JP3086530B2 - 金属微粒子分散ガラス用組成物および金属微粒子分散ガラス - Google Patents

金属微粒子分散ガラス用組成物および金属微粒子分散ガラス

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属微粒子分散ガラス用
組成物および金属微粒子分散ガラスに関する。この金属
微粒子分散ガラスは非線形光電子材料、着色ガラス(フ
ィルターガラス)として用いられる。
【0002】
【従来の技術】光の波長に比べて充分小さい金属微粒子
をマトリックスガラス中に分散させたガラスの3次非線
形特性が測定され、比較的大きな非線形特性を示すこと
が報告され(Opt.Lett.,10,511(19
85)、Appl.Phys.,A47;347(19
88))、金属微粒子分散ガラスが光スイッチや光コン
ピューター用等の非線形光電子材料として注目を集めて
いる。また、銅微粒子を含有したガラスは従来から“銅
赤ガラス”と呼ばれ、着色ガラスの一つとしてよく知ら
れた材料である。
【0003】このような金属微粒子分散ガラスの製造方
法においては、ガラス工学ハンドブック(朝倉書店、1
963年、p760)に記載されているがごとく、一般
に、マトリックスとなるガラスとして、シリケートガラ
スやボロシリケートガラスが用いられている。そして、
これらのガラスをマトリックスとする金属微粒子分散ガ
ラスは、これらのガラスの出発原料と金属微粒子の出発
原料とを含む混合物を加熱・溶融させてガラス融液とし
たのち、このガラス融液を室温まで冷却して金属元素が
イオンまたは原子状としてマトリックス中に溶解してい
る均一ガラスを得、次いでこのガラスを室温から所定の
温度まで昇温し、この所定の温度で熱処理して金属微粒
子を析出させる方法(一般に溶融法と呼ばれる)によっ
て製造されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の溶
融法によりシリケートガラスやボロシリケートガラスを
マトリックスガラスとする金属微粒子分散ガラスを製造
する場合、出発原料を加熱・溶融させて金属元素がマト
リックス中に溶解している均一ガラスを得る工程におい
て、金属成分のマトリックスガラスへの溶解度が小さい
ためガラス中に溶解せず分離してしまい、原料中に金属
微粒子の出発原料を多量に添加してもガラス中の金属成
分の濃度を高めることができないため、熱処理により析
出する金属微粒子の濃度は低い。
【0005】このため、従来の溶融法により得た金属微
粒子分散ガラスを用いて光スイッチや光コンピューター
等の非線形光電子素子を作製した場合、3次の非線形特
性の大きさを表す非線形感受率の値(|χ(3) |)は金
属微粒子分散ガラス中の金属微粒子の体積率に比例する
ため、Appl.Phys.,A47,347(198
8)に記載されているがごとく、金微粒子分散シリケー
トガラス中の金微粒子の体積率が10-5程度(金濃度、
0.05mol %程度)のもので、高々10-11esu のオ
ーダーと小さく、半導体レーザーの光強度で動作させる
ことは困難であった。またマトリックスにボロシリケー
トガラスを用い、金属微粒子として銅を用いた場合も、
銅微粒子分散ガラス中の銅濃度が0.5mol %程度と低
く、薄肉のいわゆる銅赤ガラス(シャープカットフィル
ター)を作製した場合、光吸収曲線の立ち上がりがブロ
ードで傾きの緩やかなものとなり、シャープカットフィ
ルターの特性を維持したままガラスの薄肉化を図ること
は困難であった。
【0006】本発明は、非線形光電子材料及び光学フィ
ルター材料としての従来の金属微粒子分散ガラスにおけ
る上記難点を解決すべくなされたものであり、本発明の
第1の目的は、高濃度の銅および/または銀化合物を含
有し、銅および/または銀の金属微粒子分散ガラスを得
るに好適な組成物を提供することにある。また、本発明
の第2の目的は、前記組成物を用いて高濃度の銅および
/または銀の金属微粒子を含む金属微粒子分散ガラスを
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたものであり、本発明の金属微粒子
分散ガラス用組成物は、P2 5 および/またはB2
3 と、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnOおよび
CdOから選ばれる少なくとも1種と、SnOと、銅化
合物および銀化合物から選ばれる少なくとも1種とを必
須構成成分とし、かつP2 5 とB2 3 の合量が30
〜60mol %であり、MgOとCaOとSrOとBaO
とZnOとCdOの合量が20〜60mol %であり、S
nOの量が3〜20mol %であり、銅化合物と銀化合物
の合量がCu2 OおよびAg2 Oとして3〜20mol %
であることを特徴とするものである。
【0008】また、本発明の金属微粒子分散ガラスは、
上記の金属微粒子分散ガラス用組成物を熱処理すること
により、P2 5 および/またはB2 3 と、MgO、
CaO、SrO、BaO、ZnOおよびCdOから選ば
れる少なくとも1種と、SnOとからなるガラス中に銅
および銀から選ばれる少なくとも1種の金属微粒子を析
出させてなることを特徴とするものである。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】本発明によれば、微粒子分散ガラス用組成
物を構成する成分として、P2 5および/またはB2
3 と、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnOおよ
びCdOから選ばれる少なくとも1種と、SnOとを用
いる。そしてこれらの組成範囲を上記のように限定する
ことにより、銅化合物および銀化合物のガラス融液に対
する溶解度を大きくすることができ、銅化合物および/
または銀化合物の濃度が高い組成物が得られる。
【0011】そして、この銅化合物および/または銀化
合物含有組成物を熱処理することにより、銅および/ま
たは銀の金属微粒子が高濃度で析出した金属微粒子分散
ガラスが得られる。
【0012】先ず、本発明の微粒子分散ガラス用組成物
の各成分組成を上記のように限定する理由を詳説する。
2 5 とB2 3 の合量が30mol %未満ではガラス
の熱的安定性が不充分となり、銅および銀の金属微粒子
を析出させる熱処理工程において、ガラス自身が結晶化
し易くなるので好ましくない。また、P2 5 とB2
3 の合量が60mol %を越えると、ガラスの化学的耐久
性が不充分となり、使用上問題となる。従って、P2
5 ととB2 3 の合量は30〜60mol %に限定され
る。P2 5 とB2 3 の合量は30〜55mol %であ
るのが特に好ましい。
【0013】また、MgOとCaOとSrOとBaOと
ZnOとCdOの合量が60mol %を越えるとガラスの
熱的安定性が不充分となり、熱処理工程において、ガラ
ス自身が結晶化し易くなるので好ましくない。又、これ
らの合量が20mol %未満ではガラスの化学的耐久性が
不充分となるので好ましくない。従って、MgOとCa
OとSrOとBaOとZnOとCdOの合量は20〜6
0mol %に限定される。MgOとCaOとSrOとBa
OとZnOとCdOの合量は20〜55mol %であるの
が特に好ましい。
【0014】また、SnOは、熱処理により銅および/
または銀の金属微粒子を析出させる際、熱的還元作用を
有し、銅および/または銀化合物を還元して、銅および
/または銀の金属微粒子の析出を適確に行うための成分
であるが、その量が20mol%を越えると未溶解物とな
って析出するので好ましくない。又、SnOの量が3mo
l %未満では熱処理により銅および/または銀の金属微
粒子析出を適確に行うことができなくなるので好ましく
ない。従って、SnOの量は3〜20mol %に限定され
る。SnOの量は5〜15mol %であるのが特に好まし
い。
【0015】なお、熱的還元作用を有する成分として
は、SnO以外にもSb2 3 、As2 3 、PbO、
Bi2 3 等があり、これらの成分を用いることはでき
るが、これらの成分はSnOに比べ熱的還元作用が弱
く、実用的ではない。
【0016】本発明の微粒子分散ガラス用組成物の構成
成分およびその組成割合を上記のとおり規定することに
より、銅化合物および/または銀化合物を、これらの合
量がCuOおよびAgOとして3〜20mol %となるよ
う割合で含有させることが可能となった。
【0017】組成物中に含有される銅化合物としては、
Cu2 O、CuO等の酸化物、CuF、CuCl、Cu
Br、CuI等のハロゲン化物、CuCO3 等の炭酸塩
等を用いることができる。また、銀化合物としては、A
2 O、AgO等の酸化物、AgF、AgCl、AgB
r、AgI等のハロゲン化物、AgCO3 等の炭酸塩等
を用いることができる。さらに、銅および銀の有機金属
化合物も用いることができる。
【0018】なお、本発明の金属微粒子分散ガラス用組
成物においては、追加成分としてSiO2 、Al
2 3 、Ga2 3 、In2 3 、ZrO2 、Y2 3
を必要に応じて10mol %以下の割合で含有することが
できる。
【0019】本発明の金属微粒子分散ガラス用組成物
は、下記の形態のものを包含する。◎ (a)上記構成成分および銅化合物および/または銀化
合物が上記の組成割合となるように原料化合物を混合
し、得られた混合物を溶解して得られるガラス融液。 (b)前記ガラス融液(a)を鋳型等の容器にキャスト
した後、冷却して得られるガラス固化体。
【0020】次に上記金属微粒子分散ガラス用組成物か
ら得られる金属微粒子分散ガラスについて説明する。本
発明の金属微粒子分散ガラスは、金属微粒子分散ガラス
用組成物を熱処理することにより、P2 5 および/ま
たはB2 3 と、MgO、CaO、SrO、BaO、Z
nOおよびCdOから選ばれる少なくとも1種と、Sn
Oとを含むガラス中に銅および銀から選ばれる少なくと
も1種の金属微粒子を析出させてなるものである。
【0021】熱処理により金属微粒子を析出させる方法
としては、以下の方法が挙げられる。 (1)微粒子分散ガラス用組成物が、上記ガラス融液
(a)の場合 (i) ガラス融液を銅および/または銀の金属微粒子が析
出する温度、例えば380〜600℃に冷却して、この
温度域にガラスを保持して銅および/または銀の金属微
粒子を析出させる。 (ii)ガラス融液を銅および/または銀の金属微粒子が析
出する温度よりも低い温度、例えば380℃より低い温
度まで一度冷却した後、銅および/または銀の金属微粒
子が析出する温度、例えば380〜600℃まで昇温
し、この温度域にガラスを保持して、銅および/または
銀の金属微粒子を析出させる。
【0022】(2)微粒子分散ガラス用組成物が上記ガ
ラス固化体(b)の場合 ガラス固化体を銅および/または銀の金属微粒子が析出
する温度、例えば380〜600℃まで昇温し、この温
度域にガラスを保持して、銅および/または銀の金属微
粒子を析出させる。
【0023】この金属粒子の析出は、上記温度域(38
0〜600℃)で銅化合物および/または銀化合物に由
来する銀イオンおよび/または銀イオンが還元作用を有
するSnイオン(SnOに由来する)と反応して、銅お
よび/または銀の金属原子が生成し、次いでこの金属原
子が凝集して結晶核を作り、その結晶が成長することに
基づくものである。
【0024】本発明の金属微粒子分散ガラスにおいて、
銅および/または銀の微粒子濃度は、マトリックスにボ
ロシリケートガラスを用いて作製した従来の銅赤ガラス
の微粒子濃度の5〜30倍であり、このような高濃度の
金属微粒子を含有することにより、非線形光電子材料や
着色ガラスとして好適に用いられる。
【0025】
【実施例】以下実施例により本発明を詳説する。実施例1 実施例1〜18のガラスを得るための原料として、P2
5 、B2 3 、Mg(PO3 2 、Ca(P
3 2 、Sr(PO3 2 、Ba(PO3 2 、Mg
CO3 、CaCO3 、SrCO3 、BaCO3 、Zn
O、CdO、SnO、Cu2 O等を用意した。そして実
施例1のガラスを得るためにこれらの原料の中から必要
な原料を適宜選択し、得られるガラスの組成が44mol
%のP2 5 、44mol %のBaO、6mol %のSn
O、6mol %のCu2 Oとなるように混合した。得られ
た混合物を耐火性ルツボ中で1、200℃において15
分間加熱して均一なガラス融液とした後、鉄板状にキャ
ストして無色・透明なガラスを得た。
【0026】次に得られたガラスを、あらかじめ420
℃に保持した電気炉の中に入れ、この温度で3時間熱処
理した後、このガラスを室温まで徐冷したところ、ガラ
スは赤色に着色していた。
【0027】このようにして得られたガラスをX線回折
法を用いて測定したところ、銅金属結晶ピークが観察さ
れ、銅微粒子分散ガラスが得られたことが確認された。
さらに、銅微粒子分散ガラス中に含まれる銅結晶微粒子
の大きさをX線回折法および透過型電子顕微鏡(TE
M)を用いて測定したところ、銅結晶粒子の平均粒径
(直径)は80オングストロームであった。
【0028】また、得られた銅微粒子分散ガラスを50
μm の厚さに光学研磨し、その光吸収スペクトルを測定
したところ、図1に実線1で示す様に鋭い銅の表面プラ
ズモン共鳴の吸収ピークが確認された。また、光吸収曲
線の立ち上がりが鋭く、優れた分光特性を有しているこ
とが確認された。さらに、図1に破線2で示す、ボロシ
リケートガラスをマトリックスとする従来の銅赤ガラス
(比較例1 Cu2 O:0.5mol %)の光吸収曲線に
比べ光吸収量が10倍以上増大しており、本実施例の銅
微粒子分散ガラス中の銅微粒子濃度は前記ボロシリケー
トガラスをマトリックスとする従来の銅赤ガラス中の銅
微粒子濃度の10倍以上と極めて高濃度であった。ま
た、縮退四光波混合法(Degenerated Fo
ur Wave Mixing Method)によ
り、光吸収ピーク近くの波長(580nm)で|χ(3)
値を室温において測定したところ、10-8esu のオーダ
ー(5.9×10-8esu )であった。従って、この銅微
粒子分散ガラスはボロシリケートガラスをマトリックス
とする従来の銅赤ガラスの10倍以上の光学的非線形感
受率(|χ(3) |)を有する。
【0029】実施例2〜18 実施例1と同様にして表1、2、3に示すガラスを得
た。但し、実施例4の場合、Cu2 Oの代りにCuCl
を用いた。また実施例16、17の場合、Cu2Oの代
りにAgOを用いた。また実施例18の場合、Cu2
とAgOの混合物を用いた。その後、このガラスを表
1、2、3に示す条件で熱処理した後、このガラスを室
温まで徐冷したところ、ガラスは着色した。
【0030】このようにして得られた実施例2〜18の
着色ガラスをX線回折法を用いて測定したところ、実施
例2〜15の着色ガラスは、実施例1と同様に銅結晶ピ
ークが観測され、銅微粒子分散ガラスが得られたことが
確認された。さらに、これらの銅微粒子分散ガラスの光
吸収特性を実施例1と同様にして測定したところ、いず
れの銅微粒子分散ガラスも、実施例1で得られた銅微粒
子分散ガラスと同様に、鋭い銅の表面プラズモン共鳴の
吸収ピークが確認された。また、光吸収曲線の立ち上が
りが鋭く、優れた分光特性を有していることが確認され
た。さらに、これらの光吸収特性から、それぞれの銅微
粒子分散ガラス中の銅微粒子濃度を求めたところ、表1
に示す様にボロシリケートガラスをマトリックスとする
従来の銅赤ガラス(比較例1)中の銅微粒子の5倍以上
であり、これらの銅微粒子分散ガラスは前記ボロシリケ
ートガラスをマトリックスとする銅赤ガラスの5倍以上
の光学的非線形感受率(|χ(3) |)を有する。
【0031】また実施例16〜17の着色ガラスをX線
回析法を用いて測定したところ、着色ガラスは銀結晶ピ
ークが観測され、銀微粒子分散ガラスが得られたことが
確認された。さらにこれらの銀微粒子分散ガラスの光吸
収特性を実施例1と同様にして測定したところ、いずれ
の銀微粒子分散ガラスも実施例1で得られた銅微粒子分
散ガラスと同様に、鋭い銅の表面プラズモン共鳴の吸収
ピークが確認された。また、光吸収曲線の立ち上がりが
鋭く、優れた分光特性を有していることが確認された。
【0032】さらに実施例18の着色ガラスをX線回析
法を用いて測定したところ、着色ガラスは、銅結晶ピー
クと銀結晶ピークが観測され、銅と銀が独立して分散し
た微粒子分散ガラスが得られたことが確認された。さら
に、これらの微粒子分散ガラスの光吸収特性を実施例1
と同様にして測定したところ鋭い銅と銀の表面プラズモ
ン共鳴の吸収が確認された。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】 比較例1 比較例1〜4のガラスを得るための原料として、P2
5 、B2 3 、Ba(PO3 2 、BaCO3 、Sn
O、Cu2 O、SiO2 、Na2 CO3 、Al23
を用意した。そして比較例1のガラスを得るためにこれ
らの原料の中から必要な原料を適宜選択し、得られるガ
ラスの組成が表4に示すように20mol %(本発明の範
囲外)のB2 3 、60mol %のSiO2 (本発明の必
須成分でない)、10mol %のNa2 O(本発明の必須
成分でない)、9mol %のAl2 3 (本発明の必須成
分でない)、0.5mol %(本発明の範囲外)のSn
O、0.5mol %(本発明の範囲外)のCu2 Oとなる
ように混合した。得られた混合物を1,450℃におい
て30分間加熱して均一なガラス融液とした以外は実施
例1と同様にしてガラスを得た。その後、このガラスを
表4に示すように500℃で20時間熱処理したとこ
ろ、ガラスは赤色に着色していた。
【0036】このようにして得られたガラスをX線回折
法を用いて測定したところ、銅金属結晶ピークが観察さ
れ、銅微粒子分散ガラスが得られたことが確認された。
しかし、得られた銅微粒子分散ガラスの光吸収スペクト
ルを測定したところ、図1に破線2で示す様に光吸収曲
線の立ち上がりがブロードで傾きの緩やかなものとなっ
た。また、縮退四光波混合法により、光吸収ピーク近く
の波長(580nm)で|χ(3) |値を室温において測定
したところ、10-10 esu のオーダー(3.2×10
-10 esu )であった。
【0037】比較例2 得られるガラスの組成が表4に示すように46.5mol
%のP2 5 と46.5mol %のBaOと1mol %(本
発明の範囲外)のSnOと6mol %のCu2 Oとなるよ
うに原料を混合した以外は実施例1と同様にしてガラス
を得た。その後、このガラスを表4に示すように420
℃で3時間熱処理したところ、色変化は認められたが、
これらの光吸収特性から銅微粒子分散ガラス中の銅微粒
子濃度を求めたところ、表1に示す様にボロシリケート
ガラスをマトリックスとする銅赤ガラス(比較例1)中
の銅微粒子の0.4倍と低濃度であった。
【0038】比較例3 得られるガラスの組成が表4に示すように25mol %
(本発明の範囲外)のP2 5 と63mol %(本発明の
範囲外)のBaOと6mol %のSnOと6mol %のCu
2 Oとなるように原料を混合した以外は実施例1と同様
にしてガラスを得た。その後、このガラスを表4に示す
ように400℃で5時間熱処理したが、色変化はなく、
またX線回折測定において、銅結晶微粒子の析出は確認
できず、一方、ガラスの結晶化が認められた。
【0039】比較例4 得られるガラスの組成が表4に示すように65mol %
(本発明の範囲外)のP2 5 と23mol %のBaOと
6mol %のSnOと6mol %のCu2 Oとなるように原
料を混合した以外は実施例1と同様にしてガラスを得
た。その後、このガラスを表4に示すように450℃で
5時間熱処理したが、色変化はなく、またX線回折法及
び光吸収スペクトルの測定においても、銅結晶微粒子の
析出は確認できなかった。さらに、大気中に一日放置し
たところ化学的なヤケが認められた。
【0040】比較例5 比較例1のCu2 Oの替わりにAg2 Oを用いた他は、
比較例1と同様にしてガラスを作製したところ、銀金属
結晶ピークが観察され、銀微粒子分散ガラスが得られた
ことが確認された。しかし、得られた銀微粒子分散ガラ
スの光吸収スペクトルを測定したところ光吸収曲線の立
ち上がりがブロードで傾きの緩やかなものであった。縮
退四光波混合法により、光吸収ピーク近くの波長(43
0nm)で|χ(3) |値を室温において測定したところ、
10-11 esu のオーダーであった。
【0041】
【表4】
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高濃度の銅化合物および/または銀化合物を含有し、銅
および/または銀の金属微粒子分散ガラスを得るに好適
な組成物が提供された。またこの組成物を用いて、高い
銅および/または銀の金属微粒子が分散されたガラスを
製造することができる。得られた金属微粒子分散ガラス
は、非線形光学材料として良好な非線形特性を有すると
ともに、フィルター材料として優れた分光特性をも有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1および比較例1の銅微粒子分散ガラス
の光吸収曲線を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03C 1/00 - 14/00 G02F 1/35 JICSTファイル(JOIS)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 P2 5 および/またはB2 3 と、M
    gO、CaO、SrO、BaO、ZnOおよびCdOか
    ら選ばれる少なくとも1種と、SnOと、銅化合物およ
    び銀化合物から選ばれる少なくとも1種とを必須構成成
    分とし、かつP2 5 とB2 3 の合量が30〜60mo
    l %であり、MgOとCaOとSrOとBaOとZnO
    とCdOの合量が20〜60mol %であり、SnOの量
    が3〜20mol %であり、銅化合物と銀化合物の合量が
    Cu2 OおよびAg2 Oとして3〜20mol %であるこ
    とを特徴とする金属微粒子分散ガラス用組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の金属微粒子分散ガラス用
    組成物を熱処理することにより、P2 5 および/また
    はB2 3 と、MgO、CaO、SrO、BaO、Zn
    OおよびCdOから選ばれる少なくとも1種と、SnO
    とを含むガラス中に銅および銀から選ばれる少なくとも
    1種の金属微粒子を析出させてなることを特徴とする金
    属微粒子分散ガラス。
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和田憲幸 他,"リン酸塩ガラスでの銅粒子の析出と成長機構",日本金属学会誌,1999年,Vol.63,No.4,p.461−466

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