JP3075073B2 - 金属帯の搬送装置 - Google Patents

金属帯の搬送装置

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JP3075073B2 JP06088339A JP8833994A JP3075073B2 JP 3075073 B2 JP3075073 B2 JP 3075073B2 JP 06088339 A JP06088339 A JP 06088339A JP 8833994 A JP8833994 A JP 8833994A JP 3075073 B2 JP3075073 B2 JP 3075073B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属帯(鋼帯等)を複
数の搬送ロールに掛け渡しつつ搬送する設備において鋼
帯に発生するしわ形状を矯正しつつ搬送する搬送装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】鋼帯を、複数の搬送ロールに掛け渡しつ
つ搬送する設備(例えば、連続熱処理炉やルーパー装置
等)においては、鋼帯が搬送パスライン中心からはずれ
る蛇行の問題と、鋼帯にしわが発生する座屈(鋼帯の面
外変形であり、弾性変形と塑性変形がある)の問題とが
ある。
【0003】鋼帯の蛇行を防止するために、従来は、搬
送ロール5〜10本毎に蛇行修正機構を持たせたステア
リングロールを配置しているが、ステアリングロールが
高価であるため、その設置数は限られており蛇行を有効
に防止することはできなかった。
【0004】図4はこのような蛇行防止のため、従来設
けられている搬送ロールを示した図である。図4(a) は
先細りテーパ (テーパ高さ:H)を付けた搬送ロール、
図4(b) は曲線クラウン(クラウン高さ:h)を付けた
搬送ロールであり、蛇行修正速度の点でステアリングロ
ールに劣るが、ベルト車における蛇行防止と同じ原理に
より、個々の搬送ロールに蛇行防止機能を持たせてい
る。しかしながら、搬送ロールの前記テーパ高さHやク
ラウン高さhが高すぎると、鋼帯に働く蛇行修正力が過
大になり、鋼帯幅方向に圧縮応力が発生し、鋼帯に面外
変形が生じる。面外変形を生じた状態で鋼帯が搬送ロー
ルに巻きつくと、搬送ロール上で鋼帯が座屈してしわが
生じ、製品としての価値がそこなわれるばかりか、座屈
が甚だしい場合には、これが原因で鋼帯が絞り破断し設
備の操業停止に至るなど大きなトラブルを引き起こすこ
とがある。
【0005】搬送ロールの前記テーパ高さHやクラウン
高さhを減じれば、座屈は回避されるが、蛇行しやすく
なるため、両者を同時に防止する技術の確立が望まれて
いる。
【0006】このような問題を解決するために、特開昭
59−80734号公報には、搬送ロールへの鋼帯の巻
き付け直前や直後に、前記搬送ロールと平行で、かつそ
の長さが搬送ロールと同じ円筒形状の補助ロールを設置
して、鋼帯の変形を平坦に矯正する方法が開示されてい
る。図5はこのような方法の例を示した図であり、図5
において、1は搬送ロール、2は鋼帯、3は従来技術の
補助ロール、8は補助ロール通過後の面外変形である。
図5において矢印は鋼帯2の搬送方向を示している。
【0007】また、特開平5−186837号公報に
は、搬送ロールへの鋼帯の巻き付け直前に、搬送ロール
と同じ長さの円筒形の補助ロールを設置し、前記搬送ロ
ールと、前記補助ロールの距離を、鋼帯幅の0.7〜5
倍とすることにより、鋼帯に発生するしわを平坦な形状
に矯正しつつ搬送する方法が開示されている。図6はこ
のような方法の例を示した図である。以下の図において
図5と同一部分については、同一符号を付し、説明を省
略する。図6において、Lは搬送ロールと、補助ロール
の距離である。また、矢印は鋼帯2の搬送方向を示して
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の従
来技術には以下の様な問題点があった。鋼帯の幅が広
く、板厚が薄くなり、鋼帯の蛇行防止の為に鋼帯に働く
張力が大きくなってくると、M型の面外変形が補助ロー
ルの手前から大きく発生するようになる。特開昭59−
80734号公報に記載されているような、搬送ロール
と同じ長さを持つ補助ロールでは、鋼帯の幅方向への移
動が拘束され、このような大きなM型の変形をした鋼帯
が補助ロールに入ったときに、補助ロール自身が鋼帯の
座屈を発生させる問題がある。
【0009】また、特開平5−186837号公報に記
載されているような方法も、特開昭59−80734号
公報に記載されているような方法と基本的に同じ考えで
あり、鋼帯の変形を十分に矯正することができないばか
りか、補助ロール自身が鋼帯の座屈を発生させる問題が
ある。
【0010】本発明はこのような問題点に鑑み、搬送ロ
ール近傍での鋼帯変形矯正実験に基づき、鋼帯変形矯正
機構を最適化して、搬送ロール上での鋼帯の座屈を回避
する搬送装置を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題は以下の手段に
より解決される。 金属帯を複数の搬送ロールに掛け渡しつつ搬送する
設備において、金属帯の搬送ロールへの入側または出側
に、搬送ロールと平行で、ロール長さが金属帯の幅より
短い補助ロールを設け、前記補助ロールを金属帯に押し
つける機構を設けることを特徴とした金属帯の搬送装
置。 金属帯を複数の搬送ロールに掛け渡しつつ搬送する
設備において、金属帯の搬送ロールへの入側または出側
に、搬送ロールと平行で、凸型のクラウンを付与した補
助ロールを設け、前記補助ロールを金属帯に押しつける
機構を設けることを特徴とした金属帯の搬送装置。 上記の搬送装置において、前記補助ロールが、金属
帯の幅方向に移動できる機構を設けることを特徴とした
金属帯の搬送装置。
【0012】
【作用】本発明者らは、搬送ロールの形状、鋼帯の幅、
厚さを変えた実験により、搬送ロール巻き付き直前の鋼
帯に発生する面外変形の形状と搬送ロール上での座屈と
の関係を明らかにした。図7はこの様な面外変形の形状
と搬送ロール上での座屈との関係を示した図である。図
7において9は本発明による補助ロールであり、この場
合には搬送ロールへの入側に設けてあるが、出側に設け
た場合も同様の関係が得られる。
【0013】図7に示される様に、搬送ロール1として
先細りテーパーロールを使用し、そのテーパ高さを一定
とする場合、鋼帯2に加わる張力が小さい間は(A)に
示すように、鋼帯2にはC型面外変形が生じる。そして
このような面外変形の状態で搬送ロールに巻き付いても
座屈には至らない。鋼帯2に加わる張力が大きくなると
(B)に示すように、鋼帯2にはM型面外変形が生じ
る。ここでTはM型の頂部を示している。鋼帯2の面外
変形形状がC型からM型に変化するのは、鋼帯2に加わ
る張力が大きくなると、鋼帯に発生する幅方向圧縮応力
が大きくなるためと、長手方向の引張張力が働いている
ためC型変形の脹らみが拘束されるためである。そし
て、搬送ロールとの接触開始点近傍における、M型面外
変形の変形量Sは、張力が大きくなるほど大きくなり、
本実験では変形量Sが約2mmを超えると(C)に示す
ように、鋼帯2に座屈が発生することが実験から明らか
になった。この座屈発生原因については、長手方向の引
張張力が大きくなると、鋼帯2と搬送ロール1との摩擦
力が増大し、ロール上での鋼板の幅方向の移動が拘束さ
れるためと考えられる。
【0014】一方張力が大きく、変形量Sが約2mmを
超える場合でも、鋼帯の中央部の変形を、凸型の曲線ク
ラウンを付与した補助ロール9を押しつけて(D)に示
すように、M型面外変形をC型面外変形に矯正すると、
座屈が発生しにくくなることが実験から明らかになっ
た。これは、本発明による補助ロール9による形状矯正
により、鋼帯内部圧縮応力分布が変化した結果と考えら
れる。さらに、M型面内変形をC型面内変形に矯正する
ためには、補助ロールの長さは、鋼帯の最大通板幅の
0.75倍以下でかつ0.5倍以上が好ましいことが判
明した。すなわち、鋼帯の面外変形は広幅材で顕著に発
生するが、補助ロールでの形状矯正が必要となるM型変
形では、図7におけるM型の頂部Tの間隔WT は板幅の
約0.5倍であり、この部分を形状矯正してC型にする
ための補助ロールの長さは、板幅の0.5倍以上必要で
ある。また、補助ロールが長すぎると、鋼帯両端部近傍
の幅方向への逃げが拘束されるため、座屈の中でも塑性
変形のうちで鋼帯が重なりあう絞りが発生し易くなるこ
とが実験から判明し、かつ板幅の0.75倍以下であれ
ば拘束されないことが明らかとなった。なお、狭幅材の
場合には、補助ロールの長さが板幅の0.75倍以上に
なってしまうが、狭幅材では面外変形が出にくく、かつ
絞りにくいので問題はない。
【0015】図8は補助ロールの板幅に対する長さを変
えたときの絞り発生状況を示した図であるが、補助ロー
ルの長さが板幅の0.5〜0.75倍が絞り発生がな
く、良好な結果となっている。
【0016】本発明に対し、従来技術(特開昭59−8
0734号公報に記載されている方法)との比較実験を
行ったところ、特に、鋼帯の厚さが薄く幅が広い場合に
おいて、従来技術では補助ロールによって鋼帯の幅方向
移動が拘束されるため、本発明のような鋼帯の幅より短
い長さの補助ロールを設置した場合に較べ、座屈が発生
しやすいことがわかった。すなわち従来技術では、図5
における補助ロール通過後の面外変形8で示すように、
形状矯正後の鋼帯の面外変形がM型であり、変形が十分
に矯正できていないばかりか、補助ロール自身も鋼板の
幅方向移動を拘束させる原因となっており、鋼板の座屈
を解決するには至っていない。
【0017】これに対し本発明による方法では、鋼帯の
幅方向中央部のみを形状矯正して、座屈が発生しにくい
C型の面外変形に矯正しており、かつロール長さが鋼帯
の幅より短いので、鋼帯の幅方向の変形を拘束せず、搬
送ロール近傍での鋼帯の幅方向の変形が自由であり、座
屈しにくくなる。
【0018】また、補助ロールのクラウン形状を凸型の
曲線クラウンとすれば、鋼帯の面外変形は、補助ロール
の押しつけによってなめらかなC型面外変形に矯正さ
れ、かつ補助ロールと鋼帯の接触圧の分布が、補助ロー
ル中央部で大きく端部で小さくなる分布となるので、鋼
帯の幅方向変形が拘束されない。補助ロールの凸クラウ
ンを先細りのテーパークラウンとした場合にもほぼ同様
の結果が得られるが、ロールのテーパー開始部分で鋼帯
に疵ができやすい問題がある。テーパー開始部分に緩や
かな曲率をつけるとこの問題は改善されるが、ロール全
体に曲線クラウンを付与したほうが好ましい。
【0019】また、搬送ロールと鋼帯の接触開始位置か
ら補助ロールまでの距離は、補助ロールの長さ以上であ
ることが好ましい。これは、搬送ロールと鋼帯の接触開
始位置から補助ロールまでの距離が短すぎると、搬送ロ
ール近傍で発生する応力分布が補助ロール位置にまで影
響をおよぼし、巻き付け角度が小さい補助ロールでの形
状矯正効果が減衰されるためである。
【0020】また、補助ロールを鋼帯の幅方向に移動可
能とすることにより、鋼帯の面外変形が鋼帯の幅方向で
非対称に発生した場合でも、補助ロールの形状矯正効果
を維持することができる。
【0021】
【実施例】本発明の実施例を図面にもとづいて説明す
る。
【0022】図1は、本発明の実施例を示した図であ
り、鋼帯の連続焼鈍炉における搬送ロールの入側に、補
助ロールを試験的に適用した場合の側断面図である。図
1において4は炉殻、5は観察用の覗き窓、9は本発明
による補助ロールである。ここで、鋼帯2の搬送方向は
aからbの方向である。また、搬送ロール1及び補助ロ
ール9は鋼製であり、搬送ロールの径は1mである。補
助ロール9の中心部の径は0.4mで、長さは1mであ
る。補助ロール9の押込み量dはパスラインから最大5
0mmの範囲で変化させて設置でき、鋼帯の幅方向に±
100mm移動できる構造としている。搬送ロール1と
補助ロール9との距離Lは、実験結果に基づき1.5m
としている。
【0023】図2は、図1の矢印Aの方向から見た図で
ある。以下の図において図1と同一部分には同一符号を
付し、説明を省略する。図2において、6は補助ロール
9の移動装置、7はシール用蛇腹である。またWH は補
助ロール9の長さであり、W S は鋼帯幅である。実験で
は、面外変形を検知するための検知器としてテレビカメ
ラを覗き窓に設置し、その画面を見ながら補助ロール位
置を手動により操作している。補助ロール9には凸型の
曲線クラウンが付与してあり、クラウンの高さhは2m
mである。
【0024】図3は本発明による、座屈無し通板可能範
囲を、従来技術と比較して示した図である。以下の図に
おいて図2と同一部分には同一符号を付し、説明を省略
する。図3において、横軸は無次元化した板幅(WS
0 )を示し、縦軸は無次元化した板厚(t/t0 )を
示している。ここで、W0 は鋼帯幅の標準値、tは板
厚、t0 は板厚の標準値である。領域は図4に示す搬
送ロールのみを使用した場合の通板可能範囲を示す。ま
た、領域は図5に示す従来技術の補助ロールを使用し
た場合の通板可能範囲を示す。そして、領域は本発明
による補助ロールを使用した場合の、さらなる通板可能
拡大領域を示している。図3に示すように、従来技術の
搬送ロールのみを使用した場合には板厚の厚い領域が、
また従来技術の補助ロールを使用した場合には鋼帯幅の
狭い領域が通板可能であるのに対し、本発明によれば、
鋼帯幅が広く、板厚が薄い領域で通板可能となることが
わかる。
【0025】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、連続焼
鈍炉等における通板可能範囲が拡大し、製品の品質向上
のみならず生産性の向上にも寄与する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示した図
【図2】図1の実施例を矢印Aの方向から見た図
【図3】本発明による、座屈無し通板可能範囲を、従来
技術と比較して示した図
【図4】従来技術による搬送ロールの実施例を示した図
【図5】従来技術による補助ロールの実施例を示した図
【図6】従来技術による補助ロールの図5とは異なる実
施例を示した図
【図7】面外変形の形状と搬送ロール上での座屈との関
係を示した図
【図8】補助ロールの板幅に対する長さを変えたときの
絞り発生状況を示した図
【符号の説明】
1 搬送ロール 2 鋼帯 6 補助ロールの移動装置 9 本発明による補助ロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−264138(JP,A) 特開 昭60−131925(JP,A) 特開 昭60−36626(JP,A) 特開 昭59−80734(JP,A) 特開 平5−186837(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 1/00,9/52 C21D 9/56,11/00 B65H 23/18,23/188,26/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属帯を複数の搬送ロールに掛け渡しつ
    つ搬送する設備において、金属帯の搬送ロールへの入側
    または出側に、搬送ロールと平行で、ロール長さが金属
    帯の幅より短い補助ロールを設け、前記補助ロールを金
    属帯に押しつける機構を設けることを特徴とした金属帯
    の搬送装置。
  2. 【請求項2】 金属帯を複数の搬送ロールに掛け渡しつ
    つ搬送する設備において、金属帯の搬送ロールへの入側
    または出側に、搬送ロールと平行で、凸型のクラウンを
    付与した補助ロールを設け、前記補助ロールを金属帯に
    押しつける機構を設けることを特徴とした金属帯の搬送
    装置。
  3. 【請求項3】 請求項1および請求項2の搬送装置にお
    いて、前記補助ロールが、金属帯の幅方向に移動できる
    機構を設けることを特徴とした金属帯の搬送装置。
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