヌリ
ン、D−ラフィノース、D−メリビオースから酸を産生
する。ショ糖からグルカンを合成する。
水分解し、2単位/mlのバシトラシンに耐性。イヌリ
ン、D−ラフィノース、D−メリビオースから酸を産生
する。ショ糖からグルカンを合成する。
以上の性質を総括すると、イヌリン、D−ラフィノー
ス、D−メリビオース、D−ソルビットから酸を産生
し、アルギニンを加水分解しない、バシトラシン耐性の
グラム陽性の連鎖球菌であることにより、Streptococcu
s mutans(ストレプトコッカス・ミュータンス)であ
る。
ス、D−メリビオース、D−ソルビットから酸を産生
し、アルギニンを加水分解しない、バシトラシン耐性の
グラム陽性の連鎖球菌であることにより、Streptococcu
s mutans(ストレプトコッカス・ミュータンス)であ
る。
発明の効果 本発明によれば、pac遺伝子を染色体遺伝子中に組み
込んだストレプトコッカス・ミュータンスGS−5変異株
を培養することにより、高い産生量で安定してrPAcを得
ることができ、精製操作も簡便である。このような遺伝
子組み換え菌の1つとして、ストレプトコッカス・ミュ
ータンスGS−5(K−3)が、微工研条寄第2437号とし
て、工業技術院微生物工業技術研究所(微工研:Ferment
ation Research Institute)に寄託されている。
込んだストレプトコッカス・ミュータンスGS−5変異株
を培養することにより、高い産生量で安定してrPAcを得
ることができ、精製操作も簡便である。このような遺伝
子組み換え菌の1つとして、ストレプトコッカス・ミュ
ータンスGS−5(K−3)が、微工研条寄第2437号とし
て、工業技術院微生物工業技術研究所(微工研:Ferment
ation Research Institute)に寄託されている。
実 施 例 (1)pac遺伝子のGS−5株への導入 Streptococcus mutansNCTC10449のpacを有するプラス
ミドpPC77およびシャトルベクターpSA3を制限酵素BamH
IとSph Iでそれぞれ切断する。切断されたpSA3とpPC77
をT4 DNAリガーゼを用いて連結し、得られたプラスミド
をE.coil HB101株(国立遺伝学研究所、保存機関番号:M
E8568)に形質転換法で導入して、クロラムフェニコー
ル耐性、アンピシリン感受性、テトラサイクリン感受性
のクローンを選択した。コロニーイムノブロット法およ
びウエスタンブロット法でPAcを産生していることが確
認されたクローンの中から組換えプラスミドを抽出し、
アガロース電気泳動でその大きさを確認したところ、い
ずれのクローンも16.4kbの組換えプラスミドを有してい
た。これらのプラスミドの1つをKと命名し、本プラス
ミドをエレクトロポレーション法でPAc非産生S.mutans
GS−5株に導入し形質転換した。得られたPAc産生株をG
S−5(K−X)と命名した。
ミドpPC77およびシャトルベクターpSA3を制限酵素BamH
IとSph Iでそれぞれ切断する。切断されたpSA3とpPC77
をT4 DNAリガーゼを用いて連結し、得られたプラスミド
をE.coil HB101株(国立遺伝学研究所、保存機関番号:M
E8568)に形質転換法で導入して、クロラムフェニコー
ル耐性、アンピシリン感受性、テトラサイクリン感受性
のクローンを選択した。コロニーイムノブロット法およ
びウエスタンブロット法でPAcを産生していることが確
認されたクローンの中から組換えプラスミドを抽出し、
アガロース電気泳動でその大きさを確認したところ、い
ずれのクローンも16.4kbの組換えプラスミドを有してい
た。これらのプラスミドの1つをKと命名し、本プラス
ミドをエレクトロポレーション法でPAc非産生S.mutans
GS−5株に導入し形質転換した。得られたPAc産生株をG
S−5(K−X)と命名した。
この操作によりGS−5(K−X)株は複数得られた
が、それぞれのPAcの産生能は異なっていた。この中でP
Ac産生能の優れた菌株GS−5(K−3)およびPAcを生
産するが先の株ほど優れていない菌株GS−5(K−9)
について、pacの組込き部位を確認した。
が、それぞれのPAcの産生能は異なっていた。この中でP
Ac産生能の優れた菌株GS−5(K−3)およびPAcを生
産するが先の株ほど優れていない菌株GS−5(K−9)
について、pacの組込き部位を確認した。
(2)pac遺伝子の組込み部位の確認 GS−5株および形質転換により得られたGS−5(K−
3)株をリゾチームで溶菌し、さらにプラスミドと染色
体DNAの分離操作を行なった。分離したプラスミド画分
をアガロース電気泳動したところ、第1図に示す通りGS
−5株およびGS−5(K−3)株の本画分中にプラスミ
ドは存在しなかった。一方、GS−5(K−9)株の画分
中にはプラスミドが認められた。
3)株をリゾチームで溶菌し、さらにプラスミドと染色
体DNAの分離操作を行なった。分離したプラスミド画分
をアガロース電気泳動したところ、第1図に示す通りGS
−5株およびGS−5(K−3)株の本画分中にプラスミ
ドは存在しなかった。一方、GS−5(K−9)株の画分
中にはプラスミドが認められた。
また、染色体DNAをEcoR Iで切断後、常法によりサザ
ンブロット分析を行なった。エリスロマイシン耐性遺伝
子のBamH Iフラグメントをプローブとして用いたとこ
ろ、第2図に示すように、GS−5株およびGS−5(K−
9)株の染色体DNAは反応性を示さなかったのに対し
て、GS−5(K−3)株の染色体DNAの約16kbフラグメ
ントが反応性を示した。
ンブロット分析を行なった。エリスロマイシン耐性遺伝
子のBamH Iフラグメントをプローブとして用いたとこ
ろ、第2図に示すように、GS−5株およびGS−5(K−
9)株の染色体DNAは反応性を示さなかったのに対し
て、GS−5(K−3)株の染色体DNAの約16kbフラグメ
ントが反応性を示した。
これらの知見より、GS−5(K−3)株において、プ
ラスミドpSM1は相同組換えの結果GS−5株の染色体DNA
中に組み込まれたことが確認された。一方、PAcは産生
するものの、先のGS−5(K−3)株ほどの産生能がな
いGS−5(K−9)株は、pac遺伝子がプラスミド中に
存在し、染色体中にpac遺伝子を見い出すことができな
かった。
ラスミドpSM1は相同組換えの結果GS−5株の染色体DNA
中に組み込まれたことが確認された。一方、PAcは産生
するものの、先のGS−5(K−3)株ほどの産生能がな
いGS−5(K−9)株は、pac遺伝子がプラスミド中に
存在し、染色体中にpac遺伝子を見い出すことができな
かった。
サザンブロット分析については、E.M.Southern(197
5):Detection of specific sequences among DNA frag
ments separated by gel electrophoresis J.Mol.Bio
l.,98,503−517に詳記されている。
5):Detection of specific sequences among DNA frag
ments separated by gel electrophoresis J.Mol.Bio
l.,98,503−517に詳記されている。
(3)培養およびrPAc(recombinant PAc)の精製 S.mutans GS−5(K−3)株をTTYブロースまたはBH
Iブロースの透析外液で培養後、培養上清を硫酸アンモ
ニウム60%飽和濃度にて塩析し、沈査を50mMトリス−塩
酸緩衝液pH7.5に溶解、透析して、同緩衝液で平衡化し
たDEAE−セルロースカラムに本標品を流す。同緩衝液を
カラムに2ベッド体積流した後、0モルから0.5モルま
でのNaCl濃度勾配溶出を行なう。その結果、NaClが0.2
モル付近でrPAcが溶出する。この溶出画分はそのままrP
Acの精製標品として使用可能である。GS−5(K−3)
株では、培養上清中のrPAc含量が非常に高いため、精製
操作はこのように大変簡略化される。
Iブロースの透析外液で培養後、培養上清を硫酸アンモ
ニウム60%飽和濃度にて塩析し、沈査を50mMトリス−塩
酸緩衝液pH7.5に溶解、透析して、同緩衝液で平衡化し
たDEAE−セルロースカラムに本標品を流す。同緩衝液を
カラムに2ベッド体積流した後、0モルから0.5モルま
でのNaCl濃度勾配溶出を行なう。その結果、NaClが0.2
モル付近でrPAcが溶出する。この溶出画分はそのままrP
Acの精製標品として使用可能である。GS−5(K−3)
株では、培養上清中のrPAc含量が非常に高いため、精製
操作はこのように大変簡略化される。
これらのrPAcは、種々の形態でう蝕ワクチンとして使
用される。
用される。
また、同様にしてNCTC10449株、GS−5株、GS−5
(K−9)株を培養し、培養上清中に産生されたPAcを
精製し、その量を蛋白量を基準としてローリー法により
測定し、相対値として下記表−1に示した。本発明のGS
−5(K−3)株により、著しく産生量が増大すること
が判る。
(K−9)株を培養し、培養上清中に産生されたPAcを
精製し、その量を蛋白量を基準としてローリー法により
測定し、相対値として下記表−1に示した。本発明のGS
−5(K−3)株により、著しく産生量が増大すること
が判る。
(4)rPAcによる免疫実験 表−2の組成物をPBSに溶解し、この0.1mlをマウス1
群5匹に対して、10日間隔で腹腔内に注射し、2回免疫
した。2回目の投与の7日後にマウスより採血し、rPAc
に対する血中抗体価を酵素免疫測定法(ELISA法)によ
って測定した。その結果を表−2に示す。なお、抗体価
は得られた血清を1/10希釈した後さらに倍々希釈したと
きにELISA法で反応性を示す血清の希釈の逆数で表わし
た。
群5匹に対して、10日間隔で腹腔内に注射し、2回免疫
した。2回目の投与の7日後にマウスより採血し、rPAc
に対する血中抗体価を酵素免疫測定法(ELISA法)によ
って測定した。その結果を表−2に示す。なお、抗体価
は得られた血清を1/10希釈した後さらに倍々希釈したと
きにELISA法で反応性を示す血清の希釈の逆数で表わし
た。
第1図はプラスミド分画のアガロース電気泳動を示す図
である。 第2図は32P標識エリスロマイシン耐性遺伝子BamH Iフ
ラグメントプローブを用いた染色体DNAのサザンブロッ
ト分析結果を示す図である。
である。 第2図は32P標識エリスロマイシン耐性遺伝子BamH Iフ
ラグメントプローブを用いた染色体DNAのサザンブロッ
ト分析結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−205983(JP,A) 特開 昭63−219370(JP,A) 日本歯科評論,1月,1989,No. 555,p.153−162 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 39/09 C12N 1/21 C12N 15/00 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)
Claims (4)
- 【請求項1】口腔連鎖球菌ストレプトコッカス・ミュー
タンスの菌体表層または菌体外に産生されるタンパク質
抗原の発現遺伝子を、ストレプトコッカス・ミュータン
スGS−5株の染色体遺伝子中に組み込んだ変異株の培養
により上記抗原を製造することを特徴とするう蝕ワクチ
ンの製造法。 - 【請求項2】前記タンパク質抗原が、SDSポリアクリル
アミドゲル電気泳動法での測定による分子量が約17万〜
22万のものである請求項1記載の製造法。 - 【請求項3】前記変異株が微工研条寄第2437号として寄
託されたストレプトコッカス・ミュータンスGS−5(K
−3)株である請求項1または2に記載の製造法。 - 【請求項4】口腔連鎖球菌ストレプトコッカス・ミュー
タンスの菌体表層または菌体外に産生されるタンパク質
抗原の発現遺伝子が染色体中に組み込まれ、該タンパク
質抗原の産生能を有するストレプトコッカス・ミュータ
ンスGS−5(K−3)(微工研条寄第2437号)。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13702589 | 1989-05-29 | ||
JP1-137025 | 1989-05-29 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0368522A JPH0368522A (ja) | 1991-03-25 |
JP3089287B2 true JP3089287B2 (ja) | 2000-09-18 |
Family
ID=15189084
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14118890A Expired - Lifetime JP3089287B2 (ja) | 1989-05-29 | 1990-05-29 | う蝕ワクチンの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3089287B2 (ja) |
-
1990
- 1990-05-29 JP JP14118890A patent/JP3089287B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
日本歯科評論,1月,1989,No.555,p.153−162 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0368522A (ja) | 1991-03-25 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term |