JP3076737B2 - 熱可塑性樹脂の中空射出成形法 - Google Patents

熱可塑性樹脂の中空射出成形法

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    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/17Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
    • B29C45/1703Introducing an auxiliary fluid into the mould
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は中空射出成形法のうち、
中空部を形成するための加圧流体がゲートランドと成形
品キャビティーとの境界部を通過する中空射出成形法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、中空射出成形法が一部の厚肉成形
品や偏肉成形品の製造に利用され、生産効率と成形品の
精度向上に効果をあげている。その理由は従来の射出成
形法では改善できなかったヒケや反りを、中空部の形成
によって抑えることができるため、複雑な形状の製品で
も一度に成形でき、また金型に対する成形品の再現性が
良いため、精度も向上するからである。
【0003】上述したように、厚肉成形品や偏肉成形品
を精度および生産性良く製造するためには中空射出成形
法は非常に有効な手段であるが、該中空射出成形法の中
で、加圧流体をシリンダーノズル、金型のスプルー部、
ランナー部のいずれかより樹脂内に注入する中空射出成
形法では、ゲートにも中空部が形成される為、加圧流体
がゲート付近より漏洩し、完全な成形品ができないとい
う不具合を生じることが度々あった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】加圧流体をシリンダー
ノズル、金型のスプルー部、ランナー部のいずれかより
樹脂内に注入する中空射出成形法において、ゲート付近
から加圧流体が漏洩することを、本発明では「ガス破
れ」と呼ぶことにするが、本発明は、ガス破れのない中
空射出成形法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段および作用】本発明者等は
鋭意研究を進めた結果、ゲートランドと製品キャビティ
ーとの金型境界部にコーナーR付けを施すことにより、
前記課題を解決することができることを見出した。すな
わち、本発明は以下のとおりである。 1. 溶融した熱可塑性樹脂を射出し、該溶融樹脂中に
加圧流体を、シリンダーのノズル、金型のスプルー部、
ランナー部のいずれかより注入して中空部を形成する中
空射出成形法において、該加圧流体が通過するゲートラ
ンドと製品キャビティーの金型境界部の全てまたは一部
、次の関係式で表わされるコーナーR付けを施すこと
を特徴とする中空射出成形法。 0.1 mm≦Te≦(√2 − 1)×Gt [但し、上記の記号Te、Gtは以下のように定義す
る。図1において、製品キャビティ面上の直線ABと直
線DEの交点を点Cとし、線分CEをGt(mm)とす
る。∠ACEを2等分した直線と、金型の内表面との交
点をFとした時、線分CFをTe(mm)とする。]以下
に詳細に説明する。
【0006】前記したガス破れを図2を用いて説明す
る。図2はガス破れを生じやすい成形品の、ゲート付近
の断面の一例である。スプルー1、ゲートランド2、ゲ
ート7、製品キャビティー5の順に溶融した熱可塑性樹
脂と、中空部を形成するための加圧流体は流れる。この
時、ゲート7付近に中空部3と金型壁面の近接する部
分、即ち薄肉部4が生じる。この薄肉部4は成形上安定
性に乏しく、それ故、ゲート7付近において成形時にガ
ス破れを頻繁に生じると本発明者等は推定した。従って
実用化にあたってはこの薄肉化対策を施す必要があっ
た。
【0007】なお本発明において、「ゲートランド」と
は、スプルーまたはランナーと製品キャビティーとの境
界部と定義し、また「ゲート」とはゲートランドと製品
キャビティーとの境界部と定義する。本発明を具体的に
図1を例にあげて説明する。図1は図2と同じ方向から
見た、ゲートランド2の中心軸を通る平面で切った、ゲ
ート7付近の断面である。点A、B、D、Eは該断面に
おける金型表面上の点であり、かつ点Aは製品キャビテ
ィー5のゲートランド2が接続される面上の点であり、
点BはコーナーR付けによって該断面に現れた円弧と製
品キャビティー5のゲートランド2とが接続される面と
の交点であり、点DはコーナーR付けによって該断面に
現れる円弧とゲートランド2との交点であり、点Eはス
プルーまたはランナー1とゲートランド2との交点であ
る。図2で薄肉部の形成されていた部分にコーナーR6
を付けている。その結果、薄肉部4の形成を抑制するこ
とが可能となり、ガス破れを低減させると推定される。
【0008】本発明で言う「中空射出成形法」とは、射
出成形において熱可塑性樹脂を金型キャビティ−中に射
出中及び/または射出後、ガス体を樹脂中に注入するこ
とにより中空成形品を得る成形法である。「コーナーR
付け」とは、図1で説明すると、ゲートランド2の中心
軸を通る平面で切った、ゲート7付近の断面において、
円弧BFDが見られるよう金型表面を加工することであ
る。また、円弧DFBを円弧以外の滑らかな曲線または
直線で置き換えても、薄肉化対策として有効であり、本
発明のコーナーR付けに含まれる。具体例として、図3
に円弧DFBを直線にした例を示す。
【0009】また薄肉部の形成されると予想されるゲー
トに、コーナーR付けを施す場合、図1で説明するとT
eが以下に示す範囲にある時好適であることを、本発明
者等は見いだした。 0.1 mm≦Te≦(√2 − 1)×Gt 但し、上記記号Te、Gtは以下のように定義する。図
1において、直線ABと直線DEの交点を点Cとし、線
分CEをGt(mm)とする。∠ACEを2等分した直線
と、金型の内表面との交点をFとした時、線分CFをT
e(mm)とする。Teは 0.1 mm 以上ないとガス破れの
抑制及び強度向上の効果はない。また、Teは大きくと
れればとれるほど好適であるが、ゲートカットの容易性
やゲートカット後の外観を考えるとTeの上限は上記の
値が望ましい。このTeの好適な範囲は、薄肉化対策が
コーナーR付け以外でも、即ちコーナーRの円弧を、滑
らかな曲線や直線に置き換えた形状でも有効である。
【0010】本発明で言う「中空部」とは、成形品内に
中空部を生じさせる成形法によって形成されるものであ
り、この中空部は巣(ボイド)や発泡剤による気泡とは
相異するものである。本発明の中空射出成形法は、通常
の射出成形機とガス注入装置の組合せによって行われ
る。ガス注入装置は、樹脂の射出後に配管を通して樹脂
中にガス体を注入し、設定時間中このガス圧を保持する
装置である。これには注入するガス体を予め高圧に圧縮
し、アキュムレ−タ−に蓄え、ガス注入時に配管を通し
て高圧ガスを導入する方式や一定量のガス体をポンプに
より連続で送り込み、加圧していく方式等が考えられる
が、射出後の樹脂中にガス体を送り込めれば如何なる方
式も可能である。この時、ガスの注入口はシリンダ−の
ノズル、金型のスプル−、ランナ−、製品部に直接等の
方法が考えられるが、高圧のガス体を樹脂中に注入でき
ればいずれの方法でも実施可能である。
【0011】本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS
樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアセタ−ル、
ポリカ−ボネ−ト、変性ポリフェニレンエ−テル、ポリ
エチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−
ト、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリアミ
ドイミド、ポリアリレ−ト、ポリサルフォン、ポリエ−
テルサルフォン、ポエイエ−テルエ−テルケトン、液晶
ポリマ−、ポリテトラフルオロエチレン、熱可塑性エラ
ストマ−等が挙げられるが、通常の射出成形が可能であ
れば、如何なる熱可塑性樹脂も用いることができる。特
にポリアセタ−ル樹脂は耐熱性が高く機械的物性にも優
れ、更には摺動特性にも優れるため多く用いられてお
り、本発明においても好適に用いられる。
【0012】本発明の成形品は中空部がある為、耐熱
性、機械的強度等をアップする目的で、必要に応じて無
機または有機の充填材を熱可塑性樹脂に配合することが
できる。好適な充填材としては、ガラス繊維、炭素繊
維、金属繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウム、アス
ベスト、炭化ケイ素、セラミック、窒化ケイ素、硫酸バ
リウム、硫酸カルシウム、カオリン、クレ−、パイロフ
ィライト、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、マ
イカ、雲母、ネフェリンシナイト、タルク、アタルパル
ジャイト、ウオラストナイト、PMF、フェライト、ケ
イ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、
ドロマイト、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウ
ム、酸化鉄、二流化モリブデン、黒鉛、石膏、ガラスビ
−ズ、ガラスバル−ン、石英、石英ガラス等の強化充填
材を挙げることができ、これらは中空であっても良い。
また、これらの強化充填材は2種以上を併用する事が可
能であり、必要によりシラン系、チタン系等のカップリ
ング剤で予備処理して使用する事ができる。
【0013】本発明で用いるガス体としては窒素やヘリ
ウム、ネオン、アルゴン、水蒸気、アルコール蒸気等の
不活性ガスが挙げられるが、樹脂に対して不活性であれ
ば如何なるガス体も用いることができる。経済性を考慮
すると工業的には窒素ガスがより好適に使用される。
【0014】
【実施例】以下に中空射出成形による実施例を挙げて本
発明を更に詳細に説明する。
【0015】
【実施例1〜3】図4に示す形状のローラーを中空射出
成形した。各部の寸法は外径 20 mm、長さ 400 mm 、ゲ
ートランド(Gt)が 2.0mm、のローラーを中空射出成
形した。このゲートに薄肉化対策として、図1に見られ
るようなコーナーR付けを施した。コーナーRは、表1
に示すように 0.2 mmまたは0.4 mmに金型を加工した。
樹脂としては、ポリアセタール樹脂コポリマー(旭化成
工業(株)製 テナック−C4520 商品名)、また
はポリアミド66樹脂(旭化成工業(株)製 レオナ1
300S 商品名)を用い、金型温度はいずれも80
℃、シリンダー設定温度は、ポリアセタール樹脂コポリ
マーを用いた場合は200℃、ポリアミド66樹脂を用
いた場合は290℃で中空射出成形を行った。樹脂中に
圧入する加圧ガスは窒素ガスを用い、ガスノズルはシリ
ンダーの射出ノズル内に設けた。この時、シリンダー内
への加圧ガスの侵入(金型と反対方向への侵入)を防止
する目的でガスノズルのスクリュー側(ホッパー側)に
シャットオフ弁を設けた。ガス圧入装置に窒素ガスを導
入し、200kg/cm2に昇圧してアキュムレーター
に蓄え、溶融樹脂射出後に配管を通して溶融樹脂中に圧
入した。加圧ガスは、射出ノズルからスプルー、ランナ
ーを通って、ローラーを成形する金型キャビティ中に導
入された。
【0016】この時の条件は、ガス圧入遅延時間(溶融
樹脂の射出後、加圧ガスを圧入するまでの時間)を0.
2秒、ガス圧入時間(加圧ガス圧入を行う時間)を10
秒、圧力保持時間(加圧ガスの圧入を止め、ガス系を閉
じた状態で保持する時間とガス圧入時間を加えた時間)
を60秒とした。型開きは圧入保持時間終了から5秒後
に行い、成形品を取り出した。各々のローラーをそれぞ
れ1000ショットづつ成形し、ガス破れによる成形不
良の頻度を測定した。得られた結果を、表1に示す。
【0017】
【実施例4】実施例2のコーナーRの円弧を、図3に見
られるような直線になる様に形状を変更した以外は、実
施例2と同様にして成形と評価を行なった。得られた結
果を表1に示す。
【0018】
【比較例1〜2】ゲート部の薄肉化対策を施さない事以
外は、実施例と同様にして成形と評価を行った。得られ
た結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明に係る熱可塑
性成形品は不良率を効果的に低減させた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる、ゲートランドと製品キャビテ
ィーとの金型境界部にコーナーR付けを施した一例のゲ
ート付近の断面を示す説明図である。
【図2】中空射出成形により成形された熱可塑性樹脂製
成形品のゲートランドと製品キャビティーとの金型境界
部に、コーナーR付けに代表される薄肉化対策を施して
いない、従来の成形品の一例のゲート付近の断面を示す
説明図である。
【図3】本発明に係わる、ゲート付近の薄肉化対策を施
した一例のゲート付近の断面を示す説明図である。
【図4】実施例1〜3で得られた熱可塑性樹脂製成形品
の外観を示す概略図である。
【符号の説明】
1 スプルーまたはランナー 2 ゲートランド 3 中空部 4 薄肉部 5 製品キャビティー 6 コーナーR 7 ゲート 8 熱可塑性樹脂 9 ローラー本体 10 スプルー・ランナー 11 コーナーR付け A ゲートランドが製品キャビティに接続される面上
の点 B コーナーR付けによる円弧と、ゲートランドが製
品キャビティに接続される面との交点 C 直線ABと直線DEの交点 D コーナーR付けによる円弧とゲートランドとの交
点 E スプルーまたはランナーとゲートランドとの交点 F ∠ACEを2等分した直線と、金型の内表面との
交点

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融した熱可塑性樹脂を射出し、該溶融
    樹脂中に加圧流体を、シリンダーのノズル、金型のスプ
    ルー部、ランナー部のいずれかより注入して中空部を形
    成する中空射出成形法において、該加圧流体が通過する
    ゲートランドと製品キャビティーの金型境界部の全てま
    たは一部に、次の関係式で表わされるコーナーR付けを
    施すことを特徴とする中空射出成形法。 0.1 mm≦Te≦(√2 − 1)×Gt [但し、上記の記号Te、Gtは以下のように定義す
    る。図1において、製品キャビティ面上の直線ABと直
    線DEの交点を点Cとし、線分CEをGt(mm)とす
    る。∠ACEを2等分した直線と、金型の内表面との交
    点をFとした時、線分CFをTe(mm)とする。]
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