JP3078969B2 - 連続鋳造設備における鍋砂排出方法および鍋砂排出装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、連続鋳造設備において
レードル（溶鋼取鍋）からタンディッシュへの注湯に先
立ってレードル底部のノズル孔の詰砂（以下鍋砂と称す
る）を排出する方法および鍋砂排出装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】通常、溶鋼をレードルからタンディッシ
ュへ注湯する場合には、レードル底部に設けたスライデ
ィングノズルと称する注湯ノズルを開閉して注湯を行う
が、このスライディングノズルと接続するレードル底部
の開口孔（ノズル孔）には該孔内で溶鋼が凝固するのを
防止するために鍋砂が詰められ、注湯に際して該鍋砂を
下方へ除去（排出）してノズル孔を開くようにしてい
る。従来、前記ノズルからの鍋砂の排出は、レードルを
レードルターレット等のレードル移動装置に搭載した場
所またはレードルの所定移動位置に受ポットを配置して
おき、これらの場所で鍋砂を止めているスライドプレー
トをスライドさせて（スライディングノズル開）鍋砂を
下方の受ポットへ落下させている。

【０００３】この鍋砂の排出作業は、前記スライドプレ
ートをスライドさせただけでいつも１００％排出達成と
なるとは限らず、時にはノズル孔が開かない場合があ
る。この時はオペレータがレードルの移動位置まで出向
いてノズル孔の開口作業を行ったり、あるいはタンディ
ッシュの真上までレードルを移動させてこの場所でノズ
ル孔の開孔作業を行っている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述のようにレードル
のノズル孔の鍋砂排出は、通常、所定位置に配置した受
ポット上でオペレータにより行っているが、開口したノ
ズル孔をスライドプレート等で一旦閉じてレードルを移
動し、再度開口させる場合、この間の時間が長くなる
と、ノズル孔が溶鋼の凝固等で閉塞するため、溶鋼を少
量たれ流ししながらタンディッシュの真上位置までレー
ドルを移動させている。この場合、ノズル孔の移動軌跡
上には溶鋼がまき散らされるため、オペレータにとって
きわめて危険な状態になる。特に、レードルターレット
を用いるタイプでは、鋳込位置まで旋回してきたレード
ルを周囲の状況によって一時退避させる必要が生じた場
合、受ポット上にある他方のレードルも同時に移動する
ため鍋砂の排出ができず、再び受ポット上へ旋回してく
るのを待って排出作業をするか、あるいは既に受ポット
上で排出作業が終っている場合は、鍋砂の排出後鋳込位
置にくるまでの時間が長くなる。このようにレードルの
鍋砂排出は、従来、危険度の高い作業で熟練を要するほ
かに、上述のような諸々の問題があった。

【０００５】そこで本発明は、レードルの鍋砂排出作業
の危険性を軽減し、オペレータの遠隔操作によっても有
効に鍋砂の排出を可能とした連続鋳造設備における鍋砂
排出方法および該方法を実施するのに有用な鍋砂排出装
置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の連続鋳造設備に
おける鍋砂排出方法は、鍋砂の受ポットを、レードルの
ノズル孔の移動軌跡に沿って、かつ該レードルの移動速
度と同調して移動させるようにしたものである。

【０００７】また本発明の連続鋳造設備における鍋砂排
出装置は、レードルの下方にかつレードル底部のノズル
孔の移動軌跡に沿って敷設された台車走行レールと、該
台車走行レール上を走行する受ポット移動台車と、該受
ポット移動台車上に保持された鍋砂受ポットとを有して
いる。

【０００８】

【実施例】次に本発明を実施例について図面を参照して
説明する。図１は本発明の実施例による鍋砂排出装置を
設けた連続鋳造設備の鋳造床上における平面図である。
レードルターレット１は旋回フレーム２から両側に張り
出た各々一対の腕部３，４を有し、これらの腕部３，４
にそれぞれレードル５，６を保持して待機位置Ａから鋳
込位置Ｂへと旋回フレーム２の中心まわりに循環旋回す
るようになっている。７はレードルターレット１の旋回
駆動装置である。タンディッシュ８はタンディッシュタ
ーレット９の放射状に張り出た腕部１０先端に保持され
て鋳込位置Ｂ上を横切るように回動する。レードルター
レット１の下側の鋳造床上に該レードルターレット１の
旋回中心Ｃと同芯状に円形の台車走行レール１１が敷設
され、この台車走行レール１１上に後述する受ポット旋
回台車１２が回動可能に載せられている。

【０００９】図２および図３はそれぞれ本発明の実施例
による受ポット旋回台車１２の正面図および側面図であ
る。図２に示すように受ポット旋回台車１２の内端部１
２ａはレードルターレット１の旋回フレーム２側へ向っ
てのび、かつこの内端部１２ａに垂直軸線をもつ一対の
ガイドローラ１３が軸支され、またこのガイドローラ１
３をはさんで案内する円形の旋回台車ガイドレール１４
が旋回フレーム２の下部上面に、かつ台車走行レール１
１と同芯状に設けられている。この実施例で受ポット旋
回台車１２は速度可変とした自走式の台車であり、減速
機付き駆動モータ１５が搭載され、該モータ１５と台車
１２の車輪１６間にかけられた駆動チェンを介して該モ
ータ１５により台車走行レール１１上を回動する。

【００１０】この時、前記鍋砂排出装置の受ポット旋回
台車１２の旋回とレードルターレット１に搭載されたレ
ードル６の旋回とを同調させるためには、起動の指令と
旋回速度の同調が必要となるが、その手段としては例え
ば、受ポット旋回台車１２、レードルターレット１など
の関連する機器を１つの統括シーケンサのもとで制御す
る構成にすれば、複数の機器に対し１つの統括シーケン
サが同時に起動の指令を出すだけで極めて容易に同時ス
タートすることができる。また、旋回の同調についても
レードルターレット１を主系統として所定のパターンに
従って旋回をさせ、これに対し受ポット旋回台車１２を
従系統として、主系統よりその「旋回速度の指令値」と
「旋回位置データ」を受け取るようにする。この両値に
対して追従する追従制御を前記従系統内に構築し、その
結果を従系統の駆動系に指令信号として出力することに
より、同時スタートと同調運転を行うようにする。

【００１１】前記受ポット旋回台車１２上には鍋砂受ポ
ット１７が載置されている。受ポット１７は鋳込待機位
置Ａのレードルターレット腕部３に保持されたレードル
５の底部ノズル孔１８（図１）の略真下にくるように旋
回台車１２上に位置決めされており、かつレードルター
レット１および旋回台車１２の旋回動に伴なってレード
ル５のノズル孔１８との整合状態を維持したまま待機位
置Ａから鋳込位置Ｂまで、あるいは該位置Ｂのやや手前
まで回動するようになっている。

【００１２】受ポット１７は上部が開口した直方体の容
器であり、その上面に、図４に示す如く中央が円形に開
口した矩形の蓋体２０がかぶせられている。鍋砂は蓋体
２０を受ポット１７にかぶせた状態でレードル底部のノ
ズル孔から該蓋体の円形孔２１を通して受ポット１７内
に落下するが、この鍋砂落下時に飛散するスプラッシュ
は受ポット１７上面から側方へ張り出た蓋体２０の端面
で防止される。受ポット１７の交換時には蓋体２０を開
く必要があるが、この目的で旋回台車１２の側部上端に
モートルシリンダ２２が枢着され、該シリンダ２２のピ
ストンロッド先端は蓋体２０の側部からのびた蓋体支持
ブラケット２３に連結されている。ブラケット２３は旋
回台車１２に立設したスタンド２４の上部に支持ピン２
４ａを介して枢着されており、モートルシリンダ２２で
支持ブラケット２３を回転させることにより蓋体２０は
図３，図４の破線位置へ水平に支持ピン２４ａまわりに
回動して受ポット１７から外れ、この状態で受ポット１
７の交換がなされる。

【００１３】レードル５は他場所で溶鋼を注湯された
後、鋳造床上へ搬送されてきて鋳込待機位置Ａにてレー
ドルターレット１に保持される。従来の連続鋳造機にお
いては、この状態で該待機位置Ａの真下に設置されてい
る受ポットへノズル孔の鍋砂が排出される。そして例え
ば鋳込位置Ｂ側のレードル６が鋳込位置Ｂ上のタンディ
ッシュ１９やモールド周りの操作のためにレードルター
レット１を旋回させる必要が生じた場合、前記待機位置
Ａにて鍋砂排出を行うことができなくなる。しかし本発
明においては、上述のように鍋砂受ポット１７は旋回台
車１２上に保持されてその真上のレードル５とともに移
動するので、任意の位置でノズル孔下端のスライドプレ
ート（図示省略）をスライドさせることで鍋砂排出が可
能となる。また例えば一旦鍋砂を待機位置Ａで排出した
後、溶鋼の凝固によるノズル孔１８の閉塞を防ぐため前
記スライドプレートでノズル孔を完全に閉じないで少量
の溶鋼をたれ流しながらレードル５を移動させる場合が
あるが、このような場合にも本発明のように受ポット旋
回台車１２をレードルターレット１の旋回移動速度と同
調して移動させることにより、鍋砂受ポット１７を常に
レードル５の下方で溶鋼のたれ流しを受けることがで
き、周囲への溶鋼の飛散を防止でき、従来のような危険
作業が一掃される。なお上述の如く受ポット１７をノズ
ル孔１８の軌跡の任意の位置に移動させることができる
ので、鍋砂排出時にどうしてもノズル孔１８が閉塞して
溶鋼が出ない時のためのノズル孔開孔装置２５を待機位
置Ａと鋳込位置Ｂの中間の位置に設置することが可能と
なる。オペレータは遠隔操作で旋回台車１２の速度や停
止位置、および鍋砂排出動作を管理できる。

【００１４】上述の実施例はレードルがレードルターレ
ットに保持されて旋回移動する形式のものであるが、レ
ードルが鋳込位置手前の待機位置から鋳込位置へ往復直
線移動する場合は、受ポットはレードルに同調して直線
移動する直動台車上に載せられる。このような形態も本
発明に含まれることは明らかである。

【００１５】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、鍋
砂の受ポットをレードルとともに移動させるようにした
ので、従来危険な作業とされていた鍋砂排出がオペレー
タの遠隔操作で安全に行うことができる。鍋砂排出後溶
鋼を少量たれ流ししながらレードルを鋳込位置へ移動さ
せる場合にも、溶鋼の漏出を受ポットで受けることがで
き、周囲への危険な飛散が防止される。レードル移動経
路の任意の位置で鍋砂の排出が可能であるため、作業能
率の向上が図られる等、多くの利点がもたらされる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例による鍋砂排出装置を有する連
続鋳造機の鋳造床上での平面図である。

【図２】本発明に適用される受ポット旋回台車の正面図
である。

【図３】図２のＦ−Ｆ線に沿った側面図である。

【図４】本発明の実施例に係る受ポット旋回台車の受ポ
ット蓋体の開閉機構を示す平面図である。

【符号の説明】

１ レードルターレット ５，６ レードル ８ タンディッシュ １１ 台車走行レール １２ 受ポット旋回台車 １３ ガイドローラ １４ 旋回台車ガイドレール １５ 駆動モータ １７ 受ポット １８ ノズル孔 ２０ 蓋体 ２２ モートルシリンダ ２４ａ 支持ピン Ａ 待機位置 Ｂ 鋳込位置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 和男 愛媛県新居浜市惣開町５番２号住友重機 械工業株式会社新居浜製造所内 (56)参考文献 特開 平７−80612（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−200534（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−327362（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−11163（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B22D 11/10 340 B22D 41/46

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】鍋砂の受ポットを、レードルのノズル孔の
   移動軌跡に沿って、かつ該レードルの移動速度と同調し
   て移動させることを特徴とする連続鋳造設備における鍋
   砂排出方法。
2. 【請求項２】レードルの下方にかつレードル底部のノズ
   ル孔の移動軌跡に沿って敷設された台車走行レールと、
   該台車走行レール上を走行する受ポット移動台車と、該
   受ポット移動台車上に保持された鍋砂の受ポットとを有
   することを特徴とする連続鋳造設備における鍋砂排出装
   置。