JP3084840B2 - ポリウレタン成形品の製造方法 - Google Patents

ポリウレタン成形品の製造方法

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JP3084840B2 JP03258077A JP25807791A JP3084840B2 JP 3084840 B2 JP3084840 B2 JP 3084840B2 JP 03258077 A JP03258077 A JP 03258077A JP 25807791 A JP25807791 A JP 25807791A JP 3084840 B2 JP3084840 B2 JP 3084840B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シートクッションなど
のポリウレタン発泡成形品およびウレタンバンパ等のウ
レタンRIM(反応射出成形)成形品を含むポリウレタ
ン成形品の製造方法、特に容易に離型可能なポリウレタ
ン成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリウレタン(以下、ウレタンと略記す
る)は、幅広い性質を示し、多様な用途に利用されてい
る汎用樹脂である。ウレタンの製造は、ポリオールとポ
リイソシアネートとの反応によるウレタンポリマーの生
成が基本であり、発泡体とする場合には、この反応に付
随して物理的または化学的発泡が同時に行われる。ウレ
タン成形品は、主原料であるポリオールとポリイソシア
ネートに種々の添加剤を配合した未反応の成形原料(ワ
ンショット法)あるいは主原料をプリポリマー化してか
ら添加剤を配合した成形原料(プリポリマー法)から製
造されることが多い。即ち、重合反応と成形および必要
により発泡が同時に行われる。
【0003】自動車のシートクッションは、発泡ウレタ
ン成形品の最大の用途の一つであり、型物と呼ばれるよ
うに、所定のキャビティを有する分割型を用いて上記の
成形原料を型に注入ないし射出し、型内で必要であれば
加熱して重合および発泡を生じさせ、脱型することによ
り通常は製造されている。
【0004】この方法に用いる型としては、アルミニウ
ム、鉄などの金属製の型、あるいはエポキシ樹脂、ポリ
エステル樹脂などの熱硬化性樹脂製の型が使用される。
しかし、前述したウレタンポリマーの生成反応は極めて
反応性が高く、この活性な反応が型内で行われるため、
成形体が型に接着し易く、離型性が悪い。そのため、通
常は、シリコーン系、ワックス系などの離型剤を成形サ
イクル毎にキャビティ面に多量に塗布して成形作業を実
施している。
【0005】しかし、多量の離型剤の使用は、発泡ウレ
タンの成形に各種の不具合を生じている。例えば、離型
剤により作業環境、型、さらには製品が汚染される。ま
た、型に固着した離型剤を除去するため、一定の成形サ
イクルごとに固着した離型剤を溶剤で洗浄することが必
要となる。多量の離型剤と溶剤の使用は、経済的に損失
となるだけでなく、揮発性の溶剤を取り扱うことにより
作業環境はさらに悪化し、また作業を中断するため、作
業効率も低下する。
【0006】離型剤の使用を避けるために、型のキャビ
ティ面にフッ素樹脂などの非粘着性のコーティングを施
すことも試みられたが、効果が十分でない上、フッ素樹
脂コーティングが剥がれ易く、型の耐久性が低下すると
いった問題点があり、実用化されていない。
【0007】実開昭63−144211号公報には、型のキャビ
ティ面にセラミック焼結体を形成し、このセラミック焼
結体にフッ素樹脂を含浸・焼付した離型性のよい成形型
が開示されている。この型は、耐久性については改善さ
れたが、ウレタンポリマーの成形に使用する場合には離
型性がなお不十分である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、離型
剤やフッ素樹脂被覆を利用せずにウレタン成形体を容易
に脱型することができる、離型性に優れたウレタン成形
体の製造方法を提供することである。本発明の別の目的
は、作業環境や作業効率の悪化を伴わずにウレタン成形
体を経済的に製造することのできる方法を提供すること
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
の達成を目指して研究を進めた結果、型のキャビティ面
にセラミックのコーティング層を存在させ、脱型前に水
および/またはアルコールを含有する気体または液体を
導入すると、成形体を容易に脱型できるという予想外の
知見を得た。本発明はこの知見に基づき完成されたもの
である。
【0010】ここに、本発明の要旨は、型を用いてリウ
レタン成形原料を成形するポリウレタン成形品の製造方
法において、キャビティ面がセラミック層で被覆されて
いる型を用い、離型時に水および/またはアルコールを
含有する気体または液体を型内に導入してから成形品を
脱型することを特徴とする、ウレタン成形品の製造方法
にある。
【0011】
【作用】以下、本発明の構成をその作用と共に説明す
る。本発明の方法により製造されるウレタン成形品の種
類は特に限定されない。即ち、本発明の方法は、軟質、
半硬質および硬質ウレタン発泡体、熱硬化性および熱可
塑性ウレタンエラストマー、さらにはウレタンウレア、
ウレタンアクリレートなどの変性ウレタンなどの任意の
ウレタン樹脂の成形体の製造に適用することができる。
これらの各ウレタン製品の製造に用いるウレタン成形原
料は当業者には周知であり、従って、本発明の方法に用
いるウレタン原料は、目的とする製品に応じて従来と同
様に選択すればよい。一般にウレタン成形原料は、未反
応あるいは不完全に反応したポリイソシアネートとポリ
オールとを主原料とする反応性の混合物である。
【0012】発泡ウレタン成形品の製造を例にとると、
ウレタン成形原料は、ポリイソシアネート、ポリオール
(あるいはこの両成分を反応させたプリポリマー) 、触
媒、発泡サイズ調節剤 (例、シリコーン樹脂、乳化剤な
ど) 、発泡剤 (例、水、フレオン、塩化メチレン、ペン
タン、あるいは機械撹拌により導入された空気) を含有
する混合物である。
【0013】ウレタン成形原料の成形に使用する型は特
に限定されないが、そのキャビティ面 (即ち、ウレタン
原料と接触する面) がセラミック層で被覆されているも
のを用いる。セラミック層でキャビティ面が被覆されて
いる限り、型の種類や製造方法は限定されないが、分割
型を使用することが一般に好ましい。
【0014】セラミック層の形成はセラミックコーティ
ングと同様の手法、即ち、1種もしくは2種以上のセラ
ミック原料化合物(焼付によってセラミックを形成する
化合物)を含有する水性塗布液の塗布と焼付により形成
することができる。
【0015】型に被覆するセラミック層は、少なくとも
表面が水および/またはアルコールに親和性を持つもの
であることが好ましい。セラミックの中には水やアルコ
ール親和性を有しているものが多くあると考えられるの
で、型のセラミック層は従来より公知のセラミックコー
ティング法により形成したものであってもよい。
【0016】好ましいセラミック層の形成方法は、水お
よび/またはアルコールと親和性の基を持つ1種もしく
は2種以上のセラミック原料化合物(以下、このような
化合物を親和性セラミック原料化合物と称することがあ
る)を含む液状組成物を型のキャビティ面に塗布し、塗
布層を水および/またはアルコールと親和性の基が少な
くとも部分的に残存する条件下で(即ち、比較的低温お
よび/または短時間)焼付することからなる。
【0017】水および/またはアルコール親和性のセラ
ミック原料化合物としては、Al、Cr、Mg、Si、
Ti、Ca、Sr、Baなどの金属(本発明ではケイ素
やホウ素などの半金属も金属に含める)と、水(H
2 O) の構成部分とを含む化合物がある。水(H2 O)
の構成部分とは、H2 O自体、およびH+ 、OH-
H、OH等のH2 Oを構成するイオンもしくは非イオン
部分、並びに重水 (D2 O)およびその前述と同様なイ
オンもしくは非イオン部分を意味する。また、アルコー
ルの同様な構成部分を含む金属化合物も使用することが
できる。このような構成部分により、化合物に水および
/またはアルコールに対する親和性が付与される。
【0018】このような親和性セラミック原料化合物の
例としては、上記金属のオール錯体、即ち、オール化反
応によって形成される金属錯体がある。これは、金属原
子間が複数のOH- 基またはH2 Oなどで架橋された架
橋構造を持つ錯体である。オール錯体は、例えば、ケイ
酸ナトリウムの水溶液に塩酸を加えてpH調整をするこ
とにより、ケイ酸のヒドロゾルを形成し、所望によりこ
れをゲル化することにより形成することができる。
【0019】別の種類の好ましい親和性セラミック原料
化合物は、Si、Ti、Alなどの金属のアルコキシド
錯体である。金属アルコキシド錯体は、例えば金属水酸
化物をアルコールに溶解させることにより形成され、金
属にアルコキシド基が配位した構造を持つ。
【0020】使用しうる他の親和性セラミック原料化合
物の例には、ケイ酸、アンチモン酸、スズ酸、アルミン
酸、チタン酸などの金属酸塩、ケイ素、アンチモン、ス
ズ、アルミニウム、チタンなどの含水金属化合物、これ
ら金属の酸性塩などの水素イオンを含む金属化合物があ
る。例えば、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する水性塗布
液、特にこれに水酸化アンモニウム、アミンなどの塩基
性物質および/またはホウ酸やリン酸などの酸を加えた
塗布液を用いても、水および/またはアルコールに親和
性を示すセラミック層を形成することができる。
【0021】このような親和性セラミック原料化合物の
1種もしくは2種以上が水に溶解、膠質化、または分散
している溶液、コロイド溶液、またはスラリー状の水性
塗布液を形成し、塗布に供する。塗布液には、その他
の、即ち、水および/またはアルコールと非親和性のセ
ラミック原料化合物、例えば、金属窒化物(例、窒化ケ
イ素、窒化アルミニウム)、炭化物(炭化ケイ素)、ホ
ウ化物、ケイ化物などの粉末を、液の粘度調整やその他
の目的で共存させることができる。塗布液に共存させう
る他の材料としては、金属の酸化物(例、シリカ、アル
ミナ、二酸化チタン、酸化クロム)、並びに水不溶性金
属塩、例えば、アルカリ土類金属炭酸塩および硫酸塩
(例、硫酸バリウムおよび炭酸バリウム)などがある。
【0022】塗布液に非親和性のセラミック原料化合物
を共存させる場合、その配合量は特に限定されないが、
セラミック原料化合物の合計量に対して、これらの非親
和性化合物の割合が50重量%以下、特に30重量%以
下となることが好ましい。塗布液の濃度も特に制限はな
く、塗布に好適な粘度の液が得られるように調整すれば
よい。塗布液中のセラミック原料化合物の合計濃度は、
通常は50重量%以下、好ましくは30重量%以下であ
ろう。
【0023】かかる水および/またはアルコールに親和
性のセラミック原料化合物を含む塗布液を、浸漬塗布、
噴霧塗布、ロール塗布などの適当な塗布手段により型の
キャビティ面に塗布する。必要であれば、塗布前に、型
を適当な有機溶媒または水性洗浄液 (例、アルカリ性脱
脂液) で洗浄して、表面を脱脂・清浄化する。型は、ア
ルミニウム、鉄、各種合金などの金属製のものが好まし
いが、石こう等の無機材料製の型、プラスチック、木材
等の有機材料製の型も使用できる。所望により、上記塗
布液は型のキャビティ面以外の部分に塗布してもよい。
【0024】塗布後、親和性化合物中の水および/また
はアルコールとの親和性を付与する構成部分 (例、OH
基、H2 O、アルコキシド基、アルコールなど)が少な
くとも部分的に残存するように、比較的低温および/ま
たは短時間の焼付を行う。焼付温度は、使用するセラミ
ック原料の種類および型を構成する材料によっても異な
るが、一般には100〜600℃、好ましくは120〜
300℃の範囲内であり、焼付時間は5分〜5時間、好
ましくは10分〜2時間である。焼付は空気中あるいは
窒素或いはアルゴン等の不活性ガス中で実施できる。
【0025】こうして製造した型は、金属が完全には酸
化物になっておらず、形成されたセラミック層中に水お
よび/またはアルコールに対して親和性の構成部分が少
なくとも部分的に残留している。こうして、骨格をなす
セラミック(例、アルミナ、シリカ、ムライト、チタニ
ア、カルシア、マグネシアなど、用いた金属に対応する
金属酸化物)中に水および/またはアルコールに親和性
の構成部分を含有し、表面が水および/またはアルコー
ルに親和性を示すセラミック層がキャビティ面に形成さ
れる。
【0026】セラミック層の形成方法は上記の方法に限
定されるものではない。前述したように、従来のセラミ
ック・コーティング法でも、条件によっては水および/
またはアルコールに親和性を示すセラミック層が形成さ
れる場合がある。即ち、後述する、本発明の特徴をなす
離型方法を適用した場合に十分な離型性を示すセラミッ
ク層である限り、どのようなセラミック層であってもよ
い。セラミック層の厚みは特に限定されないが、 0.1〜
20μm、特に 0.5〜10μmとすることが好ましい。必要
であれば、塗布作業を反復して、所望の厚みのセラミッ
ク層を形成してもよい。
【0027】この型に、ウレタン成形原料を注入、射出
などの慣用手段により導入して、原料の反応・硬化、さ
らには発泡体の場合には発泡を型内で行わせる。この成
形作業は、常法と同様に実施すればよい。必要であれ
ば、成形中に型を外部加熱して、硬化や発泡反応を促進
させてもよい。適当な時間経過後に、得られた成形体を
型から脱型する。この脱型は、成形体が完全に硬化して
から実施してもよいが、通常は作業効率の点から、離型
可能な程度まで硬化が進んだ成形体を、硬化が完了する
前に脱型し、さらに放置して硬化を完了させ、製品とす
る。
【0028】本発明は、この脱型前に水および/または
アルコールを含有する気体または液体を型内に導入する
という離型方法に特徴がある。この水および/またはア
ルコールを含有する気体または液体の導入により、型に
予め離型剤を塗布しておかなくても、容易に離型するこ
とができる。
【0029】このような気体の例は、水、アルコール
(例、メタノールまたはエタノール)、或いはその両者
の蒸気を含むガスである。ガス中の水および/またはア
ルコールの量は、離型を容易にするという目的を達成で
きる量であればよく、水蒸気を含有する気体の場合に
は、蒸気分圧が10%以上、特に蒸気分圧が30%以上
の水蒸気を含有する空気その他の気体を使用することが
好ましい。100%水蒸気の気体も使用できる。アルコ
ール蒸気も、空気その他の気体に混合して用いることが
できる。水および/またはアルコールを含有する液体の
例は水、アルコールもしくはこれらの混合液(即ち、ア
ルコール水溶液)であり、これをそのまま用いることが
できる。価格および危険性を考慮すると、水蒸気を含有
する空気(例、蒸気分圧が30%以上の水蒸気)を用い
ることが有利である。
【0030】気体または液体の導入量は、脱型が容易と
なるのに十分な量であれば特に制限されない。気体の温
度は30〜150℃、好ましくは50〜100℃であ
る。液体の場合は30〜90℃が好ましい。
【0031】この水および/またはアルコールを含有す
る気体の導入は、型内への該気体の吹き込み、または該
気体を含有する雰囲気中に型を曝すことにより行うこと
ができる。前者の方法は、例えば、型に孔を設けた有孔
の型を使用し、この孔から気体を吹き込むか、あるいは
分割型の割面より気体を吹き込む方法が採用できる。後
者の方法は、蒸気ガス雰囲気中に型を一定時間置くか、
あるいは通過させることにより実施することができる。
この場合、型は多孔性のものとすることもできる。ま
た、型内を真空引き等により減圧することにより、水お
よび/またはアルコール含有気体の導入を促進すること
もできる。水および/またはアルコール含有液体の導入
も、前記気体の導入と同様に、型内への液体の圧入、或
いは液体中への型の浸漬等によって行うことができる。
【0032】型に水および/またはアルコール含有気体
または液体を導入することによって型と成形体との間隙
にこの気体または液体が侵入する。この気体または液体
が離型剤として機能し、脱型が容易となるものと考えら
れるが、後述するように、その理由は明らかではない。
なお、水および/またはアルコールは、水蒸気のように
気体状で導入することが効果的かつ簡便であるため好ま
しいが、水またはアルコール水溶液のように液体状で導
入しても効果はある。
【0033】その後、成形体を脱型する。従来のウレタ
ン成形品の成形作業では、型に離型剤を多量の塗布して
おかないと、成形品が型に強固に付着し、離型は困難で
あった。本発明の方法により、離型剤の塗布やフッ素樹
脂などの離型性被膜の形成が行われていない型を使用す
るにもかかわらず、離型の困難なウレタン樹脂が容易に
離型する理由は明らかではない。型のセラミック層中に
含まれる水および/またはアルコールに親和性の化合物
部分と脱型前に導入した気体または液体中の水および/
またはアルコールが何らかの作用をして、型とウレタン
成形品との間の結合を切断するか、あるいは付着力を低
下させるものと推測されるが、水および/またはアルコ
ールにこのような作用があることはこれまで知られてお
らず、水および/またはアルコールが離型にいかに関与
するかのメカニズムは今のところ解明されていない。
【0034】なお、水および/またはアルコールの構成
成分、例えばOH基は極性基であり、例えばポリオレフ
ィン成形品をフレーム処理またはコロナ放電処理し、成
形品表面にOH基等の極性基を導入すると成形品表面の
接着性が高まることが知られている。従って、OH基等
極性基の導入により離型が容易となる(即ち、接着性を
低下させる)という本発明により達成される効果は、こ
れまでの技術常識には反しており、全く予想外のことで
ある。
【0035】このように、本発明の方法により離型が容
易となる理由は定かではないが、現時点では本発明者ら
は次のように推量している。ただし、これはあくまで推
量であって、本発明はこれにより何らかの拘束を受ける
ものではない。
【0036】ウレタン成形品の成形中には、イソシアネ
ート基とOH基、アミン基、カルボン酸基などの活性水
素含有基との反応により、極性を有する結合(例、ウレ
タン結合、尿素結合、アミド結合)を持つ各種の反応生
成物が生成する。従来の未被覆の型を使用した場合、成
形品の表面に存在するこのような極性の高い結合が、型
の表面に存在する活性基(例えば、アルミニウム製など
の金属製の型では、アルミニウムイオン等の金属イオ
ン、アルミニウム等の活性金属原子)と反応結合して型
に強固に付着する。即ち、ウレタン成形品は、このよう
な結合を中心にして型と結合するため、離型が困難にな
ると推測される。この時、型のセラミック層に水および
/またはアルコールに親和性の構成部分が存在すると、
型のセラミック層表面に存在するこの部分に空気中の水
が吸着(付着)し、この水分がウレタン成形時にイソシ
アネートと反応して消滅して、型と成形されるウレタン
成形体の付着が強固に生ずる。しかし、そこへ、脱型前
に水および/またはアルコールの含有気体または液体を
導入すると、型の表面が水および/またはアルコールと
親和性が高いセラミック層であるため、セラミック層表
面が水および/またはアルコールをとり込む。こうして
型の表面にとりこまれた水および/またはアルコール
が、ウレタンと型との付着結合を破壊し、ウレタンとセ
ラミック層が容易に剥がれる。
【0037】脱型した後の型は、そのまま何回も反復使
用できる。本発明では、離型剤を使用しないので、従来
の離型剤の大量使用に伴う難点が回避される。
【0038】
【実施例】次に実施例により本発明の効果を例証する。
ただし、本発明は実施例に制限されるものではない。
【0039】実施例1 型の制作 ケイ酸ナトリウム水溶液に塩酸を加えてpH5〜10に
調整することにより、SiO2 含有量50〜200g/
lのオール化したケイ酸ゾルのコロイド溶液を得た。得
られたオール錯体含有コロイド溶液に、粒度1μm以下
のシリカ微粉末5〜25g/lを添加し、セラミック形
成用塗布液を調製した。
【0040】図1に示す形状のアルミニウム製分割型1
(キャビティ寸法300mm×300mm×70mm)のキャ
ビティ面に、上記の塗布液を浸漬により塗布し、塗布し
た型を電気炉に入れて150℃で30分間焼付けて、厚
さ1〜2μmのセラミック層2を形成した。
【0041】成形作業 上記のように製作した、キャビティ面に水親和性のセラ
ミック層を保有する型を用いて発泡ウレタン成形品を製
造した。使用したウレタン原料は2液型のものであり、
混合前のその組成は、重量%で次の通りであった。 A液 ポリオール 100重量部 触媒(33LV) 0.4重量部 シリコーン系整泡剤 0.3重量部 ポリオール系架橋剤 1.5重量部 発泡剤(水) 3 重量部 B液 TDIとポリメリックMDIの混合物 このA液とB液を100:50の割合で混合し、成形原
料とした。
【0042】このウレタン原料を上記の型に注入し、7
0℃で2分間放置して、反応・硬化・発泡を行わせた。
この状態では硬化は完全には完了していない。その後、
蒸気分圧90%の水蒸気を含有する80℃の空気を流速
0.5m/秒で5分間キャビティ内に吹き込んでから、
直ちに成形品を脱型した。この時の離型は非常に容易で
あり、型のキャビティ面にはウレタン樹脂の付着は見ら
れず、表面が滑らかで傷のない発泡ウレタン成形品が得
られた。
【0043】同じ型を用いて同様に発泡ウレタン成形品
の成形作業を50回反復実施したが、離型性は良好に保
持され、高品質の発泡ウレタン成形品を効率よく製造す
ることができた。
【0044】実施例2 脱型前に、40℃の5%エタノール水溶液を型に注入に
より導入した以外は、実施例1と同様に型の製作および
成形作業を実施した。結果は実施例1と同様であった。
【0045】実施例3 セラミック形成用塗布液を次のようにして調製した。ア
ルミン酸ナトリウムの水溶液に塩酸を加えてpH5〜1
0に調整することにより、Al2O3 含有量50〜200g
/lのオール化したコロイド溶液を得た。このオール錯
体含有コロイド溶液に、粒度1μm以下のアルミナ微粉
末5〜25g/lを添加し、セラミック形成用塗布液と
して使用した。
【0046】この塗布液を実施例1と同様に型のキャビ
ティ面に塗布し、150℃で30分間焼付を行って、キ
ャビティ面が厚さ1〜2μmのセラミック層で被覆され
た分割型を製作した。セラミック層中の水親和性構成部
分を持つ化合物の含有量は定量しえないが、およそ表面
積の40〜50%はこのような化合物で占められるので
はなかろうかと推測される。
【0047】この型を用いて実施例1および2と同様に
発泡ウレタン成形品の成形作業を実施したところ、実施
例1および2と同様に良好な離型性を保持して成形を反
復実施することができた。
【0048】比較例1 実施例1と同様に型の製作および成形作業を実施した
が、ただし、脱型前の水蒸気を含有する空気の吹き込み
を省略し、普通の大気中で80℃に10分間放置後直ち
に脱型した。成形品の離型は不可能であった。
【0049】比較例2 実施例1で用いたのと同様のアルミニウム製の分割型
を、セラミック層を形成せずに直接用いた以外は、実施
例1と同様に成形作業を実施した。脱型前に実施例1と
同様に水蒸気を含有する空気を吹き込んでから、脱型し
たところ、離型は困難であり、成形品の外観は材料破壊
を呈していた。
【0050】比較例3 実施例1と同様に型の製作および成形作業を実施した。
但し、脱型前の気体吹き込みは蒸気分圧5%の空気を用
いて行った。離型は全く不可能であり、成形品の外観は
材料破壊を呈していた。
【0051】
【発明の効果】以上に詳述したように、本発明の方法に
より、キャビティ面にセラミック層が設けられた型を用
いてウレタン成形原料を型に導入し、脱型前に水および
/またはアルコールの含有気体または液体を型内に導入
することにより、離型剤を塗布せずにウレタン成形品を
型から容易に離型することが可能となる。
【0052】これにより、従来のウレタン成形品の成形
作業では不可欠であった、各成形サイクル毎の多量の離
型剤のキャビティ面への塗布が不要となる。その結果、
この煩雑な成形サイクル毎の塗布作業がなくなって成形
作業が簡略化される上、離型剤塗布に伴う各種の問題
点、具体的には、離型剤による作業環境、型、さらには
製品の離型剤による汚染がなくなり、また型に固着した
離型剤を除去するための一定の成形サイクルごとの型の
溶剤洗浄、多量の離型剤と溶剤の使用による経済的な損
失、揮発性または有毒な溶剤を取り扱うことによる作業
環境の悪化、型の洗浄により成形作業が中断することに
よる作業効率の低下、を避けることができる。
【0053】このように、本発明のウレタン成形品の製
造方法は、ウレタン成形作業の環境を改善すると同時
に、品質の良好な製品を低コストで効率よく製造するこ
とができ、工業的に実施した場合に優れた利点を発揮す
る方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いたウレタン成形用の分割型の略式
断面図である。
【符号の説明】
1:型の本体 2:セラミック層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29K 105:04 (72)発明者 森田 晴夫 安城市今池町三丁目1番36号 株式会社 イノアックコーポレーション安城事業所 内 (72)発明者 津田 栄一 安城市今池町三丁目1番36号 株式会社 イノアックコーポレーション安城事業所 内 (56)参考文献 特開 平1−216812(JP,A) 特開 平1−206011(JP,A) 特開 昭64−90707(JP,A) 特開 昭63−158218(JP,A) 実開 昭64−52712(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/00 - 45/84 B29C 33/00 - 33/76

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 型を用いてポリウレタン成形原料を成形
    するポリウレタン成形品の製造方法において、キャビテ
    ィ面がセラミック層で被覆されている型を用い、離型時
    に水および/またはアルコールを含有する気体または液
    体を型内に導入してから成形品を脱型することを特徴と
    する、ポリウレタン成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】 水および/またはアルコールを含む気体
    の導入を、該気体を型に吹込むか、または該気体の雰囲
    気中に型を曝すことにより行う、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 水および/またはアルコールを含む液体
    の導入を、該液体を型内に圧入するか、または該液体中
    に型を浸漬することにより行う、請求項1記載の方法。
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US11318642B2 (en) * 2019-12-20 2022-05-03 Eaton Intelligent Power Limited Permeable wall encapsulation mold

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