JP3080700B2 - 有芯多層構造エマルション粒子の製造方法 - Google Patents

有芯多層構造エマルション粒子の製造方法

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JP3080700B2
JP3080700B2 JP03192881A JP19288191A JP3080700B2 JP 3080700 B2 JP3080700 B2 JP 3080700B2 JP 03192881 A JP03192881 A JP 03192881A JP 19288191 A JP19288191 A JP 19288191A JP 3080700 B2 JP3080700 B2 JP 3080700B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般の塗工紙、板紙、
軽量塗工紙、超軽量塗工紙、アート紙、キャストコート
紙などに用いられる紙塗工剤、木材、外壁、内壁などに
用いられる塗料、ファクシミリ用紙や感熱ラベルその他
の感熱記録紙などの感熱記録材料に用いられるコーティ
ング剤の添加剤として有用な、異屈折率層を形成した有
芯多層構造エマルション粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コーティング剤の添加剤として種
々の粒子状高分子重合体が検討されている。最も一般的
に使用されているものは、粒子径が0.2〜0.5μの
均一な密実型の乳化重合ポリスチレン粒子である。例え
ば、特願昭59−59741号公報によればアニオン性
界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤の存在
下に不飽和カルボン酸およびビニル単量体を共重合さ
せ、粒子の90%以上が0.20〜0.28μの範囲内
にある共重合体エマルションを得てこのエマルション粒
子を有機顔料として紙塗工、塗料または感熱記録材料な
どの用途に使用されている。しかしながらこの密実型エ
マルション粒子を有機顔料として用いる場合の共通の問
題点は、隠蔽性、白色度および光沢が不充分なため、多
量に用いなければ事実上の利点が認められないことにあ
る。
【0003】近年、上記密実型エマルション粒子の隠蔽
性、白色度、および光沢を向上させる目的から、乾燥後
の形態が均一、密実型に代り粒子内に小穴を有する有機
材料が提案されている。代表例として米国特許第4,4
27,836号および特願昭61−62510号があ
る。前者は、芯物質として不飽和カルボン酸を少なくと
も5%共重合させたポリマー分散液に、鞘ポリマーを形
成するモノエチレン的不飽和鞘単量体の少なくとも1種
類を添加し、乳化重合して得られるエマルション粒子中
の芯ポリマーを水性揮発性塩基により中和膨潤させるこ
とによって、乾燥した際に粒子中に微小空隙を形成する
水性分散液の製造方法に関するものである。また、後者
は重合時における異種重合体間の相分離および重合に伴
う体積収縮を利用した、粒子内部に小穴を有する合成樹
脂エマルション粒子を製造する方法である。
【0004】以上各種の方法により製造される中空孔を
有する粒子の特徴は、従来の密実型粒子に比べて隠蔽
性、白色度および光沢性には、それなりの効果が認めら
れるが、これを以下のような用途に用いた場合、次のよ
うな問題がある。 (1)中空孔を有する粒子を紙塗工用の有機顔料として
用いる場合:従来の密実型粒子に比較して、同一添加容
量では、隠蔽性、白色度および光沢性のいずれにおいて
も優れているが、紙塗工用の性能向上への要請が一段と
増大しているため、密実型粒子の使用重量とおなじ範囲
まで使用されるのが一般的になっている。これにより隠
蔽性、白色度、光沢性については、ある程度の効果が認
められているものの、反面塗工層の強度が低下し、印刷
適性などの点で問題を生じている。さらに塗工液を塗布
した後に光沢を上げる目的で行われるキャレンダー処理
において、温度および圧力のいずれかまたは両方を上げ
て塗工表面の平滑性を増大させることが一般に行われて
いる。しかしながら、従来の粒子内部に中空孔のみを有
する粒子では、その単一構造のために粒子が潰れやす
く、隠蔽性および白色度が著しく低下してしまう。また
上述の塗工層強度の不足、および粒子の熱ならびに圧力
による変形は、キャレンダーロールへのブロッキングや
汚れ付着といった問題も引き起こし実用上の大きな難点
となる。
【0005】上記欠点を改良するためには、粒子の粒子
径を変化させる、中空孔を有する粒子内の粒子内部の空
隙率を変化させる、などの手段をとりうる。前者の粒子
径については隠蔽性、白色度、光沢を最大限に発揮させ
るためには、粒子径が約0.22μであること(USP
4,427,836号),さらに粒子内部の空隙率を変
化させても、キャレンダー処理におけるブロッキングの
発生を防ぐことおよび塗工層の強度を向上させる目的な
どには効果がない。以上のように中空孔を有する粒子を
用いて、優れた紙塗工用の有機顔料を得ることは困難で
あった。 (2)塗料に用いる場合:従来の密実型粒子を用いる場
合に比べて、優れた隠蔽性や白色度を有するものの、実
際の塗工作業において隠蔽性や白色度の発現が遅いとい
う欠点が指摘されており、作業者は所望する白さが塗布
緒後には得られないため、誤って過度に重ね塗りをして
しまい、目的とする塗膜厚みよりも厚く塗布されたり、
場合によっては不均一になったりする。この現象も紙塗
工用の場合と同じく粒子径または粒子内の空隙率を変化
させても解決することはできない問題である。 (3)感熱記録材料に用いる場合:感熱記録材料は最近
情報機器の多様化が進み、用いられる感熱記録材料にも
高速記録化及び熱ヘッドならびに熱ペンの低エネルギー
化などに対応できるように発色感度、印字鮮明性、白色
度、ヘッドへのカス付着およびスティッキングなどの点
における改良が要求される。特願昭55−86789号
公報には、基材と感熱発色層の間に合成樹脂の微粒子を
含む中間層を形成し高密度でかつ鮮明な画像を得る方法
が開示されている。しかしながらこの方法では要求され
る高速記録性に耐えうる充分な感度を得るのは困難であ
る。特願昭59−143683号公報には、カスの付
着、スティッキングおよびひっかきによる圧力発色を防
止する目的で、スチレン系の架橋微粒子を感熱発色層中
に含有させる方法が開示されている。しかしながらこの
方法でも高濃度でかつ鮮明な画像を得ることは不可能で
あり、実用性はない。
【0006】熱ヘッドの熱を有効に感熱発色層に作用さ
せる目的から、基材と感熱発色層の間に熱可塑性の粒子
内部に単一の中空孔を有する粒子を含む断熱性の中間層
を導入し、高密度でかつ鮮明な画像を得る方法が開示さ
れている(たとえば特願昭62−117787号公報お
よび特願昭63−21180号公報など)。しかしなが
らこれらの方法で用いられる粒子では、中間層の乾燥速
度が遅くなるために、さらに引き続いて感熱発色層を塗
布する際の塗工作業性などに問題が生ずる。またこの方
法ではヘッドへのカス付着やスティッキングの問題は解
決されていない。さらに感熱記録材料自体の隠蔽性や白
色度についても不足しており、高級化の要求を満足せる
には至っていない。以上の問題も塗料に使用する場合と
同様、中空孔を有する粒子の径または空隙層を変化させ
ても解決することはできない問題である。これらの問題
点を解決する新規な構造を有する微粒子として、先に本
発明者らは有芯多層構造エマルション粒子を見出すに到
った(特願平2−23645)。しかしながら、塩基性
物質による処理を行うために、特にアンモニアを使用し
たときに製造されるエマルションの臭気が用途によって
は非常に問題となっていた。この問題は塩基性物質とし
て水酸化ナトリウムなどの無機物質を使用すれば解決で
きるが、製造時間が非常に長くなり、製造コストが高く
なるという問題が発生する。さらには塩基性物質による
処理によって水溶化した低分子量の樹脂が内部の膨潤層
から水相中に微量溶け出し、これがエマルションが泡立
ちやすいなどの問題も判明し、その製造方法には改善の
余地が残されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、紙塗
工剤、塗料、感熱記録材料に用いられるコーティング剤
の添加剤として有用な上述の有芯多層構造エマルション
粒子をより簡便に、さらには泡立ちなどの問題が生じな
い製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく鋭
意検討を重ねた結果、ある特定の重合条件下では、上記
有芯多層構造エマルション粒子が先願の塩基性物質によ
る処理を行わなくても、製造し得ることを見出し、本発
明のより簡便な製造方法を完成するに到った。即ち、本
発明は、芳香族ビニル単量体を50〜99重量%、分子
中に重合可能なビニル基を2つ以上有する架橋性ビニル
単量体を1〜10重量%、さらに、(メタ)アクリルア
ミド、N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド、N,N
−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリル
アミド、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマ
ール酸、イタコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノ
アルキルエステル、フマール酸モノアルキルエステル、
スチレンスルホン酸ナトリウム、2アクリルアミド2メ
チルプロパンスルホン酸ナトリウム、2ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)
アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ビ
ニルピロリドンの群の中から選択される1種以上の親水
性ビニル単量体を0.1〜9重量%含有するビニル単量
体(a)を乳化重合して作製した、屈折率が1.50以
上の重合体(A)を芯粒子とし、次に上記親水性ビニル
単量体を20〜80重量%含有するビニル単量体(b)
をビニル単量体(a)に対して重量で1〜10倍となる
ように添加、重合して重合体(B)をその外層部に形成
させ、さらに上記親水性ビニル単量体を1〜9重量%含
有するビニル単量体(c)をビニル単量体(b)に対し
て重量で2〜10倍となるように添加、重合して、その
ガラス転移点が50℃以上である重合体(C)をさらに
その外層部に形成させるか或いはさらにビニル単量体
(d)をビニル単量体(c)に対して重量で0.5〜7
倍となるように添加、重合して重合体(D)を最外層部
に形成させ、乾燥時の粒子構造が芯粒子と外層部より成
り、外層部と芯粒子の間に空隙層を有する構造であっ
て、該粒子直径をD、芯粒子直径をφ、空隙層直径をd
としたとき D=0.3〜5.0μ φ/D=0.1〜0.6(但しd>φ) d/D=0.2〜0.8 を満足する異屈折率層を形成した有芯多層構造エマルシ
ョン粒子を製造する方法である。
【0009】重合体(A)からなる芯粒子の調製に用い
られるビニル単量体(a)は、芳香族ビニル単量体を5
0〜99重量%、分子中に重合可能なビニル基を2つ以
上有する架橋性ビニル単量体を1〜10重量%、さら
に、(メタ)アクリルアミド、N−メチロ−ル(メタ)
アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N
−イソプロピルアクリルアミド、アクリル酸、メタクリ
ル酸、クロトン酸、フマール酸、イタコン酸、無水マレ
イン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマール酸
モノアルキルエステル、スチレンスルホン酸ナトリウ
ム、2アクリルアミド2メチルプロパンスルホン酸ナト
リウム、2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポ
リエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロ
ピレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロール
(メタ)アクリレート、ビニルピロリドンの群の中から
選択される1種以上の親水性ビニル単量体を0.1〜9
重量%、およびその他のビニル単量体の組合わせからな
る。
【0010】上記芳香族ビニル単量体としては、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどが挙げら
れ、ビニル単量体(a)中に好ましくは60〜97重量
%、より 好ましくは70〜95重量%含有される。さ
らに上記の架橋性ビニル単量体としては、ジビニルベン
ゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リメチロールプロパントリメタクリレートなどが挙げら
れ、ビニル単量体(a)中に好ましくは2〜8重量%、
より好ましくは3〜6重量%含有される。
【0011】ここで、重合体(A)からなる芯粒子は、
光学的には空隙(または低密度)部分を通過して進入し
てきた光を散乱、反射して粒子の隠蔽性、白色度、およ
び光沢を増大させる散乱部位として重要な役割を果た
す。この目的から、重合体(A)の屈折率は1.50以
上が必要であり、好ましく1.55以上である。また、
形状としては球状が好ましい。ここで、その屈折率が
1.50未満では本製造方法によって得られる有芯多層
構造エマルション粒子による光の散乱、反射が弱く、目
的とする隠蔽性や白色度および光沢が得られない。
【0012】さらに、重合体(A)のガラス転移点につ
いては特に限定はされないが、特に紙塗工用樹脂組成物
中に含有される場合には、そのガラス転移点は50℃以
上が好ましく、80℃以上がより好ましい。重合体
(A)のガラス転移点が低いと、耐熱性が低くなり、例
えば紙塗工におけるカレンダー処理で粒子が熱および圧
力変形する際に、芯粒子も変形し易くなるために、粒子
全体の変形を内部から芯粒子により抑制することが困難
となり、隠蔽性や白色度が低下してしまう。以上のよう
な点から、ビニル単量体(a)中に上記架橋性単量体を
使用することにより、芯粒子自体の耐熱性が向上する。
【0013】さらに、架橋性単量体を使用することによ
り、芯部を形成する重合体(A)の分子量が増大し、引
き続き形成させる重合体(B)鎖の内部への拡散を抑制
し、該重合体をその外層部に形成させるのにも有利とな
る。また、後述の炭素数が6〜12の脂肪族炭化水素化
合物を非重合性溶媒として添加する場合においては、芯
粒子部には吸収されなくなり、目的とする重合体(B)
中に吸収されやすくなる。しかしながら、10重量%を
越えて使用することは、重合安定性を損ない、凝集物が
発生する。尚、1重量%未満では、その添加効果が認め
られない。同様にビニル単量体(a)中に上記芳香族ビ
ニル単量体を含有させることにより、重合体(A)のガ
ラス転移点が高くなるのと同時に、その屈折率も高くな
る。ここで、芳香族ビニル単量体の使用量が50重量%
未満では、上述の屈折率、耐熱性を同時に満足すること
が困難となる。尚、99重量%を越えて使用すること
は、架橋性ビニル単量体の添加量が1重量%未満とな
り、上記の理由により架橋性ビニル単量体の添加効果が
認められなくなる。上記の親水性ビニル単量体は粒子に
安定性を付与する目的で使用されるが、9重量%を越え
て使用すると、芯粒子の輪郭が不明確となり、目的とす
る有芯多層構造エマルション粒子が得られない。また、
0.1重量%未満では、粒子の安定性が不足し、円滑に
重合が行えなくなる。
【0014】尚、上記の他のビニル単量体としては、メ
タクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸
ブチルなどのメタクリル酸エステル類、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2エチルヘキシルな
どのアクリル酸エステル類、酢酸ビニルなどのビニルエ
ステル系単量体、(メタ)アクリロニトリルなどのビニ
ルシアン系単量体、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの
ハロゲン化ビニル単量体およびブタジエンなどのジエン
系単量体などが挙げられるが、その組合わせについては
特に限定されるものではない。
【0015】上記重合体(A)からなる芯粒子の外層部
に重合体(B)を形成させるビニル単量体(b)は、
(メタ)アクリルアミド、N−メチロ−ル(メタ)アク
リルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イ
ソプロピルアクリルアミド、アクリル酸、メタクリル
酸、クロトン酸、フマール酸、イタコン酸、無水マレイ
ン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマール酸モ
ノアルキルエステル、スチレンスルホン酸ナトリウム、
2アクリルアミド2メチルプロパンスルホン酸ナトリウ
ム、2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエ
チレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレ
ングリコール(メタ)アクリレート、グリセロール(メ
タ)アクリレート、ビニルピロリドンの群の中から選択
される1種以上の親水性ビニル単量体20〜80重量
%、その他のビニル単量体80〜20重量%の組合わせ
からなる。ここで上記親水性ビニル単量体の含有量は2
5〜70重量%が好ましく、30〜60重量%がより好
ましい。
【0016】この親水性ビニル単量体を多量に含有させ
ることにより、形成される重合体(B)の親水性を高め
ることが、本願製造方法の重要な点であるが、該ビニル
単量体を90重量%を越えて使用すると、重合体(C)
をその外層部に形成させることが非常に困難となり、得
られる粒子が多層構造体とならず、密実型の粒子になっ
てしまう。また、20重量%未満の使用では、その添加
効果が低く、やはり目的とする粒子が得られない。尚、
重合体(B)の親水性と、その後の重合体(C)の外層
部への形成のし易さから、上記親水性ビニル単量体は、
メタクリルアミド、メタクリル酸、2ヒドロキシエチル
メタクリレートを1種または2種以上を組合わせて使用
するとが好ましい。
【0017】上記の親水性ビニル単量体と組合わせる他
のビニル単量体としては、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸
エステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、ア
クリル酸2エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル
類、酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族
ビニル単量体、(メタ)アクリロニトリルなどのビニル
シアン系単量体、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハ
ロゲン化ビニル単量体およびブタジエンなどのジエン系
単量体、およびジビニルベンゼン、エチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
メタクリレートなどの架橋性ビニル単量体の中から1種
または2種以上を組合わせたものが使用される。ここ
で、上記他のビニル単量体の組合せは特に限定されない
が、重合体(B)の親水性の点から、芳香族ビニル単量
体およびアルキル基の炭素数が4以上の(メタ)アクリ
ル酸エステルは5重量%以下の使用が好ましく、メタク
リル酸メチルの使用が好ましい。
【0018】ここで、上記の架橋性単量体は、ビニル単
量体(a)中に通常0〜1重量%含有されるが、好まし
くは0〜0.5重量%である。この架橋性単量体を使用
することにより、重合体(B)の分子量が増大し、引き
続き形成させる重合体(C)鎖の内部への拡散を抑制
し、該重合体をその外層部に形成させるのに有利とな
る。しかしながら、1重量%を越えて使用すると、重合
中に凝集物が発生しやすくなり、さらには後述の炭素数
が6〜12の脂肪族炭化水素を非重合性溶媒として添加
する場合においては、重合時の加熱により該脂肪族炭化
水素が外層部に押し出されてしまい、その非重合性溶媒
の添加効果が認められなくなる。上記のようにして選択
されたビニル単量体(b)は、先のビニル単量体(a)
に対して重量で1〜10倍となるように添加、重合され
るが、このましくは、1〜5倍である。1倍未満では、
量的に少なすぎるため、密実型の粒子が生成してしま
う。また、10倍以上添加すると、凝集物が発生し、重
合が安定に進行しなくなる。
【0019】上記の重合体(A)からなる芯粒子の外層
部に重合体(B)を形成させた後、さらにビニル単量体
(c)を添加、重合させることにより、該粒子のさらに
外層部に重合体(C)を形成させる。ここで、使用され
るビニル単量体(c)は、(メタ)アクリルアミド、N
−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチ
ルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマール酸、
イタコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキル
エステル、フマール酸モノアルキルエステル、スチレン
スルホン酸ナトリウム、2アクリルアミド2メチルプロ
パンスルホン酸ナトリウム、2ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)ア
クリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリ
レート、グリセロール(メタ)アクリレート、ビニルピ
ロリドンの群の中から選択される1種以上の親水性ビニ
ル単量体1〜9重量%、その他のビニル単量体99〜9
1重量%の組合わせからなる。
【0020】ここで、上記の親水性ビニル単量体を9重
量%を越えて使用すると、得られる粒子の耐水性が低下
し、さらには明確な芯粒子および空隙層の発現が妨げら
れてしまい、目的とする有芯多層構造エマルション粒子
が得られない。また、1重量%未満では、粒子の安定性
が不足するとともに、重合体(C)を重合体(B)の外
層部に形成させるのが困難となり、やはり目的とする粒
子が得られない。尚、重合体(C)を親水性の高い重合
体(B)の外層部に形成させるために、上記親水性ビニ
ル単量体を2〜7重量%使用することが好ましく、特に
メタクリル酸を使用することが好ましい。
【0021】上記の親水性ビニル単量体と組合わる他の
ビニル単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸エ
ステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アク
リル酸2エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル類、
酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体、スチレン、
α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニ
ル化合物、(メタ)アクリロニトリルなどのビニルシア
ン系単量体、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲ
ン化ビニル化合物およびブタジエンなどのジエン化合
物、およびジビニルベンゼン、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメ
タクリレートなどの架橋性単量体の中から1種または2
種以上を組合わせたものが使用される。
【0022】ここで、形成される重合体(C)のガラス
転移点は50℃以上であり、好ましくは70℃以上であ
る。50℃未満では、粒子間での融着や粒子自体の変形
が起こりやすくなり、目的とする隠蔽性、白色度、光沢
などの性能が低下してしまい、さらに低くなると、目的
とする粒子自体が得られなくなる。また、重合体(C)
の屈折率は、引き続いてさらにその外層部に重合体
(D)を形成させる場合とさせない場合で好ましい条件
がことなる。即ち、前者の場合には、光の散乱強度を各
層間で増すために、重合体(A)および重合体(D)の
屈折率よりも低いことが好ましい。一方、後者の場合に
は、内部の空隙層との屈折率の差を大きくすることが好
ましく、1.50以上が好ましい。
【0023】上記のようにして選択されたビニル単量体
(c)は、先のビニル単量体(b)に対して重量で2〜
10倍となるように添加、重合されるが、好ましくは、
3〜9倍である。2倍未満では生成する重合体(C)が
重合体(B)の外層部を完全には被覆出来ないために、
目的とする粒子が得られない。また、10倍を越えて添
加すると、重合体(C)からなる外層部が厚く成り過ぎ
るために目的とする性能が低下してしまう。上記の有芯
多層構造エマルション粒子の調製は、通常の乳化重合法
により行われる。この乳化重合を行う場合は通常、界面
活性剤を添加するが、本発明に用いられる界面活性剤と
しては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アル
キル硫酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリ
ウム、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物などのア
ニオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエー
テル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテ
ル、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロッ
ク共重合体、ソルビタン脂肪酸エステルなどのノニオン
系界面活性剤が、単独にまたは組み合せて使用される
が、エマルション粒子を感熱記録材料に用いる場合に
は、界面活性剤としては、発色層における発色を阻害す
ることなく、また発色部の褪色を防ぐために、アニオン
系界面活性剤の使用が好ましい。
【0024】界面活性剤の使用量は特に限定されない
が、通常、各層間の単量体使用量に対して、0.1〜1
0重量%程度である。重合開始剤としては、通常の乳化
重合に使用されているものであれば良く、例えば、過硫
酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、
などの過硫酸塩類;ベンゾイルハイドロパーオキサイド
などの有機過酸化物類;アゾビスイソブチロニトロリル
などのアゾ化合物類などである。必要に応じて還元剤と
組み合せて、レドックス系開始剤として使用することも
できる。
【0025】重合体(A)から成る芯粒子エマルション
を調製するために、上記の界面活性剤および重合開始
剤、さらに緩衝剤の存在下に、各種の単量体を一括、分
割、或いは、連続的に滴下して重合が行われる。その
際、重合は窒素パージ下に重合温度20〜90℃で行わ
れる。このようにして生成された重合体(A)から成る
芯粒子エマルションを種粒子として、引き続いてビニル
単量体(b)およびビニル単量体(c)を一括、分割、
或いは連続的に添加する方法で重合が行われる。また、
別工程として重合体(A)から成る芯粒子エマルション
を前もって製造し、この芯粒子エマルションを種粒子と
して、新たに重合槽内に仕込み、ビニル単量体(b)お
よびビニル単量体(c)を上記の様に添加して重合を行
なってもよい。その際、ビニル単量体(b)がほぼ重合
した後、ビニル単量体(c)を添加して重合させること
が好ましい。或はさらに、ビニル単量体(b)を添加し
て重合を完結させ、新たに重合槽内に仕込み、ビニル単
量体(c)を添加して重合を行なってもよい。このよう
な、重合体(A)、重合体(B)および重合体(C)の
調製は、引き続いて1段の工程で行なってもよく、それ
ぞれに別工程、或いは組み合せた工程で行なってもよ
く、特に限定はされない。上記のようにして、乾燥させ
た時に、粒子内部に芯粒子を有し、さらにその芯粒子外
層部に空隙層を有するエマルション粒子が得られ、その
構造は粒子自体、さらには粒子の断面を電子顕微鏡で観
察することにより、容易に確認できる。
【0026】本発明の製造方法において、各重合体、特
に重合体(B)がある特定の組成の時のみに芯粒子の外
層部に空隙層が生成する。この理由については不明確で
あるが、エマルション状態では乾燥時に空隙層になる部
分が含水層になっていると考えられ、このことより重合
体(B)の親水性が高く、重合時に該重合体からなる層
が含水状態になっていることに起因しているとも考えら
れる。以上のようにして、目的とする粒子が得られる
が、粒子内部における空隙層の直径d、およびその体積
分率(空隙率)を増大させ、さらには空隙層の密度をよ
り低下させる目的で、ビニル単量体(b)および/また
はビニル単量体(c)の重合時、或いは、重合体(B)
の形成後、ビニル単量体(c)の添加、重合前に炭素数
が6〜12の脂肪族炭化水素化合物、好ましくはシクロ
ヘキサン、オクタン、イソオクタン、ヘプタンの中から
選択された1種以上の脂肪族炭化水素化合物をビニル単
量体(b)に対して重量で0.1〜1倍量を添加するこ
とが好ましい。
【0027】ここで、添加した脂肪族炭化水素化合物は
重合体(B)からなる層に存在すると考えられ、乾燥時
には、その体積分だけさらに空隙層の直径dおよびその
体積が増加し、或いはより低密度化すると考えられる。
ここで、添加した脂肪族炭化水素化合物は、使用目的に
よって、有機溶剤の混入を問題としない場合には、その
まま使用し、乾燥時に水と一緒に蒸発させても良いが、
重合終了後に、水蒸気蒸留などによって、容易に取り除
くこともできる。ここで、脂肪族炭化水素の炭素数が6
未満、および12を越えたものは取扱いが困難である。
【0028】以上のようにして目的とする有芯多層構造
エマルション粒子を得た後に、さらにビニル単量体
(d)を加え乳化重合することにより、該粒子のさらに
外層部に異屈折率層となる重合体(D)を形成させるこ
ともできる。ここで使用されるビニル単量体(d)とし
ては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン
などの芳香族ビニル単量体、アクリル酸メチル、アクリ
ル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステ
ル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸ブチルなどのメタクリル酸エステル類、(メ
タ)アクリロニトリルなどのビニルシアン系単量体、酢
酸ビニルなどのビニルエステル系単量体、塩化ビニル、
塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル単量体、ブタジ
エンなどのジエン系単量体、およびジビニルベンゼン、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチ
ロールプロパントリメタクリレートなどの架橋性単量体
が1種または2種以上組合わせて用いられる。さらに、
ビニル単量体(d)中には、エマルション粒子に安定性
を付与する目的から、上述の親水性ビニル単量体を通常
0.1〜10重量%含有させることができる。尚、10
重量%を越えて使用することは、エマルション粒子の耐
水性の点から好ましくない。ここで、上記ジビニルベン
ゼンなどの架橋性単量体は耐熱性、耐溶剤性などを向上
させる目的から、通常0〜20重量%含有されるが、2
0重量%を越えて使用すると、凝集物が大量に発生し、
重合が安定に進行しなくなる。尚、上記のブタジエンな
どのジエン系単量体は、粒子表面に接着性を付与し、特
に紙塗工用樹脂組成物に使用する場合に塗工層強度を増
大させたり、粒子表面にゴム弾性を付与する目的から使
用される。
【0029】以上のようにして選択されたビニル単量体
(d)から得られる重合体(D)の屈折率は1.50以
上、好ましくは1.55以上であり、その屈折率が1.
50未満では光の散乱および反射能が低く、目的とする
性能が得られない。ここで、重合体(D)のガラス転移
点は特に限定されるものではなく、屈折率が1.50以
上であれば、上記に挙げたビニル単量体の組合せも特に
限定されるものではない。尚、単量体(d)がビニル単
量体(c)に対して重量で0.5〜7倍となるように添
加され、前述の乳化重合法により重合が行われる。ここ
で、7倍を越えて使用されると、重合体(D)からなる
最外層部が厚くなりすぎるために目的とする性能が発現
できなくなる。一方、0.5倍未満では、その重合体
(D)の存在意義が、低下してしまう。
【0030】本発明において得られる有芯多層構造エマ
ルション粒子の粒子直径Dの範囲は0.3〜5.0μで
あるが、好ましくは0.4〜4.0μである。さらに用
途により、顔料として塗料や紙塗工に使用する場合には
0.5〜2.0μ、感熱記録材料に使用する場合には
0.5〜3.0μの範囲がより好ましい。粒子の外径が
0.3μでは目的とする有芯多層構造エマルション粒子
は得られず、密実型の粒子が生成してしまう。また、外
径が5.0μを越える粒子については安定に調製するこ
とができない。芯粒子の直径φおよび空隙層の直径dと
粒子直径Dとの比は、それぞれ、 φ/D=0.1〜0.6(但しd>φ) d/D=0.2〜0.8 であるが、好ましくは、それぞれ、 φ/D=0.2〜0.4(但しd>φ) d/D=0.4〜0.8 である。
【0031】d/Dが0.2未満では空隙層の径が小さ
すぎるために、目的とする隠蔽性、白色度、光沢および
発色感度が得られない。また、d/Dが0.8を越える
と外層部が非常に薄くなるために安定に空隙層を持った
有芯多層構造エマルション粒子を得ることが困難であ
る。
【0032】また、φ/Dが0.1未満では芯粒子が小
さすぎるために、芯粒子部分による光の散乱強度が低下
し、目的とする隠蔽性、白色性、および光沢が得られな
い。一方、φ/Dが0.6を越えると芯粒子の占有体積
が大きくなりすぎるために、密実型の粒子と比較して、
隠蔽性、白色性、光沢および発色感度の点で優位性が認
められなくなる。ここでさらに芯粒子の直径φ、中空孔
の直径dを上記の粒子直径Dとの比から直接その大きさ
で表わすと、以下のようになる。すなわちφは0.01
〜3.0μであり、好ましくは0.02〜2.0μの範
囲にある。ここで、特に顔料として塗装や紙塗工に使用
する場合には、光の散乱効果から、0.1〜1.0μの
範囲にあることが好ましく、さらには0.1〜0.5μ
の範囲にあるみとがより好ましい。
【0033】一方、dは0.02〜4.0μであり、好
ましくは0.06〜3.2μの範囲にある。ここで顔料
として塗料や紙塗工に使用する場合には、やはり上記の
φ同様に光の散乱から0.2〜2.0μの範囲にあるこ
とが好ましく、さらには0.3〜1.2μの範囲にある
ことがより好ましい。また、感熱記録材料に使用する場
合には、0.3〜2.5μの範囲にあることが好まし
く、さらには0.5〜2.0μの範囲にあることが発色
感度、白色度、およびヘッドカスの付着防止の点からよ
り好ましい。
【0034】なお、本発明の粒子は粒子内部に単一孔の
中空孔を有するエマルション粒子より、更に優れた隠蔽
性、白色性、および光沢を有するが、これは単一孔の中
空粒子における光の散乱、反射が粒子の外表面および中
空孔内表面で起こるのに対して、本発明の粒子は、更に
中空層内内側の芯粒子表面でさらに散乱、反射を受ける
ためであると思われる。
【0035】芯粒子と外層部粒子との間に介在する空隙
層は、芯粒子の位置と外部層粒子の位置より相対的に決
る。例えば図−1に示す例は芯粒子が外層部粒子の中央
部に位置する場合であるが、芯粒子が中央部からずれて
いてもかまわない。ここで空隙層中には重合体(B)が
非常に低密度で存在していると考えられる。芯粒子を構
成している重合体(A)には重合体(B)が重合中に一
部グラフト化していると推論されることから、芯粒子が
外層粒子の内壁に完全に接することはなく、ある程度空
隙層の内側に固定された状態で存在していると思われ
る。また、粒子は実際の使用においては加熱処理等によ
りその形状が球から変形する可能性もあるがその場合も
上記同様に図−1に何ら限定されるものではない。
【0036】
【実施例】以下に本発明の具体的な実施例について説明
するが、本発明はこれらのみに限定されるものではな
い。尚、以下の部および%については全て重量部および
重量%を示す。 (芯粒子の調製) 芯粒子エマルション−1 攪拌機、温度計、還流コンデンサー付のセパラブルフラ
スコに水365部を仕込み、攪拌下に窒素置換しながら
70℃迄昇温する。内温を70℃に保ち、重合開始剤と
して過硫酸カリウム0.4部を添加し、溶解後、予め水
40部、ラウリル硫酸ナトリウム0.05部にスチレン
92部、メタクリル酸2部、アクリルアミド1部、ジビ
ニルベンゼン5部を攪拌下に加えて予め調製しておいた
乳化物の全量の5%をセパラブルフラスコ内に仕込み、
1時間重合した後、残りの乳化物を約2時間かけて添
加、反応させ、添加終了後約2時間の熟成を行い、芯粒
子エマルションを調製した。この芯粒子エマルションの
不揮発分は20%、粒子径φは0.19μであった(芯
粒子No.1)。同様な方法でビニル単量体(a)の組
成を変化させて調製した結果を表−1に示す。
【0037】
【表1】 ここで、重合体の屈折率nおよびガラス転移点Tgは、
成書(POLYMERHANDBOOK 2nd Ed., ed. by J. BRANDRUP
and E. H. IMMERGUT, JOHN WILLEY &SONS, 1975) に記
載されている各単独重合体の屈折率niおよびガラス転
移点Tgiと重合の際に添加した各単独重合体の重量分
率xiから下式に従って算出した。
【0038】n =Σxi・ni (1/Tg)=Σ(xi/Tgi)
【0039】(有芯多層構造エマルション粒子の調製
〔1〕) 実施例1 芯粒子調製の際と同様なセパラブルフラスコに上記の芯
粒子エマルション1を250部、水1020部を仕込
み、攪拌下に窒素置換しながら80℃迄昇温する。内温
を80℃に保ち、重合開始剤として過硫酸アンモニウム
2部を添加し、溶解後、予め水50部、ラウリル硫酸ナ
トリウム0.4部にメタクリル酸メチル57部、アクリ
ル酸ブチル3部、メタクリル酸40部を攪拌下に加えて
調製した乳化物を連続的に3時間かけて添加して反応さ
せ、添加終了後2時間の熟成を行う。続いて予め水25
0部、ラウリル硫酸ナトリウム1.0部にメタクリル酸
メチル400部、スチレン75部、メタクリル酸20
部、メタクリル酸2ヒドロキシエチル5部を攪拌下に加
えて調製した乳化物を連続的に4時間かけて添加して反
応させ、添加終了後2時間の熟成を行う。得られたエマ
ルションは、不揮発分30%、粒子直径Dが0.54
μ、粒子内の芯粒子直径φが、0.21μ、空隙層の直
径dが0.37ミクロンであった。尚、重合体(C)の
計算上のガラス転移点および屈折率は、各々、108
℃、1.51である。
【0040】実施例2〜3 実施例1と同様に芯粒子エマルション1を使用し、ビニ
ル単量体(b)の組成および添加量を変化させて調製し
た結果を実施例2〜3として表−2に示す。尚、最終的
な不揮発分を30%程度に統一するために、添加量の変
化に伴い、最初にフラスコ内に仕込む水の量を調整して
重合を行った。 実施例4 実施例1において芯粒子エマルションをNo.2に変更
して調製した結果を実施例4として表−2に示す。
【0041】比較例1〜4 実施例1においてビニル単量体(b)の組成をメタクリ
ル酸メチル92部、アクリル酸ブチル3部、メタクリル
酸5部として調製した結果を比較例1、実施例4におい
てビニル単量体(b)の組成をメタクリル酸メチル7
部、アクリル酸ブチル3部、メタクリル酸90部として
調製した結果を比較例2、実施例1においてビニル単量
体(b)の添加量を減らし、単量体(a)と単量体
(b)の重量比を1/0.3にして調製した結果を比較
例3、さらに、実施例2においてビニル単量体(b)の
添加量を増やし、単量体(a)と単量体(b)の重量比
を1/15にして調製した結果を比較例4として、それ
ぞれ表−2に示す。
【0042】比較例5 実施例1において芯粒子エマルションをNo.3に変更
して調製した結果を比較例5として、表−2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】実施例5〜7 実施例1および3においてビニル単量体(c)の組成お
よび添加量を変化させて調製した結果を実施例5、6お
よび7として表−3に示す。 比較例6〜7 実施例1においてビニル単量体(c)の添加量を減ら
し、単量体(b)と単量体(c)の重量比を1/0.8
にして調製した結果を比較例6、さらに、実施例1にお
いてビニル単量体(c)の組成を変更し、重合体(C)
のガラス転移点を低下させた結果を比較例7として、そ
れぞれ表−3に示す。
【0045】
【表3】
【0046】実施例8 実施例1の際と同様なセパラブルフラスコに上記の芯粒
子エマルション1を250部、水990部を仕込み、攪
拌下に窒素置換しながら75℃迄昇温する。内温を80
℃に保ち、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.3
部を添加し、溶解後、予め水60部、ラウリル硫酸ナト
リウム0.5部にメタクリル酸メチル57部、アクリル
酸ブチル3部、メタクリル酸40部およびヘプタン30
部を攪拌下に加えて調製した乳化物を連続的に4時間か
けて添加して反応させ、添加終了後2時間の熟成を行
う。続いて予め水250部、ラウリル硫酸ナトリウム
1.0部にメタクリル酸メチル400部、スチレン75
部、メタクリル酸20部、メタクリル酸2ヒドロキシエ
チル5部を攪拌下に加えて調製した乳化物を連続的に4
時間かけて添加して反応させ、添加終了後2時間の熟成
を行う。得られたエマルションは、不揮発分30%、粒
子直径Dが0.60μ、粒子内の芯粒子直径φが、0.
19μ、空隙層の直径dが0.51ミクロンであった。
尚、重合体(C)の計算上のガラス転移点および屈折率
は、実施例1と同じである。
【0047】実施例9〜11 実施例8において添加する脂肪族炭化水素の種類および
量を変化させて調製した結果を実施例9および10、実
施例1において、重合体(B)の重合後、ヘプタン40
部(単量体(b)の添加量;100部)をフラスコ内に
添加し、2時間攪拌した後に単量体(c)を添加して同
一の方法で調製した結果を実施例11として表−4に示
す。
【0048】
【表4】
【0049】(有芯多層構造エマルション粒子の調製
〔2〕) 実施例12 実施例1の際と同様なセパラブルフラスコに実施例1で
調製したエマルション500部、水175部を仕込み、
攪拌下に窒素置換しながら75℃迄昇温する。内温を8
0℃に保ち、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.
5部を添加し、溶解後、予め水150部、ラウリル硫酸
ナトリウム1.2部にスチレン291部、メタクリル酸
2ヒドロキシエチル9部を攪拌下に加えて調製した乳化
物を連続的に3時間かけて添加して反応させ、添加終了
後2時間の熟成を行う。得られたエマルションは、不揮
発分40%、粒子直径Dが0.86μ、粒子内の芯粒子
直径φが、0.19μ、空隙層の直径dが0.54ミク
ロンであった。
【0050】実施例13〜16 実施例12において、添加する単量体(d)の量、組成
および初期に仕込むエマルションの種類を変更して調製
した結果を実施例13〜16として表−5に示す。
【0051】
【表5】
【0052】
【発明の効果】その新規な形態により塗料組成物、紙塗
工組成物および感熱記録材料の添加剤として非常に優れ
た性能を発揮する乾燥時に粒子内部に芯粒子を有し、さ
らにその芯粒子の外層部に空隙層を有する有芯多層構造
エマルション粒子は、本発明によって簡便に作製するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有芯多層構造エマルション粒子の内部
構造を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
D: 粒子直径 d: 内部空隙層の直径 φ: 芯粒子の直径
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 35/00 C08L 35/00 35/02 35/02 51/00 51/00 C09D 7/12 C09D 7/12 D21H 19/20 D21H 19/20 Z (56)参考文献 特開 平4−211411(JP,A) 特開 平3−52909(JP,A) 特開 昭63−95250(JP,A) 特開 昭63−61011(JP,A) 特開 昭61−61510(JP,A) 特開 昭56−32513(JP,A) 特開 昭64−48805(JP,A) 特開 平3−140306(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 285/00 C08L 25/10 C08L 33/02 C08L 33/08 C08L 33/26 C08L 35/00 C08L 35/02 C08L 51/00 C09D 7/12 D21H 19/20

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ビニル単量体を50〜99重量
    %、分子中に重合可能なビニル基を2つ以上有する架橋
    性ビニル単量体を1〜10重量%、さらに、(メタ)ア
    クリルアミド、N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミ
    ド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピ
    ルアクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、クロト
    ン酸、フマール酸、イタコン酸、無水マレイン酸、マレ
    イン酸モノアルキルエステル、フマール酸モノアルキル
    エステル、スチレンスルホン酸ナトリウム、2アクリル
    アミド2メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、2ヒド
    ロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリ
    コール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコー
    ル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリ
    レート、ビニルピロリドンの群の中から選択される1種
    以上の親水性ビニル単量体を0.1〜9重量%含有する
    ビニル単量体(a)を乳化重合して得た屈折率が1.5
    0以上の重合体(A)を芯粒子とし、次に上記親水性ビ
    ニル単量体を20〜80重量%含有するビニル単量体
    (b)をビニル単量体(a)に対して重量で1〜10倍
    となるように添加、重合して重合体(B)をその外層部
    に形成させ、さらに上記親水性ビニル単量体を1〜9重
    量%含有するビニル単量体(c)をビニル単量体(b)
    に対して重量で2〜10倍となるように添加、重合し
    て、そのガラス転移点が50℃以上である重合体(C)
    をさらにその外層部に形成させるか或いはさらにビニル
    単量体(d)をビニル単量体(c)に対して重量で0.
    5〜7倍となるように添加、重合して、屈折率が1.5
    0以上の重合体(D)を最外層部に形成させ、乾燥時の
    粒子構造が芯粒子と外層部より成り、外層部と芯粒子の
    間に空隙層を有する構造であって、該粒子直径をD、芯
    粒子直径をφ、空隙層直径をdとしたとき D=0.3〜5.0μ φ/D=0.1〜0.6(但しd>φ) d/D=0.2〜0.8 を満足する異屈折率層を形成した有芯多層構造エマルシ
    ョン粒子を製造する方法。
  2. 【請求項2】 ビニル単量体(b)および/またはビニ
    ル単量体(c)の重合時、或いは重合体(B)の形成
    後、ビニル単量体(c)の添加、重合前に炭素数が6〜
    12の脂肪族炭化水素化合物を添加する請求項1記載の
    有芯多層構造エマルション粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】 脂肪族炭化水素化合物がシクロヘキサ
    ン、オクタン、イソオクタン、ヘプタンであり、単量体
    (b)に対して重量で0.1〜1倍量を添加する請求項
    2記載の有芯多層構造エマルション粒子の製造方法。
  4. 【請求項4】 重合体(A)の屈折率が1.55以上で
    ある請求項2記載の有芯多層構造エマルション粒子の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 重合体(A)のガラス転移点が50℃以
    上である請求項1記載の有芯多層構造エマルション粒子
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 重合体(A)からなる芯粒子の粒子径が
    0.1〜1.0μである請求項1記載の有芯多層構造エ
    マルション粒子の製造方法。
  7. 【請求項7】 ビニル単量体(a)中に含有される芳香
    族ビニル単量体がスチレンである請求項1記載の有芯多
    層構造エマルション粒子の製造方法。
  8. 【請求項8】 ビニル単量体(a)中に含有される架橋
    性単量体がジビニルベンゼンである請求項1記載の有芯
    多層構造エマルション粒子の製造方法。
  9. 【請求項9】 ビニル単量体(b)中に芳香族ビニル化
    合物、アルキル基の炭素数が4以上の(メタ)アクリル
    酸エステルを0〜5重量%含有する請求項1記載の有芯
    多層構造エマルション粒子の製造方法。
  10. 【請求項10】ビニル単量体(b)中に含まれる親水性
    ビニル単量体が、メタクリルアミド、メタクリル酸、2
    ヒドロキシエチルメタクリレートの中から選択される1
    種または2種以上を組み合わせたものである請求項1記
    載の有芯多層構造エマルション粒子の製造方法。
  11. 【請求項11】重合体(C)が最外層部となる場合に、
    その屈折率が1.50以上である請求項1記載の有芯多
    層構造エマルション粒子の製造方法。
  12. 【請求項12】重合体(D)が最外層部となる場合に、
    重合体(C)の屈折率が重合体(A)および重合体
    (D)のそれぞれの屈折率よりも低いものである請求項
    1記載の有芯多層構造エマルション粒子の製造方法。
  13. 【請求項13】ビニル単量体(c)中にメタクリル酸メ
    チルを含有する請求項12記載の有芯多層構造エマルシ
    ョン粒子の製造方法。
  14. 【請求項14】重合体(D)を構成するビニル単量体
    (d)中に芳香族ビニル単量体を含有する請求項1記載
    の有芯多層構造エマルション粒子の製造方法。
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